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シラヌヒ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シラヌヒ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: ムクロジ目 Sapindales
: ミカン科 Rutaceae
亜科 : ミカン亜科 Aurantioideae
: ミカン属 Citrus
学名
(Citrus unshiu × C. sinensis)
× C. reticulata
和名
シラヌヒ(品種名)
デコポン(登録商標)
英名
Siranuhi

シラヌヒ(不知火)は、ミカン科ミカン属柑橘類のひとつ、「清見(きよみ)」と「ポンカン」の交配により作られた品種である[1]。果実は皮が厚いが果肉はやわらかく、甘味が強い[2]。 日本における2010年の収穫量は42,440 トンであり、熊本県愛媛県和歌山県広島県佐賀県の5県で全国の生産量の8割を占める[3][4]。尚、デコポンはシラヌヒとその近縁種における熊本県果実農業協同組合連合会(JA熊本果実連)の登録商標であり、同会を含む日本園芸農業協同組合連合会(日園連)傘下の農業団体が出荷する糖度13度以上、酸度1度以下という厳格な規格に適合したものにのみ冠することができる名称である[5]

果樹の栽培歴史

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1972年、長崎県南島原市にある農研機構(旧農林水産省果樹試験場)で、「清見(きよみ)」タンゴールと中野3号「ポンカン」を交配して誕生した。 果形は果梗部にデコが現われやすく不揃いになりやすく、果皮は見た目が粗く成熟するとややくすんでしなびるなど、外見上の弱点が目立ち育成試験場では選抜対象とはならず品種登録はされなかった。

その後、試験栽培中の苗木が口之津から運ばれ、熊本県宇土郡不知火町(現・宇城市)に渡り、品種名を「不知火」として栽培の取り組みが始まった。古くから甘夏の産地として知られていた不知火町および周辺地域では1975年頃から甘夏に代わる柑橘を模索していたという事情も重なって、不知火海(八代海)沿岸の宇土半島天草諸島葦北地方などを中心に広がり、その後、鹿児島県、愛媛県(八幡浜市伊方町松山市など[6])や広島県、佐賀県、和歌山県、静岡県等の全国へと普及していった。

なお、同じものが韓国済州島へ渡って特産品となり、漢拏峰(ハルラボン)という名前で生産されている。またアメリカカリフォルニア州では、Sumo Citrus(スモウシトラス)やSumo Mandarin(スモウマンダリン)の名前で栽培されている。

日本の主な産地

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シラヌヒはそれまで首位だったイヨカンを抜いて晩柑類で収穫量トップとなっている。熊本県が主産地として知られ、愛媛県、和歌山県、広島県、佐賀県がそれに次ぐ。鹿児島県大分県も1000トンを超えている。なお、カワノナツダイダイハッサク、イヨカンなど中晩柑の転換作物として広まっているが寒さに弱いため、産地は温暖な場所に限られている(産地は特産果樹生産動態調査による)

シラヌヒの果樹

果実

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初冬から翌春にかけてを迎える。

熊本県では主に宇城、芦北、天草地域の沿岸部で、温暖な気候を利用して栽培されている。加温ハウス栽培されたものが、12月 - 翌1月、雨除け栽培ものが2月 - 3月、露地栽培されたものが3月中旬 - 4月一杯まで出荷される。その後も、低温貯蔵されたものが6月上旬まで出荷される。

実の外見上の凸が特徴であるが、凸のあるなしは味や品質に関係ない[7]。果皮は厚いが剥き易く、じょうのう膜も薄く袋のまま食べられ、種もほとんど無い[注 1]。日持ちも良く、糖度が高く、食味にも優れる事から市場や消費者の支持を得て、価格が低迷していた甘夏ハッサク等に代わる有望な中晩生柑橘として、平成以降急速に栽培面積が増加した。収穫したての露地物で酸味の強いものは、貯蔵させて酸味を取ることがある。

ケーキ菓子や、加工してジュースジャム果実酒としても利用される。

整枝・剪定

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「シラヌヒ」や「はるみ」で行われる剪定方法として、小田原市の浦井貫之が考案した「早川式坊主枝剪定」が知られている。整枝は開心自然形を基本とするが、主枝を途中で切り返し20 - 30cmを坊主枝にすることにより、結果枝を除去し、発育枝を発生させ樹勢の低下を防ぐのと同時に亜主枝上の二年枝を予備枝に設定し樹勢維持を図る。神奈川県で普及をしている[8]

育種親としての利用

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「シラヌヒ」の珠心胚実生の中から選抜育成された品種に、「安芸の輝き」・「肥の豊」・「佐賀果試34号」・「真鍋不知火(マナベデコ)」がある。また、「シラヌヒ」の枝変わりとして「大将季」が、変異株として「陽のかおり」「愛の香」がある[9]

脚注

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注釈

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  1. ^ 花粉の多い甘夏ハッサクヒュウガナツなどと混植すると種が多数入る場合がある。

出典

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  1. ^ 国立研究開発法人農研機構 (n.d.). “育成品種紹介”. 2012年10月25日閲覧。
  2. ^ 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、191頁。ISBN 978-4-415-30997-2 
  3. ^ 果物ナビ (n.d.). “不知火 収穫量”. 2012年10月27日閲覧。
  4. ^ 農林水産省特産果樹生産動態等調査2013年7月22日閲覧
  5. ^ デコポン-日園連
  6. ^ 愛媛県農林水産部 (n.d.). “愛媛かんきつ 情報缶”. 2012年10月28日閲覧。
  7. ^ 全農月刊誌 Apron 2009年1月号 pp. 2 - 5
  8. ^ 日本農業新聞16面 2010年2月5日
  9. ^ 農林水産省品種登録ホームページ2013年7月22日閲覧

参考文献

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