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利用者:Fuusenn/俳人の一覧 (表形式)

俳人一覧(表形式)は俳人と代表句などの一覧である。

名前 よみ 生年 没年 選句 出典
相生垣瓜人 あいおいがき かじん 1898 1985 秋風を聴けり古曲に似たりけり 2
青木月斗 あおき げつと 1879 1949 人間に寝る楽しみの夜長かな o
青柳志解樹 あおやぎ しげき 1929 八十八夜の山より椿かつぎ出す o
赤尾兜子 あかお とうし 1925 1981 生きものに眠るあはれや龍の玉 4
秋元不死男 あきもと ふじお 1901 1977 冷やされて牛の貫禄しづかなり
子を殴ちしながき一瞬天の蝉
1
3
芥川龍之介 あくたがわ りゅうのすけ 1892 1927 木がらしや目刺にのこる海のいろ 1,3
安住敦 あずみ あつし 1907 1988 てんと虫一兵われの死なざりし 3
阿部青鞋 あべ せいあい 1914 1989 虹自身時間ありと思いけり 1
阿部完市 あべ かんいち 1928 2009 冬鳥よ飛んで帰郷かもしれず 3
阿部みどり女 あべ みどりじょ 1886 1980 冬の日に釦をかがる卒寿かな 4
飴山實 あめやま みのる 1926 2000 湯豆腐のかけらの影のあたたかし
花筏やぶって鳰の顔のぞく
1
3
荒木田守武 あらきだ もりたけ 1473 1549 飛梅やかろがろしくも神の春 o
有井緒九 ありい しょきゅう 1714 1781 行春や海を見て居る鴉の子 1
有馬籌子 ありま かずこ 1910 2005 象よりも大きく涅槃し給へり 4
有馬朗人 ありま あきと 1930 鳥帰る空へ積み上げ無縁仏 3
阿波野青畝 あわの せいほ 1899 1992 なつかしの濁世の雨や涅槃像
山又山山桜又山桜
1
2,3
飯島晴子 いいじま はるこ 1921 2000 初夢の中をどんなに走つたやら 3
飯田蛇笏 いいだ だこつ 1885 1962 寒雁のつぶらかな声地におちず
炎天を槍のごとくに涼気すぐ
をりとりてはらりとおもきすすきかな
1
2
3,4
飯田龍太 いいだ りゅうた 1920 2007 春の鳶寄りわかれては高みつつ
白梅のあと紅梅の深空あり
一月の川一月の谷の中
1
2
3
池西言水 いけにし ごんすい 1650 1722 菜の花や淀も桂も忘れ水 1,2
池田利牛 いけだ りぎゅう 1693 1708 子は裸父はててれで早苗舟 2
井沢正江 いざわ まさえ 1921 朱よりもはげしき黄あり冬紅葉 4
石川桂郎 いしかわ けいろう 1909 1975 昼蛙どの畦のどこ曲がろうか 4
石田波郷 いしだ はきょう 1913 1969 吹きおこる秋風鶴をあゆましむ
雁や残るものみな美しき
雪はしづかにゆたかにはやし屍室
1
2
3
石橋辰之助 いしばし たつのすけ 1909 1948 墓標たち戦場つかのまに移る o
石原八束 いしはら やつか 1919 1998 鍵穴に雪のささやく子の目覚め
死は春の空の渚に遊ぶべし
1
3
伊丹三樹彦 いたみ みきひこ 1920 水天の何れさみしき浮寝鳥 3
伊藤松宇 いとう しょうう 1859 1943 露寒し明星残る草の上 o
伊藤信徳 いとう しんとく 1633 1698 雨の日や門さげて行く杜若 o
伊藤通明 いとう みちあき 1935 夕月や脈うつ桃を手のひらに 3
稲畑汀子 いなはた ていこ 1931 長き夜の苦しみを解き給ひしや
地吹雪と別に星空ありにけり
2
3
井上井月 いのうえ せいげつ 1822 1887 落栗の座を定むるや窪溜り o
井上士朗 いのうえ しろう 1742 1812 こがらしや日に日に鴛鴦のうつくしき
たうたうと滝の落こむ茂り哉
1,2
2
井原西鶴 いはら さいかく 1642 1693 長持へ春ぞくれ行く更衣 1
岩間乙二 いわま おつじ 1756 1823 あじさゐやしまひのつかぬ昼の酒 o
上島鬼貫 うえじま おにつら 1661 1738 行水のすてどころなきむしのこゑ
なんと今日の暑さはと石の塵を吹く
春眠の身の閂を皆はづし

1
3
上田五千石 うえだ ごせんごく 1933 1997 万緑や死は一弾を以て足る 3
上野泰 (俳人) うえの やすし 1918 1973 干足袋の天駆けらんとしてゐたり 1
上村占魚 うえむら せんぎょ 1920 1996 大初日海はなれんとしてゆらぐ 4
宇佐美魚目 うさみ ぎょもく 1926 良寛の天といふ字や蕨出づ 2
臼田亞浪 うすだ あろう 1879 1951 雪このかた馬をはなたぬ枯野かな o
右城墓石 うしろ ぼせき 1899 1995 一つづつ灯を受け止めてさくらんぼ 4
宇多喜代子 うだ きよこ 1935 半身は夢半身は雪の中 3
榎本星布 えのもと せいふ 1732 1814 ゆく春や蓬が中の人の骨 1
及川貞 おいかわ てい 1899 1993 空澄めば飛んで来て咲くよ曼珠沙華 4
大串章 おおぐし あきら 1937 柿の木の下に柿の葉父の家 o
大島蓼太 おおしま りょうた 1718 1787 むつとしてもどれば庭に柳かな 2
大谷句仏
大谷光演
あおたに くぶつ 1875 1943 春風や仏を刻むかんな屑 o
大伴大江丸 おおとも おおえまる 1722 1805 秋来ぬと目にさや豆のふとりかな 1、2
大野林火 おおの りんか 1904 1982 雪の水車ごつとんことりもう止むか 1,3
大峯あきら おおみね あきら 1929 人は死に竹は皮脱ぐまひるかな 3
岡井省二 おかい しょうじ 1925 2001 大鯉のぎいと廻りぬ秋の昼 4
岡本眸 おかもと ひとみ 1928 生きものに眠るあはれや龍の玉 2
小川秋色
大目秋色
おがわ しゅうしき 1662 1704 井戸ばたの桜あぶなし酒の酔 o
荻原井泉水 おぎわら せいせんすい 1884 1976 空をあゆむ朗朗と月ひとり
月光しみじみとこうろぎ雌を抱くなり
1
3
尾崎紅葉 おざき こうよう 1867 1903 雨を帯びて麗はしの粽到来す 1
尾崎放哉 おざき ほうさい 1885 1926 枯枝ほきほき折るによし
咳をしても一人
1
3
越智越人 おち えつじん 1656 1739 さらしなや三よさの月見雲もなし o
加賀千代女 かが ちよじょ 1703 1775 こぼれては風拾ひ行ちどりかな
朝顔に釣瓶とられてもらひ水
1
o
各務支考 かがみ しこう 1665 1731 歌書よりも軍書にかなし芳野山 o
鹿島平堂 かしま へいどう 1864 1944 元日や樽を出て来る酒の音 o
桂信子 かつら のぶこ 1914 2004 ゆるやかに着てひとと逢う蛍の夜
たてよこに富士伸びてゐる夏野かな
1,3,4
2
加藤暁台 かとう ぎょうだい 1732 1792 元旦やくらきより人あらはるる
九月尽遥かに能登の岬かな
1
2
加藤楸邨 かとう しゅうそん 1905 1993 おぼろ夜のかたまりとしてものおもふ
落葉松はいつめざめても雪降りおり
隠岐やいま木の芽をかこむ怒涛かな
1,2
2,4
3
加藤知世子 かとう ちよこ 1909 1986 寄るや冷えすさるやほのと夢たがへ 2
角川源義 かとかわ げんよし 1917 1975 花あれば西行の日とおもふべし 2
金子兜太 かねこ とうた 1919 谷に鯉もみ合う夜の歓喜かな
湾曲し火傷し爆心地のマラソン
人体冷えて東北白い花盛り
1
2
3
加舎白雄 かや しらお 1738 1791 さうぶ湯やさうぶ寄りくる乳のあたり
長々と肱にかけたり菖蒲売
1
2
河合曾良 かわい そら 1649 1710 ゆきゆきてたふれ伏とも萩の原 2
川崎展宏 かわさき てんこう 1927 2009 押し合うて海を桜のこゑわたる
鶏頭に鶏頭ごつと触れゐたる
炎天へ打って出るべく茶漬飯
1
2
3
川端茅舍 かわばた ぼうしゃ 1897 1941 朴散華即ちしれぬ行方かな
ひらひらと月光降りぬ貝割菜
1,2
3
河原枇杷男 かわはら びわお 1930 或る闇は蟲の形をして哭けり 1
河東碧梧桐 かわひがし へきごどう 1873 1937 空をはさむ蟹死にをるや雲の峰
赤い椿白い椿と落ちにけり
1
3,4
貴志沾洲 きし せんしゅう 1671 1741 梅咲いて朝寐の家となりにけり o
岸風三楼 きし ふうざぶろう 1910 1982 春蝉や午後はなかりし潦(にわたずみ) 4
北村季吟 きたむら きぎん 1625 1705 一僕とぼくぼくありく花見哉
木下夕爾 きのした ゆうじ 1914 1965 梟や机の下も風棲める
家々や菜の花いろの燈をともし
1
3,4
清崎敏郎 きよさき としお 1922 1999 コスモスの押し寄せてゐる厨口 4
京極杞陽 きょうごく きよう 1908 1981 雪国に六の花ふりはじめたり 3
草間時彦 くさま ときひこ 1920 2003 大粒の雨が来さうよ鱧の皮 3
久保田万太郎 くぼた まんたろう 1889 1963 湯豆腐やいのちのはてのうすあかり 1,2,3
倉田紘文 くらた こうぶん 1940 秋の灯にひらがなばかり母の文 3
栗林一石路 くりばやし いっせきろ 1894 1961 屋根屋根の夕焼くるあすも仕事がない o
黒柳召波 くろやなぎ しょうは 1727 1771 憂きことを海月に語る海鼠哉 2
慶紀逸 けい きいつ 1695 1762
香西照雄 こうざい てるお 1917 1987 あせるまじ冬木を切れば芯の紅 4
幸田露伴 こうだ ろはん 1867 1947 菊つくり得たれば人の初老かな 2
古賀まり子 こが まりこ 1924 花種蒔く土の眠りを覚ましつつ 4
後藤比奈夫 ごとう ひなお 1917 月よりも雲にいざよふこころあり 3
後藤夜半 ごとう やはん 1895 1976 滝の上に水現れて落ちにけり 3
小西来山 こにし らいざん 1654 1716 水ふんで草で足ふく夏野哉
両方に髭がある也猫の妻
1
2
小林一茶 こばやし いっさ 1763 1827 雪とけてくりくりしたる月夜かな
おんひらひら蝶も金ぴら参り哉
雪とけて村一ぱいの子どもかな
1
2
3
西東三鬼 さいとう さんき 1900 1962 おそるべき君等の乳房夏来る
秋の暮大魚の骨を海が引く
1,3
2
佐久間柳居 さくま りゅうきょ 1695 1748 我庵は下手の建てたる野分かな
桜井梅室 さくらい ばいしつ 1769 1852 山吹は なしたんぽゝの 小金原 o
佐藤鬼房 さとう おにふさ 1919 2002 新月や蛸壺に目が生える頃
馬の目に雪ふり湾をひたぬらす
1
3
沢露川 さわ ろせん 1661 1743 出女の出がなり時や木瓜の花 o
澤木欣一 さわき きんいち 1919 2001 水塩の点滴天地力合わせ
八雲わけ大白鳥の行方かな
1
3
志太野坡 しだ やば 1662 1740 夕すゞみあぶなき石にのぼりけり 1
篠原鳳作 しのはら ほうさく 1905 1936 しんしんと肺碧きまで海の旅 1,3
篠原梵 しのはら ぼん 1910 1975 葉桜の中の無数の空さわぐ 3,4
斯波園女 しば そのじょ 1664 1726 おほた子に髪なぶらるる暑さ哉 o
芝不器男 しば ふきお 1903 1930 永き日のにはとり柵を越えにけり
白藤や揺りやみしかばうすみどり
1,3,4
2
柴田白葉女 しばた はくようじょ 1906 1984 水鳥のしづかに己が身を流す 3
嶋田青峰 しまだ せいほう 1882 1944 行春や鐘建立の事すみて
下村槐太 しもむら かいた 1910 1966 死にたれば人来て大根煮きはじむ o
杉田久女 すぎた ひさじょ 1890 1946 花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ
谺して山ほととぎすほしいまゝ
1
3
杉山杉風 すぎやま さんぷう 1647 1732 一塩にはつ白魚や雪の前 o
鈴木花蓑 すずき はなみの 1881 1942 大いなる春日の翼垂れてあり 2,4
鈴木真砂女 すずき まさじょ 1906 2003 春寒くこのわた塩に馴染みけり
羅(うすもの)や人悲します恋をして
1
3
鈴木六林男 すずき むりお 1919 2004 遺品あり岩波文庫『阿部一族』 1
仙厓 せんがい 1750 1837 古池や芭蕉飛び込む水の音
相馬遷子 そうま せんし 1908 1976 冬麗の微塵となりて去らんとす 1
高井几董 たかい きとう 1741 1789 やはらかに人分けゆく勝角力 1,2
高桑闌更 たかくわ らんこう 1726 1798 枯れ蘆の日に日に折れて流れけり 1
高野素十 たかの すじゅう 1893 1976 空をゆく一とかたまりの花吹雪
端居してたゞ居る父の恐ろしき
1,3
2
鷹羽狩行 たかば しゅぎょう 1930 一滴一滴そして一滴新茶かな
葛の花むかしの恋は山河越え
天瓜粉(てんかふん)しんじつ吾子は無一物
1
2
3
高浜虚子 たかはま きょし 1874 1959 去年今年貫く棒の如きもの
春の山屍うめて空しかり
山国の蝶を荒しと思わずや
1,2,4
2
3
田上菊舎 たがみ きくしゃ 1753 1826 月を笠に着て遊ばや旅のそら
山門を出れば日本ぞ茶摘うた
1
2
高屋窓秋 たかや そうしゅう 1910 1999 ちるさくら海あをければ海へちる
頭の中で白い夏野となつてゐる
3
4
高柳重信 たかやなぎ しげのぶ 1923 1983 軍鼓鳴り/荒涼と/秋の/痣となる/
「月光」旅館/開けても開けてもドアがある
1
3
宝井其角
榎本其角
たからい きかく 1661 1707 越後屋に衣さく音や更衣
声かれて猿の歯白し峰の月
1
2
田川鳳朗 たがわ ほうろう 1762 1845 きれ凧や柿の木過ぎて嵐山 o
立花北枝 たちばな ほくし 1718 鶯にほろりと笹の氷かな 2
竹下しづの女 たけした しづのじょ 1887 1951 短夜や乳ぜりなく児を須可捨焉乎(すてっちまおか) 3,4
建部巣兆 たけべ そうちょう 1761 1814 江に添うて家々に結ぶ粽かな
建部涼袋 たけべ りょうたい 1719 1774 傘(からかさ)のにほうてもどるあつさかな 2
種田山頭火 たねだ さんとうか 1882 1940 うどん供えて、母よ、わたしもいただきまする 3
炭太祇 たん たいぎ 1709 1771 初恋や燈籠によする顔と顔
うつくしき日和になりぬ雪のうへ
1
2
津田清子 つだ せいこ 1920 夜の卓智慧のごとくに胡桃の実 4
坪内稔典 つぼうち ねんてん 1944 帰るのはそこ晩秋の大きな木 3
寺山修司 てらやま しゅうじ 1935 1983 流すべき流灯われの胸てらす 1
田捨女 でん すてじょ 1634 1698 雪の朝二の字二の字の下駄の跡 o
殿村菟絲子 とのむら としこ 1908 2000 鮎落ちて美しき世はおわりけり 4
富澤赤黄男 とみざわ かきお 1902 1962 蝶墜ちて大音響の結氷期 1,3
富田木歩 とみた もっぽ 1897 1923
富安風生 とみやす ふうせい 1885 1979 よろこべばしきりに落つる木の実かな 1,3
内藤丈草 ないとう じょうそう 1662 1704 大原や蝶の出て舞ふ朧月
木枕のあかや伊吹に残る雪
1
2
内藤鳴雪 ないとう めいせつ 1847 1926
永田耕衣 ながた こうい 1900 1997 少年や六十年後の春の如し
夢の世に葱を作りて寂しさよ
1
3
中村草田男 なかむら くさたお 1901 1983 秋の航一大紺円盤の中
降る雪や明治は遠くなりにけり
1
2,3
中村苑子 なかむら そのこ 1913 2001 黄泉に来てまだ髪梳くは寂しけれ
麗かや野に死に真似の遊びして
1
3
中村汀女 なかむら ていじょ 1900 1988 肉皿に秋の蜂来るロツヂかな
やはらかに金魚は網にさからひぬ
ゆで卵むけばかがやく花曇
1
2
3
半井卜養 なからい ぼくよう 1607 1679
夏石番矢 なついし ばんや 1955 未来より滝を吹き割る風来る 3
夏目成美 なつめ せいび 1749 1816 花鳥もおもへば夢の一字かな 1
夏目漱石 なつめ そうせき 1867 1916 秋の江に打ち込む杭の響かな
永き日や欠伸うつして別れゆく
1
3
成田蒼虬 なりた そうきゅう 1761 1842 うぐひすの手柄顔なり声の隙(ひま)
西島麥南 にしじま ばくなん 1895 1981 炎天や死ねば離るヽ影法師 1
西山宗因 にしやま そういん 1605 1682 今こんといひしば鴈の料理哉 2
野澤節子 のざわ せつこ 1920 1995 冬の日や臥して身あぐる琴の丈
せつせつと眼まで濡らして髪洗ふ
1,4
3
野々口立圃 ののぐち りゅうほ 1595 1669 月影をくみこぼしけり手水鉢 o
野見山朱鳥 のみやま あすか 1917 1970 蒲団開け貝のごとくに妻を入れ 3
能村登四郎 のむら としろう 1911 2001 春ひとり槍投げて槍に歩み寄る 3
橋閒石 はし かんせき 1903 1992 噴水にはらわたの無き明るさよ 1
橋本多佳子 はしもと たかこ 1899 1963 祭笛吹くとき男佳かりける
雪はげし抱かれて息のつまりしこと
1
3
長谷川櫂 はせがわ かい 1954 目を入るるとき痛からん雛の顔
春の月大輪にして一重なる
1
3
長谷川かな女 はせがわ かなじょ 1887 1969 羽子板の重きが嬉し突かで立つ
藻をくぐって月下の魚となりにけり
1,4
3
長谷川素逝 はせがわ そてつ 1907 1946 しづかなるいちにちなりし障子かな 4
波多野爽波 はたの そうは 1923 1991 金魚玉とり落しなば舗道の花 3
服部土芳 はっとり とほう 1657 1730 おもしろう松笠もえよ薄月夜 o
服部嵐雪 はっとり らんせつ 1654 1707 沙魚(はぜ)釣るや水村山廓酒旗の旗
梅一輪一輪ほどの暖かさ
ふとん着て寝たる姿や東山
1
2
o
早野巴人 はやの はじん 1676 1742
林翔 はやし しょう 1914 2006 子供の日小さくなりし靴幾つ 4
林原耒井 はやしばら らいせん 1887 1975 片隅で椿が梅を感じてゐる 1
原石鼎 はら せきてい 1886 1951 頂上や殊に野菊の吹かれけり 1,3
日野草城 ひの そうじょう 1901 1956 ところてん煙の如く沈み居り
山茶花やいくさに敗れたる国の
1,3
2
平井照敏 ひらい しょうびん 1931 2003 おさへねば浮き出しそうな良夜なり 1
平畑静塔 ひらはた せいとう 1905 1997 徐々に徐々に月下の俘虜として進む 3
広瀬惟然 ひろせ いぜん 1711 水鳥やむかふの岸へつういつい
松茸や都に近き山の形
1
2
深見けん二 ふかみ けんじ 1922 一片の落花のあとの夕桜 3
府川志風 ふかや しふう 1741 1805
福島杉夕
福島東雄
ふくしま さんゆう 1741 1805
福田甲子雄 ふくた きねお 1927 2005 稲苅つて鳥入れかはる甲斐の空 3
福田蓼汀 ふくだ りょうてい 1905 1988 幽明の境の屋根を月照らす 3
福永耕二 ふくなが こうじ 1938 1980 新宿ははるかなる墓碑鳥わたる 3
藤田湘子 ふじた しょうし 1926 愛されずして沖遠く泳ぐなり 3,4
古沢太穂 ふるさわ たいほ 1913 2000 ロシア映画みてきて冬のにんじん太し 3
星野立子 ほしの たつこ 1903 1984 美しき緑走れり夏料理
女郎花(おみなえし)少しはなれて男郎花(おとこえし)
1
3
星野麥丘人 ほしの ばくきゅうじん 1925 子規のこと考えをれば春の雪 o
細川加賀 ほそかわ かが 1924 1989 秋の夜の猫のあけたる障子かな 2
細見綾子 ほそみ あやこ 1907 1997 女身仏に春剥落のつづきをり
春の雪青菜をゆでてゐたる間も
チューリップよろこびだけを持っている
1
2
3
細谷源二 ほそや げんじ 1906 1970 鉄工葬をはり真赤な鉄うてり o
堀口星眠 ほりぐち せいみん 1923 蒲公英の絮吹いてすぐ仲好しに 1
前田普羅 まえだ ふら 1884 1954 奥白根かの世の雪をかゞやかす 1,2,3
正岡子規 まさおか しき 1867 1902 行く我にとどまる汝に秋二つ
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺
1
2,3
正木ゆう子 まさき ゆうこ 1952 水の地球すこしはなれて春の月
わが行けばうしろ閉ぢゆく薄原
2
3
松江重頼 まつえ しげより 1602 1680 花は芳野伽藍一(ひとつ)を木の間哉
松尾芭蕉 まつお ばしょう 1644 1694 閑さや岩にしみ入る蝉の声
十六夜はわずかに闇の初哉
古池や蛙飛びこむ水の音
夏草や兵どもがゆめの跡
1,2
2
2
3
松岡青羅 まつおか せいら 1740 1791 雉子啼て跡は鍬うつ光かな o
松瀬青々 まつせ せいせい 1869 1937 みじか夜の浮藻うごかす小蝦かな
日盛りに蝶のふれ会ふ音すなり
1
2
松永貞徳 まつなが ていとく 1571 1653 花よりも団子やありて帰る雁 2**
松根東洋城 まつね とうようじょう 1878 1964 秋風や山を喰うて継ぐ命 o
松本たかし まつもと たかし 1906 1956 金粉をこぼして火蛾やすさまじき
金魚大鱗夕焼の空の如きあり
チゝポゝと鼓打たうよ花月夜
1
2
3
松村篁雨 まつむら こうう 1733 1809
松村蒼石 まつむら そうせき 1887 1982 たわたわとうすら氷にのる鴨の脚 1
真鍋呉夫 まなべ くれお 1920 2012 春深くケセランパサラン増殖す 1
丸谷才一 まるや さいいち 1925 2012 佐保姫もこんなずん胴酒のびん 2
三浦樗良 みうら ちょら 1729 1780 海老焼てやまひに遊ぶ寒の中 1
三上千那 みかみ せんな 1650 1723 秋風や萩のり越えて波の音 o
水原秋桜子 みずはら しゅうおうし 1892 1981 冬菊のまとふはおのがひかりのみ 1,3
三橋鷹女 みつはし たかじょ 1899 1972 白露や死んでゆく日も帯締めて 1,3
三橋敏雄 みつはし としお 1920 2001 戦争にたかる無数の蝿しづか
手をあげて此世の友は来りけり
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水間沾徳 みずま せんとく 1662 1726 低きかたへ水のあはづや初嵐 o
皆吉爽雨 みなよし そうう 1902 1983 散る花にたちて身よりも杖しづか 3
向井去来 むかい きょらい 1651 1704 君が手もまじるなるべし花芒
蛍火の吹とばされて鳰のやみ
応々といへど敲くや雪の門
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村上鬼城 むらかみ きじょう 1865 1938 闘鶏の眼つぶれて飼はれけり 1,3
村越化石 むらこし かせき 1922 闘うて鷹のゑぐりし深雪なり 3
室生犀星 むろう さいせい 1889 1962 ゆきふるといひしばかりの人しづか
青梅の臀うつくしくそろひける
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森澄雄 もり すみお 1919 2010 除夜の妻白鳥のごと湯浴みをり 1,3,4
森川許六 もりかわ きょろく 1656 1715 十団子も小粒になりぬ秋の風 o
森田峠 もりた とうげ 1924 教会と枯木ペン画のごときかな 4
矢島渚男 やじま なぎさお 1935 船のやうに年逝く人をこぼしつつ
あヽといひて吾を生みしか大寒に
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安原貞室 やすはら ていしつ 1610 1673 これはこれはとばかり花の吉野山 2
八十村路通
斎部路通
やそむら ろつう 1649 1738 ぼのくぼに雁落かかる霜夜かな o
山口誓子 やまぐち せいし 1901 1994 蟋蟀が深き地中を覗き込む
虹といふ聖なる硝子透きゐたり
ピストルがプールの硬き面に響く
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山口青邨 やまぐち せいそん 1892 1988 人それぞれ書を読んでゐる良夜かな 1,3
山口素堂 やまぐち そどう 1642 1716 目に青葉山ほととぎすはつ松魚 2**
山崎宗鑑 やまざき そうかん 1465? 1553? 月にえをさしたらばよき団(うちわ)哉 2
山本荷兮 やまもと かけい 1648 1716 木枯に二日の月の吹き散るか o
横井也有 よこい やゆう 1701 1783 二三枚絵馬見て晴るしぐれかな o
横田柳几 よこた りゅうき 1766 1788
横山白虹 よこやま はっこう 1899 1983 ラガー等のそのかちうたのみぢかけれ 3
与謝蕪村 よさ ぶそん 1716 1783 涼しさや鐘をはなるるかねの声
朝がほや一輪深き淵の色
菜の花や月は東に日は西に
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渡辺水巴 わたなべ すいは 1882 1946 箱をでて初雛のまま照りたまふ
天渺々笑ひたくなりし花野かな
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渡辺白泉 わたなべ はくせん 1913 1969 戦争が廊下の奥に立つてゐた 1,3
鷲谷七菜子 わしたに ななこ 1923 山河けふはればれとある氷かな 4
  • 1:『百人百句』大岡信、講談社(2001年)
  • 2:『国民的俳句百選』長谷川櫂、講談社(2008年)から一部
  • 3:『声に出して味わう日本の名俳句100選』荒木清(編集) 金子兜太(監修)中経出版(2003年)
  • 4:『諳んじたい俳句88』鷹羽狩行(監修)日本放送協会(2005年)から一部、1から3に既出の俳人の別句が選ばれたものは省略

関連項目[編集]

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