コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

捷運

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
台灣交通系列
台湾の交通関連項目

交通部
 公路総局
 電信総局
 民用航空局
 国道高速公路局
 台湾鉄路公司
 桃園国際機場公司

道路
鉄道
海運
航空

国道(高速道路)
省道県道、市道郷道
港湾
空港

中華郵政

台湾の交通史

台湾のバス交通
台湾高速鉄道
捷運
台鉄捷運化

関係法令:
郵政法中華郵政条例
公路法
鉄路法大衆捷運法
航業法
海商法船舶法
商港法漁港法
民用航空法

関連項目:
台湾糖業鉄道
国光汽車客運
台湾鉄路貨運
台湾バス事業者一覧
台湾のIC乗車カード・電子マネー一覧

その他台湾関係記事

文化 - 経済 - 地理
政治 - 教育 - 軍事
人口 - 言語 - 歴史

捷運
各種表記
繁体字 捷運
簡体字 捷运
拼音 Jiéyùn
通用拼音 Jiéyùn
注音符号 ㄐㄧㄝˊ ㄩㄣˋ
発音: ジェユン
台湾語白話字 Chiat ūn
日本語漢音読み しょううん
英文 Mass Rapid Transit (MRT)
テンプレートを表示

捷運(しょううん)とは、台湾において英語のラピッド・トランジット(rapid transit)を漢訳したもので、一般的に地下鉄全般を指すが、それ以外の路面電車ライトレール)を軽軌捷運、バス・ラピッド・トランジット(BRT)を公車捷運と表記するなど、地下鉄やそれに準ずる都市の軌道交通を一般的に「地鉄」と表記する中国大陸香港と異なり台湾独特の用語である。「」は「敏捷」の捷で、「速い」などを意味する(rapidの意訳)。単語としては国内での当該軌道交通機関のほかに、国外の同様の地下鉄、新交通システム、ライトレールも捷運と称することが多い[1]

用語の位置付け

[編集]

一般的に台湾における捷運システムは、大衆捷運法に基づく国内各都市内の各種軌道交通システムを指し、捷運化される台鉄路線やBRTは捷運という用語を使いながらも狭義ではこの法的定義に該当しない。ただし広義的に一種の捷運システムとみなすこともある。主管する関係省庁や自治体により必ずしも同一でない。

台湾の捷運

[編集]

台湾主要都市部とその周辺都市を走る鉄道(一部)による高速鉄道網で、正式名称は「大衆捷運系統」。英称MRTMass Rapid Transit、大量高速輸送機関)である。例えば台北大都市圏の高速鉄道網は「台北都会区大衆捷運系統」と呼ばれ、簡称は「台北捷運」である。日本の都市高速鉄道に相当する。

大衆捷運法による位置付け

[編集]

1968年に建設議論が起き、1988年12月15日に建設に着手した台北市による捷運運営の成功経験の影響で、他の自治体でも建設の機運が高まり、90年代初頭は当時の中華民国政府も軌道交通について楽観的予測をしていたため、台北市・高雄市の両直轄市以外の、台中・桃園・新竹・嘉義・台南などの省轄市(現在の)やでも通勤ラッシュの緩和や同時期に計画された台湾高速鉄道の各駅と都心との連絡手段として次々と計画が持ち上がった。 しかし2000年代になると、中央政府・地方政府ともに急速な財政悪化で大規模な計画を遂行できなくなった。 また既に建設に着手していた高雄捷運でも開業後の運営が不透明になり、中央政府は路線新設に保守的な姿勢をみせ、各都市政府の計画審査を厳格化したため、 多数の路線建設計画は白紙化同然となった。

このため、交通部は地方政府の要求に対し、需要予測と開業後の持続可能な経営を求めるべく2011年4月11日付けで 捷運法に「大衆捷運系統建設および周辺土地開発計画申請と審査作業のガイドライン」を追記し、元の2段階審査から3段階審査に改めた。 各段階での審査内容も、工期・予算執行・施行各段階に加え、予算の分担率や資金調達方法、沿線開発をセットするTOD公共交通指向型開発)制度や開業後の税収増を担保に起債するTIFen:Tax Increment Financing)制度の導入を提案し、費用対効果を上げ、また地方負担分を高めることにした。以下のようにすべての段階で地方の草案に対し中央政府の多重チェックを機能させ、乱発を防ぐ狙いである[2]

  • 趣旨
  1. 路線計画と都市開発を並行させ、整合性を高める
  2. 費用対効果の見通しを併記させ、そぐわないものは廃案または修正
  3. 自治体および事業者の自己財源負担比率を明確化させ、必要であれば金融機関からの調達
  4. 一定の資金調達ができなければ計画を推進させない。
  • 改訂前
  1. フィジビリティスタディ(以下F/S)」:中央政府確定は必須ではない
  2. 「総合計画」審査:環境アセスメントのみ
  • 駅周辺の土地開発は市場に委ねる
  • 議会同意:必須ではない
  • 都市計画:その時点で有効な都市計画を修正・変更のみ
  • 改訂後
  1. 「F/S」:地方政府が策定したものを交通部→国家発展委員会(国発会)の2段階審査、確定→行政院による確定(閣議決定)
  2. 「総合計画審査」:地方政府が策定→交通部と国発会の2段階審査、確定→地方政府が都市計画案修正→環保署による環境アセスメント→行政院確定
  3. 「着工前作業審査」:財務・基金設立計画作成→都市計画変更を内政部が確定→交通部が審査
  • 費用対効果明確化が前提
  • 建設と同時に周辺土地開発も進行
  • TIF制度適用可
  • 都市計画:交通部から総合計画案審査を行政院に引き継ぐ前に、土地用途などの変更手続を伴う都市計画変更案を地方政府に一旦差し戻し委員会で再審議させる
  • 議会:建設計画および資金調達案は議会同意必須

これにより、中央政府各省庁および地方政府各部署の責任を明確化し、それぞれの協力を促すことで計画を推進させることになった。 桃園機場捷運は当初国家プロジェクトとして推進されたため、交通部傘下の高鉄局が建設主体となったが、開業後の運営は桃園市政府などが母体の桃園捷運公司となっている。

また台中捷運緑線では建設段階では経験豊富な台北市政府捷運工程局が担当し、運営は今後設立予定の台中捷運公司が、 新北市で建設中の淡海ライトレールでは建設主管は新北市政府捷運工程局であるが、運営は3年間高雄捷運公司が行うなど、計画・建設・運営段階でそれぞれ事業者が異なるケースがある。

分類

[編集]

台湾では規格や輸送量(1時間当たり片方向の輸送力)で高運量、中運量および低運量の3種類に分類され、それぞれの輸送力は2万人以上、5000人以上、5000人未満。
BRTとLRTでは同じ輸送量でも要求される本数・車両数・運転士の人数・道路交通への影響が異なるため、LRT導入前に初期コストが低いBRTを先行採用し、需要予測に役立てている[3]

捷運規格
種類 輸送量
(人/毎時/片方向)
名称 車輪型式 併用軌道 採用例
高運量 20,000以上 地下鉄(英語: Metro/Subway繁体字中国語: 鐵路捷運) 鉄輪式 なし 台北(淡水信義線中和新蘆線松山新店線板南線
高雄(紅線橘線
桃園(機場線藍線
都市通勤鉄道(英語: Regional Rail繁体字中国語: 區域通勤鐵路) 鉄輪式 なし 台鉄捷運化
ゴムタイヤ式都市鉄道(英語: Rubber-tyred Rapid Transit繁体字中国語: 膠輪捷運) ゴムタイヤ式 なし
中運量 5,000-20,000 高速ライトレール(英語: LRRT/Light Rail Rapid Transit繁体字中国語: 輕軌捷運) 鉄輪式 なし 台北(環状線万大線民生汐止線東湖支線
新北(三鶯線
桃園(緑線棕線中国語版
台中(緑線藍線

高雄(黄線

基隆捷運

新交通システム(英語: AGT/Automated Guided Transit繁体字中国語: 自動導軌運輸) ゴムタイヤ式 なし 台北(文湖線)、中正機場捷運(未成線)
モノレール(英語: Monorail Rapid Transit繁体字中国語: 單軌(輕軌)捷運) ゴムタイヤ式 なし 台南捷運
軽運量 -5,000 個人用高速輸送システム(英語: PRT:Personal Rapid Transit繁体字中国語: 個人捷運) 鉄輪/タイヤ式 なし
ライトレール(英語: LRT/Light Rail Transit繁体字中国語: 輕軌運輸) 鉄輪式 あり 高雄(環状軽軌
新北(淡海線安坑線深坑軽軌五股泰山軽軌中国語版
バス・ラピッド・トランジット(英語: BRT/Bus Rapid Transit繁体字中国語: 巴士快速交通、公車捷運) タイヤ式 専用レーン・共用レーン併用 嘉義(嘉義公車捷運・通称嘉義BRT)
台中(台中快捷巴士・通称BRT藍線(廃止)

乗車ルール

[編集]

MRTでは、駅構内と車内ともに完全飲食禁止である[4]

各都市における現状

[編集]
台北捷運の電車
ゴムタイヤ式新交通システム(台北捷運文湖線
新北捷運淡海LRT
高雄捷運の電車
高雄ライトレール(環状軽軌)

2015年現在、台北地区を中心に走る台北捷運(TRTC, Metro Taipei)と高雄地区を走る高雄捷運(KRTC, Kaohsiung Rapid Transit Corp)と桃園市桃園捷運(Taoyuan Metro)、台中市台中捷運(TMRT, Taichung Mass Rapid Transit)、新北捷運(New Taipei Metro)が開業している。 台南市彰化県も、鉄道による捷運の建設が計画中である。 高雄市および新北市では地下鉄整備に続いてLRTの運行が始まっている。

路線一覧

[編集]

開業済み

[編集]

一部開業済み

[編集]

建設中・計画中

[編集]

台湾鉄路管理局の捷運化事業は台鉄捷運化#進捗を参照

※下表の政府建設計画欄は

台北都市圏

[編集]
線名 区間 距離





F/S 総合計画 入札














開業
(予定)
系統 路線








































台北捷運 淡水信義線 信義線 象山駅 - 広慈/奉天宮駅 1.42 2025年12月[5]
環状線 北環段 新北産業園区駅 - 分子尾 - 剣南路駅
北環段
14.93 2031年6月
南環段 大坪林駅 - 動物園駅 5.73 2031年6月
東環段 剣南路駅 - 動物園駅 13.12 2033年
萬大線 1段階 中正記念堂駅 - 中和高中駅 - 莒光駅 9.5 2027年6月
2段階 中和高中駅 - 迴龍駅 13.3 2030年6月
民生汐止線 第2段階 東湖駅 - 大稲埕 11.296
新北捷運 第1段階 汐止区公所駅 - 東湖駅 5.66 2032年
淡海軽軌 三芝延伸線 崁頂駅 - 聖約翰科技大学 -
藍海線 淡水漁人碼頭駅 - 淡水駅 3.32
八里延伸線 淡水漁人碼頭駅 - 八里 5.6
三鶯線 1段階 頂埔駅 - 鶯桃福徳駅 14.29 2025年12月
2段階 鶯桃福徳駅 - 大湳駅 3.88
五股泰山軽軌中国語版 分子尾- 輔大医院 11.61
泰山板橋軽軌 輔大医院 - 莒光駅 10.3
深坑軽軌 動物園駅 - 楓子林 5.8
  • 台北捷運
    • 社子線(計画中止)
    • 南北線(計画中止、環状線東環段に統合)
    • 東湖支線(計画中)
  • 新北捷運
    • 林口軽軌(計画中)
    • 中和光復線(計画中)

桃園市

[編集]
線名 区間 距離




F/S 総合計画 入札














開業
(予定)
系統 路線








































桃園機場捷運 中壢延伸線 老街渓駅- 中壢駅 1.14 2028年7月
緑線 本線 芸文特区駅 - 水尾駅 - 坑口駅 27.8 2026年8月
景福宮駅 - 芸文特区駅 2028年12月
建徳興豊駅 - 大湳駅 - 桃園駅 - 景福宮駅 2030年12月
航空城支線 水尾駅 - 横山駅 2031年
中壢延伸線 建徳興豊駅 - 中壢駅 7.2 2032年
大渓延伸線 建徳興豊駅 - 埔頂転運駅 4.33
棕線中国語版 桃園駅 - 桃園巨蛋 - 迴龍駅 11.38 2032年
橘線 桃園巨蛋 - 環北駅 - 龍潭転運駅 29.0
  • 浅棕線(計画中)
  • 銀線(計画中)
  • 青線(計画中)
  • 黄線(計画中)
  • 浅緑線(計画中)
  • 藍線(計画中止、中正機場捷運と共に桃園機場捷運に統合)

台中市・彰化県

[編集]
線名 区間 距離




F/S 総合計画 入札














開業
(予定)
系統 路線








































緑線 大坑延伸線 旧社駅 - 大坑 2.49
彰化延伸線 高鉄台中駅 - 台鉄金馬 6.59
藍線 梧棲西屯線 台中港駅 - 台中駅 - 台糖生態公園駅 24.78 2034年
太平延伸線 台糖生態公園駅 - 東平 4.66
橘線中国語版 台中機場線 台中国際機場 - 新民高中 - 台中駅 - 民主議政中心 29.23
紫線中国語版 大平霧線 大坑 - 大慶駅 15.7
崇徳豊原線 社皮 - 新民高中 11.8
  • 台中捷運
    • 豊科軸線(計画中)
    • 科工軸線(計画中)
    • 南投延伸線(計画中)
  • 彰化捷運

台南市

[編集]
線名 区間 距離




F/S 総合計画 入札














開業
(予定)
系統 路線








































緑線中国語版 府城横貫線 永華市政中心 - 台南駅 - 平実転運駅 11.9
延伸線 平実転運駅 - 大埔 5.5
藍線中国語版 中華環線・支線 大橋駅 - 平実転運駅 - 関帝庁駅 - 文化中心駅仁徳転運駅 8.6 2031年
延伸線 仁徳転運駅 - 関廟国中緑能科学城 14.8
紅線中国語版 府城縦貫線 文化中心駅 - 高雄捷運大湖駅 11.5
深緑線 台南山手線 高鉄台南駅 - 新市 19.1
  • 紅線(計画中止、代替として沙崙線が開業)
  • 藍線(計画中止)
  • 緑線(計画中止)
  • 科学園区延伸線(計画中止)
  • 南北線(計画中→2代目紅線)
  • 環状線(計画中→2代目藍線)
  • 東西線(計画中→2代目緑線)
  • 2代目紅線延伸線(計画中)
  • 2代目藍線第2期延伸線(計画中)
  • 棕線(計画中)
  • 紫線(計画中)
  • 橘線(計画中)
  • 黄線(計画中)

高雄都市圏

[編集]
線名 区間 距離




F/S 総合計画 入札














開業
(予定)
系統 路線








































紅線 岡山路竹延伸線 2期A:岡山駅 - 南路竹駅 7.84 2027年
2期B:南路竹駅 - 大湖駅 3.79 2029年
小港林園線 小港駅 - 林園工業区駅 12.2 2031年
黄線 都会線 坔埔駅 - 澄清湖駅 - 高雄高工駅衛武営駅 23.17 2034年
高雄高工駅 - 旅運中心駅
衛武営駅 - 前鎮高中駅
藍線中国語版 鳳山本館線 籬仔内駅 - 澄清湖駅 8.32
紫線中国語版 民族高鉄線 大港駅 - 新左営駅 5.73
右昌高鉄線 新左営駅 - 援中港 6.4
燕巣線(第1段階) 援中港 - 樹徳科大 -
旗津線中国語版 哈瑪星駅 - 旗津 - 凱旋中華駅 7.39
  • 高雄捷運
    • 粉紅線(計画中)
    • 緑線(計画中)
    • 深緑線(計画中)
    • 銀線(計画中)
    • 深紫線(計画中)
    • 燕巣線第2段階(計画中)
    • 沙崙延伸線(計画中)
    • 新市鎮支線(計画中)
    • 大寮林園線(計画中)
    • 前鎮漁港延伸線(計画中)
    • 奇美延伸線(計画中止)
    • 永安延伸線(計画中止)
    • 大坪頂延伸線(計画中止)
    • 新国際機場延伸線(計画中止)
  • 屏東捷運

その他

[編集]
線名 区間 距離




F/S 総合計画 入札














開業
(予定)
系統 路線








































基隆捷運 南港基隆線 1段階 南港駅 - 汐止区公所駅 - 八堵駅 15.6 2033年
2段階 八堵駅 - 基隆駅 - 基隆複合商業大樓 4.15
  • 基隆捷運
    • 山線(計画中止)
    • 海線(計画中止)
  • 新竹捷運
    • 紅線(計画中)
    • 藍線(計画中)
    • 橘線(計画中)
    • 緑線(計画中)
    • 黄線(計画中)
    • 浅藍線(計画中)
    • 紫線(計画中)
    • 棕線(計画中)
    • 竹竹苗軽軌(計画中止)
  • 嘉義捷運

関連項目

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ (繁体字中国語)蘇昭旭 (2009). 世界捷運與輕軌圖鑑. 人人出版. ISBN 9789866435133 
  2. ^ 捷運建設計畫新審議機制(繁体字中国語)
  3. ^ (繁体字中国語)(高雄市政府捷運工程局)輕軌捷運與公車捷運
  4. ^ 【中国時報】飲食完全禁止に人道的問題指摘 台北―高雄の駅と車内”. 琉球新報. 2024年9月21日閲覧。
  5. ^ 信義線東延段施工現況、台北市政府捷運工程局。

外部リンク

[編集]