篠ノ井線
篠ノ井線 | |||
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基本情報 | |||
国 | 日本 | ||
所在地 | 長野県 | ||
起点 | 篠ノ井駅 | ||
終点 | 塩尻駅 | ||
駅数 | 15駅 | ||
電報略号 | シノセ[1] | ||
開業 | 1900年11月1日 | ||
全通 | 1902年12月15日 | ||
所有者 | 東日本旅客鉄道 | ||
運営者 |
東日本旅客鉄道 日本貨物鉄道 | ||
使用車両 | 使用車両を参照 | ||
路線諸元 | |||
路線距離 | 66.7 km | ||
軌間 | 1,067 mm | ||
線路数 | 単線、複線 | ||
電化方式 |
直流1,500 V 架空電車線方式 | ||
最大勾配 | 25‰ | ||
最小曲線半径 | 300 m | ||
保安装置 | ATS-P(姨捨駅・桑ノ原信号場構内はATS-SN) | ||
最高速度 | 130 km/h | ||
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篠ノ井線(しののいせん)は、長野県長野市の篠ノ井駅から長野県塩尻市の塩尻駅までを結ぶ、東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(幹線)である。
事業基本計画および国土交通省監修『鉄道要覧』では篠ノ井駅を起点としているが、国鉄時代の国有鉄道線路名称[2]やJR発足後のJR線路名称公告では塩尻駅を起点としており、また列車運行上は塩尻駅から篠ノ井駅へ向かう列車が下り、逆が上りとなっている。
概要
[編集]東京、名古屋の両都市圏からの特急列車(東京駅、新宿駅とは「あずさ」、名古屋駅とは「しなの」)が中央本線から当路線に直通しており、長野県中部の塩尻市・松本市・安曇野市と同県の県庁所在地長野市とを連絡する役割も担う。日本貨物鉄道(JR貨物)による貨物列車も運行されている。
途中、急峻な山間部を走るため一部にスイッチバック区間がある(姨捨駅付近[3]と2か所ある信号場のうち桑ノ原信号場。ただし特急はホームのある引き上げ線に入らず本線を通過するため、姨捨駅は素通りする[3])。
ラインカラーはダークオレンジ。ただし、路線図などでは松本駅以北がダークオレンジで、以南は中央本線と同じ青色で案内されている。
松本駅 - 塩尻駅間は旅客営業規則の定める大都市近郊区間の「東京近郊区間」に含まれ、同区間でIC乗車カード「Suica」が利用可能である[4][5][6]。2025年3月15日には全線全駅で利用可能となる予定[7]。
路線データ
[編集]- 管轄(事業種別):東日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)、日本貨物鉄道(第二種鉄道事業者)
- 区間(営業キロ):篠ノ井駅 - 塩尻駅 66.7 km(線路名称公告では起終点が逆転)
- 軌間:1067 mm
- 駅数:15駅(起終点駅含む)
- 複線区間:明科駅 - 田沢駅・松本駅 - 塩尻駅間(西条駅 - 明科駅間も路盤自体は複線対応だが現在は単線となっている[9])
- 電化区間:全線(直流1500 V)
- 保安装置:ATS-P(姨捨駅・桑ノ原信号場構内はATS-SN)
- 運転指令所:長野総合指令室 (CTC)
- 最高速度:
全線が東日本旅客鉄道長野支社の管轄となっている。
歴史
[編集]関東と近畿を連絡する鉄道としては当初、平時には海路の便があり、戦時に敵の攻撃を受けやすい海岸を走る東海道本線ではなく、中山道を経由する路線が検討されていた。実際にこの路線は着工されたが、建設費が嵩むことや開通後の輸送力が制約されることなどから、工事がほとんど進まないうちに中止となった。この路線のための資材輸送線として建設が始まった直江津から長野を経由し上田へ至る路線はそのまま建設が続行され、さらに延長されて碓氷峠を越えて、高崎まで1893年(明治26年)4月に完成した。
一方、1892年(明治25年)6月には鉄道敷設法が制定され、後の中央本線にあたる路線の建設が決定した。これを受けて、長野県会では同年12月に中央本線と信越本線を連絡する「長野若シクハ篠ノ井ヨリ松本ヲ經テ塩尻又ハ洗馬ニ至ル線路」を第一期線に追加するように帝国議会へ要請する決議を採択した。これを中央連絡線と称した。
1893年(明治26年)3月から鉄道庁の技師が派遣されて路線の調査を行った。この結果6つの路線が候補として上がった。東側から現在の国道254号に沿って松本と上田を結ぶ三才山線、長野県道181号下奈良本豊科線に沿って松本と上田を結ぶ保福寺線、国道143号に沿って松本と上田を結ぶ二線路線、国道19号・国道403号に沿って松本と篠ノ井を結ぶ篠ノ井線、国道19号や犀川に沿って松本と長野を結ぶ犀川線、国道147号・長野県道31号長野大町線・国道19号に沿って大町経由で松本と長野を結ぶ大町線である。どのルートを選んでも険しい峠を長大トンネルで克服したり、地質の悪い区間を通過したりしなければならなかったが、距離が最も短い篠ノ井線が建設費や開業後の運営の点で有利と判断された。この報告を受けて1894年(明治27年)6月23日に帝国議会で「長野県下長野若ハ篠ノ井ヨリ松本ヲ経テ前項ノ線路ニ接続スル鉄道」が第一期線に格上げされ、また同時に提出された法案により起点は篠ノ井と確定された。1896年(明治29年)予算で建設費は359万7470円とされ、明治28年度から31年度までの予定で施工されることになった。しかしその後、工期の変更と予算の増額があり、明治35年度まで掛かって予算767万7751円で施工された。
全線を11の工区に分けて、1896年(明治29年)10月に着工され、1900年から篠ノ井方より順次延伸され、1902年に塩尻駅まで全通した。1906年には八王子駅から伸びてきた鉄道が接続して、東京駅 - 長野駅を結ぶ第2のルートが完成した。1909年の線路名称設定の際には、中央東線に含まれたが、中央東線が塩尻駅以西へ延伸されるに及び1911年に篠ノ井線として分離された。
開業後は、急勾配の続く運転上の難所であり、また線路容量も限られることになった。そのため、昭和に入ると順次中間に行き違いの可能な駅や信号場を新設して線路容量の拡大が図られた。第二次世界大戦後も引き続き信号場の追加が行われ、このうち1961年(昭和36年)と1966年(昭和41年)の2回にわたって新設された潮沢・桑ノ原・羽尾の3つの信号場はスイッチバック式を採用した。これにより、元から存在した姨捨駅のスイッチバックと合わせて、1駅3信号場にスイッチバックを有する路線となった。
1970年(昭和45年)2月、篠ノ井線用にDD51形ディーゼル機関車30両が配置され、これによって無煙化が完了し、蒸気機関車のさよなら運転としてD51形蒸気機関車重連による「さよなら篠ノ井線の蒸気機関車」が運転された。1973年(昭和48年)3月28日に全線で電化が完成した。本来は同年7月10日のダイヤ改正で中央西線の電化とともに開業するものであったが、6年に1度の善光寺御開帳に間に合わせるために篠ノ井線のみ先行して電化開業し、4月1日から暫定的な電車化が実施された[10]。中央西線の電化開業時には、381系振り子式車両により特急「しなの」の一部が電車化された。
西条駅 - 明科駅間の、潮沢川に沿う地すべり地帯を通過していた旧線に代わる新線の建設工事は1974年(昭和49年)に開始[11] され、1988年(昭和63年)9月10日に完成した。この際に建設されたトンネルや橋梁はいずれも複線対応であるが、単線での開業となっている。この際、潮沢信号場が廃止され、またその後に羽尾信号場が使用停止されたことから、2009年時点では1駅1信号場にスイッチバックのある路線となっている[注釈 2]。西条駅 - 明科駅間は新線切り替えに伴い旧線区間は廃止され、レールや架線が撤去された以外ほとんど設備が残されている。安曇野市側は2013年に遊歩道へと整備されたが、筑北村側は新線合流付近にソーラーパネルが設置されたものの他は長らく手付かずで両市村に跨る旧第二白坂トンネルも放置された状態であった。しかし2023年初頭にJR東日本長野支社から村に廃線の活用の打診があり同年に村は調査と整備に着手し観光資源に繋げようとした。しかし旧第二白坂トンネルは安全性などの課題から整備の見通しが立っていない。
年表
[編集]- 1900年(明治33年)11月1日:篠ノ井線[注釈 3] 篠ノ井駅 - 西条駅間(17M64C≒28.65 km)開業。稲荷山駅、姨捨駅、麻績駅(現・聖高原駅)、西条駅新設[12]。
- 1902年(明治35年)
- 1906年(明治39年)6月11日:岡谷駅 - 塩尻駅間延伸開業により、八王子駅 - 篠ノ井駅間全通[12]。
- 1909年(明治42年)
- 1911年(明治44年)5月1日:中央本線全通に伴い、塩尻駅 - 篠ノ井駅間を篠ノ井線として分離[2][12]。
- 1927年(昭和2年)11月3日:坂北駅新設。
- 1930年(昭和5年)4月1日:営業距離をマイル表記からメートル表記に変更(42.1M→67.9 km)。
- 1933年(昭和8年)7月10日:広丘駅新設。
- 1937年(昭和12年)1月31日:麻績駅 - 姨捨駅間に冠着信号場新設。
- 1944年(昭和19年)9月1日:南松本駅新設。
- 1945年(昭和20年)4月1日:冠着信号場を駅に変更して冠着駅新設。
- 1956年(昭和31年)12月25日:塩尻駅 - 明科駅間に気動車を投入[13]。
- 1961年(昭和36年)
- 1963年(昭和38年)6月12日:広丘駅 - 村井駅間複線化[12]。
- 1964年(昭和39年)
- 1965年(昭和40年)
- 1966年(昭和41年)
- 1968年(昭和43年)10月1日:ヨンサントオのダイヤ改正で名古屋駅 - 長野駅間の「しなの」に181系気動車が投入され、特急列車化[14]。同時に同区間の急行列車を「きそ」に集約。
- 1970年(昭和45年)2月22日:篠ノ井線用にDD51形ディーゼル機関車30両を配置して無煙化完了。D51形重連による「さよなら篠ノ井線の蒸気機関車」が運転される[16]。
- 1972年(昭和47年)2月1日:全線に列車集中制御装置 (CTC) を導入[17]。
- 1973年(昭和48年)
- 1976年(昭和51年)4月1日:麻績駅を聖高原駅に改称[14]。
- 1981年(昭和56年)6月6日:14時56分頃、姨捨駅 - 桑ノ原信号場間で、新宿駅6時20分発長野駅行下り普通列車9両編成(115系〈三鷹電車区所属〉8両+事業用車1両)のうち4両目から9両目の計6両が脱線。乗客5人がけが。25時間後の7日16時に復旧[19]。
- 1982年(昭和57年)5月17日:塩尻駅移転[14]、改キロ (-0.5 km)。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道(JR東日本)が継承[14]。日本貨物鉄道(JR貨物)が全線の第二種鉄道事業者となる。
- 1988年(昭和63年)9月10日:西条駅 - 明科駅間線路付け替え[20]、改キロ (-0.7 km)[21]。潮沢信号場廃止。
- 2007年(平成19年)3月18日:平田駅新設[14]。
- 2008年(平成20年)3月15日:羽尾信号場使用停止。
- 2009年(平成21年)3月14日:羽尾信号場廃止[22]。
- 2012年(平成24年)7月2日 - 回送列車のダイヤ設定ミスにより、桑ノ原信号場とその付近で上下回送列車と下り普通列車の3本が立ち往生[23]。
- 2013年(平成25年)3月16日:篠ノ井駅 - 塩尻駅間の一部列車でワンマン運転開始。
- 2014年(平成26年)4月1日:松本駅 - 塩尻駅間が東京近郊区間に編入。同時に線内の一部駅(松本駅・塩尻駅)でICカード乗車券「Suica」サービス開始[4]。
- 2017年(平成29年)4月1日:松本駅 - 塩尻駅間のSuicaサービス開始および松本・塩尻両駅のサービス拡大[5][6]。
- 2023年(令和5年)3月18日:塩尻 - 長野間にてE353系を使用した臨時特急「信州」が運行開始する。
- 2024年(令和6年)3月16日:特急「信州」の長野行き運行時刻を繰り上げる。
- 2025年(令和7年)
運行形態
[編集]停車場・施設・接続路線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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基本的に、途中の松本駅を起点・終着として中央本線新宿・東京方面、名古屋方面および信越本線長野方面と直通する列車を主体に運転されている。
優等列車
[編集]中央東線方面からは、特急「あずさ」が乗り入れ、ほとんどの列車は松本駅を起・終点としている。一部に大糸線方面への直通列車が設定されている。
中央西線方面からは、東海旅客鉄道(JR東海)の特急「しなの」が乗り入れ、全ての列車が長野駅に直通するが、臨時の「しなの」の中には大糸線乗り入れ列車や松本駅を起・終点とする列車も存在する。
2023年3月ダイヤ改正から、平日運転の臨時特急「信州」が1日1往復運転されている。
普通列車
[編集]松本駅が運用上の基点となっている。松本駅を始発・終着としている中央本線方面の列車は、上下線とも中央東線方面の列車のほうが多く、東京都内の高尾駅や立川駅まで運行される列車もある。また、中央西線方面の列車は多くが岐阜県内の中津川駅まで運行されている。これらの関係で、松本駅 - 塩尻駅間は特急も含めて比較的多くの列車本数(毎時2 -3本程度)が設定されている。一方、篠ノ井駅を起点・終着としている列車はなく、全て信越本線の長野駅まで(から)乗り入れる。長野駅を起点・終着としている列車も大半は中央東線方面と直通運転している。一部は松本駅までのものもある。篠ノ井線のみを走行する列車は2021年3月13日のダイヤ改正時点で塩尻駅発松本駅行きが2本、塩尻駅発明科駅行きが1本、松本駅発塩尻駅行きと聖高原駅発松本駅行きがそれぞれ1本となっている。なお、松本駅以北の普通列車は毎時1本(一部時間帯で2時間前後開く場合あり)となっている。
快速列車には長野駅または松本駅 - 飯田線飯田駅を結ぶ「みすず」(篠ノ井線内で快速扱いとなるのは松本発の1本のみであるが各駅に停車)や、中央本線上諏訪駅発長野駅行き下り1本、大糸線信濃大町駅発上諏訪駅行き上り1本(篠ノ井線内は各駅に停車)、長野駅発松本駅行き上り2本(2本とも安茂里駅・今井駅を通過するが、うち1本は姨捨駅・冠着駅も通過)、松本駅発長野駅行き下り1本(冠着駅・姨捨駅・今井駅・安茂里駅は通過)がある。これらは基本的に211系・E127系(長野総合車両センター所属)が使用されている。
313系(JR東海神領車両区所属)も、松本駅発着の中央西線方面の列車において2両または4両で使用されるほか、飯田線直通(岡谷駅経由)の普通列車にも1往復に3両で使用されている。このため、松本駅 - 塩尻駅間はJR東日本の路線としては珍しく、転換クロスシート車両の普通列車が多く乗り入れる区間となっている。
2013年3月16日のダイヤ改正より、一部の普通列車でワンマン運転が開始された。ワンマン運転の際に使用されるのはE127系のみである。
貨物列車
[編集]全線で貨物列車が運行されている。コンテナ輸送も行われているが、寒冷山間地の長野県への石油(灯油・重油・ガソリンなど)輸送が盛んである。石油は、京葉地区や京浜地区、中京地区にある製油所から内陸の油槽所へ送られている。輸送の高速化のために、タキ1000形貨車で編成された高速貨物列車も設定されている。
牽引機は、EF64形電気機関車やEH200形電気機関車である。また、篠ノ井線で列車の発着がある駅は南松本駅のみである[26]。
過去の列車
[編集]過去の列車は以下の項目を参照
- 「あずさ」「はまかいじ」 - 中央東線直通の昼行優等列車について
- 「ムーンライト信州」 - 中央東線直通の夜行列車について
- 「みすず」 - 急行「天竜」・快速「かもしか」などの飯田線直通列車について
- 「しなの」- 中央西線直通の昼行優等列車について
- 「ちくま」 - 中央西線直通の夜行列車について
- 「おはようライナー」
使用車両
[編集]現在の使用車両
[編集]以下は全て電車で、特記なき限りJR東日本の車両。
- 優等列車用
- 普通列車・快速列車(「みすず」を含む)
- 211系 - 長野総合車両センター所属
- E127系100番台 - 松本車両センター所属
- 313系 - JR東海神領車両区・大垣車両区所属
- 塩尻駅 - 松本駅間で運行。
-
E353系
-
383系
-
211系
-
E127系100番台
-
313系
過去の使用車両
[編集]「キハ」とあるのは気動車、客車など車種が記されていない車両は全て電車である。
- 優等列車
- 普通列車
-
E257系
-
189系
-
123系
沿線概況
[編集]篠ノ井線は、塩尻市から安曇野市明科地区にかけての松本盆地と、長野市周辺の長野盆地を結ぶ路線で、線路は、同じく両盆地を結んで流れる犀川の川筋ではなく、冠着峠越えのルートに敷設されている。これは、両盆地の間が最近数十万年の間に激しく隆起・褶曲した結果、犀川が蛇行しつつ深い渓谷を形成して、川沿いに線路を引ける地形ではなかったためであった。姨捨付近の高所から見晴らす長野盆地は佳景で、日本三大車窓の一つに選ばれている。蒸気機関車時代は難所と呼ばれた冠着トンネルも技術革新のために苦もなく列車が通るようになった。
篠ノ井側から見ると、まず稲荷山駅から冠着トンネルへ向かって40分の1(25‰)の上り勾配がずっと続く。山腹に沿って曲線を繰り返しながら次第に高度を稼ぐ。千曲川(信濃川)の支流雄沢川と、同じ千曲川の支流犀川の支流麻績川の間の標高955mの尾根の下を全長2,656mの冠着トンネルで潜り抜けると、この路線最高の標高676m地点にある冠着駅へ到達する。
冠着駅から坂北駅まではおおむね麻績川に沿って下る。そこで麻績川の支流の東条川の川筋に入って再び登り、西条駅へ到達する。
西条駅から明科駅までは、潮沢川に沿う区間が地すべり多発地帯であったことや、線路容量が限界に達していたことなどから1988年に新線に切り替えられた区間である。明治時代に建設された当初は、全長365mの御仁熊トンネルを抜けてサミット(山頂部)を通り、全長2,084mの第二白坂トンネルを通って半径300mのカーブを繰り返し25‰で潮沢川に沿って明科駅まで下っていく線形となっていた。1988年に切り替えられた新線では、新しく掘り直された第一白坂トンネルが1,292m、第二白坂トンネルが1,777m、そして第三白坂トンネルが4,261mとなり、最大勾配は23‰とわずかながら改善された。また、この区間はトンネルや橋梁について複線化の準備がなされた設計で建設されたが、単線で開通し、その後も単線のまま運行されている。
明科駅からは松本盆地に出て、おおむね犀川の右岸に沿って通っている。途中田沢駅 - 松本駅間は山と川に挟まれた狭隘な区間を通過する。松本からは、市街化・工業化の進む平坦な田園地帯を南下し、やがて松本盆地の南端に位置する塩尻駅に達する。
駅一覧
[編集]列車運行上の下り方向に(塩尻駅から篠ノ井駅に向かって)記述する。なお便宜上、篠ノ井側の全列車が直通する信越本線篠ノ井駅 - 長野駅間も合わせて記述する。
- 駅名 … ◆・◇:貨物取扱駅(◇は定期貨物列車の発着なし)
- 停車駅
- 普通、普通「みすず」、快速「みすず」…篠ノ井線内は全ての駅に停車
- 快速…●印の駅は全列車停車、▲印の駅は一部の列車が停車、△印の駅は上りの一部の列車のみが停車、|印の駅は通過
- 特急「あずさ」「しなの」、臨時快速「リゾートビューふるさと」…各列車記事参照
- 線路 … ∥:複線区間、∧:これより下は複線、∨:これより下は単線、◇・◆:単線区間(◇は列車交換可能、◆はスイッチバック駅/信号場)
- 全駅長野県内に所在。
- 標高の単位は m(メートル)
正式路線名 | 駅名 | 営業キロ | 標高 | 快速 | 接続路線・備考 | 線路 | 所在地 | ||
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駅間 | 累計 | ||||||||
篠ノ井線 | 塩尻駅◇ | - | 0.0 | 715.8 | ● | 東日本旅客鉄道:■中央本線(岡谷方面)・中央本線支線(辰野方面) 東海旅客鉄道: 中央本線(木曽福島方面) (全方面と直通運転あり) |
∥ | 塩尻市 | |
広丘駅 | 3.8 | 3.8 | 664.5 | ▲ | ∥ | ||||
村井駅◇ | 3.0 | 6.8 | 628.8 | ● | ∥ | 松本市 | |||
平田駅 | 2.0 | 8.8 | 609.0 | ▲ | ∥ | ||||
南松本駅◆ | 2.1 | 10.9 | 594.6 | ▲ | ∥ | ||||
松本駅 | 2.4 | 13.3 | 586.0 | ● | 東日本旅客鉄道:■大糸線(塩尻方面との直通運転あり) アルピコ交通:■上高地線(AK-01) |
∨ | |||
平瀬信号場 | - | 17.5 | 568.9 | | | ◇ | ||||
田沢駅 | 8.3 | 21.6 | 555.9 | ● | ∧ | 安曇野市 | |||
明科駅 | 6.6 | 28.2 | 525.5 | ● | ∨ | ||||
西条駅 | 9.0 | 37.2 | 661.9 | ▲ | ◇ | 東筑摩郡 | 筑北村 | ||
坂北駅 | 3.7 | 40.9 | 601.0 | ▲ | ◇ | ||||
聖高原駅 | 4.1 | 45.0 | 621.4 | ▲ | ◇ | 麻績村 | |||
冠着駅 | 3.3 | 48.3 | 676.0 | △ | ◇ | 筑北村 | |||
姨捨駅 | 5.9 | 54.2 | 551.2 [* 1] |
△ | ◆ | 千曲市 | |||
桑ノ原信号場 | - | 58.4 | 458.2 | | | ◆ | ||||
稲荷山駅 | 8.7 | 62.9 | 358.0 | ▲ | ◇ | 長野市 | |||
篠ノ井駅 | 3.8 | 66.7 | 356.2 | ▲ | しなの鉄道:■しなの鉄道線[* 2] | ∧ | |||
信越本線 | |||||||||
今井駅 | 2.1 | 68.8 | 359.0 | | | ∥ | ||||
川中島駅◇ | 2.2 | 71.0 | 362.4 | ▲ | ∥ | ||||
安茂里駅 | 2.1 | 73.1 | 360.3 | | | ∥ | ||||
長野駅◇ | 2.9 | 76.0 | 360.5 | ● | 東日本旅客鉄道: 北陸新幹線・■飯山線[* 3] しなの鉄道:■北しなの線 長野電鉄:■長野線 (N1) |
∥ |
2022年度の時点で、JR東日本自社による乗車人員集計[27]から除外される駅(完全な無人駅)は、姨捨駅のみである。
廃止信号場
[編集]- 潮沢信号場 : 1988年廃止、明科駅 - 西条駅間・旧線上(篠ノ井駅起点34.4 km)
- 羽尾信号場 : 2008年使用停止、2009年廃止[22]、冠着駅 - 姨捨駅間(篠ノ井駅起点14.7 km)
過去の接続路線
[編集]平均通過人員
[編集]各年度の平均通過人員(人/日)は以下のとおりである。
年度 | 平均通過人員(人/日) | 出典 | ||
---|---|---|---|---|
全線 | 塩尻 - 松本 | 松本 - 篠ノ井 | ||
2011年度(平成23年度) | 11,251 | 22,704 | 8,399 | [28] |
2012年度(平成24年度) | 11,570 | 23,456 | 8,610 | |
2013年度(平成25年度) | 11,885 | 24,097 | 8,843 | |
2014年度(平成26年度) | 11,468 | 23,344 | 8,510 | |
2015年度(平成27年度) | 12,367 | 24,699 | 9,296 | |
2016年度(平成28年度) | 12,293 | 24,861 | 9,163 | [29] |
2017年度(平成29年度) | 12,423 | 25,474 | 9,173 | |
2018年度(平成30年度) | 12,465 | 25,470 | 9,226 | |
2019年度(令和元年度) | 11,898 | 24,300 | 8,809 | |
2020年度(令和 | 2年度)7,322 | 15,605 | 5,259 | |
2021年度(令和 | 3年度)8,165 | 16,720 | 6,034 | [30] |
2022年度(令和 | 4年度)10,115 | 20,439 | 7,543 | |
2023年度(令和 | 5年度)11,259 | 23,146 | 8,299 | [31] |
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 日本国有鉄道電気局『鉄道電報略号』1959年9月17日、21頁。
- ^ a b 「鉄道院告示第17号」『官報』第8332号、大蔵省印刷局、1911年4月5日、97頁。「「中央線{中央本線(昌平橋名古屋間) 篠ノ井線(鹽尻篠ノ井間)」ヲ追加シ…」(国立国会図書館デジタルコレクション)
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参考文献
[編集]- 小西純一「篠ノ井線の歴史と技術」『鉄道ピクトリアル』2009年1月 No.813、電気車研究会、pp. 35 – 40。
- 川島令三編著『中部ライン - 全線・全駅・全配線』3 八王子駅 - 松本エリア、講談社、2010年。ISBN 978-4-06-270063-4。
- 曽根悟(監修)(著)、朝日新聞出版分冊百科編集部(編集)(編)「大糸線・飯山線・篠ノ井線・越後線・弥彦線」『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』第9号、朝日新聞出版、2009年9月6日。