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中谷明彦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
なかや あきひこ

中谷 明彦
生誕 (1957-11-03) 1957年11月3日(67歳)
出身校 武蔵工業大学(現東京都市大学
職業 自動車評論家
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2013 SUPERGT Rd,5 Suzuka1000km

中谷 明彦Akihiko Nakaya, なかや あきひこ、1957年11月3日 - )は、日本レーシングドライバーであり、自動車評論家である。

人物

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私立暁星小学校、港区立城南中学校(現港区立六本木中学校)、東京都立八潮高等学校を経て、武蔵工業大学(現東京都市大学工学部機械工学科卒業。

レーシングドライバーの中でも特に理論派として知られ、自らが主催する「中谷塾」ではドライビングテクニックを座学中心に学ぶという従来のレーシングスクール等と一線を画すカリキュラムにより、佐藤琢磨を初めとする多くのドライバーを育てている。

日本でもトップクラスのレーシングドライバーでありながらジャーナリストを兼ねるという稀有な存在であり、日産・GT-Rの開発主管を務めた水野和敏からは、ジャーナリストの中で「(GT-Rを)ちゃんと乗りこなせていたのは中谷明彦氏くらい」と高く評されている[1]

略歴

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高校1年でカートを開始。三好正巳(元ニューズ出版代表、現日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員長)や上野金太郎(メルセデス・ベンツ日本代表取締役社長兼CEO)はこの時代からのグループ仲間。大学在学中にFL-360からFJ1600(デビュー戦ポールポジション)を始め「チームスバル」に抜擢されて多くのレースに参戦。大学卒業後、自動車専門誌の編集部員を経て1985年(昭和60年)にレーシングドライバーとして独立。1987年(昭和62年)に全日本F3でシリーズ5位、翌1988年にはシリーズチャンピオンに輝く。1989年に全日本F3000にステップアップしデビュー3戦目にしてポールポジションを獲得(最速記録)、同年デビューの全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権でもデビューウィンを飾った。1991年(平成3年)にはオートポリスで全日本F3000初優勝。

一方ジャーナリストとしても、1989年より日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員に選ばれるなど、特にスポーツカーの新車インプレッションなどを中心に活躍した。ビデオマガジンベストモータリング」創刊から貢献し「バトル形式」の企画を提案して人気を不動のものとした。

前述の日本国内における実績を買われ、1992年(平成4年)にはF1ブラバムとレギュラードライバーとしての契約を結んだが、当時の国際自動車連盟(FIA)におけるスーパーライセンス発給基準が「実質的に国際F3000に1シーズン出場しているか、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本、南アフリカのF3の現チャンピオンか、前年のF1世界選手権に5回以上スタートしている」となっており、中谷は厳密に言えばライセンス発給基準を満たしていなかったため発給を拒否され[2]、F1に参戦することはできなかった。空いた中谷のシートはジョバンナ・アマティが手に入れ、その後デイモン・ヒルがアマティのシートを手に入れた。ただ中谷のライセンス申請を却下したFIAの判断に対しては、海外のメディアからも疑問符がつけられたことがある[3]

その後はレーシングドライバーとして、スーパー耐久などのツーリングカーレースを中心に活動。三菱・ランサーエボリューションによる参戦は10シーズンに渡り、5度のシリーズタイトル、50勝のクラス優勝を記録し新記録を樹立した。

三菱自動車工業との縁が深く三菱・ランサーエボリューションV以降の開発ドライバーも歴任した。

1997年(平成9年)には「中谷塾」を発足させ、以後若手ドライバーの育成に積極的に取り組んでいる。佐藤琢磨は第一期生。他の受講生には塚越広大井原慶子などがいる。

2007年(平成19年)スーパー耐久第1戦では、雨と霧によるレース時間の遅延によりレースが途中で打ち切られた影響もあって、STクラス2の車として初の総合優勝を果たした。これは本来総合優勝を争うべきSTクラス1の車を全てかわしての優勝であり、非常に珍しい事態であった。

近年は旧車を電気自動車にコンバートする事業を展開。また国土交通省から委託され新燃費基準を策定する委員を務めた。

レース戦績

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  • 1988年 - 全日本F3選手権(シリーズチャンピオン)(#6 COCKPIT ル・ガラージュ RALT RT32 /ラルト・無限MF204)
  • 1989年 - 全日本F3000選手権(#9 Marlboro LOLA T88→Marlboro LOLA T89/ローラT88-50・無限MF-308→ローラT89-50・無限MF-308)(シリーズ10位)
  • 1990年 - 全日本F3000選手権(#9 SUNTORY WEST LOLA/ローラT90-50・無限MF-308)(シリーズ12位)
  • 1991年 - 全日本F3000選手権(#99 TOSTEM LOLA T90/ローラT90-50・無限MF-308)(シリーズ6位)
  • 1992年 - 全日本F3000選手権(#99 TOSTEM LOLA T91→TOSTEM REYNARD92/ローラT91-50・無限MF-308→レイナード92D・無限MF-308)
  • 1993年
    • 全日本F3000選手権(#88 ダンロップ童夢F103i/DOME F103i・無限MF-308)
    • 全日本ツーリングカー選手権(#35 オートテックM3)(クラス2チャンピオン)
  • 1994年
    • 全日本F3000選手権(#5 SSR メイテック DLローラ ローラT94-50・無限MF308)
    • 全日本ツーリングカー選手権(TEAM TAKE ONE #30 綜合警備BMW)(シリーズ20位)
  • 1995年
    • 全日本ツーリングカー選手権(#35 オートテックBMW318i)
    • N1耐久シリーズ・クラス1(プーマレーシングチーム #3 PUMA・GTO)
  • 1996年
    • 全日本ツーリングカー選手権(オートテックレーシングチーム #35 オートテックBMW318i)
    • N1耐久シリーズ(#3 PUMA.GTO)
  • 1997年 - 全日本ツーリングカー選手権(#35 オートテックSTELLER BMW320i)
  • 1998年
    • 全日本ツーリングカー選手権(#11 TRANPIO Zippo Exiv)
    • 全日本GT選手権・GT300クラス シリーズ5位(チーム・ノバ・ラリーアート #61 テイボン・トランピオ・FTO)
    • スーパー耐久・クラス2(プーマレーシングチーム #11 三菱プーマランサーEVOⅤ)
  • 1999年 - 全日本GT選手権・GT300クラス シリーズ6位(TEAM TAEIVON RALLIART #61 テイボン・トランピオ・FTO)
  • 2000年 - 全日本GT選手権・GT500クラス シリーズ23位(HITOTSUYAMA RACING #21 ZEROマクラーレンGTR)
  • 2001年
    • 全日本GT選手権・GT500クラス シリーズ26位(第1~3,5~6戦のみHITOTSUYAMA RACING #21 イエローコーンマクラーレンGTR)
    • スーパー耐久・クラス2(PUMA RACING TEAM #11 三菱PUMAランサーEVOⅦ)
  • 2002年 - スーパー耐久・クラス2(PUMA RACING TEAM #11 三菱PUMAランサーEVOⅦ)
  • 2004年 - スーパー耐久・クラス2(アドバンテージレーシング #11 三菱アドバンテージランサー/ランサーエボリューションⅧ)(シリーズチャンピオン)
  • 2005年 - スーパー耐久・クラス2(オーリンズレーシング #11 オーリンズランサーEVOⅨ)(シリーズ2位)
  • 2006年 - スーパー耐久・ST2クラス(オーリンズレーシング #11 オーリンズ ランサーEVO Ⅸ)(シリーズチャンピオン)
  • 2007年 - スーパー耐久・クラス2(オーリンズ・レーシング #11 オーリンズ・ランサーEVO・MR)(シリーズチャンピオン)
  • 2008年 - スーパー耐久・クラス2(オーリンズ・レーシング #11 オーリンズ・ランサーEVO・MR)
  • 2012年 - SUPER GT・GT300クラス 第5戦鈴鹿1000km・第3ドライバー(#52 GREEN TEC & LEON SLS)
  • 2013年 - SUPER GT・GT300クラス 第5戦鈴鹿1000km・第3ドライバー(#62 LEON SLS)3位
  • 2013年 - ランボルギーニ・スーパートロフェオ アジアンシリーズ(第1戦 上海戦 3位、第2戦 上海戦 2位、第3戦 韓国戦1位)
  • 2014年 - ランボルギーニ・スーパートロフェオ アジアンシリーズ(富士戦 2位)
  • 2015年
    • ランボルギーニ・スーパートロフェオ アジアンシリーズ(富士戦 1位)
    • アジアン・ル・マンシリーズ(富士戦 GT-M 1位)
  • 2017年 - ランボルギーニ・スーパートロフェオ アジアンシリーズ(鈴鹿戦 4位)

全日本F3選手権

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チーム エンジン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 順位 ポイント
1986年 フォルクスワーゲンMS GOLF ラルト フォルクスワーゲン・GX SUZ FSW SUZ
Ret
TSU NIS TSU SEN
C
SUZ
9
SUZ
7
18位 6
1987年 Le Garage Cox Racing Team SUZ
1
TSU
3
FSW
1
SUZ
Ret
SUG
13
SEN
Ret
NIS
15
TSU
3
SUZ
6
SUZ
Ret
5位 70
1988年 無限・MF204 SUZ
7
TSU
8
FSW
3
SUZ
2
SUG
1
TSU
2
SEN
Ret
SUZ
2
NIS
2
SUZ
1
1位 46

マカオグランプリF3

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チーム シャーシー/エンジン 予選 ヒート1 ヒート2 総合順位
1987年 日本の旗 フォルクスワーゲン・ASIAモータースポーツ ラルト・RT30-85 フォルクスワーゲン 30位 台風の影響により1ヒート制で開催 16位

全日本F3000選手権

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チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 順位 ポイント
1989年 Marlboro Team NOVA SUZ
10
FSW
11
MIN
Ret
SUZ
8
SUG
2
FSW
7
SUZ
Ret
SUZ
9
10位 6
1990年 TEAM TAKE ONE SUZ
Ret
FSW
13
MIN
8
SUZ
Ret
SUG
5
FSW
4
FSW
Ret
SUZ
8
FSW
Ret
SUZ
Ret
12位 5
1991年 LE GARAGE COX RACING TEAM + MOON CRAFT SUZ
16
AUT
1
FSW
Ret
MIN
Ret
SUZ
7
SUG
3
FSW
8
SUZ
4
FSW
C
SUZ
Ret
FSW
15
6位 16
1992年 SUZ
Ret
FSW
DNQ
MIN
11
SUZ
Ret
AUT
Ret
SUG
8
FSW
Ret
FSW
9
SUZ
Ret
FSW
Ret
FSW
8
NC 0
1993年 SUZ FSW
17
MIN
Ret
SUZ
10
AUT
C
SUG
11
FSW
C
FSW
Ret
SUZ
15
FSW
Ret
SUZ
14
NC 0
1994年 スピードスターホイールレーシングチーム SUZ
15
FSW
15
MIN
Ret
SUZ
10
SUG
10
FSW
Ret
SUZ FSW FSW SUZ 15位 1

全日本ツーリングカー選手権(JTC)

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チーム 使用車両 クラス 1 2 3 4 5 6 7 8 9 順位 ポイント
1985年 ホンダ・シビック DIV.1 SUG TSU
11
日産・シルビア DIV.2 NIS
2
object T トヨタ・カローラレビン DIV.1 SUZ
2
三菱・スタリオン DIV.3 FSW
4
1986年 STP・ラリーアート DIV.3 NIS
4
SUG
2
TSU
1
SEN
Ret
FSW
Ret
SUZ
3
2位
1987年 DIV.3 NIS
1
SEN
1
TSU
Ret
SUG
6
FSW
5
SUZ
Ret
3位
1988年 JTC-1 SUZ NIS
4
SEN
2
TSU
Ret
SUG
Ret
FSW
4
1990年 ムーンクラフト ホンダ・シビック JTC-3 NIS
1
ナカジマ・レーシング JTC-3 SUG
Ret
SUZ
2
TSU
2
SEN
12
FSW
6
56
1991年 ムーンクラフト JTC-3 SUG
Ret
SUZ
Ret
TSU
2
SEN
3
AUT
3
FSW
8
11位 42
1993年 Auto tech recing BMW・M3 JTC-2 MIN
1
AUT
1
SUG
1
SUZ
1
AID
2
TSU
2
TOK
1
SEN
6
FSW
NC
1位 134

全日本ツーリングカー選手権(JTCC)

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チーム 使用車両 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 順位 ポイント
1994年 TEAM TAKE ONE BMW・318i OAR1
11
OAR2
Ret
SUG1
10
SUG2
Ret
TOK1
13
TOK2
12
SUZ1
Ret
SUZ2
21
MIN1
10
MIN2
5
TAI1
Ret
TAI2
8
TSU1
12
TSU2
Ret
SEN1
10
SEN2
9
FSW1
Ret
FSW2
23
20位 14
1995年 オートテックレーシングチーム FSW1
16
FSW2
Ret
SUG1
Ret
SUG2
Ret
TOK1
5
TOK2
5
SUZ1
8
SUZ2
7
MIN1
4
MIN2
Ret
TAI1
Ret
TAI2
DNS
SEN1
9
SEN2
8
FSW1
Ret
FSW2
14
12位 31
1996年 FSW1
13
FSW2
13
SUG1
7
SUG2
Ret
SUZ1
Ret
SUZ2
Ret
MIN1
17
MIN2
5
SEN1
19
SEN2
1
TOK1
5
TOK2
7
FSW1
9
FSW2
8
10位 40
1997年 オートテックSTELLER FSW1 FSW2 TAI1 TAI2 SUG1 SUG2 SUZ1 SUZ2 MIN1
Ret
MIN2
8
SEN1
Ret
SEN2
DNS
TOK1 TOK2 FSW1 FSW2 17位 3
1998年 Object T トヨタ・コロナEXiV FSW1 FSW2 TRM SUG1
Ret
SUG2
Ret
SUZ1
Ret
SUZ2
6
MIN1
7
MIN2
Ret
TAI
8
FSW
6
9位 32

全日本GT選手権/SUPER GT

[編集]
チーム 使用車両 クラス 1 2 3 4 5 6 7 8 順位 ポイント
1998年 チーム・テイボン・ラリアート 三菱・FTO GT300 SUZ
3
FSW
C
SEN
8
FSW
Ret
TRM
Ret
MIN
6
SUG
2
5位 37
1999年 GT300 SUZ
2
FSW SUG
5
MIN
Ret
FSW
3
TAI
8
TRM
7
6位 42
2000年 HITOTSUYAMA RACING マクラーレン・F1GTR GT500 TRM
14
FSW
11
SUG
Ret
FSW
Ret
TAI
17
MIN
10
SUZ
Ret
23位 1
2001年 GT500 TAI
10
FSW
13
SUG
Ret
FSW TRM
Ret
SUZ
Ret
MIN 26位 1
2012年 GREEN TEC & LEON with SHIFT メルセデス・ベンツ・SLS AMG GT3 GT300 OKA FSW SEP SUG SUZ
Ret
FSW AUT TRM NC 0
2013年 LEON RACING GT300 OKA FSW SEP SUG SUZ
3
FSW AUT TRM NC 0

ル・マン24時間レース

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チーム コ・ドライバー 使用車両 クラス 周回 総合順位 クラス順位
1997年 日本の旗 チーム・ラーク・マクラーレン
イギリスの旗 パラボリカ・モータースポーツ
日本の旗 土屋圭市
イギリスの旗 ゲイリー・アイルズ
マクラーレン・F1 GTR GT1 88 DNF DNF

バサースト1000

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チーム コ・ドライバー 使用車両 クラス 周回 総合順位 クラス順位
1986年 オーストラリアの旗三菱・ラリーアート オーストラリアの旗ブラッド・ジョーンズ 三菱・スタリオン・ターボ B 61 DNF DNF
1987年 オーストラリアの旗ラリーアート・オーストラリア オーストラリアの旗ゲイリー・スコット
オーストラリアの旗ジョン・フレンチ
1 154 5位 4位

脚注

[編集]
  1. ^ 元日産GT-R開発責任者、水野和敏氏に聞く「日産GT-Rの真実」(後編) - CAR Watch・2013年11月7日
  2. ^ 『オートスポーツ 1992年3月15日号』三栄書房、1992年、p.43頁。 
  3. ^ The F1 FAQ - ATLAS F1・1999年7月7日

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]
タイトル
先代
ロス・チーバー
全日本F3選手権
1988年
次代
影山正彦