「鉄道ファン」の版間の差分
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{{Otheruses|一般的内容|同名の雑誌|鉄道ファン (雑誌)}} |
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{{半保護}} |
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{{複数の問題|出典の明記=2011年11月 |
{{複数の問題 |
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|出典の明記=2011年11月 |
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|独自研究=2011年11月 |
|独自研究=2011年11月 |
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|百科事典的でない=2019年10月4日 (金) 09:12 (UTC) |
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'''鉄道ファン'''(てつどうファン)とは、[[鉄道]]、またはこれに関する事象を対象とする[[趣味]]('''鉄道趣味''')を持っている人のことである。 |
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[[ファイル:Tetsudo-Fun by 2016.jpg|450px|サムネイル|いわゆる「撮り鉄」の例([[豊田車両センター]])]] |
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[[ファイル:Mt Fuji Tokaido Shinkansen & Photographer.jpg|サムネイル|[[東海道新幹線]]を撮影する写真家]] |
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[[File:Tetsudo Fun 1.png|300px|thumb|列車を撮影する鉄道ファン([[カシオペア (列車)|カシオペア]])]] |
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{{読み仮名_ruby不使用|'''鉄道ファン'''|てつどうファン}}、[[英語]]:railroad fan)とは、日本において、[[鉄道]]に関する[[趣味]]('''鉄道趣味''')を持っている人のことである。鉄道の[[ファン]]。 |
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[[File:Railfantokyo.jpg|300px|thumb|イベントに集まる鉄道ファン([[東京総合車両センター]])]] |
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鉄道を「鉄」と略して、各人こだわりがある分野・活動によって「[[鉄道旅行|乗り鉄]]」「[[鉄道撮影|撮り鉄]]」「[[鉄道模型|模型鉄]]」<ref name="マイナビニュース20130729">[https://news.mynavi.jp/article/noritetsu-1/ 乗り鉄入門:第1回 そもそも「乗り鉄」ってどんな趣味?] [[マイナビニュース]](2013年7月29日)2022年10月19日閲覧</ref>と呼んだりすることもある(「[[#鉄道趣味の分野|鉄道趣味の分野]]」「[[#鉄道ファンの概要|鉄道ファンの概要]]」節で詳述)。 |
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以下特記が無い限り日本国内の状況について説明する。 |
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== 鉄道趣味の分野 == |
== 鉄道趣味の分野 == |
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{{ |
{{未検証|section=1|date=2009年12月}} |
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以下は鉄道趣味とされる趣味の例である。それぞれの分野に熱中するファンは、 |
以下は鉄道趣味とされる趣味の例である。それぞれの分野に熱中するファンは、カッコ内に示すような愛称・俗称で呼ばれることがある。 |
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=== 車両研究 === |
=== 車両研究 === |
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* [[鉄道車両|車両]]研究( |
* [[鉄道車両|車両]]研究(車両鉄)- コアなファン層を形成しており、[[鉄道雑誌の一覧|鉄道趣味誌]]にもこの層をターゲットにした記事が多い。 |
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** 車両分類 |
** 車両分類 - 各系列・形式の特徴を詳細に把握 |
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** 車歴 |
** 車歴 - ある特定車両の改造遍歴や所属履歴を追跡 |
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** [[装置]] |
** [[装置]] - 走行のための[[電装]]や[[内燃機関]]、[[鉄道車両の台車|台車]]、[[集電装置]]等の性能比較・研究 |
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** [[内装]] |
** [[内装]] - [[鉄道車両の座席|座席]]配置や室内快適性を検討 |
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** [[編成 (鉄道)|編成]] |
** [[編成 (鉄道)|編成]] - 過去及び現在の列車編成の把握) |
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=== 鉄道写真 === |
=== 鉄道写真 === |
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[[File:Railfantokyo.jpg|thumb|鉄道イベントでの撮影]] |
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* [[鉄道撮影]](〔撮り鉄〕) |
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* [[鉄道撮影]](撮り鉄)- 鉄道車両やその関連施設などを撮影、取材 |
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** 形式写真 (車両研究・模型製作資料などの目的もある) |
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** [[鉄道車両]] |
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** 走行写真 |
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** [[鉄道施設]] |
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** 鉄道と風景、鉄道のある風景、旅情に重きを置いた写真 |
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* [[ |
** [[風景写真]] |
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=== 録音・音響研究 === |
=== 録音・音響研究 === |
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* [[音声]]・[[音響]]研究(録り鉄<ref name="マイナビニュース20130729"/>・音鉄)- 鉄道にかかわる音声を録音、比較 |
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** [[発車メロディ|発車メロディ・ベル]] |
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* [[音声]][[音響]]研究(〔音鉄〕・〔録り鉄〕) - 鉄道にかかわる音声を録音、比較、評価 |
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** [[発車メロディ|発車メロディ(ベル)]] |
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** [[車内放送]] |
** [[車内放送]] |
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**[[駅自動放送]] |
** [[駅自動放送]] |
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** [[走行音]] |
** [[走行音]] |
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** [[警笛]] |
** [[警笛]] |
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** 機器動作音 |
** 機器動作音 |
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=== 鉄道模型 === |
=== 鉄道模型 === |
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[[ファイル:Ginzarailwaymodelshow06.jpg|サムネイル|メーカーによる鉄道模型の展示]] |
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{{See|鉄道模型}} |
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* [[鉄道模型]]の製作や収集(模型鉄) - 鉄道車両や関連施設の模型の製作、収集 |
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** 鉄道模型の製作。 |
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** [[製造業|メーカー]]製造による鉄道模型の購入。 |
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** [[ジオラマ]] |
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** [[ディテールアップ]] |
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=== コレクション === |
=== コレクション === |
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* コレクション( |
* コレクション(収集鉄)- 鉄道に関する物品の収集 |
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** [[乗車券|切符]] |
** [[乗車券|切符]] |
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** [[駅スタンプ]] |
** [[駅スタンプ]] |
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** [[鉄道車両]]や各種 |
** [[鉄道車両]]や各種設備の部品など |
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=== 旅行・乗車 === |
=== 旅行・乗車 === |
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* [[鉄道旅行]]( |
* [[鉄道旅行]](乗り鉄・旅鉄) |
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** [[完乗 |
** 鉄道路線の[[完乗|乗り潰し]] |
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** かぶりつき - [[操縦席#鉄道車両の運転席・運転台|運転席]]の後ろで前面展望を楽しむ |
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** [[青春18きっぷ]]など、乗り放題切符の旅 (低予算で各地を回る旅行) |
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** |
*** [[展望車|展望ビデオ]](運転席から撮影したビデオで前面展望を楽しむ) |
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* [[途中下車]]の旅、[[下車|全駅下車]](降り鉄) |
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*** [[展望ビデオ]] (運転席から撮影したビデオで手軽に前面展望を楽しむ) |
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* [[駅弁]]の探訪・掛け紙の収集(駅弁鉄) |
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* [[途中下車]]の旅、[[全駅下車]](〔降り鉄〕) |
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** [[立ち食いそば・うどん店|駅そば・うどん店]]の探訪 |
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*: 駅を途中下車し、駅周辺を散策したり、観光名所に行く。 |
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* [[駅弁]]探訪・ラッピング収集(〔駅弁鉄〕) |
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** [[立ち食いそば・うどん店|立ち食いそば]]の食べ比べ |
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=== 時刻表・駅研究 === |
=== 時刻表・駅研究 === |
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* [[時刻表]]収集・[[ダイヤグラム]]分析( |
* [[時刻表]]収集・[[ダイヤグラム]]分析(時刻表鉄) |
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* [[鉄道駅|駅]]研究 |
** [[鉄道駅|駅]]の構造研究 |
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** 駅の構造研究 |
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** 駅名研究 |
** 駅名研究 |
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** 駅 |
** 駅巡り・全駅制覇 |
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** [[駅名標 |
** [[駅名標]]撮影 |
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**時刻表の時間を元に走行中の場所を突き止め、車窓を妄想する。 |
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** [[推理小説]] - 時刻表トリックを多用する小説家の[[西村京太郎]]は、鉄道ファンの興味を引くミスのあった作品が口コミにより売れたため、担当の編集者から1作に1箇所はミスを入れて欲しいと依頼があったという<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/276334?page=5 愛用の時刻表はどれ?「西村京太郎」創作の秘密 誰もが知りたかった疑問を鉄子が直撃] [[東洋経済新報社|東洋経済]]オンライン(2019年4月27日)2022年10月19日閲覧</ref>。 |
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=== |
=== 施設設備・運転業務研究 === |
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* 鉄道業務・設備の研究 |
* 鉄道業務・設備の研究 |
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** 運用 |
** [[運用 (鉄道)|運用]] - どの列車にどの編成や車両が使用されているか、どこで切り離されるかなどの情報把握 |
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** 配線 |
** 配線 - [[線形 (路線)|線形]]や[[分岐器]]の配置、[[車両基地]]・[[橋梁]]・[[トンネル]]など線路周辺設備の把握 |
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** [[鉄道施設]] |
** [[鉄道施設]] - [[軌条|レール]]や軌道構造物・橋梁・トンネルなどの撮影・研究 |
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** [[駅務機器]] - [[マルス (システム)|マルス端末]]、[[自動券売機]]、[[自動改札機]]などの調査研究 |
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** [[軌条|レール]](主に分岐器)の撮影など |
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* [[鉄道無線]]の受信や研究 |
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** [[駅務機器]]([[マルス (システム)|マルス端末機]]など)の調査研究 |
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** [[鉄道工学]]の調査研究 |
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** [[自動列車保安装置|保安装置]]、鉄道の安全にかかわる研究 |
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=== 鉄道関連法規・規則研究 === |
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* [[鉄道要覧]]の研究 |
* 『[[鉄道要覧]]』の研究(法規鉄) |
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* 鉄道会社の発行する[[有価証券報告書]]の研究 |
* 鉄道会社の発行する[[有価証券報告書]]の研究 |
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* [[旅客営業規則]]や[[旅客営業取扱基準規程]]研究 |
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* [[保存鉄道]] |
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* [[鉄道事業会計規則]]研究 |
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** [[廃線跡]]・[[未成線]]探訪 |
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* 鉄道業務の研究 |
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** 運転業務の調査研究 |
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** 鉄道に関する規則の研究 |
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** [[旅客営業規則]]・[[旅客営業取扱基準規程]]研究 |
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** [[鉄道事業会計規則]]研究 |
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** [[鉄道無線]]の受信や研究 |
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* [[鉄道工学]]の調査研究 |
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** [[自動列車保安装置|保安装置]]、鉄道の安全にかかわる研究 |
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* 鉄道に関わる法規の研究 |
* 鉄道に関わる法規の研究 |
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** 運転[[シミュレーションゲーム]](例:[[電車でGO!]]、[[Train Simulator (音楽館)|Train Simulator]]、[[BVE Trainsim]]) |
** 運転[[シミュレーションゲーム]](例:[[電車でGO!]]、[[Train Simulator (音楽館)|Train Simulator]]、[[BVE Trainsim]]) |
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** 経営シミュレーションゲーム(例:[[A列車で行こうシリーズ|A列車で行こう]]、[[Simutrans]]) |
** 経営シミュレーションゲーム(例:[[A列車で行こうシリーズ|A列車で行こう]]、[[Simutrans]]) |
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* 創作 |
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* 鉄道[[同人誌]] - 鉄道研究会の会誌に端を発する。各カテゴリにおける成果発表という面のほかに、鉄道を題材とした[[漫画]]・[[小説]]・[[随筆]]等の制作がある。 |
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: 鉄道を題材とした[[漫画]]・[[小説]]・[[随筆]]等の制作。鉄道研究会の会誌や個人の[[同人誌]]では研究成果([[ノンフィクション]])と並んで発表される。 |
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* 架空鉄道(想像上の鉄道路線を作る) |
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: 鉄道[[絵画]](描き鉄) - 車両や駅舎の絵画を描く。絵画の技量が必要なこともあり少数派だという<ref>[https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201811/20181117_13051.html <杜の都のチャレン人>絵を通じ人と人連結 鉄道復興を支援する「描き鉄」]{{リンク切れ|date=2022年10月}}[[河北新報]]</ref>。 |
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* [[鉄道事業者|鉄道会社]]への[[株式投資]] - 株主優待券入手やグッズ入手が主目的 |
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: 架空鉄道<ref>一例として:[https://www.asahi.com/articles/ASN1K4TNNN1KUBNB00M.html 弘前市に「空想」の地下鉄路線図 大学生が考案、話題に] [[朝日新聞デジタル]](2020年1月30日)2022年10月19日閲覧</ref> - 想像上の鉄道路線や時刻表、車両を創作する。 |
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: [[鉄道事業者|鉄道会社]]への[[株式投資]] - 株主優待券や限定グッズの入手が主目的だが応援目的の者もいる。 |
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=== 鉄道趣味サークル === |
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* [[未成線]]や[[廃線跡]]、[[廃駅]]の探訪 |
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鉄道趣味に関するサークルが数多く存在する。 |
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* [[保存鉄道|鉄道車両や施設の保存]] |
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== 鉄道ファンの構成・特徴 == |
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=== 年代 === |
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鉄道趣味サークルの代表的なものが、学校のサークル活動・部活動の一つである鉄道研究部・研究会である{{要出典|date=2009年12月}}。元部員・会員を中心に略して「鉄研」とも呼ぶ。<!--[[川島令三]]が芦屋高校鉄道研究部の立ち上げ人であり、[[東海大学]]鉄道研究会出身ではあるが、下記に挙げた鉄道ファンの著名人すべてが鉄道研究部・研究会の類に入っていたわけではない。-->活動中・休部中問わず全国の大学・高等学校・中学校にある鉄道研究部・研究会の数は数えるのが困難なほど多い。 |
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[[File:ママ鉄.jpg|thumb|親子で撮影を楽しむ「ママ鉄・親子鉄」]] |
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年代層は青少年から高齢者まで幅広い。父親または母親あるいは双方が鉄道ファンであり、子供が両親の影響を受けて鉄道ファンになるという例も多い。逆に、子供を授かるまで鉄道にそれほど興味を示さなかった人が、子供と一緒に鉄道趣味を楽しむことで鉄道ファンになる場合もある。母子で鉄道ファンである場合「'''ママ鉄'''」「'''親子鉄'''」と称されることがある。 |
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=== 集団 === |
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全国的な学校・サークルの連合組織といったものは日本には少ないが、神奈川県には、神奈川県高等学校文化連盟の一組織として、神奈川県高等学校鉄道研究部連盟(神奈川県高鉄連)があり<ref>[http://khto.web.fc2.com/ 神奈川県高鉄連]</ref>、神奈川県内の高校の鉄道研究部等が加盟している。また、毎年行われる神奈川県高等学校総合文化祭において鉄道研究発表会を実施している。 |
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==== 学校鉄道研究部・研究会 ==== |
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学校のサークル活動・部活動の一つとして鉄道研究部・研究会などが存在する。全国的な学校・サークルの連合組織は日本には運動系以外は少ない。[[神奈川県]]には、神奈川県高等学校文化連盟の一組織として、神奈川県高等学校鉄道研究部連盟(神奈川県高鉄連)があり<ref>[http://khto.web.fc2.com/ 神奈川県高鉄連]</ref>、神奈川県内の高校の鉄道研究部等が加盟している。また、毎年行われる神奈川県高等学校総合文化祭において鉄道研究発表会を実施している。 |
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大学生においては、「関西学生鉄道研究会連盟(関西学鉄連)」が存在している。この種の組織はかつて日本各地にあった |
大学生においては、「関西学生鉄道研究会連盟(関西学鉄連)」が存在している。この種の組織はかつて日本各地にあった。各サークル自体の人数が非常に少ないためにサークル自体が廃部になり、連盟も事実上解散している場合がある。2010年12月には、千葉県にある5大学が加盟する「ちば学生鉄道研究会連合」が新たに発足し、2013年には関東学生鉄道研究会連盟(関東学鉄連)が再起した<ref>[http://kantosrcl.blog.fc2.com/ 関東学鉄連公式ブログ]より</ref>。 |
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鉄道研究部の活動は各校異なるが、おおむね以下のようなものがある。 |
鉄道研究部の活動は各校異なるが、おおむね以下のようなものがある。 |
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* 部誌制作およびそのための取材活動 |
* 部誌制作およびそのための取材活動 |
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* 合宿・旅行(この旅行記を部誌の中心に置いている場合もある) |
* 合宿・旅行(この旅行記を部誌の中心に置いている場合もある) |
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* 学園祭・文化祭における出展・研究発表 |
* [[学園祭]]・文化祭における出展・研究発表 |
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学校レベルでの部誌の中には、一般書店の鉄道コーナーで販売されるものもある。部誌は白黒の単色刷りのものが多いが、一部にカラー刷りのものもある。研究発表活動は、取材の成果(写真・データなど)や鉄道模型の展示などが基本である。 |
学校レベルでの部誌の中には、一般書店の鉄道コーナーで販売されるものもある。部誌は白黒の単色刷りのものが多いが、一部にカラー刷りのものもある。研究発表活動は、取材の成果(写真・データなど)や鉄道模型の展示などが基本である。 |
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特に長い歴史と多大な活動実績を持つ鉄道研究部の中には、 |
特に長い歴史と多大な活動実績を持つ鉄道研究部の中には、鉄道趣味雑誌から記事執筆の依頼を受けるものもある。 |
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鉄道ファンが悪いイメージに思われている中、{{要出典範囲|乗客への態度・人当たりを大幅に改善し、乗客と旅の思い出に残るような交流を行い、 |
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好評を博していることがある。さらには、乗客が複数人の一行で乗車した時に、一行の中で誰かがその一行の写真を撮っている時には一言声をかけて、その一行全員で写る形の、写真撮影代行サービスも展開している会がある。しかしながら、全国的には滅多に例が少なく、このような取り組みは広まっていない|date=2009年12月}}。 |
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<!--通常、会員はその学校の学生・生徒に限定され、その学校の教職員が顧問を務める。学生時代に会員であった学校出身者によるサークルが存在することもある(例:赤門鉄路クラブ)。--> |
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<!--鉄道に限らず一般の学校の部活・サークルとはそういったものでしょう。何をもって書く必要があるか疑問--> |
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==== 一般鉄道サークル ==== |
==== 一般鉄道サークル ==== |
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ある一つの学校の学生・生徒だけで構成される学校鉄道研究会だけではなく、一般に入会希望者を募り、活動している鉄道サークルもある。代表的なもので[[鉄道友の会]]や鉄道資料交換会 |
ある一つの学校の学生・生徒だけで構成される学校鉄道研究会だけではなく、一般に入会希望者を募り、活動している鉄道サークルもある。代表的なもので[[鉄道友の会]]や鉄道資料交換会(RSEC)、Rail-On([[東日本旅客鉄道|JR東日本]]公認の[[ファンクラブ]]・2008年に解散)など。 |
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これらは貸切列車を仕立てた大規模な懇親イベントや鉄道模型の運転会、あるいは貴重な歴史的鉄道車両の保存・維持管理など、個人では不可能な活動を実現することを活動の目的としていることが多い。 |
これらは貸切列車を仕立てた大規模な懇親イベントや鉄道模型の運転会、あるいは貴重な歴史的鉄道車両の保存・維持管理など、個人では不可能な活動を実現することを活動の目的としていることが多い。 |
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==== 鉄道高校(鉄道学校) ==== |
==== 鉄道高校(鉄道学校) ==== |
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鉄道について学ぶ学校([[鉄道学校]])がある。[[東京都]]には[[昭和鉄道高等学校]]、[[岩倉高等学校]] |
鉄道について学ぶ学校([[鉄道学校]])がある。[[東京都]]には[[昭和鉄道高等学校]]、[[岩倉高等学校]]など鉄道関係の学科を持つ[[高等学校]]が存在する。高校の授業として鉄道が学べることや、在学中に[[JR]]・[[私鉄]]駅での実習や[[アルバイト]](私鉄のみ)までできること、鉄道関係各社局への就職率が高い等の理由で鉄道ファンの生徒も多い。東京近郊から遠く離れた地方から受験し入学する生徒もいる。ただし、これらの学校に入学できたからといって必ずしも鉄道事業者等へ就職するわけでなく(希望が叶わなかったり、もしくは逆に本人希望で)、卒業後に鉄道以外の分野の職業に就いたり、[[大学]]や[[短期大学]]、[[専門学校]]に進学したりする者も多い。 |
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=== 呼称 === |
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== 鉄道ファンの使う道具 == |
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日本における「鉄道ファン」に対する呼称は一様ではなく、時代や文脈によって様々に分かれている。以下、呼称について各呼称ごとにその由来・時代変遷を述べる。 |
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=== 時刻表 === |
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鉄道ファンにとって時刻表とは、単に時刻を調べるための道具にとどまらず、様々な使用法がなされる。主なものは以下のとおり。 |
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;鉄道ファン |
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* 時刻表を見て、架空の旅行計画を立てる(机上旅行) - 沖縄県を除いた46[[都道府県]]([[沖縄都市モノレール]]が2003年開業したので[[航空機]]を入れてここを含めて全部にする者もいる)の[[都道府県庁所在地]]をいかに早く周るかや、いかにJR最南端の[[西大山駅]]から最北端の[[稚内駅]]まで行くか等がある。 |
|||
:無難な呼称。「鉄道マニア」の「[[マニア]]」という言葉が時代と共に次第に蔑称と捉えられるようになり、代わりに現代において広く使用されるようになった。 |
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* 時刻表を見て、[[ダイヤグラム]]を推測する - 列車の行き違い箇所、追い抜き箇所、折り返しの[[運用 (鉄道)|運用]]などを推測する。 |
|||
:英語でも鉄道趣味人のことは「'''railfan'''」といい、日本語でも「'''レールファン・レイルファン'''」という表現が用いられることがある。 |
|||
* 古い時刻表を見て、当時の列車状況などを調べる - 時刻表は当時の鉄道を知る「資料」となるため、[[明治]]時代から[[昭和]]時代まで、大掛かりなダイヤ改正があった時期などを中心にいくつかの古い時刻表を復刻した「復刻版時刻表」が販売されることもある。ただし、[[日本国有鉄道|国鉄]]は詳細な記録がまとめられているが、[[私鉄]]は巻末に大雑把にしか掲載されていない。そのため、各社から個別の時刻表が発売されたり、[[広報誌]]が発行されるなど利用客向けの広報体制が整う時代(大まかに[[1980年代]]頃)よりも前のダイヤを調査することは、困難な場合が多い。当然ながら、過去の時刻表には現在は廃止されてしまった路線や列車のダイヤが載っているので、現在では実現不可能な鉄道旅行を空想する楽しみ方もできる。 |
|||
:なお、「鉄道ファン」は[[鉄道ファン (雑誌)|同名の雑誌]]を発行する[[鉄道ファン (雑誌)#交友社|交友社]]が[[商標|商標登録]]しているが、「雑誌、新聞」というジャンルに限った呼称の登録であるため、一般的な呼称・使用や、「雑誌、新聞」以外のジャンルでの商業的使用においてはまったく問題ない。 |
|||
;鉄ちゃん・鉄ちん |
|||
:「…ちゃん」という愛称形をとっているため、親しみを込めた文脈から差別的な文脈まで広く用いられ、ファン自身が卑称扱いで自称することもある。発生時期は明確でないが昭和40年代頃とみられ、元は卑称・蔑称であったともいわれる。これに対し女性の場合は「みっちゃん」などと呼ばれ、これは「鉄道」の「道」から発生したものである<ref group="注釈">「てっちゃん」「みっちゃん」ともに、アクセントは「ちゃ」の場所にある。なお、「鉄ちゃん」の語は、一般のゲームプレイヤーにも人気を博した鉄道運転ゲーム『[[電車でGO!]]』のナビゲーション役キャラクターの名前としても用いられている。</ref>。近年では「鉄子」とも呼ばれる(後述)が、いずれも年代層もあって少数派である。 |
|||
; 鉄 |
|||
: 2000年代以降、中立的名称や一般的認知の名称として広く使用が認められる語。「てつ」「テツ」と仮名表記することもある。アクセントは「て」に置く場合がほとんどで、物質としての「[[鉄]]」とは区別される(関西での物質としての「鉄」と同じ発音)。 |
|||
: シンプルなため造語性が高く、列車への乗車を趣味とする人(駅の周りを探索するいわゆる[[ぶらり途中下車の旅]]を含む場合もある)を「'''[[鉄道旅行|乗り鉄]]'''」、列車の撮影を趣味とする人を「'''[[鉄道撮影|撮り鉄]]'''」と呼ぶように、鉄道趣味の種類を補ってファンのジャンルごとに「〇〇鉄」と区別する呼び名もある。 |
|||
: 派生語として、鉄道ファンでない人を「'''非鉄'''」とファンが呼ぶこともある。また、女性の鉄道ファンのことを「'''女子鉄'''」、漫画『[[鉄子の旅]]』の影響で「'''鉄子'''」と呼ぶこともある<ref group="注釈">なお、1995年に連載・刊行が始まった、[[山口よしのぶ]]の漫画『[[名物!たびてつ友の会]]』単行本の、読者からの手紙を紹介するページに既に「鉄子」の語が見えることから、1990年代には「'''鉄子'''」の語が存在していたことがうかがえる。</ref><ref group="注釈">[[2007年]][[4月]]から同年[[6月]]まで[[TBSテレビ|TBS]]系で放送されていたテレビドラマ『[[特急田中3号]]』では主に「テツ」の愛称を用いていた。</ref>。 |
|||
; 鉄道趣味人・鉄道愛好家 |
|||
: 「鉄道ファン」の和訳ともとれる呼称。主に雑誌やニュースなど公的な場面で用いられるが、[[日本語]]として据わりが悪いためか、鉄道ファンや鉄道ファンをターゲットにした分野で使われることは少ない。 |
|||
; 鉄キチ |
|||
: 「鉄道[[きちがい#趣味|キチガイ]]」の略。類語として「汽車キチ」などもある。現代では差別的と見られるものであるが、文脈上は必ずしも明確な差別意識を持って用いられるとは限らない(実際、『汽車キチ昭和史 <small>車窓からみた日本の50年</small>』(中村薫著、[[1987年]])という鉄道の書物がある)。「○○キチ(カーキチなど)」という呼び方は、昭和40年代頃に広く用いられた用語であるが、「釣りキチ」がわずかに残るのみで鉄キチも含め現在はほぼ完全に廃れている。 |
|||
; 鉄道マニア |
|||
: 昭和30年代頃までは普通に鉄道ファンを指す呼称として用いられており、ファン自身が通常の言葉として用いている例も多い。先述の通り、少なくとも当時は「鉄道ファン」よりも一般的な用語であった。しかし後述するようなファンの質の低下により「マニア」の語が持つ差別性がクローズアップされ、次第に蔑称的なものとして認識されるようになった。 |
|||
: 現在も、特に他者に対して差別意識なしにこの語を使用する人も多く、必ずしも「蔑称」とは言い切れない面があるが、否定的な文脈での使用例が多いのも事実であるため、こう呼ばれることを好まない鉄道ファンも多い。 |
|||
: なお英語の「'''Railway Mania'''」は日本語でいう「鉄道マニア」のことではなく、鉄道の創成期に鉄道敷設や[[鉄道事業者|鉄道会社]]への[[投機]]に熱中した「[[鉄道狂時代]]」のことを指し、鉄道趣味とは関係ない。 |
|||
; {{Anchors|鉄オタ}}鉄道オタク・鉄道ヲタク |
|||
: 卑称・蔑称・自称のいずれとしても用いられている。特に2000年代になりオタクブームの余波を受けて広まった。 |
|||
: 「[[おたく|オタク]]」「ヲタク」という語の浸透とともに起こったもので、「一般人にはよく分からないディープな世界」である鉄道趣味の性質をいわゆる「オタク」の一種として作られた造語である。鉄道ファンの中にメカ関係のオタクを幅広く兼ねていたり、オタク文化の代表である[[二次元]]や[[萌えアニメ]]を好む人が多いことも、この語を浸透させる要因にもなっている。 |
|||
: 上記をさらに略した「'''鉄オタ'''」「'''鉄ヲタ'''」という呼称もある。 |
|||
: 一般に、「ヲ」のほうがより卑下の度合いが強い語として扱われる。 |
|||
=== 海外の鉄道への興味 === |
|||
旅行の際、大判の時刻表を持っていくのはかさばるからと携帯版の時刻表を持っていく者も増えているが、それでも大型時刻表を持っていく者も存在する。その理由として、複雑な旅行計画を組む鉄道ファンにとって、旅行中に万が一ダイヤが乱れた際行程を立て直すためにはどうしても情報量の多い大型時刻表が要ること、また、列車の中や待ち合わせ時間に暇な際に情報量の多い大型時刻表を見るなどして時間つぶしをすることなどが挙げられる。人によっては、大判時刻表の必要な部分だけをちぎったり、[[コピー]]する者もいる。 |
|||
日本の鉄道ファンは、その対象を日本国内の鉄道のみとしている人が多く、日本国外の鉄道を趣味の対象としている人(いわゆる海外鉄)は多くない。 |
|||
その理由としては、(一般論として)次のようなものが挙げられる。 |
|||
大型時刻表の発行元は[[交通新聞社]]と[[JTBパブリッシング]]の2社に現在では集約されたため、好みが大きく別れる。前者の「JR時刻表」はJR化以後の公式時刻表であり、[[ダイヤグラム|優等列車]]が赤色表示なので分かりやすいこと、入線時刻や発車番線などの情報量が多いこと、後者の「JTB時刻表」は、国鉄時代において公式時刻表「国鉄監修交通公社の時刻表」として長い歴史があり、ページ割りも国鉄時代とほとんど同じであること、大都市近辺詳細図のページが会社別色別で見やすいこと、「グッたいむ」といった読者投稿[[コラム]]が載っていることなどを、それぞれ利点として挙げている。 |
|||
* [[日本の鉄道]]が「世界の鉄道の中でもかなり先進的である」「世界の鉄道の中でも面白い」と考える日本人が多いため、日本国内で満足していることが多い([[パラダイス鎖国]]) |
|||
* 列車に乗ることを趣味としているファンにとって、鉄道趣味とは「日本独特の旅情」を楽しむ側面を併せ持っており、国外の鉄道ではこの「日本の旅情」を楽しむことができないという点 |
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**[[大日本帝国#領土|日本の領土時代]]に日本により鉄道が建設され、発展した[[台湾]]や[[樺太]](サハリン)では、日本のファンがこれら地域に残された日本らしさを発見するという楽しみ方もあるが、[[植民地主義]]に陥りやすく人によっては悪趣味のひとつに感じること |
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* 戦後日本が[[島国]]であり、日本の鉄道自体も他の国との物理的接点を持たない。車両も国産率が高く、色々な意味で国外の鉄道に接触する機会が少ない |
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* 戦後、特に[[高度経済成長期]]以後の日本の鉄道が、世界の鉄道とは違った独自の発展(例えば[[動力分散方式]]化など)を遂げたことで、技術や運営の面などで、世界の鉄道から「[[ガラパゴス化]]」している<ref group="注釈">「『ガラパゴス化した日本の鉄道』そのものに興味を抱く人」と、「海外の鉄道に比べて日本の鉄道同士だと類似点が多く、プラスアルファという形で追究しやすいと感じる人」の2パターンがある。</ref> |
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* いわゆる「[[言語の壁]]」、すなわち語学力の問題 |
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* [[治安]]や[[衛生]]状態の悪さを敬遠する、[[料理]]が口に合わないなどの理由で、外国へ行こうとは思わない([[バックパッカー]]とは心理が異なる) |
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* 日本人の主要海外観光地であるアメリカ合衆国に鉄道文化が希薄 |
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* アジア・ロシア・アメリカ鉄道の話題は政治論争に、欧州鉄道の話題は[[出羽守 (俗語)|出羽守]]論争に巻き込まれやすいこと<ref group="注釈">[[竹島紀元]]の事例など。</ref> |
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かつては「実際に訪問するか鉄道書籍以外に、日本国外の鉄道の情報を得る手段がない」という面も大きかったが、現在では[[インターネット]]や[[機械翻訳]]の発達により、以前に比べ情報量や即時性などの面で劇的に改善されている。それにより、「情報の少なさ」という理由はかつてに比べ緩和されている。 |
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紀行作家の[[宮脇俊三]]は自著『[[時刻表2万キロ]]』において、自分の国鉄全線[[完乗]]を『「列車に乗る」のではなく「時刻表に乗る」』と評している。 |
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(定量的なデータではなく、あくまで定性的なものであるが)日本の鉄道ファンが、日本国外の鉄道に興味を示さない傾向が強いのは、鉄道雑誌において「日本国外の鉄道を特集に取り上げると、売り上げが落ちる」「日本国外の記事はいつも人気がない」と言われていることからも窺い知れる。例えば、『[[鉄道ジャーナル]]』1997年3月号において、ヨーロッパの鉄道に関する特集を約50ページにわたって特集したが、当該月号の読者の人気投票では、日本国内の記事が軒並み上位に入り、日本国外の記事はいずれも不人気だった、という事例がある。 |
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最近は{{いつ|date=2015年12月}}(社)鉄道貨物協会発行の「[[貨物時刻表]]」が[[貨物列車]]を撮影する鉄道ファンの必需品となりつつある。 |
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日本の鉄道ファンが日本国外の鉄道を趣味の対象とする場合でも、その対象はきわめて少数の国・地域に偏っている傾向がある。さらに、[[高速鉄道]]や[[観光鉄道]]など、日本の学生用[[社会 (教科)|社会科]]([[地理 (科目)|地理]]など)の教科書やテレビや雑誌などでの注目・露出度が高い鉄道だけを趣味の対象としている場合も少なくない。 |
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=== カメラ === |
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鉄道趣味、特に[[鉄道撮影|鉄道写真]]においては[[カメラ]]は欠かすことのできない道具である。望遠から広角まで様々な種類のレンズが必要になるため、[[一眼レフカメラ|一眼レフ]]が好んで用いられる。特に一本限りの臨時列車など、一発勝負でミスできない撮影のために、プロ並みに複数のカメラを同時に準備する例もある。通勤中などに不意に変わった車両や変わった運用を目撃したときのため、小型軽量で携行の容易な[[コンパクトカメラ]]を欠かさず携帯する鉄道ファンもいる。ただしカメラ付き携帯電話の普及で、これで代用するケースも増えている。 |
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[[21世紀]]には、日本の鉄道の規格統一が進んで独特な車両が淘汰されていったことや、ローカル線や新線開業の縮小、かつて日本で運用された車両が国外の鉄道事業者に譲渡されるようになったことなどの理由で、新たに日本以外の鉄道に関心を抱く鉄道ファンが[[インターネット]]を中心として情報収集できるようになった。実際の訪問についても、[[格安航空会社]](LCC)の増加で日本国外への旅行にハードルの高さを感じなくなったことにより、日本国外の鉄道を撮影・乗車するためのハードルは下がっている。長年鉄道ファンを続けてきたリタイア層が、金銭的な余裕も持ち合わせていることにより、日本の鉄道のみならず国外の鉄道を見聞するために旅行するといった現象も起きている。こういった層をターゲットとした旅行商品([[パッケージツアー]])も用意されるようになり、一般観光旅行より高額にも関わらず、多くの参加者を集めるという現象も起こるようになった。 |
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そのほかに脚立と[[三脚]]も使うと便利である場合があり、有名な撮影ポイントやプラットホームの先端部分では三脚を立てたファンが集い、熾烈な場所取り合戦を展開することもある。ただし、混雑したり幅が狭いプラットホームにおいて三脚を立てるのはマナーの悪い行為とされる。このため、鉄道会社側でも駅での三脚・脚立の使用自粛を求める動きが強まっている。駅でなくても、線路沿いの交通量の多い道路などで脚立を使うのは、迷惑行為であると同時に危険行為でもある。 |
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=== 著名な鉄道ファン === |
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鉄道写真を趣味とする鉄道ファンはカメラメーカーのよい「お得意様」である。そのため、カメラメーカーが鉄道ファンを支援することもある。例えば[[富士フイルム|富士写真フイルム]]は、「いい旅チャレンジ2万キロ」を後援していた時期もあり、キヤノンは、ファン雑誌でのコンテストを協賛している。鉄道趣味誌にカメラメーカーが広告を掲載することは現在でも多い。 |
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{{Main|鉄道ファンの一覧}} |
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== 鉄道 |
== 鉄道趣味の歴史 == |
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{{独自研究|section=1|date=2010年2月}} |
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=== 日本の鉄道ファンの構成・特徴 === |
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=== 明治時代・鉄道黎明期 - 戦前 === |
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かつて([[1990年代]]以前)は女性は皆無に近く、現在も大多数が男性であるが、近年は女性ファン、若い年齢層の女性のファンも増す一方で、まとまった数がいる。年代層は青少年から高齢者まで幅広い。 |
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鉄道を趣味の対象とする行為の歴史は古く、鉄道の歴史とともに始まったといわれる。[[歌人]]の[[若山牧水]]のように、鉄道旅行を好みその体験を書き記した作家は少なくなかった。ただし明確な「鉄道趣味人」の登場までには少しばかり時間がかかったようだ。[[詩人]]・[[童話]]作家の[[宮沢賢治]]は鉄道に関心を持ち、自作の中に多くの鉄道を用いた描写があるが、現代的な意味での「マニア」とはいささか異なる。 |
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[[File:ママ鉄.jpg|thumb|親子で撮影を楽しむママ鉄]] |
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幼年期の子供は、多くが鉄道などの乗り物に興味を示すが、徐々に他の多様な対象に関心を移していく人々も多い。しかし、一部の人々は乗り物の中でも鉄道に対する興味を特に深めていき、「鉄道趣味」と呼ばれる趣味を楽しむようになる。なお、鉄道ファンが父親・母親となった場合にも、子供にこの趣味を教え込むこともある。新ジャンルとして「ママ鉄」というジャンルがある。 |
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明確に「鉄道を職業とは異なるレベルで探求する」という人物は[[1902年]]から[[1907年]]にかけて全国の鉄道写真を撮影して回った[[岩崎輝弥|岩崎輝彌]] (1887 - 1956) と[[渡邊四郎]] (1880 - 1921) をもって嚆矢とするといわれる。この2人が写真家の[[小川一真]]に依頼して撮影した膨大な写真は、「岩崎・渡邊コレクション」として[[鉄道博物館 (さいたま市)|鉄道博物館]]に所蔵されている。 |
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==== 日本における呼称について ==== |
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日本における「鉄道ファン」に対する呼称は一様ではなく、時代や文脈によってさまざまに分かれている。以下、呼称について各呼称ごとにその由来・時代変遷を述べる。 |
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この両名のように広く名前が知られることはなかったものの、鉄道に関心を示し、個人的に探求を行った人物が他に存在する可能性も指摘されており、たとえば横浜で酒屋を経営していた田島貞次(1889 - 1957)は明治30年代以降に京浜間を走っていた蒸気機関車を詳細に観察して晩年にその証言を残したという<ref>伊藤一郎「鉄道趣味のあゆみ」『[[鉄道ジャーナル]]』1972年10月号、P76</ref>。 |
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;「鉄道ファン」 |
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:最も一般的かつ無難な呼称。{{要出典範囲|後述するように昭和30年代頃までは「鉄道マニア」が通常呼称であったが|date=2009年12月}}、「マニア」という言葉が次第に嫌われるようになり、代わりに使用が広まった。 |
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:英語でも鉄道趣味人のことは「'''railfan'''」といい、日本語でも「'''レールファン'''」という表現が用いられることがある。 |
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:なお、「鉄道ファン」は[[鉄道ファン (雑誌)|同名の雑誌]]を発行する[[鉄道ファン (雑誌)#交友社|交友社]]が[[商標|商標登録]]しているが、「雑誌、新聞」というジャンルに限った呼称の登録であるため、一般的な使用や、「雑誌、新聞」以外のジャンルでの商業的使用にはまったく問題がない。 |
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;「鉄ちゃん」 |
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:「…ちゃん」という愛称形をとっているため、親しみを込めた文脈から差別的な文脈まで広く用いられ、ファン自身が卑称扱いで自称することもある。発生時期は明確でないが昭和40年代頃とみられ、元は卑称・蔑称であったともいわれる。これに対し女性の場合は、「みっちゃん」と呼ばれる。これは、「鉄道」の「道」から発生したものである<ref>「てっちゃん」「みっちゃん」ともに、アクセントは「ちゃ」の場所にある。なお、「鉄ちゃん」の語は、一般のゲームプレイヤーにも人気を博した鉄道運転ゲーム『[[電車でGO!]]』のナビゲーション役キャラクターの名前としても用いられている。</ref>。 |
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;「鉄」 |
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:2000年代以降中立的名称として広く使用が認められる語。「てつ」・「テツ」と仮名表記することもある。アクセントは「て」に置く場合がほとんどで、物質としての「鉄」と区別される(関西での物質としての「鉄」と同じ発音)。 |
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:シンプルなため造語性が高く、列車に乗ることを趣味とする人(駅の周りを探索するいわゆる[[ぶらり途中下車の旅]]を含む場合もある)を「'''[[鉄道旅行|乗り鉄]]'''」、列車の撮影を趣味とする人を「'''[[鉄道撮影|撮り鉄]]'''」、[[走行音]]または[[発車メロディ]]などを録音、または走行中の列車を録画する「'''録り鉄'''」(とりてつ)、[[廃線|廃止直前の路線]]・列車や廃車間近の車両を趣味の対象とする人(またはその行為)を「'''葬式鉄'''」(悪い意味合いで使われることが多い)のように呼ぶ。 |
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:さらに派生語として、{{要出典範囲|鉄道に関する情熱の度合いを「'''鉄分'''」と表現し|date=2011年8月}}、鉄道ファンでない人を「'''非鉄'''」と鉄道ファンが呼ぶこともある。また、漫画『[[鉄子の旅]]』の影響で、女性の鉄道ファンを「'''鉄子'''」と呼ぶ習慣もできつつある<ref>なお、[[山口よしのぶ]]の漫画『[[名物!たびてつ友の会]]』単行本の、読者からの手紙を紹介するページにすでに「鉄子」の語が見えることから、1990年代にすでに「'''鉄子'''」の語があったことがうかがえる。</ref><ref>[[2007年]][[4月]]から同年[[6月]]まで[[TBSテレビ|TBS]]系で放送されていたテレビドラマ「[[特急田中3号]]」では主に「テツ」の愛称を用いていた。</ref>。 |
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;「鉄道趣味者」「鉄道趣味人」「鉄道愛好者」「鉄道愛好家」 |
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:「鉄道ファン」の和訳とでも称するべき呼称。一部で用いられるが、[[日本語]]として据わりが悪いためかあまり一般的な言葉ではない。 |
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;「鉄キチ」 |
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:「鉄道[[きちがい|キチガイ]]」の略。類語として「汽車キチ」などもある。現代では差別的と見られるものであるが、文脈上は必ずしも明確な差別意識を持って用いられるとは限らない(実際、『汽車キチ昭和史 <small>車窓からみた日本の50年</small>』(中村薫著、[[1987年]])という鉄道の書物がある)。「○○キチ(カーキチ、釣りキチなど)」という呼び方は、昭和40年代頃広く用いられた用語であるが、鉄キチも含め現在は廃れている。 |
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;「鉄道マニア」 |
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:昭和30年代頃までは普通に鉄道ファンを指す呼称として用いられており、ファン自身が通常の言葉として用いている例も多い。先述の通り、少なくとも当時は「鉄道ファン」よりも一般的な用語であった。しかし後述するようなファンの質の低下により「マニア」の語が持つ差別性がクローズアップされ、次第に蔑称的なものとして認識されるようになった。 |
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:現在も、特に他者に対して差別意識なしにこの語を使用する人も多く、必ずしも「蔑称」とは言い切れない面があるが、否定的な文脈での使用例が多いのも事実であるため、こう呼ばれることを好まない鉄道ファンも多い。 |
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:なお英語の「'''Railway Mania'''」は日本語でいう「鉄道マニア」のことではなく、鉄道の創成期に鉄道敷設や[[鉄道事業者|鉄道会社]]への[[投機]]に熱中した「'''[[鉄道狂時代]]'''」のことを指し、鉄道趣味とは関係ない。 |
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;「鉄道オタク」「鉄道ヲタク」 |
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:卑称・蔑称のうち、最近広く用いられているもの。 |
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:「[[おたく|オタク]]」「ヲタク」という語の浸透とともに起こったもので、「一般人にはよく分からないディープな世界」である鉄道趣味の性質をいわゆる「オタク」と混同して作られた語である<ref>(内容のほとんどは鉄道とは関係ない)オタク文化を扱うテレビ番組において「鉄道オタク」という言葉が使われ(実際はそうでないにもかかわらず)鉄道趣味者は全員「オタク」であるかのような解説がなされていることや、鉄道ファンにオタク文化の代表である[[二次元]]や[[萌えアニメ]]を好む人が多いことも、この語を浸透させる要因にもなっている。</ref>。 |
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:ただし、さまざまな分野においてオタクという言葉自体が近年一般化されているので一般の間ではこちらの言葉がメジャーになってきている{{要出典|date=2010年12月}}。 |
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;「鉄オタ」「鉄ヲタ」「オタ・テツ」 |
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:卑称・蔑称のうち最も卑下・軽蔑の意図がこもった呼称。元は「鉄道オタク」「鉄道ヲタク」の略称であるが、特定の傾向を持つ集団を指す意図で用いられる。 |
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鉄道黎明期における「鉄道マニア」は経済的に裕福な層が中心となっている。岩崎輝彌は[[三菱財閥]]創始者の[[岩崎家]]の一員であり、渡邊四郎は[[東京渡辺銀行|渡邊銀行]]創立者の一族である。また、[[大正]]時代にすでに機関車や一等車を趣味で乗り比べていた[[内田百閒]]は陸海軍の学校や[[大学]]で語学を教える[[教授]]だった。 |
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==== 日本国外の鉄道への興味 ==== |
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日本の鉄道ファンは、その対象を日本国内の鉄道のみとしている人が多く、日本国外の鉄道を趣味の対象としている人は多くはない。 |
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当時の一般庶民の生活水準を考えると、鉄道趣味を含めた、今日的な[[趣味]]を行うだけの余裕はなかった。一般庶民のなかに鉄道趣味が浸透するのは、さらに時代が下ってから(一般的には1970年代以降)になる。 |
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その理由としては、次のようなものが挙げられる。 |
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* (一般論として)日本の鉄道が世界でかなり進んでいるため、日本国内で満足していることが多い |
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* 特に乗車を趣味としているファンにとって、乗車は「日本独特の旅情」を楽しむ側面を併せ持っており、国外の鉄道ではこの「日本の旅情」を楽しむことができない(日本領だった時代がある[[台湾]]や[[樺太]]では、日本のファンがこれら地域に残された日本らしさを発見するという楽しみ方をされることもある) |
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* 日本が島国であり、色々な意味で国外の鉄道に接触する機会が少なく、鉄道自体も他の国との物理的接点を持たない |
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* 戦後(特に[[高度経済成長期]]以後)の日本の鉄道が、世界の鉄道とは違った独自の発展(例えば[[動力分散方式]]など)を遂げたことで、技術や運営の面などで、世界の鉄道から「[[ガラパゴス化]]」している |
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* いわゆる「言語の壁」、すなわち語学力の問題 |
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[[昭和]]初期には「[[鉄道 (雑誌)|鉄道]]」([[1929年]])「[[鉄道趣味 (雑誌)|鉄道趣味]]」([[1933年]])「[[カメラと機関車]]」([[1938年]])といった鉄道趣味を専門とした雑誌や書籍も発行されるようになった。もっとも、これらは流通機構に乗って発売されていたわけではなく、発行部数も読者数もきわめて僅少であった。この頃から活躍していた鉄道趣味人としては[[西尾克三郎]]、[[高松吉太郎]]、[[亀井一男]]、[[本島三良]]、[[宮松金次郎]]、杵屋栄二らが挙げられる。彼らは鉄道写真の大家としても成し、膨大な写真コレクションの数々は今でも十分活用されている。 |
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かつては「鉄道雑誌以外に、日本国外の鉄道の情報を得る手段がないから」と言われたこともあった。しかし現在では、[[インターネット]]の発達により、以前に比べて情報量や即時性の面で劇的に改善されているため、(語学力の問題はあるが)「情報の少なさ」という理由は以前に比べ緩和されていると言える。 |
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しかし、昭和10年代になり、国内が次第に[[軍国主義]]に傾いていくと、鉄道の軍事的側面が重視されるようになり、軍事機密保護上の理由で高所からの撮影が禁止となるなど、鉄道趣味に対する制約が厳しくなっていった。また戦時体制により用紙の統制が進んだこともあって、「鉄道」「鉄道趣味」は1937年-1938年に相次いで廃刊に追い込まれた。その後、関東・関西で趣味者の同人会が立ち上げられ、[[1940年]]に関東では「[[つばめ (同人誌)|つばめ]]」、関西では「[[古典ロコ (同人誌)|古典ロコ]]」という会員制の同人誌が発行されたが、これらも翌[[1941年]]に終刊となり、以後は[[太平洋戦争]]の終結まで鉄道趣味活動は事実上、不可能となったのである。 |
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(定量的なデータではなく、あくまで定性的なものであるが)日本の鉄道ファンが、日本国外の鉄道に興味を示さない傾向が強いのは、鉄道雑誌において「日本国外の鉄道を特集に取り上げると、売り上げが落ちる」「日本国外の記事はいつも人気がない」と言われていることからも窺い知れる<ref>。例えば、『[[鉄道ジャーナル]]』1997年3月号において、ヨーロッパの鉄道に関する特集を約50ページにわたって特集したが、当該月号の読者の人気投票では、日本国内の記事が軒並み上位に入り、日本国外の記事はいずれも不人気だった、という事例がある。</ref>。 |
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だが、一部の鉄道趣味者は、厳しい看視の目をかいくぐり、涙ぐましい努力と危険を冒しながら趣味活動を続行していた。公共機関の輸送力は軍事機密であったため、駅構内などで鉄道車両に直接カメラを向けたり、車両番号をノートに書き留めたりする行為は完全に禁止(不可能)となった<ref>[{{NDLDC|2960315/2}} 「鉄道省令第17号 国有鉄道軍用資源秘密保護規則」『官報』1939年9月28日](国立国会図書館デジタルコレクション)</ref>。もし見つかれば、[[スパイ]]容疑による厳しい取調べが待ち受けていた。当局の許可を得てようやく撮影した写真も、[[日本における検閲|検閲]]により容赦なく葬り去られるなど、鉄道趣味の暗黒時代であったが、周囲の目をごまかすため、数学の教科書の行間に車両番号を書き留めたというエピソードはよく知られている。 |
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日本の鉄道ファンが日本国外の鉄道を趣味の対象とする場合でも、その対象は[[ヨーロッパ]](特に[[フランス]]や[[ドイツ]])、あるいは日本統治の歴史があり地理的に隣接している台湾や[[大韓民国|韓国]]、樺太など、きわめて少数の国・地域に偏っている傾向がある。さらに、高速鉄道や観光鉄道など、日本で露出度が高い鉄道だけを趣味の対象としている場合も少なくない。 |
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また、戦争による影響はこうした趣味活動の面のみにとどまらず、戦前に趣味者が蓄積・収集した写真などの記録や各種資料が[[空襲]]により焼失したり<ref group="注釈">杵屋栄二も戦災にあいコレクションを失っている。</ref>、終戦直後の[[外地]]からの[[引き揚げ]]の際にやむなく放棄されたりして多数失われている。 |
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ただ[[2000年代]]に入ってからは、日本の鉄道の近代化・合理化が進んだこと、ローカル線の縮小が進んでいることなどの理由で、きわめて少数ではあるが、現在の日本の鉄道に興味を失い、日本以外の鉄道に関心を抱く向きも存在する。また、かつて日本で運用された車両が国外の鉄道事業者に譲渡されるようになったことや、格安航空券の普及で日本国外への旅行にハードルの高さを感じなくなったことにより、日本国外の鉄道へのハードルは下がっている。長年鉄道ファンを続けてきたリタイア層が、金銭的な余裕も持ち合わせていることにより、日本の鉄道のみならず国外の鉄道を見聞するために旅行するといった現象も起きている。こういった層をターゲットとした旅行商品も用意されるようになり、一般観光旅行より高額にも関わらず、多くの参加者を集めるという現象も起きるようになった。 |
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=== 戦後・1950年代 === |
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終戦後は国内情勢が混乱していたとはいえ、鉄道撮影に関する制約が少なくなったため、戦後間もない頃でも多くの鉄道写真が一部の趣味者により撮影されている。また、[[連合国 (第二次世界大戦)|進駐軍]]が持ち込んだカラーフィルムの一部が日本人向け市場に流れ、鉄道趣味者の手に渡ってカラー写真による鉄道の記録が残されるようになるのもこの頃である。当時のカラーフィルムは高価で品質や性能も良くなく、感度が低く光線漏れが起こりやすい上に経年により退色しやすかったため良質のカラー写真は数が少ないが、近年ではコンピュータによる画像補正技術の進歩と普及により、劣悪であった当時の写真が貴重な記録として日の目を見るケースも多くなっている。 |
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欧米では[[保存鉄道]]や保存車両の運営、維持にボランティア活動や資金カンパなどを行っている鉄道ファンが存在する。[[保存鉄道]]は、[[イギリス]]や[[フランス]]などで特に盛んである。[[アメリカ合衆国|アメリカ]]では廃車された車両を修繕し展示や運転を行うグループが存在する。国や地域によって、ファンの活動にも温度差がある。[[南ヨーロッパ|南欧]]や[[東ヨーロッパ|東欧]]方面では、法律によって鉄道施設の撮影などが制限されているところもある。 |
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[[1946年]]頃からは関東・関西を中心に趣味者の同人会が立ち上げられ、同人誌が発行されるようになった。 |
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インドやブラジルなどの「新興経済国」では、さまざまな要因により鉄道趣味への制約が存在し、発展途上国に至っては「鉄道趣味」という概念自体が存在しないことも少なくない。 |
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[[1947年]]には戦後初の鉄道趣味雑誌として「[[鉄道模型趣味]]」が創刊されている。これは本来は[[鉄道模型]]の専門誌であるが、実物の鉄道車両に関する記事も掲載されていた。[[1951年]]、はじめて一般流通機構に乗った鉄道趣味雑誌「[[鉄道ピクトリアル]]」が創刊された。また、[[内田百閒]]が[[1950年]]から発表した『[[阿房列車]]』シリーズは、鉄道紀行文学の先駆といわれる。 |
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欧米では「鉄道オタク」・「鉄道マニア」を意味する[[スラング]]が存在する。英語圏では、一般的な「マニア」を意味する'''Geek'''、'''Nerd'''、アメリカで用いられる'''Foamer'''、イギリスで用いられる'''Trainspotter'''、'''[[アノラック|Anorak]]'''、'''Crank'''、'''Grizzer'''、'''Gricer'''、オーストラリアで用いられる'''Gunzel'''(きわめて強い侮蔑を含む)などがある。これらは侮蔑的な意味を含む。いずれも、鉄道に対して過度に熱中し、あるいは、見境なく暴走、はては迷惑行為を行い、社会的適応力に欠ける鉄道ファンを揶揄する言葉である。 |
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[[1953年]]には日本初の全国規模の鉄道愛好団体である[[鉄道友の会]]が設立された。また、旧[[華族]]で[[昭和天皇]]の皇女・[[鷹司和子|孝宮]]と結婚した[[鷹司平通]](乗り物通として知られていた)が[[交通博物館]]の館長になった。交通博物館が秋葉原に近い神田にできたことで鉄道マニアが集結する場所は[[秋葉原]]が拠点となり、他の全くジャンルの違うマニアにも秋葉原の集結の影響を少なからず与えた。現在でも鉄道趣味の情報発信基地は秋葉原と言われることも少なくない。 |
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[[2001年]][[9月11日]]の[[同時多発テロ事件]]以降、アメリカでは列車撮影目的の鉄道ファンが[[警察官]]からの尋問を受ける事例も生じている。 |
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=== 1960年代 === |
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[[1960年代]]に入り、高度経済成長の中、[[東海道新幹線]]の開業や、鉄道車両・設備の更新が急速に進められ、秀逸な車両が次々と投入される。だがそれは同時に古い車両の淘汰が進められることと表裏一体であった。またこの時代、道路網の整備と[[バス (交通機関)|バス]]路線の拡充により、全国各地の地方私鉄が廃業に追い込まれていった。このような時代背景の中、鉄道趣味といえば鉄道車両・列車とそれに伴う鉄道撮影が主体であった。切符収集などもあったが、少数派であった。 |
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* 日本以外の国・地域のファンも日本と同様、旅行、写真、模型、コレクションなどを楽しんでいる。 |
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* 欧米では、鉄道事業者の協力の下で、[[保存鉄道]]や保存車による貸切列車が、大々的に運転されることもある。 |
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[[ファイル:Dampflokwerk03.jpg|thumb|right|220px|ドイツのマイニンゲン工場の公開日に集まったファン]] |
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[[ファイル:18 201 Meiningen 01092007.JPG|thumb|right|220px|ドイツのマイニンゲン工場での蒸気機関車の展示]] |
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;欧州 |
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: [[ヨーロッパ|欧州]]の独特の趣味として「車両を見る(トレイン・スポッティング)」という趣味がある。駅などのホーム端部で行き来する列車の車両番号をノートに記録、または車両を見ながら車両番号を読み上げそれを録音する。これは地続きのヨーロッパにおいては、一つの列車に複数の国・地域の車両が連結されていることも多く、ファンの心をくすぐるためである。「トレイン・スポッティングをする人」を意味する'''Trainspotter'''は、侮蔑的な意味を含むため注意が必要である。 |
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: また、実際の営業路線で動態保存の[[蒸気機関車]]や列車を、団体臨時列車・イベント列車として走らせるグループ・組織や、実際に列車運転を体験できる鉄道もあり、その楽しみ方は多彩である。 |
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鉄道趣味雑誌としては「鉄道ピクトリアル」に続き、[[1961年]]には「[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]」、[[1967年]]には「[[鉄道ジャーナル]]」が創刊された。これらも記事の中心は鉄道車両や列車であった。[[1962年]]からは「鉄道ピクトリアル」誌上に[[廃線]]に関する記事も掲載され、廃線跡趣味の嚆矢ともなった。 |
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;北米 |
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: 国土が広大で、貨物列車主体の鉄道であるため列車のスケジュールは一定ではなく、列車を撮影する際には無線機を携帯し、[[列車無線]]を聞いて列車の現在位置を把握することが多い。単に目撃した機関車の番号を記録するだけのファンもいる。 |
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: 国情を反映して非常に裕福なファンも存在し、個人で列車を借り切ることもある。また、[[アムトラック]]の路線上を走行可能なように整備された[[寝台車 (鉄道)|寝台車]]や[[プライベートカー]]が存在し、それらの車両をアムトラックなどの定期列車に併結させることもある。 |
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: 旅客輸送の全盛期の備品のコレクションが盛んである。なかでも、「レイルウェイ・チャイナ」と呼ばれる食堂車で使われた高級[[食器]]の収集は他地域ではあまり見られない。また、鉄道会社の発行する[[株券]]にはそれぞれの鉄道会社の特徴を表すイラストが載っていることが多いため、株券を収集するファンも存在し、消滅した鉄道会社の株券を売買するコレクター・ショップも存在する。 |
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: 自宅の庭に大型の鉄道模型である「[[庭園鉄道]]」を敷設するファンも存在する。 |
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=== 1970年代 === |
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;共産圏 |
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[[1970年]]、「[[ディスカバー・ジャパン]]」[[キャンペーン]]が始まった。[[1970年代]]に入ると[[蒸気機関車]]の減少が社会的関心事となり、多くの人々が蒸気機関車の見物や撮影を行うようになった。いわゆる「'''[[SLブーム]]'''」である。これに乗じた形で[[1972年]]に新たな鉄道趣味雑誌「SLダイヤ情報」([[1976年]]に「[[鉄道ダイヤ情報]]」に改題)が創刊された。同年には、[[日本の鉄道開業]]100周年を記念して、日本初の蒸気機関車[[動態保存]]施設「[[梅小路蒸気機関車館]]」が、[[京都市]]の梅小路機関区の扇形庫を利用して開設され、日本の近代型蒸気機関車16形式17両が同館に収められた。その頃には様々な鉄道雑誌が創刊されるが、数年で終刊になった雑誌も多い。 |
|||
: 共産圏は資本主義諸国に比べて鉄道撮影に対する制約が強い。[[中華人民共和国|中国]]では、21世紀になってから列車を撮影するファンが僅かではあるが現れはじめている。また、主に外国人を対象として、鉄道事業者が蒸気機関車の体験運転を実施する例もある。 |
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[[ファイル:Railfans are taking photos of TRA DR2700 at Hanben Station 20041106.jpg|220px|right|thumb|列車を撮影する鉄道ファン([[台湾]][[東部幹線|北廻線]][[漢本駅]])]] |
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1976年に蒸気機関車が全廃されると、[[寝台列車|客車寝台特急列車]]([[ブルートレイン (日本)|ブルートレイン]])を撮影する人々が増えた。いわゆる「'''ブルートレインブーム'''」であった。このSLブームとブルートレインブームにより低年齢層を中心に鉄道ファンが急増したが、反面、鉄道ファンの質的低下を問題視する声も出るようになった。もっとも[[団塊の世代|団塊世代]]が趣味の中心だったSLブームと違って、ブルートレインブームは趣味人の中心が[[小学生]]・[[中学生]]であったためか、休日や休日前日の深夜の駅での撮影など風紀上の問題はあったが、[[マナー]]の問題はさほど出なかった。さらに[[ゴーサントオ|1978年10月のダイヤ改正]]で国鉄の特急電車に絵入りヘッドマークが採用されると、そちらも人気を集め、多数の特急が発着する[[上野駅]]のホームでは休日となると、撮影に訪れたたくさんの少年ファンで賑うようになった。 |
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;{{TWN}} |
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: 台湾では[[1987年]]まで[[戒厳令]]が施行されていたため、鉄道施設・車両に対する撮影に制限があったが、近年徐々にファンが増えてきている。特に[[台北捷運]]・[[台湾高速鉄道]]の開通後は増え方が加速している。鉄道研究会がある大学もある。[[1995年]]に鉄道愛好者の団体である「鉄道文化協会」([[中華民國鐵道文化協會|鐵道文化協會]])が結成され、鉄道趣味雑誌[[鐵道情報]]が発行されている。 |
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=== 1980年代 === |
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;{{KOR}} |
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[[1978年]]に[[宮脇俊三]]が[[日本国有鉄道|国鉄]]全線[[完乗]]を達成し、その過程を綴った『[[時刻表2万キロ]]』を発表した。さらに国鉄が「[[いい旅チャレンジ20,000km]]」キャンペーンを実施したことや、宮脇のほかに[[種村直樹]]の執筆活動もあって、[[鉄道旅行]]が鉄道趣味の一分野として定着してきた。鉄道事業者も1984年頃から[[車両基地]]の公開や[[貨物線]]走行のイベント列車など、鉄道ファンをターゲットにした企画を催すようになる。 |
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: 準戦時体制下にある韓国では、鉄道は軍事上重要な位置を占めており、鉄道施設・車両に対する撮影には制限がある。鉄道を趣味とする人は少ないため、情報発信は韓国に在住、あるいは韓国を訪問した外国人によるものが多い。近年は、以前よりも撮影規制などが緩和傾向にある。しかし韓国では、鉄道は「[[NIMBY|嫌悪施設]]」という概念が強く、[[東海南部線]]や[[京義線]]・[[ソウル郊外線]]で[[蒸気機関車]]による観光列車が走ったことがあるが、いずれも長続きしていない(「[[ムグンファ号#蒸気機関車観光列車|ムグンファ号]]」の項目参照)。しかし最近は、豪華[[寝台列車]]「[[ヘラン]]」号や[[韓国鉄道9501系気動車#観光列車|海列車]]、[[旌善線]]などの廃線跡を活用した[[軌道自転車|レールバイク]]の運行など、鉄道ファンを増やす試みも見られる。 |
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また当時は[[国鉄分割民営化]]という、当時としては世界にも類を見ない巨大事業が進められていたことや、[[川島令三]]などの執筆活動の影響により、独自の理論を構築する鉄道ファンも増加した。 |
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;[[インドネシア]] |
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: 鉄道オタクはオランダの植民地時代から存在し、インドネシア語で狂人を意味するエダン(edan)とオランダ語で鉄道を意味するスポール(sepur)をあわせてエダンスポール(edan sepur)と呼ばれる。英語風にレールファン(railfan)と呼ばれることもある。2009年にインドネシア・エダンスポール・クラブが設立され、鉄道専門店の「プラサスティ」でグッズなどの展開を行っている。ジャカルタの鉄道は8000系など日本から譲渡された車両も多いため、プラサスティには日本からのファンも訪れるという。 |
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=== 1990年代 === |
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;[[モンゴル]] |
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鉄道に関する書籍も様々な視野からのものが発行されるようになったことや、[[情報技術]](IT)が普及し、[[パソコン通信]]([[ニフティサーブ]]の鉄道フォーラムなど)や[[ネットニュース]]の[[Fj (ニュースグループ)|fj.rec.rail]]などによって情報発信・閲覧が容易になったことなどから、次々と新しいタイプの趣味が生まれ、鉄道趣味の多様化が進んだ。[[1995年]]頃から[[Microsoft Windows 95|Windows 95]]の発売などもあって[[個人]]で鉄道趣味に関する[[ウェブサイト]]や[[電子掲示板]]を開設する愛好者も増加していった。 |
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: モンゴルは、民主化後は鉄道施設・車輌に対する撮影の制限が緩和されている。だが、モンゴルの鉄道ファンは少なく(2011年の時点で「鉄道趣味」という概念が鉄道従業員に浸透どころか認知していなかった)、日本人でも近隣諸国の中で「モンゴル鉄道」訪問する人は多くない(日本人作家による鉄道紀行文などではモンゴルが「東北アジア」では一番とりあげられておらず、台湾、韓国、サハリンの順番に多い)。そのため、在モ日本人、あるいはモンゴルを訪問した日本人の鉄道ホームページなど資料・情報は意外と少ない。 |
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この時代の特徴として、[[新幹線]]が鉄道趣味としてメジャーになったことがあげられる。これは新規路線の開業が相次いだこと、国鉄からJRへの分割民営化により各社が用途に応じた新型車両や改造車を次々に開発・導入したことにより車両のバリエーションが一気に豊かになったことが理由である。 |
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;{{CHN}}、{{RUS}} |
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: 中国は、撮影マナーに関して非常に厳しい。駅の入場時間に制限が設けられていたり、撮影しようとして拘束されるケースなどがある。ロシアも同様である。ただし、観光名所となっている[[モスクワ]]の地下鉄など大都市では緩和されている。 |
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=== 2000年代 === |
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=== 鉄道ファンによる迷惑・犯罪行為 === |
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[[インターネット]]のさらなる普及や、ブロードバンド化の促進、レンタルサーバーサービスの普及により、1990年代後半以降に見られた趣味者による個人ホームページ・電子掲示板の開設がますます進んだ。規模を拡大化した鉄道趣味専門の[[ポータルサイト]]を運営する者も増加する。 |
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[[ファイル:Railfan at Tokyo station.jpg|300px|right|thumb|左下の列車を撮影しようとホームに殺到する鉄道ファン([[東京駅]])]] |
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鉄道趣味に関する活動の中でマナーをわきまえず、[[迷惑行為]]を繰り返す者もいる。車内や駅構内で他の乗客の迷惑も顧みずに撮影や録音等をする、駅構内で大音声で罵声を上げる、三脚や脚立を持って走り回る、撮影のために他人の土地に無断侵入する、撮影地で[[ゴミ]]を持ち帰らずに放置したり、移動のために用いる自家用車やバイクを駐車禁止区域に駐車したりするなどのほか、鉄道会社の展示物や備品を盗むという[[犯罪]]すら発生している。これら、悪質なファンの行動を原因とする一般の乗客や鉄道沿線の近隣住民とのトラブルも少なくない。また、一部の鉄道会社ではこれらの迷惑行為を考慮してファンサービスの企画(動態保存車両の特別運転や車両基地の一般公開など)を縮小、もしくは、一切行わない会社も出てきている。 |
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2000年代前半は、回線速度が遅く、またウェブサイト開設にも多くの知識が必要であったが、文字主体で多くの情報を網羅したウェブサイトが次々と立ち上げられた。この時期はWeb1.0と呼ばれる片方向発信かつ静的なWebサイトが多かったが、[[電子掲示板]]を通じて盛んな交流が行われた。 |
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日本でこのような迷惑行為が増加したのは、1970年代の[[蒸気機関車]]全廃に伴う「[[SLブーム]]」でファンが著しく広がり、それに続く「[[ブルートレイン (日本)|ブルートレイン]]ブーム」で若年層がより流入したことが原因であると考えられている。この時代、列車撮影が盛んになるとともに、撮影名所での場所取り・不法侵入・危険な区域への突入・破壊窃盗行為・列車妨害等々の無法な行為や、過熱した鉄道ファンが沿線で夜行列車撮影のために深夜徘徊することが問題になった<ref>エスカレートしすぎたゆえに、[[1976年]]には小学生が写真撮影のために線路敷内に侵入し、列車に轢かれて死亡する[[鉄道事故|事故]](→[[京阪100年号事故|「京阪100年号」事故]])が発生し、大都市近辺における蒸気機関車の保存運転が事実上不可能になる(事故防止の沿線の警備にコストが掛かりすぎるため)など、結果としてファン自身の不利益になるような事態もある。</ref>。なお、現在では中高年のマナーの悪さもみられ、世代のみの問題ではないといえる。 |
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2000年代中盤には回線速度の向上にともない、録画した鉄道映像や録音した鉄道[[ファイルフォーマット#音声|音声]]、[[発車メロディ]]の公開などが徐々に始まる。また、[[コンテンツ管理システム|CMS]]や[[Yahoo!ブログ]]など各種ブログサービスの普及により、手軽なブログサービスを利用する人が増加する。 |
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鉄道ファンは、自動車ファンなどと異なって、趣味対象を直接所有することはきわめて難しい。鉄道関係のイベントで解体された車両の備品などを購入できたり、車両そのものを譲渡あるいは寄贈してもらったり([[斎藤茂太]]など)するケースはあるが、後者には相応の資金力やコネクションが要求される<ref>車両自体は無償譲渡の場合が多い(鉄道会社にしてみれば、本来必要な解体費用がかからないため)が、仮に車両そのものは無償譲渡であったとしても、鉄道車両ともなると、保存・保管のための用地の準備、輸送・補修などに相応のコストがかかる。特に屋外保管となれば、塗装や錆止め、変形防止など補修に相当なコストや労力がかかることは言うまでもない。</ref>。こうしたためもあってか、保存車両や鉄道敷地内の備品が盗まれることがある<ref>こうした行為は俗に[[#鉄道写真|撮り鉄]]に引っ掛けて'''盗り鉄'''などと言われている。無論、それが犯罪行為であることは言うまでも無い。</ref>。イベント列車などの運転、路線の新設あるいは廃止の時などでファンが集まる際、上記の如くマナーに欠ける者の迷惑行為により、鉄道ファンに対する世間の評価を低下させているのが現状である。 |
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2000年代後半、[[YouTube]]や[[ニコニコ動画]]などの[[動画投稿サイト]]が台頭し、撮影動画や鉄道解説動画の投稿がブームとなる。 |
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以下は迷惑行為の例である。 |
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*犯罪・法令違反 |
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**鉄道車両や施設の部品・備品等の[[窃盗罪|窃盗]]・[[器物損壊罪|破壊]]<ref>[http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080319/trd0803192209016-n1.htm “ワル鉄”暗躍? 廃線間近な三木鉄道で盗難相次ぐ]{{リンク切れ|date=January 2012}} 産経新聞 2008年3月19日</ref><ref>[http://61.7.18.67/localNews/news/2009/04/2009_124053718021.html 寄せ書きノート9冊なくなる 「秘境」で人気のJR坪尻駅(三好)]{{リンク切れ|date=January 2012}} 徳島新聞 2009年4月24日</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100425-OYT1T00442.htm 不可解な旅…土讃線坪尻駅で盗難のスタンプ青森に]{{リンク切れ|date=January 2012}} 読売新聞 2010年4月25日</ref><ref>[http://www.asahi.com/articles/ASJ5M5635J5MIIPE022.html 列車から車内放送用の機器盗まれる JR北「不届き者」] 朝日新聞 2016年5月20日</ref><ref>[http://www.asahi.com/articles/ASJ6354F6J63TIPE01F.html 特急のヘッドマークなど134点盗んだ疑い 男を追送検] 朝日新聞 2016年6月3日</ref>。 |
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**立入が禁止されている鉄道用地などへの無断侵入<ref>[http://www.47news.jp/CN/201005/CN2010050901000269.html 『「撮り鉄」侵入でJRに遅れ 関西線の線路脇に三脚』] - [[共同通信]] 2010年5月9日{{リンク切れ|date=2017年9月}}</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120221-OYT1T00933.htm 「秘境駅」撮影、線路に入った会社員を書類送検] 読売新聞 2012年2月21日</ref> |
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**鉄道用地にドローンを飛ばす行為 |
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**鉄道車両への落書き・汚損 |
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**撮影目的での私有地への無断侵入 |
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**沿線での違法駐車 |
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**沿線の草や木を勝手に切る行為(撮影の際、草や木が視界を遮ることがあるため。場合によっては倒木による運転見合わせの恐れあり。) |
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**駅や車内での「各表記ステッカー、優先席シール、広告」などの窃盗・剥離・廃棄 |
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**第1種踏切で遮断中の踏切を強行突破して撮影する行為や、第3種と第4種踏切で通過中の列車に近寄り撮影する行為 |
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**沿線金網によじ登り、金網を破損させる行為 |
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**撮影地へのゴミ・吸殻などの投棄 |
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**鉄道員の制服を詐取する行為<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20130226k0000m040043000c.html 詐欺事件:鉄子と呼ばれる鉄道好きの女、JR西制服を詐取容疑] 毎日新聞 2013年2月26日</ref> |
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**乗務員室への侵入(鉄道営業法第33条により罰せられる) |
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*迷惑行為・マナー違反(犯罪・法令違反以外。なお程度の度合いにより、殺人罪、暴行罪、傷害罪、威力業務妨害罪、公務執行妨害罪、往来危険罪等の刑罰の適用を受ける場合あり) |
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**ホーム白線からはみ出た位置(ホーム縁)での写真撮影(冒頭写真を参考) |
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**線路敷地内へはみ出した機器による撮影。 |
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**走行している列車に向かってのフラッシュ撮影 - 運転士の視界を損なったり、信号確認などに悪影響を及ぼすおそれがあり危険である。 |
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**ホームや車内通路などにおける脚立・三脚の使用による、他一般利用客への迷惑行為。 |
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**車両の保存や列車の廃止反対といった、鉄道会社に対する無理な要望。前者については保存の経費や土地などを出さず、要求だけすることも多く見られる<ref>「[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]」1986年11月号,p132</ref>。 |
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**鉄道車両やサービスに対して、個人の好みに合わない<ref>「鉄道ファン」1994年6月号,P135</ref>もしくは特定の鉄道事業者の方針を絶対視し、それと異なる方針の事業者を批判・中傷する行為<ref>こうした批判行為は、とりわけ[[川島令三]]や[[原武史]]の著作からの影響が多く見られる。</ref>。 |
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**「撮影時フレーム内に入る」などの理由で、駅員や一般乗客、他の鉄道ファン、さらには沿線住民などに罵声を浴びせたり<ref>[http://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/150122/lif15012209300002-n3.html 『「おいこら、どけぇ! 下がれ!」 迫る「Xデー」“葬式鉄”暴走を警戒する関係者』] 産経デジタルiza 2015年1月22日</ref>、暴行・傷害を加えるなど、時にはそれを咎めた鉄道警察や、警備員との争い。 |
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**本人の承諾を得ずに[[鉄道員]]を勝手に撮影する。また、(撮影の承諾を得たものを含め)その画像をネット上で公開する。 |
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**記念運転やイベント時の、ファン同士のトラブル。 |
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2007年には、ドラマ『[[特急田中3号]]』、アニメ『[[鉄子の旅]]』、鉄道趣味を取り上げたテレビ番組が放送された。また[[団塊の世代]]の定年退職後の取り込みも期待された。 |
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[[2007年]]に[[東日本旅客鉄道千葉支社|JR東日本千葉支社]]での[[国鉄D51形蒸気機関車|D51形]]運転の時に、立入禁止区域である[[鉄道施設]]に複数が侵入し、中には単に「蒸気機関車が走る」という珍しさから立入禁止区域での撮影を試みた者もいた。また、[[碓氷峠鉄道文化むら]]では、転売目的で保存車の部品が盗まれた。 |
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また、[[2008年]]にJR東日本千葉支社での[[国鉄C57形蒸気機関車|C57形]]運転の時にも上記のような鉄道運行妨害があった。 |
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この時期、映像や音声のデジタル化技術における進歩の恩恵を受け、[[デジタルカメラ]]・[[デジタル一眼レフカメラ]]・[[ミラーレス一眼カメラ]]の普及や、携帯電話・スマートフォンのカメラの高画質化を追い風に、鉄道写真をデジタル記録する層は飛躍的に増加した。1990年代ではフィルム一眼レフの完全な代替まではいかなかったが、この時代になると画質面においてフィルムを凌駕するようになった。また、映像撮影も手軽になり、デジタル高画質ビデオカメラが安価になっていった。 |
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[[2009年]]12月5日に行われた[[常磐緩行線]][[国鉄207系電車|207系900番台]]のさよなら運転では、沿線で撮影していた鉄道ファンとみられる者らが線路内に立ち入り、二度にわたって緩行線・[[常磐快速線|快速線]]の営業列車もろとも緊急停止させるという事態を発生させた。[[2010年]]1月24日の[[京浜東北線]]・[[根岸線]][[JR東日本209系電車|209系電車]]最終運行では、先頭車は大声で騒ぐ鉄道マニアで異常に混雑し遅れが発生。また、そのような専用車両の設定は無いにも関わらず勝手に悪ふざけで「鉄ヲタ専用車両です」と一般の乗客に向けて自称するなどの行為があった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100206/crm1002061201013-n1.htm 『【衝撃事件の核心】「鉄ヲタ専用車両でーす」暴走する一部鉄道ファンの行き着く果ては…』] - [[産経新聞]] 2010年2月6日</ref>。 |
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=== 2010年代 === |
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また、[[平城遷都1300年記念事業]]の一環として、2010年5月9日に運行した臨時特急列車「[[まほろば (列車)|まほろば]]」撮影のために線路内にカメラの三脚を置いたため、一部列車を部分運休、最大16分の遅延を発生させたとして、[[奈良県警察]]は[[西日本旅客鉄道]](JR西日本)からの[[被害届]]は出ていないが、6月3日に[[鉄道営業法]]違反の疑いで[[書類送検]]する事態になった<ref>[http://www.jiji.com/jc/zc?key=%a1%d6%bb%a3%a4%ea%c5%b4%a1%d7%b2%f1%bc%d2%b0%f7%a4%f2%bd%f1%ce%e0%c1%f7%b8%a1&k=201006/2010060400451 『「撮り鉄」会社員を書類送検=線路内に三脚、JRに遅れ-「警鐘も目的」と奈良県警』] - [[時事通信]] 2010年6月4日</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100604/crm1006041401017-n1.htm 『異例“撮り鉄”を立件 被害届なくても「警鐘」書類送検』]{{リンク切れ|date=January 2012}} - 産経新聞 2010年6月4日</ref>。 |
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[[Twitter]]を中心とした[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)]]の普及により、ファン同士での画像を交えた情報が即時に交換・共有できる環境が整い、より早く鉄道情報が入手・拡散できるようになった一方で、特定の列車(特に機関車牽引の寝台列車や国鉄型車両)の写真撮影や引退による「さよなら運転」時にファンが大量に集まるなどで、危険行為が大幅に露呈・顕著化するようになったのもこの頃からである。 |
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また、特に人気のある[[国鉄103系電車|103系]]、[[国鉄113系電車|113系]]、[[国鉄485系電車|485系]]、[[国鉄24系客車|24系]]等の「国鉄型車両」、寝台特急、夜行急行・快速等の「寝台夜行列車」などの引退・廃止が2015年前後に相次いで発生したことにより、これらのファンの活動も目立った。 |
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==== 関西本線運行妨害事件==== |
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2010年2月14日、JR西日本[[関西本線]]([[大和路線]])[[三郷駅 (奈良県)|三郷駅]] - [[河内堅上駅]]間および、河内堅上駅 - [[高井田駅 (大阪府柏原市)|高井田駅]]間の2か所で、カメラを持った鉄道ファン数名が線路内に侵入したため一時運転を見合わせ、上下線計19本が運休、計26本が最大約40分遅れ、約1万3千人に影響した<ref>[http://www.asahi.com/national/update/0214/OSK201002140097.html 『「撮り鉄」線路に侵入 快速電車、30分間立ち往生』]{{リンク切れ|date=January 2012}} - [[朝日新聞]] 2010年2月14日</ref>。 |
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=== 2020年代 === |
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当日は団体貸切列車として和式車両「[[あすか (鉄道車両)|あすか]]」が運転され、撮影目的の鉄道ファン約50人が沿線に集まっていた。現場に停止した列車の運転士などJRの社員が退出を求めるが、応じない者もおり、警察官が出動する事態になった<ref>[http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20100215-OYO1T00215.htm?from=newslist 『「撮り鉄」快速止める 線路侵入、説得30分…JR関西線』]{{リンク切れ|date=January 2012}} - [[読売新聞]] 2010年2月15日</ref>。なお、逮捕者はいなかった。 |
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2020年代初頭の[[新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)|新型コロナウイルス感染症]]は鉄道趣味界にも大きな影響を及ぼした。感染防止と鉄道事業者の収益悪化に伴い鉄道事業者が主催するイベントやセレモニーが軒並み中止となり、感染が減り始めた2021年より徐々にイベントを開催するようになるものの、[[3つの密|三密]]防止と鉄道ファンの迷惑行為を避ける意味から、イベント自体の有料化や人数を絞った上で高額な参加料を伴うイベントが目立つようになった<ref>[https://www.tokyo-np.co.jp/article/183441 【TOKYO発】有料撮影会も次々 撮り鉄ブームのいま 日常の姿にも鉄道愛を/最長寿月刊誌1000号編集長に聞く]『[[東京新聞]]』朝刊2022年6月15日26面(2023年8月15日閲覧)</ref>。 |
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また、デジタル化の進行で紙媒体の鉄道雑誌の売り上げが落ち「[[レイルマガジン]]」が2022年3月号限りで定期刊行を終了することとなった。 |
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この事件でJR西日本は[[大阪府警察]]に被害届の提出を検討。17日に行われた定例社長会見で被害届の提出を見送ることを表明した後<ref>[http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20100217-597123.html 『鉄道ファン立ち入りに被害届出さず』]{{リンク切れ|date=January 2012}} - [[日刊スポーツ]] 2010年2月17日</ref>、最終的には被害届を提出し22日に捜査が行われた<ref>[http://mainichi.jp/select/today/news/20100223k0000m040056000c.html 『鉄道マニア:線路内立ち入りで大阪府警が実況見分』]{{リンク切れ|date=January 2012}} - [[毎日新聞]] 2010年2月22日</ref>。当初は、[[威力業務妨害]]や[[列車往来危険]]での容疑を検討していたが、列車を止める意図はなかったとして鉄道営業法違反に絞って捜査が行われている<ref>[http://www.asahi.com/kansai/travel/news/OSK201002230025.html 『「撮り鉄」捜査 ルール守れ! 進入「10人」特定へ』] - 朝日新聞 2010年2月23日</ref>。なお、JR西日本広報部によれば、「鉄道ファンの立ち入りで被害を申告したケースは記憶にない」とのことである<ref name="mainichi">[http://mainichi.jp/photo/news/20100227k0000e040074000c.html 『線路侵入騒動:「撮り鉄」の心理とは…』]{{リンク切れ|date=January 2012}} - 毎日新聞 2010年2月27日</ref>。 |
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JR・私鉄・[[第三セクター鉄道|3セク]]各社での新型車両導入による国鉄型車両の引退や廃車もより加速しており、運行頻度の少ない[[臨時列車]]用の車両や[[地方交通線]]に残存していた国鉄型車両も徐々に淘汰が進んでいることでファンからの注目度が増していることから、各地で事業者によるファン向けのイベントや撮影会などが多く開催されている。 |
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なお、「あすか」の運転による事件は2月20日にもあり、[[東海道本線]]([[琵琶湖線]])[[草津駅 (滋賀県)|草津駅]] - [[南草津駅]]間で、線路脇に三脚を持った不審者がいたために他の営業列車が緊急停止するという事態が発生している<ref>[http://www.asahi.com/kansai/travel/news/OSK201002210029.html 『また「あすか」目当ての「撮り鉄」? 滋賀で緊急停止』] - 朝日新聞 2010年2月21日</ref>。 |
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== 鉄道ファンの愛用品 == |
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相次ぐ鉄道ファンのマナー違反事件を受け、[[交友社]]が刊行する鉄道雑誌『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』でも公式サイト上でマナー遵守を求める声明と警告を発表する事態になった<ref>[http://railf.jp/news/2010/02/17/120000.html 『「鉄道ファン」編集部から読者のみなさまへのお願いとお知らせ』] - 交友社『鉄道ファン』・railf.jp 2010年2月17日</ref><ref name="mainichi"/>。 |
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=== 時刻表 === |
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鉄道ファンにとって[[時刻表]]とは、単に時刻を調べるための道具にとどまらず、様々な使用法がなされる。主なものは以下のとおり。 |
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* 時刻表を見て、架空の旅行計画を立てる(机上旅行) - 沖縄県を除いた46[[都道府県]]([[沖縄都市モノレール]]が2003年開業したので[[航空機]]を入れてここを含めて全部にする者もいる)の[[都道府県庁所在地]]をいかに早く周るかや、いかにJR最南端の[[西大山駅]]から最北端の[[稚内駅]]まで行くか等がある。 |
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2010年4月に鉄道敷地内に入り込んでいた鉄道ファン数名を撮影した写真が一部の報道機関や大阪府警に送付されていたことが明らかとなり、警察側ではこの情報などを元に侵入したグループの特定を進めている<ref>[http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/100420/dst1004200201000-n1.htm 『無法「撮り鉄」大阪府警、人物特定へ JR関西線侵入』]{{リンク切れ|date=January 2012}} - 産経新聞 2010年4月20日</ref>。 |
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* 時刻表から[[ダイヤグラム]]を作成する - 列車のすれ違い・[[列車交換|行き違い]]箇所、[[待避駅|追い抜き箇所]]、折り返しの運用などを推測する。 |
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* 古い時刻表を見て、当時の列車状況などを調べる - 時刻表は当時の鉄道や旅行の様子を知る「[[資料]]」となるため、[[明治]]時代から[[昭和]]時代まで、大掛かりなダイヤ改正があった時期などを中心にいくつかの古い時刻表を復刻した「復刻版時刻表」が販売されることもある。ただし、[[日本国有鉄道|国鉄]]は詳細な記録がまとめられているが、[[私鉄]]は巻末に大雑把にしか掲載されていない。そのため、各社から個別の時刻表が発売・配布されたり、[[広報]]誌が発行されるなど利用客に向けた周知活動が整う時代(大まかに[[1980年代]]頃)よりも前のダイヤを調査することは、困難な場合が多い。当然ながら、過去の時刻表には現在は廃止されてしまった駅や路線、列車、[[外地]]との航路を含む[[鉄道連絡船]]、[[国鉄バス]]などの情報が記載されているので、現在では実現不可能<ref group="注釈">特に[[朝鮮半島]]では、[[軍事境界線 (朝鮮半島)|軍事境界線]]付近と[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]となったエリアでは、鉄道が残っていても自由に旅行することはできない。</ref>な鉄道旅行を空想する楽しみ方もできる。 |
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旅行の際、大判の時刻表を持っていくのはかさばるからと携帯版の時刻表を持っていく、あるいは電子版や[[乗換案内]][[モバイルアプリケーション|アプリ]]を利用するケースが増えているが、それでも大型時刻表を持っていく者も存在する。その理由として、複雑な旅行計画を組む鉄道ファンにとって、旅行中に万が一ダイヤが乱れた際行程を立て直すためにはどうしても情報量の多い大型時刻表が要ること、また、列車の中や待ち合わせ時間などの暇な際に情報量の多い大型時刻表を見るなどして時間つぶしをすることなどが挙げられる<ref group="注釈">かつて多数運行されていた[[夜行列車]]では[[枕]]代わりにもなった。</ref>。人によっては、大判時刻表の必要な部分だけをちぎったり、コピーする者もいる。 |
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=== 日本における鉄道趣味の市場規模と将来 === |
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[[野村総合研究所]]オタク市場予測チーム による「オタク市場の研究」([[東洋経済新報社]])によると、鉄道ファンは約3 - 5万人、市場規模は40億円と推定されている。趣味の分野によってつぎ込む金額は異なるが、模型、コレクションの分野では支出額が大きくなると分析されている。 |
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大型時刻表の発行元は現在では[[交通新聞社]]と[[JTBパブリッシング]]の2社に集約されたため、好みが大きく別れる。前者による『JR時刻表』は1963年5月に創刊され、JR化以後の公式時刻表であることや、[[優等列車]]が赤色表示の2色刷りなので分かりやすいこと、入線時刻や発車番線などの情報量が多いこと。後者による『JTB時刻表』は1925年4月に創刊され、国鉄時代の公式時刻表『国鉄監修 交通公社の時刻表』としての長い歴史があり、ページ割りも国鉄時代とほとんど同じであること、大都市近辺詳細図のページが会社別色別で見やすいこと、「グッたいむ」といった読者投稿の[[コラム]]が載っていることなどを、それぞれ利点として挙げている。 |
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2007年には、ドラマ「[[特急田中3号]]」、アニメ「[[鉄子の旅]]」、鉄道趣味を取り上げたテレビ番組が放送されるようになり、また[[団塊の世代]]の定年退職後に鉄道ファンとなる人など、市場の拡大を期待しているケースもある。 |
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[[紀行]]作家の[[宮脇俊三]]は自著『[[時刻表2万キロ]]』において、自分の国鉄全線[[完乗]]を『「列車に乗る」のではなく「時刻表に乗る」』と評している。 |
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ただし、同研究所の報告では、鉄道趣味は「販売数・利用者数の減少による商品供給の鈍化」「新規利用者が減少」により、「安定・衰退期」にある趣味と分析しており、市場規模は今後は縮小、良くて横這いになると分析している<ref>{{PDFlink|[http://www.nri.co.jp/publicity/n_letter/2005/pdf/nl20051002.pdf 『NRIニュースレターVol.38 データ潮流:延べ172万人、4110億円規模の「オタク」市場』] - 株式会社野村総合研究所広報部 2005年10月20日}}</ref>。<!---このことはすなわち、鉄道趣味分野に対する新規ビジネスの成立が、きわめて困難であることを意味する。 |
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2021年の『[[日本経済新聞]]』によると、鉄道貨物協会発行の『[[貨物時刻表]]』が交通・物流関係者だけでなく、[[貨物列車]]の撮影などを目的に鉄道ファンによる購入が増えている<ref>「[https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71826370T10C21A5CE0000/ 貨物時刻表 人気じわり 一般販売30年、年2万部迫る 特集や写真で読者つかむ]」日本経済新聞ニュースサイト(2021年5月13日)2022年10月19日閲覧</ref>。 |
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その傾向は、鉄道趣味雑誌の販売数減少や、鉄道研究会・鉄道趣味団体の会員数減少・解散などの形で、はっきりと現れるようになってきている。 |
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=== カメラ === |
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実際、日本の鉄道趣味を取り巻く情勢はきわめて厳しい。 |
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鉄道趣味、特に[[鉄道撮影|鉄道写真]]においては[[カメラ]]は欠かすことのできない道具である。望遠から広角まで様々な種類のレンズが必要になるため、[[一眼レフカメラ|一眼レフ]]が好んで用いられる。特に一本限りの臨時列車など、一発勝負でミスできない撮影のために、プロ並みに複数のカメラを同時に準備する例もある。通勤中などに不意に変わった車両や変わった運用を目撃したときのため、小型軽量で携行の容易な[[コンパクトカメラ]]を欠かさず携帯する鉄道ファンもいる。ただしカメラ付き携帯電話やタブレットコンピュータの普及で、これで代用するケースも増えており、近年では[[スマートフォン]]のカメラ高性能化もあり、スマホで本格的な写真撮影を行う人も存在する。 |
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* 日本の鉄道自体に魅力がなくなってきている |
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* ローカル線の廃線、画一的で無味乾燥な車両の投入、設備等における合理化の進展 |
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* モータリゼーションの進展による鉄道無関心層の増加 |
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* 鉄道に対する世間の評価の低下(特に尼崎事故以降で顕著) |
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* 少子化 |
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* 経済的格差の進展(趣味にお金をかけられなくなる傾向) |
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* 個人の価値観の変化(鉄道よりも他のことにお金をかける、という考え方) |
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* 日本の鉄道趣味に対する世間の評価 |
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* 鉄道趣味そのものの質的低下 |
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* 一部の人間によるキセル乗車などの常識的モラルの無さ |
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* 同趣味の年齢低下(学生層が一番多い) |
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そのほかに脚立と[[三脚]]も使うと便利である場合があり、有名な撮影ポイントやプラットホームの先端部分では三脚を立てたファンが集い、熾烈な場所取り合戦を展開することもある。ただし、混雑したり幅が狭いプラットホームにおいて三脚を立てるのはマナーの悪い行為とされ、持ち込み禁止の駅も存在する。このため、鉄道事業者側でも駅での三脚・脚立の使用自粛を求める動きが強まっている。駅でなくても、線路沿いの交通量の多い道路などで脚立を使うのは、迷惑行為であると同時に危険行為でもある。 |
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== 鉄道趣味の歴史 == |
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=== 日本以外における鉄道趣味の歴史 === |
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==== {{Flagicon|TWN}}台湾 ==== |
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[[File:Safehealth.JPG|right|thumb|250px|台湾初の縁起切符:永保安康]] |
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1891年(光緒17年)、初代[[巡撫|台湾巡撫]][[劉銘伝]]の任期中に[[全台鉄路商務総局鉄道|清朝台湾鉄路]]の'''[[基隆駅]] - [[大稲テイ駅|大稲埕駅]]'''(初代[[台北駅]])間が開業後、[[日本統治時代の台湾|日本統治時代]]の路線網拡充を経て大衆交通手段として定着した。 |
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鉄道写真を趣味とするファンはカメラメーカーのよい「お得意様」である。そのため、カメラメーカーが鉄道ファンを支援することもある。例えば[[富士フイルム|富士写真フイルム]]は、「いい旅チャレンジ2万キロ」を後援していた時期もあり、[[キヤノン]]は、1977年から雑誌『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』でのコンテストを協賛している。鉄道趣味誌にカメラメーカーが広告を掲載することは現在でも多い。 |
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その後[[中山高速公路]]の全通(1978年)を機に[[モータリゼーション]]の発達とともに[[台湾鉄路管理局]](台鉄)や[[台湾糖業鉄道]]は廃線が相次いだが、[[台湾高速鉄道]]や各都市の[[捷運]]の開業とともに台鉄も競争力向上を目指して、次世代車の導入や[[観光列車 (台湾)|観光列車]]の運行、日本国鉄の『[[愛国駅]]と[[幸福駅]]』から影響を受けたとされる縁起もの切符([[永康駅]]と[[保安駅]]の「永保安康」が最も有名。永から時計回りに4文字を読むと『安らかな生活と健康な体を永遠に保つ』という縁起のよい文になる)の発売(詳細は[[:zh:吉祥語車票]]を参照)、リバイバル列車の運行など、単に移動手段としての鉄道ではなく趣味分野を含めて付加価値を意識した事例が増えてきている。 |
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== 鉄道雑誌 == |
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既述のとおり[[1987年]]までは戒厳令により、撮影や出版には制限が多かった。[[1988年]][[6月9日]](鐵路節:台湾における[[鉄道の日]])には[[国立交通大学]]でサークル「[[:zh:國立交通大學鐵道研究會|交大鉄道研究会]]」が発足。翌年には、交通大学鉄研会報として[[鐵道情報]](後に定期雑誌化)が創刊された。[[1990年]]には[[国立台湾大学]]でも[[洪致文]]がサークル「臺大鐵道暨火車研習社」を設立、[[1992年]]には民間書籍としては台湾で初の鉄道趣味書籍「台湾鉄道伝奇({{lang|zh-tw|台灣鐵道傳奇}})」を刊行した。こうした一連の動きにより民間人若年層における鉄道趣味が一般化する契機となった。台湾大学と交通大学を中心とした学生、卒業生たちが[[1995年]]に[[中華民国鉄道文化協会]]を発足させ、変革を迎えつつあった台湾鉄道業界で記録、保存、出版を行うことで趣味の枠組みを超えた鉄道文化の保存、継承のための活動が社会的意義を帯びることになった。鉄道趣味の勃興期と[[インターネット]]の普及時期が重なったことで、鉄道ファン界で重鎮とされる人物の年齢層も現在の日本より若年であり、それらの多くが公式個人サイトや公式ブログを開設している。{{仮リンク|台湾鉄道網|zh|臺灣鐵道網}}(TRC、現在はサービス終了)に代表されるファンフォーラム、[[PTT (台湾)|PTT(批踢踢)]]や[[Komica]]などの大手[[電子掲示板]]でも鉄道専用のスペースがあるなど、人口に比してオンライン活動は活発であり、近年は[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]、特に[[Facebook]]に比重が移行している。 |
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{{See also|Category:鉄道雑誌|鉄道雑誌の一覧#日本}} |
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鉄道ファン向けの雑誌も多数刊行されている。日本国外でも[[鉄道雑誌]]は発行されている。国によっては数多くの雑誌が発行されており、また、「都市鉄道」「路面電車」「庭園鉄道」など、特定の分野に特化した雑誌が多いことが日本国外誌の特徴である。 |
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[[鉄道模型]]も当初は富裕層を中心に日米欧の輸入製品を嗜む高根の花であったが、[[2003年]]に創業した[[鐵支路模型]]により近年は国内列車型式の製品化、量産化が相次いでいる。 |
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;日本 |
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* [[鉄道ピクトリアル]]([[電気車研究会]]) |
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** 1951年創刊。模型ではなく実物の鉄道が対象の雑誌としては日本最古の鉄道趣味雑誌。綿密な調査に基づく精緻な論文的記事に強みがある。 |
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* [[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]([[交友社]]) |
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地理的・歴史的経緯から、国外だけでなく台湾国内の鉄道分野の中でも日本の比重は高い。また[[哈日族]]に代表される[[おたく|オタク文化]](御宅族文化)の影響で、鉄道ファンは通常「鐵路迷(英語はRail fan)」と呼ばれるが、近年はファンのジャンルが多様化しているため、代表的鉄道研究家の1人で学者の[[蘇昭旭]]は「'''"關懷鐵道的人士" (英語:Rail devotee)'''」(それぞれ「鉄道を気遣う人」、「鉄道熱愛者」を意味)という呼称を提唱している<ref>{{Zh-tw icon}}[http://blog.xuite.net/sujaushi/twblog1/119018666 有社會關懷的熱愛 就不會變壞]蘇昭旭老師的全球鐵道視野部落格</ref>。 |
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** 1961年創刊。鉄道趣味全般を取り扱う。大手カメラメーカーである[[キヤノン]]の協力で読者からの写真コンテストを開催するなど写真関連で強みがある。 |
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* [[鉄道ジャーナル]](鉄道ジャーナル社→成美堂出版) |
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** 1967年創刊。「鉄道の将来を考える専門情報誌」を標榜する。 |
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* [[鉄道ダイヤ情報]]([[交通新聞社]]) |
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** 1972年創刊。「[[時刻表#全国版|JR時刻表]]」の出版元として、運行情報に強みを持つ。 |
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* [[レイルマガジン]] ([[ネコ・パブリッシング]]) |
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** 1983年創刊。マイナーな車両、引退や廃車の近い車両、廃線等の話題に強みを持つ。 |
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* [[鉄道模型趣味]]([[機芸出版社]]) |
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** 1946年創刊。鉄道模型誌としては国内最古。基本的に鉄道模型を中心に扱う雑誌である。 |
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* [[とれいん (雑誌)|とれいん]]([[エリエイ]]) |
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** 1974年創刊。当初は鉄道模型誌として刊行されたが、徐々に実物と模型の双方を取り上げるようになっている。 |
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* [[RM MODELS]](ネコ・パブリッシング) |
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** 1995年創刊。鉄道模型を中心に扱う雑誌である。 |
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;[[イギリス]] |
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* The Railway Magazine:1897年創刊の歴史ある鉄道雑誌。 |
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* Modern Railways |
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* Railways Illustrated |
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* Tramways & Urban Transit:路面電車専門の鉄道雑誌。 |
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* [[:en:Railway Gazette International|レイルウェイ・ギャゼット・インターナショナル]]:いわゆる趣味誌ではなく、日本でいう「業界誌」であるが、世界中の鉄道の最新情報を手に入れることができる。 |
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* International Railway Journal(IRJ):上記のレイルウェイ・ギャゼット・インターナショナルと同じく「業界誌」であるが、こちらの雑誌でも世界中の鉄道の最新情報を手に入れることができる。 |
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; [[フランス]] |
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* Revue Generale des Chemins de Fer |
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* La Vie du Rail |
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* Rail & Public Transport |
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; [[ドイツ]] |
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* Eisenbahn Kurier:ドイツの鉄道雑誌では、Eisenbahn Journalと並ぶ双璧。 |
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* Eisenbahn Journal:上記のEisenbahn Kurierと同じくドイツでは最も有名な鉄道雑誌である。 |
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* Eisenbahn Magazin |
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; [[オランダ]] |
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* Op de rail |
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; [[アメリカ合衆国|アメリカ]] |
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* [[トレインズ|Trains]]:アメリカで最も有名な鉄道雑誌。[[カナダ]]でも販売され、多彩な内容を特集する。 |
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* Railway Age:1876年創刊の鉄道雑誌。 |
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* Railfan and Railroad |
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; [[台湾]] |
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* [[鐵道情報]]:1989年創刊の鉄道雑誌。 |
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; [[大韓民国|韓国]] |
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* Railers:2009年創刊の鉄道雑誌。軍事上の理由で鉄道自体が「嫌悪施設」とみなされていた同国でも鉄道趣味が浸透してきたことを象徴する雑誌でもある。 |
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== 鉄道ファンによる迷惑・危険行為 == |
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日本からの[[サブカルチャー]]の消化も早く、[[高捷少女]]や[[台湾鉄道少女]]に代表される[[鉄道擬人化]]などで独自の進化を遂げている。また[[井上雄彦]]の漫画作品[[SLAM DUNK]]の影響で、[[台東県]][[南廻線]][[太麻里駅]]付近の太麻里踏切周辺の光景が作中に出てくる[[鎌倉高校前駅]]の1号踏切のものに似ていると話題になり、鉄道ファン以外も来訪する[[巡礼 (通俗)|聖地巡礼]]スポットと化している<ref>{{Zh-tw icon}}[http://udn.com.tw/upf/newmedia/2015_vist/11/20151120_sakula_01/index.html]2015年11月20日,[[聯合報]]</ref>。 |
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{{See also|鉄道撮影#トラブル|さよなら運転#さよなら運転を巡るトラブル}} |
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[[ファイル:Railfan at Tokyo station.jpg|thumb|左下の寝台列車を撮影しようとホームに殺到する鉄道ファン([[東京駅]])]] |
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鉄道趣味に関する活動の中で、法律やマナーをわきまえず[[迷惑行為]]を繰り返す者もいる。 |
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一方で、日本における迷惑行為も伝播しており、撮影時の線路内立ち入りや私有地立ち入りが問題化している<ref>{{Zh-tw icon}}[http://www.ettoday.net/news/20161212/828052.htm 鐵道迷瘋「京急700」 闖淨空區3米近拍害列車急煞]2016年12月12日,[[東森電視|ETNEWS]]</ref><ref>{{Zh-tw icon}}[http://www.ettoday.net/news/20161030/802084.htm 直接闖進軌道、禁入也硬擠! 鐵道迷搶拍光華號行為超脫序]2016年10月30日,ETNEWS</ref>。 |
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車内や駅構内で無謀な撮影・収録を試みるなどの他の利用者に迷惑となる行為や、それに伴う駅員・警備員との対立のほか、鉄道会社の所有物を[[窃盗|盗む]]という[[犯罪]]行為(通称「盗り鉄」<ref name="杉山">{{Cite web|和書 |url=https://gendai.media/articles/-/68623 |author=[[杉山淳一]] |title=なぜ『盗り鉄』は減らないのか?鉄道会社が直面する「不都合な現実」 |website=[[現代ビジネス]] |date=2019-11-25 |access-date=2024-12-27}}</ref><ref name="恵">{{Cite web|和書 |author=[[恵知仁]] |title=あれ? 部品がない… 鉄道ファンの「盗り鉄」「クズ鉄」問題 |url=https://trafficnews.jp/post/105185 |website=乗りものニュース |date=2021-03-05 |access-date=2024-12-27}}</ref><ref name="柴田">{{Cite web|和書 |title=悪質な「盗り鉄」、どんな鉄道部品が狙われやすい? 営業時間中に車両から取り外して持ち去る輩も |url=https://toyokeizai.net/articles/-/613796 |author=柴田東吾 |website=[[東洋経済オンライン]] |date=2022-08-31 |access-date=2024-12-27}}</ref>)すら発生している。これら悪質なファンの行動を原因とする一般の乗客や鉄道沿線の近隣住民とのトラブルも少なくない。また、一部の鉄道会社ではこれらの迷惑行為を考慮して、ファンサービスの企画([[動態保存]]車両の特別運転や車両基地の一般公開など)を縮小、もしくは一切行わない方針とする傾向も見られる。 |
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=== 日本における鉄道趣味の歴史 === |
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{{独自研究|section=1|date=2010年2月}} |
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==== 黎明期 - 戦前 ==== |
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鉄道を趣味の対象とする行為の歴史は古く、鉄道の歴史とともに始まったといわれる。ただし明確な「鉄道趣味人」の登場までには少しばかり時間がかかったようだ。[[詩人]]・[[童話]]作家の[[宮沢賢治]]は鉄道に関心を持ち、自作の中に多くの鉄道を用いた描写があるが、現代的な意味での「マニア」とはいささか異なる。 |
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日本でこのような迷惑行為が増加したのは、1970年代の[[蒸気機関車]]全廃に伴う「[[SLブーム]]」でファンが著しく広がり、それに続く「[[ブルートレイン (日本)|ブルートレイン]]ブーム」で当時の若年層がより流入したことが原因であると考えられている。この時代、列車撮影が盛んになるとともに、撮影名所での場所取り、不法侵入や危険な区域への立ち入り、[[窃盗]]、[[破壊行為]]、列車妨害等々の無法行為や、過熱した鉄道ファンが沿線で夜行列車撮影のために深夜徘徊することが問題になった<ref group="注釈">エスカレートしすぎたゆえに、[[1976年]](昭和51年)には小学生が写真撮影のために線路敷内に侵入し、列車に轢かれて死亡する事故([[京阪100年号事故]])が発生し、大都市近辺における[[蒸気機関車]]の保存運転が事実上不可能となる(事故防止の沿線の警備にコストが掛かりすぎるため)など、結果としてファン自身の不利益になるような事態もある。</ref>。 |
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明確に「鉄道を職業とは異なるレベルで探求する」という人物は[[1902年]]から[[1907年]]にかけて全国の鉄道写真を撮影して回った[[岩崎輝弥|岩崎輝彌]] (1887 - 1956) と[[渡邊四郎]] (1880 - 1921) をもって嚆矢とするといわれる。この2人が写真家の[[小川一真]]に依頼して撮影した膨大な写真は、「岩崎・渡邊コレクション」として[[鉄道博物館 (さいたま市)|鉄道博物館]]に所蔵されている。 |
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[[ファイル:長野総合車両センター注意書き.jpg|サムネイル|鉄道事業者による注意喚起の例([[長野総合車両センター]])]] |
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鉄道ファンは[[カーマニア|自動車ファン]]などと異なり、趣味対象を直接所有することは極めて難しい。鉄道関係のイベントで解体された車両の備品などを販売している事例はあるが、車両そのものの譲渡や寄贈を受ける([[斎藤茂太]]など)場合には相応の資金力やコネクションが要求される<ref group="注釈">車両自体は無償譲渡の場合が多い(鉄道会社にしてみれば、本来必要な解体費用がかからないため)が、保存・保管のための用地の準備、輸送・補修等に莫大な費用を要する。</ref>。そうした背景もあってか、保存車両や鉄道敷地内の備品が盗難されることもある{{efn|こうした行為は俗に[[#鉄道写真|撮り鉄]]にかけて'''盗り鉄'''{{R|杉山|恵|柴田}}などと揶揄されている。}}。イベント列車などの運転、廃車[[回送]]、路線の開業あるいは廃止などでファンが集まる際、上記の如くマナーに欠ける者の迷惑行為により、鉄道ファンに対する世間の評価を低下させているのが現状である。 |
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以下は迷惑行為の例である。 |
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この両名のように広く名前が知られることはなかったものの、鉄道に関心を示し、個人的に探求を行った人物が他に存在する可能性も指摘されており、たとえば横浜で酒屋を経営していた田島貞次(1889 - 1957)は明治30年代以降に京浜間を走っていた蒸気機関車を詳細に観察して晩年にその証言を残したという<ref>伊藤一郎「鉄道趣味のあゆみ」『[[鉄道ジャーナル]]』1972年10月号、P76</ref>。 |
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* 犯罪・法令違反 |
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** 鉄道車両・関連施設の部品・備品等の[[窃盗罪|窃盗]]・[[器物損壊罪|破壊・除去]]<ref>「[http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080319/trd0803192209016-n1.htm “ワル鉄”暗躍? 廃線間近な三木鉄道で盗難相次ぐ]{{リンク切れ|date=January 2012}}」[[産経新聞]](2008年3月19日)</ref><ref>[http://61.7.18.67/localNews/news/2009/04/2009_124053718021.html 寄せ書きノート9冊なくなる 「秘境」で人気のJR坪尻駅(三好)]{{リンク切れ|date=January 2012}}[[徳島新聞]](2009年4月24日)</ref><ref>「[https://www.topics.or.jp/articles/-/139617 秘境駅のスタンプまた受難 坪尻駅から盗難?8月下旬になくなる]」徳島新聞(2018年12月18日)</ref><ref>[http://www.asahi.com/articles/ASJ5M5635J5MIIPE022.html 列車から車内放送用の機器盗まれる JR北「不届き者」]朝日新聞(2016年5月20日)</ref><ref>[http://www.asahi.com/articles/ASJ6354F6J63TIPE01F.html 特急のヘッドマークなど134点盗んだ疑い 男を追送検] 朝日新聞(2016年6月3日)</ref><ref>「[https://www.asahi.com/articles/ASK816DZ8K81TZNB017.html?iref=pc_rellink SL撮影の邪魔?鉄道標識なくなる 山口、窃盗容疑捜査]」朝日新聞(2017年8月1日)</ref>。 |
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** 立入が禁止されている鉄道用地などへの無断侵入<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXNSSXKA0084_Z00C10A5000000/ 「撮り鉄」侵入でJRに遅れ 関西線の線路脇に三脚] 日本経済新聞ニュースサイト掲載の[[共同通信]]記事(2010年5月9日)</ref><ref>[https://web.archive.org/web/20120224035234/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120221-OYT1T00933.htm 「秘境駅」撮影、線路に入った会社員を書類送検] 読売新聞(2012年2月21日)</ref> |
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** 鉄道用地に[[無人航空機|ドローン]]([[マルチコプター]])を飛ばす行為 |
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** 「列車の撮影に邪魔」と思しき理由で公有地や他人の私有地にある樹木などを勝手に伐採する犯罪行為も続発しておいる(所謂「刈り撮り鉄」)<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/426485 沿線で勝手に樹木伐採「刈り撮り鉄」の大問題 撮影の邪魔?他人の所有物なら器物損壊罪に] 東洋経済オンライン(2021年5月8日)2022年10月19日閲覧</ref>。 |
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** 第1種踏切で遮断中の踏切を強行突破して撮影する行為や、第3種と第4種踏切で通過中の列車に近寄り撮影する行為 |
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** 撮影地へのゴミの投棄 |
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** 鉄道員の制服を詐取する行為<ref>「[http://mainichi.jp/select/news/20130226k0000m040043000c.html 詐欺事件:鉄子と呼ばれる鉄道好きの女、JR西制服を詐取容疑]」毎日新聞(2013年2月26日)</ref> |
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** 運転室への侵入(鉄道営業法第33条により罰せられる)<ref> |
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[[東武6050系電車]]や[[東武10000系電車]]等の[[増解結]]を伴う運用をする形式には必ずその旨が車内貫通扉上に記載されている。</ref> |
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* 迷惑行為・マナー違反(犯罪・法令違反以外。なお程度の度合いにより、殺人罪、暴行罪、傷害罪、威力業務妨害罪、公務執行妨害罪、往来危険罪等の刑罰の適用を受ける場合あり) |
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鉄道創世期からにおける「鉄道マニア」は経済的に裕福な層が中心となっている。岩崎輝彌は[[三菱財閥]]創始者の[[岩崎家]]の一員であり、渡邊四郎は[[東京渡辺銀行|渡邊銀行]]創立者の一族である。また、[[大正]]時代にすでに機関車や一等車を趣味で乗り比べていた[[内田百間|内田百{{CP932フォント|閒}}]]は陸海軍の学校や[[大学]]で語学を教える[[教授]]だった。 |
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** ホーム白線からはみ出た位置での写真撮影(冒頭写真を参考) |
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** 線路敷地内へはみ出した機器による撮影 |
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** 軌道敷へ侵入しての撮影<ref>「[https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000211078.html 線路内の“撮り鉄”慌てて逃げるも……電車は緊急停止]」[[オールニッポン・ニュースネットワーク|ANN]](2021年3月26日)</ref> |
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** 走行している列車に向かってのフラッシュ撮影(運転士の視界を損なったり、信号確認などに悪影響を及ぼすおそれがあり危険) |
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** ホームや車内通路などにおける脚立・三脚の使用による、他一般利用客の通行の阻害(俗に言う「ひな壇」) |
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** 走行中の列車の窓から手を出す、印刷物を掲げるなどの行為 |
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** 鉄道車両の廃車反対、保存や譲渡といった、鉄道会社に対する無理な要望。特に保存については要求だけ行い、保存や維持管理にかかる経費の支出といった行為について消極的な、いわゆる「口は出しても金は出さない」姿勢が多く見られる<ref>『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』1986年11月号,p.132</ref>。 |
|||
** 鉄道車両やサービスに対して特定の鉄道事業者の方針を絶対視する、あるいは個人の好みに合わないという理由から<ref>『鉄道ファン』1994年6月号,p.135</ref>鉄道事業者を批判・中傷する行為。こうした批判行為は一般のファンのみならず、一部の鉄道雑誌や専門書などでも見られ、著者の偏見や出版社側が事実関係を検証しないために起こることが多い<ref>坂上茂樹「[https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/111C0000001-118.pdf 高木 蒸気機関車技術論に対する疑問以上のもの]」[[大阪市立大学]][[大学院]][[経済学研究科]] Discussion Paper No.118, 2019年4月3日(PDF)</ref>。 |
|||
** 「撮影時フレーム内に入る」などの理由で他の鉄道ファンや一般利用者、沿線住民などに罵声を浴びせる行為(俗に言う「罵声大会」)<ref>[https://www.iza.ne.jp/article/20150121-QH53YZUQOJOSDCK4SLZ4DDPLDQ/3/ 「おいこら、どけぇ! 下がれ!」 迫る「Xデー」“葬式鉄”暴走を警戒する関係者(3/7)]産経デジタルiza 2015年1月22日</ref> |
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** 趣味活動を注意・制止する駅員や警備員、[[鉄道警察]]などとの争い。 |
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** 本人の承諾を得ずに鉄道関係の従業員を勝手に撮影し、その画像をネット上で公開する。 |
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** 撮影場所に向かうために、[[不正乗車|キセル乗車]]をする。 |
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== 鉄道趣味の市場規模 == |
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当時の一般庶民の生活水準を考えると、鉄道趣味を含めた、今日的な[[趣味]]を行うだけの余裕はなかった。一般庶民のなかに鉄道趣味が浸透するのは、さらに時代が下ってから(一般的には1970年代以降)になる。 |
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[[野村総合研究所]]オタク市場予測チーム による『オタク市場の研究』(2005年、[[東洋経済新報社]])によると、鉄道ファンは約3 - 5万人、市場規模は40億円と推定された。趣味の分野によってつぎ込む金額は異なるが、模型、コレクションの分野では支出額が大きくなると分析されていた。 |
|||
2005年時点では、同研究所の報告では、鉄道趣味は「販売数・利用者数の減少による商品供給の鈍化」「新規利用者が減少」により、「安定・衰退期」にある趣味と分析しており、市場規模は今後は縮小、良くて横這いになると分析していた<ref>株式会社野村総合研究所広報部{{PDFlink|[http://www.nri.co.jp/publicity/n_letter/2005/pdf/nl20051002.pdf 『NRIニュースレターVol.38 データ潮流:延べ172万人、4110億円規模の「オタク」市場』]}}{{リンク切れ|date=2022年10月}}(2005年10月20日)</ref>。 |
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[[昭和]]初期には「[[鉄道 (雑誌)|鉄道]]」([[1929年]])「[[鉄道趣味 (雑誌)|鉄道趣味]]」([[1933年]])「[[カメラと機関車]]」([[1938年]])といった鉄道趣味を専門とした雑誌や書籍も発行されるようになった。もっとも、これらは流通機構に乗って発売されていたわけではなく、発行部数も読者数もきわめて僅少であった。この頃から活躍していた鉄道趣味人としては[[西尾克三郎]]、[[高松吉太郎]]、[[亀井一男]]、[[本島三良]]、[[宮松金次郎]]、杵屋栄二らが挙げられる。彼らは鉄道写真の大家としても成し、膨大な写真コレクションの数々は今でも十分活用されている。 |
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しかし2010年代には「鉄道ファン500万人、市場規模1000億円」<ref>[https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/you/news/post_140829 なぜ?鉄道ファンに注目 “山手線メガネ”ができるまで|テレ東BIZ(テレビ東京ビジネスオンデマンド)]</ref>という報道もあるなど市場の拡大が進んだ。 |
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しかし、昭和10年代になり、国内が次第に[[軍国主義]]に傾いていくと、鉄道の軍事的側面が重視されるようになり、軍事機密保護上の理由で高所からの撮影が禁止となるなど、鉄道趣味に対する制約が厳しくなっていった。また戦時体制により用紙の統制が進んだこともあって、「鉄道」「鉄道趣味」は1937年-1938年に相次いで廃刊に追い込まれた。その後、関東・関西で趣味者の同人会が立ち上げられ、[[1940年]]に関東では「[[つばめ (同人誌)|つばめ]]」、関西では「[[古典ロコ (同人誌)|古典ロコ]]」という会員制の同人誌が発行されたが、これらも翌[[1941年]]に終刊となり、以後は[[太平洋戦争]]の終結まで鉄道趣味活動は事実上、不可能となったのである。 |
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== 海外の鉄道ファン == |
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だが、一部の鉄道趣味者は、厳しい看視の目をかいくぐり、涙ぐましい努力と危険を冒しながら趣味活動を続行していた。公共機関の輸送力は軍事機密であったため、駅構内などで鉄道車両に直接カメラを向けたり、車両番号をノートに書き留めたりする行為は完全に禁止(不可能)となった<ref>[{{NDLDC|2960315/2}} 「鉄道省令第17号 国有鉄道軍用資源秘密保護規則」『官報』1939年9月28日](国立国会図書館デジタルコレクション)</ref>。もし見つかれば、[[スパイ]]容疑による厳しい取調べが待ち受けていた。当局の許可を得てようやく撮影した写真も、[[日本における検閲|検閲]]により容赦なく葬り去られるなど、鉄道趣味の暗黒時代であったが、周囲の目をごまかすため、数学の教科書の行間に車両番号を書き留めたというエピソードはよく知られている。 |
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欧米では[[保存鉄道]]や保存車両の運営、維持にボランティア活動や資金カンパなどを行っている鉄道ファンが存在する。[[保存鉄道]]は、[[イギリス]]や[[フランス]]などで特に盛んである。[[アメリカ合衆国|アメリカ]]では廃車になった車両を[[レストア|修繕]]し展示や運転を行うグループが存在する。また、国や地域によって、ファンの活動にも温度差があり、下記の旧[[共産圏]]に含まれる[[東ヨーロッパ|東欧]]方面では、法律によって鉄道施設の撮影などが制限されている国もある。 |
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[[冷戦]]時代、[[東側諸国|東側共産圏]]や西側[[開発独裁]]国においては、鉄道およびその関連施設の多くが軍事施設の扱いとされることから、「国家[[防衛]]上の理由」により鉄道趣味への制約<ref group="注釈">鉄道のみならず、道路橋、道路トンネル、通信施設([[電波塔]])、[[軍事基地]]ではない[[空港]]・[[飛行場]]・[[港|港湾]]、国によっては[[スラム]]なども撮影が禁止されていることが多く、身柄を拘束された場合、撮影済みフィルムの没収や画像データの消去という処分が下される。</ref>が存在した国も多々見られ、鉄道撮影に対する制約が強かった。現在も一部その名残が見られる。 |
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また、戦争による影響はこうした趣味活動の面のみにとどまらず、戦前に趣味者が蓄積・収集した写真などの記録や各種資料が[[空襲]]により焼失したり<ref>杵屋栄二も戦災にあいコレクションを失っている</ref>、終戦直後の[[外地]]からの[[引き揚げ]]の際にやむなく放棄されたりして多数失われている。 |
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欧米にも「鉄道オタク」「鉄道マニア」を意味する[[言葉]]が存在する。英語圏では、一般的に'''Railfan'''が鉄道ファンを指す言葉であるが、「マニア」を意味する'''Geek'''、'''Nerd'''、アメリカで用いられる'''Foamer'''、イギリスで用いられる'''Trainspotter'''、'''[[アノラック|Anorak]]'''、'''Crank'''、'''Grizzer'''、'''Gricer'''、オーストラリアで用いられる'''Gunzel'''など[[スラング]]的な言葉も存在する。これらの中には侮蔑的な意味を含む言葉が幾つも存在し、いずれも鉄道に対して過度に熱中し、見境なく暴走、はては迷惑行為を行い、社会的適応力に欠けてしまっている鉄道ファンを揶揄する言葉である(日本でいう「迷惑鉄」ないしは「でんちゃっちゃオタク」「屑鉄」などに相当)。 |
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==== 戦後 ==== |
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終戦後は国内情勢が混乱していたとはいえ、鉄道撮影に関する制約が少なくなったため、戦後間もない頃でも多くの鉄道写真が一部の趣味者により撮影されている。また、[[連合国 (第二次世界大戦)|進駐軍]]が持ち込んだカラーフィルムの一部が日本人向け市場に流れ、鉄道趣味者の手に渡ってカラー写真による鉄道の記録が残されるようになるのもこの頃である。当時のカラーフィルムは高価で品質や性能も良くなく、感度が低く光線漏れが起こりやすい上に経年により退色しやすかったため良質のカラー写真は数が少ないが、近年ではコンピュータによる画像補正技術の進歩と普及により、劣悪であった当時の写真が貴重な記録として日の目を見るケースも多くなっている。 |
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=== 各国での楽しみ方 === |
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[[1946年]]頃からは関東・関西を中心に趣味者の同人会が立ち上げられ、同人誌が発行されるようになった。 |
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* 日本以外の国・地域のファンも日本と同様、旅行、撮影、模型、[[コレクション]]などを楽しんでいる。 |
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* 欧米では、鉄道事業者の協力の下で、[[保存鉄道]]や保存車による貸切列車が大々的に運転されることもある。 |
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* 保存鉄道以外では、[[航空ショー]]の鉄道版のような形で鉄道施設の線路際に特設の観客席を設け、往年の名車や名列車([[編成 (鉄道)|編成]]ごと)が動く姿を楽しめる催しもある。 |
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[[ファイル:Dampflokwerk03.jpg|thumb|right|220 px|ドイツのマイニンゲン工場の公開日に集まったファン]] |
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[[ファイル:18 201 Meiningen 01092007.JPG|thumb|right|220 px|ドイツのマイニンゲン工場での蒸気機関車の展示]] |
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; [[ヨーロッパ]] |
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: [[ヨーロッパ|欧州]]の独特の趣味として「車両を見る(トレイン・スポッティング)」という趣味がある。駅などのホーム端部で行き来する列車の車両番号をノートに記録、または車両を見ながら車両番号を読み上げそれを録音する。これは地続きのヨーロッパにおいては、他国から[[直通運転]]される[[国際列車]]が日常的に見られることや、一つの列車に複数の国・地域の車両が連結されていることも多く、ファンの心をくすぐるためである。ただし「トレイン・スポッティングをする人」を意味する'''Trainspotter'''は、上記のように侮蔑的な意味を含む。 |
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: また、実際の営業路線で動態保存の[[蒸気機関車]]や列車を、団体臨時列車・イベント列車として走らせるグループ・組織や、実際に列車運転を体験できる鉄道もあり、その楽しみ方は多彩である。 |
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; [[アメリカ合衆国]]・[[カナダ]] |
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: 国土が広大で、貨物列車主体の鉄道であるため列車のスケジュールは一定ではなく、列車を撮影する際には無線機を携帯し、[[列車無線]]を聞いて列車の現在位置を把握することが多い。単に目撃した機関車の番号を記録するだけのファンもいる。 |
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: [[富裕層|非常に裕福]]なファンも存在し、個人で列車を借り切ることもある。また、線路上を走行可能なように整備された[[寝台車 (鉄道)|寝台車]]や豪華なソファーに[[会議室]]、[[厨房]]など移動を更に楽しくさせる要素を含んだ[[プライベートカー]]が存在し、それらの車両を[[アムトラック]]などの定期旅客列車に併結させることもある。 |
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: 旅客輸送の全盛期の備品のコレクションが盛んである。なかでも、「レイルウェイ・[[陶磁器|チャイナ]]」と呼ばれる[[食堂車]]で使われた高級[[食器]]の収集は他地域ではあまり見られない。また、鉄道会社の発行する[[株券]]にはそれぞれの鉄道会社の特徴を表すイラストが載っていることが多いため、株券を収集するファンも存在し、消滅した鉄道会社の株券を売買するコレクター・ショップも存在する。 |
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: 自宅の庭に大型の鉄道模型である「[[庭園鉄道]]」を敷設するファンも存在する。 |
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: [[2001年]][[9月11日]]の[[アメリカ同時多発テロ事件|同時多発テロ事件]]以降、アメリカでは列車撮影目的の鉄道ファンが[[警察官]]からの[[不審尋問]]を受ける事例も生じている{{refnest|group="注釈"|鉄道ファンに対するものではないが、テレビ番組『[[世界の車窓から]]』の撮影班がテロ事件後の[[ロケーション撮影]]において[[ニューヨーク]]・[[ペンシルベニア駅 (ニューヨーク)|ペンシルベニア駅]]での撮影時に「2度尋問された」という案件があり、沿線での列車撮影時には「3度捕まった」ほか、[[サスケハナ川]]橋梁での撮影のためにカメラを設置していた際には[[貨物列車]]の[[運転士]]により警察に通報された、と撮影日記に記している。<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.tv-asahi.co.jp/train/diary/america.html |title=アメリカ編 撮影日記 |author=[[テレビ朝日]]・[[テレコムスタッフ]] |accessdate=2018-08-11 }}</ref>}}。 |
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; [[中央アメリカ]]・[[南アメリカ]] |
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: 中南米地域の国々では、鉄道は欧米諸国の大企業による[[プランテーション]]([[農業]])や[[鉱山]]開発から発生する作物を輸送するために敷設された路線が多く、輸送する作物の価格動向や生産高、代替手段としての道路交通の発達などの影響を受けて旅客輸送はおろか路線自体が「休止」となっているケースも多々見られる。また情勢が不安定な国々も多く、「安全上の問題」により列車の写真を撮影出来ない場合もある。それらにより、中南米地域全体では鉄道ファンと呼べる人々はさほど見られない。 |
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: しかし、中南米地域の中では経済に加え鉄道網も最も発展しているとされる[[ブラジル]]と[[コーノ・スール]]([[アルゼンチン]]、[[ウルグアイ]]、[[チリ]])では、鉄道車両<ref>[http://www.materfer.com/ ''MATERFER'']</ref><ref>[https://www.bomsinal.com/ ''BOM SINAL'']</ref>や鉄道模型<ref>[https://www.frateschi.com.br/web/ ''Frateschi'']</ref><ref>[https://minitrenesdotorg.wordpress.com/?fbclid=IwAR0Zd8USaJjcyzPGqkd7xt7D4-gAhGAQSzXWheHWMhdAK-Lqs0Y6LkayFsk ''MINITRENES FERROMODELISMO ARGENTINO'']</ref>が製造され、鉄道に関する沢山のホームページや同好者組織<ref>[https://www.amigosdeltren.cl/ ''amigosdeltren.cl'']</ref><ref>[https://m.facebook.com/cazatrenes/ ''CazaTrenes'']</ref><ref>[http://vfco.brazilia.jor.br/ ''Centro-Oeste.Brasil'']</ref>が作られ、特にブラジルとアルゼンチンでは数種類の鉄道雑誌<ref>[https://revistaferroviaria.com.br/ ''REVISTA FERROVIÁRIA'']</ref><ref>[http://revistatodotrenes.blogspot.com/?m=1 ''Todo Trenes'']</ref><ref>[https://trenesporsiempre.wordpress.com/category/revista-rdi/ ''REVISTA RDI'']</ref><ref>[http://www.trenrodantedata.com/links/buscar ''Tren Rodante'']</ref>が定期的に発行され、[[ブラジル保存鉄道協会]](ABPF)や{{仮リンク|アルゼンチン鉄道クラブ|label=フェロクルブ・アルヘンティーノ|es|Ferroclub_Argentino}}<ref>[https://www.facebook.com/FerroclubEscalada/reviews/ ''Ferroclub Argentino CDP Escalada'']</ref>などの鉄道保存団体が多数存在するなど鉄道趣味が浸透している。[[リオプラテンセ・スペイン語]]や[[スペイン語]]のチリ方言には鉄道ファンを指す"Ferroaficionado"(アマチュア鉄道人)という言葉があるほどである<ref>[https://m.facebook.com/ferroaficionadosdeargentina/ ''Ferroaficionados argentinos'']</ref><ref>[http://www.ferroaficionados.org/ ''Grupo Ferroaficionados Uruguay'']</ref>。アルゼンチンの首都の大切な足として親しまれている[[ブエノスアイレス地下鉄]]では日本の中古地下鉄車両が使用されており、日本から撮影や乗車をするために現地へ向かう鉄道ファンも存在する。 |
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[[ファイル:Railfans are taking photos of TRA DR2700 at Hanben Station 20041106.jpg|220 px|right|thumb|列車を撮影する鉄道ファン([[台湾]][[東部幹線|北廻線]][[漢本駅]])]] |
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; [[中華民国|台湾]] |
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: 台湾では[[1987年]]まで[[台湾省戒厳令|戒厳令]]が施行されていたため、鉄道施設・車両に対する撮影に制限があったが、近年徐々にファンが増えてきている。特に[[台北捷運]]・[[台湾高速鉄道]]の開通後は増え方が加速している。日本同様に鉄道研究会がある大学もある。[[1995年]]に鉄道愛好者の団体である「鉄道文化協会」([[中華民國鐵道文化協會|鐵道文化協會]])が結成され、鉄道趣味雑誌[[鐵道情報]]が発行されている。 |
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: 市民運動の盛り上がりを受け、[[2017年]]に[[台北機廠]]跡を国立の「台北機廠鉄道博物館園区」として整備する計画が決定し、部分公開を行いつつ開館準備が進められている<ref>{{Cite web|和書|author=齊藤 |
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啓介 |date=2021-06-26 |url=https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c10002/ |title=開館準備進む、過去と未来をつなぐ台湾の国家鉄道博物館 |publisher=公益財団法人ニッポンドットコム |accessdate=2022-04-28}}</ref>。 |
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; [[大韓民国|韓国]] |
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: 準[[戦時体制]]下にある韓国では、鉄道は軍事上重要な位置を占めており、鉄道施設・車両に対する撮影には制限がある。鉄道を趣味とする人は少ないため、情報発信は韓国に在住、あるいは韓国を訪問したインバウンド来訪者によるものが多い。近年は、以前よりも撮影規制などが緩和傾向にある。しかし韓国では、鉄道は「[[NIMBY|嫌悪施設]]」という概念が強く、[[東海南部線]]や[[京義線]]・[[ソウル郊外線]]で[[蒸気機関車]]による観光列車が走ったことがあるが、いずれも長続きしていない(「[[ムグンファ号#蒸気機関車観光列車|ムグンファ号]]」の項目参照)。一方で豪華[[寝台列車]]「[[ヘラン]]」号や[[韓国鉄道9501系気動車#観光列車|海列車]]、[[旌善線]]などの廃線跡を活用した[[軌道自転車|レールバイク]]の運行など、鉄道ファンを増やす試みも見られる。 |
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; [[インドネシア]] |
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: オランダの植民地時代から存在し、インドネシア語で狂人を意味するエダン(edan)とオランダ語で鉄道を意味するスポール(sepur)をあわせてエダンスポール(edan sepur)と呼ばれる。<br />また、英語風にレールファン(railfan)と呼ばれることもある。[[2009年]]にインドネシア・エダンスポール・クラブが設立され、鉄道専門店の「プラサスティ」でグッズなどの展開を行っている。 |
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; [[モンゴル]] |
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: モンゴルは、民主化後は鉄道施設・車輌に対する撮影の制限が緩和されている。また、NHKの番組『行くぞ!最果て!秘境×鉄道』では、同国に3人しかいないという「撮り鉄」が紹介された<ref>[https://www4.nhk.or.jp/P4545/x/2019-12-10/10/23569/2608149/ 行くぞ!最果て!秘境×鉄道「モンゴル 絶景列車]{{リンク切れ|date=2022年10月}}NHK(2020年5月12日閲覧)</ref>ほか、首都[[ウランバートル]]には鉄道博物館も設置されている。 |
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; [[中華人民共和国|中国]] |
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: 現在も一部撮影規制が行われている。 |
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: 2021年5月14日、[[中華人民共和国民政部]]は「中国鉄道ファン協会」なる組織を第4陣の不法社会組織のリストに入れたが<ref>{{cite news |author1=高蕾 |title=民政部公布中国教育服務行業協会等12家涉嫌非法社会組織名單 |url=https://china.huanqiu.com/article/437Rpk8cPNV |accessdate=2022-07-28 |agency=[[新華社]] |date=2021-05-14}}</ref>、理由は不明である。 |
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; [[ロシア]] |
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: [[ソビエト連邦|ソ連]]時代、鉄道車両や施設などは軍事情報とされ、撮影等は基本的に禁止されていた。現在では基本的に撮影可能であり、鉄道ファンが情報交換するサイト(trainpix.org)やインスタグラムにも鉄道写真が多数投稿されている、[[動画投稿サイト]]や個人ブログなどでは日本人による[[シベリア鉄道]]乗車記などが見られる。 |
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また、[[ミャンマー国鉄]]、[[タイ国鉄]]、インドネシア([[KRLジャボタベック]])、[[フィリピン国鉄]]では日本の事業者より譲渡された鉄道車両が運用されているため、日本国内では既に引退した車両を乗車・撮影する目的でそれらの国へ渡航する日本の鉄道ファンも存在する。 |
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[[1947年]]には戦後初の鉄道趣味雑誌として「[[鉄道模型趣味]]」が創刊されている。これは本来は[[鉄道模型]]の専門誌であるが、実物の鉄道車両に関する記事も掲載されていた。[[1951年]]、はじめて一般流通機構に乗った鉄道趣味雑誌「[[鉄道ピクトリアル]]」が創刊された。また、[[内田百間|内田百{{CP932フォント|閒}}]]が[[1950年]]から発表した『[[阿房列車]]』シリーズは、鉄道紀行文学の先駆といわれる。 |
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=== 海外における鉄道趣味の歴史 === |
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[[1953年]]には日本初の全国規模の鉄道愛好団体である[[鉄道友の会]]が設立された。また、旧[[華族]]で[[昭和天皇]]の皇女・孝宮と結婚した[[鷹司平通]](乗り物通として知られていた)が[[交通博物館]]の館長になったりもした。交通博物館が秋葉原に近い神田にできたことで鉄道マニアが集結する場所は[[秋葉原]]が拠点となり、他の全くジャンルの違うマニアにも秋葉原の集結の影響を少なからず与えた。現在でも鉄道趣味の情報発信基地は秋葉原と言われることも少なくない。 |
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==== 台湾 ==== |
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{{see|台湾の鉄道}} |
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[[File:Safehealth.JPG|right|thumb|250px|台湾初の縁起切符:永保安康]] |
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[[清朝統治時代の台湾|清統治時代]]の1891年([[光緒]]17年)、初代[[巡撫|台湾巡撫]][[劉銘伝]]の任期中に[[全台鉄路商務総局鉄道|清朝台湾鉄路]]の'''[[基隆駅]] - [[大稲埕駅]]'''(初代[[台北駅]])間が開業後、[[日本統治時代の台湾|日本統治時代]]の路線網拡充を経て大衆交通手段として定着した。 |
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その後、[[中山高速公路]]の全通(1978年)を機に[[モータリゼーション]]の発達とともに[[台湾鉄路管理局]](台鉄)や[[台湾糖業鉄道]]は廃線が相次いだが、[[台湾高速鉄道]]や各都市の[[捷運]]の開業とともに台鉄も競争力向上を目指して、次世代車の導入や[[観光列車 (台湾)|観光列車]]の運行、日本国鉄の「[[愛国駅]]と[[幸福駅]]」から影響を受けたとされる縁起もの切符([[永康駅]]と[[保安駅]]の「永保安康」が最も有名。永から時計回りに4文字を読むと「安らかな生活と健康な体を永遠に保つ」という縁起のよい文になる)の発売(詳細は「[[:zh:吉祥語車票]]」を参照)、リバイバル列車の運行など、単に移動手段としての鉄道ではなく趣味分野を含めて付加価値を意識した事例が増えてきている。 |
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==== 1960年代 ==== |
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[[1960年代]]に入り、高度経済成長の中、[[東海道新幹線]]の開業や、鉄道車両・設備の更新が急速に進められ、秀逸な車両が次々と投入される。だがそれは同時に古い車両の淘汰が進められることと表裏一体であった。またこの時代、道路網の整備と[[バス (交通機関)|バス]]路線の拡充により、全国各地の地方私鉄が廃業に追い込まれていった。このような時代背景の中、鉄道趣味といえば鉄道車両・列車とそれに伴う鉄道撮影が主体であった。切符収集などもあったが、少数派であった。 |
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既述のとおり[[1987年]]までは[[台湾省戒厳令|戒厳令]]により、撮影や出版には制限が多かった。[[1988年]][[6月9日]]('''[[鐵路節]]''':台湾における[[鉄道の日]])には[[国立交通大学]]でサークル「[[:zh:國立交通大學鐵道研究會|交大鉄道研究会]]」が発足。翌年には、交通大学鉄研会報として『[[鐵道情報]]』(後に定期雑誌化)が創刊された。[[1990年]]には[[国立台湾大学]]でも[[洪致文]]がサークル「臺大鐵道暨火車研習社」を設立、[[1992年]]には民間書籍としては台湾で初の鉄道趣味書籍「台湾鉄道伝奇({{lang|zh-tw|台灣鐵道傳奇}})」を刊行した。こうした一連の動きにより民間人若年層における鉄道趣味が一般化する契機となった。台湾大学と交通大学を中心とした学生、卒業生たちが[[1995年]]に[[中華民国鉄道文化協会]]を発足させ、変革を迎えつつあった台湾鉄道業界で記録、保存、出版を行うことで趣味の枠組みを超えた鉄道文化の保存、継承のための活動が社会的意義を帯びることになった。鉄道趣味の勃興期と[[インターネット]]の普及時期が重なったことで、鉄道ファン界で重鎮とされる人物の年齢層も現在の日本より若年であり、それらの多くが公式個人サイトや公式ブログを開設している。[[台湾鉄道網]](TRC、現在はサービス終了)に代表されるファンフォーラム、[[PTT (台湾)|PTT(批踢踢)]]や[[Komica]]などの大手[[電子掲示板]]でも鉄道専用のスペースがあるなど、人口に比してオンライン活動は活発であり、近年は[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]、特に[[Facebook]]に比重が移行している。 |
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鉄道趣味雑誌としては「鉄道ピクトリアル」に続き、[[1961年]]には「[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]」、[[1967年]]には「[[鉄道ジャーナル]]」が創刊された。これらも記事の中心は鉄道車両や列車であった。[[1962年]]からは「鉄道ピクトリアル」誌上に[[廃線]]に関する記事も掲載され、廃線跡趣味の嚆矢ともなった。 |
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[[鉄道模型]]も当初は富裕層を中心に日米欧の輸入製品を嗜む高嶺の花であったが、[[2003年]]に創業した[[鐵支路模型]]により近年は国内列車型式の製品化、量産化が相次いでいる。 |
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==== 1970年代 ==== |
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[[1970年]]、「[[ディスカバー・ジャパン]]」[[キャンペーン]]が始まった。[[1970年代]]に入ると[[蒸気機関車]]の減少が社会的関心事となり、多くの人々が蒸気機関車の見物や撮影を行うようになった。いわゆる「'''[[SLブーム]]'''」である。これに乗じた形で[[1972年]]に新たな鉄道趣味雑誌「SLダイヤ情報」([[1976年]]に「[[鉄道ダイヤ情報]]」に改題)が創刊された。同年には、[[日本の鉄道開業]]100周年を記念して、日本初の蒸気機関車[[動態保存]]施設「[[梅小路蒸気機関車館]]」が、[[京都市]]の梅小路機関区の扇形庫を利用して開設され、日本の近代型蒸気機関車16形式17両が同館に収められた。 |
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地理的・歴史的経緯から、国外だけでなく台湾国内の鉄道分野の中でも日本の比重は高い。また[[哈日族]]に代表される[[おたく|オタク文化]](御宅族文化)の影響で、鉄道ファンは通常「鐵路迷(英語はRail fan)」と呼ばれるが、近年はファンのジャンルが多様化しているため、代表的鉄道研究家の1人で学者の[[蘇昭旭]]は「'''"關懷鐵道的人士" (英語:Rail devotee)'''」(それぞれ「鉄道を気遣う人」、「鉄道熱愛者」を意味)という呼称を提唱している<ref>{{Zh-tw icon}}[http://blog.xuite.net/sujaushi/twblog1/119018666 有社會關懷的熱愛 就不會變壞]蘇昭旭老師的全球鐵道視野部落格</ref>。 |
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1976年に蒸気機関車が全廃されると、今度は現在では減少が進む[[寝台列車|客車寝台特急列車]]([[ブルートレイン (日本)|ブルートレイン]])を撮影する人々が増えた。いわゆる「'''ブルートレインブーム'''」であった。このSLブームとブルートレインブームにより低年齢層を中心に鉄道ファンが急増したが、反面、鉄道ファンの質的低下を問題視する声も出るようになった。もっとも[[団塊の世代|団塊世代]]が趣味の中心だったSLブームと違って、ブルートレインブームは趣味人の中心が[[小学生]]・[[中学生]]であったためか、休日や休日前日の深夜の駅での撮影など風紀上の問題はあったが、[[マナー]]の問題はさほど出なかった。さらに[[ゴーサントオ|1978年10月のダイヤ改正]]で国鉄の特急電車に絵入りヘッドマークが採用されると、そちらも人気を集め、多数の特急が発着する[[上野駅]]のホームでは休日となると、撮影に訪れたたくさんの少年ファンで賑うようになった。 |
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日本からの[[サブカルチャー]]の消化も早く、[[高捷少女]]や[[台湾鉄道少女]]に代表される[[鉄道擬人化]]などで独自の進化を遂げている。また[[井上雄彦]]の漫画作品[[SLAM DUNK]]の影響で、[[台東県]][[南廻線]][[太麻里駅]]付近の太麻里踏切周辺の光景が作中に出てくる[[鎌倉高校前1号踏切]]のものに似ていると話題になり、鉄道ファン以外も来訪する[[巡礼 (通俗)|聖地巡礼]]スポットと化している<ref>{{Zh-tw icon}}[http://udn.com.tw/upf/newmedia/2015_vist/11/20151120_sakula_01/index.html]2015年11月20日,[[聯合報]]</ref>。 |
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==== 1980年代 ==== |
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[[1978年]]に[[宮脇俊三]]が[[日本国有鉄道|国鉄]]全線[[完乗]]を達成し、その過程を綴った『[[時刻表2万キロ]]』を発表した。さらに国鉄が「[[いい旅チャレンジ20,000km]]」キャンペーンを実施したことや、宮脇のほかに[[種村直樹]]の執筆活動もあって、[[鉄道旅行]]が鉄道趣味の一分野として定着してきた。 |
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一方で、日本における迷惑行為も伝播しており、撮影時の線路内立ち入りや私有地立ち入りが問題化している<ref>{{Zh-tw icon}}[http://www.ettoday.net/news/20161212/828052.htm 鐵道迷瘋「京急700」 闖淨空區3米近拍害列車急煞]2016年12月12日,[[東森電視|ETNEWS]]</ref><ref>{{Zh-tw icon}}[http://www.ettoday.net/news/20161030/802084.htm 直接闖進軌道、禁入也硬擠! 鐵道迷搶拍光華號行為超脫序]2016年10月30日,ETNEWS</ref>。 |
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また当時は[[国鉄分割民営化]]という、当時としては世界にも類を見ない巨大事業が進められていたことや、[[川島令三]]などの執筆活動の影響により、独自の理論を構築する鉄道ファンも増加した。 |
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==== チェコ ==== |
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かつて[[オーストリア帝国]]の中の[[ボヘミア王国|チェコ王領]]、[[モラヴィア辺境伯領|モラヴァ辺境伯領]]、上・下スレスコ公領であった[[チェコ]]では、19世紀以降全土に鉄道網が張り巡らされ、20世紀初めには現在につながる主要路線がほぼ開通していた。19世紀には既に鉄道趣味が見られ、19世紀後半に活躍した作曲家[[アントニン・ドヴォルザーク]]も熱心な鉄道ファンであったといわれている。 |
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鉄道に関する書籍も様々な視野からのものが発行されるようになったことや、[[情報技術]](IT)が普及し、[[ニフティサーブ]]の鉄道フォーラムや[[ネットニュース]]の[[Fj (ニュースグループ)|fj.rec.rail]]などによって情報発信・閲覧が容易になったことなどから、次々と新しいタイプの趣味が生まれ、鉄道趣味の多様化が進んだ。[[1995年]]頃から[[Microsoft Windows 95|Windows95]]の発売などもあって[[個人]]で鉄道趣味に関する[[ウェブサイト]]や[[電子掲示板]]を開設する愛好者も増加していった。 |
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この時代の特徴として、[[新幹線]]が鉄道趣味として一躍メジャーになったことがあげられる。これは新規路線の開業が相次いだこと、JR各社が用途に応じた新型車両や改造車を次々に導入したことにより車両のバリエーションが一気に豊かになったことが理由である。 |
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==== 2000年代以降 ==== |
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[[インターネット]]のさらなる普及により、1990年代後半以降に見られた趣味者による個人ホームページ・電子掲示板の開設がますます進んだ。また、画像や音声のデジタル化技術の進歩や[[YouTube]]や[[ニコニコ動画]]などをはじめとした[[動画投稿サイト]]が台頭してきたこともあって、撮影した鉄道[[ファイルフォーマット#画像|画像]]や録音した鉄道[[ファイルフォーマット#音声|音声]]の公開・投稿が盛んに行われるようになった。さらには鉄道趣味専門の[[ポータルサイト]]や電子掲示板サイトを運営する者も現れた。これらによって情報が即時に鉄道ファン同士で交換できる環境が整い、素早く鉄道情報が入手できるようになった。また、[[国鉄103系電車|103系]]、[[国鉄113系電車|113系]]、[[国鉄485系電車|485系]]、[[国鉄24系客車|24系]]等、鉄道ファンに特に人気のある国鉄形車両の廃車が相次いだことにより、これらの国鉄型車両のファンも増えている。 |
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== 鉄道雑誌 == |
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{{See also|Category:鉄道雑誌|鉄道雑誌の一覧#日本}} |
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鉄道ファン向けの雑誌も多数刊行されている。日本国外でも[[鉄道雑誌]]は発行されている。ただし日本と異なり、国によっては数多くの雑誌が発行されており、また、「都市鉄道」「路面電車」「庭園鉄道」など、特定の分野に特化した雑誌が多い。 |
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;日本 |
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* [[鉄道ピクトリアル]]([[電気車研究会]])…1951年創刊。実物が対象の雑誌としては現存最古の鉄道趣味雑誌。綿密な調査に基づく精緻な論文的記事に強みがある。 |
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* [[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]([[交友社]])…1961年創刊。鉄道趣味全般を取り扱う。大手カメラメーカーである[[キヤノン]]の協力で読者からの写真コンテストを開催するなど写真関連で強みがある。 |
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* [[鉄道ジャーナル]](鉄道ジャーナル社)…1967年創刊。「鉄道の将来を考える専門情報誌」を標榜する。 |
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* [[鉄道ダイヤ情報]]([[交通新聞社]])…1972年創刊。「[[時刻表#全国版|JR時刻表]]」の出版元として、時刻表情報に強みを持つ。 |
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* [[レイルマガジン]] ([[ネコ・パブリッシング]])…1983年創刊。マイナーな車両、廃止・廃車の近い車両、廃線等の話題に強みを持つ。 |
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: また、鉄道模型をもっぱら取り扱う『[[鉄道模型趣味]]』([[機芸出版社]])や『[[とれいん (雑誌)|とれいん]]』([[エリエイ]])、『[[RM MODELS]]』(ネコ・パブリッシング)といった雑誌もある。 |
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;[[イギリス]] |
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: The Railway Magazine:1897年創刊の歴史ある雑誌 |
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: Modern Railways |
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: Railways Illustrated |
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: Tramways & Urban Transit:路面電車専門の雑誌 |
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: [[レールウェイ・ガゼット・インターナショナル|Railway Gazette International]]:趣味誌ではなく、日本的に言えば「業界誌」であるが、世界の鉄道の情報を知ることができる |
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: International Railway Journal:Railway Gazette International同様の「業界誌」であるが、こちらも世界の鉄道の情報を知ることができる |
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;[[フランス]] |
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: Revue Generale des Chemins de Fer |
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: La Vie du Rail |
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: Rail & Public Transport |
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;[[ドイツ]] |
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: Eisenbahn Kurier:ドイツの鉄道趣味雑誌では、Eisenbahn Journalと並ぶ双璧 |
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: Eisenbahn Journal |
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: Eisenbahn Magazin |
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;[[オランダ]] |
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: Op de rail |
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;[[アメリカ合衆国|アメリカ]] |
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: [[トレインズ|Trains]]:アメリカで最も有名な鉄道雑誌 |
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: Railway Age:1876年創刊 |
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: Railfan and Railroad |
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;[[台湾]] |
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: [[鐵道情報]]:1989年創刊 |
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;[[大韓民国|韓国]] |
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: {{仮リンク|Railers|ko|레일러}}:2009年創刊 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
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===注釈=== |
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===出典=== |
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== 参考文献 == |
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== 関連項目 == |
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* [[鉄道撮影]] |
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* [[鉄道ファンの一覧]] |
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* [[駅百選]] - 関東の駅百選、中部の駅百選、近畿の駅百選、ほか |
* [[駅百選]] - 関東の駅百選、中部の駅百選、近畿の駅百選、ほか |
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* [[カメラ小僧]] |
* [[カメラ小僧]] |
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* [[カーマニア]] |
* [[カーマニア]] |
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* [[月館の殺人]] - 鉄道ファンを題材にしたミステリー漫画 |
* [[月館の殺人]] - 鉄道ファンを題材にしたミステリー漫画 |
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* [[鉄子の旅]] - 鉄道ファンを題材にしたノンフィクション漫画 |
* [[鉄子の旅]] - 鉄道ファンを題材にしたノンフィクション漫画 |
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* [[特急田中3号]] - [[TBSテレビ|TBS]]で2007年4月から6月に放送された[[テレビドラマ]] |
* [[特急田中3号]] - [[TBSテレビ|TBS]]で2007年4月から6月に放送された[[テレビドラマ]] |
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* [[鉄オタ道子、2万キロ]] - [[テレビ東京]]で2022年1月~3月放送のテレビドラマ |
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* [[僕達急行 A列車で行こう]] - 2012年公開の日本映画。鉄道ファンが主人公のコメディ。 |
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* [[僕達急行 A列車で行こう]] - 2012年公開の日本映画。鉄道ファンが主人公のコメディ |
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* [[レール7]] - [[テレビ東京]]の番組 |
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* [[ |
* [[レール7]] - テレビ東京で放送された番組 |
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* [[タモリ倶楽部]] - [[テレビ朝日]]で1982年10月から2023年4月まで放送されていた深夜番組。鉄道に関する企画として「タモリ電車クラブ」を不定期に放送 |
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* [[列島縦断 鉄道乗りつくしの旅〜JR20000km全線走破〜]] - [[日本放送協会|NHK]]で放送されたドキュメンタリー番組。これ以外にも同シリーズの番組がある |
* [[列島縦断 鉄道乗りつくしの旅〜JR20000km全線走破〜]] - [[日本放送協会|NHK]]で放送されたドキュメンタリー番組。これ以外にも同シリーズの番組がある |
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* [[鉄オタ選手権]] - [[NHK大阪放送局]]制作、[[NHK BSプレミアム|BSプレミアム]](全国版)及び[[近畿地方|近畿2府4県]]の[[NHK総合テレビジョン|総合テレビ]](関西版)で不定期放送番組。 |
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* [[アントニン・ドヴォルザーク]] - 熱狂的な鉄道ファンだったと言われている音楽家。 |
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* [[友近・礼二の妄想トレイン]] - [[BS日テレ]]の鉄道旅バラエティ番組。旅好きと鉄道ファンの著名人が毎回ゲストで出演 |
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* [[鉄道発見伝 鉄兄ちゃん藤田大介アナが行く!]] - [[日本における衛星放送#CS放送|CS放送]]・[[日テレプラス]]の番組 |
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==外部リンク== |
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* [[アントニン・ドヴォルザーク]] - チェコ[[国民楽派]]を代表する19世紀~20世紀の作曲家。熱狂的な鉄道ファンだったと言われている。 |
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*[http://cgi2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009010731_00000 BS鉄道ファン倶楽部 - NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス] |
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*[http://cgi2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009010783_00000 熱中時間 鉄分補給スペシャル2009 - NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス] |
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== 外部リンク == |
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{{Commons category}} |
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* {{NHK放送史|D0009010731_00000|BS鉄道ファン倶楽部}} |
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* {{NHK放送史|D0009010783_00000|熱中時間 鉄分補給スペシャル2009}} |
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[[Category:鉄道と文化]] |
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2024年12月27日 (金) 06:31時点における最新版
英語:railroad fan)とは、日本において、鉄道に関する趣味(鉄道趣味)を持っている人のことである。鉄道のファン。
(てつどうファン)、鉄道を「鉄」と略して、各人こだわりがある分野・活動によって「乗り鉄」「撮り鉄」「模型鉄」[1]と呼んだりすることもある(「鉄道趣味の分野」「鉄道ファンの概要」節で詳述)。
以下特記が無い限り日本国内の状況について説明する。
鉄道趣味の分野
この節の内容の信頼性について検証が求められています。 |
以下は鉄道趣味とされる趣味の例である。それぞれの分野に熱中するファンは、カッコ内に示すような愛称・俗称で呼ばれることがある。
車両研究
鉄道写真
録音・音響研究
鉄道模型
コレクション
旅行・乗車
時刻表・駅研究
施設設備・運転業務研究
- 鉄道業務・設備の研究
- 鉄道無線の受信や研究
鉄道関連法規・規則研究
- 『鉄道要覧』の研究(法規鉄)
- 鉄道会社の発行する有価証券報告書の研究
- 旅客営業規則や旅客営業取扱基準規程研究
- 鉄道事業会計規則研究
- 鉄道に関わる法規の研究
その他
- 鉄道ソフトウェア
- 運転シミュレーションゲーム(例:電車でGO!、Train Simulator、BVE Trainsim)
- 経営シミュレーションゲーム(例:A列車で行こう、Simutrans)
- 創作
- 鉄道を題材とした漫画・小説・随筆等の制作。鉄道研究会の会誌や個人の同人誌では研究成果(ノンフィクション)と並んで発表される。
- 鉄道絵画(描き鉄) - 車両や駅舎の絵画を描く。絵画の技量が必要なこともあり少数派だという[3]。
- 架空鉄道[4] - 想像上の鉄道路線や時刻表、車両を創作する。
- 鉄道会社への株式投資 - 株主優待券や限定グッズの入手が主目的だが応援目的の者もいる。
- 未成線や廃線跡、廃駅の探訪
- 鉄道車両や施設の保存
鉄道ファンの構成・特徴
年代
年代層は青少年から高齢者まで幅広い。父親または母親あるいは双方が鉄道ファンであり、子供が両親の影響を受けて鉄道ファンになるという例も多い。逆に、子供を授かるまで鉄道にそれほど興味を示さなかった人が、子供と一緒に鉄道趣味を楽しむことで鉄道ファンになる場合もある。母子で鉄道ファンである場合「ママ鉄」「親子鉄」と称されることがある。
集団
学校鉄道研究部・研究会
学校のサークル活動・部活動の一つとして鉄道研究部・研究会などが存在する。全国的な学校・サークルの連合組織は日本には運動系以外は少ない。神奈川県には、神奈川県高等学校文化連盟の一組織として、神奈川県高等学校鉄道研究部連盟(神奈川県高鉄連)があり[5]、神奈川県内の高校の鉄道研究部等が加盟している。また、毎年行われる神奈川県高等学校総合文化祭において鉄道研究発表会を実施している。
大学生においては、「関西学生鉄道研究会連盟(関西学鉄連)」が存在している。この種の組織はかつて日本各地にあった。各サークル自体の人数が非常に少ないためにサークル自体が廃部になり、連盟も事実上解散している場合がある。2010年12月には、千葉県にある5大学が加盟する「ちば学生鉄道研究会連合」が新たに発足し、2013年には関東学生鉄道研究会連盟(関東学鉄連)が再起した[6]。
鉄道研究部の活動は各校異なるが、おおむね以下のようなものがある。
- 例会
- 部誌制作およびそのための取材活動
- 合宿・旅行(この旅行記を部誌の中心に置いている場合もある)
- 学園祭・文化祭における出展・研究発表
学校レベルでの部誌の中には、一般書店の鉄道コーナーで販売されるものもある。部誌は白黒の単色刷りのものが多いが、一部にカラー刷りのものもある。研究発表活動は、取材の成果(写真・データなど)や鉄道模型の展示などが基本である。
特に長い歴史と多大な活動実績を持つ鉄道研究部の中には、鉄道趣味雑誌から記事執筆の依頼を受けるものもある。
一般鉄道サークル
ある一つの学校の学生・生徒だけで構成される学校鉄道研究会だけではなく、一般に入会希望者を募り、活動している鉄道サークルもある。代表的なもので鉄道友の会や鉄道資料交換会(RSEC)、Rail-On(JR東日本公認のファンクラブ・2008年に解散)など。
これらは貸切列車を仕立てた大規模な懇親イベントや鉄道模型の運転会、あるいは貴重な歴史的鉄道車両の保存・維持管理など、個人では不可能な活動を実現することを活動の目的としていることが多い。
鉄道高校(鉄道学校)
鉄道について学ぶ学校(鉄道学校)がある。東京都には昭和鉄道高等学校、岩倉高等学校など鉄道関係の学科を持つ高等学校が存在する。高校の授業として鉄道が学べることや、在学中にJR・私鉄駅での実習やアルバイト(私鉄のみ)までできること、鉄道関係各社局への就職率が高い等の理由で鉄道ファンの生徒も多い。東京近郊から遠く離れた地方から受験し入学する生徒もいる。ただし、これらの学校に入学できたからといって必ずしも鉄道事業者等へ就職するわけでなく(希望が叶わなかったり、もしくは逆に本人希望で)、卒業後に鉄道以外の分野の職業に就いたり、大学や短期大学、専門学校に進学したりする者も多い。
呼称
日本における「鉄道ファン」に対する呼称は一様ではなく、時代や文脈によって様々に分かれている。以下、呼称について各呼称ごとにその由来・時代変遷を述べる。
- 鉄道ファン
- 無難な呼称。「鉄道マニア」の「マニア」という言葉が時代と共に次第に蔑称と捉えられるようになり、代わりに現代において広く使用されるようになった。
- 英語でも鉄道趣味人のことは「railfan」といい、日本語でも「レールファン・レイルファン」という表現が用いられることがある。
- なお、「鉄道ファン」は同名の雑誌を発行する交友社が商標登録しているが、「雑誌、新聞」というジャンルに限った呼称の登録であるため、一般的な呼称・使用や、「雑誌、新聞」以外のジャンルでの商業的使用においてはまったく問題ない。
- 鉄ちゃん・鉄ちん
- 「…ちゃん」という愛称形をとっているため、親しみを込めた文脈から差別的な文脈まで広く用いられ、ファン自身が卑称扱いで自称することもある。発生時期は明確でないが昭和40年代頃とみられ、元は卑称・蔑称であったともいわれる。これに対し女性の場合は「みっちゃん」などと呼ばれ、これは「鉄道」の「道」から発生したものである[注釈 1]。近年では「鉄子」とも呼ばれる(後述)が、いずれも年代層もあって少数派である。
- 鉄
- 2000年代以降、中立的名称や一般的認知の名称として広く使用が認められる語。「てつ」「テツ」と仮名表記することもある。アクセントは「て」に置く場合がほとんどで、物質としての「鉄」とは区別される(関西での物質としての「鉄」と同じ発音)。
- シンプルなため造語性が高く、列車への乗車を趣味とする人(駅の周りを探索するいわゆるぶらり途中下車の旅を含む場合もある)を「乗り鉄」、列車の撮影を趣味とする人を「撮り鉄」と呼ぶように、鉄道趣味の種類を補ってファンのジャンルごとに「〇〇鉄」と区別する呼び名もある。
- 派生語として、鉄道ファンでない人を「非鉄」とファンが呼ぶこともある。また、女性の鉄道ファンのことを「女子鉄」、漫画『鉄子の旅』の影響で「鉄子」と呼ぶこともある[注釈 2][注釈 3]。
- 鉄道趣味人・鉄道愛好家
- 「鉄道ファン」の和訳ともとれる呼称。主に雑誌やニュースなど公的な場面で用いられるが、日本語として据わりが悪いためか、鉄道ファンや鉄道ファンをターゲットにした分野で使われることは少ない。
- 鉄キチ
- 「鉄道キチガイ」の略。類語として「汽車キチ」などもある。現代では差別的と見られるものであるが、文脈上は必ずしも明確な差別意識を持って用いられるとは限らない(実際、『汽車キチ昭和史 車窓からみた日本の50年』(中村薫著、1987年)という鉄道の書物がある)。「○○キチ(カーキチなど)」という呼び方は、昭和40年代頃に広く用いられた用語であるが、「釣りキチ」がわずかに残るのみで鉄キチも含め現在はほぼ完全に廃れている。
- 鉄道マニア
- 昭和30年代頃までは普通に鉄道ファンを指す呼称として用いられており、ファン自身が通常の言葉として用いている例も多い。先述の通り、少なくとも当時は「鉄道ファン」よりも一般的な用語であった。しかし後述するようなファンの質の低下により「マニア」の語が持つ差別性がクローズアップされ、次第に蔑称的なものとして認識されるようになった。
- 現在も、特に他者に対して差別意識なしにこの語を使用する人も多く、必ずしも「蔑称」とは言い切れない面があるが、否定的な文脈での使用例が多いのも事実であるため、こう呼ばれることを好まない鉄道ファンも多い。
- なお英語の「Railway Mania」は日本語でいう「鉄道マニア」のことではなく、鉄道の創成期に鉄道敷設や鉄道会社への投機に熱中した「鉄道狂時代」のことを指し、鉄道趣味とは関係ない。
- 鉄道オタク・鉄道ヲタク
- 卑称・蔑称・自称のいずれとしても用いられている。特に2000年代になりオタクブームの余波を受けて広まった。
- 「オタク」「ヲタク」という語の浸透とともに起こったもので、「一般人にはよく分からないディープな世界」である鉄道趣味の性質をいわゆる「オタク」の一種として作られた造語である。鉄道ファンの中にメカ関係のオタクを幅広く兼ねていたり、オタク文化の代表である二次元や萌えアニメを好む人が多いことも、この語を浸透させる要因にもなっている。
- 上記をさらに略した「鉄オタ」「鉄ヲタ」という呼称もある。
- 一般に、「ヲ」のほうがより卑下の度合いが強い語として扱われる。
海外の鉄道への興味
日本の鉄道ファンは、その対象を日本国内の鉄道のみとしている人が多く、日本国外の鉄道を趣味の対象としている人(いわゆる海外鉄)は多くない。
その理由としては、(一般論として)次のようなものが挙げられる。
- 日本の鉄道が「世界の鉄道の中でもかなり先進的である」「世界の鉄道の中でも面白い」と考える日本人が多いため、日本国内で満足していることが多い(パラダイス鎖国)
- 列車に乗ることを趣味としているファンにとって、鉄道趣味とは「日本独特の旅情」を楽しむ側面を併せ持っており、国外の鉄道ではこの「日本の旅情」を楽しむことができないという点
- 戦後日本が島国であり、日本の鉄道自体も他の国との物理的接点を持たない。車両も国産率が高く、色々な意味で国外の鉄道に接触する機会が少ない
- 戦後、特に高度経済成長期以後の日本の鉄道が、世界の鉄道とは違った独自の発展(例えば動力分散方式化など)を遂げたことで、技術や運営の面などで、世界の鉄道から「ガラパゴス化」している[注釈 4]
- いわゆる「言語の壁」、すなわち語学力の問題
- 治安や衛生状態の悪さを敬遠する、料理が口に合わないなどの理由で、外国へ行こうとは思わない(バックパッカーとは心理が異なる)
- 日本人の主要海外観光地であるアメリカ合衆国に鉄道文化が希薄
- アジア・ロシア・アメリカ鉄道の話題は政治論争に、欧州鉄道の話題は出羽守論争に巻き込まれやすいこと[注釈 5]
かつては「実際に訪問するか鉄道書籍以外に、日本国外の鉄道の情報を得る手段がない」という面も大きかったが、現在ではインターネットや機械翻訳の発達により、以前に比べ情報量や即時性などの面で劇的に改善されている。それにより、「情報の少なさ」という理由はかつてに比べ緩和されている。
(定量的なデータではなく、あくまで定性的なものであるが)日本の鉄道ファンが、日本国外の鉄道に興味を示さない傾向が強いのは、鉄道雑誌において「日本国外の鉄道を特集に取り上げると、売り上げが落ちる」「日本国外の記事はいつも人気がない」と言われていることからも窺い知れる。例えば、『鉄道ジャーナル』1997年3月号において、ヨーロッパの鉄道に関する特集を約50ページにわたって特集したが、当該月号の読者の人気投票では、日本国内の記事が軒並み上位に入り、日本国外の記事はいずれも不人気だった、という事例がある。
日本の鉄道ファンが日本国外の鉄道を趣味の対象とする場合でも、その対象はきわめて少数の国・地域に偏っている傾向がある。さらに、高速鉄道や観光鉄道など、日本の学生用社会科(地理など)の教科書やテレビや雑誌などでの注目・露出度が高い鉄道だけを趣味の対象としている場合も少なくない。
21世紀には、日本の鉄道の規格統一が進んで独特な車両が淘汰されていったことや、ローカル線や新線開業の縮小、かつて日本で運用された車両が国外の鉄道事業者に譲渡されるようになったことなどの理由で、新たに日本以外の鉄道に関心を抱く鉄道ファンがインターネットを中心として情報収集できるようになった。実際の訪問についても、格安航空会社(LCC)の増加で日本国外への旅行にハードルの高さを感じなくなったことにより、日本国外の鉄道を撮影・乗車するためのハードルは下がっている。長年鉄道ファンを続けてきたリタイア層が、金銭的な余裕も持ち合わせていることにより、日本の鉄道のみならず国外の鉄道を見聞するために旅行するといった現象も起きている。こういった層をターゲットとした旅行商品(パッケージツアー)も用意されるようになり、一般観光旅行より高額にも関わらず、多くの参加者を集めるという現象も起こるようになった。
著名な鉄道ファン
鉄道趣味の歴史
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明治時代・鉄道黎明期 - 戦前
鉄道を趣味の対象とする行為の歴史は古く、鉄道の歴史とともに始まったといわれる。歌人の若山牧水のように、鉄道旅行を好みその体験を書き記した作家は少なくなかった。ただし明確な「鉄道趣味人」の登場までには少しばかり時間がかかったようだ。詩人・童話作家の宮沢賢治は鉄道に関心を持ち、自作の中に多くの鉄道を用いた描写があるが、現代的な意味での「マニア」とはいささか異なる。
明確に「鉄道を職業とは異なるレベルで探求する」という人物は1902年から1907年にかけて全国の鉄道写真を撮影して回った岩崎輝彌 (1887 - 1956) と渡邊四郎 (1880 - 1921) をもって嚆矢とするといわれる。この2人が写真家の小川一真に依頼して撮影した膨大な写真は、「岩崎・渡邊コレクション」として鉄道博物館に所蔵されている。
この両名のように広く名前が知られることはなかったものの、鉄道に関心を示し、個人的に探求を行った人物が他に存在する可能性も指摘されており、たとえば横浜で酒屋を経営していた田島貞次(1889 - 1957)は明治30年代以降に京浜間を走っていた蒸気機関車を詳細に観察して晩年にその証言を残したという[7]。
鉄道黎明期における「鉄道マニア」は経済的に裕福な層が中心となっている。岩崎輝彌は三菱財閥創始者の岩崎家の一員であり、渡邊四郎は渡邊銀行創立者の一族である。また、大正時代にすでに機関車や一等車を趣味で乗り比べていた内田百閒は陸海軍の学校や大学で語学を教える教授だった。
当時の一般庶民の生活水準を考えると、鉄道趣味を含めた、今日的な趣味を行うだけの余裕はなかった。一般庶民のなかに鉄道趣味が浸透するのは、さらに時代が下ってから(一般的には1970年代以降)になる。
昭和初期には「鉄道」(1929年)「鉄道趣味」(1933年)「カメラと機関車」(1938年)といった鉄道趣味を専門とした雑誌や書籍も発行されるようになった。もっとも、これらは流通機構に乗って発売されていたわけではなく、発行部数も読者数もきわめて僅少であった。この頃から活躍していた鉄道趣味人としては西尾克三郎、高松吉太郎、亀井一男、本島三良、宮松金次郎、杵屋栄二らが挙げられる。彼らは鉄道写真の大家としても成し、膨大な写真コレクションの数々は今でも十分活用されている。
しかし、昭和10年代になり、国内が次第に軍国主義に傾いていくと、鉄道の軍事的側面が重視されるようになり、軍事機密保護上の理由で高所からの撮影が禁止となるなど、鉄道趣味に対する制約が厳しくなっていった。また戦時体制により用紙の統制が進んだこともあって、「鉄道」「鉄道趣味」は1937年-1938年に相次いで廃刊に追い込まれた。その後、関東・関西で趣味者の同人会が立ち上げられ、1940年に関東では「つばめ」、関西では「古典ロコ」という会員制の同人誌が発行されたが、これらも翌1941年に終刊となり、以後は太平洋戦争の終結まで鉄道趣味活動は事実上、不可能となったのである。
だが、一部の鉄道趣味者は、厳しい看視の目をかいくぐり、涙ぐましい努力と危険を冒しながら趣味活動を続行していた。公共機関の輸送力は軍事機密であったため、駅構内などで鉄道車両に直接カメラを向けたり、車両番号をノートに書き留めたりする行為は完全に禁止(不可能)となった[8]。もし見つかれば、スパイ容疑による厳しい取調べが待ち受けていた。当局の許可を得てようやく撮影した写真も、検閲により容赦なく葬り去られるなど、鉄道趣味の暗黒時代であったが、周囲の目をごまかすため、数学の教科書の行間に車両番号を書き留めたというエピソードはよく知られている。
また、戦争による影響はこうした趣味活動の面のみにとどまらず、戦前に趣味者が蓄積・収集した写真などの記録や各種資料が空襲により焼失したり[注釈 6]、終戦直後の外地からの引き揚げの際にやむなく放棄されたりして多数失われている。
戦後・1950年代
終戦後は国内情勢が混乱していたとはいえ、鉄道撮影に関する制約が少なくなったため、戦後間もない頃でも多くの鉄道写真が一部の趣味者により撮影されている。また、進駐軍が持ち込んだカラーフィルムの一部が日本人向け市場に流れ、鉄道趣味者の手に渡ってカラー写真による鉄道の記録が残されるようになるのもこの頃である。当時のカラーフィルムは高価で品質や性能も良くなく、感度が低く光線漏れが起こりやすい上に経年により退色しやすかったため良質のカラー写真は数が少ないが、近年ではコンピュータによる画像補正技術の進歩と普及により、劣悪であった当時の写真が貴重な記録として日の目を見るケースも多くなっている。
1946年頃からは関東・関西を中心に趣味者の同人会が立ち上げられ、同人誌が発行されるようになった。
1947年には戦後初の鉄道趣味雑誌として「鉄道模型趣味」が創刊されている。これは本来は鉄道模型の専門誌であるが、実物の鉄道車両に関する記事も掲載されていた。1951年、はじめて一般流通機構に乗った鉄道趣味雑誌「鉄道ピクトリアル」が創刊された。また、内田百閒が1950年から発表した『阿房列車』シリーズは、鉄道紀行文学の先駆といわれる。
1953年には日本初の全国規模の鉄道愛好団体である鉄道友の会が設立された。また、旧華族で昭和天皇の皇女・孝宮と結婚した鷹司平通(乗り物通として知られていた)が交通博物館の館長になった。交通博物館が秋葉原に近い神田にできたことで鉄道マニアが集結する場所は秋葉原が拠点となり、他の全くジャンルの違うマニアにも秋葉原の集結の影響を少なからず与えた。現在でも鉄道趣味の情報発信基地は秋葉原と言われることも少なくない。
1960年代
1960年代に入り、高度経済成長の中、東海道新幹線の開業や、鉄道車両・設備の更新が急速に進められ、秀逸な車両が次々と投入される。だがそれは同時に古い車両の淘汰が進められることと表裏一体であった。またこの時代、道路網の整備とバス路線の拡充により、全国各地の地方私鉄が廃業に追い込まれていった。このような時代背景の中、鉄道趣味といえば鉄道車両・列車とそれに伴う鉄道撮影が主体であった。切符収集などもあったが、少数派であった。
鉄道趣味雑誌としては「鉄道ピクトリアル」に続き、1961年には「鉄道ファン」、1967年には「鉄道ジャーナル」が創刊された。これらも記事の中心は鉄道車両や列車であった。1962年からは「鉄道ピクトリアル」誌上に廃線に関する記事も掲載され、廃線跡趣味の嚆矢ともなった。
1970年代
1970年、「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンが始まった。1970年代に入ると蒸気機関車の減少が社会的関心事となり、多くの人々が蒸気機関車の見物や撮影を行うようになった。いわゆる「SLブーム」である。これに乗じた形で1972年に新たな鉄道趣味雑誌「SLダイヤ情報」(1976年に「鉄道ダイヤ情報」に改題)が創刊された。同年には、日本の鉄道開業100周年を記念して、日本初の蒸気機関車動態保存施設「梅小路蒸気機関車館」が、京都市の梅小路機関区の扇形庫を利用して開設され、日本の近代型蒸気機関車16形式17両が同館に収められた。その頃には様々な鉄道雑誌が創刊されるが、数年で終刊になった雑誌も多い。
1976年に蒸気機関車が全廃されると、客車寝台特急列車(ブルートレイン)を撮影する人々が増えた。いわゆる「ブルートレインブーム」であった。このSLブームとブルートレインブームにより低年齢層を中心に鉄道ファンが急増したが、反面、鉄道ファンの質的低下を問題視する声も出るようになった。もっとも団塊世代が趣味の中心だったSLブームと違って、ブルートレインブームは趣味人の中心が小学生・中学生であったためか、休日や休日前日の深夜の駅での撮影など風紀上の問題はあったが、マナーの問題はさほど出なかった。さらに1978年10月のダイヤ改正で国鉄の特急電車に絵入りヘッドマークが採用されると、そちらも人気を集め、多数の特急が発着する上野駅のホームでは休日となると、撮影に訪れたたくさんの少年ファンで賑うようになった。
1980年代
1978年に宮脇俊三が国鉄全線完乗を達成し、その過程を綴った『時刻表2万キロ』を発表した。さらに国鉄が「いい旅チャレンジ20,000km」キャンペーンを実施したことや、宮脇のほかに種村直樹の執筆活動もあって、鉄道旅行が鉄道趣味の一分野として定着してきた。鉄道事業者も1984年頃から車両基地の公開や貨物線走行のイベント列車など、鉄道ファンをターゲットにした企画を催すようになる。
また当時は国鉄分割民営化という、当時としては世界にも類を見ない巨大事業が進められていたことや、川島令三などの執筆活動の影響により、独自の理論を構築する鉄道ファンも増加した。
1990年代
鉄道に関する書籍も様々な視野からのものが発行されるようになったことや、情報技術(IT)が普及し、パソコン通信(ニフティサーブの鉄道フォーラムなど)やネットニュースのfj.rec.railなどによって情報発信・閲覧が容易になったことなどから、次々と新しいタイプの趣味が生まれ、鉄道趣味の多様化が進んだ。1995年頃からWindows 95の発売などもあって個人で鉄道趣味に関するウェブサイトや電子掲示板を開設する愛好者も増加していった。
この時代の特徴として、新幹線が鉄道趣味としてメジャーになったことがあげられる。これは新規路線の開業が相次いだこと、国鉄からJRへの分割民営化により各社が用途に応じた新型車両や改造車を次々に開発・導入したことにより車両のバリエーションが一気に豊かになったことが理由である。
2000年代
インターネットのさらなる普及や、ブロードバンド化の促進、レンタルサーバーサービスの普及により、1990年代後半以降に見られた趣味者による個人ホームページ・電子掲示板の開設がますます進んだ。規模を拡大化した鉄道趣味専門のポータルサイトを運営する者も増加する。
2000年代前半は、回線速度が遅く、またウェブサイト開設にも多くの知識が必要であったが、文字主体で多くの情報を網羅したウェブサイトが次々と立ち上げられた。この時期はWeb1.0と呼ばれる片方向発信かつ静的なWebサイトが多かったが、電子掲示板を通じて盛んな交流が行われた。
2000年代中盤には回線速度の向上にともない、録画した鉄道映像や録音した鉄道音声、発車メロディの公開などが徐々に始まる。また、CMSやYahoo!ブログなど各種ブログサービスの普及により、手軽なブログサービスを利用する人が増加する。
2000年代後半、YouTubeやニコニコ動画などの動画投稿サイトが台頭し、撮影動画や鉄道解説動画の投稿がブームとなる。
2007年には、ドラマ『特急田中3号』、アニメ『鉄子の旅』、鉄道趣味を取り上げたテレビ番組が放送された。また団塊の世代の定年退職後の取り込みも期待された。
この時期、映像や音声のデジタル化技術における進歩の恩恵を受け、デジタルカメラ・デジタル一眼レフカメラ・ミラーレス一眼カメラの普及や、携帯電話・スマートフォンのカメラの高画質化を追い風に、鉄道写真をデジタル記録する層は飛躍的に増加した。1990年代ではフィルム一眼レフの完全な代替まではいかなかったが、この時代になると画質面においてフィルムを凌駕するようになった。また、映像撮影も手軽になり、デジタル高画質ビデオカメラが安価になっていった。
2010年代
Twitterを中心としたSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及により、ファン同士での画像を交えた情報が即時に交換・共有できる環境が整い、より早く鉄道情報が入手・拡散できるようになった一方で、特定の列車(特に機関車牽引の寝台列車や国鉄型車両)の写真撮影や引退による「さよなら運転」時にファンが大量に集まるなどで、危険行為が大幅に露呈・顕著化するようになったのもこの頃からである。
また、特に人気のある103系、113系、485系、24系等の「国鉄型車両」、寝台特急、夜行急行・快速等の「寝台夜行列車」などの引退・廃止が2015年前後に相次いで発生したことにより、これらのファンの活動も目立った。
2020年代
2020年代初頭の新型コロナウイルス感染症は鉄道趣味界にも大きな影響を及ぼした。感染防止と鉄道事業者の収益悪化に伴い鉄道事業者が主催するイベントやセレモニーが軒並み中止となり、感染が減り始めた2021年より徐々にイベントを開催するようになるものの、三密防止と鉄道ファンの迷惑行為を避ける意味から、イベント自体の有料化や人数を絞った上で高額な参加料を伴うイベントが目立つようになった[9]。
また、デジタル化の進行で紙媒体の鉄道雑誌の売り上げが落ち「レイルマガジン」が2022年3月号限りで定期刊行を終了することとなった。
JR・私鉄・3セク各社での新型車両導入による国鉄型車両の引退や廃車もより加速しており、運行頻度の少ない臨時列車用の車両や地方交通線に残存していた国鉄型車両も徐々に淘汰が進んでいることでファンからの注目度が増していることから、各地で事業者によるファン向けのイベントや撮影会などが多く開催されている。
鉄道ファンの愛用品
時刻表
鉄道ファンにとって時刻表とは、単に時刻を調べるための道具にとどまらず、様々な使用法がなされる。主なものは以下のとおり。
- 時刻表を見て、架空の旅行計画を立てる(机上旅行) - 沖縄県を除いた46都道府県(沖縄都市モノレールが2003年開業したので航空機を入れてここを含めて全部にする者もいる)の都道府県庁所在地をいかに早く周るかや、いかにJR最南端の西大山駅から最北端の稚内駅まで行くか等がある。
- 時刻表からダイヤグラムを作成する - 列車のすれ違い・行き違い箇所、追い抜き箇所、折り返しの運用などを推測する。
- 古い時刻表を見て、当時の列車状況などを調べる - 時刻表は当時の鉄道や旅行の様子を知る「資料」となるため、明治時代から昭和時代まで、大掛かりなダイヤ改正があった時期などを中心にいくつかの古い時刻表を復刻した「復刻版時刻表」が販売されることもある。ただし、国鉄は詳細な記録がまとめられているが、私鉄は巻末に大雑把にしか掲載されていない。そのため、各社から個別の時刻表が発売・配布されたり、広報誌が発行されるなど利用客に向けた周知活動が整う時代(大まかに1980年代頃)よりも前のダイヤを調査することは、困難な場合が多い。当然ながら、過去の時刻表には現在は廃止されてしまった駅や路線、列車、外地との航路を含む鉄道連絡船、国鉄バスなどの情報が記載されているので、現在では実現不可能[注釈 7]な鉄道旅行を空想する楽しみ方もできる。
旅行の際、大判の時刻表を持っていくのはかさばるからと携帯版の時刻表を持っていく、あるいは電子版や乗換案内アプリを利用するケースが増えているが、それでも大型時刻表を持っていく者も存在する。その理由として、複雑な旅行計画を組む鉄道ファンにとって、旅行中に万が一ダイヤが乱れた際行程を立て直すためにはどうしても情報量の多い大型時刻表が要ること、また、列車の中や待ち合わせ時間などの暇な際に情報量の多い大型時刻表を見るなどして時間つぶしをすることなどが挙げられる[注釈 8]。人によっては、大判時刻表の必要な部分だけをちぎったり、コピーする者もいる。
大型時刻表の発行元は現在では交通新聞社とJTBパブリッシングの2社に集約されたため、好みが大きく別れる。前者による『JR時刻表』は1963年5月に創刊され、JR化以後の公式時刻表であることや、優等列車が赤色表示の2色刷りなので分かりやすいこと、入線時刻や発車番線などの情報量が多いこと。後者による『JTB時刻表』は1925年4月に創刊され、国鉄時代の公式時刻表『国鉄監修 交通公社の時刻表』としての長い歴史があり、ページ割りも国鉄時代とほとんど同じであること、大都市近辺詳細図のページが会社別色別で見やすいこと、「グッたいむ」といった読者投稿のコラムが載っていることなどを、それぞれ利点として挙げている。
紀行作家の宮脇俊三は自著『時刻表2万キロ』において、自分の国鉄全線完乗を『「列車に乗る」のではなく「時刻表に乗る」』と評している。
2021年の『日本経済新聞』によると、鉄道貨物協会発行の『貨物時刻表』が交通・物流関係者だけでなく、貨物列車の撮影などを目的に鉄道ファンによる購入が増えている[10]。
カメラ
鉄道趣味、特に鉄道写真においてはカメラは欠かすことのできない道具である。望遠から広角まで様々な種類のレンズが必要になるため、一眼レフが好んで用いられる。特に一本限りの臨時列車など、一発勝負でミスできない撮影のために、プロ並みに複数のカメラを同時に準備する例もある。通勤中などに不意に変わった車両や変わった運用を目撃したときのため、小型軽量で携行の容易なコンパクトカメラを欠かさず携帯する鉄道ファンもいる。ただしカメラ付き携帯電話やタブレットコンピュータの普及で、これで代用するケースも増えており、近年ではスマートフォンのカメラ高性能化もあり、スマホで本格的な写真撮影を行う人も存在する。
そのほかに脚立と三脚も使うと便利である場合があり、有名な撮影ポイントやプラットホームの先端部分では三脚を立てたファンが集い、熾烈な場所取り合戦を展開することもある。ただし、混雑したり幅が狭いプラットホームにおいて三脚を立てるのはマナーの悪い行為とされ、持ち込み禁止の駅も存在する。このため、鉄道事業者側でも駅での三脚・脚立の使用自粛を求める動きが強まっている。駅でなくても、線路沿いの交通量の多い道路などで脚立を使うのは、迷惑行為であると同時に危険行為でもある。
鉄道写真を趣味とするファンはカメラメーカーのよい「お得意様」である。そのため、カメラメーカーが鉄道ファンを支援することもある。例えば富士写真フイルムは、「いい旅チャレンジ2万キロ」を後援していた時期もあり、キヤノンは、1977年から雑誌『鉄道ファン』でのコンテストを協賛している。鉄道趣味誌にカメラメーカーが広告を掲載することは現在でも多い。
鉄道雑誌
鉄道ファン向けの雑誌も多数刊行されている。日本国外でも鉄道雑誌は発行されている。国によっては数多くの雑誌が発行されており、また、「都市鉄道」「路面電車」「庭園鉄道」など、特定の分野に特化した雑誌が多いことが日本国外誌の特徴である。
- 日本
- 鉄道ファン(交友社)
- 1961年創刊。鉄道趣味全般を取り扱う。大手カメラメーカーであるキヤノンの協力で読者からの写真コンテストを開催するなど写真関連で強みがある。
- 鉄道ジャーナル(鉄道ジャーナル社→成美堂出版)
- 1967年創刊。「鉄道の将来を考える専門情報誌」を標榜する。
- 鉄道ダイヤ情報(交通新聞社)
- 1972年創刊。「JR時刻表」の出版元として、運行情報に強みを持つ。
- レイルマガジン (ネコ・パブリッシング)
- 1983年創刊。マイナーな車両、引退や廃車の近い車両、廃線等の話題に強みを持つ。
- 鉄道模型趣味(機芸出版社)
- 1946年創刊。鉄道模型誌としては国内最古。基本的に鉄道模型を中心に扱う雑誌である。
- とれいん(エリエイ)
- 1974年創刊。当初は鉄道模型誌として刊行されたが、徐々に実物と模型の双方を取り上げるようになっている。
- RM MODELS(ネコ・パブリッシング)
- 1995年創刊。鉄道模型を中心に扱う雑誌である。
- The Railway Magazine:1897年創刊の歴史ある鉄道雑誌。
- Modern Railways
- Railways Illustrated
- Tramways & Urban Transit:路面電車専門の鉄道雑誌。
- レイルウェイ・ギャゼット・インターナショナル:いわゆる趣味誌ではなく、日本でいう「業界誌」であるが、世界中の鉄道の最新情報を手に入れることができる。
- International Railway Journal(IRJ):上記のレイルウェイ・ギャゼット・インターナショナルと同じく「業界誌」であるが、こちらの雑誌でも世界中の鉄道の最新情報を手に入れることができる。
- Revue Generale des Chemins de Fer
- La Vie du Rail
- Rail & Public Transport
- Eisenbahn Kurier:ドイツの鉄道雑誌では、Eisenbahn Journalと並ぶ双璧。
- Eisenbahn Journal:上記のEisenbahn Kurierと同じくドイツでは最も有名な鉄道雑誌である。
- Eisenbahn Magazin
- Op de rail
- 鐵道情報:1989年創刊の鉄道雑誌。
- Railers:2009年創刊の鉄道雑誌。軍事上の理由で鉄道自体が「嫌悪施設」とみなされていた同国でも鉄道趣味が浸透してきたことを象徴する雑誌でもある。
鉄道ファンによる迷惑・危険行為
鉄道趣味に関する活動の中で、法律やマナーをわきまえず迷惑行為を繰り返す者もいる。
車内や駅構内で無謀な撮影・収録を試みるなどの他の利用者に迷惑となる行為や、それに伴う駅員・警備員との対立のほか、鉄道会社の所有物を盗むという犯罪行為(通称「盗り鉄」[11][12][13])すら発生している。これら悪質なファンの行動を原因とする一般の乗客や鉄道沿線の近隣住民とのトラブルも少なくない。また、一部の鉄道会社ではこれらの迷惑行為を考慮して、ファンサービスの企画(動態保存車両の特別運転や車両基地の一般公開など)を縮小、もしくは一切行わない方針とする傾向も見られる。
日本でこのような迷惑行為が増加したのは、1970年代の蒸気機関車全廃に伴う「SLブーム」でファンが著しく広がり、それに続く「ブルートレインブーム」で当時の若年層がより流入したことが原因であると考えられている。この時代、列車撮影が盛んになるとともに、撮影名所での場所取り、不法侵入や危険な区域への立ち入り、窃盗、破壊行為、列車妨害等々の無法行為や、過熱した鉄道ファンが沿線で夜行列車撮影のために深夜徘徊することが問題になった[注釈 9]。
鉄道ファンは自動車ファンなどと異なり、趣味対象を直接所有することは極めて難しい。鉄道関係のイベントで解体された車両の備品などを販売している事例はあるが、車両そのものの譲渡や寄贈を受ける(斎藤茂太など)場合には相応の資金力やコネクションが要求される[注釈 10]。そうした背景もあってか、保存車両や鉄道敷地内の備品が盗難されることもある[注釈 11]。イベント列車などの運転、廃車回送、路線の開業あるいは廃止などでファンが集まる際、上記の如くマナーに欠ける者の迷惑行為により、鉄道ファンに対する世間の評価を低下させているのが現状である。
以下は迷惑行為の例である。
- 犯罪・法令違反
- 迷惑行為・マナー違反(犯罪・法令違反以外。なお程度の度合いにより、殺人罪、暴行罪、傷害罪、威力業務妨害罪、公務執行妨害罪、往来危険罪等の刑罰の適用を受ける場合あり)
- ホーム白線からはみ出た位置での写真撮影(冒頭写真を参考)
- 線路敷地内へはみ出した機器による撮影
- 軌道敷へ侵入しての撮影[25]
- 走行している列車に向かってのフラッシュ撮影(運転士の視界を損なったり、信号確認などに悪影響を及ぼすおそれがあり危険)
- ホームや車内通路などにおける脚立・三脚の使用による、他一般利用客の通行の阻害(俗に言う「ひな壇」)
- 走行中の列車の窓から手を出す、印刷物を掲げるなどの行為
- 鉄道車両の廃車反対、保存や譲渡といった、鉄道会社に対する無理な要望。特に保存については要求だけ行い、保存や維持管理にかかる経費の支出といった行為について消極的な、いわゆる「口は出しても金は出さない」姿勢が多く見られる[26]。
- 鉄道車両やサービスに対して特定の鉄道事業者の方針を絶対視する、あるいは個人の好みに合わないという理由から[27]鉄道事業者を批判・中傷する行為。こうした批判行為は一般のファンのみならず、一部の鉄道雑誌や専門書などでも見られ、著者の偏見や出版社側が事実関係を検証しないために起こることが多い[28]。
- 「撮影時フレーム内に入る」などの理由で他の鉄道ファンや一般利用者、沿線住民などに罵声を浴びせる行為(俗に言う「罵声大会」)[29]
- 趣味活動を注意・制止する駅員や警備員、鉄道警察などとの争い。
- 本人の承諾を得ずに鉄道関係の従業員を勝手に撮影し、その画像をネット上で公開する。
- 撮影場所に向かうために、キセル乗車をする。
鉄道趣味の市場規模
野村総合研究所オタク市場予測チーム による『オタク市場の研究』(2005年、東洋経済新報社)によると、鉄道ファンは約3 - 5万人、市場規模は40億円と推定された。趣味の分野によってつぎ込む金額は異なるが、模型、コレクションの分野では支出額が大きくなると分析されていた。
2005年時点では、同研究所の報告では、鉄道趣味は「販売数・利用者数の減少による商品供給の鈍化」「新規利用者が減少」により、「安定・衰退期」にある趣味と分析しており、市場規模は今後は縮小、良くて横這いになると分析していた[30]。
しかし2010年代には「鉄道ファン500万人、市場規模1000億円」[31]という報道もあるなど市場の拡大が進んだ。
海外の鉄道ファン
欧米では保存鉄道や保存車両の運営、維持にボランティア活動や資金カンパなどを行っている鉄道ファンが存在する。保存鉄道は、イギリスやフランスなどで特に盛んである。アメリカでは廃車になった車両を修繕し展示や運転を行うグループが存在する。また、国や地域によって、ファンの活動にも温度差があり、下記の旧共産圏に含まれる東欧方面では、法律によって鉄道施設の撮影などが制限されている国もある。
冷戦時代、東側共産圏や西側開発独裁国においては、鉄道およびその関連施設の多くが軍事施設の扱いとされることから、「国家防衛上の理由」により鉄道趣味への制約[注釈 12]が存在した国も多々見られ、鉄道撮影に対する制約が強かった。現在も一部その名残が見られる。
欧米にも「鉄道オタク」「鉄道マニア」を意味する言葉が存在する。英語圏では、一般的にRailfanが鉄道ファンを指す言葉であるが、「マニア」を意味するGeek、Nerd、アメリカで用いられるFoamer、イギリスで用いられるTrainspotter、Anorak、Crank、Grizzer、Gricer、オーストラリアで用いられるGunzelなどスラング的な言葉も存在する。これらの中には侮蔑的な意味を含む言葉が幾つも存在し、いずれも鉄道に対して過度に熱中し、見境なく暴走、はては迷惑行為を行い、社会的適応力に欠けてしまっている鉄道ファンを揶揄する言葉である(日本でいう「迷惑鉄」ないしは「でんちゃっちゃオタク」「屑鉄」などに相当)。
各国での楽しみ方
- 日本以外の国・地域のファンも日本と同様、旅行、撮影、模型、コレクションなどを楽しんでいる。
- 欧米では、鉄道事業者の協力の下で、保存鉄道や保存車による貸切列車が大々的に運転されることもある。
- 保存鉄道以外では、航空ショーの鉄道版のような形で鉄道施設の線路際に特設の観客席を設け、往年の名車や名列車(編成ごと)が動く姿を楽しめる催しもある。
- ヨーロッパ
- 欧州の独特の趣味として「車両を見る(トレイン・スポッティング)」という趣味がある。駅などのホーム端部で行き来する列車の車両番号をノートに記録、または車両を見ながら車両番号を読み上げそれを録音する。これは地続きのヨーロッパにおいては、他国から直通運転される国際列車が日常的に見られることや、一つの列車に複数の国・地域の車両が連結されていることも多く、ファンの心をくすぐるためである。ただし「トレイン・スポッティングをする人」を意味するTrainspotterは、上記のように侮蔑的な意味を含む。
- また、実際の営業路線で動態保存の蒸気機関車や列車を、団体臨時列車・イベント列車として走らせるグループ・組織や、実際に列車運転を体験できる鉄道もあり、その楽しみ方は多彩である。
- アメリカ合衆国・カナダ
- 国土が広大で、貨物列車主体の鉄道であるため列車のスケジュールは一定ではなく、列車を撮影する際には無線機を携帯し、列車無線を聞いて列車の現在位置を把握することが多い。単に目撃した機関車の番号を記録するだけのファンもいる。
- 非常に裕福なファンも存在し、個人で列車を借り切ることもある。また、線路上を走行可能なように整備された寝台車や豪華なソファーに会議室、厨房など移動を更に楽しくさせる要素を含んだプライベートカーが存在し、それらの車両をアムトラックなどの定期旅客列車に併結させることもある。
- 旅客輸送の全盛期の備品のコレクションが盛んである。なかでも、「レイルウェイ・チャイナ」と呼ばれる食堂車で使われた高級食器の収集は他地域ではあまり見られない。また、鉄道会社の発行する株券にはそれぞれの鉄道会社の特徴を表すイラストが載っていることが多いため、株券を収集するファンも存在し、消滅した鉄道会社の株券を売買するコレクター・ショップも存在する。
- 自宅の庭に大型の鉄道模型である「庭園鉄道」を敷設するファンも存在する。
- 2001年9月11日の同時多発テロ事件以降、アメリカでは列車撮影目的の鉄道ファンが警察官からの不審尋問を受ける事例も生じている[注釈 13]。
- 中央アメリカ・南アメリカ
- 中南米地域の国々では、鉄道は欧米諸国の大企業によるプランテーション(農業)や鉱山開発から発生する作物を輸送するために敷設された路線が多く、輸送する作物の価格動向や生産高、代替手段としての道路交通の発達などの影響を受けて旅客輸送はおろか路線自体が「休止」となっているケースも多々見られる。また情勢が不安定な国々も多く、「安全上の問題」により列車の写真を撮影出来ない場合もある。それらにより、中南米地域全体では鉄道ファンと呼べる人々はさほど見られない。
- しかし、中南米地域の中では経済に加え鉄道網も最も発展しているとされるブラジルとコーノ・スール(アルゼンチン、ウルグアイ、チリ)では、鉄道車両[33][34]や鉄道模型[35][36]が製造され、鉄道に関する沢山のホームページや同好者組織[37][38][39]が作られ、特にブラジルとアルゼンチンでは数種類の鉄道雑誌[40][41][42][43]が定期的に発行され、ブラジル保存鉄道協会(ABPF)やフェロクルブ・アルヘンティーノ[44]などの鉄道保存団体が多数存在するなど鉄道趣味が浸透している。リオプラテンセ・スペイン語やスペイン語のチリ方言には鉄道ファンを指す"Ferroaficionado"(アマチュア鉄道人)という言葉があるほどである[45][46]。アルゼンチンの首都の大切な足として親しまれているブエノスアイレス地下鉄では日本の中古地下鉄車両が使用されており、日本から撮影や乗車をするために現地へ向かう鉄道ファンも存在する。
- 台湾
- 台湾では1987年まで戒厳令が施行されていたため、鉄道施設・車両に対する撮影に制限があったが、近年徐々にファンが増えてきている。特に台北捷運・台湾高速鉄道の開通後は増え方が加速している。日本同様に鉄道研究会がある大学もある。1995年に鉄道愛好者の団体である「鉄道文化協会」(鐵道文化協會)が結成され、鉄道趣味雑誌鐵道情報が発行されている。
- 市民運動の盛り上がりを受け、2017年に台北機廠跡を国立の「台北機廠鉄道博物館園区」として整備する計画が決定し、部分公開を行いつつ開館準備が進められている[47]。
- 韓国
- 準戦時体制下にある韓国では、鉄道は軍事上重要な位置を占めており、鉄道施設・車両に対する撮影には制限がある。鉄道を趣味とする人は少ないため、情報発信は韓国に在住、あるいは韓国を訪問したインバウンド来訪者によるものが多い。近年は、以前よりも撮影規制などが緩和傾向にある。しかし韓国では、鉄道は「嫌悪施設」という概念が強く、東海南部線や京義線・ソウル郊外線で蒸気機関車による観光列車が走ったことがあるが、いずれも長続きしていない(「ムグンファ号」の項目参照)。一方で豪華寝台列車「ヘラン」号や海列車、旌善線などの廃線跡を活用したレールバイクの運行など、鉄道ファンを増やす試みも見られる。
- インドネシア
- オランダの植民地時代から存在し、インドネシア語で狂人を意味するエダン(edan)とオランダ語で鉄道を意味するスポール(sepur)をあわせてエダンスポール(edan sepur)と呼ばれる。
また、英語風にレールファン(railfan)と呼ばれることもある。2009年にインドネシア・エダンスポール・クラブが設立され、鉄道専門店の「プラサスティ」でグッズなどの展開を行っている。 - モンゴル
- モンゴルは、民主化後は鉄道施設・車輌に対する撮影の制限が緩和されている。また、NHKの番組『行くぞ!最果て!秘境×鉄道』では、同国に3人しかいないという「撮り鉄」が紹介された[48]ほか、首都ウランバートルには鉄道博物館も設置されている。
- 中国
- 現在も一部撮影規制が行われている。
- 2021年5月14日、中華人民共和国民政部は「中国鉄道ファン協会」なる組織を第4陣の不法社会組織のリストに入れたが[49]、理由は不明である。
- ロシア
- ソ連時代、鉄道車両や施設などは軍事情報とされ、撮影等は基本的に禁止されていた。現在では基本的に撮影可能であり、鉄道ファンが情報交換するサイト(trainpix.org)やインスタグラムにも鉄道写真が多数投稿されている、動画投稿サイトや個人ブログなどでは日本人によるシベリア鉄道乗車記などが見られる。
また、ミャンマー国鉄、タイ国鉄、インドネシア(KRLジャボタベック)、フィリピン国鉄では日本の事業者より譲渡された鉄道車両が運用されているため、日本国内では既に引退した車両を乗車・撮影する目的でそれらの国へ渡航する日本の鉄道ファンも存在する。
海外における鉄道趣味の歴史
台湾
清統治時代の1891年(光緒17年)、初代台湾巡撫劉銘伝の任期中に清朝台湾鉄路の基隆駅 - 大稲埕駅(初代台北駅)間が開業後、日本統治時代の路線網拡充を経て大衆交通手段として定着した。
その後、中山高速公路の全通(1978年)を機にモータリゼーションの発達とともに台湾鉄路管理局(台鉄)や台湾糖業鉄道は廃線が相次いだが、台湾高速鉄道や各都市の捷運の開業とともに台鉄も競争力向上を目指して、次世代車の導入や観光列車の運行、日本国鉄の「愛国駅と幸福駅」から影響を受けたとされる縁起もの切符(永康駅と保安駅の「永保安康」が最も有名。永から時計回りに4文字を読むと「安らかな生活と健康な体を永遠に保つ」という縁起のよい文になる)の発売(詳細は「zh:吉祥語車票」を参照)、リバイバル列車の運行など、単に移動手段としての鉄道ではなく趣味分野を含めて付加価値を意識した事例が増えてきている。
既述のとおり1987年までは戒厳令により、撮影や出版には制限が多かった。1988年6月9日(鐵路節:台湾における鉄道の日)には国立交通大学でサークル「交大鉄道研究会」が発足。翌年には、交通大学鉄研会報として『鐵道情報』(後に定期雑誌化)が創刊された。1990年には国立台湾大学でも洪致文がサークル「臺大鐵道暨火車研習社」を設立、1992年には民間書籍としては台湾で初の鉄道趣味書籍「台湾鉄道伝奇(台灣鐵道傳奇)」を刊行した。こうした一連の動きにより民間人若年層における鉄道趣味が一般化する契機となった。台湾大学と交通大学を中心とした学生、卒業生たちが1995年に中華民国鉄道文化協会を発足させ、変革を迎えつつあった台湾鉄道業界で記録、保存、出版を行うことで趣味の枠組みを超えた鉄道文化の保存、継承のための活動が社会的意義を帯びることになった。鉄道趣味の勃興期とインターネットの普及時期が重なったことで、鉄道ファン界で重鎮とされる人物の年齢層も現在の日本より若年であり、それらの多くが公式個人サイトや公式ブログを開設している。台湾鉄道網(TRC、現在はサービス終了)に代表されるファンフォーラム、PTT(批踢踢)やKomicaなどの大手電子掲示板でも鉄道専用のスペースがあるなど、人口に比してオンライン活動は活発であり、近年はSNS、特にFacebookに比重が移行している。
鉄道模型も当初は富裕層を中心に日米欧の輸入製品を嗜む高嶺の花であったが、2003年に創業した鐵支路模型により近年は国内列車型式の製品化、量産化が相次いでいる。
地理的・歴史的経緯から、国外だけでなく台湾国内の鉄道分野の中でも日本の比重は高い。また哈日族に代表されるオタク文化(御宅族文化)の影響で、鉄道ファンは通常「鐵路迷(英語はRail fan)」と呼ばれるが、近年はファンのジャンルが多様化しているため、代表的鉄道研究家の1人で学者の蘇昭旭は「"關懷鐵道的人士" (英語:Rail devotee)」(それぞれ「鉄道を気遣う人」、「鉄道熱愛者」を意味)という呼称を提唱している[50]。
日本からのサブカルチャーの消化も早く、高捷少女や台湾鉄道少女に代表される鉄道擬人化などで独自の進化を遂げている。また井上雄彦の漫画作品SLAM DUNKの影響で、台東県南廻線太麻里駅付近の太麻里踏切周辺の光景が作中に出てくる鎌倉高校前1号踏切のものに似ていると話題になり、鉄道ファン以外も来訪する聖地巡礼スポットと化している[51]。
一方で、日本における迷惑行為も伝播しており、撮影時の線路内立ち入りや私有地立ち入りが問題化している[52][53]。
チェコ
かつてオーストリア帝国の中のチェコ王領、モラヴァ辺境伯領、上・下スレスコ公領であったチェコでは、19世紀以降全土に鉄道網が張り巡らされ、20世紀初めには現在につながる主要路線がほぼ開通していた。19世紀には既に鉄道趣味が見られ、19世紀後半に活躍した作曲家アントニン・ドヴォルザークも熱心な鉄道ファンであったといわれている。
脚注
注釈
- ^ 「てっちゃん」「みっちゃん」ともに、アクセントは「ちゃ」の場所にある。なお、「鉄ちゃん」の語は、一般のゲームプレイヤーにも人気を博した鉄道運転ゲーム『電車でGO!』のナビゲーション役キャラクターの名前としても用いられている。
- ^ なお、1995年に連載・刊行が始まった、山口よしのぶの漫画『名物!たびてつ友の会』単行本の、読者からの手紙を紹介するページに既に「鉄子」の語が見えることから、1990年代には「鉄子」の語が存在していたことがうかがえる。
- ^ 2007年4月から同年6月までTBS系で放送されていたテレビドラマ『特急田中3号』では主に「テツ」の愛称を用いていた。
- ^ 「『ガラパゴス化した日本の鉄道』そのものに興味を抱く人」と、「海外の鉄道に比べて日本の鉄道同士だと類似点が多く、プラスアルファという形で追究しやすいと感じる人」の2パターンがある。
- ^ 竹島紀元の事例など。
- ^ 杵屋栄二も戦災にあいコレクションを失っている。
- ^ 特に朝鮮半島では、軍事境界線付近と北朝鮮となったエリアでは、鉄道が残っていても自由に旅行することはできない。
- ^ かつて多数運行されていた夜行列車では枕代わりにもなった。
- ^ エスカレートしすぎたゆえに、1976年(昭和51年)には小学生が写真撮影のために線路敷内に侵入し、列車に轢かれて死亡する事故(京阪100年号事故)が発生し、大都市近辺における蒸気機関車の保存運転が事実上不可能となる(事故防止の沿線の警備にコストが掛かりすぎるため)など、結果としてファン自身の不利益になるような事態もある。
- ^ 車両自体は無償譲渡の場合が多い(鉄道会社にしてみれば、本来必要な解体費用がかからないため)が、保存・保管のための用地の準備、輸送・補修等に莫大な費用を要する。
- ^ こうした行為は俗に撮り鉄にかけて盗り鉄[11][12][13]などと揶揄されている。
- ^ 鉄道のみならず、道路橋、道路トンネル、通信施設(電波塔)、軍事基地ではない空港・飛行場・港湾、国によってはスラムなども撮影が禁止されていることが多く、身柄を拘束された場合、撮影済みフィルムの没収や画像データの消去という処分が下される。
- ^ 鉄道ファンに対するものではないが、テレビ番組『世界の車窓から』の撮影班がテロ事件後のロケーション撮影においてニューヨーク・ペンシルベニア駅での撮影時に「2度尋問された」という案件があり、沿線での列車撮影時には「3度捕まった」ほか、サスケハナ川橋梁での撮影のためにカメラを設置していた際には貨物列車の運転士により警察に通報された、と撮影日記に記している。[32]
出典
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参考文献
- 日下部みどり子『鉄道ファン生態学』JTBパブリッシング・マイロネBOOKS、2002年、 ISBN 4533043372
- 野田隆『素晴らしき哉、鉄道人生』ポプラ社、2005年、ISBN 4591085988
- 野田隆『テツはこう乗る 鉄ちゃん気分の鉄道旅』光文社新書、2006年、ISBN 4334033520
- 「ユリイカ」2004年6月号、特集「鉄道と日本人 線路はつづくよ」
- 『現代用語の基礎知識』(自由国民社)2006年版、pp1634-1635「魅惑の"鉄"ワールド」の解説、ISBN 4426101247
関連項目
- 鉄道撮影
- 鉄道ファンの一覧
- 駅百選 - 関東の駅百選、中部の駅百選、近畿の駅百選、ほか
- カメラ小僧
- バスファン
- 航空ファン
- カーマニア
- 月館の殺人 - 鉄道ファンを題材にしたミステリー漫画
- 鉄子の旅 - 鉄道ファンを題材にしたノンフィクション漫画
- 特急田中3号 - TBSで2007年4月から6月に放送されたテレビドラマ
- 鉄オタ道子、2万キロ - テレビ東京で2022年1月~3月放送のテレビドラマ
- 僕達急行 A列車で行こう - 2012年公開の日本映画。鉄道ファンが主人公のコメディ
- レール7 - テレビ東京で放送された番組
- タモリ倶楽部 - テレビ朝日で1982年10月から2023年4月まで放送されていた深夜番組。鉄道に関する企画として「タモリ電車クラブ」を不定期に放送
- 列島縦断 鉄道乗りつくしの旅〜JR20000km全線走破〜 - NHKで放送されたドキュメンタリー番組。これ以外にも同シリーズの番組がある
- 鉄オタ選手権 - NHK大阪放送局制作、BSプレミアム(全国版)及び近畿2府4県の総合テレビ(関西版)で不定期放送番組。
- 友近・礼二の妄想トレイン - BS日テレの鉄道旅バラエティ番組。旅好きと鉄道ファンの著名人が毎回ゲストで出演
- 鉄道発見伝 鉄兄ちゃん藤田大介アナが行く! - CS放送・日テレプラスの番組
- アントニン・ドヴォルザーク - チェコ国民楽派を代表する19世紀~20世紀の作曲家。熱狂的な鉄道ファンだったと言われている。