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「ポリュクソー」の版間の差分

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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* [[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年)
* [[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年)
* [[ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌス|ヒュギーヌス]]『ギリシャ神話集』[[松田治]]・青山照男訳、[[講談社学術文庫]](2005年)
* [[ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌス|ヒュギーヌス]]『ギリシャ神話集』[[松田治]]・青山照男訳、[[講談社学術文庫]](2005年)
* {{仮リンク|ポリュアイノス|en|Polyaenus}}『戦術書 叢書アレクサンドリア図書館VI』戸部順一訳、[[国文社]](1999年)
* {{仮リンク|ポリュアイノス|en|Polyaenus}}『戦術書 叢書アレクサンドリア図書館VI』戸部順一訳、[[国文社]](1999年)

2021年11月15日 (月) 11:05時点における版

ポリュクソー古希: Πολυξώ, Polyxō)は、ギリシア神話の女性である。長母音を省略してポリュクソとも表記される。主に、

の2人のほか数名が知られている。

ダナオスの妻の1人

このポリュクソーは、水のニュンペーである。アルゴス王ダナオスの妻の1人で、12人の娘アウトノエーテアーノーエーレクトラークレオパトラーエウリュディケー、グラウキッペー、アンテーレイア、クレオドーレー、エウヒッペー、ステュグネー、エラトー、ブリュケーを生んだ。彼女たちはアイギュプトスと水のニュムペー・カリアドネーとの間に生まれた12人の息子たちと結婚した[1]

ヒュプシピュレーの乳母

このポリュクソーは、レームノス島の女王ヒュプシピュレーの乳母である[2]アルゴナウタイがレームノス島に寄港したとき、島は女たちによって男たちが虐殺された後だった。ヒュプシピュレーはこのことが島外に知れ渡ることを怖れ、アルゴナウタイを城外に留めるために食料とワインを届けようとした。そのときポリュクソーは若い女たちに子供を産まずに老後をどう生きるつもりなのかと問いかけ、島と財産をアルゴナウタイにゆだね、守ってもらうことを提案した。この提案は女たちに受け入られ、アルゴナウタイは街に招き入れられた[3][4]

こうしてヒュプシピュレーはイアーソーンとの間にエウネーオスとネブロポノス[5]デーイピュロス[4]あるいはトアースとも[6])を生み、また島の女たちもアルゴナウタイとの間に子供をもうけ、息子を生んだ者は父親と同じ名前を付けた[4]

トレーポレモスの妻

このポリュクソーは、アルゴスの出身で、ヘーラクレイダイのトレーポレモスの妻である。トレーポレモスがリキュムニオス殺害の罪で追放されたとき、2人はすでに結婚しており、夫の亡命に従ってロドス島に渡った。トレーポレモスとの間には1児が生まれたが、トレーポレモスがトロイア戦争で戦死したため、女王としてロドス島を支配した[7]

のちに友人のヘレネーがポリュクソーを頼ってロドス島に亡命してきた。ヘレネーはメネラーオスの死後、ニーコストラトスメガペンテースによってスパルタを追放されたのだった[8]。ヘレネーがやって来るとポリュクソーは夫の死の原因を作ったヘレネーに復讐した。すなわち、侍女たちに命じて復讐の女神エリーニュスの格好をさせ、入浴の最中のヘレネーを捕らえて木の枝に首を吊るさせた。ロドス島のヘレネーの神域はこの故事に由来するという[7]

別の話によると、メネラーオスとヘレネーは帰国の際にロドス島に寄港しようとした。するとポリュクソーはロドス人を率いて海岸に現れて、ヘレネーを殺そうとした。そのためメネラーオスは侍女にヘレネーの格好をさせて彼らに引き渡したところ、彼らはこの女をヘレネーと疑わずに殺したので、メネラーオスは無事にロドス島を出港することが出来たという[9]

その他のポリュクソー

脚注

  1. ^ アポロドーロス、2巻1・5。
  2. ^ ロドスのアポローニオス、1巻668行。
  3. ^ ロドスのアポローニオス、1巻608行以下。
  4. ^ a b c ヒュギーヌス、15話。
  5. ^ アポロドーロス、1巻9・17。
  6. ^ エウリーピデース『ヒュプシピュレー』断片。
  7. ^ a b パウサニアス、3巻19・10。
  8. ^ パウサニアス、3巻19・9。
  9. ^ ポリュアイノス『戦術書』1巻13。
  10. ^ ヒュギーヌス、序文。
  11. ^ ヒュギーヌス、192話。
  12. ^ アポロドーロス、3巻10・1。
  13. ^ イーリアス』9巻584行への古註。

参考文献