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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* [[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
* [[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
* [[ヘシオドス]]『[[神統記]]』[[廣川洋一]]訳、岩波文庫(1984年)
* [[ヘシオドス]]『[[神統記]]』[[廣川洋一]]訳、岩波文庫(1984年)
* 『[[ヘシオドス]] 全作品』[[中務哲郎]]訳、[[京都大学学術出版会]](2013年)
* 『[[ヘシオドス]] 全作品』[[中務哲郎]]訳、[[京都大学学術出版会]](2013年)

2021年11月15日 (月) 10:46時点における版

エウリュノメー
Εὐρυνόμη
海の女神
配偶神 オピーオーンゼウス
オーケアノステーテュース
兄弟 ポタモイオーケアニデスステュクスメーティスディオーネーペイトーアシアーテュケークリュメネーカリロエー
子供 カリスアグライアーエウプロシュネータレイア
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エウリュノメー古希: Εὐρυνόμη, Eurynomē)は、ギリシア神話女神、あるいは女性である。長母音を省略してエウリュノメとも表記される。

のほか数人が知られている。以下に説明する。

オーケアノスの娘

このエウリュノメーは、オーケアノスとテーテュースの娘で[1][2]ゼウスとの間にカリス[3][4]、また一説に河神アーソーポスを生んだ[5]

ロドスのアポローニオスによるとエウリュノメーは蛇神オピーオーンの妻で、オリュンポスの最初の支配者であった。しかしオピーオーンがクロノスとの力比べに負けたとき、オピーオーンとエウリュノメーはクロノスとレアーに王権を譲り、海の中に姿を消したという[6]。その後エウリュノメーはヘーラーヘーパイストスを海に投げ捨てたとき、テティスとともにヘーパイストスをかくまった[7]アルカディアのピガリアーにはエウリュノメーの聖域があり、年に一度の祭礼のときだけ閉ざされていた聖域は人々に解放された。聖域にはエウリュノメーの神像があり、上半身は女性、下半身は魚の姿をしており、金の鎖で縛られていたという[8]

解釈

イギリス詩人ロバート・グレーヴスは独自に再構築した原ギリシアの創造神話を「ペラスゴイ人の創世神話」として紹介しているが、そこではエウリュノメーは創造神とされている。カオスの中に最初に裸で存在したエウリュノメーは、空と海を分離してから波の中で踊り狂い、その動きから北風を発生させた。続いて北風を両手で捕まえ、激しくこすり伸ばしてオピーオーンを生み出し、その後も体を温める為に踊り続けたが、欲情したオピーオーンと交わって身籠り、に姿を変えて波の上に宇宙卵を産んだ。卵は孵化して太陽水星金星火星木星土星を初めとする無数の星々と美しい自然と生物たちに満ちた大地が生まれ、2人はオリュンポス山に移った。しかし卵を孵化させて慢心したオピーオーンが、自分こそが宇宙の創造者であると主張したのでエウリュノメーはオピーオーンを踏み付け、牙を蹴り折って地下深くの洞窟に追放した。その後、太陽と月、及び5つの惑星に神秘の力を生み与え、光明を司る太陽にテイアーヒュペリーオーンを、魅惑を司る月にポイベーアトラースを、知恵を司る水星にメーティスコイオスを、愛を司る金星にテーテュースとオーケアノスを、生長を司る火星にディオーネークレイオスを、掟を司る木星にテミスエウリュメドーンを配置し、平和を司る土星にクロノスとレアーを配置するといった具合に、男女の巨人であるティーターンとティターニアをそれぞれの惑星に配置した。その後、アルカディアの土から最初の人間であるペラスゴスが生まれた[9]

ニーソスの娘

このエウリュノメーは、メガラー王ニーソスの娘である。スキュラと姉妹。コリントスシーシュポスの息子グラウコスと結婚し、ベレロポーンを生んだ。ただしベレロポーンの父はポセイドーンだと言われる[10][11]

ヘーシオドス『名婦列伝』によると、エウリュノメーはアテーナーの意図により、グラウコスの結婚相手を探していたシーシュポスに気に入られて結婚した。しかしゼウスはシーシュポスが後世に優れた血筋を残すことを好ましく思わなかった。そこでポセイドーンがエウリュノメーと関係を持ち、エウリュノメーもまたグラウコスに優れた子を産みたいという思いからこれを受け入れ、ベレロポーンが生まれた。ベレロポーンにペーガソスを与えたのは父であるポセイドーンだったという[10]

ペーネロペーの乳母

このエウリュノメーは、ペーネロペーの乳母である。ペーネロペーがオデュッセウスと結婚したとき、彼女もイタケー島にやって来て、エウリュクレイアとともにオデュッセウスの館の女中頭を務めた。エウリュノメーは古くからオデュッセウスに仕える者たちと同様、ペーネロペーの求婚者たちによい感情を持っておらず、終始ペーネロペーとオデュッセウスに忠実に仕えた[12]

その他のエウリュノメー

脚注

  1. ^ ヘーシオドス、358行。
  2. ^ アポロドーロス、1巻2・2。
  3. ^ ヘーシオドス、907行-909行。
  4. ^ アポロドーロス、1巻3・1。
  5. ^ アポロドーロス、3巻12・6。
  6. ^ ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』1巻503行-506行。
  7. ^ 『イーリアス』18巻。
  8. ^ パウサニアス、8巻41・4-41・6。
  9. ^ ロバート・グレーヴス、1・a-d。
  10. ^ a b ヘーシオドス断片69。
  11. ^ ヒュギーヌス、157話。
  12. ^ 『オデュッセイア』17巻、18巻、19巻、20巻、23巻。
  13. ^ オウィディウス変身物語』4巻。
  14. ^ アポロドーロス、3巻9・2。
  15. ^ ヒュギーヌス、69話。
  16. ^ ヒュギーヌス、70話。

参考文献

関連項目