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* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年) |
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年) |
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* [[シケリアのディオドロス|ディオドロス]]『神代地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1999年) |
* [[シケリアのディオドロス|ディオドロス]]『神代地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1999年) |
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* [[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年) |
* [[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年) |
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* [[ヒュギーヌス]]『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、[[講談社学術文庫]](2005年) |
* [[ヒュギーヌス]]『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、[[講談社学術文庫]](2005年) |
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* 『[[プルタルコス]]英雄伝(上)』[[村川堅太郎]]訳、[[ちくま文庫]](1987年) |
* 『[[プルタルコス]]英雄伝(上)』[[村川堅太郎]]訳、[[ちくま文庫]](1987年) |
2021年11月15日 (月) 10:56時点における版
アンドロゲオース(古希: Ἀνδρόγεως, Androgeōs)は、ギリシア神話の人物である。長母音を省略してアンドロゲオスとも表記される。クレータ島の王ミーノースとパーシパエーの子で、カトレウス、デウカリオーン、グラウコス、アカレー(アカカリス)、クセノディケー、アリアドネー、パイドラーと兄弟[1]。アルカイオス、ステネロスの父[2]。
人物
アンドロゲオースはアテーナイ人が原因で死んだとされ、この死のためにアテーナイ人はミーノータウロスの生贄として少年少女をクレータ島の迷宮ラビュリントスに送ることになったとされる。
神話
アンドロゲオースの死
アポロドーロスによると、アンドロゲオースはアテーナイを訪れて、パンアテーナイア祭の競技で全ての参加者に勝利した。そこでアテーナイの王アイゲウスはアンドロゲオースにマラトーンの牡牛の退治を依頼したが、アンドロゲオースは牡牛に殺された。あるいはテーバイの競技に参加する途中、他の参加者に嫉妬されて殺された。[3]。
シケリアのディオドロスによると、アンドロゲオースはパンアテーナイア祭の競技で全ての参加者に勝利したので、パラースの息子たちの目にとまり、親交を結んだ[4]。しかしアテーナイの王アイゲウスはパラースの息子たちが自分を快く思っていないことを知っていたので、ミーノースがアンドロゲオースを通じて彼らを援助し、自分の王権を奪わせるかもしれないと考えた。そこでアイゲウスはアンドロゲオースがテーバイの祭りを見物しに出かけたとき、アッティカのオイノエーのあたりでアンドロゲオースを殺させた[5]。
ミーノースの報復
アンドロゲオースの死を知ったミーノースはアテーナイと戦争を始め、さらにアイゲウスの兄弟のニーソスが支配するメガラーを攻め落とした。しかしアテーナイを攻め落とすことができなかったので、アテーナイに罰が下ることをゼウスに願った。するとアテーナイでは飢饉や疫病といった災いが起こり、アテーナイ人はこの災いから逃れるすべを見い出せなかったので、神託に従ってアンドロゲオースの死に対するミーノースの要求を受け入れた。そしてミーノースはアテーナイ人に、ミーノータウロスの生贄をクレータ島に送ることを要求したといわれる[6]。
その他にヒュギーヌスは、アンドロゲオースはミーノースとアテーナイの戦争で戦死し、アテーナイを攻め落とした後に生贄を要求したとしている[7]。一方、ピロコロスは、ミーノースはアンドロゲオースのための競技を催し、アテーナイから得た少年少女を奴隷として勝利者に与えていたと述べている[8]。
なお、アテーナイのパレーロン港にはアンドロゲオースの祭壇があった[9]。