「2022年ロシアのウクライナ侵攻のタイムライン (2023年9月 - 12月)」の版間の差分
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* [[ウクライナ]]の[[キリーロ・ブダノフ]]情報局長は、8月30日の[[ロシア]]西部[[プスコフ州]]の空港に対する無人機攻撃について「[[プスコフ]]の空軍基地への攻撃に使われた[[無人機]]はロシア国内から離陸していた」とし<ref>"[https://www.sankei.com/article/20230902-DTKTL6D6CZNBFADERRNITE4ZHQ/ 無人機「ロシア国内から」 空港攻撃、輸送機損傷]”. ''[[産経デジタル|産経ニュース]]''. [[産業経済新聞社]] (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref>「[[ロシア連邦軍|ロシア軍]]の[[輸送機]][[Il-76 (航空機)|IL76]] |
* [[ウクライナ]]の[[キリーロ・ブダノフ]]情報局長は、8月30日の[[ロシア]]西部[[プスコフ州]]の空港に対する無人機攻撃について「[[プスコフ]]の空軍基地への攻撃に使われた[[無人機]]はロシア国内から離陸していた」とし<ref>"[https://www.sankei.com/article/20230902-DTKTL6D6CZNBFADERRNITE4ZHQ/ 無人機「ロシア国内から」 空港攻撃、輸送機損傷]”. ''[[産経デジタル|産経ニュース]]''. [[産業経済新聞社]] (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref>「[[ロシア連邦軍|ロシア軍]]の4機あった[[輸送機]]、[[Il-76 (航空機)|IL76]]が攻撃を受けた。2機は破壊され、もう2機も大きく損壊した」と主張した<ref>“[https://www.afpbb.com/articles/-/3479746 ロシア空港への無人機攻撃、国内から ウクライナ情報局長]”. ''AFPBB News. [[フランス通信社]]'' (2023年9月1日). 2023年9月1日閲覧。</ref>。さらに「燃料タンクと、機体上部にある翼桁の重要部分が攻撃目標になった」とも明らかにした<ref>"[https://www.cnn.co.jp/world/35208576.html 飛行場へのドローン攻撃、ロシア国内から実施 ウクライナ情報機関]”. ''[[CNN.co.jp]]'' (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref>。 |
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* 午前、ロシア西部にある[[クルスク州]]のスタロボイト知事は、[[クルスク原子力発電所]]から数キロメートル離れた[[クルチャトフ]]に対し、ウクライナ製の無人機の受けたことを明らかにした<ref name="reuters_20230901"> |
* 午前、ロシア西部にある[[クルスク州]]のスタロボイト知事は、[[クルスク原子力発電所]]から数キロメートル離れた[[クルチャトフ]]に対し、ウクライナ製の無人機の攻撃を受けたことを明らかにした<ref name="reuters_20230901">[https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-kurchatov-drones-idJPKBN3072LN ウクライナが無人機攻撃、西部の原発近郊の町=ロシア州知事]”. ''[[Reuters]]'' (2023年9月1日). 2023年9月1日閲覧。</ref>。この攻撃で、建物1棟が損傷する被害があったが、人的被害は確認されていない<ref name="reuters_20230901" />。 |
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* [[モスクワ]]の[[セルゲイ・ソビャーニン|ソビャーニン]]市長は、モスクワに近づいた無人機を撃墜したことを明らかにした<ref name="reuters_20230901" />。この影響で、モスクワの[[ブヌコボ空港]]の業務が一時的に混乱したという<ref name="reuters_20230901" />。 |
* [[モスクワ]]の[[セルゲイ・ソビャーニン|ソビャーニン]]市長は、モスクワに近づいた無人機を撃墜したことを明らかにした<ref name="reuters_20230901" />。この影響で、モスクワの[[ブヌコボ空港]]の業務が一時的に混乱したという<ref name="reuters_20230901" />。 |
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* ロシア国営[[宇宙機関]]「[[ロスコスモス]]」のユーリー・ボリソフ社長は、射程1万1000キロメートル以上で、10以上の[[核弾頭]]が搭載可能とされる大型の[[大陸間弾道ミサイル]](ICBM)「[[RS-28 (ミサイル)|サルマート]]」が実戦配備されたと明らかにした<ref name=":0"> |
* ロシア国営[[宇宙機関]]「[[ロスコスモス]]」のユーリー・ボリソフ社長は、射程1万1000キロメートル以上で、10以上の[[核弾頭]]が搭載可能とされる大型の[[大陸間弾道ミサイル]](ICBM)「[[RS-28 (ミサイル)|サルマート]]」が実戦配備されたと明らかにした<ref name=":0">“[https://www.yomiuri.co.jp/world/20230901-OYT1T50209/ 核弾頭を10以上搭載できるICBM「サルマート」、ロシアが実戦配備]”. ''[[読売新聞オンライン]]''. [[読売新聞社]] (2023年9月1日). 2023年9月1日閲覧。</ref><ref name=":1">“[https://www.jiji.com/jc/article?k=2023090101134 ロシア、新型ICBM実戦配備 ウクライナ侵攻下、核の威嚇強化へ]”. ''時事ドットコム''. [[時事通信社]] (2023年9月1日). 2023年9月2日閲覧。</ref>。ロシアとしてはウクライナ侵攻を続ける中、[[ウォロディミル・ゼレンスキー|ゼレンスキー]]政権を支援する[[西側諸国]]に対して核の威嚇を強め、ウクライナへの支援をけん制する狙いがある<ref name=":1" />。配備の場所など詳細は明らかにされていない<ref name=":0" />。 |
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* ロシアの[[プーチン]][[ロシア連邦大統領|大統領]]は、[[ロシアによるウクライナ4州の併合宣言|2022年9月にロシアが一方的に併合]]したウクライナ東・南部の[[ドネツク人民共和国 (ロシア連邦)|ドネツク州]]、[[ルガンスク人民共和国 (ロシア連邦)|ルガンスク州]]、[[ザポリージャ州 (ロシア連邦)|ザポリージャ州]]、[[ヘルソン州 (ロシア連邦)|ヘルソン州]]の開発に向け、今後2年半にロシア連邦予算から1兆9000億[[ルーブル]]を充てる方針を表明した<ref> |
* ロシアの[[プーチン]][[ロシア連邦大統領|大統領]]は、[[ロシアによるウクライナ4州の併合宣言|2022年9月にロシアが一方的に併合]]したウクライナ東・南部の[[ドネツク人民共和国 (ロシア連邦)|ドネツク州]]、[[ルガンスク人民共和国 (ロシア連邦)|ルガンスク州]]、[[ザポリージャ州 (ロシア連邦)|ザポリージャ州]]、[[ヘルソン州 (ロシア連邦)|ヘルソン州]]の開発に向け、今後2年半にロシア連邦予算から1兆9000億[[ルーブル]]を充てる方針を表明した<ref>“[https://jp.reuters.com/article/jp_ukraine/idJPKBN307409 ウクライナ併合地域の開発に200億ドルを拠出=プーチン大統領]”. ''Reuters'' (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref>。 |
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* [[ウクライナ軍参謀本部]]は、ウクライナ軍が南部[[ザポリージャ州]]で前進したと発表した<ref name=":8"> |
* [[ウクライナ軍参謀本部]]は、ウクライナ軍が南部[[ザポリージャ州]]で前進したと発表した<ref name=":8">[https://www.jiji.com/jc/article?k=2023090200373 ウクライナ軍、南部で前進 ロシアの防衛線突破か]”. ''時事ドットコム''. 時事通信社 (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref>。 |
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* ウクライナの[[ハンナ・マリャル]]国防次官は、ウクライナ軍が南下を図る「ザポリージャ戦線」に兵力を集中させた成果が出始め、一部に数か所ではウクライナ軍がロシア軍の第1防衛線を突破したことを明らかにした<ref name=":6"> |
* ウクライナの[[ハンナ・マリャル]]国防次官は、ウクライナ軍が南下を図る「ザポリージャ戦線」に兵力を集中させた成果が出始め、一部に数か所ではウクライナ軍がロシア軍の第1防衛線を突破したことを明らかにした<ref name=":6">[https://www.yomiuri.co.jp/world/20230902-OYT1T50082/ ウクライナ軍、ザポリージャ州の数か所で第1防衛線を突破…米高官「注目すべき進展」]”. ''読売新聞オンライン''. 読売新聞社 (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref><ref name="sankei_20230902">[https://www.sankei.com/article/20230902-INYTRO5SYFN6XICZTRN7J4GYRA/ ウクライナ「露軍の第1防衛線突破」 米「顕著な前進」]”. ''産経ニュース''. 産業経済新聞社 (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref>。その一方で、「第1防衛線の後方にもロシア軍の[[地雷原]]やコンクリート製の[[要塞]]が控えている」として「わが軍はさらなる前進のために多くの障壁を乗り越えなければならない」と述べた<ref name=":8"/><ref name="sankei_20230902"/>。また、「地域によって状況は異なる」とも述べ、苦戦が続く地域があることも示唆した<ref name=":6"/>。 |
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* [[アメリカ国家安全保障会議|米国家安全保障会議]](NSC)の[[ジョン・カービー|カービー]]戦略広報調整官は、ロシアが新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマート」を実戦配備したとの情報について、確認する立場にないと述べた<ref name=":2" > |
* [[アメリカ国家安全保障会議|米国家安全保障会議]](NSC)の[[ジョン・カービー|カービー]]戦略広報調整官は、ロシアが新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマート」を実戦配備したとの情報について、確認する立場にないと述べた<ref name=":2" >“[https://jp.reuters.com/article/jp_ukraine/idJPKBN3073Q0 米、ウクライナ軍の南部での進展を確認=NSC調整官]”. ''Reuters'' (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref>。ウクライナ軍の[[2023年ウクライナの反転攻勢#反転攻勢#ザポリージャ戦線|南部での反攻]]が3か月たってもあまり進展していないとの批判について問われると、ウクライナ側の予想よりペースが遅いことを認めた<ref>“[https://www.afpbb.com/articles/-/3479786 ロシア空港への無人機攻撃、国内から ウクライナ情報局長]”. ''AFPBB News. フランス通信社'' (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref>上で、「過去72時間で[[ザポリージャ]]地域の進撃線でウクライナ側に進展があったことに注目している」と述べ<ref name=":8"/><ref name=":6"/><ref name=":2"/>、[[ウクライナ軍]]が南に向かって反転攻勢を進める中で、「ロシア軍の2番目の防衛ラインに対して、いくつかの戦果を挙げた」としている<ref>“[https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/697677 ウクライナ南部戦線「注目すべき進展があった」と米高官が明らかに]”. ''[[TBS NEWS DIG]]''. [[ジャパン・ニュース・ネットワーク]] (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref>。この成功をどう生かすかはウクライナ次第だとし「ウクライナ軍がさらに南に進軍するには厳しい戦いが待ち受けている」と語った<ref name=":8"/><ref name=":2" />。 |
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* [[バイデン政権|バイデン米政権]]は、[[劣化ウラン弾]]を含む[[徹甲弾]]をウクライナに初めて供給する見込みと報じられた<ref name=":3" > |
* [[バイデン政権|バイデン米政権]]は、[[劣化ウラン弾]]を含む[[徹甲弾]]をウクライナに初めて供給する見込みと報じられた<ref name=":3" >“[https://jp.reuters.com/article/jp_ukraine/idJPKBN3073YS 米、ウクライナに劣化ウラン弾供給へ=関係筋]”. ''Reuters'' (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref><ref name=":7">“[https://www.sankei.com/article/20230902-RFZZWFOYRJKD7DBIROTTFFDLOA/ 米、劣化ウラン弾供与か 週明け発表と報道、懸念も]”. 産経ニュース''. 産業経済新聞社 (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref>。来週発表される2億4000万-3億7500万ドル相当の新たな軍事支援に含まれるという<ref name=":3" />。[[弾薬]]は米国製[[戦車]]「[[M1エイブラムス]]」からの発射が可能で、数週間以内にウクライナに届けられるという<ref name=":3" />。[[イギリス]]は、3月に[[主力戦車]]「[[チャレンジャー2]]」の弾薬の一部には劣化ウラン弾が含まれると表明し<ref name=":3" />既に供与している<ref name=":7"/>。劣化ウラン弾は貫通力に優れているが、使用された場合に[[劣化ウラン]]の粉塵が、肺などの臓器に入り込み健康被害が出たり、環境への影響で懸念の恐れがある<ref name=":3" /><ref name=":7"/>。 |
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* [[ジェイク・サリバン]][[国家安全保障問題担当大統領補佐官|米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)]]は、訪米したウクライナ国家汚職防止庁のトップ、セメン・クリボノスらと会談した<ref name=":5"> |
* [[ジェイク・サリバン]][[国家安全保障問題担当大統領補佐官|米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)]]は、訪米したウクライナ国家汚職防止庁のトップ、セメン・クリボノスらと会談した<ref name=":5">[https://www.sankei.com/article/20230902-TM7LKU3X45P3PABN3MWXR7UIUQ/ 米、汚職撲滅へ改革支持 ウクライナ高官と会談]”. ''産経ニュース''. 産業経済新聞社 (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref>。ウクライナが進める汚職撲滅に向けた改革について、改めて支持を表明した<ref name=":5"/>。サリバン大統領補佐官は、独立した司法機関による汚職追及の重要性を強調した。ウクライナでは今年に入り、軍の食料調達を巡る汚職疑惑が報じられた国防省次官や、人道支援用の自動車を私的流用したと批判された大統領府副長官が解任されるなどした<ref name=":5"/>。 |
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* ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、ロシア国内でのドローン攻撃は増加していくとの見方を示し、こうした攻撃が頻発していることはウクライナの戦争が徐々にロシア国内に移行していることを示していると述べた<ref name=":4" > |
* ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、ロシア国内でのドローン攻撃は増加していくとの見方を示し、こうした攻撃が頻発していることはウクライナの戦争が徐々にロシア国内に移行していることを示していると述べた<ref name=":4" >“[https://jp.reuters.com/article/jp_ukraine/idJPKBN30740D ウクライナ戦争「ロシア国内に移行段階」、攻撃増加へ=大統領府顧問]”. ''Reuters'' (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref>。ウクライナはロシア軍に占領された地域への攻撃を強化しているとし、ロシア国内でも「工作員」や「[[パルチザン (軍事)|パルチザン]]」による攻撃が増加すると指摘した上で「敵対行為が徐々にロシアの領土に移行する段階に入っている」と語った<ref name=":4" />。その上で、ウクライナ軍は前進を続けているとし、欧米からの軍事援助が今後も継続されることを望んでいると述べた<ref name=":4" />。ロシアと和平交渉については、現時点で行わないと表明し「いかなる交渉もウクライナの屈服、そして[[民主主義]]世界全体の屈服を意味する」とし、ウクライナに多額の兵器を供与してきた西側の同盟国はロシアに対する妥協はあり得ないと理解していると確信していると語った<ref name=":4" />。 |
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* ウクライナのゼレンスキー[[ウクライナの大統領|大統領]]は、ウクライナ軍が進展を続けていると述べ、6月に始まった反転攻勢で一定の成果が出ていることを明らかにした<ref> |
* ウクライナのゼレンスキー[[ウクライナの大統領|大統領]]は、ウクライナ軍が進展を続けていると述べ、6月に始まった反転攻勢で一定の成果が出ていることを明らかにした<ref>“[https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/698571 ウクライナ軍、ザポリージャ州で「第一防衛線」を突破か]”. ''TBS NEWS DIG''. ジャパン・ニュース・ネットワーク(2023年9月3日). 2023年9月3日閲覧。</ref>。[[Twitter|X]](旧Twitter)には、「誰が何と言おうと軍は前進している。われわれは活発に動いている」と投稿し、反転攻勢の遅れについて反論している<ref name="tokyo_20230903">“[https://www.tokyo-np.co.jp/article/274528 ゼレンスキー氏「軍は前進」 反転攻勢遅れ指摘に反論]”. ''[[東京新聞]]''. [[中日新聞東京本社]] (2023年9月3日). 2023年9月3日閲覧。</ref>。。 |
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* [[ロシア国防省]]は、前夜から未明にかけて、[[ロシアによるクリミアの併合|ロシアが一方的に併合]]したウクライナ南部[[クリミア半島|クリミア]]とロシア本土を結ぶ[[クリミア大橋]]を狙って、ウクライナが水上無人機3隻を使い攻撃を仕掛けたが、黒海ですべて破壊したと発表した<ref> |
* [[ロシア国防省]]は、前夜から未明にかけて、[[ロシアによるクリミアの併合|ロシアが一方的に併合]]したウクライナ南部[[クリミア半島|クリミア]]とロシア本土を結ぶ[[クリミア大橋]]を狙って、ウクライナが水上無人機3隻を使い攻撃を仕掛けたが、黒海ですべて破壊したと発表した<ref>“[https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/698205 ロシア国防省、クリミア橋狙った「無人艇」攻撃仕掛けられ「すべて破壊」と発表]”. ''TBS NEWS DIG''. ジャパン・ニュース・ネットワーク (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref><ref>江渕智弘(2023年9月2日). “[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0220G0S3A900C2000000/ クリミア橋に水上ドローン攻撃、いずれも撃退とロシア側]”. ''[[日本経済新聞]]''. [[日本経済新聞社]] (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref><ref name="NHK_20230902">[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230902/k10014182181000.html ロシアで相次ぐ無人機攻撃 ロシアとウクライナの主張衝突]”. ''NHK NEWS WEB''. [[日本放送協会]] (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。</ref>。 |
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* ロシア国防省によれば、ウクライナと国境を接しているロシア西部の[[ベルゴロド州]]に無人機が仕掛けられたが、それについても阻止している<ref name="NHK_20230902"/>。 |
* ロシア国防省によれば、ウクライナと国境を接しているロシア西部の[[ベルゴロド州]]に無人機が仕掛けられたが、それについても阻止している<ref name="NHK_20230902"/>。 |
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* ウクライナ南部[[ヘルソン州]]のプロクジン知事は、ヘルソン州の村にロシア軍の攻撃によって、誘導弾が民家に当たって、1人が死亡、負傷者が出たと明らかにした<ref name="tokyo_20230903"/>。 |
* ウクライナ南部[[ヘルソン州]]のプロクジン知事は、ヘルソン州の村にロシア軍の攻撃によって、誘導弾が民家に当たって、1人が死亡、負傷者が出たと明らかにした<ref name="tokyo_20230903"/>。 |
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* ウクライナのメディアは、北東部[[スームィ州]]でロシア軍の攻撃によって警察官1人が、東部[[ドネツク州]]で攻撃によって夫婦2人がそれぞれ死亡したと報じた<ref name="tokyo_20230903"/>。 |
* ウクライナのメディアは、北東部[[スームィ州]]でロシア軍の攻撃によって警察官1人が、東部[[ドネツク州]]で攻撃によって夫婦2人がそれぞれ死亡したと報じた<ref name="tokyo_20230903"/>。 |
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* 英紙[[オブザーバー (イギリスの新聞)|オブザーバー]]は、戦線を指揮するウクライナの[[オレクサンドル・タルナフスキー]]司令官が「我々は第1防衛線と第2防衛線の間にいる」と述べたと報じた<ref name=":9"> |
* 英紙[[オブザーバー (イギリスの新聞)|オブザーバー]]は、戦線を指揮するウクライナの[[オレクサンドル・タルナフスキー]]司令官が「我々は第1防衛線と第2防衛線の間にいる」と述べたと報じた<ref name=":9">[https://www.yomiuri.co.jp/world/20230903-OYT1T50115/ ウクライナ軍、南部ザポリージャ戦線でロシア防衛線の一部突破…英紙報道]”. ''読売新聞オンライン''. 読売新聞社 (2023年9月3日). 2023年9月3日閲覧。</ref>。ロシア軍は地雷原などで何重にも防衛線をめぐらせているが、ウクライナ軍が一部で最前線の第1防衛線を突破したことを示す<ref name=":9"/>。第2防衛線の地雷原はそれほど整備されていないとも述べたという<ref name=":9"/>。 |
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* 米[[シンクタンク]]「[[戦争研究所]]」は、ロシア軍内部で足並みの乱れが顕著になっていると分析した<ref name=":9"/>。 |
* 米[[シンクタンク]]「[[戦争研究所]]」は、ロシア軍内部で足並みの乱れが顕著になっていると分析した<ref name=":9"/>。 |
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=== 9月3日 === |
=== 9月3日 === |
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⚫ | * ウクライナ軍によれば、未明にロシア軍がウクライナ南部[[オデーサ州]]南部において、3時間半にわたって、無人機を用いて攻撃を行った<ref name="reuters_20230903">[https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-attack-odesa-idJPL6N3AF008 ロシアがオデーサに無人機攻撃、ドナウ川の港直撃=ウクライナ]”. ''Reuters'' (2023年9月3日). 2023年9月3日閲覧。</ref>。ウクライナ軍は、通信アプリ[[テレグラム]]に、イラン製ドローン「[[シャヘド136|シャヘド]]」が、この攻撃に投入した25機のうち22機を撃墜したと投稿した<ref name="reuters_20230903"/>。この攻撃で[[ドナウ川]]の港湾インフラが被害を受けて、少なくとも民間人2人が負傷したという<ref name="reuters_20230903"/>。ウクライナの一部のメディアが報じているところによれば、ドナウ川沿いのレニ港で爆発があったという<ref name="reuters_20230903"/>。 |
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* ゼレンスキー大統領は、[[オレクシー・レズニコウ]]国防相の[[更迭]]を決めたと明らかにした<ref name=":11">"[https://www.jiji.com/sp/article?k=2023090400103 ウクライナ大統領、レズニコフ国防相解任 後任にタタール系ウメロフ氏]". ''時事ドットコム''. 時事通信社 (2023年9月4日). 2023年9月4日閲覧。</ref><ref name=":10">"[https://www.yomiuri.co.jp/world/20230904-OYT1T50032/ ウクライナ国防相を交代、ゼレンスキー大統領が方針…不正や汚職の疑惑も]". ''読売新聞オンライン''. 読売新聞社 (2023年9月4日). 2023年9月4日閲覧。</ref><ref name=":12">"[https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-defence-zelenskiy-idJPKBN3090EB ウクライナ大統領が国防相更迭、後任は国有財産基金トップに]". ''Reuters'' (2023年9月3日). 2023年9月3日閲覧。</ref><ref name=":13">"[https://www.sankei.com/article/20230904-FETWB3ULI5MWDB2RKHMUEDL4EQ/ ウクライナ国防相交代へ ゼレンスキー氏発表]". ''産経ニュース''. 産業経済新聞社 (2023年9月4日). 2023年9月4日閲覧。</ref>。理由については「レズニコフ氏は550日間以上、全面戦争に向き合った。国防省は、軍と社会全体の双方との関係について、新しいアプローチを必要としている」と説明した<ref name=":10"/><ref name=":13"/>。[[ウクライナ国防省]]では食料調達などの発注を巡り、不正や汚職の疑惑が相次いで指摘され、レズニコフの監督責任も問題視され<ref name=":12"/>[[綱紀粛正]]で交代に踏み切った可能性がある<ref name=":10"/>。後任には、ロシアに併合されている南部のクリミア半島の先住民族にあたるタタール系の政治家でウクライナ最高会議議員などを歴任し、2022年9月から国有財産基金トップを務めているルステム・ウメロフを充てるように議会に承認を求めるとした<ref name=":11"/><ref name=":12"/>。 |
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* 諜報機関の情報を相互に提供しあっている「[[UKUSA協定|ファイブアイズ]]」は、3日までに、ロシア軍の[[ハッカー]]が、ウクライナ軍の兵士が持っているモバイル機器に対し、戦闘作戦などの情報を盗む目的で工作を仕掛けていると警告した<ref name="CNN_20230903">[https://www.cnn.co.jp/tech/35208592.html ロシア軍ハッカー、狙いはウクライナ兵使うモバイル機器の作戦情報]”. ''CNN.co.jp'' (2023年9月3日). 2023年9月3日閲覧。</ref>。この盗み取った情報は、ロシアにおいてのウクライナの戦略を支えている可能性があり、ウクライナ軍の反転攻勢の進展が遅く、戦いが熾烈を増す時期とも重なっているため、複数のアメリカ政府当局者は、「反攻が数か月経過しても戦場で重要な突破が実現していない」と懸念を示しているという<ref name="CNN_20230903"/>。また、イギリスの国家サイバーセキュリティーセンターの幹部は、このハッキング攻勢について「ロシアがウクライナに仕掛けた不法な戦争がサイバー空間で展開し続けていることを明示している」という声明を明らかにしている<ref name="CNN_20230903"/>。 |
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* ウクライナ軍部隊のシュトゥピン報道官は、反転攻勢に関して、ロシア軍の第2・第3の防衛線は第1防衛線に比べると、脆弱だと指摘し、更なる前進に自信を示しているという<ref name="sankei_20230904">"[https://www.sankei.com/article/20230904-WRYCJOAI75MP5HU5WHJIMX6CZE/ 露第第2・第3防衛線は脆弱 ウクライナ軍、突破に自信]". ''産経ニュース''. 産業経済新聞社 (2023年9月4日). 2023年9月4日閲覧。</ref>。ロシア軍が構築した3層の防衛線について、全体の強固さを100として、「第1防衛線は60、第2防衛線は20、第3防衛線は20だ」と指摘し、第1防衛線の突破の場合、地雷除去車が砲撃の標的にされ、その地雷の除去を手作業で実施したものの、比較的脆弱となっている第2防衛線以降においては、地雷除去車や部隊の運用が容易になるとして、前進の速度が上がる可能性を示した<ref name="sankei_20230904"/>。ロシア軍が第1防衛線を突破され、本来は攻撃用の精鋭の空挺部隊を防衛に回している状態には、ロシア軍の予備兵力が減りつつある表れという認識を示した<ref name="sankei_20230904"/>。「わが軍の弾薬量や露軍の出方などにもよるが、われわれはさらに前進し、[[アゾフ海]]まで南下できると期待している」とも述た<ref name="sankei_20230904"/>。 |
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⚫ | * ウクライナ軍によれば、未明にロシア軍がウクライナ南部[[オデーサ州]]南部において、3時間半にわたって、無人機を用いて攻撃を行った<ref name="reuters_20230903"> |
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* ウクライナ国防省は、南部のヘルソン州にある黒海の海岸において、ウクライナ海軍がロシア軍の高速艇を攻撃した<ref name="yomiuri_20230904">"[https://www.yomiuri.co.jp/world/20230904-OYT1T50041/ ロシア無人機、ドナウ川の港湾施設を攻撃…ウクライナ海軍は露軍高速艇を攻撃]". ''読売新聞オンライン''. 読売新聞社 (2023年9月4日). 2023年9月4日閲覧。</ref>。この攻撃で、ロシア兵の6人が死亡し、2人が負傷した<ref name="yomiuri_20230904"/>。ウクライナ国防省がSNSに投稿した映像によれば、「海岸近くに停泊した高速艇から露兵らが上陸しようとする様子」が撮影されている<ref name="yomiuri_20230904"/>。 |
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* 諜報機関の情報を相互に提供しあっている「[[UKUSA協定|ファイブアイズ]]」は、3日までに、ロシア軍の[[ハッカー]]が、ウクライナ軍の兵士が持っているモバイル機器に対し、戦闘作戦などの情報を盗む目的で工作を仕掛けていると警告した<ref name="CNN_20230903">"[https://www.cnn.co.jp/tech/35208592.html ロシア軍ハッカー、狙いはウクライナ兵使うモバイル機器の作戦情報]". ''CNN.co.jp'' (2023年9月3日). 2023年9月3日閲覧。</ref>。この盗み取った情報は、ロシアにおいてのウクライナの戦略を支えている可能性があり、ウクライナ軍の反転攻勢の進展が遅く、戦いが熾烈を増す時期とも重なっているため、複数のアメリカ政府当局者は、「反攻が数か月経過しても戦場で重要な突破が実現していない」と懸念を示しているという<ref name="CNN_20230903"/>。また、イギリスの国家サイバーセキュリティーセンターの幹部は、このハッキング攻勢について「ロシアがウクライナに仕掛けた不法な戦争がサイバー空間で展開し続けていることを明示している」という声明を明らかにしている<ref name="CNN_20230903"/>。 |
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* ロシア前大統領の[[ドミートリー・メドヴェージェフ]][[ロシア連邦安全保障会議|安全保障会議]]副議長は、ロシア東部[[サハリン州]][[ユジノサハリンスク]]での式典で、2023年のロシア軍への入隊者が約28万人に上ると述べた<ref name=":9"/>。ロシア軍は兵員を補充するため、志願を前提にした契約軍人の獲得を急いでいる<ref name=":9"/>。 |
* ロシア前大統領の[[ドミートリー・メドヴェージェフ]][[ロシア連邦安全保障会議|安全保障会議]]副議長は、ロシア東部[[サハリン州]][[ユジノサハリンスク]]での式典で、2023年のロシア軍への入隊者が約28万人に上ると述べた<ref name=":9"/>。ロシア軍は兵員を補充するため、志願を前提にした契約軍人の獲得を急いでいる<ref name=":9"/>。 |
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* [[エマニュエル・マクロン]][[共和国大統領 (フランス)|仏大統領]]は、ゼレンスキー大統領と電話会談を行い、ウクライナの穀物輸出の安全性向上に向け協力を強化することで合意した<ref name=":fr">”[https://www.sankei.com/article/20230904-KKMTBOSUTNPJTNPWPHWTGXJUX4/ 穀物輸出の安全向上で協力 仏ウクライナ首脳電話会談]". ''産経ニュース''. 産業経済新聞社 (2023年9月4日). 2023年9月4日閲覧。</ref>。マクロン大統領は、ウクライナが完全な主権を回復できるよう長期に支援する決意を表明した<ref name=":fr"/>。ゼレンスキー大統領は、電話会談後「我々は、穀物回廊の機能を確保し、オデーサ州の安全保障を強化する方法についても協議した」と述べた<ref>"[https://www.cnn.co.jp/world/35208603.html ゼレンスキー氏、仏大統領と穀物回廊について協議]". ''CNN.co.jp'' (2023年9月4日). 2023年9月4日閲覧。</ref>。新鋭[[戦闘機]]に関する協力関係が強まっているとし、フランス国内でのパイロット訓練について重要な合意に達したと明らかにした<ref>"[https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-france-training-idJPKBN30A00M ゼレンスキー氏、仏国内でのパイロット訓練でマクロン氏と合意]". ''Reuters'' (2023年9月3日). 2023年9月3日閲覧。</ref>。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
2023年9月4日 (月) 06:01時点における版
2022年ロシアのウクライナ侵攻のタイムライン (2023年9月 - 12月)(2022ねんロシアのウクライナしんこうのタイムライン 2023年9月 - 12月)では、2022年2月24日に開始されたロシアのウクライナ侵攻の経過の2023年9月から12月について述べる。
2023年9月
9月1日
- ウクライナのキリーロ・ブダノフ情報局長は、8月30日のロシア西部プスコフ州の空港に対する無人機攻撃について「プスコフの空軍基地への攻撃に使われた無人機はロシア国内から離陸していた」とし[1]「ロシア軍の4機あった輸送機、IL76が攻撃を受けた。2機は破壊され、もう2機も大きく損壊した」と主張した[2]。さらに「燃料タンクと、機体上部にある翼桁の重要部分が攻撃目標になった」とも明らかにした[3]。
- 午前、ロシア西部にあるクルスク州のスタロボイト知事は、クルスク原子力発電所から数キロメートル離れたクルチャトフに対し、ウクライナ製の無人機の攻撃を受けたことを明らかにした[4]。この攻撃で、建物1棟が損傷する被害があったが、人的被害は確認されていない[4]。
- モスクワのソビャーニン市長は、モスクワに近づいた無人機を撃墜したことを明らかにした[4]。この影響で、モスクワのブヌコボ空港の業務が一時的に混乱したという[4]。
- ロシア国営宇宙機関「ロスコスモス」のユーリー・ボリソフ社長は、射程1万1000キロメートル以上で、10以上の核弾頭が搭載可能とされる大型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマート」が実戦配備されたと明らかにした[5][6]。ロシアとしてはウクライナ侵攻を続ける中、ゼレンスキー政権を支援する西側諸国に対して核の威嚇を強め、ウクライナへの支援をけん制する狙いがある[6]。配備の場所など詳細は明らかにされていない[5]。
- ロシアのプーチン大統領は、2022年9月にロシアが一方的に併合したウクライナ東・南部のドネツク州、ルガンスク州、ザポリージャ州、ヘルソン州の開発に向け、今後2年半にロシア連邦予算から1兆9000億ルーブルを充てる方針を表明した[7]。
- ウクライナ軍参謀本部は、ウクライナ軍が南部ザポリージャ州で前進したと発表した[8]。
- ウクライナのハンナ・マリャル国防次官は、ウクライナ軍が南下を図る「ザポリージャ戦線」に兵力を集中させた成果が出始め、一部に数か所ではウクライナ軍がロシア軍の第1防衛線を突破したことを明らかにした[9][10]。その一方で、「第1防衛線の後方にもロシア軍の地雷原やコンクリート製の要塞が控えている」として「わが軍はさらなる前進のために多くの障壁を乗り越えなければならない」と述べた[8][10]。また、「地域によって状況は異なる」とも述べ、苦戦が続く地域があることも示唆した[9]。
- 米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、ロシアが新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマート」を実戦配備したとの情報について、確認する立場にないと述べた[11]。ウクライナ軍の南部での反攻が3か月たってもあまり進展していないとの批判について問われると、ウクライナ側の予想よりペースが遅いことを認めた[12]上で、「過去72時間でザポリージャ地域の進撃線でウクライナ側に進展があったことに注目している」と述べ[8][9][11]、ウクライナ軍が南に向かって反転攻勢を進める中で、「ロシア軍の2番目の防衛ラインに対して、いくつかの戦果を挙げた」としている[13]。この成功をどう生かすかはウクライナ次第だとし「ウクライナ軍がさらに南に進軍するには厳しい戦いが待ち受けている」と語った[8][11]。
- バイデン米政権は、劣化ウラン弾を含む徹甲弾をウクライナに初めて供給する見込みと報じられた[14][15]。来週発表される2億4000万-3億7500万ドル相当の新たな軍事支援に含まれるという[14]。弾薬は米国製戦車「M1エイブラムス」からの発射が可能で、数週間以内にウクライナに届けられるという[14]。イギリスは、3月に主力戦車「チャレンジャー2」の弾薬の一部には劣化ウラン弾が含まれると表明し[14]既に供与している[15]。劣化ウラン弾は貫通力に優れているが、使用された場合に劣化ウランの粉塵が、肺などの臓器に入り込み健康被害が出たり、環境への影響で懸念の恐れがある[14][15]。
- ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、訪米したウクライナ国家汚職防止庁のトップ、セメン・クリボノスらと会談した[16]。ウクライナが進める汚職撲滅に向けた改革について、改めて支持を表明した[16]。サリバン大統領補佐官は、独立した司法機関による汚職追及の重要性を強調した。ウクライナでは今年に入り、軍の食料調達を巡る汚職疑惑が報じられた国防省次官や、人道支援用の自動車を私的流用したと批判された大統領府副長官が解任されるなどした[16]。
- ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、ロシア国内でのドローン攻撃は増加していくとの見方を示し、こうした攻撃が頻発していることはウクライナの戦争が徐々にロシア国内に移行していることを示していると述べた[17]。ウクライナはロシア軍に占領された地域への攻撃を強化しているとし、ロシア国内でも「工作員」や「パルチザン」による攻撃が増加すると指摘した上で「敵対行為が徐々にロシアの領土に移行する段階に入っている」と語った[17]。その上で、ウクライナ軍は前進を続けているとし、欧米からの軍事援助が今後も継続されることを望んでいると述べた[17]。ロシアと和平交渉については、現時点で行わないと表明し「いかなる交渉もウクライナの屈服、そして民主主義世界全体の屈服を意味する」とし、ウクライナに多額の兵器を供与してきた西側の同盟国はロシアに対する妥協はあり得ないと理解していると確信していると語った[17]。
9月2日
- ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍が進展を続けていると述べ、6月に始まった反転攻勢で一定の成果が出ていることを明らかにした[18]。X(旧Twitter)には、「誰が何と言おうと軍は前進している。われわれは活発に動いている」と投稿し、反転攻勢の遅れについて反論している[19]。。
- ロシア国防省は、前夜から未明にかけて、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアとロシア本土を結ぶクリミア大橋を狙って、ウクライナが水上無人機3隻を使い攻撃を仕掛けたが、黒海ですべて破壊したと発表した[20][21][22]。
- ロシア国防省によれば、ウクライナと国境を接しているロシア西部のベルゴロド州に無人機が仕掛けられたが、それについても阻止している[22]。
- ウクライナ南部ヘルソン州のプロクジン知事は、ヘルソン州の村にロシア軍の攻撃によって、誘導弾が民家に当たって、1人が死亡、負傷者が出たと明らかにした[19]。
- ウクライナのメディアは、北東部スームィ州でロシア軍の攻撃によって警察官1人が、東部ドネツク州で攻撃によって夫婦2人がそれぞれ死亡したと報じた[19]。
- 英紙オブザーバーは、戦線を指揮するウクライナのオレクサンドル・タルナフスキー司令官が「我々は第1防衛線と第2防衛線の間にいる」と述べたと報じた[23]。ロシア軍は地雷原などで何重にも防衛線をめぐらせているが、ウクライナ軍が一部で最前線の第1防衛線を突破したことを示す[23]。第2防衛線の地雷原はそれほど整備されていないとも述べたという[23]。
- 米シンクタンク「戦争研究所」は、ロシア軍内部で足並みの乱れが顕著になっていると分析した[23]。
9月3日
- ウクライナ軍によれば、未明にロシア軍がウクライナ南部オデーサ州南部において、3時間半にわたって、無人機を用いて攻撃を行った[24]。ウクライナ軍は、通信アプリテレグラムに、イラン製ドローン「シャヘド」が、この攻撃に投入した25機のうち22機を撃墜したと投稿した[24]。この攻撃でドナウ川の港湾インフラが被害を受けて、少なくとも民間人2人が負傷したという[24]。ウクライナの一部のメディアが報じているところによれば、ドナウ川沿いのレニ港で爆発があったという[24]。
- 諜報機関の情報を相互に提供しあっている「ファイブアイズ」は、3日までに、ロシア軍のハッカーが、ウクライナ軍の兵士が持っているモバイル機器に対し、戦闘作戦などの情報を盗む目的で工作を仕掛けていると警告した[25]。この盗み取った情報は、ロシアにおいてのウクライナの戦略を支えている可能性があり、ウクライナ軍の反転攻勢の進展が遅く、戦いが熾烈を増す時期とも重なっているため、複数のアメリカ政府当局者は、「反攻が数か月経過しても戦場で重要な突破が実現していない」と懸念を示しているという[25]。また、イギリスの国家サイバーセキュリティーセンターの幹部は、このハッキング攻勢について「ロシアがウクライナに仕掛けた不法な戦争がサイバー空間で展開し続けていることを明示している」という声明を明らかにしている[25]。
- ロシア前大統領のドミートリー・メドヴェージェフ安全保障会議副議長は、ロシア東部サハリン州ユジノサハリンスクでの式典で、2023年のロシア軍への入隊者が約28万人に上ると述べた[23]。ロシア軍は兵員を補充するため、志願を前提にした契約軍人の獲得を急いでいる[23]。
脚注
注釈
出典
- ^ "無人機「ロシア国内から」 空港攻撃、輸送機損傷”. 産経ニュース. 産業経済新聞社 (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ “ロシア空港への無人機攻撃、国内から ウクライナ情報局長”. AFPBB News. フランス通信社 (2023年9月1日). 2023年9月1日閲覧。
- ^ "飛行場へのドローン攻撃、ロシア国内から実施 ウクライナ情報機関”. CNN.co.jp (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ a b c d ウクライナが無人機攻撃、西部の原発近郊の町=ロシア州知事”. Reuters (2023年9月1日). 2023年9月1日閲覧。
- ^ a b “核弾頭を10以上搭載できるICBM「サルマート」、ロシアが実戦配備”. 読売新聞オンライン. 読売新聞社 (2023年9月1日). 2023年9月1日閲覧。
- ^ a b “ロシア、新型ICBM実戦配備 ウクライナ侵攻下、核の威嚇強化へ”. 時事ドットコム. 時事通信社 (2023年9月1日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ “ウクライナ併合地域の開発に200億ドルを拠出=プーチン大統領”. Reuters (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ a b c d ウクライナ軍、南部で前進 ロシアの防衛線突破か”. 時事ドットコム. 時事通信社 (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ a b c ウクライナ軍、ザポリージャ州の数か所で第1防衛線を突破…米高官「注目すべき進展」”. 読売新聞オンライン. 読売新聞社 (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ a b ウクライナ「露軍の第1防衛線突破」 米「顕著な前進」”. 産経ニュース. 産業経済新聞社 (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ a b c “米、ウクライナ軍の南部での進展を確認=NSC調整官”. Reuters (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ “ロシア空港への無人機攻撃、国内から ウクライナ情報局長”. AFPBB News. フランス通信社 (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ “ウクライナ南部戦線「注目すべき進展があった」と米高官が明らかに”. TBS NEWS DIG. ジャパン・ニュース・ネットワーク (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ a b c d e “米、ウクライナに劣化ウラン弾供給へ=関係筋”. Reuters (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
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- ^ a b c 米、汚職撲滅へ改革支持 ウクライナ高官と会談”. 産経ニュース. 産業経済新聞社 (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ a b c d “ウクライナ戦争「ロシア国内に移行段階」、攻撃増加へ=大統領府顧問”. Reuters (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ “ウクライナ軍、ザポリージャ州で「第一防衛線」を突破か”. TBS NEWS DIG. ジャパン・ニュース・ネットワーク(2023年9月3日). 2023年9月3日閲覧。
- ^ a b c “ゼレンスキー氏「軍は前進」 反転攻勢遅れ指摘に反論”. 東京新聞. 中日新聞東京本社 (2023年9月3日). 2023年9月3日閲覧。
- ^ “ロシア国防省、クリミア橋狙った「無人艇」攻撃仕掛けられ「すべて破壊」と発表”. TBS NEWS DIG. ジャパン・ニュース・ネットワーク (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ 江渕智弘(2023年9月2日). “クリミア橋に水上ドローン攻撃、いずれも撃退とロシア側”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社 (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ a b ロシアで相次ぐ無人機攻撃 ロシアとウクライナの主張衝突”. NHK NEWS WEB. 日本放送協会 (2023年9月2日). 2023年9月2日閲覧。
- ^ a b c d e f ウクライナ軍、南部ザポリージャ戦線でロシア防衛線の一部突破…英紙報道”. 読売新聞オンライン. 読売新聞社 (2023年9月3日). 2023年9月3日閲覧。
- ^ a b c d ロシアがオデーサに無人機攻撃、ドナウ川の港直撃=ウクライナ”. Reuters (2023年9月3日). 2023年9月3日閲覧。
- ^ a b c ロシア軍ハッカー、狙いはウクライナ兵使うモバイル機器の作戦情報”. CNN.co.jp (2023年9月3日). 2023年9月3日閲覧。