コンテンツにスキップ

「ポーコス」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
m編集の要約なし
Cewbot (会話 | 投稿記録)
m Bot作業依頼: パウサニアスの改名に伴うリンク修正依頼 (パウサニアス (地理学者)) - log
28行目: 28行目:
* 『ギリシア悲劇lll エウリピデス(上)』 [[ちくま文庫]](1986年)
* 『ギリシア悲劇lll エウリピデス(上)』 [[ちくま文庫]](1986年)
* [[シケリアのディオドロス|ディオドロス]]『神代地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1999年)
* [[シケリアのディオドロス|ディオドロス]]『神代地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1999年)
* [[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
* [[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
* [[ヘシオドス]]『[[神統記]]』[[廣川洋一]]訳、岩波文庫(1984年)
* [[ヘシオドス]]『[[神統記]]』[[廣川洋一]]訳、岩波文庫(1984年)
* 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、[[岩波書店]](1960年)
* 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、[[岩波書店]](1960年)

2021年11月15日 (月) 10:44時点における版

ポーコス古希: Φῶκος, Phōkos)は、ギリシア神話の人物である。アザラシを意味するギリシア語ポーケー(φώκη)の男性名詞[1]長母音を省略してポコスとも表記される。主に、

の2名が知られている。以下に説明する。

オルニュティオーンの子

このポーコスコリントスシーシュポスの子オルニュティオーンの子で、トアースと兄弟。一説にポーコスはポセイドーンの子[2]ポーキス地方の名祖

彼はポーキス地方のティトレアに移住し[2][3]、これにちなんでその地をポーキスと呼ぶようになった。この移住はアイアコスの子のポーコスよりも一世代前のことだったとされる[3]

テーバイアムピーオーンゼートスディオニューソス信女であったディルケーを殺したために、彼らの母アンティオペーはディオニューソスの怒りに触れて気が狂い、ギリシア各地を放浪した。ポーコスはアンティオペーに出会ったとき彼女の狂気を癒し、アンティオペーと結婚した。そこでティトレアにはポーコスとアンティオペーの合葬墓があったが、バキスがテーバイにあるアムピーオーンとゼートスの合葬墓の土をポーコスの墓に運んでくるとティトレアは豊穣に恵まれると予言したため、ティトレアの人々はアムピーオーンとゼートスの墓から土を盗もうとしたという[4][5]

アイアコスの子

このポーコスアイギーナ島の王アイアコスとプサマテーの子で[6][7][8]ペーレウステラモーンの異母弟[7][9]パノペウスクリーソスの父[10]。オルニュティオーンの子のポーコスの一世代後にポーキス地方に移住したが[3]、ペーレウスとテラモーンに殺された。エウリーピデースの『アンドロマケー』ではペーレウスによって殺害されたことのみ言及されているが[11]、後代の文献では詳しくより語られている。

ポーコスはアザラシに変身したプサマテーとアイアコスとの間に生まれたと伝えられている[7][9]。ペーレウスとテラモーンは、ポーコスが競技に優れていたためか[12]、あるいは好青年であったポーコスを父アイアコスが溺愛したため、嫉妬してポーコスを殺そうとした[8]。母エンデーイスを喜ばせようとしたともいわれる[13]

ポーコスは都市を建設しようと考えてポーキスに渡り、その地でイアセウスと親交を結び、指輪を贈られた[14]。しかしポーコスはアイギーナ島に帰ると、ペーレウスとテラモーンに競技に誘われ、円盤投げ競技の最中にテラモーンに円盤を頭に投げつけられて殺された[12]。あるいはペーレウスが石投げ競技の最中にポーコスの頭に石を投げつけて殺したともいわれる[13][14]。ペーレウスとテラモーンはポーコスの死体を隠したが、事件が明らかとなったとき、アイギーナ島から追放された[12]。またポーコスの子供たちもアイギーナ島を去ったため、アイギーナ島にはアイアコスのほかに王は現れなかった。[15]

なお、シケリアのディオドロスはペーレウスとテラモーンのうちポーコスを殺したのはペーレウスで、円盤投げの最中に起きた不慮の事故であったとしている[16]

脚注

  1. ^ 引地正俊「地中海アザラシとギリシャ人」p.123。
  2. ^ a b パウサニアス、2巻4・3。
  3. ^ a b c パウサニアス、2巻29・3。
  4. ^ パウサニアス、9巻17・4-17・6。
  5. ^ パウサニアス、10巻32・10-32・11。
  6. ^ ヘーシオドス『神統記』1004行-1005行。
  7. ^ a b c アポロドーロス、3巻12・6。
  8. ^ a b アントーニーヌス・リーベラーリス、38話。
  9. ^ a b エウリーピデース『アンドロマケー』687行への古註。
  10. ^ パウサニアス、2巻29・4。
  11. ^ エウリーピデース『アンドロマケー』687行。
  12. ^ a b c アポロドーロス、3巻12・7。
  13. ^ a b パウサニアス、2巻29・9。
  14. ^ a b パウサニアス、10巻30・4。
  15. ^ パウサニアス、2巻29・2。
  16. ^ シケリアのディオドロス、4巻72・6。

参考文献