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白山国立公園

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
白山国定公園から転送)
白山国立公園
Hakusan National Park
位山から望む両白山地
位山から望む両白山地
指定区域
富山県石川県福井県岐阜県にまたがる両白山地の主な山域[1]
北緯36度09分18秒 東経136度46分17秒 / 北緯36.15500度 東経136.77139度 / 36.15500; 136.77139座標: 北緯36度09分18秒 東経136度46分17秒 / 北緯36.15500度 東経136.77139度 / 36.15500; 136.77139
分類 国立公園
面積 49,900 ha[2][3][4]
前身 白山国定公園
1955年[3]7月1日[5]
指定日 1962年[6]11月12日[7][8][9]
運営者 環境省
施設 白山国立公園センター
事務所 環境省中部地方環境事務所
事務所所在地 460-0001
愛知県名古屋市中区三の丸二丁目5番2号
公式サイト 白山国立公園(環境省)
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白山国立公園(はくさんこくりつこうえん)は、富山県石川県福井県岐阜県の4県にまたがる白山を中心とした国立公園である。

概要

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ハイマツ帯の弥陀ヶ原から望む白山、周辺の登山道では木道が敷設され踏みつけによる高山植物への保護が行われている。

1955年昭和30年)[3]7月1日白山国定公園として国定公園に指定[5]1962年(昭和37年)[3][6]11月12日に国立公園に変更[7][8][9]。指定面積は49,900 ha[注 1][3][4]、約66 %国有地、約37 %がその特別保護地区になっている。

白山の最高峰である標高2,702 mの御前峰(ごぜんがみね)[4][10][11]を中心に東西約20 km、南北40 kmに及ぶ両白山地の主要な山域が指定区域である。

白山は泰澄によって717年養老元年)に開山し[12][13]832年天長9年)に越前加賀美濃の三方から白山への登拝道(禅定道)が開かれた。

それぞれの禅定道の起点は、平泉寺白山神社白山比咩神社長滝白山神社である[12][13]。白山の山頂には、718年(養老2年)に建立された白山比咩神社の奥宮がある[13][14]

古来から信仰の山とされ、立山富士山とともに日本三霊山とされている[9]。禅定道の一部は現在も登山道として利用されている。

自然

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周辺は日本海側に位置する豪雪地帯であり、白山市と白川村は「豪雪地帯対策特別措置法」により特別豪雪地帯に指定されている。

区域外周辺には多数のスキー場がある。山腹では植林開発がされず、日本有数のブナ林が残されている山域である。室堂の下部付近から上は、森林限界ハイマツ帯となっている。

活火山である白山の山頂部には、翠ヶ池(みどりがいけ)[11][15]、紺屋ヶ池(こんやがいけ)などの大小8個の火口湖や堰止湖がある[15]

室堂周辺などでは雪解けとともに多くの高山植物が次々と開花する。白山は高山植物の宝庫として知られ[11]、『花の百名山』のひとつである[16]

天然記念物

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動植物

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区域内に生息するニホンカモシカ
区域内に生息するニホンカモシカ
白山の高山植物
白山の高山植物

動物

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区域の山腹にはブナ林などの天然林が多く[6]、野生の動物が生息している。2009年平成21年)にはかつては生息していた氷期の生き残りとされる区域で絶滅したライチョウの雌一羽が確認され、北アルプスから飛来したものと推定されている[17]

植物

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区域に生育する多数の植物が、国立公園特別地域内指定植物に指定されている[18]

火山

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白山山頂部にある火口湖の翠ヶ池(みどりがいけ)

白山は活火山であり[13][15]気象庁などが、地震計、空振計、遠望カメラにより火山活動の監視・観測を行っている[20]

現在、火山活動に特段の変化はなく、噴火警戒レベル1(平常)で火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候は確認されていない[21]

区域内には、鳩ヶ湯中宮温泉岩間温泉新岩間温泉などの温泉がある。

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手取川水系の尾添川上流部にある百四丈滝

区域内には日本の滝百選に選定されている「姥ヶ滝」などのがある。

環境保護活動

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周辺ではオオバココマクサなどの外来植物を除去するグリーンワーカー事業として、環境保全事業が行われている[22]。また登山道の入口などで種子防除マットの設置が設置され、入山者数の計測が行われている[23]

石川県道33号白山公園線の市ノ瀬と別当出合の区間では、登山シーズン中の週末などにマイカー規制が行われている。

関連施設

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白山と別山との鞍部に、南竜山荘、南竜ヶ馬場野営場と南竜ヶ馬場ビジターセンターが併設されている。国立公園内ではキャンプ指定地以外での幕営は禁止されている。

白山周辺には以下の施設が開設されていて、石川県白山市木滑ヌ4の白山自然保護センターの本庁舎にて白山国立公園の認可業務などを行っている[24]

  • 白山国立公園センター - 白山市白峰にある白山国立公園を紹介する展示施設。
  • ブナオ山観察舎 - 白山市尾添のニホンカモシカなどの野生動物を観察するための施設。
  • 白山室堂ビジターセンター[11] - 白山の登山者のための収容人数750人の山小屋に併設されている。
  • 南竜ヶ馬場ビジターセンター - 白山と別山との鞍部の南竜山荘と南竜ヶ馬場野営場に併設されている。

ビジターセンター

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利用者数は2008年(平成20年)[25]

センター名 設置者 所在地 利用者数(人)
市ノ瀬ビジターセンター 環境省 石川県白山市白峰ノ35-1 18,813
中宮展示館(白山国立公園中宮温泉ビジターセンター) 石川県白山市中宮オ9 17,838
桂湖ビジターセンター 上平観光開発 富山県南砺市桂 6,115

白山白川郷ホワイトロード

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1977年(昭和52年)8月26日[26]に開通した白山スーパー林道(2015年4月1日に名称を「白山白川郷ホワイトロード」に変更)は、区域を横断する唯一の自動車専用道路である。

地理

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関係市町村

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区域の河川

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庄川水系の大白川の上流部にある白水湖と別山

区域内の主な山

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区域は白山周辺の山域
位山から望む
日照岳から望む
野伏ヶ岳から望む
経ヶ岳から望む

両白山地の白山は石川県の最高峰であり、区域には以下の山がある。

山容 山名 標高
(m)[27][28]
三角点等級
基準点名[27]
白山からの
方角と距離(km)
備考
奈良岳[29] 1,644.33  三等
「三方山」
北 20.8 金沢市の最高峰
大笠山[29] 1,821.84 一等
「大笠山」
北 18.4 日本三百名山
笈ヶ岳[29] 1,841.35 三等
「笈岳」
北 16.0 日本二百名山
三方岩岳[30] 1,736 北北東 13.2 日本三百名山
三方崩山 2,058.82 二等
「三方崩岳」
東北東 8.4
白山
(御前峰)
2,702.17 一等
「白山」
 0 石川県の最高峰
両白山地最高峰[11]
日本百名山
白山釈迦岳[31] 2,053.18 三等
「釈伽岳」
西 3.2
別山 2,399.35 二等
「別山」
南 5.6
三ノ峰 2,128 南 7.5
赤兎山[32] 1,628.66 三等
「赤鬼山」
南西 13.8
経ヶ岳 1,625.20 二等
「経ケ岳」
南西 18.1 日本三百名山
大日ヶ岳 1,708.87 一等
「大日ケ岳」
南南東 18.1 日本二百名山

その他

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2022年令和4年)、国立公園指定から60周年を迎える記念事業として、石川県知事(当時)の馳浩は同年8月3日に別当出合から白山登山を開始した[33][34][35]8月4日に下山して帰路につく予定であったが、大雨に伴い別当出合からのアクセス道路となっている石川県道33号白山公園線が通行止となり足止めとなった[33][34][35]。なお、この日は梯川氾濫緊急安全確保が石川県内で発令されたことにより[34]石川県庁内に災害対策本部が発足したものの、馳は発足時に出席することはできなかった[35]

脚注

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注釈

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  1. ^ 指定当初の面積は47,683ha[8]2012年(平成24年)5月7日官報告示)に福井県勝山市北谷町小原地区の約2,200haが追加指定された[2][3]

出典

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  1. ^ 白山国立公園の区域図” (PDF). 環境省. 2011年12月2日閲覧。
  2. ^ a b 報道発表:白山国立公園の公園区域の拡張及び公園計画の変更について』(プレスリリース)環境省中部地方環境事務所、2012年5月7日https://chubu.env.go.jp/pre_2012/0507a.html2023年2月17日閲覧 
  3. ^ a b c d e f “能登半島、国定公園を拡張 環境省、新たに選定 白山国立公園も候補継続”. 北國新聞. (2022年6月15日). オリジナルの2022年6月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220615172106/https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/768515 2022年10月7日閲覧。 
  4. ^ a b c “福井市から1時間半で登山口、2000メートル級の峰々が広がる白山…「いつかは」でなく今夏に登ってほしい【ふくいのそと遊び】”. 福井新聞ONLINE. (2022年7月1日). オリジナルの2022年7月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220701100250/https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1580378 2022年10月7日閲覧。 
  5. ^ a b 白川村 1998, p. 744.
  6. ^ a b c d e f 昭文社 2021, p. 26.
  7. ^ a b 広報かつやま 第439号” (PDF). 勝山市秘書広報課. p. 2 (1992年6月11日). 2023年2月17日閲覧。
  8. ^ a b c 白川村 1998, p. 747.
  9. ^ a b c “白山・立山・富士山、日本三霊山で連携 石川、富山、静岡3県知事が懇談、合意”. 北國新聞. (2022年7月28日). オリジナルの2022年7月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220728074630/https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/809031 2022年10月7日閲覧。 
  10. ^ 地図閲覧サービス・御前峰”. 国土地理院. 2011年12月3日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g “霊峰白山の美 切手に 各600シート、15日発売”. 北陸中日新聞Web. (2022年7月8日). オリジナルの2022年7月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220708235655/https://www.chunichi.co.jp/article/503803 2022年10月7日閲覧。 
  12. ^ a b 信濃毎日新聞社 2015, p. 119.
  13. ^ a b c d e 昭文社 2021, p. 27.
  14. ^ 奥宮”. 白山比咩神社. 2011年12月3日閲覧。
  15. ^ a b c 信濃毎日新聞社 2015, p. 118.
  16. ^ 田中澄江『花の百名山』文藝春秋、1980年3月、ASIN B000J86YXA頁。 
  17. ^ 白山国立公園でのライチョウの再確認について”. 中部地方環境事務所. p. 8 (2011年6月15日). 2011年7月22日閲覧。
  18. ^ 国立・国定公園特別地域内指定植物” (PDF). 環境省. 2011年12月3日閲覧。
  19. ^ 白山のクロユリ”. 石川県 (2010年11月22日). 2011年12月3日閲覧。
  20. ^ 白山”. 気象庁. 2011年12月3日閲覧。
  21. ^ 白山の火山活動解説資料(平成23年10月)” (PDF). 気象庁 (2011年10月). 2011年12月3日閲覧。
  22. ^ 国立公園内生物多様性保全対策費” (PDF). 環境省. p. 2 (2010年). 2011年12月3日閲覧。
  23. ^ 平成21年度白山国立公園外来植物防除事業・報告書” (PDF). 環境省中部地方環境事務所 (2009年11月). 2011年12月3日閲覧。
  24. ^ 白山国立公園センター”. 石川県. 2011年12月3日閲覧。
  25. ^ 環境省自然ふれあい推進室"表II-9 国立公園内ビジターセンター等利用者数"自然公園等利用者数調(2013年3月18日閲覧。)
  26. ^ 白川村 1998, p. 566.
  27. ^ a b 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2011年12月3日閲覧。
  28. ^ 日本の主な山岳標高”. 国土地理院. 2011年12月3日閲覧。
  29. ^ a b c 信濃毎日新聞社 2015, p. 108.
  30. ^ 信濃毎日新聞社 2015, p. 117.
  31. ^ 信濃毎日新聞社 2015, p. 121.
  32. ^ 信濃毎日新聞社 2015, p. 122.
  33. ^ a b 石川県 馳知事 白山から下山も大雨で登山道の入り口にとどまる”. NHK NEWS WEB (2022年8月4日). 2022年8月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月16日閲覧。
  34. ^ a b c “馳浩・石川知事、白山で孤立状態 県企画で登山中、無事下山したが”. 朝日新聞デジタル. (2022年8月4日). オリジナルの2022年8月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220804233853/https://www.asahi.com/articles/ASQ84524VQ84PISC00B.html 2022年10月7日閲覧。 
  35. ^ a b c “登山中だった馳浩知事、大雨で足止め…雨に関係ないFB投稿は削除”. 読売新聞オンライン. (2022年8月6日). オリジナルの2022年8月6日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220806094337/https://www.yomiuri.co.jp/national/20220806-OYT1T50134/2/ 2022年10月7日閲覧。 

参考文献

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  • 『新編 白川村史 中巻』白川村、1998年3月31日。 
  • 『北陸新幹線沿線百名山』信濃毎日新聞社、2015年3月14日。ISBN 978-4-7840-7261-3 
  • 『石川のトリセツ』昭文社、2021年2月1日。ISBN 978-4-398-14816-2 

関連項目

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外部リンク

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