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'''プレスボーン'''({{lang-grc-short|'''Πρέσβων'''}}, {{ラテン翻字|el|Presbōn}})は、[[ギリシア神話]]の人物である。[[長母音]]を省略して'''プレスボン'''とも表記される。[[プリクソス]]と[[コルキス]]の王[[アイエーテース]]の娘[[カルキオペー]]との子。通常、2人の子は[[アルゴス (曖昧さ回避)#アルゴス (船大工)|アルゴス]]、プロンティス、[[メラース]]、[[キュティッソーロス]]の4人だが<ref>[[ロドスのアポローニオス]]『[[アルゴナウティカ]]』2巻1155行-1156行。</ref><ref>アポロドーロス、1巻9・1。</ref>、[[エピメニデース]]はさらにプレスボーンを加えたと伝えられている<ref>[[エピメニデース]]断片12(ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。</ref>。母親をアイエーテースの娘イオポッサとする説もある<ref>[[アクーシラーオス]]断片25(ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。</ref><ref>[[ヘーシオドス]]断片193。『大エーホイアイ』(ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。</ref>。[[クリュメノス]]の父<ref name=Pa_9_37_1>パウサニアス、9巻37・1。</ref>。
'''プレスボーン'''({{lang-grc-short|'''Πρέσβων'''}}, {{ラテン翻字|el|Presbōn}})は、[[ギリシア神話]]の人物である。[[長母音]]を省略して'''プレスボン'''とも表記される。[[プリクソス]]と[[コルキス]]の王[[アイエーテース]]の娘[[カルキオペー]]との子。通常、2人の子は[[アルゴス (曖昧さ回避)#アルゴス (船大工)|アルゴス]]、プロンティス、[[メラース]]、[[キュティッソーロス]]の4人だが<ref>[[ロドスのアポローニオス]]『[[アルゴナウティカ]]』2巻1155行-1156行。</ref><ref>アポロドーロス、1巻9・1。</ref>、[[エピメニデース]]はさらにプレスボーンを加えたと伝えられている<ref>[[エピメニデース]]断片12(ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。</ref>。母親をアイエーテースの娘イオポッサとする説もある<ref>[[アクーシラーオス]]断片25(ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。</ref><ref>[[ヘーシオドス]]断片193。『大エーホイアイ』(ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。</ref>。[[クリュメノス]]の父<ref name=Pa_9_37_1>パウサニアス、9巻37・1。</ref>。


[[パウサニアス]]によると、アタマースは3人目の妻[[テミストー]]との間に生まれた[[レウコーン]]の死後、プリクソスが生きているのか、あるいはプリクソスに子孫がいるのか分からなかったので、[[シーシュポス]]の孫[[ハリアルトス]]と[[コローノス]]を養子に迎えた<ref>パウサニアス、9巻34・7。</ref>。後にプレスボーンが[[オルコメノス]]に帰国すると、2人の同意を得てアタマースから祖父の館とその周辺地域を継承し、ハリアルトスとコローノスも領地の一部を譲り受けてハリアルトス市とコロネイア市を創建した<ref>パウサニアス、9巻34・8。</ref>。
[[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]によると、アタマースは3人目の妻[[テミストー]]との間に生まれた[[レウコーン]]の死後、プリクソスが生きているのか、あるいはプリクソスに子孫がいるのか分からなかったので、[[シーシュポス]]の孫[[ハリアルトス]]と[[コローノス]]を養子に迎えた<ref>パウサニアス、9巻34・7。</ref>。後にプレスボーンが[[オルコメノス]]に帰国すると、2人の同意を得てアタマースから祖父の館とその周辺地域を継承し、ハリアルトスとコローノスも領地の一部を譲り受けてハリアルトス市とコロネイア市を創建した<ref>パウサニアス、9巻34・8。</ref>。


その後、子供のクリュメノスは[[ミニュアース]]の家系が途絶えた後にオルコメノスの王となった<ref name=Pa_9_37_1 />。[[トロイア戦争]]に出征した[[アスカラポス]]と[[イアルメノス]]はプレスボーンの子孫である<ref>パウサニアス、9巻37・7。</ref>。
その後、子供のクリュメノスは[[ミニュアース]]の家系が途絶えた後にオルコメノスの王となった<ref name=Pa_9_37_1 />。[[トロイア戦争]]に出征した[[アスカラポス]]と[[イアルメノス]]はプレスボーンの子孫である<ref>パウサニアス、9巻37・7。</ref>。
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* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* 『[[オデュッセイア]]/[[アルゴナウティカ]]』[[松平千秋]]・[[岡道男]]訳、[[講談社]](1982年)
* 『[[オデュッセイア]]/[[アルゴナウティカ]]』[[松平千秋]]・[[岡道男]]訳、[[講談社]](1982年)
* [[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年)
* [[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年)
* 『ソクラテス以前哲学者断片集 第1分冊』[[内山勝利]]他訳、[[岩波書店]](1996年)
* 『ソクラテス以前哲学者断片集 第1分冊』[[内山勝利]]他訳、[[岩波書店]](1996年)
* 『[[ヘシオドス]] 全作品』[[中務哲郎]]訳、[[京都大学学術出版会]](2013年)
* 『[[ヘシオドス]] 全作品』[[中務哲郎]]訳、[[京都大学学術出版会]](2013年)

2021年11月15日 (月) 11:02時点における版

プレスボーン古希: Πρέσβων, Presbōn)は、ギリシア神話の人物である。長母音を省略してプレスボンとも表記される。プリクソスコルキスの王アイエーテースの娘カルキオペーとの子。通常、2人の子はアルゴス、プロンティス、メラースキュティッソーロスの4人だが[1][2]エピメニデースはさらにプレスボーンを加えたと伝えられている[3]。母親をアイエーテースの娘イオポッサとする説もある[4][5]クリュメノスの父[6]

パウサニアスによると、アタマースは3人目の妻テミストーとの間に生まれたレウコーンの死後、プリクソスが生きているのか、あるいはプリクソスに子孫がいるのか分からなかったので、シーシュポスの孫ハリアルトスコローノスを養子に迎えた[7]。後にプレスボーンがオルコメノスに帰国すると、2人の同意を得てアタマースから祖父の館とその周辺地域を継承し、ハリアルトスとコローノスも領地の一部を譲り受けてハリアルトス市とコロネイア市を創建した[8]

その後、子供のクリュメノスはミニュアースの家系が途絶えた後にオルコメノスの王となった[6]トロイア戦争に出征したアスカラポスイアルメノスはプレスボーンの子孫である[9]

 
 
プリクソス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
プレスボーン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
クリュメノス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エルギーノス
 
ストラティオス
 
アローン
 
ピュレオス
 
アゼウス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
トロポーニオス
 
アガメーデース
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アクトール
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アレース
 
アステュオケー
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アスカラポス
 
イアルメノス
 


脚注

  1. ^ ロドスのアポローニオスアルゴナウティカ』2巻1155行-1156行。
  2. ^ アポロドーロス、1巻9・1。
  3. ^ エピメニデース断片12(ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。
  4. ^ アクーシラーオス断片25(ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。
  5. ^ ヘーシオドス断片193。『大エーホイアイ』(ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。
  6. ^ a b パウサニアス、9巻37・1。
  7. ^ パウサニアス、9巻34・7。
  8. ^ パウサニアス、9巻34・8。
  9. ^ パウサニアス、9巻37・7。

参考文献

関連項目