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SARSコロナウイルス2-ラムダ株

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

SARSコロナウイルス2-ラムダ株(サーズコロナウイルスツー ラムダかぶ、英語: SARS-CoV-2 Lambda variant、別名: 系統 C.37)は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の原因ウイルスとして知られるSARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) の変異株である[1]2020年12月にペルーで最初に同定された[1]

世界保健機関 (WHO) は注目すべき変異株 (VOI) に指定し、WHOラベルではラムダ株 (Lambda variant) に分類していたが、2022年4月時点でVOIから除外されている[1]

ラムダ株は南米を中心に最低でも世界30か国に広がり[2]アルファ株ガンマ株より感染力が強い可能性[3]や、他の株に比べCOVID-19ワクチンへの耐性が強い可能性がある[3][4]。一方で、mRNAワクチンモノクローナル抗体療法による中和が引き続き有効とする研究結果(プレプリント)も発表されている[5][6]

経緯

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ペルーで2020年12月に初めて確認され、2021年4月にはペルーのCOVID-19感染者の8割超が本株への感染者となった[1][7]。同年6月までに本株は南米中に拡大、計29ヶ国(特にアルゼンチンチリエクアドル)で確認された[7][8]

2021年6月14日、WHOは本株をラムダ株 (Lambda variant) と命名し[1]注目すべき変異株に加えた[1]。6月半ばにはアレキパで90.6%、クスコで78.1%の新規感染が本株によるものになったとペルー保健省英語版は発表している[9]。7月6日、オーストラリアで初めて、4月にニューサウスウェールズ州の隔離ホテルに滞在していた国外からの旅行者からラムダ株が検出されたことが報告された[10]

7月19日、テキサス州はラムダ株の最初の感染者の発見を報告した[11]。7月22日、フロリダ州で累計126人の感染者が確認された[12]。7月28日、マイアミ大学の研究者たちは、ランダムサンプリングの結果、Jackson Memorial Health Systemとマイアミ大学のUHealth TowerにいるCOVID-19患者の3%がラムダ株に感染していたことを報告した[13]。8月5日、ルイジアナ州は、ラムダ株の最初の感染者を報告した[14]

8月7日、日本はラムダ株の最初の感染者を確認した。感染者は7月20日にペルーから日本に到着した人物だった[15]

8月15日、フィリピンはラムダ株の最初の感染者を確認した[16]

分類

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命名

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2020年12月、この系統がペルーで初めて記録され、後に系統 C.37 (lineage C.37) と命名された[1]。2021年5月末、WHOは懸念される変異株 (VOC) や注目すべき変異株にギリシャ文字を使用する新しい方針を導入した後、6月に入って注目すべき変異株に指定された系統 C.37に対しラムダ (λ:Lambda) のラベルを割り当てた[1]

変異

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ウイルスのスパイクタンパク質 G75V、T76I、Δ246-252、L452Q、F490S、D614G、T859Nにアミノ酸変異がある[17]

統計

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国別の件数(2021年8月6日時点/GISAID[19]
確認された件数 最終報告日
チリの旗 チリ 1,222 2021年7月13日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ 1,055 2021年7月21日
ペルーの旗 ペルー 898 2021年6月15日
エクアドルの旗 エクアドル 165 2021年7月20日
メキシコの旗 メキシコ 160 2021年7月14日
スペインの旗 スペイン 113 2021年7月7日
アルゼンチンの旗 アルゼンチン 106 2021年6月24日
ドイツの旗 ドイツ 105 2021年7月13日
フランスの旗 フランス 51 2021年7月19日
コロンビアの旗 コロンビア 31 2021年6月29日
イスラエルの旗 イスラエル 25 2021年5月9日
スイスの旗 スイス 22 2021年7月25日
カナダの旗 カナダ 21 2021年6月21日
オランダの旗 オランダ 12 2021年7月11日
セントクリストファー・ネイビスの旗 セントクリストファー・ネイビス 10 2021年6月6日
ベルギーの旗 ベルギー 10 2021年7月23日
イギリスの旗 イギリス 9 2021年7月10日
イタリアの旗 イタリア 8 2021年6月26日
ブラジルの旗 ブラジル 8 2021年6月21日
インドの旗 インド 6 2021年4月12日
デンマークの旗 デンマーク 6 2021年7月11日
スウェーデンの旗 スウェーデン 4 2021年7月15日
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ 4 2021年7月14日
ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国 4 2021年6月21日
アイルランドの旗 アイルランド 3 2021年7月8日
ポルトガルの旗 ポルトガル 3 2021年6月10日
カタールの旗 カタール 3 2021年4月13日
ラトビアの旗 ラトビア 2 2021年4月30日
アルバの旗 アルバ 2 2021年6月2日
ボリビアの旗 ボリビア 1 2021年6月2日
ウルグアイの旗 ウルグアイ 1 2021年4月15日
オーストラリアの旗 オーストラリア 1 2021年4月3日
リトアニアの旗 リトアニア 1 2021年5月19日
ノルウェーの旗 ノルウェー 1 2021年7月7日
エストニアの旗 エストニア 1 2021年4月1日
ロシアの旗 ロシア 1 2021年3年21日
フィンランドの旗 フィンランド 1 2021年5月31日
トルコの旗 トルコ 1 2021年2月8日
バングラデシュの旗 バングラデシュ 1 2021年3月20日
日本の旗 日本 1 2021年7月20日
ポーランドの旗 ポーランド 1 2021年6月27日
世界(41カ国) 合計: 4,080 2021年8月6日時点の合計

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h Tracking SARS-CoV-2 variants” (英語). World Health Organization. 2022年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ2022年4月3日閲覧。
  2. ^ “Covid 19 coronavirus: Ultra-contagious Lambda variant detected in Australia”. nzherald.co.nz. (2021年7月6日). https://www.nzherald.co.nz/world/covid-19-coronavirus-ultra-contagious-lambda-variant-detected-in-australia/LAUYIDU2L7SSWMX6IQDTOYCX6A/ 2021年7月31日閲覧。 
  3. ^ a b “COVID-19: Lambda variant may be more resistant to vaccines than other strains”. WION. https://www.wionews.com/world/covid-19-lambda-variant-may-be-more-resistant-to-vaccines-than-other-strains-396116 
  4. ^ “Lambda variant: What is the new strain of Covid detected in the UK?”. INDEPENDENT. https://www.independent.co.uk/news/health/covid-uk-lambda-variant-peru-b1878416.html 
  5. ^ SARS-CoV-2 Lambda Variant Remains Susceptible to Neutralization by mRNA Vaccine-elicited Antibodies and Convalescent Serum - bioRvix (2021年7月3日投稿)
  6. ^ 変異ウイルス「ラムダ型」の感染力は「デルタ型」と同程度 - ウェイバックマシン(2021年7月4日アーカイブ分)
  7. ^ a b WHO reports on Lambda: the new variant of COVID-19 that is affecting South America” (英語). Entrepreneur (2021年6月17日). 2021年6月17日閲覧。
  8. ^ Mendez, Rich (2021年6月16日). “WHO says delta Covid variant has now spread to 80 countries and it keeps mutating” (英語). CNBC. 2021年6月17日閲覧。
  9. ^ Acosta, Sebastián (2021年6月16日). “Coronavirus en Perú | Minsa: El 90,6 % de los contagios en Arequipa se deben a la variante Lambda” (スペイン語). RPP. https://rpp.pe/peru/actualidad/coronavirus-en-peru-minsa-el-906-de-los-contagios-en-arequipa-se-deben-a-la-variante-lambda-noticia-1342617 17 June 2021閲覧。 
  10. ^ Covid-19 Australia: Strain more transmissible than Delta hits Australia News.com.au 2021年7月6日配信 2021年7月31日閲覧。
  11. ^ EDT, Khaleda Rahman On 7/20/21 at 7:09 AM (2021年7月20日). “Lambda COVID variant detected in Texas hospital” (英語). Newsweek. 2021年7月22日閲覧。
  12. ^ US, South American researchers monitoring Lambda COVID-19 variant as cases surge” (英語). 2021年7月29日閲覧。
  13. ^ New evidence shows the COVID-19 Delta variant rapidly rising” (英語). news.miami.edu. 2021年7月29日閲覧。
  14. ^ WBRZ. “First cases of COVID Lambda variant reported in North Louisiana” (英語). WBRZ. 2021年8月6日閲覧。
  15. ^ Japan confirms first case of lambda variant infection” (英語). The Japan Times (2021年8月7日). 2021年8月7日閲覧。
  16. ^ Garcia, Ma. Angelica (August 15, 2021). “First lambda variant case detected in the Philippines”. GMA News. https://www.gmanetwork.com/news/news/nation/799419/first-lambda-variant-case-detected-in-the-philippines/story/?just_in August 15, 2021閲覧。 
  17. ^ Robertson, Sally (27 June 2021). “Lambda lineage of SARS-CoV-2 has potential to become variant of concern”. https://www.news-medical.net/news/20210627/Lambda-lineage-of-SARS-CoV-2-has-potential-to-become-variant-of-concern.aspx 2021年7月5日閲覧. "The Lambda variant also contained a novel deletion (Δ246-252) and multiple nonsynonymous mutations (G75V, T76I, L452Q, F490S, D614G, and T859N) in the gene that encodes the viral spike protein." 
  18. ^ Spike Variants: Lambda variant, aka B.1.1.1”. covdb.stanford.edu. Stanford University Coronavirus Antiviral & Resistance Database (1 July 2021). 2021年7月5日閲覧。
  19. ^ GISAID - hCov19 Variants”. gisaid.org. GISAID. 2021年7月2日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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