柳生武芸帳
『柳生武芸帳』(やぎゅうぶげいちょう)は、五味康祐の歴史小説。また、それを原作とした映画、テレビドラマ、漫画。
小説
[編集]1956年から1958年にかけて『週刊新潮』に連載されたが、あまりにも錯綜したストーリーであり、連載中断。その後の作者死去のため未完に終わった。
関連する短編として「火と剣と女とー柳生武芸帳外伝」がある(『無明斬り』河出文庫に収録)。
続編として1962年1月から122回『週刊新潮』に連載された作品『柳生石舟齋』は、作者の存命中に単行本化がされず、2020年代にようやく出版がされた。
- 『柳生石舟齋』全4巻 捕物出版 2022-2023
刊行本
[編集]- 柳生武芸帳 全7巻 新潮社
- 巻之1 陰流 (1956年)
- 巻之2 翁陰し (1956年)
- 巻之3 間遠渡り (1957年)
- 巻之4 花車 (1957年)
- 巻之5 緋鯉 (1958年)
- 巻之6 鷹と雀 (1958年)
- 巻之7 高麗直刀 (1959年)
- 柳生武芸帳 上中下巻 新潮文庫 1962
- 五味康祐選集 第1-第4 柳生武芸帳 徳間書店 (1966年)
- 日本伝奇名作全集 第12 (五味康祐) 柳生武芸帳 番町書房 1970
- 柳生武芸帳 天の巻/地の巻 広済堂出版 1972
- 時代ロマン名作文庫 3-4 柳生武芸帳 番町書房 1976
- 五味康祐代表作集〈第3-4巻〉柳生武芸帳 (1981年)
- 柳生武芸帳 上下巻 新潮文庫 1993/5/15
- 柳生武芸帳 新潮社 1993/12
- 柳生武芸帳 上下 文春文庫 2006/4/7
映画
[編集]東宝製作版
[編集]1957年から1958年にかけ、三船敏郎主演により東宝製作で映画化され、2作品が公開された。
シリーズ
[編集]- 『柳生武芸帳』
- 霞の千四郎:鶴田浩二
東映製作版
[編集]1961年から1964年にかけ、近衛十四郎主演により東映製作(1961年のみニュー東映)で映画化され、9作品が公開された。「柳生一番勝負 無頼の谷」と「十兵衛暗殺剣」はどちらも原作者は五味康祐ではないため、本来ならば同一主人公の別作品と言うことになるが、東映は2作品ともシリーズに含めている[1]。 山根貞男は東宝版が原作通りに霞の多三郎・千四郎兄弟を主人公にしているのに対し、東映版が十兵衛を主人公にしていること等から、「正しくは『近衛十四郎による柳生十兵衛』シリーズというべきかもしれない」と評している[2]。
シリーズ
[編集]- 柳生武芸帳 夜ざくら秘剣
- 1961年3月19日公開
- 監督:井沢雅彦
- 脚本:結束信二
- 音楽:阿部皓哉
- 出演
※シリーズで唯一、原作者の名前がない。
- 出演
- 柳生十兵衛:近衛十四郎
- 疾風の丑之助:山城新伍
- おもん:久保菜穂子
- 小弓:中里阿津子
- 猿の伝吉:立原博
- 秋月隼人正:徳大寺伸
- 菊乃:八汐路佳子
- 源左衛門:伊沢一郎
- 喜内:矢奈木邦二郎
- 一郎太:佐藤洋
- 五平:富家賢次
- 諏訪信濃守:三島謙
- 三田村内膳:原田甲子郎
- 大田黒刑部:富田仲次郎
- 大田黒陣十郎:戸上城太郎
- 有馬兵衛:加藤浩
- 鬼倉大機:雲井三郎
- 天堂梅軒:阿波地大輔
- 玄琢:晴賀俊介
- 鬼百合の亭主:源八郎
- お秋:春川ますみ
- 武芸者風の侍甲:鈴木金哉
- 武芸者風の侍乙:有川正治
- 少年時代の丈太郎:松田金次郎
- 伝令:舟越正雄
- およし:富永佳代子
- おまち:双葉香
- おとき:富士薫
- おすず:吉井鏡子
- おちよ:松川純子
- 秋月又七郎:里見浩太朗
- 柳生武芸帳 片目の十兵衛
- 1963年2月23日公開
- 監督:内出好吉
- 脚本:高田宏治
- 音楽:阿部皓哉
- 出演
- 柳生武芸帳 片目水月の剣
- 1963年5月25日公開
- 監督:長谷部安人
- 脚本:高田宏治
- 音楽:阿部皓哉
- 出演
- 柳生武芸帳 剣豪乱れ雲
- 1963年8月7日公開
- 監督:内出好吉
- 脚本:高田宏治
- 出演
- 柳生武芸帳 片目の忍者
- 1963年12月21日公開
- 監督:松村昌治
- 脚本:高田宏治
- 音楽:阿部皓哉
- 出演
- 十兵衛暗殺剣
- 1964年10月14日公開
- 出演
テレビドラマ
[編集]1965年
[編集]1965年1月10日から7月4日までNET系列(現・テレビ朝日)にて毎週日曜午後9時30分からの1時間枠で放送。全26回。東映の映画版に引き続き、近衛十四郎が十兵衛を演じた。
スタッフ
[編集]- 脚本:結束信二、吉田哲郎、森田新
- 演出:小野登
- 企画:上月信二、宮川輝水
- 制作:NET、東映京都テレビプロダクション
キャスト
[編集]NET系 日曜21:30 - 22:30枠 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
柳生武芸帳
(1965年版) |
新選組血風録
(第1シリーズ) |
1985年
[編集]1985年1月2日、テレビ東京の12時間超ワイドドラマとして放送。
1990年-1992年
[編集]1990年から1992年にかけて、日本テレビのスペシャルドラマとして5作放送。主演は松方弘樹。
- 柳生武芸帳 京に渦巻く大陰謀!十兵衛と謎の姫君
- 1991年4月1日放送
- 脚本:鈴木則文、大津一瑯
- 演出:舛田利雄
- 音楽:横山菁児
- 出演
- 柳生武芸帳 十兵衛あばれ旅
- 1991年10月1日放送
- 脚本:志村正浩、大津一瑯
- 演出:原田雄一
- 音楽:横山菁児
- 出演
- 柳生武芸帳 十兵衛あばれ旅 伊達六十二万石の陰謀
- 1992年4月8日放送
- 脚本:鈴木則文、志村正浩
- 監督:江崎実生
- 音楽:横山菁児
- 出演
2010年
[編集]- 2010年1月2日の午後4時から午後10時54分までテレビ東京系列の「新春ワイド時代劇」として放送。テレビ東京開局45周年記念番組。
- 今回は、前年までの10時間の放送から7時間の放送に短縮になった[3]。
- 今回はヤマダ電機がスポンサーにつき、「YAMADA新春ワイド時代劇」の冠がついた。
- 柳生一族が、新春ワイド時代劇の主役に登場するのは『風雲 柳生武芸帳』(1985年)、『徳川武芸帳 柳生三代の剣』(1993年)に続き3度目。
- 上記『風雲 柳生武芸帳』の25年ぶりのリメイク作品となる[4]。
- 「新春ワイド時代劇」シリーズでリメイク作品が登場するのは4作目で、最後となった。また同シリーズで東映による2作目の制作作品であり、東映制作作品も本作で最後となった[5]。
スタッフ
[編集]- 監督:山下智彦、猪崎宣昭
- 脚本:古田求[6]
- 音楽:山下康介
- ED:ロッド・スチュワート「キープ・ミー・ハンギング・オン」
- 操演:夏山剛一
- 技斗:清家三彦
- ロケ協力:山口県フィルムコミッション、美祢市、秋吉台 ほか
- チーフプロデューサー:佐々木彰
- プロデュース:只野研治、山鹿達也、小林由幸、和佐野健一
- 製作:テレビ東京、東映
キャスト
[編集]- 柳生十兵衛:反町隆史
- 柳生又十郎:速水もこみち
- 夕姫:逢沢りな
- 霞多三郎/千四郎:山本太郎(二役)
- 中ノ院大納言通村:京本政樹
- 於季:国分佐智子
- あざみ:青山倫子
- 賀源太:徳井優
- 徳川家光:徳山秀典
- 板倉重宗:大橋吾郎
- 早川仁左衛門:金山一彦
- 狭川新九郎:藤堂新二
- 谷田部勝重:石山輝夫
- 平野内記:谷口高史
- 旅の女:上原美優
- 谷田部の部下:福本清三
- 石田三成:木崎浩之
- 高田三之丞:峰蘭太郎
- 川野黎左衛門:吹越満
- 宮本武蔵:宅麻伸[7]
- 春:羽田美智子
- 松平伊豆守:風間トオル
- 神矢悠之丞:内田朝陽
- 藪左中将嗣長:篠井英介
- 葉室少将教平:斉木しげる
- 寺沢半平:羽場裕一
- 柳生兵庫介:松平健
- 山田浮月斎:松方弘樹
- 大久保彦左衛門:寺田農
- 徳川家康:石橋蓮司
- 桔梗:菊川怜
- 春日局:高島礼子
- 柳生但馬守宗矩:高橋英樹
- ナレーター: 遠藤憲一
ほか
サブタイトル
[編集]各話 | 時刻 | タイトル | 視聴率 |
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第一部 | 16:00~17:50 | 激震!江戸城武芸帳強奪 | |
第二部 | 17:50~19:55 | 武蔵対柳生!尾張の対決 | 6.6% |
第三部 | 19:55~22:48 | 天下騒乱-十兵衛が斬る! | 6.4% |
放送分:408分[8]。放送時間が短縮されたこともあって、前年まで行われていた各部の切れ目でのミニ番組の挿入などのない、全3部体制となった。
系列局外での放送
[編集]- 宮崎放送では、2010年2月25日より3月5日まで月曜から金曜の午後4時53分から午後5時48分までの時間帯で放送。
- 石川テレビでは、2010年4月13日より5月4日まで月曜と火曜の午後2時5分から午後3時までの時間帯で放送。
漫画
[編集]- 柳生武芸帳 天の巻・地の巻 貝塚ひろし 講談社 (KCデラックス) 1992/7/1
脚注
[編集]- ^ [1] 但し、『十兵衛暗殺剣』が何故か11作目ということになっている。これは過去に出たビデオの解説でも同様である。
- ^ 「集団抗争時代劇」、『活劇の行方』(草思社刊)収録。尚、該当箇所は『日本カルト映画全集2 十七人の忍者』(ワイズ出版刊)への再録部分でも読むことが出来る
- ^ 放送枠7時間はテレビ東京系列のリモコンキーID「7チャンネル」に因んだもの。視聴環境の変化への対応などのために、放送時間が一挙に3時間あまり短縮された。シリーズ継続のため繰り返し行われた時間短縮の中でも最大幅だった。
- ^ 同シリーズの中で、オリジナル作品とリメイク作品の間隔が最も長い作品となった。
- ^ 本作の後、東映はシリーズ最終作となった『信長燃ゆ』(2016年作品)を制作しているが、同作は3時間枠で番組名も「新春時代劇」に変更されていた。
- ^ 2000年作品から、同シリーズ松竹製作作品を3作執筆していたが、今回は東映製作作品に招かれた。
- ^ 同シリーズの1996年作品『徳川剣豪伝 それからの武蔵』(主演:北大路欣也)では佐々木小次郎を演じていた。
- ^ 前年作のドラマ放送分:585分と比較すると大鉈が振るわれた様子が窺える。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]テレビ東京 新春ワイド時代劇 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
寧々〜おんな太閤記
(2009年) |
柳生武芸帳
(2010年) |
戦国疾風伝 二人の軍師
秀吉に天下を獲らえた男たち (2011年) |