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真岡鐵道真岡線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
真岡軽便線から転送)
真岡線
モオカ14-2(下館駅)
モオカ14-2(下館駅)
基本情報
日本の旗 日本
所在地 茨城県栃木県
起点 下館駅[1]
終点 茂木駅[1]
駅数 17駅[1]
電報略号 マカセ[2]
開業 1912年4月1日 (112年前) (1912-04-01)[3]
全通 1920年12月15日 (104年前) (1920-12-15)[3]
三セク転換 1988年4月11日 (36年前) (1988-04-11)[4]
所有者 真岡鐵道
運営者 真岡鐵道
使用車両 車両節を参照
路線諸元
路線距離 41.9 km
軌間 1,067 mm[1]
線路数 単線
電化方式 全線非電化
閉塞方式 特殊自動閉塞式(電子符号照査式)
最高速度 75 km/h[5]
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線
STR
STRr
関東鉄道常総線
SHI4g+rq
JR東日本水戸線
0.0 下館駅
BHF
2.2 下館二高前駅
BHF
4.6 折本駅
BHF
6.5 ひぐち駅
STR+GRZq
茨城県 / 栃木県
BHF
8.5 久下田駅
BHF
12.6 寺内駅
SKRZ-Au
北関東自動車道
BHF
16.4 真岡駅
BHF
18.0 北真岡駅
WBRÜCKE1
五行川橋梁 五行川 42.71m
BHF
21.2 西田井駅
BHF
22.9 北山駅
WBRÜCKE1
小貝川橋梁 小貝川 42.90m
BHF
25.1 益子駅
BHF
28.4 七井駅
BHF
31.2 多田羅駅
BHF
34.3 市塙駅
BHF
38.1 笹原田駅
BHF
39.2 天矢場駅
KBHFxe
41.9 茂木駅
exLSTR
国鉄長倉線(未成線)
exWBRÜCKE1
坂井川橋梁 坂井川
exBHF
後郷駅
exTUNNEL2
大峯山トンネル 180m
exWBRÜCKE1
小井戸川橋梁
exBHF
下野中川駅
exhKRZWae
那珂川
exBHF
小深駅
exSTR+GRZq
↑栃木県 / 茨城県↓
exBHF
野田駅
exKBHFe
長倉駅

真岡線(もおかせん、かつては「もうかせん」)は、茨城県筑西市下館駅から栃木県芳賀郡茂木町茂木駅に至る真岡鐵道鉄道路線。かつては日本国有鉄道(国鉄)・東日本旅客鉄道(JR東日本)が運営していた。愛称「コットン・ウェイ[6][7]

路線データ

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運行形態

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全日共通のダイヤで、ワンマン運転の普通列車が毎時1本程度運行される。下館駅 - 茂木駅間の直通運転を基本とするが、下館駅 - 真岡駅間・真岡駅 - 茂木駅間の区間列車も設定されている。通常は1両、平日朝夕は2両での運転だが、沿線でのイベント時には最大で3両まで増結される場合がある。

1994年平成6年)3月27日より、土日祝日を中心に蒸気機関車牽引の「SLもおか」が1往復運行されている。

「SLもおか」の運行日は普通列車上下各1本の下館駅 - 真岡駅間が運休となるが、下りについては代わりに「SLもおか」の回送を兼ねた下館駅 - 真岡駅間の速達客車列車(6103列車、DE10形ディーゼル機関車牽引)が運行され、特別料金なしで客車列車に乗車できる珍しい事例となっている。この列車の途中停車駅は折本駅久下田駅のみ(「SLもおか」停車駅の寺内駅は通過)で、終点の真岡駅では始発の茂木方面普通列車に接続する。

普通列車は真岡鐵道への転換時に導入されたモオカ63形(11両)で運行してきたが、老朽化により2003年(平成15年)1月20日よりモオカ14形が導入[9]され、年間2両前後の導入で順次モオカ63形を淘汰した。形式名称の数字(63・14)は導入が始まった和暦の年(モオカ63形は昭和63年、モオカ14形は平成14年)を示している。

転換後の一時期、JR路線からの臨時列車が設定された。「益子陶器市」に合わせて東日本旅客鉄道(JR東日本)の水郡線営業所に配置されていた東北色キハ40系列や新津運輸区に配置されていた新潟色のキハ58系列が臨時列車として乗り入れた事例があったが[10]、近年は行われていない。

JR東日本から試験車を借り入れ、年1回程度で軌道検測が実施される。転換直後はマヤ34形客車を使用していたが、現在はキヤE193系気動車「East i-D」を使用する。この軌道検測は基本的に「SLもおか」に近い時刻で運行されるため、上り検測と重複する真岡駅 - 下館駅間の普通列車1往復を運休させる措置を取っている。

国鉄時代(1970年ごろ)は上り14本、下り8本が運行され、うち上下8本が水戸線に乗り入れ小山まで直通していた。朝夕には5 - 6両編成(最長6両編成)で運行され、5両編成の列車はそのうち3両、6両編成の列車は4両が下館で分割され水戸線列車として運行されていた。1988年(昭和63年)の真岡鉄道転換前には同年3月13日のJR東日本のダイヤ改正(一本列島を参照)に際し予め転換後のダイヤとするため小山直通列車は廃止となった[11]。また、水戸線の小山駅 - 下館駅間に区間列車を増発するなどして真岡線直通廃止で減少する列車を補完している。第三セクター転換前のこの頃になると昼間の列車はほぼなくなり、空いている時間で真岡鐵道のモオカ63形を使用した試運転列車が運行された。

使用車両

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現在の車両

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過去の車両

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真岡鐵道転換後

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国鉄・JR時代

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歴史

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歴史は古く、1912年明治45年)の官設鉄道真岡軽便線(もうかけいべんせん)下館駅 - 真岡駅間の開業に始まる。1920年(大正9年)には茂木駅まで全通した。しかし、地域の流動に合わない線形で、県都宇都宮との連絡鉄道(改正鉄道敷設法別表第37号「栃木県市塙ヨリ宝積寺に至ル鉄道」)も計画されたが実現に至らなかった[3]。なお、最初の着工前には、下館駅でなく、隣の川島駅を起点とし、一部工事も着工がされていたが、災害などで中止され、結局下館起点に変更となった。

1960年昭和35年)5月30日に国鉄関東支社評議員会よりバス転換が答申された[12]。その後、国鉄再建法施行により、1984年(昭和59年)に第2次特定地方交通線に指定され、1987年(昭和62年)にJR東日本に承継されたのち、1988年(昭和63年)に真岡鐵道に転換された[4]

駅一覧

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凡例
*印は転換以後に設置された駅。
SLもおか停車駅 … ●:停車、|:通過
線路(全線単線) … ◇:列車交換可、|:列車交換不可
駅名 駅間
営業キロ
累計
営業キロ
SLもおか 接続路線 線路 所在地
下館駅 - 0.0 東日本旅客鉄道水戸線
関東鉄道常総線
茨城県
筑西市
下館二高前駅* 2.2 2.2  
折本駅 2.4 4.6  
ひぐち駅* 1.9 6.5  
久下田駅 2.0 8.5   栃木県 真岡市
寺内駅 4.1 12.6  
真岡駅 3.8 16.4  
北真岡駅 1.6 18.0  
西田井駅 3.2 21.2  
北山駅* 1.7 22.9  
益子駅 2.2 25.1   芳賀郡 益子町
七井駅 3.3 28.4  
多田羅駅 2.8 31.2   市貝町
市塙駅 3.1 34.3  
笹原田駅* 3.8 38.1  
天矢場駅* 1.1 39.2   茂木町
茂木駅 2.7 41.9  

計画路線

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改正鉄道敷設法で挙げられた真岡線に関係する予定線としては、以下のものがある。

このうち前者は、1934年(昭和9年)に鉄道先行路線として常陸大子駅 - 烏山駅 - 茂木駅間に国鉄バス(後のジェイアールバス関東常野線が開業したが、鉄道路線としては実現せず、常野線も1993年(平成5年)6月の茂木駅 - 芳賀黒田間廃止を境に路線縮小が進み、2011年(平成23年)には全区間が廃止された。現在はかつての常野線の一部経路を那須烏山市営バスが運行している。

また後者は、このうち茂木 - 長倉宿(現・常陸大宮市)間が国鉄長倉線として計画され、1937年(昭和12年)3月に着工[3]。全線の用地買収と河井村(現・茂木町)までの路盤建設が完了し、1940年(昭和15年)にはレールの敷設工事も開始されていた[3]。しかし、太平洋戦争勃発による建設区間見直しで工事は中断、レールも金属回収により撤去され、戦後も再開されず開業することはなかった[3]。また、1927年(昭和2年)に後者のルートのうち、水戸近くの赤塚駅と阿野沢付近の御前山駅(現・城里町)を結ぶ鉄道として茨城鉄道(のちの茨城交通茨城線)が開業したが、1971年(昭和46年)までに廃止された。茨城鉄道は御前山 - 長倉間の免許も取得していたが実現しなかった。国鉄バスによる鉄道先行路線としては水戸 - 赤沢間が水都東線、赤沢 - 長倉宿 - 茂木間が水都西線として開業したが、いずれの区間も1990年代までに廃止されている。

茂木駅終端部より未成線の路盤が延びているが、2017年(平成29年)時点で並松運動公園付近と茂木駅周辺の市街地部分は築堤、橋台などが撤去、削平され道路として整備されている。

2020年令和2年)から観光資源として長倉線の予定線用地を観覧するツアーが茂木町と町観光協会によって実施されており、通常閉鎖されているトンネルにも入ることが出来る[23][24]

その他

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脚注

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  1. ^ a b c d e f g 『歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』21号 p.3
  2. ^ 日本国有鉄道電気局『鉄道電報略号』1959年9月17日、22頁。 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 『歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』21号 p.18
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 『歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』21号 p.19
  5. ^ a b 寺田裕一『データブック日本の私鉄』(改訂新版)ネコ・パブリッシング〈NEKO MOOK 1836〉、2013年1月、[要ページ番号]頁。ISBN 978-4-7770-1336-4 
  6. ^ 『歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』21号 p.14
  7. ^ コットン・ウェイ」『デジタル大辞泉プラス』https://kotobank.jp/word/%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A4コトバンクより2021年12月27日閲覧 
  8. ^ 『歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』21号 p.12
  9. ^ モオカ14形の2両(1・2)は富士重工業の製造した最後の鉄道車両である。3 以降は日本車輌製造で製造されている。
  10. ^ 交友社鉄道ファン』1997年2月号 通巻430号 p.112
  11. ^ 『交通公社の時刻表』1987年4月号 p.455、1988年3月号 pp.476 - 479
  12. ^ 「関東支社評議員会が諮問に答申」『交通新聞』交通協力会、1960年5月31日、1面。
  13. ^ 告示 鐵道院 第29号 眞岡輕便線下館眞岡間鐵道運輸營業開始」『官報 1912年03月30日』1912年3月30日、737頁。doi:10.11501/2951988https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2951988/5 
  14. ^ 鐡道院縣下各驛 - 真館線」『栃木県官民職員録  大正1年8月現在』下野新聞、1912年、152頁。doi:10.11501/910556https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/910556/78  下館駅 - 真岡駅間開業時、起終点の駅名から栃木県の資料では「真館線(しんかんせん)」の通称で呼ばれたこともあった。出典:大道雅美『郷愁の野州鉄道 - 栃木県鉄道秘話』随想舎、2004年、p.100
  15. ^ 告示 鐵道院 第58号 眞岡輕便線眞岡七井間鐵道運輸營業開始」『官報 1913年07月09日』1913年7月9日、223頁。doi:10.11501/2952382https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2952382/1 
  16. ^ 告示 鐵道省 第124号 眞岡輕便線七井茂木間鐵道運輸營業開始」『官報 1920年12月09日』1920年12月9日、261頁。doi:10.11501/2954622https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2954622/3 
  17. ^ 告示 鐵道省 第109号 國有鐵道線路名稱中改正」『官報 1922年09月02日』1922年9月2日、33頁。doi:10.11501/2955145https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2955145/1 
  18. ^ 第三章.運輸 気動車運転区間」『鉄道省年報 昭和10年度』1935年、174頁。doi:10.11501/1114644https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1114644/101 
  19. ^ “日本国有鉄道公示第141号”. 官報. (1982年10月30日) 
  20. ^ お客様各位」真岡鉄道、2011年3月22日。2011年4月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年3月24日閲覧
  21. ^ お客様各位」真岡鉄道、2011年4月1日。2011年4月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月3日閲覧
  22. ^ a b SLもおかの運転再開とSLもおか券(整理券)の事前予約について」真岡鐵道株式会社、2020年7月1日。2020年7月5日閲覧
  23. ^ よみがえる幻の「長倉線」 茂木駅から延伸、戦争で計画放棄 町、観光資源として着目」『下野新聞』2020年11月28日。2021年5月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月8日閲覧
  24. ^ 平賀拓史「幻の鉄路を歩いてみた 未成線の魅力」『朝日新聞』2021年5月1日。2021年5月1日閲覧
  25. ^ 「ツインリンクもてぎまで/真岡鉄道延伸を要望へ/活性化狙い はが観光協会」『下野新聞(朝刊)』2003年9月29日、6面。

参考文献

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  • 朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』 21号 関東鉄道・真岡鐵道・首都圏新都市鉄道・流鉄、曽根悟(監修)、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2011年8月7日。 

関連項目

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外部リンク

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