コロナ禍
本記事は「コロナ禍」の語義および「コロナ禍」という一単語に関する諸情報だけを、長文とならない簡潔に短くまとめた説明に留めることで合意されています。それとは異なる大規模な編集をする場合には、予めノートページの議論を提起するようお勧めします。 |
コロナ禍(コロナか)とは、2019年(令和元年)末からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行による災難や危機的状況を指す言葉である[1][2][3]。
「コロナ禍」のうち、「コロナ」は「新型コロナウイルス」[4](SARSコロナウイルス2)を意味し、「禍」は「災い」や「災難」「不幸なできごと」を意味することば[5]で、さまざまな名詞に後置されて「○○禍(か)」という複合語[6]を形成する(例:水害、洪水による水禍、戦争による戦禍など)。
新型コロナウイルス感染症の流行が拡大するとともに、2020年(令和2年)3月半ば頃から新聞やインターネット上において広く用いられるようになった[7][注釈 1][注釈 2]。なお、その一方で放送界・出版界自ら「コロナ禍」の語の無限定な用法に対し、抑制的な姿勢や自己点検の動きを示す例も見受けられた[8][9]。
「コロナ禍」という単語は誤った表記がなされることも多い。代表的な誤りは「禍」のしめすへんをさんずいの「渦」と間違え、「コロナ渦(コロナうず、コロナか)」と表記するものである[10][A][B]。
また、類義語として「コロナ下」(コロナか)との表記もあり、こちらは主に「新型コロナウイルス感染症が流行する状況下」という意味で用いられるが、文脈によって「コロナ禍」に同様の意味合いを持たせる場合もある[C][27][D][8]。
大辞泉が選ぶ新語大賞2020
小学館による「大辞泉が選ぶ新語大賞 2020」では、次点として「コロナ禍」が選出され、大辞泉編集部による語釈が発表サイト上に掲載された。
選出理由について、特別選考委員を務めた明治大学国際日本学部教授の田中牧郎は「今の世界の状況を言い表す言葉で、これを克復しよう、新しい生活様式を見出して、なんとか切り抜けていこうという願いを共有するのに、大事な言葉になっています。その思いへの応援も込めて次点としました」と説明している。また田中教授は日本語学の観点からは「○○禍」が造語成分として今後派生するかどうかも注目に値するとしている[30]。
脚注
注釈
- ^ 行政によるインターネット上の発信では、
- 厚生労働省 「新型コロナウイルス対策を踏まえた適切な医療機関の受診(上手な医療のかかり方)について」(2020.8.31閲覧)
- 厚生労働省『心の耳』「新型コロナウイルス感染症対策(こころのケア)、専門家からのアドバイス」高野知樹さん(神田東クリニック院長)「自粛生活のコロナ太り、食以外の楽しみも少しずつ再開へ」(2020.8.31閲覧)
- 東京都(生活文化局)「コロナ禍における活動のヒントとは 子ども向け プログラミング道場「CoderDojo」」(2020.8.31閲覧)
- 大阪府(商工労働部 商工労働総務課 経済リサーチグループ)「「新型コロナウイルス感染症に関する府内企業の実態調査」の結果について」(2020.8.31)(2020.8.31閲覧)
- 京都府(府立図書館)「こんな記事、読めます No.15「雑誌に見るコロナ禍の今」」(2020.8.19)(2020.8.31閲覧)
- 奈良県(防災統括室)「コロナ禍の今だからこそ、災害時の避難について考えましょう」(2020.8.31閲覧)
- 兵庫県(企画県民部県民生活局県民生活課)「コロナ禍での災害ボランティア支援 兵庫工業高校からのフェイスシールド寄贈」(2020.7.16)(2020.8.31閲覧)
- 三重県(知事・鈴木英敬ブログ『すごいやんか!三重』)「第19回三重県文化賞」(2020.8.24)(2020.8.31閲覧)
- 第31回紀伊半島知事会議会議資料「【三重県】コロナ禍からの復活を目指した紀伊半島における観光の三県連携」(2020.7.9)(2020.8.31閲覧)
- 仙台市(仙台市長郡和子)「新型コロナウイルス感染症に関する市長メッセージ お得な商品券で地元商店街を元気に」(2020.8.26)(2020.8.31閲覧)
- ^ 新聞報道では、全国紙5紙すべてに登場。
- 朝日新聞「天声人語」(2020.4.20)
- 毎日新聞「脱炭素社会」(2020.4.20)
- 産経新聞「日曜講座 少子高齢化時代」(2020.4.19)
- 読売新聞「間奏曲」(2020.4.17)
- 日経新聞「社説」(2020.8.10)(2020.8.31閲覧)
- 中日新聞 「コロナ禍に持ちこたえ93.6%事業継続意思 県内企」(2020.8.29)(2020.8.31閲覧)
- 東京新聞 「安倍長期政権、増えた非正規 コロナ禍直撃、失職相次ぐ」(2020.8.29)(2020.8.31閲覧)
- 北陸中日新聞【石川】北陸の音楽家 支えるぜ コロナ禍「仲間は食ってくだけで必死」」(2020.8.24)(2020.8.31閲覧)
- 北海道新聞「ニセコのキセキ 第3部 コロナ禍の中で」(2020.5.18-20)(2020.8.31閲覧)
- 西日本新聞連載「コロナ禍を生きる」」(2020.5/14-7/8)(2020.8.31閲覧)
- 河北新報「コロナ禍の修学旅行/震災を見詰め直す転換点に」(2020.8.28)(2020.8.31閲覧)
- 中国新聞デジタル「中国地方、異例の夏 長雨・猛暑で災害続発、野菜高騰/コロナ禍で水辺のにぎわい消失」(2020.8.30)(2020.8.31閲覧)
- 静岡新聞SBS「静岡県内酒蔵 再び苦境 コロナ禍で業務用低迷、打開策探る」(2020.8.21)(2020.8.31閲覧)
- 新潟日報「元留学生らオンライン交流 コロナ禍での生活を報告」(2020.8.29)(2020.8.31閲覧)
- 信濃毎日新聞信毎ウェブ「社説:コロナ禍の大学 対面の機会広げる工夫を」(2020.8.24)(2020.8.31閲覧)
- 京都新聞「「昼の時間も無駄にできぬ」コロナ禍の居酒屋がランチ営業に活路 オフィス街で競争過熱、撤退の店も」(2020.8.4)(2020.8.31閲覧)
- 神戸新聞NEXT「コロナ禍で廃業決めた洋菓子店 救った畑違いの企業」(2020.8.7)(2020.8.31閲覧)
- 山陽新聞digitalさんデジ「猛暑直撃、観光地閑散… コロナ禍、異例ずくめの夏総決算」(2020.8.30)(2020.8.31閲覧)
- 秋田魁新報電子版「コロナ禍の衝撃 県内ホテルの苦境」(2020.6.11-13)(2020.8.31閲覧)
- 東奥日報Web東奥「コロナ禍の避難 マスク、消毒液備蓄大丈夫?」(2020.8.31)(2020.8.31閲覧)
出典
- ^ 滝島 2020, ll.1 - 2.
- ^ 新型コロナウイルス禍の略称。
- ^ 新型コロナ後(コロナ禍後)の”アフター””ポスト””ウィズ”表記について
- ^ 滝島 2020, l.2.
- ^ 滝島 2020, l.1.
- ^ 滝島 2020, ll.24 - 25.
- ^ 滝島 2020, ll.2 - 4.
- ^ a b 中島沙織 (2021年5月). “第1449回(東京・リモート開催)“コロナ禍”“重用”について〔意見交換〕” (PDF). 放送研究と調査. 放送用語委員会 (NHK放送文化研究所) 71 (5): 58 - 62. NAID 40022575159 2022年4月12日閲覧。.
- ^ a b 用語幹事補佐・田島恵介 (2021年2月28日). “コロナ禍、それともコロナ下? 悩ましい報道の言葉”. 朝日新聞デジタル. オリジナルの2021年8月5日時点におけるアーカイブ。 2022年4月12日閲覧。
- ^ 岩下勉 (2020年6月27日). “「コロナ渦(うず)」ではありません 「禍」の間違い多発”. 熊本日日新聞 2021年8月4日閲覧。
- ^ 濵田理央(Rio Hamada) (2020年4月16日). “「コロナ禍」の読み方と意味は?”. ハフポスト (BuzzFeed Japan株式会社) 2023年2月5日閲覧。
- ^ メディア研究部・放送用語 滝島雅子 (2020年7月1日). “「新型コロナウイルス」関連のことば 〜「コロナ禍」の使い方〜” (HTML). NHK放送文化研究所. 日本放送協会. 2023年2月5日閲覧。
- ^ 毎日新聞 校閲センター (2020年5月23日). “大量発生!「コロナ渦」”. 毎日ことば (株式会社毎日新聞社) 2023年2月5日閲覧。
- ^ 毎日新聞 校閲センター (2020年8月21日). “無理がある「コロナ渦」 やはり「コロナ禍」に”. 毎日ことば (株式会社毎日新聞社) 2023年2月5日閲覧。
- ^ a b 毎日新聞 校閲センター (2020年12月16日). “「×コロナ渦 〇コロナ禍」。「コロナ下」はアリ”. 毎日ことば (株式会社毎日新聞社) 2023年2月5日閲覧。
- ^ 寺林 裕介、荒木千帆美(外交防衛委員会調査室) (31 July 2020). "新型コロナウイルス感染拡大の中の日本外交 ― 第201回国会(常会)における外交論議の焦点 ―". 立法と調査 (PDF) (Report). 参議院常任委員会調査室・特別調査室. p. 41(9). 2023年2月5日閲覧。
コロナ渦における日本の近隣外交
- ^ 研究振興局振興企画課学術企画室 (2020年7月2日). “学術分科会(第78回) 議事録” (HTML). 文部科学省. 文部科学省. 2023年2月5日閲覧。 “だんだん立ち上がりましたけども、コロナ渦に、やはり全般的に、つまり、教室に来られない場合には、教室に代わるような状況を作ってあげないといけないと思います。”
- ^ “第154回労働政策審議会職業安定分科会 議事録” (HTML). 厚生労働省. 厚生労働省 (2020年9月25日). 2023年2月5日閲覧。 “また、介護、看護とか、建設、警備といった人手不足が深刻な業種については、このコロナ渦においても、そういった深刻な状況が続いております。”
- ^ 職業安定局雇用政策課 (2020年10月23日). “2020-10-23 第1回雇用政策研究会(議事録)” (HTML). 厚生労働省. 厚生労働省. 2023年2月5日閲覧。 “コロナ渦で非労化し、失業した非正社員、特に女性が多いということですが、そういう方々への能力開発というのと、先ほど神吉先生や宮本先生もおっしゃっていましたが、より中長期的な、正規雇用者も含めた雇用者全般におけるICT分野のスキルの付与や労働移動という文脈での能力開発をどう考えるかということです”
- ^ “コロナ下 県内大学入学式 出席者制限、ライブ配信も”. 宮崎日日新聞 / 宮崎日日新聞 Miyanichi e-press (株式会社宮崎日日新聞社). (2021年4月6日) 2023年2月1日閲覧。
- ^ 濵田理央(Rio Hamada) (2021年9月28日). “「コロナ下」と「コロナ禍」の違いや使い分けは?”. ハフポスト (BuzzFeed Japan株式会社) 2023年2月1日閲覧。
- ^ “コロナ下の衆院選、陣営の手法も投票所も様変わり”. 産經新聞 / 産経ニュース (株式会社産業経済新聞社 / 株式会社産経デジタル). (2021年10月30日) 2023年2月1日閲覧。
- ^ 小川崇 (2021年11月4日). “コロナ下で最も利用者が減った山手線の駅は…JR東がSuica分析”. 朝日新聞 / 朝日新聞デジタル (株式会社朝日新聞社) 2023年2月1日閲覧。
- ^ 編集委員・増谷文生 (2021年11月12日). “コロナ下、大学生を苦しめた「課題地獄」どうなった?”. 朝日新聞 / 朝日新聞デジタル (株式会社朝日新聞社) 2023年2月1日閲覧。
- ^ “コロナ下の在日米軍、日本人従業員に消毒業務 拒否難しく労災も”. 毎日新聞 / 毎日新聞ニュース (株式会社毎日新聞社). (2021年11月21日) 2023年2月1日閲覧。
- ^ “国をむしばむ機能不全 コロナ下、自宅で尽きた命”. 日本經濟新聞 / 日本経済新聞 電子版 (株式会社日本経済新聞社). (2021年11月22日) 2023年2月1日閲覧。
- ^ コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会 (28 April 2021). コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会報告書 〜誰一人取り残さないポストコロナの社会へ〜 (PDF) (Report). 内閣府男女共同参画局. 2023年2月1日閲覧。
- ^ コエチカ取材班 (2021年5月12日). “コエチカQ&A 「コロナ禍」と「コロナ下」どう違う?”. 声のチカラ - 信濃毎日新聞[信毎web]. 信濃毎日新聞株式会社. 2023年2月5日閲覧。
- ^ 道浦俊彦 (2021年5月25日). “8062「コロナ禍か?コロナ下か?」無理がある「コロナ渦」 やはり「コロナ禍」に”. 道浦俊彦TIME|読売テレビ. 讀賣テレビ放送株式会社. 2023年2月5日閲覧。
- ^ 『国語辞典『大辞泉』が選ぶ今年の新語大賞は【三密】に決定! 次点は【コロナ禍】 最多投稿数は【経年美化】』(プレスリリース)小学館、2020年12月1日 。2020年12月1日閲覧。
参考文献
- 滝島雅子 (2020年7月1日). “「新型コロナウイルス」関連のことば 〜「コロナ禍」の使い方〜”. NHK放送文化研究所. 2020年9月1日閲覧。