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比叡山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
都富士から転送)
比叡山
琵琶湖から見た比叡山
標高 848.3 m
所在地 日本の旗 日本
滋賀県大津市
京都府京都市左京区
位置 北緯35度03分57秒 東経135度50分04秒 / 北緯35.06583度 東経135.83444度 / 35.06583; 135.83444座標: 北緯35度03分57秒 東経135度50分04秒 / 北緯35.06583度 東経135.83444度 / 35.06583; 135.83444
比叡山の位置(日本内)
比叡山
比叡山
比叡山 (日本)
比叡山の位置(京都府内)
比叡山
比叡山
比叡山 (京都府)
比叡山の位置(滋賀県内)
比叡山
比叡山
比叡山 (滋賀県)
地図
プロジェクト 山
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比叡山の地形図。高峰が比叡山山頂
秋の比叡山

比叡山(ひえいざん)は、都富士という有名な呼び名や、叡山、北嶺、天台山とも呼ばれ、滋賀県大津市西部と京都府京都市北東部にまたがる。大津市と京都市左京区の両府県境に位置する大比叡(だいひえい 海抜848.3m)と左京区に位置する四明岳(しめいがたけ 海抜838m)の二峰から成る双耳峰の総称である。高野山と並び古くより信仰対象の山とされ、日吉大社があり繁栄した。東山三十六峰に含まれる場合もある[注釈 1]。大比叡の中腹に天台宗の総本山延暦寺がある。

概要

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比叡山は、滋賀県大津市の西南、滋賀・京都県境に位置する、標高848mの山である[1]古事記には淡海(おうみ)の日枝(ひえ)の山として記されており、古くから山岳信仰の対象とされてきた[1]

国土地理院による測量成果では、東の頂を大比叡、西の頂を四明岳、総称として比叡山としている。「点の記」では、東の頂に所在する一等三角点の点名を「比叡山」としている。この三角点は大津市と京都市の境に位置するが、所在地としては大津市にあたる。この一等三角点「比叡山」の標高は、2014年5月に標高改算され、848.1mとなった[2]。なお、比叡山は、丹波高地ならびに比良山地とは花折断層を境にして切り離されているため、比叡山地、あるいは比叡醍醐山地に属するとされる。

京都側から見た場合、四明岳と大比叡をともに確認することができる[3]。しかし、京都盆地から比叡山を見た場合、四明岳は確認できるが、大比叡の頂は四明岳に隠れてしまう[3]。このときのバランスのとれた三角形の外観は、「都富士」ともいわれる[3]。また、大比叡が見えない場合、四明岳を比叡山の山頂だと見なすことがあり、京福電気鉄道叡山ロープウェイにおいては、四明岳の山頂をもって比叡山頂駅と設定している。

比叡山の山頂からは、琵琶湖や京都市街のほか、比良連峰などの京都北山も眺めることができる[3]。また条件が良ければ、長野県岐阜県県境にある御嶽山を望むことができる[4]。山の東側には天台宗の総本山である延暦寺がある[3]。また、山頂の北の「奥比叡」は「殺生禁断」とされているため、貴重な野生動物や植物の姿を確認することができ、特に、鳥類の繁殖地として有名である[3]。なお、真夏の京都市内と比叡山の山頂近くとでは、気温が5、6℃違うという[5]

比叡山は、登山も盛んである。京都市左京区修学院から登る雲母坂(きららざか)は古くから京都と延暦寺を往復する僧侶・僧兵や朝廷の勅使が通った道であり、現在も登山客は多い[3]。雲母坂登山口から大比叡山頂まで、徒歩でおよそ2時間20分掛かるとされる[6]。滋賀県側からは、日吉大社の門前町・坂本から表参道を経て、無動寺谷を通って登る登山道などがある[3]。この登山ルートも、徒歩でおよそ2時間10分から20分掛かるとされている[6]。山内には大津から京都大原方面へ抜ける東海自然歩道[3]北白川・大原間の区間となる京都一周トレイル[7]が通っている。なお、四明岳はガーデンミュージアム比叡の敷地内にあり、登頂には同園への入場が必要となる。

なお、四明岳の表記、あるいは読みには多数の説があり、国土地理院による「四明岳(しめいがたけ、しめいだけ)」のほか、「京都市の地名」では「四明ヶ岳(しめがたけ)」、「四明峰(しみょうのみね)」などを挙げている。比叡山の別称である天台山、ならびに四明岳の名称は、天台宗ゆかりの霊山である中国天台山、四明山に由来する。

大比叡に設置された一等三角点。点名は比叡山である。
琵琶湖側から見る比叡山(左端)

歴史

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古事記では比叡山は日枝山(ひえのやま)と表記され、大山咋神が近江国の日枝山に鎮座し、鳴鏑を神体とすると記されている。平安遷都後、最澄が堂塔を建て天台宗を開いて以来、王城の鬼門を抑える国家鎮護の寺地となった[1]。京都の鬼門にあたる北東に位置することもあり、比叡山は王城鎮護の山とされた[1]

延暦寺が日枝山に開かれて以降、大比叡を大物主神とし小比叡を大山咋神とし地主神として天台宗・延暦寺の守護神とされ、大山咋神に対する山王信仰が広まった。また比叡山山頂の諸堂や山麓の日吉大社などを参拝して歩く回峰行も行われ信仰の山である。「世の中に山てふ山は多かれど山とは比叡のみ山をぞいふ」と慈円が詠んだことでも知られる[3]

1934年(昭和9年)9月21日、室戸台風の暴風雨により、老樹が多数倒木する被害を受ける[8]

観光

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有料道路や路線バス、ケーブルカー、ロープウェイで山頂まで行けるため、休日には観光客が多く訪れる。叡山ケーブルのケーブル比叡駅の中間広場(ケーブルカーとロープウェイの乗り継ぎ広場)では、毎年8月ごろに、京福電気鉄道の運営で、「比叡YAMAのビアガーデン」が開催される[5][9]。お盆等には夜間営業が行われることもある[10]

かつては比叡山頂遊園地比叡山人工スキー場があったが、それぞれ2000年平成12年)、2002年(平成14年)に完全閉鎖され、山頂遊園地の跡地は美術館「ガーデンミュージアム比叡」、スキー場の跡地はコスモス園になっている。また、京都側のふもとの八瀬にはスポーツバレー京都(森のゆうえんち)もあったが、こちらも2001年(平成13年)11月30日に閉鎖された。跡地にはリゾートトラストによって、会員制リゾートホテルが建てられた。

交通

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鉄道

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大津市坂本方面

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京都市八瀬方面

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道路

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路線バス

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放送所

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KBS京都及び民放在阪広域テレビ局京都市左京区側に、NHK大津市側に、それぞれ下記に示す放送施設の送信所または中継局を設置している。

正式な放送所名

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  • NHK京都総合・大阪教育…比叡山テレビ放送所
  • KBS…比叡山テレビ送信所

現存する局の概要

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地上デジタルテレビジョン放送送信設備

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在阪広域各局のデジタルテレビ中継局設置
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  • 2009年(平成21年)12月25日総務省近畿総合通信局2010年(平成22年)夏ごろを目処として、京都市内および周辺地域の建築物の高層化や地形等の影響による生駒山送信所からの受信障害を解消するため、近畿広域圏を放送対象地域とする各局についても中継局を設置する構想を明らかにした。
  • 生駒山送信所からの地上デジタル放送の受信が困難な地域(ビル影、長岡京市の一部など)が存在した。地上デジタル放送では、中継所を集約し少ない中継局でより広いエリアをカバーすることを基本としているが、比叡山への新たな中継局の設置は、各世帯の既存の設備(比叡山向きのUHFアンテナ)のままで受信困難を解消する方策として考えられたものである[11]
  • 2010年(平成22年)7月9日、開局日が同年7月24日になるとの発表がなされた[12][13]。なお、この日はテレビ放送のデジタル完全移行1年前にあたるほか、地上デジタル放送の普及イベント[注釈 2]を行なうことが開局日決定以前から企画されていた[注釈 3]。開局当初は2Wで運用されていたが、2010年(平成22年)9月27日から定格(フルパワー)の20Wに増力された。

NHK教育テレビと在阪広域民放局の放送エリアは以下の全域または一部地域。

リモコン
キーID
放送局名 コールサイン 物理
チャンネル
空中線電力 実効輻射電力 放送対象
地域
放送区域
内世帯数
開局日 備考
1 NHK
京都総合
JOOK-DTV 25ch 1kW 7.2kW 京都府 約1,130,000世帯 2005年
4月1日
[14]
2 NHK
大阪教育
(京都中継局) 40ch 20W 360W 全国 約537,000世帯 2010年
7月24日
[15]
4 MBS
毎日放送
33ch 近畿広域圏 約574,000世帯 [16]
5 KBS
京都放送
JOBR-DTV 23ch 1kW 4.9kW 京都府 約1,250,000世帯 2005年
4月1日
[17]
6 ABC TV
朝日放送テレビ
(京都中継局) 38ch 20W 360W 近畿広域圏 約574,000世帯 2010年
7月24日
[18]
8 KTV
関西テレビ放送
42ch [19]
10 ytv
讀賣テレビ放送
35ch [20]
広域局中継局の試験放送開始日

FM補完中継局送信設備

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KBS京都は、京都府久世郡久御山町のAM波送信所が洪水で機能しなくなる可能性を踏まえ、ワイドFM放送の開始を決定。2017年12月12日に予備免許通知書が総務省近畿総合通信局から交付され、2018年2月頃に試験放送開始の後、同年4月2日に本放送を開始した[21][22][23]

周波数 放送局名 空中線電力 実効輻射電力 放送対象
地域
放送区域
内世帯数
備考
94.9MHz[24] KBS
京都放送
3kW[24] 5.5kW[25] 京都府滋賀県[22] - 2018年4月2日
本放送開始[21][22][23]

廃止された局の概要

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地上アナログテレビジョン放送送信設備

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チャンネル 放送局名 コールサイン 空中線電力 実効輻射電力 放送対象
地域
放送区域
内世帯数
開局日 放送終了日
32ch NHK
京都総合
JOOK-TV 映像10kW/
音声2.5kW
映像66kW/
音声16.5kW
京都府 不明 1972年
3月13日
2011年
7月24日
34ch KBS
京都放送
JOBR-TV 映像45kW/
音声11kW
1968年
12月24日

マルチメディア放送送信設備

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周波数 放送局名 空中線電力 実効輻射電力 主な放送区域 放送区域
内世帯数
214.714286MHz Jモバ
京都MMH
7.5kW 23kW 京都市・大津市奈良市大阪市 約-万世帯

脚注

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注釈

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  1. ^ 東山の北端を比叡山とする説と、その一つ南となる如意ヶ嶽とその支峰、大文字山等とする説がある。近年は比叡山も含むとする勢力が強いとする文献もあるが、もともと東山三十六峰自体の定義が曖昧であり(そもそも三十六と言う数字にも意味がない)結論を見ていない。詳しくは当該項目や如意ヶ嶽を参照。
  2. ^ イベント名は、「日本全国地デジカ大作戦 in 京都〜2010年夏、京の地デジは比叡から!〜」。
  3. ^ PRテーマは、広域局の京都中継局開局及びテレビの完全デジタル化1年前。この日にアナログ放送が終わった石川県珠洲市を始めとして、全国各地でも同様のイベントが展開された。

出典

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  1. ^ a b c d 日本史用語研究会『必携日本史用語』(四訂版)実教出版(原著2009-2-2)。ISBN 9784407316599 
  2. ^ 国土地理院 基準点成果等
  3. ^ a b c d e f g h i j 「比叡山」(ヤマケイオンライン)
  4. ^ 比叡山四明岳から長野の御嶽山、琵琶湖、大観覧車を遠望
  5. ^ a b 「〈期間限定〉比叡YAMAのビアガーデンオープン!」(京福電気鉄道公式サイト、2013年7月30日)
  6. ^ a b 山と高原地図、ヤマレコ 山行計画
  7. ^ 京都市産業観光局 京都一周トレイル
  8. ^ 京都・奈良の国宝建造物も大損害『大阪毎日新聞』昭和9年9月23日(『昭和ニュース事典第4巻 昭和8年-昭和9年』本編p234 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
  9. ^ 「暑さを乗り切れ! 夏だからこそ楽しめる鉄道旅2013」(伊原薫、Yahoo! ニュース、2013年7月29日)
  10. ^ 「比叡YAMAのビアガーデン開催のお知らせ」(嵐電ブログ、京福電気鉄道、2012年8月15日)
  11. ^ 京都・比叡山に広域放送地上デジタル放送中継局の設置を計画 〜京都市等における地上デジタルテレビ放送の難視聴を解消〜』(プレスリリース)総務省 近畿総合通信局、2009年12月25日。オリジナルの2011年7月1日時点におけるアーカイブhttps://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2401781/www.soumu.go.jp/soutsu/kinki/new/2009/091225_01.html2009年12月26日閲覧 
  12. ^ 京都・比叡山の地上デジタル放送中継局の開局について - 総務省 近畿総合通信局
  13. ^ 京都・比叡山の地上デジタルテレビ放送中継局が開局〜京都市等における地デジ難視聴を解消〜 総務省 近畿総合通信局(2010年7月9日
  14. ^ NHK京都放送局総合テレビ比叡山テレビ放送所・無線局免許状 - 総務省
  15. ^ NHK大阪放送局教育テレビ比叡山テレビ放送所・無線局免許状 - 総務省
  16. ^ 毎日放送京都テレビ中継局・無線局免許状 - 総務省
  17. ^ 京都放送比叡山テレビ送信所・無線局免許状 - 総務省
  18. ^ 朝日放送テレビ京都中継局・無線局免許状 - 総務省
  19. ^ 関西テレビ放送京都中継局・無線局免許状 - 総務省
  20. ^ 讀賣テレビ放送京都中継局・無線局免許状 - 総務省
  21. ^ a b ワイドFM94.9MHzKBS京都 2018年4月13日閲覧
  22. ^ a b c 京都放送がワイドFM試験放送へ 難聴対策や災害対応 京都新聞 2017年12月12日、2018年1月29日閲覧。
  23. ^ a b KBS京都、4月2日からワイドFM 94・9メガヘルツ 京都新聞 2018年3月16日、同21日閲覧。
  24. ^ a b ワイドFM 京都ではじまる-株式会社京都放送のFM補完中継局に予備免許-(総務省近畿総合通信局報道資料)2017年12月12日
  25. ^ 京都放送FM補完中継局・無線局免許状 - 総務省、2018年4月14日閲覧。

関連項目

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関西圏他府県のテレビ・FM送信所・基幹中継局

外部リンク

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