赤十字血液センター
表示
赤十字血液センター(せきじゅうじけつえきセンター)は、日本において輸血用血液の採血、製造、供給を行っている日本赤十字社の施設である。
事業
[編集]安全で有効な輸血用血液を医療機関が必要とするだけ供給すること。この事業は、2003年7月30日施行の安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律改正法が根拠となる法律であるが、その他にも薬事法、医師法の制約も受ける。
血液製剤の安全性対策費用が逓増する一方で、特に血漿製剤を中心に製造した血液製剤の使用量が減少したことから、慢性的赤字に悩まされている。
部局
[編集]採血、検査、製剤、供給の4部門に分かれる。GMP上では採血業、製造業、販売業に分かれる。
- 採血
- 16 - 69歳の健康な献血者から全血または成分を採血する。医師による検診の後、看護師が採血する。献血は代償を求めない行為であるが、肝機能、コレステロール、血算などの検査結果が通知される。また、HIV以外の感染症検査結果も希望者には通知される。
- 検査
- 輸血による感染症の伝播などを防止するため、ABO式血液型、RhD式血液型のほか、HBV、HCV、HIV、HTLV-1、梅毒トレポネーマ、HPVB19について血清学的スクリーニングを行う。そのほか、HBV, HCV, HIV-1については別途核酸増幅検査(NAT) を20プールでおこなっている。
- 製剤
- 遠心分離などで成分に分け、血小板製剤においては血小板数を測定する。輸血後にはGVHD予防のため、血漿製剤を除きほとんどの製剤に放射線照射を行う。赤血球は2 - 6度保存で21日間、血小板は20 - 24度保存で4日間、血漿は零下20度以下保存で1年間の有効期限である。血漿製剤は6か月間のクアランチン(Quarantine。ウィンドウピリオド対策の検疫隔離)があってから供給される。
- 供給
- 医療機関からの供給依頼に応じ、24時間態勢・年中無休で対応・供給している。ただし、全血製剤・HLA適合血小板製剤は依頼後の生産となる。また血小板製剤は採血量に限りがあり、かつ製剤の有効期間が採血後4日間と期限が短く、納品日の前日までに予約発注が必要となる。予約時間を過ぎた予約外の発注だと希望単位数や希望納品時間通りにならない事もある。納品緊急を要する場合には、緊急自動車(赤色警光灯とサイレンを装備した専用の輸送車がある)で配送する。
統廃合計画
[編集]読売新聞は2007年7月3日付で、「日赤が輸血用血液製剤を製造する拠点を20に統合する計画を進めている」と報じた[1]。
すでに一部の赤十字血液センターにおいては、製剤業務の統廃合が実際に行われた。
- 2001年4月 佐賀県赤十字血液センターの製剤業務を福岡県赤十字血液センターに集約。
- 2005年10月 愛知県豊橋赤十字血液センター(現:愛知県赤十字血液センター豊橋事業所)の製剤業務を愛知県赤十字血液センターに集約。福岡県北九州赤十字血液センター(現:福岡県赤十字血液センター北九州事業所)の製剤業務を福岡県赤十字血液センターに集約。
- 2006年3月 北海道函館赤十字血液センター(現:北海道赤十字血液センター函館事業所)の製剤業務を北海道赤十字血液センターに集約。
- 2006年12月 和歌山県赤十字血液センターの製剤業務を大阪府赤十字血液センターに集約。
- 2008年1月 日本赤十字社九州血液センター(現:日本赤十字社九州ブロック血液センター)を開設。九州ブロック(沖縄県を除く)の各赤十字血液センターの製剤業務を日本赤十字社九州血液センター(現:日本赤十字社九州ブロック血液センター)に集約。
- これに伴い、福岡県北九州・佐賀県の各赤十字血液センターの製剤業務を福岡県赤十字血液センターから日本赤十字社九州血液センター(現:日本赤十字社九州ブロック血液センター)に移管。
- 2008年3月28日 島根県赤十字血液センターの製剤業務を広島県赤十字血液センターに集約。
- 2008年4月1日 山形県赤十字血液センターの製剤業務を宮城県赤十字血液センターに集約。
- 2008年5月26日 鳥取県赤十字血液センターの製剤業務を岡山県赤十字血液センターに集約。
- 2008年9月1日 長野県赤十字血液センター・長野県松本赤十字血液センター(現:長野県赤十字血液センター松本供給出張所)の各赤十字血液センターの製剤業務を埼玉県赤十字血液センターに集約。
所在地
[編集]全国に7つのブロック血液センターと、各都道府県に1つずつ計47か所の血液センターが設置されている。
ブロック血液センター
[編集]名称 | 所在都市 | 位置 | 献血受入量 |
---|---|---|---|
日本赤十字社北海道ブロック血液センター | 北海道札幌市 | 北緯43度4分13秒 東経141度18分4.3秒 | 28万人分/年[2] |
日本赤十字社東北ブロック血液センター | 宮城県仙台市 | 北緯38度21分13.5秒 東経140度50分38.4秒 | 39万人分/年[3] |
日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センター | 東京都江東区 | 北緯35度38分50.3秒 東経139度48分47.8秒 | 190万人分/年[4] |
日本赤十字社東海北陸ブロック血液センター | 愛知県瀬戸市 | 北緯35度11分28.1秒 東経137度5分21秒 | 72万人分/年[5] |
日本赤十字社近畿ブロック血液センター | 大阪府茨木市 | 北緯34度51分28.2秒 東経135度31分35.5秒 | 88万人分/年[6] |
日本赤十字社中四国ブロック血液センター | 広島県広島市 | 北緯34度22分44.4秒 東経132度27分11.4秒 | 50万人分/年[7] |
日本赤十字社九州ブロック血液センター[注釈 1] | 福岡県久留米市 | 北緯33度20分5.7秒 東経130度32分12.4秒 | 60万人分/年[8] |
血液センター
[編集]その他の血液センター
[編集]名称 | 所在都市 | 位置 |
---|---|---|
日本赤十字社血漿分画センター | 北海道千歳市 | 北緯42度47分40.8秒 東経141度36分58.7秒 |
日本赤十字社血液管理センター | 京都府福知山市 | 北緯35度17分10.4秒 東経135度9分15.1秒 |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 日本赤十字社九州血液センターを2012年(平成24年)4月に名称変更。
- ^ 2013年(平成25年)7月1日に札幌市西区山の手2条2丁目の旧社屋から移転。
- ^ 2008年(平成20年)6月30日に仙台市青葉区の旧社屋から移転。
- ^ 2015年(平成27年)3月25日に水戸市千波町の旧社屋から移転。
- ^ 埼玉県赤十字血液センター伊奈事業所(旧名称:伊奈出張所(埼玉県伊奈赤十字血液センターを名称変更)・埼玉県伊奈赤十字血液センター(埼玉県赤十字血液センター(旧社屋)を名称変更)・埼玉県赤十字血液センター(開設)(旧社屋))をさいたま市見沼区の新社屋に移転させる形と同時に、2015年(平成27年)4月2日に名称変更。
- ^ 千葉県船橋赤十字血液センターを2003年(平成15年)4月1日に名称変更。
- ^ 2015年(平成27年)12月22日に江東区辰巳の旧社屋から移転。
- ^ 神奈川県赤十字血液センター横浜事業所(旧名称:神奈川県横浜赤十字血液センター(神奈川県赤十字血液センター(旧社屋)を名称変更)・神奈川県赤十字血液センター(開設)(旧社屋))を横浜市港北区の新社屋に移転させる形と同時に、2017年(平成29年)7月2日に名称変更。
- ^ 2020年(令和2年)3月9日に新潟市中央区関屋下川原町の旧社屋から移転。
- ^ 1992年(平成4年)に富山市牛島本町の旧社屋から移転。
- ^ 2016年(平成28年)11月1日に金沢市鞍月東1丁目1番地の旧社屋から移転。
- ^ 2019年(令和元年)5月20日に静岡市葵区北安東の旧社屋から移転。
- ^ 2018年(平成30年)10月28日に京都市東山区三十三間堂廻り町の旧社屋から移転。
- ^ 2013年(平成25年)4月26日に和歌山市栄谷字丸江153の旧社屋から移転。
- ^ 2019年(平成31年)1月17日に高知市桟橋通6丁目の旧社屋から移転。
出典
[編集]関連項目
[編集]- 献血
- 日本赤十字社
- 東京都青年赤十字奉仕団
- 緊急自動車
- ラジオ大阪 - 2009年9月まで大阪府赤十字血液センター提供の献血啓発番組『むっちゃ健康』を放送していた。
- Love in Action
- ACジャパン
- 認定輸血検査技師
外部リンク
[編集]- 献血について|日本赤十字社
- 日本赤十字社血漿分画センター - ウェイバックマシン(2006年4月13日アーカイブ分)
- 血液事業の情報ページ|厚生労働省 - 医薬・生活衛生局血液対策課
- 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
- TSS献血キャンペーン「ありがとう!っていっぱい言わせて」| TSSテレビ新広島