ゴルゲー
ゴルゲー(古希: Γοργή, Gorgē)は、ギリシア神話の女性である。長母音を省略してゴルゲとも表記される。主に、
の2人とほか数人が知られている。以下に説明する。
ダナオスの娘
[編集]このゴルゲーは、アルゴスの王ダナオスと森のニュムペーのアトランティエーあるいはポイベーから生まれた娘の1人で、ヒッポダメイア、ロディアー、クレオパトラー、アステリアー、同名のヒッポダメイア、グラウケー、ヒッポメドゥーサ、イーピメドゥーサ、ロデーと姉妹。これら10人の娘たちの母親がアトランティエーとポイベーのいずれであるのかは判然としない。彼女たちもダナオスの他の娘たちと同様にアイギュプトスの息子たちと結婚した後に殺害した[1]。
オイネウスの娘
[編集]このゴルゲーは、アイトーリアの王オイネウスとアルタイアーの娘で、テュレウス[2]、メレアグロス、ペーレウス、アゲレーオス、トクセウス、クリュメノス、ペリパース、エウリュメーデー、デーイアネイラ、メラニッペーと兄弟[3]。アンドライモーンとの間に[2][4]、トアースを生んだが[5][6]、カメイロスのペイサンドロスの説によるとゼウスによって娘に恋をするよう仕向けられた父との間にテューデウスを生んだともいわれる[7]。
メレアグロスが死んだとき、彼の母アルタイアーと妻クレオパトラーは自殺した。姉妹たちは悲しみのあまり鳥(ホロホロ鳥)に変ったが[8]、ゴルゲーとデーイアネイラだけは鳥にならなかった[9][10][3]。
オウィディウスによると、アルテミスは彼らの悲劇に満足してゴルゲーとデーイアネイラを除く姉妹たちを鳥に変えた[9]。またゴルゲーとデーイアネイラだけが変身しなかったのはディオニューソスの加護であったともいわれる[3]。
系図
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その他のゴルゲー
[編集]脚注
[編集]参考文献
[編集]- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- アントーニーヌス・リーベラーリス『メタモルフォーシス ギリシア変身物語集』安村典子訳、講談社文芸文庫(2006年)
- オウィディウス『変身物語(上)』中村善也訳、岩波文庫(1981年)
- パウサニアス『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
- ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照夫訳、講談社学術文庫(2005年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、岩波書店(1960年)