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「コールドプレイ」の版間の差分

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== 影響/評価 ==
== 影響/評価 ==
コールドプレイは最も影響力のあるアーティストの一つであり<ref>https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/my-asa/xcL2zZENTN.html</ref>、現在の音楽シーンの第一線で活躍しているアーティストの多くが直接的もしくは間接的にコールドプレイの影響を受けている。ポップ、R&B、ヒップホップ、ロック、ダンス・ミュージック、ラテン音楽、K-POP、J-POPなど、幅広いジャンルの音楽に多大な影響を与えている(ジャンル別の詳細は[[#音楽的影響/ルーツの前提]]以降に後述)。
コールドプレイは最も影響力のあるアーティストの一つであり<ref>https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/my-asa/xcL2zZENTN.html</ref>、現在の音楽シーンの第一線で活躍しているアーティストの多くが直接的もしくは間接的にコールドプレイの影響を受けている。ポップ、R&B、ヒップホップ、ロック、ダンス・ミュージック、ラテン音楽、K-POP、J-POPなど、幅広いジャンルの音楽に多大な影響を与えている(ジャンル別の詳細は[[#音楽的影響/ルーツの前提]]以降に後述)。
[[ファイル:Ed Sheeran (cropped).jpg|サムネイル|125x125ピクセル|エド・シーラン]]

[[ファイル:Dua Lipa 02 08 2018 -15 (25884030647).jpg|サムネイル|130x130ピクセル|デュア・リパ]]
コールドプレイに大きな影響を受けているアーティストとしては、[[フィニアス・オコネル]]([[ビリー・アイリッシュ]])、[[ハリー・スタイルズ]]、[[フランク・オーシャン]]、[[SZA]]、[[テイラー・スウィフト]]、[[デュア・リパ|エド・シーラン]]、[[フューチャー (ラッパー)|フューチャー]]、[[トラヴィス・スコット]]、[[BTS (音楽グループ)|BTS]]、[[デュア・リパ]]、[[カニエ・ウェスト]]、[[J・バルヴィン]]、[[イマジン・ドラゴンズ]]、[[ワンリパブリック|ワン・リパブリック]]、[[トゥエンティ・ワン・パイロッツ]]、[[ザ・キラーズ]]、[[デヴィッド・ゲッタ]]、[[カイゴ]]、[[ザ・チェインスモーカーズ]]、[[マイク・ウィル・メイド・イット]]、[[ジェイコブ・コリアー]]、アイス・スパイスなどが挙げられる。
コールドプレイに大きな影響を受けているアーティストとしては、[[フィニアス・オコネル]]([[ビリー・アイリッシュ]])、[[ハリー・スタイルズ]]、[[フランク・オーシャン]]、[[SZA]]、[[テイラー・スウィフト]]、[[デュア・リパ|エド・シーラン]]、[[フューチャー (ラッパー)|フューチャー]]、[[トラヴィス・スコット]]、[[BTS (音楽グループ)|BTS]]、[[デュア・リパ]]、[[カニエ・ウェスト]]、[[J・バルヴィン]]、[[イマジン・ドラゴンズ]]、[[ワンリパブリック|ワン・リパブリック]]、[[トゥエンティ・ワン・パイロッツ]]、[[ザ・キラーズ]]、[[デヴィッド・ゲッタ]]、[[カイゴ]]、[[ザ・チェインスモーカーズ]]、[[マイク・ウィル・メイド・イット]]、[[ジェイコブ・コリアー]]、アイス・スパイスなどが挙げられる。
[[ファイル:Frank Ocean 2022 Blonded.jpg|左|サムネイル|125x125ピクセル|フランク・オーシャン]]

[[ファイル:LizzoBrixt06Nov19-10 (49216792848) (cropped).jpg|左|サムネイル|134x134ピクセル|リゾ]]
コールドプレイの楽曲をカバー・サンプリングしているアーティストとしては、[[フランク・オーシャン]]、[[ドレイク (ラッパー)|ドレイク]]、[[リゾ (歌手)|リゾ]]、[[デュア・リパ]]、[[チャンス・ザ・ラッパー]]、[[マック・ミラー]]、[[ケイシー・マスグレイヴス]]などが挙げられる。
コールドプレイの楽曲をカバー・サンプリングしているアーティストとしては、[[フランク・オーシャン]]、[[ドレイク (ラッパー)|ドレイク]]、[[リゾ (歌手)|リゾ]]、[[デュア・リパ]]、[[チャンス・ザ・ラッパー]]、[[マック・ミラー]]、[[ケイシー・マスグレイヴス]]などが挙げられる。


コールドプレイやボーカルのクリス・マーティンは、多くのアーティストから称賛を受けている。
コールドプレイやボーカルのクリス・マーティンは、多くのアーティストから称賛を受けている。
[[ファイル:Jay-Z 6 (cropped).jpg|サムネイル|128x128ピクセル|ジェイ・Z]]

[[ファイル:191125 Taylor Swift at the 2019 American Music Awards (cropped).png|サムネイル|142x142ピクセル|テイラー・スウィフト]]
[[ジェイ・Z]]は「現代の[[ウィリアム・シェイクスピア|シェイクスピア]]」<ref name=":2" />、[[カニエ・ウェスト]]は「史上最高のバンド」<ref name=":21" />、[[テイラー・スウィフト]]は「永遠に大ファン」<ref name=":17" />、[[エド・シーラン]]は「自分のキャリアを通じてずっと研究してきた存在」「とてつもない天才」<ref name=":16" />、[[アデル (歌手)|アデル]]は「魔法のような存在」<ref name=":19">WOWOW アデル ~30の輝かしい瞬間~</ref>、[[ハリー・スタイルズ]]は「音楽を愛する理由であり自分のアイドル」<ref>https://twitter.com/harry_styles/status/97984947406643200</ref>、[[フューチャー (ラッパー)|フューチャー]]は「永遠の伝説」<ref name=":30">https://twitter.com/1future/status/696509602507026432</ref>、[[フィニアス・オコネル]]は「自分にとって本当に大きな存在」<ref name=":13" />、[[ノエル・ギャラガー]]は「とんでもない魔法使い」<ref name=":15" />、[[リアム・ギャラガー]]は「人々に愛と沢山の光をもたらす素晴らしい存在」<ref name=":3">{{Cite web |title=https://twitter.com/liamgallagher/status/1562344197969125376 |url=https://twitter.com/liamgallagher/status/1562344197969125376 |website=Twitter |access-date=2023-02-20 |language=ja}}</ref>、[[BTS (音楽グループ)|BTS]]の[[V (歌手)|V]]は「自分のロールモデルだった」<ref name=":18">{{Citation|title=Coldplay X BTS Inside 'My Universe' Documentary - BTS (방탄소년단)|url=https://www.youtube.com/watch?v=viM_c-Fc7sc|language=ja-JP|access-date=2023-02-14}}</ref>、[[JUNG KOOK|ジョングク]]は「スタジアムツアーの王様」<ref name=":18" />、[[NCT (音楽グループ)|NCT]]の[[チソン (NCT)|チソン]]は「理想とする存在」と絶賛している。
[[ファイル:220624 방탄소년단 뷔(1).jpg|サムネイル|100x100ピクセル|BTSのV]]

[[ジェイ・Z]]は「現代の[[ウィリアム・シェイクスピア|シェイクスピア]]」<ref name=":2" />、[[カニエ・ウェスト]]は「史上最高のバンド」<ref name=":21" />、[[テイラー・スウィフト]]は「永遠に大ファン」<ref name=":17" />、[[エド・シーラン]]は「自分のキャリアを通じてずっと研究してきた存在」「とてつもない天才」<ref name=":16" />、[[アデル (歌手)|アデル]]は「魔法のような存在」<ref name=":19">WOWOW アデル ~30の輝かしい瞬間~</ref>、[[ハリー・スタイルズ]]は「音楽を愛する理由であり自分のアイドル」<ref>https://twitter.com/harry_styles/status/97984947406643200</ref>、[[フューチャー (ラッパー)|フューチャー]]は「永遠の伝説」<ref name=":30">https://twitter.com/1future/status/696509602507026432</ref>、[[フィニアス・オコネル]]は「自分にとって本当に大きな存在」<ref name=":13" />、[[ノエル・ギャラガー]]は「とんでもない魔法使い」<ref name=":15">https://i-bloomblaum.blogspot.com/2016/12/upandup-coldplay-aheadfullofdreams-chrismartin-noelgallagher-interview.html?m=1</ref>、[[リアム・ギャラガー]]は「人々に愛と沢山の光をもたらす素晴らしい存在」<ref name=":3">{{Cite web |title=https://twitter.com/liamgallagher/status/1562344197969125376 |url=https://twitter.com/liamgallagher/status/1562344197969125376 |website=Twitter |access-date=2023-02-20 |language=ja}}</ref>、[[BTS (音楽グループ)|BTS]]の[[V (歌手)|V]]は「自分のロールモデルだった」<ref name=":18">{{Citation|title=Coldplay X BTS Inside 'My Universe' Documentary - BTS (방탄소년단)|url=https://www.youtube.com/watch?v=viM_c-Fc7sc|language=ja-JP|access-date=2023-02-14}}</ref>、[[JUNG KOOK|ジョングク]]は「スタジアムツアーの王様」<ref name=":18" />、[[NCT (音楽グループ)|NCT]]の[[チソン (NCT)|チソン]]は「理想とする存在」と絶賛している。
[[ファイル:E887a1a294eba4c0447cb97efde70463。.jpg|左|サムネイル|100x100ピクセル|米津玄師]]
[[藤井風]]の全曲のプロデュースなどを手掛けている[[Yaffle]]は「音楽に本当にのめり込むきっかけとなった」<ref name=":6" /> <ref name=":22" />、[[サカナクション]]の[[山口一郎 (歌手)|山口一郎]]は「めちゃくちゃ参考にしたボーカリスト」<ref name=":4" />と話し、大きな影響を受けたことを明かしている。また、[[松任谷由実]]や[[亀田誠治]]([[スピッツ (バンド)|スピッツ]]などの音楽プロデューサーで[[東京事変]]のメンバー)は、コールドプレイの大ファンであることを語っている。[[米津玄師]]、[[宇多田ヒカル]]、[[坂道シリーズ|坂道グループ]]、[[BUMP OF CHICKEN]]などの楽曲にも多大な影響を与えている。
[[藤井風]]の全曲のプロデュースなどを手掛けている[[Yaffle]]は「音楽に本当にのめり込むきっかけとなった」<ref name=":6" /> <ref name=":22" />、[[サカナクション]]の[[山口一郎 (歌手)|山口一郎]]は「めちゃくちゃ参考にしたボーカリスト」<ref name=":4" />と話し、大きな影響を受けたことを明かしている。また、[[松任谷由実]]や[[亀田誠治]]([[スピッツ (バンド)|スピッツ]]などの音楽プロデューサーで[[東京事変]]のメンバー)は、コールドプレイの大ファンであることを語っている。[[米津玄師]]、[[宇多田ヒカル]]、[[坂道シリーズ|坂道グループ]]、[[BUMP OF CHICKEN]]などの楽曲にも多大な影響を与えている。


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コールドプレイは、受けた影響や与えた影響、[[クロスオーバー (音楽)|クロスオーバー]]した(ボーダレスな)音楽性、コラボレーション等を通して、20世紀以前の音楽と21世紀以降の音楽、西洋音楽と東洋音楽、白人音楽と黒人音楽、オルタナティブ・ミュージックとポップ・ミュージック、ロックバンドとアイドルグループなどの結節点となることで、すべてが包摂・肯定されるような音楽世界を促進している。異なる音楽ジャンルや人種の架け橋となることで、これまで差別が常態化し、分断の激しかったポピュラー音楽の変革・進化を支え、分断から連帯、競争から協力へと進む音楽界の変化に貢献している。
コールドプレイは、受けた影響や与えた影響、[[クロスオーバー (音楽)|クロスオーバー]]した(ボーダレスな)音楽性、コラボレーション等を通して、20世紀以前の音楽と21世紀以降の音楽、西洋音楽と東洋音楽、白人音楽と黒人音楽、オルタナティブ・ミュージックとポップ・ミュージック、ロックバンドとアイドルグループなどの結節点となることで、すべてが包摂・肯定されるような音楽世界を促進している。異なる音楽ジャンルや人種の架け橋となることで、これまで差別が常態化し、分断の激しかったポピュラー音楽の変革・進化を支え、分断から連帯、競争から協力へと進む音楽界の変化に貢献している。


一方でコールドプレイは、ロックバンドとしての先駆的な音楽性や姿勢などに対して、評論家や一部の人々からは否定的な評価や誹謗中傷を受けることもあった
一方でコールドプレイは、ロックバンドとしての先駆的な音楽性や姿勢などに対して、一部のメディアや人々からは否定的な評価や誹謗中傷を受けることもある。日本でも同様に、伝統的なロック観の維持、音楽ジャンルの区別や差別化などにこだわる[[保守]]的な評論家やリスナーから批判されることがある


=== 音楽的影響/ルーツの前提 ===
=== 音楽的影響/ルーツの前提 ===
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[[U2]]の[[ボノ]]は、自身の楽曲「Every Breaking Wave」(2014年リリース)は、友人のクリス・マーティンの助言がなければ完成させることができなかったと話している。U2の[[ジ・エッジ]]は「[[ジョニー・バックランド]]は多くのギタリストの憧れだ」と称賛している<ref name=":29" />。
[[U2]]の[[ボノ]]は、自身の楽曲「Every Breaking Wave」(2014年リリース)は、友人のクリス・マーティンの助言がなければ完成させることができなかったと話している。U2の[[ジ・エッジ]]は「[[ジョニー・バックランド]]は多くのギタリストの憧れだ」と称賛している<ref name=":29" />。


元オアシスの[[ノエル・ギャラガー]]は、コールドプレイの楽曲「[[イエロー (コールドプレイの曲)|イエロー]]」について、「初めて聴いたとき、とっさギターを引っ掴んで叫んだよ。ちくしょう!どうして俺がこの曲を書かなかったんだ!ってね」と明かしている<ref name=":29" />。ノエルは、コールドプレイの楽曲「Up&Up」にギターで参加し、クリスについて「自分のアルバムにも参加してもらいたい」「やつはとんでもない魔法使いなんだ。天才だよ」と称賛している<ref name=":15" />。
元[[オアシス (バンド)|オアシス]]の[[リアム・ギャラガー]]は、過去には「コールドプレイの曲を聴くと自殺したくなる」などと否定的な発言もしていたが、2017年には「自分が今まで彼らについて言ってきた発言全てを撤回する」「クリスもバンドメンバーもクールなやつだ」「とてもかっこいいバンドで驚いた」と発言し<ref>https://i-bloomblaum.blogspot.com/2017/06/liamgallagher-coldplay-chrismartin-onelovemanchester.html</ref>、現在は「[[クリス・マーティン]]は人々に愛と沢山の光をもたらす素晴らしい奴だ」<ref name=":3" />と話している。


元オアシスの[[ノエル・ギャラガー]]は、コールドプレイの楽曲[[イエロー (コールドプレイの曲)|イエロー]]」について、「初めてとき、とっさギターを引っ掴んで叫んだよ。ちしょう!どうして俺がこの曲を書かかったんだ!ってね」と明かしている<ref name=":29" />。ノエル、コールドプレイの楽曲Up&Up」にギター参加し、クリスについて「自分のアルバムにも参加しもらい」「やつんで魔法使なんだ。天才だよ」と称賛ている<ref name=":15">https://i-bloomblaum.blogspot.com/2016/12/upandup-coldplay-aheadfullofdreams-chrismartin-noelgallagher-interview.html?m=1</ref>。
[[オアシス (バンド)|オアシス]]の[[リアム・ギャラガー]]は、過去には「コールドプレイの曲くと自殺したくななど否定的な発言もしていたが、2017年には「自分が今ま彼らについて言っ発言全てを撤回する」「クリスもバンドメンバーもクールなやつだ」「かっこいいバンドで驚いた」と発言し<ref>https://i-bloomblaum.blogspot.com/2017/06/liamgallagher-coldplay-chrismartin-onelovemanchester.html</ref>、現在は「[[クリス・マーティン]]は人々に愛と沢山の光をもたらす素晴らしい奴だ」<ref name=":3" />と話している


[[フィービー・ブリジャーズ]]は、自身が好きな[[ナダ・サーフ]]の楽曲「Inside of Love」をコールドプレイの音楽に喩え、ときどき聴くと他の音楽がしばらく存在しなくなるくらい素晴らしい曲だと紹介している。
[[フィービー・ブリジャーズ]]は、自身が好きな[[ナダ・サーフ]]の楽曲「Inside of Love」をコールドプレイの音楽に喩え、ときどき聴くと他の音楽がしばらく存在しなくなるくらい素晴らしい曲だと紹介している。

2023年3月10日 (金) 11:58時点における版

コールドプレイ
基本情報
出身地 イングランドの旗 イングランド ロンドン
ジャンル
活動期間 1996年 -
レーベル
公式サイト コールドプレイ 公式サイト
メンバー

コールドプレイ英語: Coldplay)は、イギリスロンドン出身の4人組ロックバンド、および21世紀を代表する音楽グループである。代表曲として「Viva La Vida」「Yellow」「Fix You」「A Sky Full of Stars」「Clocks「Hymn for the Weekend」 などがある。

メンバー4人はユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の学生寮で出会った。1996年にバンドを結成し、複数回の改名を経て1998年にデビューEP、2000年にデビューアルバムをリリース。これまでリリースしたスタジオ・アルバム9作全てが全英アルバムチャートで1位を獲得している。

特徴として、哀愁を帯びた美しいメロディー、繊細で壮麗なサウンド、叙情的で優しい歌声、メッセージ性に富む哲学的な歌詞、音楽性の変化や多彩さ、多幸感溢れるカラフルなライブなどが挙げられる[7]

21世紀のポップカルチャー及びポピュラー音楽を象徴する存在の一つとして、世界中の音楽シーンに多大な影響を与えている。ジェイ・Zは、ボーカルのクリス・マーティンを「現代のシェイクスピア[8]と評している。日本では、米津玄師宇多田ヒカル乃木坂46BUMP OF CHICKENYaffleなどが大きな影響を受けている。

グラミー賞7回受賞(39回ノミネート)[9][10]、イギリスのグループにおけるグラミー賞の歴代最多受賞記録[11][12]と最多ノミネート記録を保持している。前回のワールドツアー『A Head Full of Dreams Tour』は、当時のコンサートツアー史上歴代3位の興行収入を記録した。

概要

2017年のグローバル・シティズン・フェスティバル

1996年ロンドンで結成される。1998年に現在の名前の「コールドプレイ(Coldplay)」に改名後、自主制作でデビューEP『Safety』をリリース。1999年にメジャーレーベルパーロフォンと契約し、2000年にデビュー・アルバム『パラシューツ』をリリース。

メンバーは、クリス・マーティン(ボーカル・ギター・ピアノ)、ジョニー・バックランド(ギター)、ガイ・ベリーマン(ベース)、ウィル・チャンピオン(ドラムス)から構成される。名門ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の学生寮ラムゼー・ホールで4人は知り合い、共に学生生活を過ごしながらバンド活動に打ち込んだ。現在まで同じメンバーで活動している。クリエイティブ・ディレクター(元マネージャー)のフィル・ハーヴェイは、クリス・マーティンの13歳からの親友であり、「5人目のメンバー」と呼ばれている。バンド名は、フィリップ・ホーキーの『チャイルド・リフレクションズ』(1997年発売)に収録されている詩「Cold Play」に由来している。Pectoralz、Big Fat Noises、Starfishなど複数回の改名を経て「Coldplay」としてデビューした。

2000年、デビュー・アルバム『パラシューツ』とシングルYellow」の大ヒットにより世界的な成功を得た。1stアルバム『パラシューツ』は全世界で約900万枚、2ndアルバム『静寂の世界 』は約1500万枚、3rdアルバム『X&Y』は約1300万枚のセールスを記録し、『X&Y』は2005年に世界で最も売れたアルバムとなった。『パラシューツ』、『静寂の世界』、『X&Y』はイギリス史上最も売れたアルバム50選(2019年公式チャート発表)にも選ばれ[13]、アーティストとして単独最多のランクイン数を記録している[14]。2ndアルバム『静寂の世界』は初期のコールドプレイの代表作と評されることも多く、BBCラジオのリスナーの史上最も好きなアルバムの1位にも選出されている[15]

2008年には、4thアルバム『美しき生命』をリリース。プロデューサーには、ブライアン・イーノジョン・ホプキンス、Rik Simpsonらを迎えた。約1100万枚のセールスを記録し、2008年に世界で最も売れたアルバムかつ2000年代に世界で最もダウンロードされたアルバムとなった。収録曲『美しき生命』は、アメリカのシングルチャートBillboard Hot 100全英シングルチャートで初登場1位を獲得した。コールドプレイの音楽性にとって大きな転換点となったアルバムであり、オルタナティブ・ロックブラックミュージック[16]エレクトロニカアンビエントクラシック音楽などの境界を取っ払った作風は以降の音楽シーンの潮流を決定づけ、カニエ・ウェスト[17][18]フランク・オーシャン[19]ビリー・アイリッシュ[20][21]をはじめとする他のアーティストの作品にも多大な影響を与えている。

2010年代には、5thアルバム『マイロ・ザイロト』、6thアルバム『ゴースト・ストーリーズ』、7thアルバム『A Head Full of Dreams』、8thアルバム『Everyday Life』をリリースした。アルバムごとに音楽性の急進的な変化が見られ、エレクトロニカEDMR&Bヒップホップファンクゴスペルなどを大胆に取り入れている。旧来のロック音楽の枠をはみ出した先駆的な作風は常に賛否を呼んだが、多くが現在の世界のiTunesアルバムチャートでも上位にランクインし続けており[22]ダフト・パンクの『ランダム・アクセス・メモリーズ』やアデルの『21』などと並ぶ2010年代屈指のロングセラー作品となっている。

2015年の7thアルバムのリリース後には、大規模ワールドツアー『A Head Full of Dreams Tour』が約1年7カ月にわたり行なわれた。巨大モニターレーザー花火、観客が腕に巻く自動制御式のLEDリストバンドなどを駆使したスペクタクルな演出、圧巻の音楽と視覚効果が織り成す壮大なエンターテインメントは全122公演で約539万人を動員し、興行収入は5億2300万ドル以上で当時のコンサートツアー史上歴代3位を記録した。

2018年11月14日には、20年間の軌跡を追ったドキュメンタリー映画『コールドプレイ:ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』(A Head Full of Dreams)が映画館で1日限定で公開され、2日後にAmazonプライム・ビデオで配信がスタートした。同年12月7日には、ライブアルバム『Live in Buenos Aires』 『Live in Tokyo』 をリリースした。

2021年には、9thアルバム『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』(Music of the Spheres)をリリース。BTSとタッグを組んだ2ndシングル「My Universe」は、欧米とアジアそれぞれを代表するグループのコラボレーションとして注目を集め、アメリカのシングルチャートBillboard Hot 100では初登場1位を記録した。2022年3月からワールドツアー『Music of the Spheres World Tour』を行っている。2022年12月現在までに64公演で約380万人を動員し、タイムズ誌が「過去に類をみない最高のライブ」と評するなど大きな話題となっている[23]。ツアーはまだ続いており、2024年に来日予定とする情報もある[24]

2000年代は「Yellow」「The Scientist」「Clocks」「Fix You」「Viva La Vida」など、2010年代は「Every Teardrop Is a Waterfall」「Paradise」「A Sky Full of Stars」「Adventure of a Lifetime」「Hymn for the Weekend」「Something Just Like This」など、2020年代は「My Universe」など、20年以上に渡って数多くのスタンダード・ナンバーを生み出している(詳細は#代表曲を参照)。

現在までに総計1億枚以上のアルバムセールスを記録し[25]、21世紀を代表する世界的なバンドである[26]。これまでスタジオ・アルバムを9作リリースし、全てのアルバムが全英アルバムチャートで1位を獲得している。9作以上のスタジオ・アルバムをリリースして現在まで全英アルバムチャートで1位を逃したことのないアーティストは、歴史上コールドプレイのみとなっている。グラミー賞やブリット・アワードなどを多数受賞し、歴史上最も多く賞を受賞したグループの一つである。イギリスのグループとしてグラミー賞[11][9]とブリット・アワードそれぞれの歴代最多受賞記録[12]と最多ノミネート記録を持っている(詳細は#業績/受賞歴を参照)。

コールドプレイは、レディオヘッドU2ビートルズなどをはじめとする多くのアーティストの影響を受けている。オルタナティブロックだけでなく、ポップ・ミュージックブラックミュージックエレクトロニカなどを含む様々なジャンルを横断し、ボーダレスに向かうポピュラー音楽の潮流を牽引している。常に新しいスタイルに取り組んで音楽性を大胆に変化させ、アルバムごとにユニークなテーマを提示し、ジャンルや人種の垣根を越えたコラボレコーションも積極的に行っている。ジェイ・Zリアーナアヴィーチービヨンセノエル・ギャラガーザ・チェインスモーカーズジェイコブ・コリアーBTSセレーナ・ゴメスなどのアーティストや、ブライアン・イーノジョン・ホプキンススターゲイトマックス・マーティンなどの音楽プロデューサーとこれまで作品をリリースをしている(詳細は#音楽の特徴#音楽的影響/ルーツ#コラボレーションを参照)。

最も影響力のあるアーティストの一つであり、世界中の数多くのアーティスト、バンド、アイドル、音楽プロデューサーなどから称賛を受けている。コールドプレイやボーカルのクリス・マーティンについて、ジェイ・Zは「現代のシェイクスピア[27]カニエ・ウェストは「史上最高のバンド」[18]テイラー・スウィフトは「永遠に大ファン」[28]エド・シーランは「とてつもない天才」[29]と絶賛している。藤井風の全曲のプロデュースなどを手掛けているYaffleは「音楽に本当にのめり込むきっかけとなった」[30] [31]サカナクション山口一郎は「めちゃくちゃ参考にしたボーカリスト」[32]松任谷由実は「大好きな現役バンド」[33]と話している。

フィニアス・オコネルビリー・アイリッシュ)、ハリー・スタイルズフランク・オーシャンSZAテイラー・スウィフトエド・シーランフューチャートラヴィス・スコットデュア・リパBTSカニエ・ウェストJ・バルヴィンイマジン・ドラゴンズワン・リパブリックデヴィッド・ゲッタカイゴジェイコブ・コリアー、アイス・スパイスなどの音楽性や作品に大きな影響を与えている。フランク・オーシャンドレイクリゾチャンス・ザ・ラッパーデュア・リパケイシー・マスグレイヴスなどが楽曲をカバーサンプリングしている。日本では、Yaffle藤井風)、米津玄師宇多田ヒカル松任谷由実坂道グループサカナクションBUMP OF CHICKENスピッツ亀田誠治などが強い影響を受けている。ライブの演出や取り組みも同様に、世界中のアーティストによって採用されており、LEDリストバンドの使用などを普及させた。一方でコールドプレイは、ロックバンドとしての先駆的な音楽性や姿勢などに対して、一部のメディアや人々から否定的な評価や誹謗中傷を受けることもあった(詳細は#影響/評価参照)。

映画やドラマ、スポーツといった現代のポップカルチャーとの関わりも深い。作家の村上春樹サッカー監督のペップ・グアルディオラAppleの創業者スティーブ・ジョブズなど、他分野の著名人にも多くのファンが存在する。コールドプレイはこれまでに、スティーブ・ジョブズの社内追悼式のパフォーマー、ロンドンパラリンピック閉会式のヘッドライナースーパーボウル50周年記念ハーフタイムショーのヘッドライナーなどを務めた(詳細は#文化/スポーツ参照)。

コールドプレイはフェアトレードアムネスティ・インターナショナルなどの社会的・政治的運動を活発に支持している。バンド・エイドLIVE 8などの慈善コンサートにおいても公演を行っており、グローバル・シチズン・フェスティヴァルでは2015年から2030年までのキュレーターを任されている。LGBTQコミュニティを積極的に支持している。近年は「持続可能なツアー」「インクルーシブ&アクセシブル」を目指して地球環境聴覚障害者に配慮したワールドツアーを行っている(詳細は#政治/社会的姿勢を参照)。

歴史

結成まで(1996-1998)

学生寮Ramsay Hall(2006年)

1996年9月、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の学生だったクリスとジョニーは、学年最初の週に学生寮のラムゼー・ホール(Ramsay Hall)で知り合い、その後1年間バンド結成の計画を練った。2人はPectoralzという名前でグループを結成し、1997年には一緒に最初の曲を書き始め、毎晩練習した。同年ティム・ライス=オクスリーに出会い、キーボードプレイヤーとして参加するように頼んだが、すでにキーンのメンバーとして活動していたために断られている。

その後、同じ学生寮に住むガイがベースとして仲間に加わり、バンド名はビッグ・ファット・ノイズ(Big Fat Noises)に変更された。クリスは、オックスフォード大学西洋古典学を専攻していた旧友のフィル・ハーヴェイにバンドのマネージャーになるよう依頼した。「5人目のメンバー」とも呼ばれているフィルは、2002年までマネージャーを務め、2006年以降はクリエイティブ・ディレクターに就いている。

1998年初め、同じ学生寮に住んでいたウィルがドラマーとして加わり、現在のバンドの編成が完成した。ウィルがメンバーになった数日後にはローレル・ツリーでのデビューライブを予定していたため、「慌てて」バンド名をスターフィッシュ(Starfish)に改名した。多才なウィルは、すでにピアノやギター、ベース、ヴァイオリン、そしてティン・ホイッスルまでも演奏できたので、バンドに加わるとドラムに転向し、経験がほとんどなかったにもかかわらずすぐに習得してしまった。数週間後、同じ大学の学生だった友人ティム・クロンプトンから「コールドプレイ」というバンド名を譲り受け、自らのバンドの名前にした。

インディーズ時代 (1998-1999)

コールドプレイは1998年5月にEP『Safety』をリリースする。このEPは500枚ほど生産されたが、その多くがメンバーの友人等の手に渡ったため、実際に販売されたのは50枚ほどとなった。さらに12月にはインディーズレーベルのFierce Pandaと契約し、翌1999年4月に、2月にたった4日間で収録を済ませていたEP『Brothers & Sisters』をリリースした。このEPはまず2500枚ほどが生産された。この頃になるとコールドプレイの曲はイギリスBBCラジオ局Radio 1で流れ始め、次第にイギリス全土へと支持を広げていった。

1999年春にEMIの傘下パーロフォンと契約した。グラストンベリー・フェスティバルに初登場後、コールドプレイは新しいEPの製作に取り掛かる。『The Blue Room』と名づけられたEPは10月に5000枚がリリースされ、シングルカットされた『Bigger Stronger』はRadio 1で放送、知名度獲得の一助となった。その途中クリスとウィルがバンドの方針をめぐって喧嘩をしてしまう。その後和解するが、U2やR.E.M.のようなバンドを見習い、メンバー個人の尊重やドラッグをしないというバンドとしてのルールが決められた。ちなみに、ウィルの脱退騒動は、1stアルバム『パラシューツ』の収録曲「Trouble」のインスピレーションとなった。

パラシューツ(1999-2001)

Coldplay performing "Yellow" live in 2005
2000年のデビューアルバム『Parachutes』に収録された『Yellow』を演奏するコールドプレイ(2005年)

コールドプレイは1999年11月からデビューアルバムの製作に取り組んでいたが、発売に先立って2000年3月にシングル「Shiver」をリリースした。これが全英チャートトップ40に入り、このシングルで初めてMTVに登場した。続けて6月にリリースした「Yellow」は全英チャート4位に入り、注目を浴びる。さらに1stアルバム『パラシューツ』(Parachutes)をリリースし、ついに全英チャート1位を獲得する。パーロフォン側は4万枚程度のセールスを予想していたが、実際は2000年末までにイギリスだけで160万枚のセールスを記録した。そしてこのアルバムはマーキュリー賞などイギリスの数々の音楽賞を総なめにする。『パラシューツ』は『ザ・ベンズ』から『OKコンピューター』の頃のレディオヘッドから強い影響を受けている。

コールドプレイは2000年8月に日本でサマーソニックに出演。アメリカでは、「Yellow」や「Trouble」がラジオで流れ人気を博す。『パラシューツ』は11月にアメリカでも発売され、プロモーションのため全米ツアーを敢行する。このツアーはアメリカのクラブを回るものだったが、『サタデー・ナイト・ライブ』や『レイト・ナイト・ウィズ・コナン・オブライエン』、『レイト・ショー・ウィズ・デイヴィッド・レターマン』といったテレビ番組にも出演した。『パラシューツ』はビルボード誌において最高51位まで上がる。2002年には、グラミー賞の「最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム」を受賞した。

静寂の世界(2001-2004)

2002年8月に2ndアルバム『静寂の世界』(A Rush of the Blood to the Head)をリリースした。オープニング・トラックの「Politik」はアメリカ同時多発テロ事件の数日後に書かれた。このアルバムで人気を博した「In My Place」、「クロックス(Clocks)」、そしてバラード曲である「The Scientist」といった数々の曲が生まれた。

バンドは2002年6月から2003年9月まで1年以上にわたってグラストンベリー・ロック・フェスティバルなどのロック・フェスを皮切りに、「A Rush of Blood to the Head Tour」を行った。このツアーで真のスタジアムバンドを確立するまでの過程が見られる。同時期に行われたU2のエレヴェイション・ツアーを彷彿とさせる、手の込んだ照明や個性的なスクリーンを多くの公演で採用した。延長公演のシドニー、Hordern Pavilionにおける公演でライブ2003のDVDとCDを収録した。このライブアルバムのプロモーション曲として新曲の「Moses」が選ばれた。この世界ツアーでは自らの曲だけでなく、アクアの「Barbie Girl」などのカバーも演奏した。2003年7月26日には日本フジ・ロック・フェスティバルに出演した。

2003年12月にはローリング・ストーン誌の読者が選ぶその年のベスト・アーティストとベスト・アルバムに呼び名をあげられた。同時期にはバンドはプリテンダーズ1983年のヒット曲、「2000 miles」をカバーし公式サイトの配信でのみリリースした。楽曲は年間ダウンロードチャートの1位を飾り、セールスからの収益金はFuture Forestsや銃抑止キャンペーンといった慈善団体に寄付された。『静寂の世界』は第45回グラミー賞において「最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム」を含む二つの賞を受賞した。翌年の同賞では「クロックス」で「最優秀レコード賞」を受賞し、さらには2003年ローリング・ストーン誌が選ぶ偉大なロック・アルバム500枚の473位にランクインした。

X&Y(2004-2006)

ツアーや3rdアルバムのレコーディングの休暇中も年中スポットライトを浴びていたように、2004年は完全にコールドプレイ・イヤーとなった。2004年から新しいアルバムの製作に取り掛かったが、思ったような曲ができなかった(メンバー自身が後に振り返っている)。そこで気分転換のため、メンバーが一緒に過ごす時間を増やしたという。この3rdアルバムの他のアーティストからの影響については、ガイが「デヴィッド・ボウイブライアン・イーノ、ピンク・フロイドからデペッシュ・モードケイト・ブッシュ、クラフトワーク、そして常に聞くようにしているのだがU2まで、さまざまなアーティストの曲を聞いた」と後に語っている。

Coldplay performing at Twisted Logic Tour
2005年の『Twisted Logic Tour』のバルセロナ公演

バンドの3枚目のアルバム、『X&Y』は前作と同様に日本で先行リリースされ、本国イギリスでは2005年6月6日にリリースされた。このアルバムは発売が遅れたので、所属するEMIの次年度に経常収支が引き継がれ、EMIの株価が大幅に下がってしまった。結局は全世界で830万枚を売り上げ、2005年に最も売れたアルバムとなった。先行シングルである「スピード・オブ・サウンド(Speed Of Sound)」は4月18日にラジオやネット配信で解禁となり、2005年5月23日にCDフォーマットでリリースされた。『X&Y』は28ヶ国で初登場1位を獲得し、イギリスのチャート史において最も早く売れたアルバム第3位となる(ちなみに第1位はオアシス、1997年のアルバム『Be Here Now』)。同アルバムからのシングルカット曲「フィックス・ユー(Fix You)」、「トーク(Talk)」はそれぞれ同年9月、12月に発売された。2006年5月にはシングルカット曲「ザ・ハーデスト・パート(The Hardest Part)」をイギリス以外の各国でリリースした。X&Yに対する批評家の反応は肯定的なものも多かったが、ネガティブな評価を下すメディアも存在した。ニューヨーク・タイムズ紙は「この十年でもっとも気にくわないバンド」と酷評した。

2005年6月から2006年7月にかけて、コールドプレイはグラストンベリー・フェスティバル含む「Twisted Logic Tour」という世界ツアーを行った。そして初の単独日本公演である7月18日19日日本武道館公演でこのツアーが終了した。

2006年2月にコールドプレイは『X&Y』でブリット賞「ベスト・アルバム賞」、「スピード・オブ・サウンド」で同賞「ベスト・シングル賞」を受賞した。その授賞式でクリスが前述のバンドを批判し続ける人々に向け、自虐まじりで「みんな、僕達にうんざりしてるだろ、僕達もだ。これから何年もの間僕達を見ることはないだろう。」と発言し、解散説が流れたが、本人たちは否定している。

美しき生命(2006-2009)

2006年12月初旬、バンドはブライアン・イーノ、マーカス・ドラヴスをプロデューサーに迎え、4枚目となるスタジオ・アルバム『美しき生命』(Viva la Vida or Death and All His Friends)のレコーディングにとりかかり始めた。この二人に加え、ティンバランドとのコラボレートの予定もあったという。バンドはこの後しばしのレコーディング休暇をとるが2007年初頭、チリアルゼンチンブラジルメキシコでのバンド初となる南米ツアーが敢行された。ツアー中には南米各地の教会などでアルバム収録を行っている。

Coldplay performing at Viva la Vida Tour
2008年のニューヨークのハマースタイン・ボールルーム公演

『美しき生命(VIVA LA VIDA)』はコールドプレイの新しい境地。」とクリスは語る。過去三枚のアルバムを「三部作」とし、「これまでとはまた違う変化を持たせた。ファルセットを抑え、ヴォーカルの位置づけを下げることを最優先に考えた。例えばディストーション・リフを用い、ブルージーな低いトーンのヴォーカル、『ヴァイオレット・ヒル』がある。」としている。「ヴァイオレット・ヒル(Violet Hill)」はリード・シングルとして2008年4月29日にラジオ・オン・エアーとなった。ラジオでの解禁後、公式サイトから同シングルが1週間、フリーで配信となり200万ダウンロードを達成した。UKチャートではトップ10入り、USではトップ40入りのチャートアクションと健闘するが、セカンド・シングル「美しき生命(Viva La Vida)」はiTunesからのみ解禁となり、Billboard Hot 100では堂々1位を獲得、UKでもダウンロードチャート1位を獲得した。6月16日、コールドプレイはロンドン、ブリクストン・アカデミーでの45分間、二日間連続のフリーライブを皮切りにViva la Vida Tourを始めた。このパフォーマンスはBBCテレビセンターからテレビ放送された。

6月15日、アルバム『美しき生命』はリリースからたった3日でUKチャートNo.1を獲得した。

2009年初頭、ブリット・アワード(BRIT Awards)にて、シングル「Viva La Vida」で「British Single」、アルバム『Viva La Vida or Death And All His Friends』で「British Album」、バンド本体で「British Group」など計4つの賞にノミネートした。また、第51回グラミー賞では楽曲「Viva La Vida」で「最優秀楽曲賞」、アルバム「Viva La Vida or Death And All His Friends」で「最優秀ロックアルバム」など計3つの賞を勝ち取った。

マイロ・ザイロト(2009-2012)

2009年末、再びブライアン・イーノと共同し5枚目となるスタジオ・アルバムのレコーディングを開始した。プロデューサーには、前作『美しき生命』でも携わったマーカス・ドラヴス、リック・シンプソンに加え、新たにダニエル・グリーンを迎えている。

2010年12月1日にはクリスマスに向けたシングル「クリスマス・ライツ(Christmas Lights)」(5枚目のスタジオ・アルバムには未収録)をリリース、全英13位、全米25位を記録し、メディアからは多くの高い評価も得た。

2011年6月、5thスタジオ・アルバム『マイロ・ザイロト』(Mylo Xyloto)からのリード・シングルとして「ウォーターフォール 〜一粒の涙は滝のごとく(Every Teardrop Is A Waterfall)」をリリースした。全英シングルチャートで6位、全米ビルボード・ホット100で14位を記録、イギリスを含む15カ国以上でトップ10入りを果たした。また、同曲は2012年5月公開の映画『宇宙兄弟』の主題歌に起用されている。同年9月にはセカンド・シングル「パラダイス」をリリース。

Coldplay's Mylo Xyloto Tour lighting design
Mylo Xyloto Tour

5thアルバム『マイロ・ザイロト(MX)』は日本先行で2011年10月19日、イギリスを含む全世界で同年10月24日にリリースされ、全英アルバムチャート及び全米アルバムチャート、またカナダやオーストラリアなど数ヶ国で初登場1位を記録した。また、これによりコールドプレイは、ビートルズオアシスに次いで史上3番目のデビューからアルバム5作品連続で初登場1位を獲得したバンドグループとして名を連ねることとなった。さらに、2012年に入ると、セカンド・シングル「パラダイス」がリリースから約4ヵ月後にしてバンド2枚目となる全英シングルチャート1位に輝いた。同曲はアルバム『マイロ・ザイロト』、楽曲「ウォーターフォール 〜一粒の涙は滝のごとく」とともに第54回グラミー賞にノミネートしている。

2011年10月19日にApple本社で行われたスティーブ・ジョブズの社内追悼式では楽曲を演奏した[34]

2012年9月9日に行われたロンドン・パラリンピック閉幕式典ではヘッドライナーを務めた[35]ジェイ・Zリアーナも特別ゲストとして出演した。コールドプレイは、ジェイ・Zとはコールドプレイの楽曲「Paradise」、リアーナとはコールドプレイの楽曲「Princess of China」とリアーナの楽曲「We Found Love」でコラボし、さらに三者でジェイ・Zの楽曲「Run This Town」を披露した。コールドプレイは15曲以上の楽曲を披露し、最後に「Every Teardrop Is A Waterfall」を演奏してロンドンパラリンピック及びロンドンオリンピックの最後を締めた。

ゴースト・ストーリーズ(2013-2014)

2013年11月(日本では12月)に公開の映画『ハンガー・ゲーム2』の公式主題歌として新曲「Atlas」を書き下ろし、同映画のサウンドトラックにも収録された。

2014年2月、突如6thアルバムからの新曲「Midnight」をPVとともに発表し、間もなくして3月には6枚目となるアルバム『ゴースト・ストーリーズ』(Ghost Stories)のリリースおよび先行シングル「マジック(Magic)」を発表した。

アルバムのプロデューサーとしてダニエル・グリーン、リック・シンプソン、ジョン・ホプキンスらに加えて、ポール・エプワースを迎えた。

2014年5月に全世界でリリースされた6thアルバム『ゴースト・ストーリーズ』は、本国イギリスやアメリカを始め世界20ヶ国以上で1位を記録した。また、本作は第57回グラミー賞の最優秀ポップ・ボーカル・アルバムにノミネートしている。

2014年6月12日に約3年ぶりに来日し、TOKYO DOME CITY HALLにてライヴを行った。この模様はJ-WAVEで生中継された。その翌日には、音楽番組『ミュージックステーション』に出演し、コ・プロデューサーとしてアヴィーチーを起用した楽曲「ア・スカイ・フル・オブ・スターズ」を、「美しき生命」とともに披露した。

2014年12月には再び、アンジェリーナ・ジョリー製作・監督の映画『不屈の男 アンブロークン』(同年12月25日アメリカ公開)の為に楽曲「Miracles」を書き下ろし、シングルおよび同映画のサウンドトラックとともにリリースされた。

ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ(2015-2018)

2015年11月、前作『ゴースト・ストーリーズ』から僅か1年と7ヶ月ぶりにリリース予定の7thアルバムに向けたリード・シングル「アドヴェンチャー・オブ・ア・ライフタイム(Adventure Of A Lifetime)」を発表し、同年12月4日に7thアルバム『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』(A Head Full of Dreams)を、日本も含めた全世界で同時リリースした。プロデューサーには、前作に引き続き長年コールドプレイの作品に携わっているリック・シンプソンらに加え、ノルウェーのプロダクション・チーム、スターゲイトを迎えている。また、ビヨンセトーヴ・ローノエル・ギャラガーなど多数のゲスト・ミュージシャンを迎え、さらにはクリスの前妻であるグウィネス・パルトロウ、間接的ではあるが米大統領のバラク・オバマも参加している。

クリス曰く、今作は前作『ゴースト・ストーリーズ』とのいわゆる「連作」であり、前作が陰を表し内省的な内容であるのに対し、今作『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』は陽を表し意欲的な内容であるという。

一方アルバムは、本国イギリス[36]を始めアメリカやカナダ、オーストラリアイタリアスイスなどで初登場2位、ドイツアイルランドポルトガルスウェーデンなどで初登場3位と、多くの国で初登場1位を逃した[37]。そのほとんどでコールドプレイを退け、初登場1位を獲得したのは同時期に発売されたアデルの『25』であった。

2016年2月、アメリカ合衆国の国民的行事である第50回スーパーボウルにおいて、ブルーノ・マーズビヨンセとともにハーフタイムショーを行った。ジャンルや人種、性別の垣根を越えた世界的アーティストの共演および過去の音楽史を振り返るような構成で好評を博した。このパフォーマンスの数日後、アルバム『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』は発売約2ヵ月後にして見事全英1位に返り咲いた。

Stage lights are activated inside a darkened stadium
2016年の『A Head Full of Dreams Tour 』ウェンブリー・スタジアム公演

2016年から2017年まで開催された『A Head Full of Dreams Tour』は興行収益5億2303万ドル以上、総動員数538万9586人となり[38]、「史上最も成功したコンサートツアー」で当時の3位にランクインした。2017年4月19日には、キャリア初となる東京ドームにて約3年ぶりの来日公演を行った。

2017年2月22日に、ザ・チェインスモーカーズとのコラボ楽曲「サムシング・ジャスト・ライク・ディス(Something Just Like This)」をリリース。同年7月14日には、7thアルバム『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』の兄弟盤として13作目のEP『カレイドスコープ EP』(Kaleidoscope EP)をリリースした。楽曲とEPはそれぞれ2018年のグラミー賞にノミネートした。

2018年11月14日に、バンドの20周年を記念してドキュメンタリー映画『コールドプレイ:ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』(A Head Full of Dreams)が映画館で1日限定で公開され、2日後にAmazonプライム・ビデオで配信がスタートした。バンドを結成した大学生時代から現在までの軌跡をまとめた映画となっている。同年には、書籍『LIFE IN TECHNICOLOR A CELEBRATION OF COLDPLAY』も発売された[39]

同年12月7日に、ライブアルバム『Live in Buenos Aires』『Live in Tokyo』をリリースした。

同年11月30日に、Los Unidades名義で『Global Citizen – EP 1 』をリリースし、ファレル・ウィリアムズWizkidストームジーなどとコラボした。

エヴリデイ・ライフ (2019-2020)

2020年のALTer EGOコンサート出演時のパフォーマンス

2019年9月、ファンに宛てた手紙の中で、8枚目となるスタジオアルバムの題が『エヴリデイ・ライフ』(Everyday Life)だと発表し、同年11月22日にリリースした。長年コールドプレイのプロデューサーを務めているリック・シンプソンらに加え、マックス・マーティンジェイコブ・コリアーが制作に関わっている。同日には、リリースを記念してヨルダンの首都アンマンで開催するコンサートの模様がYouTubeで全世界に生配信された[40]。イギリスで1位を記録し、90年代以降では、オアシスの記録を抜き8作連続1位を獲得した初のバンドとなった。また、本作は第63回グラミー賞の最優秀アルバム賞と最優秀レコーディング・パッケージ賞にノミネートした。

2020年3月には、NPRの『Tiny Desk Concert』に出演し、『エヴリデイ・ライフ』からの楽曲や故プリンスの楽曲「1999」など計5曲を披露した。

ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ (2021-現在)

2022年の『Music of the Spheres World Tour』

2021年4月、新曲「ハイアー・パワー(Higher Power)」をリリース。同年9月、BTSとのコラボレーション曲「マイ・ユニヴァース(My Universe)」をリリース[41]。同曲はアメリカのシングルチャートBillboard Hot 100で初登場1位を獲得した。

同年10月15日、9thスタジアアルバム『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』(Music of the Spheres)をリリース。リック・シンプソンやジョン・ホプキンス、マックス・マーティンらに加え、オスカー・ホルターが制作に参加している。イギリスでは初登場1位を獲得し、2019年発売のエド・シーランのアルバム『No.6 コラボレーションズ・プロジェクト』以降で最高初週売上を記録したアルバムとなった。本作は第65回グラミー賞の最優秀アルバム賞及び最優秀ポップ・ボーカル・アルバムにノミネートした。収録曲の「ハイアー・パワー」「マイ・ユニバース」もそれぞれ第64回、第65回グラミー賞にノミネートした。

アルバム発売前日の10月14日には、8度目のコンサートツアー『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ・ワールド・ツアー』を発表した。2022年3月にコスタリカのサンホセで始まり、3大陸を訪れる予定で、今後さらにツアー日程が発表される。クリスはインタビューで、このツアーではコンサート参加者の動きによってコンサートに動力を与えるキネティック・フローリングやそれと同じ仕組みの自転車を採用することでショー全体が再生可能エネルギーで動くことを説明した。クリスは「ツアーを可能な限り環境面で持続可能なものにしたい」と語っている。

2022年10月には、『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ・ワールド・ツアー』のブエノスアイレス公演のコンサート映像を81カ国で劇場公開した[42]。2023年3月には、同コンサート映像作品を再び劇場公開することを発表した。昨年上映された時には観られなかった映像も盛り込まれるとのことで、舞台裏映像や新たなインタヴューも収録されている。イギリスでは、4月19日と4月23日に劇場公開される予定となっている。

メンバー

クリス・マーティンChris Martin1977年3月2日 - ) / ボーカルギターピアノ
クリス・マーティン(ボーカル
イングランド南西部のデヴォン州生まれ。レディオヘッドU2ビートルズR.E.M.トラヴィスジェフ・バックリィA-haブルース・スプリングスティーンマイケル・ジャクソンボブ・ディランらに影響を受けている。音楽教師の母親のピアノに幼少時から興味を持ち、調律がおかしくなるまで弾き続けた。7歳からクラシックピアノのレッスンを始めた[43]。11歳のときには新任のピアノの先生の影響で作曲に打ち込むようになり、ギターも弾くようになった。男子全寮制のパブリックスクールでは、友人同士で「The Rockin' Honkies」というバンドを組み、ソウルR&Bコピー演奏をしていた。バンドではボーカルではなくキーボードを担当していた。クリエイティブ・ディレクター(元マネージャー)のフィル・ハーヴェイは、13歳からの親友で同じバンドに所属していた。名門ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)では、西洋古典学を専攻し、ラテン語ギリシャ語のファーストクラスの学士号を取得して同校を卒業している。ソロでは、ジェイ・Zカニエ・ウェストアヴィーチーデュア・リパ、バーナ・ボーイなどの楽曲に参加している。親友であるジェイ・Zビヨンセ夫妻の長女ブルー・アイビーの名付け親である。純粋で誠実な人柄で知られている。ステージ上では、情熱的なパフォーマンスやウィットに富んだトークで観客を沸かせる。
ジョニー・バックランドJonny Buckland、1977年9月11日 - ) / ギター
ジョニー・バックランド(ギター)
ロンドン生まれ。幼少期からジミ・ヘンドリックスエリック・クラプトンに触れる。その後兄の影響でギターを始め、多くのアーティストを教わった。ザ・ストーン・ローゼズマイ・ブラッディ・ヴァレンタインU2ジョージ・ハリソンソニック・ユースマッシヴ・アタックらに影響を受けている。ボーカルのクリスをして「ジョニー・バックランドなくしてコールドプレイの音楽は存在しない」「曲を完成させる完璧な旋律を奏でる」「美しいメロディーの源泉」と言わしめる存在。U2ジ・エッジは「ジョニーは多くのギタリストの憧れだ」と称賛している。スライドバーやディレイペダルを駆使した薄く繊細なアレンジが特徴で、キメが細かく鳴りの良い音色を奏出る。ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンでは天文学数学を専攻した。クリスと1番親しいメンバーである。俳優のサイモン・ペッグとともにクリスの娘アップルの名付け親となった。サイモン主演の映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』にはクリスとともにカメオ出演した。物静かで穏やかな人柄。カーキ色のキャップがトレードマークとなっている。
ガイ・ベリーマンGuy Berryman1978年4月12日 - ) / ベース
ガイ・ベリーマン(ベース)
スコットランド生まれ。幼少期にスティーヴィー・ワンダーの曲を聴いたことがきっかけでソウル・ミュージックファンクモータウンの虜になった。13歳からベースを始め、ジェームス・ブラウンクール&ザ・ギャング、ファンク・ブラザーズ、ビートルズピンク・フロイドらに影響を受けている。珍しいレコードの収集を趣味としている。大学入学前に所属していたTime Outというバンドでは、ジェネシスなどのカバー演奏をしていた。スクールバンドでは、トランペットやドラムを演奏していた。ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンでは、途中で専攻を機械工学から建築学に変えたが、最終的には中退している。プライベートでは、クラシックカーの収集をはじめ、ファッションや写真、デザイン、アート、アンティークなどの創作活動に打ち込み、ファッションブランド「Applied Art Forms」[44]や自動車メディア「The Road Rat」[45]も設立している。ボーカルのクリス曰く、ハンサムで無口。キーボードやシンセサイザーなどの技術的な分野についてとても詳しい[46]。デビュー前の18歳のころにバックパッカーとして日本各地を訪れたこともある。
ウィル・チャンピオンWill Champion、1978年7月31日 - ) / ドラムス
ウィル・チャンピオン(ドラムス)
イングランド南部のハンプシャー生まれ。両親が趣味でDJをしていたこともあり、あらゆる音楽に囲まれて育った。特にボブ・ディラントム・ウェイツニック・ケイヴアイルランド音楽などに影響を受けた。また、ギター、ピアノ、ベースヴァイオリンティン・ホイッスルヴィブラフォーンなど様々な楽器に触れていた。コールドプレイに参加する以前はドラムはたまに演奏したことがある程度だったが、多くの楽器を経験していたのですぐに上達していった。ドラムを本格的に始める前に他の楽器の経験があったことが、他のドラマーとは異なる視点やスタイルを持つことに役立ったと語っている。コールドプレイ加入前は「Fat Hamster」というバンドで活躍していた。好きなドラマーとしてジンジャー・ベイカークリーム)、ジョン・ボーナムレッド・ツェッペリン)、デイヴ・グロール(元ニルヴァーナ)の名前を挙げている。ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンでは人類学を専攻した。サッカー好きでサウサンプトンFCのファンである。ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』には、ドラマーとしてカメオ出演した。メンバーはウィルを「人間ジュークボックス」「絶対的な信頼性」「バンドの土台」と表現している。バックコーラスを担当することも多い。
フィル・ハーヴェイPhil Harvey、1976年8月29日 - ) / クリエイティブ・ディレクター
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フィル・ハーヴェイ(クリエイティブ・ディレクター)
イングランド西部のブリストル生まれ。1998年から2002年までコールドプレイのマネージャーを務め、2006年以降はクリエイティブ・ディレクターを担当している。「5人目のメンバー」と呼ばれる存在であり、ボーカルのクリスは「自分たちの中で最も重要なメンバー」と話したこともある。クリスとはパブリックスクールからの親友で、「The Rockin' Honkies」というバンドに共に所属していた。オックスフォード大学西洋古典学を専攻していたが、中退してコールドプレイのマネージャーを務めることになった。過労などの理由で、3rdアルバム『X&Y』前後の4年間はバンドを離れていたが、その時期についてフィルは、ライブのデザイン、ビデオの制作、A&R、「ただ隙間を埋めるようなこと」を発見することを含む「役に立つことを学んだ」と話している。4thアルバム『美しき生命』の制作時期からクリエイティヴ・ディレクターとしてバンドに復帰している。多くのコールドプレイのミュージックビデオカメオ出演している。コールドプレイのソーシャルメディアでもしばしばファンからの質問やリクエストに答えている。

代表曲

代表曲

  1. Yellow / 2000年(『パラシューツ』収録)
  2. Sparks / 2000年(『パラシューツ』収録)
  3. In My Place / 2002年(『静寂の世界』収録)
  4. The Scientist / 2002年(『静寂の世界』収録)
  5. Clocks / 2003年(『静寂の世界』収録)
  6. Fix You / 2005年(『X&Y』収録)
  7. Viva La Vida / 2008年(『美しき生命』収録)
  8. Every Teardrop Is a Waterfall / 2011年(『マイロ・ザイロト』収録)
  9. Paradise / 2011年(『マイロ・ザイロト』収録)
  10. Charlie Brown / 2012年(『マイロ・ザイロト』収録)
  11. Magic / 2014年(『ゴースト・ストーリーズ』収録)
  12. A Sky Full of Stars / 2014年(『ゴースト・ストーリーズ』収録)
  13. Adventure of a Lifetime / 2015年(『A Head Full Of Dreams』収録)
  14. Hymn For The Weekend / 2016年(『A Head Full Of Dreams』収録)
  15. Something Just Like This (with The Chainsmokers) / 2017年(ザ・チェインスモーカーズのアルバム『メモリーズ...ドゥー・ノット・オープン』収録)(EP『カレイドスコープ EP』にTokyo Remix収録)
  16. Orphans / 2019年 (『Everyday Life』収録)
  17. Higher Power / 2021年(『Music Of The Spheres』収録)
  18. My Universe (with BTS) / 2021年(『Music Of The Spheres』収録)

人気曲

  1. Shiver / 2000年(『パラシューツ』収録)
  2. Don't Panic / 2001年(『パラシューツ』収録)
  3. Politik / 2002年(『静寂の世界』収録)
  4. Amsterdam / 2002年(『静寂の世界』収録)
  5. Warning Sign / 2002年(『静寂の世界』収録)
  6. God Put a Smile upon Your Face / 2003年(『静寂の世界』収録)
  7. Speed of Sound / 2005年(『X&Y』収録)
  8. Talk / 2005年(『X&Y』収録)
  9. What If / 2005年(『X&Y』収録)
  10. Violet Hill / 2008年(『美しき生命』収録)
  11. 42 / 2008年(『美しき生命』収録)
  12. Yes / 2008年(『美しき生命』収録)
  13. Death And All His Friends / 2008年(『美しき生命』収録)
  14. Strawberry Swing / 2009年(『美しき生命』収録)
  15. Life in Technicolor ii / 2008年 (EP『プロスペクツ・マーチ』収録)
  16. Lovers In Japan (Osaka Sun Mix) / 2008年 (EP『プロスペクツ・マーチ』収録)
  17. Glass Of Water / 2008年 (EP『プロスペクツ・マーチ』収録)
  18. Rainy Day / 2008年 (EP『プロスペクツ・マーチ』収録)
  19. Christmas Lights / 2010年
  20. Princess of China (with Rihanna) / 2012年(『マイロ・ザイロト』収録)
  21. Hurts Like Heaven / 2012年(『マイロ・ザイロト』収録)
  22. Midnight / 2014年(『ゴースト・ストーリーズ』収録)
  23. Another's Arms / 2014年(『ゴースト・ストーリーズ』収録)
  24. O / 2014年(『ゴースト・ストーリーズ』収録)
  25. Army Of One / 2015年 (『A Head Full Of Dreams』収録)
  26. Everglow / 2016年 (『A Head Full Of Dreams』収録)
  27. Up&Up / 2016年 (『A Head Full Of Dreams』収録)
  28. Miracles (Someone Special) (with Big Sean) (EP『カレイドスコープ EP』収録)
  29. Arabesque / 2019年 (『Everyday Life』収録)
  30. Daddy / 2019年 (『Everday Life』収録)
  31. Everyday Life / 2019年 (『Everyday Life』収録)
  32. Champion of the World / 2020年 (『Everyday Life』収録)
  33. Coloratura / 2021年(『Music Of The Spheres』収録)
  34. ∞ (Infinity Sign) / 2021年(『Music Of The Spheres』収録)
  35. Let Somebody Go (with Selena Gomez) / 2022年(『Music Of The Spheres』収録)
  36. Humankind / 2022年(『Music Of The Spheres』収録)

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

アルバム名 各国チャート最高位
英国 米国 日本
2000 パラシューツ
- Parachutes
1 51 19 54 41 38 31 14 11 2 4 29 4 20 1 29 29 -
2002 静寂の世界
- A Rush of Blood to The Head
1 5 1 1 10 1 4 2 1 1 2 3 8 5 1 1 4 23
2005 X&Y 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 6
2008 美しき生命
- Viva la Vida or Death and All His Friends
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 1 3
2011 マイロ・ザイロト
- Mylo Xyloto
1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 3
2014 ゴースト・ストーリーズ
- Ghost Stories
1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 7
2015 『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』
- A Head Full of Dreams
1 2 2 3 4 2 4 3 2 2 4 2 3 3 1 4 7 7
2019 『エヴリデイ・ライフ』
- Everyday Life
1 7 3 4 5 1 1 5 3 1 2 1 2 9 1 6 8 10
2021 『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』

- Music of the Spheres

  • リリース日:

  2021年10月15日

1 4 2 2 2 2 1 1 4 1 2 1 1 3 2 6 4 13
TBA 『ムーン・ミュージック』

- Moon Music

  • リリース日:

  未定

シングル

  1. 1999年:Brothers & Sisters
  2. 2000年:Shiver
  3. 2000年:Yellow
  4. 2000年:Trouble
  5. 2001年:Don't Panic
  6. 2002年:In My Place
  7. 2002年:The Scientist
  8. 2003年:Clocks
  9. 2003年:God Put a Smile upon Your Face
  10. 2005年:Speed of Sound
  11. 2005年:Fix You
  12. 2005年:Talk
  13. 2006年:The Hardest Part
  14. 2008年:Violet Hill
  15. 2008年:Viva La Vida
  16. 2008年:Lost! / Lost+ (Feat. Jay-Z)
  17. 2009年:Life in Technicolor II
  18. 2009年:Strawberry Swing
  19. 2010年:Christmas Lights
  20. 2011年:Every Teardrop Is a Waterfall
  21. 2011年:Paradise
  22. 2012年:Charlie Brown
  23. 2012年:Princess of China (with Rihanna)
  24. 2012年:Hurts Like Heaven
  25. 2013年:Atlas
  26. 2014年:Magic
  27. 2014年:A Sky Full of Stars
  28. 2014年:True Love
  29. 2014年:Ink
  30. 2015年:Adventure of a Lifetime
  31. 2016年:Hymn for the Weekend
  32. 2016年:Up&Up
  33. 2016年:A Head Full of Dreams
  34. 2016年:Everglow
  35. 2017年:Something Just Like This (with The Chainsmokers)
  36. 2017年:Miracles (Someone Special) (with Big Sean)
  37. 2019年:Orphans
  38. 2019年:Arabesque
  39. 2021年:Higher Power
  40. 2021年:My Universe (with BTS)
  41. 2022年:Let Somebody Go (with Selena Gomez)

プロモーショナル・シングル

  1. 2003年:Moses
  2. 2006年:What If
  3. 2008年:Lovers in Japan
  4. 2012年:Up with the Birds / U.F.O
  5. 2012年:Up in Flames
  6. 2014年:Midnight
  7. 2019年:Everyday Life
  8. 2020年:Champion of the World
  9. 2020年:Flags
  10. 2021年:Coloratura
  11. 2022年:People of the Pride
  12. 2022年:Biutyful
  13. 2022年:Humankind

EP

  1. Ode to Deodorant/Brothers & Sisters[47] / 1998年
  2. Safety EP[48] / 1998年
  3. Brothers & Sisters[49] / 1999年
  4. The Blue Room EP[50] / 1999年
  5. Acoustic (Sparks EP)[51] / 2000年
  6. Trouble - Norwegian Live EP[52] / 2001年
  7. Mince Spies[53] / 2001年
  8. Remixes EP[54] / 2003年
  9. プロスペクツ・マーチ[55] / 2008年
  10. Every Teardrop Is a Waterfall - EP / 2011年
  11. iTunes Festival: London 2011/ 2011年
  12. Live in Madrid / 2011年
  13. A Sky Full of Stars - EP[56] / 2014年
  14. Live from Spotify London (Spotify) / 2016年
  15. カレイドスコープ EP[57] / 2017年
  16. Global Citizen – EP 1 / 2018年
  17. Coldplay: Reimagined (Apple Music) / 2020年
  18. Live from Climate Pledge Arena (Amazon Music) / 2021年
  19. Infinity Station Sessions (Apple Music) / 2021年
  20. Spotify Singles (Spotify) / 2022年

ライブ・アルバム

  1. ライブ 2003』 - LIVE 2003 / 2003年12月3日
  2. LeftRightLeftRightLeft[58] / 2009年5月15日
  3. 『ライブ 2012』 - Coldplay Live 2012 / 2012年11月21日
  4. 『ゴースト・ストーリーズ ライヴ 2014』 - Ghost Stories Live 2014 / 2014年12月3日
  5. 『ライヴ・イン・ブエノスアイレス』 - Live in Buenos Aires / 2018年12月7日
  6. 『ラヴ・イン・トーキョー』 - Love in Tokyo[59] / 2018年12月7日

ビデオ・アルバム

  1. Coldplay Live 2003 (DVD) / 2003年11月4日
  2. Coldplay Live 2012 (DVD・Blu-ray) / 2012年11月20日
  3. Ghost Stories Live 2014 (DVD・Blu-ray) / 2014年12月3日
  4. The Butterfly Package [Live in Buenos Aires (CD) / Live in São Paulo (DVD) / Coldplay: A Head Full of Dreams (DVD) ] / 2018年12月7日

映像作品

  1. Coldplay: A Head Full of Dreams (Amazon プライム・ビデオ) / 2018年
  2. Everyday Life - Live in Jordan (YouTube) / 2019年
  3. Coldplay: Reimagined (Apple Music) / 2020年

コンピレーション・アルバム

  1. The Singles 1999-2006 / 2007年3月26日
  2. 『美しき生命〜プロスペクツ・マーチ・エディション』 / 2009年1月14日

来日記念盤

  1. クロックスEP -ジャパン・ツアー・ミニ・アルバム- / 2003年7月24日
  2. X&Y SPECIAL EDITION / 2006年6月28日
  3. ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ (ジャパニーズ・ツアー・エディション) / 2017年3月29日

カバー曲

  1. Bitter Sweet Symphonyザ・ヴァーヴのカバー, リチャード・アシュクロフトとの共演)/ 2005年 (『Live 8 (Live, July 2005)』収録)
  2. In The Sun(ジョセフ・アーサーのカバー, マイケル・スタイプ&クリス・マーティン名義)/ 2006年 (『In the Sun (Gult Coast Relief)』収録)
  3. 恋を抱きしめよう(We Can Work It Out)(ビートルズのカバー)/ 2015年(DVD『A MusiCares Tribute To Paul McCartney』収録)
  4. 幼き恋の日々(We All Fall in Love Sometimes)(エルトン・ジョンのカバー)/ 2018年 (『Revamp: Reimagining the Songs of Elton John & Bernie Taupin』収録)
  5. Day 'n' Niteキッド・カディのカバー)/ 2022年 (『Spotify Singles』収録)

音楽の特徴

コールドプレイはキャリアを通じて多くの音楽スタイルを探求しており、一般的にジャンルはオルタナティブ・ロック、オルタナティブ・ポップ、ポップロック、ポスト・ブリットポップソフトロックポップなどとされることが多い。2009年にグラミー賞の最優秀ロックアルバム賞を受賞した後、クリス・マーティンは受賞スピーチで、「ハードロック」に対して自分たちは「ライムストーンロック」だと述べた。

特徴として、哀愁を帯びた美しいメロディー、繊細で壮麗なサウンド、叙情的で優しい歌声、メッセージ性に富む哲学的な歌詞、音楽性の変化や多彩さ、多幸感溢れるカラフルライブなどが挙げられる [60]。コールドプレイの音楽はボーカル/作曲/作詞を手がけるクリスの「尽きることのない感情表現の試行錯誤」であるとされ、クリスの詞は女性的もしくは中性的ともいわれる。コールドプレイのファンでもある松任谷由実は「グルーミィなロンドンの雲を突き抜けて光が遠くまで届くような、寂寥感とそれを包み込むような優しさがこのバンドの特徴」とラジオで解説している。

日本で発売されたアルバムやその収録された曲には、元のアルバムタイトルや曲とは違う、曲のイメージだけで連想させたような邦題が、日本のレコード会社によりつけられていることもある。

大きく分けると、コールドプレイは、1stアルバム『パラシューツ』(2000年発売)から3rdアルバム『X&Y』(2005年発売)まで、4thアルバム『美しき生命』(2008年発売)から7thアルバム『A Head Full of Dreams』(2015年発売)まで、8thアルバム『Everyday Life』(2019年発売)から現在まで、という3つの時期に区切ることができる。『パラシューツ』から『X&Y』まではロックの融合(クロスオーバー)、『美しき生命』から『A Head Full of Dreams』までは音楽の融合、『Everyday Life』から現在までは世界の融合というテーマが窺える。

これまでのコールドプレイのアルバムを辿ると、(特に4thアルバム『美しき生命』以降は顕著に)前作に対する反動が次の作品に表れるという傾向がある。静と動、内省と開放といった相反する性格を反復するサイクルのようだと評論家は分析している[61]

楽曲制作の方法

ベーシストのガイ・ベリーマンは、楽曲ができる前にバンドとしてタイトルやコンセプトを既に決めていることが多く、それが「テーマ的に作業できる枠組み」を提供する役割を担っていると語っている。2019年に行われたYouTube向けのインタビューで、ヴォーカルのクリス・マーティンは、自分たちの曲作りの方法を「一連のドア」と表現し、通常彼はギタリストのジョニー・バックランドに最初のアイデアを持ち込み、彼はそれに反対するか意見を言う。同じことがジョニー・バックランドからガイ・ベリーマン、そしてドラマーのウィル・チャンピオンにも起こり、各メンバーが芸術的に表現することを可能にする。しかし、このプロセスは必ずしも直線的ではないことが知られており、「Magic」や「Adventure of a Lifetime」などの曲では、ガイとジョニーのベースとギターのリフからそれぞれ始まっている。

アルバム/楽曲別の特徴

  • EP『Safety EP』『Brothers & Sisters』『The Blue Room EP』(1998-99年)

1990年代後半、バンドがリリースした『Safety EP』『Brothers & Sisters』『The Blue Room EP』は、将来のリリースとは異なるドリームポップの特徴を備えていた[62]。「Such A Rush」「Easy To Please」などの楽曲では、レディオヘッドの影響が色濃く感じられる。

  • 1stアルバム『Parachutes』(2000年)

1stアルバム『パラシューツ』は、「歪んだギターリフの断片とうねったパーカッション」を組み合わせた「メロディック・ポップ」と評され、同様に「絶妙に暗く、芸術的に研磨されている」ものであった[63]。ベースの ガイ・ベリーマンは「静かで丁寧なレコード」と呼び[64]、ドラムスのウィル・チャンピオンは、歌詞をルー・リードの「パーフェクト・デイ」と比較し、「かなりムーディ」だが「楽観を暗示するひねり」があり、音楽は「本当に悲しい」のに結局「美しく、幸せ」にしていると述べた。また、「サウンドと歌詞によって異なるムードを作り出すことができるようなもの」であると付け加えた[65]

  • 2ndアルバム『A Rush of the Blood to the Head』(2002年)

2ndアルバム『静寂の世界』は、「個々の楽曲は胸が張り裂けんばかりの激情のメロディーであり、バンドの新しい境地」と称賛された。評論家は、前作より大きく[66]、暗い、冷たいサウンドだと評し[67]、コールドプレイが「新たに得た自信」示したものだとして賞賛した[68]。『静寂の世界(A Rush of the Blood to the Head)』の本来の英語タイトルの意味は「頭に血が上る」である。クリスは「アルバムのタイトルは、衝動的な行動を意味しているんだ。時間には限りがある。友人がみんなずっとそばにいてくれるわけじゃない。一度きりしかできないこともあるだろう。祖父にいつも言われてた。今できることは今すぐやれって。手にしたものも、永遠にそこにあるわけじゃないから」と語っている[69]

  • 3rdアルバム『X&Y』(2005年)

3rdアルバム『X&Y』では、前作のスタイルがほぼ維持されたが[70]、エレクトロニックな影響とシンセサイザーの多用が加わり[71]、サウンドと実存的テーマの両面でより壮大なスケールを持つようになった[72]。『ガーディアン』のクレイグ・マクリーンは「ますます駆動しパンチ力のあるバンドの作品」と呼び、メロディは「ド迫力のギターラインと感情的なピアノによる心からの作品」であると説明している[73]。 このレコードの歌詞は「クリスの疑念、恐怖、希望、愛についての反芻」とされており、彼の言葉は「切実で曖昧なので、リスナーは曲の中の根本的な概念に共感できる」と評価された[74]。評論家は、「ジョニー・バックランドのきらびやかなギターサウンドがアルバムに陶酔的な輝きを与える」と書き、歌詞では「試みることの重要性と、世界の混乱の不協和音の中での基本的なコミュニケーションの必要性が貫かれている」と述べている[70]

  • 4thアルバム『Viva la Vida or Death and All His Friends』(2008年) / EP『Prospekt's March』(2008年)
ブライアン・イーノ

4thアルバム『美しき生命 』とそれに続くEP『プロスペクツ・マーチ』(いずれも2008年発売)では、コールドプレイはさらにスタイルを多様化させ、前作で3部作のアルバムを完成させた後に新しい領域を開拓した[75]。よりレイヤー化されたプロダクションを使用しながら、エレクトリック・ヴァイオリンタック・ピアノサントゥールオーケストラを含む多くの異なる楽器で実験した[76][77]。また、プロデューサーのブライアン・イーノからの提案で、独特の曲構成やボーカルを試み[78]東洋ヒスパニックアフリカ中東のサウンドから影響を受けている[79]。タイトル曲の「美しき生命」はバロック・ポップとされ、4thシングル「Strawberry Swing」はサイケデリックなインスピレーションがあると評された[80]。彼らは隠しトラック「Chinese Sleep Chant」でもシューゲイザーに手を出している[81]。 歌詞は以前の作品と比較してより普遍的で、「愛、人生、戦争、死を掘り下げる」ようになり、より集団的になった[82]。クリス・マーティンは、革命のモチーフはヴィクトル・ユーゴーの小説『レ・ミゼラブル』(1862)からインスピレーションを得たとコメントしている[83]

アルバムのアートワークに使われたウジェーヌ・ドラクロワの絵画『民衆を導く自由の女神』

タイトル曲「Viva La Vida」の曲名「ヴィヴァ・ラ・ヴィダ」はスペイン語である。言葉そのままの意味は「人生を生きる」であり、[84]。日本語にすると「人生万歳」という意味になる。邦題はそれをさらに意訳して「美しい生命」と付けられた。楽曲の歌詞には「かつて世界を支配していた」という主人公の語り口による栄枯必衰と革命の物語が描かれている。この曲について聞かれたベーシストのガイ・ベリーマンは、「この曲は王国を失った王についての物語なんだ。アルバムのアートワークはすべて革命家とゲリラのアイデアに基づいていて、歌詞の一部には反権力的な視点が忍び込んでいる。政府に囲まれていることの代償でもあるんだけど、人間には感情があり、みんな死んでしまうし、毎日我慢しなければならないことの愚かさもあるんだ。だからアルバム・タイトルにしたんだ」と答えている[85]

代々木公園の噴水広場

美しき生命』からの3rdシングルとして、2008年に「Lovers In Japan」をリリースした。アルバムでは、「Lovers In Japan/Reign Of Love」という形で、1つのトラックに2曲が収録されている。EP『プロスペクツ・マーチ』には、「Lovers In Japan (Osaka Sun Mix) 」として1曲単体で収録されている。タイトルは「日本の恋人たち」という意味で、クリス・マーティンが日本を訪れたときに代々木公園大阪で見た風景からインスパイアされて作られた。インタビューでクリスは、「僕は代々木公園を歩いていて、“こんなロマンティックな場所は初めてだ”と感じたんだよ。それで“ラヴァーズ・イン・ジャパン”というタイトルにしたんだ。すごくシンプルに、東京は、誰かと訪れるのにいい場所だと思ったんだよね。西洋の人たちは日本というとテクノロジーを連想して、セクシーな感じやロマンティックな感覚を日本と繋げない人たちもいる。でも、僕は日本にいるとそういうことを、すごく感じるんだ。こんなこと言ったら、日本の人たちに失礼かな?」「初めて日本に行った時に大阪に滞在したんだけど、到着してから何もかもが目新しくて、僕たち全員眠ることができないでいたんだ。そして、太陽が埠頭から昇ってくるのを見ていたところ、“僕の人生もずいぶんと変わったな”と、ふと感じたんだよね。だから、すごく幻想的なイメージなんだよ」と語っている[86][87]

  • 5thアルバム『Mylo Xyloto』(2011年)
白いバラのモニュメント

前作のアルバム『美しき生命』のテーマは、東洋的な影響の一部とともに、5thアルバム『マイロ・ザイロト』にも残っており[88]ロック・オペラのスタイルで2人の人物の物語を描いたコンセプト・アルバムとなった。全体主義社会に生きる人々とそれを監視する"メジャー・マイナス"(Major Minus)率いる政府との「音」と「色」を巡る戦争や、人々の反抗を制圧するべく政府によって送り込まれた軍隊の一人"マイロ"(Mylo)と、全体主義世界の住民の一人で政府に最重要人物として狙われている"ザイロト"(Xyloto)との愛の行方、といったストーリーが描かれている。以前よりもエレクトロニックな要素を含むことでコールドプレイのサウンドのスペクトルを広げ、初めてアップビートな音色を主にフィーチャーし、「モダン、アーバン、ダンス」のメロディーを持つポップ・ロックのスタイルとなった。 ドラムスのウィル・チャンピオンによると、バンドはもともとアコースティックなアルバムを作りたかったので、楽曲「Paradise」が形になり始めたときには、別のエレクトロニックアルバムとして楽曲に取り組もうと考えていた。しかし、最終的にこの2枚は1枚の作品となり、「Charlie Brown」や「Us Against the World」などの曲は現在のバージョンに作り直された。ベースのガイ・ベリーマンは、自分たちが「多くの自信」を持ってこのプロジェクトに取り組んだと話している。 歌詞の面では、クリス・マーティンは、古い学校のアメリカのグラフィティ、白いバラ(白バラ抵抗運動)、そして「誰もが反対しているように見えても、自分の情熱に従って発言することができる」ことに触発されたと語っている。2013年には、マーク・オズボーンと共同で、アルバムの筋書きに基づくコミック・ブックがリリースされた。

  • 6thアルバム『Ghost Stories』(2014年)
グウィネス・パルトロー

6thアルバム『ゴースト・ストーリーズ』では、エレクトロニカR&Bシンセポップアンビエントの影響を取り入れながら、デビュー作を思わせるメランコリックで静かなスタイルを採用した。 前作『Mylo Xyloto』よりも明らかに暗くミニマルであり、「沈黙を恐れず」「多くの音を重ねすぎず」「空間の感覚を保つ」という彼らの願いを反映した、疎なアレンジを持つ。 別れのアルバムとも考えられており、人生の過去の出来事(亡霊)が現在にどう影響を与えるかを叙情的に探る 。マーティンは妻グウィネス・パルトロウとの離婚後、今作を「無条件の愛について学ぶ旅」と呼んだ。

  • 7thアルバム『A Head Full of Dreams』(2015年)
Adventure of a Lifetimeのライブパフォーマンス

1年後にリリースされた7thアルバム『A Head Full of Dreams』は、前作とセットになるような作品であり、代わりに明るく高揚感のある音色が特徴で、前作とのコントラストを作りながらディスコファンクの要素を取り入れた。特にシングル「Adventure of a Lifetime」で顕著である。歌詞では、団結、夢見ること、親になること、許し、癒し、感謝といったテーマに取り組んだ。

  • EP『Kaleidoscope EP』(2017年)
ファイル:Imagestcs(43).jpg
ザ・チェインスモーカーズ

2017年には、7thアルバム『A Head Full of Dreams』の姉妹作品として『カレイドスコープ EP』を発売した。EPにはザ・チェインスモーカーズとコラボしたEDM楽曲「Something Just Like This」の東京ドームライブバージョン、そして「Aliens」でのブライアン・イーノとの再タッグ作品が含まれていた。 一方、「All I Can Think About Is You」や「Hypnotised」といったトラックでは、コールドプレイの新たなポップ・スタイルと彼らのオルタナティブ・ロックのルーツを混ぜ合わせ、アルバム『美しき生命』での実験とオーガニックなサウンドに回帰しつつ、ゴスペルブルース、クラシック音楽から影響を受けた次作『Everyday Life』の枠組みを構築している。

  • 8thアルバム『Everyday Life』(2019年)

8thアルバム『エヴリデイ・ライフ』では、前述したようにゴスペルブルース、クラシック音楽などに影響を受けた。「Orphans」とともにリードシングルとしてリリースされた「Arabesque」は、ジャズ・フュージョンアフロビートの影響を受けている。バンドは前向きな姿勢、平等、希望、遺産、人間性という歌詞のテーマを継続したが、損失、痛み、人種差別、警察の残虐行為、銃規制、難民危機などの政治的・社会的問題についての音声が加えられた。

  • 9thアルバム『Music of the Spheres』(2021年)
スター・ウォーズシリーズ

前作『Everyday Life』のマルチスタイルのアプローチは、ポップなサウンドに傾いているものの、2021年の9thアルバム『Music of the Spheres』でも同様に採用された。ベースのガイ・ ベリーマンによれば、このアルバムはライブパフォーマンスを考慮して制作したため、それが全体のエネルギーレベルや選曲に影響した。 クリス・マーティンは『スター・ウォーズシリーズ』に影響を受けたことを明かし、モス・アイズリー ・カンティーナのバンドパフォーマンスを見て、宇宙をまたぐアーティストとはどんな感じなのだろうかと思いを馳せたと話している。 新しい音楽的影響としては、「Human Heart」と「Coloratura」がある。前者はR&BデュオのWe Are Kingジェイコブ・コリアーとのアカペラのコラボレーションであり、後者は10分18秒のプログレッシブロックバラードで、バンドがリリースした曲としては最長となった。 「誰もがどこかでエイリアンである (Everyone is an alien somewhere) 」というフレーズは、プロジェクトを推進するために頻繁に使用された。ドラムスのウィル・チャンピオンによると、「別の惑星の視点から見れば、我々はエイリアンである」ので、プロジェクトは、人々を互いに離れたままにするものではなく、代わりに一緒にするものに人々の目が向けられることを意図している。

音楽的影響/ルーツ

レディオヘッド
U2

コールドプレイは、オルタナティブ・ロックを基調としつつ、ブラックミュージックポップ・ミュージックダンス・ミュージックエレクトロニカクラシックジャズなど、多種多様なジャンルを自身の音楽性に取り込んでいる。

レディオヘッドU2ビートルズR.E.M.トラヴィスジェフ・バックリィa-haブルース・スプリングスティーンブライアン・イーノシガー・ロスオアシスザ・ストーン・ローゼズピンク・フロイドザ・スミスソニック・ユースマッシヴ・アタックジェームス・ブラウンマーヴィン・ゲイスティーヴィー・ワンダーマイケル・ジャクソンAC/DCガンズ・アンド・ローゼズボブ・ディランニック・ケイヴニーナ・シモントム・ウェイツなどに影響を受けている。

他にも多くのアーティストに影響を受けている。例えば、1stアルバム『パラシューツ』ではニール・ヤング、2ndアルバム『静寂の世界 』ではエコー&ザ・バニーメンジョージ・ハリスンミューズPJ ハーヴェイ、3rdアルバム『X&Y』ではジョニー・キャッシュクラフトワークデヴィッド・ボウイケイト・ブッシュ、4thアルバム『美しき生命 』ではマイ・ブラッディ・ヴァレンタインブラーアーケイド・ファイアヴェルヴェット・アンダーグラウンドジャスティン・ティンバーレイクなどにも影響を受けている。アルバム『美しき生命 』以降、ブライアン・イーノやジョン・ホプキンスなどをプロデューサーに迎えてからは、アンビエント・ミュージックなどの要素を取り入れた作品を発表するようになる。

個別の楽曲では、「Yellow」はニール・ヤング、「The Scientist」はジョージ・ハリソン、「Clocks」はミューズ、「Fix You」はエルボージミー・クリフ、「A Sky Full of Stars」はニルヴァーナケイティー・ペリーなどに影響を受けている。

コールドプレイは、主にレディオヘッドU2の音楽性を継承して発展させたとされる。2008年には、ボーカルのクリス・マーティンは、「時々、彼ら(=レディオヘッド)がナタで道を切り開き、僕らが後からやってきて、ショッピングモールを建てたように感じるんだ」「レディオヘッドの『OK コンピューター』と同じくらい良いものを書くためなら、僕はまだどんな犠牲も厭わないよ」と話し、自身が大きな影響を受けたレディオヘッドへのリスペクトを語っている。また、2006年には、クリスはU2について「自分が全ての作品を暗記している唯一のバンド」と記し、1991年に自身が14歳のときに当時発売されたばかりのU2のアルバム『アクトン・ベイビー』を聴いて衝撃を受け、半年に1枚のペースで過去のU2の作品を購入したことを明かしている[89]

クリスは、幼少期に初めて好きになった曲として、a-haの「テイク・オン・ミー」とマイケル・ジャクソンの「バッド」を挙げている[16]。また、子供の頃に映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を見て、主人公のマーティ・マクフライがチャック・ベリーの「ジョニー・B.グッド」を演奏するシーンに感銘を受けたことで、バンドがやりたくなったと語っている[90]

2021年のインタビューでは、最も好きな曲として、ボーカルのクリス・マーティンは映画『オズの魔法使』の劇中歌であるジュディ・ガーランドの「虹の彼方に」、ギターのジョニー・バックランドマッシヴ・アタックの「Teardrop」、ベースのガイ・ベリーマンマーヴィン・ゲイの「悲しいうわさ」、ドラムスのウィル・チャンピオンザ・ポーグスとカースティ・マッコールの「ニューヨークの夢」を挙げている。

ビートルズ
R.E.M.

クリスは、ブルース・スプリングスティーンやビートルズの大ファンでもある。トラヴィスは、初期のコールドプレイの作品に大きな影響を与えた。クリスの歌唱はジェフ・バックリィに影響を受けている[16]R.E.M.にも多大な影響を受けており、「僕たちはR.E.M.を崇拝しているんだ」「コールドプレイの曲の材料には、必ずR.E.M.がひとつまみ入っている」と話している[16]。2013年には、オアシスに対する敬意を語り、「自分のことで精一杯になったときには、オアシスの『モーニング・グローリー』を聴けば、自分はまだこれからだと気づくんだ」と書いている[91]ボブ・ディランについては「僕にとっては、すべてがラディカルでクールなんだ」と称賛している[16]

クリスはボノU2)、ジ・エッジ(U2)、ジェイ・Zサイモン・ペッグブルース・スプリングスティーンニック・ケイヴマイケル・スタイプ(元R.E.M.)、エド・オブライエンレディオヘッド)、フラン・ヒーリー(トラヴィス)、 ダニー・マクナマラエンブレイス)などと親交があり、2022年には長年にわたってサポートを受けたことへの感謝を語っている。

モータウン

R&B、ヒップホップ、ファンク、ソウルなどのブラックミュージックの影響も強く感じられる。クリスは、パブリックスクール時代のバンドでは、ソウルミュージックやR&Bのコピー演奏をしていた。ベースのガイ・ベリーマンは、幼少期にスティーヴィー・ワンダーの「マイ・シェリー・アモール」を聴いたことがきっかけで、ソウルミュージックファンクモータウンスタックス・レコードの音楽に夢中になった。特に、ジェームス・ブラウンクール&ザ・ギャング、ファンク・ブラザーズらに影響を受けており、ビートルズなどと並んで、現在までガイの音楽性の軸となっている。ガイは、最も好きな曲として、マーヴィン・ゲイの「悲しいうわさ」を挙げている。過去にインタビューでおすすめの音楽を求められた際には、カニエ・ウェストリトル・シムズなど、ヒップホップアーティストの名前も出している。

マイケル・ジャクソン

2008年にリリースされた4thアルバム『美しき生命』は、前述したビートルズアーケイド・ファイアマイ・ブラッディ・ヴァレンタインなどのロックミュージックやエレクトロ、アンビエントなどの音楽などに加えて、ブラックミュージックを大胆に取り込んだ最初のコールドプレイのアルバムである。特に、マイケル・ジャクソンジャスティン・ティンバーレイクなどに強い影響を受けている。2008年のインタビューでクリスは、「(アルバム『美しき生命』の制作をしていた)去年はマイケル・ジャクソンの音楽を一番聴いたんだ。特に『オフ・ザ・ウォール』をたくさん聴いたよ」と答えている[16]。クリスは、幼少期に初めて好きになった曲の一つとしてマイケル・ジャクソンの「バッド」を挙げている。

ブラックミュージックのアーティストやプロデューサーとも積極的にコラボエーションを行っている。例えば、ビヨンセ、リアーナ、ジェイ・Z、BTS、ジェイコブ・コリアー、ビッグ・ショーン、ファレル・ウィリアムスなどのアーティストと楽曲をリリースしている。また、スターゲイト、ティンバランド、マイク・ディーン、メトロ・ブーミンなどのプロデューサーと楽曲をリリースしている。クリス・マーティンは、ソロとしては、ジェイ・Z、カニエ・ウェスト、バーナ・ボーイなどの作品にも参加している。クリスはジェイ・Zとビヨンセの親友であり、リアーナの大ファンでもある。ツアーのオープニングアクトとしてジェイ・Z、フランク・オーシャン(直前でキャンセル)[92]、SZA、H.E.Rなど、R&Bやヒップホップのアーティストを迎えることも多い。『Tiny Desk Concert』ではプリンスの「1999」、『Spotify Singles』ではキッド・カディの「Day 'n' Nite」をカバーしている。ライブでエミネムの「Lose Yourself」をカバーしたこともある[93]。また、多くのブラックミュージックのアーティストがコールドプレイに大きな影響を受けたことを公言している(コールドプレイが与えた影響の詳細は#影響/評価#R&B/ヒップホップ参照)。

ライブや音楽番組では、他にも多くのカバー曲を披露している[94]。例えば、ビースティ・ボーイズの「(You Gotta) Fight For Your Your Right (To Party)」、デヴィッド・ボウイの「Heroes」、ジーン・ワイルダーの「Pure Imagination」、プリンスの「Nothin’ Compares 2 U」、ビージーズの「Stayin' Alive」、ジョン・レノンの「Imagine」、エイミー・ワインハウスの「Rehab」、J・バルヴィンバッド・バニーの「La Canción」、ソダ・ステレオの「De música ligera」などが挙げられる。

クラシック音楽にも強く影響を受けている。コールドプレイの楽曲は、ピアノとストリングスを多用した作風となっている。クリス・マーティンは7歳からクラシックピアノを習っていた[43]。母親は音楽教師の仕事をしていた。クラシックやオペラのコンサートで姿を目撃されることも多く[95]ジョン・ダウランドの曲をSNSで披露したこともある。

賛美歌にも影響を受けている。クリスは「小さい頃はいつも教会にいたから、賛美歌をよく聞いていたんだ。僕たちの音楽の中にある根本的なものは、おそらくそこからきているのだろう」とインタビューで答えている[16]。クリスはクリスチャンの家庭で育ったが、現在は特定の宗教を信仰していない。

ドラムスのウィル・チャンピオンは、アイルランド音楽を、ボブディラン、ニック・ケイヴ、トム・ウェイツなどともに、自身の原点の一つとして挙げている。好きなドラマーとしては、ジンジャー・ベイカークリーム)、ジョン・ボーナムレッド・ツェッペリン)、デイヴ・グロール(元ニルヴァーナ)の名前を挙げている。

ジャンル区分が曖昧になり、ジャンルをまたいだ(クロスオーバーさせた)音楽スタイルが一般化していく現在の音楽シーンの潮流を象徴する存在である。オルタナティブ・ロックロックポップR&BヒップホップソウルファンクディスコEDMシンセポップエレクトロニカアンビエントフォークカントリーブルースゴスペルラテン音楽アフリカ音楽アラブ音楽東洋音楽ワールドミュージックジャズクラシック現代音楽映画音楽など様々なジャンルの音楽を楽曲に取り入れている。

7thアルバム『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』期のインタビューでクリスは、「ロックバンドはロックミュージックを作らなくてはいけないという概念を壊したかった。2015年現在、ビョークからエディット・ピアフラムシュタインからベートーヴェンに至るまでどんな音楽にもアクセスできる。 それがこのアルバムのメッセージ。21世紀にもう未開拓分野はないんだ」と語っている[96]。ベースのガイ・ベリーマンは「1stアルバムが好きだった多くの人は今僕たちが作っている音楽を嫌っているし、今作っている音楽が好きな人は1stアルバムが嫌いだろうね。今は難しい立場にいるんだ。」「でも僕たちはいつも違うことをしようとしているんだ。境界を越えようとしたり、僕たちの音楽に違った影響を与えてくれるものを探求したりするのは面白いし、それを続けると思う」[97]「僕たちはアルバム毎に、サウンドの面でも、曲作りのテクニックの面でも、スタイルの面でも新しい世界を作り出そうとしているんだ」[98]と話している。

4thアルバム『美しき生命 』以降の多くのコールドプレイの楽曲に携わっているジョン・ホプキンスは、「コールドプレイはとても実験的な音楽センスを持っている」「彼らは音楽の趣味がめちゃくちゃ広いんだ」と2013年のインタビューで語り、ボーカルのクリス・マーティンがビートルズとハドソン・モホークの大ファンであることを例に出している[99]

多くの本や詩などにも影響を受けている。例えば、7thアルバム『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』の制作では、ジャラール・ウッディーン・ルーミーの『ゲストハウス』、ジョン・スタインベックの『怒りの葡萄』、ヴィクトール・フランクルの『夜と霧』、シェリル・ウーダンニコラス・クリストフの『ハーフ・ザ・スカイ』、ファリードゥッディーン・アッタール鳥の言葉』などからインスピレーションを得ている[100]

コラボレーション

リアーナ
ビヨンセ
BTS
セレーナ・ゴメス

ジャンルや人種の垣根を越えて様々なアーティストやプロデューサーとコラボレーションをしている。ビヨンセリアーナBTSアヴィーチーザ・チェインスモーカーズセレーナ・ゴメスジェイ・Zノエル・ギャラガーブライアン・イーノマーカス・ドラヴスジョン・ホプキンスマックス・マーティンオスカー・ホルタージェイコブ・コリアースターゲイトポール・エプワースメトロ・ブーミンマイク・ディーンティンバランドマデオンケン・ネルソンダントン・サプルビッグ・ショーンストロマエトーヴ・ローキングファレル・ウィリアムズWizkidストームジーなどが挙げられる。

An old man wearing glasses and a dark blue shirt is interviewed
ブライアン・イーノ
マックス・マーティン

主なプロデューサー及びコラボレーターとして、1stアルバム『パラシューツ』から3rdアルバム『X&Y』まではケン・ネルソン、4thアルバム『美しき生命』と5thアルバム『マイロ・ザイロト』はブライアン・イーノマーカス・ドラヴス、6thアルバム『ゴースト・ストーリーズ』はポール・エプワース、7thアルバム『A Head Full of Dreams』はスターゲイト、8thアルバム『Everyday Life』と9thアルバム『Music of the Spheres』はマックス・マーティンジェイコブ・コリアーが関わっている。

アヴィーチー

主な楽曲としては、「Lost+」にはジェイ・Z、「Princess of Chine」にはリアーナ、「A Sky Full of Stars」にはアヴィーチー、「Another's Arms」にはマデオンマイク・ディーン、「True Love」にはティンバランド、「Hymn for the Weekend」にはビヨンセアヴィーチー、「Up&Up」にはノエル・ギャラガービヨンセメリー・クレイトン、「Something Just Like This」にはザ・チェインスモーカーズ、「Miracles (Someone Special)」にはビッグ・ショーン、「Arabesque」にはストロマエ、「My Universe」にはBTS、「Let Somebody Go」にはセレーナ・ゴメスメトロ・ブーミンが参加している。また、「1.36」にはアッシュのティム・ウィーラー、「Lhuna」にはカイリー・ミノーグ、「E-Lo」(Los Unidades名義)にはファレル・ウィリアムスが参加している。

ジョン・ホプキンス

リック・シンプソン、Dan Green、Bill Rahko、ダヴィデ・ロッシジョン・ホプキンスの5人のプロデューサー・音楽家は、4thアルバム『美しき生命 』から現在まで、継続的にコールドプレイの作品に携わっている。特に前者3人は多数の楽曲に関わっており、8thアルバム『Everyday Life』では「ドリームチーム」と言及されている。ジョン・ホプキンスは、エレクトロ・アンビエントなどのジャンルにおいて重要な役割を担っており、最新作『Music of the Spheres』を含む多くのアルバムに参加している。

2017年に将来コラボレーションをしたい人をインタビューで聞かれたドラムスのウィル・チャンピオンは、「一緒にやってみたい人は山ほどいるけれど、僕たち4人が一緒に音楽をやって、その過程で魔法のようなことが起こる、それ以上に楽しいことはないんだ。これまでの20年幸せだったのは、僕たちが一緒に新たなプロジェクトに取り組めたこと。このバンドにいられて、こんな親友たちを持てて幸せなんだ。それがこの20年間で最も重要なことだ」と話している[101]

今後の予定

ボーカルのクリス・マーティンは、2021年に9thアルバム『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』をリリースした後のインタビューで、「僕らの最後のちゃんとしたレコードは2025年にリリースされる。そしてその後はツアーだけになると思う」と話している[102]。2025年までにあと3枚のアルバムをリリースするつもりであることを明かし、その後はツアー活動に重きを置くようで「ツアーは続けるし、メンバーとはミュージシャンや友達として関係は続くが、アルバムというストーリーはそこで終わると思う。『ハリー・ポッター』がある地点で終わるように」「好きなアーティストのカタログに始まりと終わりがあるのが好きで、自分たちにとってもそれが正しいと感じる」と語っている。「その後もアルバム以外のコラボレーションのようなことはするかもしれない」とも話している。

『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』の続編となる10枚目アルバム『Moon Music』と11枚目のミュージカルアルバムを出した後に、セルフタイトルアルバム『Coldplay』を最後の12枚目のアルバムとして2025年12月にリリースする予定だと語っている。クリスはインタビューで次作『Moon Music』の完成が間近であることを明かしている[103]ナイル・ロジャースソダ・ステレオ、ウェット・レッグなどとコラボしたとの噂もあるが、真偽は不明である。最後のアルバム『Coldplay』は原点回帰となるアルバムで、クリエイティブ・ディレクターのフィル・ハーヴェイは「クリスはほとんどの曲を既に書き終えている」と明かしている。

クリスは過去にも、2ndアルバムの頃には「これでアルバムは終わりかもしれない」、3rdアルバムでは「みんなもううんざりだろうから消える」、7thアルバムでは「7作目が最終章」など、事あるごとに「終わり」をほのめかす発言を繰り返しているため、あくまで「予定」である[104]。過去のインタビューでは、アルバム制作では今やりたいことを全て出し切るようにしているため、終わった後には燃え尽きてしまうと話し、毎回これで終わりだと思うようにしているとも語っている。

ライブの特徴

A Head Full of Dreams Tour
Music of the Spheres World Tour

コールドプレイは、レーザー、花火、紙吹雪、自動制御式のLEDリストバンドを駆使したビジュアル・ショーによって「ライトアップされた輝かしい壮大なライブツアー」を行うことで知られている。インタラクティブなLEDリストバンドは2012年にコールドプレイが初めて使用し、他のアーティストにも広めたとされているため、彼らのパフォーマンスの特徴的な部分と考えられている。

ライブアルバム『Live in Buenos Aires』(2018)をレビューした際、ピッチフォークのサム・ソドムスキーは、「21世紀の最も不朽のライブ・アクトの一つであるコールドプレイによる遺産を強く主張している」と述べ、ガーディアンのアレクシス・ペトリディスもバンドのセットリストを「いかにコールドプレイが巨大化し、そして巨大化し続けたかという強く気づかせる」と評した上で、この視点に同調している。また、両者は、ボーカルのクリス・マーティンが各楽曲の演奏の合間にしばしば一般客と交流していることについてもコメントしている。

2014年の『Ghost Stories Tour』では、Royal Albert HallやBeacon Theatreといった会場で親密なセットを披露した。2019年の『Everyday Life』でも同様のアプローチがとられ、チャリティのための小規模な公演や、ヨルダンアンマン城塞での特別ライブストリームが行われた。後者をレビューしたNMEのダン・スタッブスは、「ステージ上こそコールドプレイが生き生きとする場所であり、彼らが最も意味を成す場所だ」と評している。

2022年にウィル・チャンピオンは、ザ・フレイミング・リップスのツアーについて「不思議な感覚と楽しさがあり、僕たちはそれにとても反応する」と述べ、コンサートがいかに楽しいものであるかという考えを形成する上で、ザ・フレイミング・リップスが重要であったと語っている。

近年は「持続可能なツアー」「インクルーシブ&アクセシブル」を目指して地球環境聴覚障害者に配慮したワールドツアーを行っている(詳細は#政治/社会的姿勢を参照)。

業績/受賞歴

コールドプレイは21世紀で最も成功したバンドである[105]。全世界で1億枚以上のアルバムを売り上げ、これまでリリースしたスタジオ・アルバム9作全てが全英アルバムチャートで1位を獲得している。9作以上のスタジオ・アルバムをリリースし、現在まで全英アルバムチャートで1位を逃したことのないアーティストは、歴史上コールドプレイのみとなっている。

グラミー賞

グラミー賞[11][9]では、2022年時点で39回[10]のノミネート、うち7回受賞を果たしている。イギリスのグループとしてのグラミー賞の歴代最多受賞記録[12]と最多ノミネート記録を保持している。主要部門では、「Clocks」で最優秀レコード賞、「Viva La Vida」で最優秀楽曲賞を受賞し、最優秀アルバム賞には3回ノミネートされている。

ブリット・アワードでのパフォーマンス(2016年)

イギリス版グラミー賞とも称されるブリット・アワードでは、2022年現在、30回のノミネートから9回受賞している。グループとしての歴代最多受賞記録と最多ノミネート記録を持っている。また、史上初めて最優秀アルバム賞を3回、最優秀グループ賞を4回受賞したアーティストであり、この2部門の最多ノミネート記録も保持している。

2000年代にリリースした1stアルバム『パラシューツ』, 2ndアルバム『静寂の世界 (A Rush of the Blood to the Head)』、3rdアルバム『X&Y』はイギリス史上最も売れたアルバム50選 (2019年公式チャート発表) に選ばれ、ビートルズクイーンマイケル・ジャクソン等を上回り、アーティストとして単独最多のランクイン数を記録した。3rdアルバム『X&Y』と4rdアルバム『美しき生命』 (Viva la Vida or Death and All His Friends)はそれぞれ2005年[106]、2008年[107]に世界で最も売れたアルバムとなった。4thアルバム『美しき生命』は、2000年代において世界で最もダウンロードされたアルバムでもある。

2010年代にリリースした5thアルバム『マイロ・ザイロト』、6thアルバム『ゴースト・ストーリーズ』、7th『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』(A Head Full of Dreams)は、現在の世界のiTunesアルバムチャートで上位にランクインし続けており、アデルの『21』『25』やダフト・パンクの『ランダム・アクセス・メモリーズ』、エド・シーランx』『÷』などのアルバムと並ぶ2010年代屈指のロングセラー作品となっている[22]

2012年のロンドンパラリンピック閉会式
2016年の第50回スーパーボウルのハーフタイムショー

2012年のロンドンパラリンピック閉会式のヘッドライナーに選ばれた。15曲以上の楽曲を披露し、前年にリリースした「Every Teardrop Is A Waterfall」でロンドンパラリンピック及びロンドンオリンピックの最後を締めた。2013年にはフォーブスによって世界で最も影響力のあるイギリスの有名人に選ばれた。世界最大級の音楽フェスティバルであるグラストンベリー・フェスティバルのトリを歴代最多の5回務めている。コーチェラ・フェスティバルでも2005年にトリを務めている。 2016年の第50回スーパーボウルハーフタイムショーでのパフォーマンスは、グループや男性アーティストとして史上最多の視聴者数を記録した。2016年から2017年まで行なわれたワールドツアー『A Head Full of Dreams Tour』は全122公演で約539万人を動員し、興行収入は5億2300万ドル以上で当時のコンサートツアー史上歴代3位を記録した。

イギリスの主なグループのグラミー賞受賞歴

グラミー賞は、アメリカのザ・レコーディング・アカデミー が主催する音楽賞であり、音楽産業において傑出した実績を上げたものに対して与えられ、世界で最も権威のある音楽賞として知られている[108]。1959年に第一回が開催され、毎年2月に授賞式が行われている。芸術的業績、技術的能力、および総合的に卓越した楽曲・人物に与えられる[109]。2023年3月現在、コールドプレイは、 イギリスのグループとしてのグラミー賞の歴代最多受賞記録と最多ノミネート記録を保持している。

グループ名 ノミネート数[11] 受賞数[11] Ref.
コールドプレイ 39[10] 7 [9]
ビートルズ 23[110] 7[12] [111]
レディオヘッド 18 3 [112]
ケミカル・ブラザーズ 14 6 [113]
ローリング・ストーンズ 12 3 [114]
ゴリラズ 11 1 [115]
マムフォード・アンド・サンズ 9 2 [116]
ポリス 8 5 [117]
フリートウッド・マック 7 2 [118]
ダイアー・ストレイツ 7 2 [119]
フローレンス・アンド・ザ・マシーン 7 0 [120]
ディスクロージャー 7 0 [121]
アークティック・モンキーズ 6 0 [122]
ミューズ 5 2 [123]
ジェネシス 5 1 [124]
デペッシュ・モード 5 0 [125]
ブラック・サバス 4 2 [126]
ピンク・フロイド 4 1 [127]
アイアン・メイデン 4 1 [128]
トレイン 4 1 [129]
クイーン 4 0 [130]
ウェット・レッグ 3 2 [131]
レッド・ツェッペリン 3 1 [132]
ジャミロクワイ 3 1 [133]
ザ・フー 2 0 [134]
ザ・キュア 2 0 [135]
プロディジー 2 0 [136]
オアシス 2 0 [137]
キーン 2 0 [138]
The 1975 2 0 [139]
アイドルズ 2 0 [140]
XTC 1 0 [141]
ブラー 1 0 [142]
ザ・ヴァーヴ 1 0 [143]
ブリング・ミー・ザ・ホライズン 1 0 [144]
ウルフ・アリス 1 0 [145]
アルト・ジェイ 1 0 [146]

コールドプレイのグラミー賞受賞歴

2023年3月現在、グラミー賞[11][9]39回ノミネート[10](7回受賞)。

[注釈 1] 対象 カテゴリー 結果 Ref.
2002 Parachutes Best Alternative Music Album 受賞 [147]
Yellow Best Rock Song ノミネート
Best Rock Performance by a Duo or Group with Vocals ノミネート
2003 A Rush of Blood to the Head Best Alternative Music Album 受賞 [148]
In My Place Best Rock Performance by a Duo or Group with Vocals 受賞
2004 Clocks Record of the Year 受賞 [149]
The Scientist Best Short Form Music Video ノミネート
2005 Live 2003 Best Long Form Music Video ノミネート [150]
2006 X&Y Best Rock Album ノミネート [151]
Speed of Sound Best Rock Song ノミネート
Best Rock Performance by a Duo or Group with Vocals ノミネート
2007 Talk [注釈 2] ノミネート [152]
2009 Viva la Vida or Death and All His Friends Album of the Year ノミネート [153]
Best Rock Album 受賞
Viva la Vida Song of the Year 受賞
Record of the Year ノミネート
Best Pop Performance by a Duo or Group with Vocals 受賞
Violet Hill Best Rock Song ノミネート
Best Rock Performance by a Duo or Group with Vocals ノミネート
2010 Life in Technicolor II ノミネート [154]
Best Short Form Music Video ノミネート
2012 Paradise Best Pop Duo/Group Performance ノミネート [155]
Every Teardrop Is a Waterfall Best Rock Song ノミネート
Best Rock Performance ノミネート
2013 Mylo Xyloto Best Rock Album ノミネート [156]
Charlie Brown Best Rock Performance ノミネート
2014 Atlas Best Song Written for Visual Media ノミネート [157]
Live 2012 Best Music Film ノミネート
2015 Ghost Stories Best Pop Vocal Album ノミネート [158]
A Sky Full of Stars Best Pop Duo/Group Performance ノミネート
Ghost Stories Live 2014 Best Music Film ノミネート
2017 Up&Up Best Music Video ノミネート [159]
2018 Kaleidoscope EP Best Pop Vocal Album ノミネート [160]
Something Just Like This (with The Chainsmokers) Best Pop Duo/Group Performance ノミネート
2021 Everyday Life[注釈 3] Album of the Year ノミネート [161]
2022 Higher Power Best Pop Duo/Group Performance ノミネート [162]
2023 Music of the Spheres Album of the Year ノミネート [163]
Best Pop Vocal Album ノミネート
My Universe (with BTS) Best Pop Duo/Group Performance ノミネート

コールドプレイのブリット・アワード受賞歴

2023年3月現在、ブリット・アワード30回ノミネート(9回受賞)。

[注釈 4] 対象 カテゴリー 結果 Ref.
2001 Coldplay British Group 受賞 [164]
British Breakthrough Act ノミネート
Parachutes British Album of the Year 受賞
Yellow British Single of the Year ノミネート
British Video of the Year ノミネート
2002 Trouble ノミネート [165]
2003 Coldplay British Group 受賞 [166]
A Rush of Blood to the Head British Album of the Year 受賞
2006 Coldplay British Group ノミネート [167]
British Live Act ノミネート
X&Y British Album of the Year 受賞
Speed of Sound British Single of the Year 受賞
2009 Coldplay British Group ノミネート [168]
British Live Act ノミネート
Viva la Vida or Death and All His Friends British Album of the Year ノミネート
Viva la Vida British Single of the Year ノミネート
2010 A Rush of Blood to the Head British Album (Last 30 Years) ノミネート [169]
Clocks British Live Performance (Last 30 Years) ノミネート
2012 Coldplay British Group 受賞 [170]
Mylo Xyloto British Album of the Year ノミネート
2013 Coldplay British Live Act 受賞 [171]
Princess (with Rihanna) British Single of the Year ノミネート
2015 Coldplay British Group ノミネート [172]
2016 受賞 [173]
A Head Full of Dreams British Album of the Year ノミネート
2017 Hymn for the Weekend British Single of the Year ノミネート [174]
British Video of the Year ノミネート
2020 Coldplay British Group ノミネート [175]
2022 ノミネート [176]
British Alternative/Rock Act ノミネート

影響/評価

コールドプレイは最も影響力のあるアーティストの一つであり[177]、現在の音楽シーンの第一線で活躍しているアーティストの多くが直接的もしくは間接的にコールドプレイの影響を受けている。ポップ、R&B、ヒップホップ、ロック、ダンス・ミュージック、ラテン音楽、K-POP、J-POPなど、幅広いジャンルの音楽に多大な影響を与えている(ジャンル別の詳細は#音楽的影響/ルーツの前提以降に後述)。

エド・シーラン
デュア・リパ

コールドプレイに大きな影響を受けているアーティストとしては、フィニアス・オコネルビリー・アイリッシュ)、ハリー・スタイルズフランク・オーシャンSZAテイラー・スウィフトエド・シーランフューチャートラヴィス・スコットBTSデュア・リパカニエ・ウェストJ・バルヴィンイマジン・ドラゴンズワン・リパブリックトゥエンティ・ワン・パイロッツザ・キラーズデヴィッド・ゲッタカイゴザ・チェインスモーカーズマイク・ウィル・メイド・イットジェイコブ・コリアー、アイス・スパイスなどが挙げられる。

フランク・オーシャン
リゾ

コールドプレイの楽曲をカバー・サンプリングしているアーティストとしては、フランク・オーシャンドレイクリゾデュア・リパチャンス・ザ・ラッパーマック・ミラーケイシー・マスグレイヴスなどが挙げられる。

コールドプレイやボーカルのクリス・マーティンは、多くのアーティストから称賛を受けている。

ジェイ・Z
テイラー・スウィフト
BTSのV

ジェイ・Zは「現代のシェイクスピア[27]カニエ・ウェストは「史上最高のバンド」[18]テイラー・スウィフトは「永遠に大ファン」[28]エド・シーランは「自分のキャリアを通じてずっと研究してきた存在」「とてつもない天才」[29]アデルは「魔法のような存在」[178]ハリー・スタイルズは「音楽を愛する理由であり自分のアイドル」[179]フューチャーは「永遠の伝説」[180]フィニアス・オコネルは「自分にとって本当に大きな存在」[20]ノエル・ギャラガーは「とんでもない魔法使い」[181]リアム・ギャラガーは「人々に愛と沢山の光をもたらす素晴らしい存在」[182]BTSVは「自分のロールモデルだった」[183]ジョングクは「スタジアムツアーの王様」[183]NCTチソンは「理想とする存在」と絶賛している。

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米津玄師

藤井風の全曲のプロデュースなどを手掛けているYaffleは「音楽に本当にのめり込むきっかけとなった」[30] [31]サカナクション山口一郎は「めちゃくちゃ参考にしたボーカリスト」[32]と話し、大きな影響を受けたことを明かしている。また、松任谷由実亀田誠治スピッツなどの音楽プロデューサーで東京事変のメンバー)は、コールドプレイの大ファンであることを語っている。米津玄師宇多田ヒカル坂道グループBUMP OF CHICKENなどの楽曲にも多大な影響を与えている。

ライブの演出や取り組みに関しても同様に、多くのアーティストによって取り入れられている。LEDリストバンドは、コールドプレイが採用したことがきっかけで世界中に広まった。

コールドプレイは、受けた影響や与えた影響、クロスオーバーした(ボーダレスな)音楽性、コラボレーション等を通して、20世紀以前の音楽と21世紀以降の音楽、西洋音楽と東洋音楽、白人音楽と黒人音楽、オルタナティブ・ミュージックとポップ・ミュージック、ロックバンドとアイドルグループなどの結節点となることで、すべてが包摂・肯定されるような音楽世界を促進している。異なる音楽ジャンルや人種の架け橋となることで、これまで差別が常態化し、分断の激しかったポピュラー音楽の変革・進化を支え、分断から連帯、競争から協力へと進む音楽界の変化に貢献している。

一方でコールドプレイは、ロックバンドとしての先駆的な音楽性や姿勢などに対して、一部のメディアや人々からは否定的な評価や誹謗中傷を受けることもある。日本でも同様に、伝統的なロック観の維持、音楽ジャンルの区別や差別化などにこだわる保守的な評論家やリスナーから批判されることがある。

音楽的影響/ルーツの前提

一般的に、音楽や映画をはじめとするポップカルチャーは「参照」と「引用」の集積によって生み出される「連続性の文化」とされ[184]、あらゆる楽曲に元ネタとなる作品やアーティストなどが存在する[185]。音楽ジャーナリストの柴那典は「創作というのは、どんなものだって先行するなんらかの要素を取り入れて、それを自分なりのフィルターを通して表現するもの」であると定義付けている[186]。音楽でも映画でも、作品に深みと強度をもたらすのは「引用」の手さばきであり、「何に影響を受け、それをどう咀嚼したものなのか。優れた作品には、ちゃんとそのヒントとなるものが忍ばされている」と論じている[187]

コールドプレイのクリス・マーティンは、2021年のインタビュー[188][189]で自身が影響を受けた音楽について語り、現代の音楽は全て始まりまで遡ることができるものだと話している。「僕が音楽についてすごく好きなのは、偉大な人は誰でも、他の偉大な人に影響を受けたり、教えられてきたってことなんだ」「だから、音楽というのは絶え間ない会話によるもので、人々が骨や岩を打って、『いい音だ』と言っていた起源まで遡れるものなんだよ」と彼は続けている。クリスはさらにポップ・ミュージックにおける競争という概念に疑問を呈し、「その意味で一つのベスト・アクトがいるというものだとは思えないんだ。音楽とは全体の共有体験なんだ」と語っている。

例えば、コールドプレイ自身は、U2レディオヘッドなどに多大な影響を受けた[190]。そして、U2[191]やレディオヘッド[192]ビートルズパンクポストパンクのバンドなどに影響を受けたように、ビートルズ[193]チャック・ベリーリトリ・リチャードなどに影響を受けた。また、個別の楽曲も同様である。例えば、コールドプレイの代表曲「イエロー」はニール・ヤング、「The Scientist」はジョージ・ハリソン、「A Sky Full of Stars」はニルヴァーナケイティー・ペリーなどにインスピレーションを受けて作られた(コールドプレイ自身のルーツの詳細は#音楽的影響/ルーツを参照)。

日本の音楽/アーティスト

日本では、松任谷由実松任谷正隆宇多田ヒカル米津玄師坂東祐大藤井風Yaffle乃木坂46櫻坂46日向坂46スピッツBUMP OF CHICKENサカナクションindigo la End亀田誠治蔦谷好位置など多くのアーティスト、バンド、アイドル、音楽プロデューサーなどがコールドプレイを称賛し、もしくは影響を受けている。

コールドプレイは、日本においても同様に、最も影響力のあるアーティストの一つである。特に2010年代後半以降、米津玄師、藤井風、宇多田ヒカル、坂道グループ、BUMP OF CHICKENなどの作品に大きな影響を与え、日本の音楽シーンの基準を変えた。

コールドプレイに影響を受けたヒット曲も多い。例えば、コールドプレイの「Viva La Vida」の影響・オマージュを感じさせる曲としては、サカナクションの「ミュージック」、BUMP OF CHICKENの「ray」、スピッツの「ヒビスクス」、乃木坂46の「帰り道は遠回りしたくなる」などが挙げられる。同様に「Adventure of a Lifetime」に対しては、宇多田ヒカルの「人生最高の日」、欅坂46(現:櫻坂46)の「風に吹かれても」、米津玄師と野田洋次郎RADWIMPS)の「PLACEBO」などが挙げられる。後述するものも含めて全ての楽曲が、元の文脈を踏まえてリスペクトを示したうえで、独自のアイデアを付け加えている。どの楽曲も各アーティスト固有のフィルターを通して表現されており、オリジナリティーに富む優れた音楽作品として昇華されている(ルーツやオマージュの一般論は#音楽的影響/ルーツの前提に詳述)。

ソロアーティスト

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松任谷由実

松任谷由実は、愛聴しているアーティストとしてコールドプレイの名前を10年以上にわたって出しており[33]、自分のライブ期間中に来日公演があったときには「思わず抜け出して行っちゃおうかなと画策したぐらい」[194]大好きなアーティストだと話している。ラジオではコールドプレイのアルバムや楽曲を解説して称賛し[33]、テレビでは「Coldplayとか聴きながらずっとただ終点まで(バスに)乗ってるときとかあります」[195]と話している。音楽プロデューサーの松任谷正隆は、これまで体験したベストライブの一つにコールドプレイを挙げており[196]、コールドプレイの楽曲は近年の松任谷由実作品のロールモデルの一つになっているとされる。

ファイル:「BADモード」のジャケット写真の宇多田ヒカル.jpg
宇多田ヒカル

宇多田ヒカルは、コールドプレイの影響を受けており、特にアルバム『Fantôme』(2016年)で顕著である。宇多田ヒカルの同アルバムのモチーフ及びタイトルはコールドプレイのアルバム『ゴースト・ストーリーズ[197]、収録曲「」の楽曲や歌詞は「Every Teardrop Is A Waterfall」、「人魚」は「U.F.O.」、「ともだち」は「Magic」、「真夏の通り雨」は「The Scientist」、「荒野の狼」は「Ink」、「人生最高の日」は「Adventure Of A Lifetime」、「桜流し」は「Death and All His Friends」の影響・オマージュを感じさせる。どの楽曲もアーティスト固有のフィルターを通して表現されている。オリジナリティーに富む優れた音楽作品として昇華されており、2010年代屈指の名盤として非常に高い評価を得ている(ルーツやオマージュの一般論は#音楽的影響/ルーツの前提に詳述)。

宇多田ヒカルとコールドプレイは、1998年デビュー、経歴[198]、音楽的ルーツ[199][200]などの共通点がある。2010年代には、それぞれEDMアーティストスクリレックスアヴィーチーとのコラボ楽曲「Face My Fears」「A Sky Full Of Stars」をリリースした。また、コールドプレイは、初期3部作のアルバムのプロデューサーをケン・ネルソンが務めていたが、2008年の4thアルバム『美しき生命』以降、ブライアン・イーノやジョン・ホプキンス、Rik Simpsonなどをプロデューサーに迎えたことで、音楽性が大きく変化した。宇多田ヒカルの2010年代後半以降の作風の変化には、A・G・クックフローティング・ポインツ小袋成彬などをプロデューサーに迎えたことが大きく影響している。両者のプロデューサーのジャンルや方向性には通じるものがあり、コールドプレイが一つのロールモデルになっていることが窺える。

米津玄師は、自身の楽曲「Nighthawks」(2017年)について、自分のルーツを遡って行った先にコールドプレイやU2があることも踏まえて制作したと話している[201]。音楽性の転機と評されることも多い[202][203]米津玄師の「アンビリーバーズ」(2015年)の楽曲・歌詞・MVでは、コールドプレイの「Paradise」へのオマージュが見て取れる。米津玄師の代表曲「Lemon」(2018年)では、「Hymn For the Weekend」と「Yellow」の影響・オマージュが感じられる。曲名の「Lemon(=レモン)」は「Yellow(=黄色)」に関連性を見出すこともできる。同様に、米津玄師の「orion」(2017年)はコールドプレイの「Hymn For The Weekend」、「感電」(2020年)は「Arabesque」、米津玄師と野田洋次郎(RADWIMPS)の「PLACEBO」(2020年)は「Adventure of a Lifetime」の影響・オマージュを感じさせる。どの楽曲もアーティスト固有のフィルターを通して表現されており、オリジナリティーに富む優れた音楽作品として昇華されている(ルーツやオマージュの一般論は#音楽的影響/ルーツの前提に詳述)。

米津玄師の多くのヒット曲に携わっている音楽プロデューサーの蔦谷好位置は、コールドプレイへの称賛を何度も口にしている(詳細は#プロデューサー参照)。2019年以降の多くの楽曲の共編曲を手掛けている音楽家の坂東祐大も同様に、2020年のコールドプレイのNPRの『タイニーデスクコンサート(Tiny Desk Concert)』について、「本当に素晴らしい」「胸熱」と感想を書いている[204]

藤井風の全曲のプロデュースなど、多くのアーティストの楽曲を手掛けている音楽家のYaffleは、「音楽に本当にのめり込むきっかけとなった」存在だと話し[30]、高校時代にコールドプレイに感動していなければ音楽家になることはなかったと明かしている[31]。2014年のアルバム『ゴースト・ストーリーズ』リリース時には「素晴らしい」と絶賛し[205]、過去には「(コールドプレイの)最新の世界ツアーの映像データを視聴して久々に感動が体を貫く」[31]「徹夜で作業した後のColdplayの心への染み入りっぷりったら尋常ではない」[206]とも書いている。藤井風は、コールドプレイの曲「イエロー」について「朝焼けを見ると絶対にこの曲を聴きたくなる」と話している[207]

アイドルグループ

嵐の松本潤

松本潤は、コールドプレイのライブをヒントにして、嵐のコンサートにも自動制御型のペンライトを取り入れたことを明かしている[208]。元NEWS山下智久は、2017年の東京ドームのライブを観に行ったことを話しており、以前から好きなアーティストとしてたびたび自分のラジオで曲をかけていた。Sexy Zone佐藤勝利は、ファンを公言し、ライブを観にイギリスまで行ったことを話している。

ももいろクローバーZをはじめとするスターダストジャニーズのグループ、でんぱ組.incDISH//ゆずなどの数多くの楽曲を手掛けている音楽家の前山田健一(ヒャダイン)は、コールドプレイを世界で最も影響力のあるイギリスのロックバンドと評し、注目曲に「Higher Power」を選んで「バンドであるコールドプレイまでもシンセウェイヴサウンドに挑戦しているというのが僕はとてもいい時代だなと思っている」と語っている[209]

乃木坂46

乃木坂46の多くの代表曲を含む坂道グループの楽曲などを手掛けている作曲家・編曲家の杉山勝彦は、自身が影響を受けたアーティストの一つにコールドプレイを挙げている[210]。同様に坂道グループやAKBグループなどの人気曲を数多く手掛けている青葉紘季[211]は、「改めてすげえバンドだ。感動するわ」「素晴らしすぎて震える」「Coldplayの新作が良すぎる」と度々絶賛し[212]、自身の楽曲制作への影響としても言及している[213]。同様に多数の楽曲を手掛けているツキダタダシは、「何故こんなにガンガン琴線に触れるのだろうか」「Coldplay聴いてたら頑張れそうな気がしてきた」など称賛を投稿している[214]。坂道グループやジャニーズグループなどの楽曲を多数手掛けている辻村有記は、理想とするアーティストにコールドプレイを挙げている[215][216]

欅坂46(現:櫻坂46)の元メンバーの平手友梨奈は、2017年の東京ドームのライブを観に行ったことを話している[217]。欅坂46・けやき坂46(現:櫻坂46・日向坂46)の元メンバーの長濱ねるは、コールドプレイのライブ映像について「いつ見ても何度見ても高ぶる」と投稿している。

乃木坂46櫻坂46日向坂46から構成される坂道グループにおいて、コールドプレイは、歌謡曲[218]ビートルズ[219][220]Mr.Children[221][210]ブラックミュージック[222][223]などと並ぶ音楽的ルーツの一つとなっている。坂道グループは2017年頃に転換期を迎え、音楽性や歌詞[224][225]、パフォーマンスを含むグループの方向性が変化し、以降はコールドプレイとの共振を特に強く感じさせる作風・スタイルにシフトした。

グループの転機とも称される乃木坂46の「逃げ水」(2017年)の楽曲・歌詞では、コールドプレイの「Charlie Brown」の影響・オマージュが感じられる。欅坂46(現:櫻坂46)の「風に吹かれても」(2017年)は、コールドプレイの「Adventure of a Lifetime」を思わせるディスコ・ファンクのテイストとなっている。欅坂46・けやき坂46(現:櫻坂46・日向坂46)の「太陽は見上げる人を選ばない」(2017年)、日向坂46の「月と星が踊るMidnight」(2022年)など、U2・コールドプレイの系譜に通じるような感動詞が印象的に使われている楽曲も増えた。乃木坂46の代表曲「シンクロニシティ」はコールドプレイの代表曲「Clocks」、「帰り道は遠回りしたくなる」は「Viva La Vida」の影響・オマージュが楽曲と歌詞で見られる。前者は、共時性を意味するタイトルも含め、アンサーソングのような構成になっている。後者は、楽曲のモチーフである"中心メンバーの卒業"と"王の退位"を掛けている。どの楽曲もグループ固有のフィルターを通して表現されており、オリジナリティーに富む優れた音楽作品として昇華されている(ルーツやオマージュの一般論は#音楽的影響/ルーツの前提に詳述)。

バンドアーティスト

スピッツ草野マサムネは、自身の楽曲「ヒビスクス」について、コールドプレイをオマージュして作った楽曲だとインタビューで答えている[226]。コールドプレイの「Viva La Vida」の影響が感じられる。ラジオでは、コールドプレイの「Clocks」について「(20年近く前に)音楽で涼しくなることってあるんだなぁと思い知った曲」と紹介して曲を流している[227]那覇の真夏の猛暑の日に、車のエンジンを掛けたらラジオから、ちょうどこの曲が流れて来て、車のクーラーをかける前にヒンヤリとしてきたと当時を回想している。2002年リリースの『三日月ロック』以降のすべてのスピッツのオリジナルアルバムの共同プロデュースを手掛けている音楽家の亀田誠治は、海外のライブにも足を運ぶほどのコールドプレイの大ファンである(詳細は#プロデューサー参照)。

BUMP OF CHICKEN

BUMP OF CHICKENの楽曲や演出のルーツには、コールドプレイの存在があるとされる[228]。特に、アルバム『RAY』『Butterflies』以降の作風の変化は、コールドプレイとの同時代性が感じられる[229]。アルバム『Butterflies』(2016年)は、コールドプレイの『マイロ・ザイロト』を彷彿とさせるような煌びやかで澄み切ったサウンドスケープが印象的である。メンバーは海外までライブを観に行ったこともある。2022年にガイ・ベリーマンが来日した際には、ベースの直井由文はガイに会った写真を自身のSNSに投稿している[230]。音楽性の転機と評されることも多い「ray」(2014年)では「Viva La Vida」、「アカシア」(2020年)では「Every Teardrop Is a Waterfall」、「SOUVENIR」(2022年)では「Humankind」の影響やオマージュが、楽曲・歌詞・MVなどで見て取れる。どの楽曲もアーティスト固有のフィルターを通して表現されており、オリジナリティーに富む優れた音楽作品として昇華されている(ルーツやオマージュの一般論は#音楽的影響/ルーツの前提に詳述)。

RADWIMPSは、2017年に東京ドームで行われたコールドプレイのライブのオープニングアクトを務めた。

サカナクションの山口一郎

サカナクション山口一郎は、「めちゃくちゃ参考にしたボーカリスト」がコールドプレイのクリス・マーティンだと明かしている[32]。北海道での活動時期に小樽から札幌のスタジオを往復していたときには、車でコールドプレイのライブ音源[231]を聴きながら歌っていた。コールドプレイやクリスの歌い方がすごい好きだったため、初期の楽曲「Yellow」「In My Place」などをひたすら練習して真似をしたと話している。サカナクションの楽曲「human」はコールドプレイを意識して作ったと明かしている。人気曲「ミュージック」の楽曲・歌詞・MVは、コールドプレイの「Viva La Vida」へのオマージュを感じさせる。

indigo la End川谷絵音は「素敵でした」、ドラムスの佐藤栄太郎は「頭がおかしくなるほど最高だった」[232]とライブの感想をSNSに投稿し、コールドプレイを称賛している[233]川谷絵音は、以前にもコールドプレイの曲「Amazing Day」について「名曲過ぎる」と投稿している[234]

プロデューサー

亀田誠治蔦谷好位置Yaffle坂東祐大杉山勝彦青葉紘季前山田健一松岡モトキなどの音楽プロデューサー・音楽家がコールドプレイへの称賛や受けた影響を公言している(多くの音楽家については既に上記で詳述した通りである)。

スピッツ椎名林檎MISIA平井堅いきものがかりJUJUGLAYポルノグラフィティエレファントカシマシチャットモンチーCreepy Nutsなど数多くのアーティストの楽曲を手掛けている音楽プロデューサーであり、東京事変のベーシストを務める亀田誠治は、海外も含め多くのライブに足を運んでおり、 「今日のライブ、深く胸に刻み込みました。全身で音楽を伝えるクリスは幸せを運ぶ使者でした」「もう愛しかないライブ 」「コールドプレイの光るリストバンドの発明は演出のノーベル賞[235]「Coldplay素晴らしかった。クオリティが超高いのに、敷居は超低い。こんなにみんなの大合唱が響くドームははじめて」と何度も絶賛している。2018年のドキュメンタリー映画 『コールドプレイ:ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』 を見たときには「泣きました。バンドは絆だ」と投稿している。

SuperflyOfficial髭男dismアンジェラ・アキヒグチアイなどの楽曲を手掛けている音楽プロデューサーの松岡モトキは、自身の人生や仕事に影響を及ぼした曲としてコールドプレイの「In My Place」を挙げている[236]

米津玄師Official髭男dismback numberMrs. GREEN APPLEゆずSuperfly絢香エレファントカシマシなど数多くのアーティストの楽曲を手掛けている音楽プロデューサーの蔦谷好位置は、イギリスのグラストンベリー・フェスティバル(2011年)のコールドプレイのライブの録画番組を観た感想として「もの凄いヒット曲の数々でこれは圧倒的だな。凄いわ」とブログに感想を書いている[237]。2017年の東京ドームのライブについては「アンセムと多幸感の連続に圧倒された」「全曲知ってるって凄い」「今まで自分が観てきた東京ドームのライブの中で一番良かった」と絶賛している[238][239]。コールドプレイが近年地球環境に配慮したワールドツアーを行っていることに対しても称賛している。

韓国の音楽/アーティスト

韓国では、世代や性別、事務所などを問わず、多くのグループのメンバーから支持されている。BTSVジンNCTチソンムン・テイルジャニーStray Kidsのフィリックス、ITZYのリュジンなどが、好きなアーティストとしてコールドプレイの名前を挙げている。また、BTSBLACKPINKロゼEXOチャンヨルSHINeeキーDAY6のヨンケイ、元B1A4ジニョンなどが、音楽番組や映画等で楽曲をカバーしている。

BLACKPINKのロゼ

BLACKPINKのメインボーカルを務めているロゼは、Instagramの配信ライブで「Fix You」、YouTubeの動画で「Viva La Vida」をカバーしている。後者についてコールドプレイは「素晴らしい歌声だ」と称賛している。

NCTの多くのメンバーは、好きなアーティストとしてコールドプレイを挙げており、チソンは「歌手を夢見た時から聴き続けているアーティスト」で「自分が理想とする存在」だと話している。

Stray Kidsのフィリックスは、好きな曲にコールドプレイの「Fix You」をあげ、考えを整理したり気持ちを和らげたいときには「O(オー)」、ストレスを感じたときには「Everglow」を聴いていると話している。

ITZYのリュジン

ITZYのセンターを務めているリュジンは、好きな曲として、コールドプレイの「Everglow」「Hymn for the Weekend」「Something Just Like This」「Yellow」などを挙げている。

BTS

BTS
BTSのジン

BTSのVは「自分のロールモデルでもあったクリスにはこれまで多大な影響を受けてきた」、ジョングクは「スタジアムツアーの王様」、SUGAは「彼らの曲の多くは、現代の文化の一部となっている」とコールドプレイを称賛している[183]

2018年にメンバー全員で加平にプライベート旅行をしたときには、バーベキューをしながらコールドプレイの曲「Fix You」を流す動画をSNSに投稿した。ジミンは「この曲は辛い時期に僕たちを慰めてくれた曲だ」と明かしている。2021年には、Vの発案でBTSは「Fix You」をMTVアンプラグドでカバーしている。

ジョングクは、自身のプレイリストにコールドプレイの「Yellow」のカバー曲を選び、「この曲の歌詞は僕がファンを思う気持ちに似ている」と説明している。また、コールドプレイの「Yellow」は、アジア人に対する蔑称でネガティブなニュアンスがある「イエロー」を美しい言葉として歌った楽曲でもあり、コンセプトカラーが黄色となっているBTSの「Butter」との関連性も指摘されている[240]

RMJ-HOPEは、2017年にソウルのコールドプレイのライブを二人で観た際には、SNSに写真を投稿している。以前からBTSの多くのメンバーは、コラボしたいアーティストを聞かれたときには、コールドプレイと答えていた。BTSが2019年にロンドンでコンサートを行った時には、事前の記者会見で、「コラボしてみたいイギリスのアーティストはいますか?」という質問に対して、メンバーのVは「イギリスのアーティストで僕たちBTSがずっと好きなのはコールドプレイです。機会があればぜひ彼らとコラボしてみたいです」と話していた。

そういったBTSのラブコールがクリスの耳に入り、2021年のコールドプレイとBTSのコラボ曲「My Universe」のリリースや2022年のジンのソロデビューシングル「The Astronaut」の 楽曲提供[241]に繋がった。ジンは、以前からコールドプレイのファンを公言していた。

コールドプレイとBTSのコラボの裏側については、BTSの公式YouTubeチャンネルにドキュメンタリー動画が複数アップされている。クリス・マーティンは、「世界で一番人気なアーティストが韓国語を話し、欧米のアーティストではないことが僕にはとても特別に感じます。全世界が一つの家族だという面で希望的だと思います」「彼らを一人の人間だと思って見て、彼らの音楽を聴いてみると、自分を見つけて自分自身になろう、そういう連帯のメッセージが込められています。僕の考えと同じです」と話している。コラボした楽曲「My Universe」には、「現在僕たちは国境で分かれていたり、一緒にいることができなかったりするが、愛の力は国境・規則・性別・人種・性自認まで全てを乗り越えられる」というメッセージが込められている。コラボの後には、RMはクリスについて「聞いていたとおりとても謙虚で人間味に溢れた純粋な人で、偏見のようなものが全くない人だった」と語っている。ジミンは「ポジティブな心で他者により良い影響を与える素晴らしい人だった」と話している。

クリスはコラボを通してBTSのメンバーと交流を深め、コールドプレイのファンであるジンにはギターをプレゼントした。コールドプレイのメンバーはVの歌声を「第2のクリス・マーティンのようだ」と称賛した[242]。ジンは、コールドプレイのブエノスアイレス公演に招待され、コールドプレイ提供のソロデビュー曲「The Astronaut」を観客の前で初披露した。クリスは BTSとのコラボについて、「バンドとして最も楽しく、満たされた関係の一つとなった」と話している。2023年には、コールドプレイはサタデー・ナイト・ライブで「The Astronaut」のセルフカバーを披露した。

世界の音楽/アーティスト

コールドプレイの影響を受けている世界のアーティストとしては、エド・シーラン[243]テイラー・スウィフト[244]ブルーノ・マーズ[245]カニエ・ウェスト[246]BTSSZAフィニアス・オコネル[20]ハリー・スタイルズデュア・リパトラヴィス・スコットフューチャーH.E.R.、ジャスティン・ティンバーレイクティンバランドマイク・ウィル・メイド・イットリル・ヨッティJ・バルヴィンイマジン・ドラゴンズトゥエンティ・ワン・パイロッツワン・リパブリックザ・キラーズマムフォード・アンド・サンズU2ニック・ケイブデヴィット・ゲッタザ・チェインスモーカーズカイゴラウヴスウェディッシュ・ハウス・マフィアチェルシー・カトラージェイコブ・コリアージョン・メイヤーショーン・メンデスアレッシア・カーラレオナ・ルイスマレン・モリスザ・スクリプトアメリカン・オーサーズシグリッドブランディラムシュタインイ・ジス、アイス・スパイスなどが挙げられる(詳細は後述)。

コールドプレイの音楽をサンプリングしたアーティストとしては、ドレイクフランク・オーシャンチャンス・ザ・ラッパーリゾマック・ミラーデュア・リパ50セントブランディスウィズ・ビーツマデオンなどが挙げられる。

コールドプレイのカバー曲をリリースしたアーティストとしては、フランク・オーシャンサム・スミスケイシー・マスグレイヴスウィーザーケリー・クラークソンマーク・ロンソンなどが挙げられる。また、テイラー・スウィフトエド・シーランカニエ・ウェストレディー・ガガカミラ・カベロチャーリー・プースチャンス・ザ・ラッパージェイコブ・コリアーロビンスネイル・メイルU2ショーン・メンデスワン・ダイレクションクロイ&ハリーなどが、音楽番組やライブ等でカバーを披露している。

コールドプレイのツアーのオープニングアクトを務めたアーティストとしては、ジェイ・ZSZAデュア・リパチャーリー・XCXH.E.R.フィオナ・アップルインターポールフレーミング・リップススノウ・パトロールロビンジョン・ホプキンスなどが挙げられる。

ポップ

ポップの分野では、テイラー・スウィフトエド・シーランビリー・アイリッシュハリー・スタイルズデュア・リパをはじめ、多くのアーティストの作品にコールドプレイは影響を与えている。

テイラー・スウィフト

テイラー・スウィフトは、「私は永遠にクリス・マーティンの大ファンであり、もし彼と仕事ができたら最高だ」と話している[28]。また、人気曲「Wildest Dreams」などで影響を受けている。

アデル

アデルは、「コールドプレイはまるで魔法のようだ」とライブの感想を写真とともにSNSに投稿している[178]。アデルは、2016年にグラストンベリー・フェスティバルのトリを初めて務めることが決まり、不安になったためアドバイスをもらおうと、ボーカルのクリス・マーティンに連絡した。するとクリスは、自分のことのように泣いて喜んでくれ、2人で一緒に号泣したと、アデルは自身のドキュメンタリー番組で語っている。クリスは、コールドプレイとしてグラストンベリー・フェスティバルのトリを当時既に3回(2022年現在は歴代最多の5回)経験しており、アデルに様々なことを伝えた。

コールドプレイと共演するエド・シーラン(2021年)

エド・シーランは、「自分のキャリアを通してずっとコールドプレイを勉強してきた」「コールドプレイはとんでもない天才だ」と語り[29]、自身が今後リリースしたいアルバムをコールドプレイのアルバムに喩えている。コールドプレイとエド・シーランは、ライブで共演することも多く、コールドプレイの「Fix You」「Yellow」、エド・シーランの「Shivers」「Shape of You」「Thinking Out Loud」などを共に披露している。

フィニアス・オコネルと妹のビリー・アイリッシュ

ビリー・アイリッシュの全ての楽曲をプロデュースしているフィニアス・オコネルは、自身の音楽のルーツを聞かれた際には「コールドプレイは自分にとって本当に大きな存在だ」と語り[20]、「飛行機に乗るときは大抵コールドプレイのアルバム『美しき生命 』を最初の曲から最後まで通して聴いている」と話している[21]。オルタナティブ・ロック、ブラックミュージック、エレクトロニカ、アンビエント、クラシックなどを横断したアルバム『美しき生命』の作風は、ビリー・アイリッシュの音楽性に通じるものがある。2021年の「グローバル・シティズン・ライブ」では、コールドプレイは、ビリー・アイリッシュとフィニアス・オコネルとともに「Fix You」を披露した。

デュア・リパ

デュア・リパは、クリス・マーティンについて「私にとって本当に尊敬するアーティストであり、インスピレーションを与えてくれる存在でもあり、私はずっと彼の音楽を聴いてきた」とインタビューで答えている。クリス・マーティンは、デュア・リパのデビューアルバムの収録曲「Homesick」の制作にも携わっており、同曲はコールドプレイの「Everglow」をサンプリングしている。コラボの経緯について、インタビューでデュア・リパは[247]、「ある会合で、誰かが "誰と仕事をしたいですか?"と聞いてきたので、"クリス・マーティンと一緒に曲を作りたいですね "と言いました。すると、その場にいた女性の一人が、"あら、彼とはしばらく一緒に仕事をしているのよ。喜んで彼にあなたの曲を送るわよ"と答えたんです。それで何曲か選んだんだけど、どうなるかはよくわからなかった。思い切った決断でした。するとメールが来て、"クリスが君に会いたがっている。マリブにある彼のスタジオに来ないか"と。緊張したと同時に、とても興奮しました。どう振る舞えばいいのかわからなかった」と明かしている。デュア・リパは、コールドプレイの『A Head Full of Dreams Tour』の2017年のラテンアメリカ公演のオープニングアクトも務めた。

ハリー・スタイルズ

ハリー・スタイルズは、「クリス・マーティンは自分が音楽を愛する理由であり、自分のアイドルだ」とSNSに投稿している。2017年のソロデビューシングル「Sign of the Times」はコールドプレイの「The Scientist」の影響を受けている。クリスは、ワン・ダイレクション時代からハリーやグループのファンを公言しており、2022年に自身のライブで「Sparks」を披露する際には、「ハリー・スタイルズが誰なのか知る前から、僕たちは彼についてこんな風に感じていたんだ」と曲を紹介している。

R&B/ヒップホップ

R&Bヒップホップの分野では、カニエ・ウェストトラヴィス・スコットフューチャーなどのラッパー、フランク・オーシャンSZAジャスティン・ティンバーレイクなどのR&Bアーティスト、ティンバランドマイク・ウィル・メイド・イットなどの音楽プロデューサーが、コールドプレイに大きな影響を受けている。コールドプレイはジェイ・Z、ビヨンセリアーナなどのアーティストと多数の共演をしている。

  • R&B
夫ジェイ・Zと共演するビヨンセ

ビヨンセは、コールドプレイがヘッドライナーを務めた2016年の第50回スーパーボウルハーフタイムショーの客演を、ブルーノ・マーズとともに務めた。ビヨンセは、コールドプレイの楽曲「「Hymn for the Weekend」にも、客演として参加している。コールドプレイの「Yellow」はビヨンセの最も好きな曲の一つであり、ビヨンセのドキュメンタリー映画「ライフ・イズ・バット・ア・ドリーム」には、夫のジェイ・Zと二人で「Yellow」を歌っている様子が映っている。

ジャスティン・ティンバーレイクは、インタビューでコールドプレイに受けた影響を語っている。

リアーナ

リアーナは、コールドプレイがヘッドライナーを務めた 2012年のロンドンパラリンピック閉会式の客演を、ジェイ・Zとともに務めた。リアーナは、コールドプレイの楽曲「Princess of China」にも、客演として参加している。ジェイ・Zとビヨンセの離婚危機の際には、クリスとリアーナは心配して2人でレストランで話し合った[248]

ブルーノ・マーズの人気曲「Marry You」は、コールドプレイのドラムを大胆に引用している[249]。 コールドプレイがヘッドライナーを務めた2016年の第50回スーパーボウルハーフタイムショーの客演を、ビヨンセとともに務めた。

フランク・オーシャン

フランク・オーシャンは、自身のソロデビュー作品であるミックステープ『Nostalgia Ultra』の1曲目「Street Fighter」でコールドプレイの楽曲「Lovers In Japan」「Life In Technicolor」「Strawberry Swing」をサンプリングし、2曲目で「Strawberry Swing」の歌詞を一部変えてカバーしている。全3曲ともにコールドプレイのアルバム『美しき生命』の収録曲であり、フランク・オーシャンの同アルバムへの傾倒が表れている。オルタナティブ・ロック、ブラックミュージック、エレクトロニカ、アンビエント、クラシックなどを横断したアルバム『美しき生命』の作風は、フランク・オーシャンの音楽性に通底している。

同作 『Nostalgia Ultra』 は革新的な作品として様々な方面から絶賛され、オルタナティブR&Bという新たなジャンルの潮流を作り出した。後のザ・ウィークエンドSZAカリードなどのアーティストのブレイクにも繋がっている。それ以前のフランク・オーシャンは、ジャスティン・ビーバージョン・レジェンドなどへの匿名の楽曲提供、ヒップホップ集団Odd Futureでの活動を中心に行なっていたが、EPのリリース後は、一時期悪化していたDef Jamとの関係が改善されるとともに、ソロ活動を行うようになる。ジェイ・Zカニエ・ウェストビヨンセとのコラボレーションにもつながり、その後飛躍していく礎となった。さらには、フランク・オーシャンは2012年のコールドプレイの『マイロ・ザイロト・ツアー』のヨーロッパでのオープニングアクトを務めることとなった。最終的には、フランク・オーシャンは自身のフェスの出演も含めたヨーロッパの予定を全て直前にキャンセルしたため、前座の代役をチャーリー・XCXが務めた。

シザ(SZA)

SZAは、2014年にコールドプレイの「ゴースト・ストーリーズ・ツアー」にオープニングアクトとして帯同したことについて、「自分の芸術性や精神を子供の頃に真に形成してくれたバンドの前座を務めることができたのは、計り知れないほど幸運だった」と感謝を伝えている。SZAの楽曲「Special」はコールドプレイの「Scientist」のメロディーに影響を受けている[250]

  • ヒップホップ
ジェイ・Z

ジェイ・Zは、「自分はこの業界に長くいるので、天才を前にするとわかるが、クリス・マーティンはまさにその天才であり、イギリスはいずれクリスが現代のシェイクスピアだったと振り返ることになるだろう」「もしコールドプレイのライブを観る機会があれば必ず行くべきだ」とインタビューで絶賛している[251]。ジェイ・Zは楽曲やライブで何度もコールドプレイやクリス・マーティンとコラボレーションをしており、コールドプレイのライブ会場でも度々目撃されている。

カニエ・ウェスト

カニエ・ウェストは、2005年のインタビューで自身の目指す音楽性を「コールドプレイ、ポーティスヘッドフィオナ・アップルのスタイル」と呼んだ。カニエは自身の曲「Big Brother」(2007年)の歌詞などにおいて、「コールドプレイのクリス・マーティンとコラボして曲を作った」とジェイ・Zに伝えたところ、ジェイ・Zも続いてクリスと曲を作り、コラボ曲を自分より先にリリースしたと主張し、ジェイ・Zを非難した。一方でジェイ・Zは、「そもそもカニエがクリスとコラボできたのは自分のおかげであり、友人であるクリスの電話番号を教えて紹介してあげたからだ」と反論するとともに、「カニエと違って自分はコラボした曲”Beach Chair”をシングルカットしていない」と弁明している。カニエはクリスとの楽曲「Homecoming」を2007年にリリースした後には、「今度はコールドプレイ(バンド全員)ともコラボしたい」とインタビューで話している。

カニエ・ウェストは、自身の代表作となるアルバム『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』のリリース直前に受けた2010年のインタビューでも同様にコールドプレイへの愛を熱弁している。「クリスはソングライターとしてもパフォーマーとしてもジョン・レノンと並ぶ天才だ」「30年後にはコールドプレイはビートルズよりも優れた、歴史上最も偉大なバンドだったと人々は回顧するだろう」と絶賛している[18]。コールドプレイと一緒に史上最高のアルバムを作ることが夢だとも語っている。当時のコールドプレイの最新アルバム『美しき生命』(2008年リリース)は、オルタナティブ・ロック、ブラックミュージック、エレクトロニカ、アンビエント、クラシックなどを横断した音楽性が特徴だが、2010年リリースのカニエのアルバム『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』の作風に通じるものがある。2020年には、カニエは自身のプロジェクト「Sunday Service」のライブで、コールドプレイの「フィックス・ユー」をカバーしている

ドレイクキッド・カディマック・ミラーをはじめとするマチズモを強調しない内省的な歌詞を特徴とするラッパーが2010年代以降増えたが[252]、コールドプレイは、2000年代以降において、そのような作風が受け入れられる土壌をロックバンドとして形成したとも言える。コールドプレイが人気を博す以前のアメリカのロックシーンでは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズグリーン・デイパール・ジャムなど、力強さや荒々しさを前面に出したバンドが中心を担っていた。ドレイクは自身の楽曲「Congratulations」、マック・ミラーは「Cut the Check」において、それぞれコールドプレイの「Viva La Vida」をサンプリングしている。コールドプレイは、キッド・カディの「Day 'n' Nite」のカバーを「Spotify Singles」としてリリースしている。

フューチャー

フューチャーは、コールドプレイのメロディーが好きで影響を受けていると度々話しており、「コールドプレイは永遠の伝説だ」とSNSに投稿している[180]

トラヴィス・スコットは、コールドプレイのメロディーのセンスや暗い感じなどがとても好きだと語り[253]、大きな影響を受けたアーティストの一つに挙げている。自身の曲「Way Back」の歌詞でもコールドプレイに言及している。

チャンス・ザ・ラッパーは、自身の楽曲でコールドプレイの曲をサンプリングし、ライブでも「フィックス・ユー」をカバーしている。

リゾ

リゾは、コールドプレイの「Yellow」をサンプリングした自身の楽曲に「Coldplay」というタイトルをつけた。「クリスの詩的な歌詞で人々を感動させる能力は驚くべきものだ」と称賛している[254]

リル・ヨッティは、コールドプレイを聴いて育ったことが自身の音楽性の背景にあると語っている。

アイス・スパイスは、好きなアーティストの一つとしてコールドプレイを挙げている[255]

  • ブラックミュージック
ティンバランド

ジャスティン・ティンバーレイク、ミッシー・エリオット、ジェイ・Z、ナズアリーヤ、リアーナ、マドンナ、マイケル・ジャクソンなどのヒット曲を手掛け、2000年代のブラックミュージックを象徴する音楽プロデューサーとなったティンバランドは、コールドプレイの熱烈なファンである[256]

ケンドリック・ラマーの「HUMBLE.」「DNA.」、ビヨンセの「Formation」、レイ・シュリマーの「Black Beatles」、マイリー・サイラスの「We Can't Stop」など、多数のヒット曲を手掛けている音楽プロデューサーのマイク・ウィル・メイド・イットは、影響を受けたアーティストや最も好きなバンドの一つとして、コールドプレイを挙げている[257]

コールドプレイと共演するジェイコブ・コリアー(2022年)

ジェイコブ・コリアーは、「コールドプレイが自分の人生に与えてきた影響は、正直言って言葉では言い表せない」と投稿している。

コールドプレイは、これまで差別が常態化し、ジャンルや人種ごとの分断の激しかった音楽業界の変革を牽引している。ブルース・スプリングスティーンが「白人至上主義と白人の優遇は、自分が思っていたよりもずっと根深いってことを思い知らされた」と証言しているように[258]、現在も人種差別は大きな問題となっている。

グラストンベリー・フェスティバル

2008年には、ジェイ・Zは、世界最大級のイギリスの音楽フェス「グラストンベリー・フェスティバル」のヘッドライナーに抜擢されて激しいバッシングを受けた。クリス・マーティンは「彼は世界1のラッパー。(ジェイ・Z抜擢の)この騒ぎにはちょっと恥ずかしいとさえ思ってるよ」とジェイ・Zを擁護するコメントを発した。オアシスノエル・ギャラガーがグラストンベリーでのヒップホップは「間違っている」「あり得ない」と主張するなど、マスコミを騒がせていた。 渦中のジェイ・Z本人は、この時代、ロックヒップホップといったジャンルに境界線があるほうがおかしいと主張。「音楽を分類したがる奴らもいる。でも、今の若者は音楽をそういう風に聴いてないだろ?俺はどんなタイプのものでも聴く。そうであるべきだと思ってる。それが今の世界だ。いろんなカルチャーがミックスされてるべきだ。(分けるとしたら)いい音楽か、悪い音楽かってだけだ。」そして「新しいものを受け入れないで、どうやって発展していくって言うんだ?全くもって古い考え方だ。世の中の動きについていってない。(批判されて)ほんと驚いた」と反論した(詳細は2008年・ジェイ・Zのヘッドライナー出演を巡る騒動を参照)。

ちなみに、オアシスのメンバーとコールドプレイの関係は良好であり、ノエルは2016年にリリースされたコールドプレイの楽曲「Up&Up」にギターで参加している。ボーカルのクリスについては、「自分のアルバムにも参加してもらいたい」「やつはとんでもない魔法使いなんだ。天才だよ」と称賛している[181]

2011年には、クリス・マーティンは、グラストンベリー・フェスティバルにヘッドライナーとして出演するビヨンセを後押しした。ビヨンセは、夫ジェイ・Zが2008年に出演した際、様々な意見が飛び交ったことから自身の同フェスティバルへの出演に対して悩んでいたが、そんなビヨンセをクリスが説得したと、共同主催者を務めるエミリー・イーヴィスが『ラジオ・タイムズ』誌に明かしている[259]

2016年の第50回スーパーボウルのハーフタイムショーでコールドプレイと共演するビヨンセとブルーノ・マーズ

コールドプレイがヘッドライナーを務めた 2012年のロンドンパラリンピック閉会式と2016年の第50回スーパーボウルハーフタイムショーでは、前者にジェイ・Zとリアーナ、後者にビヨンセとブルーノ・マーズが客演として参加した。ジャンルや人種、性別の垣根を越えた世界的アーティストの共演は2010年代の音楽シーンを象徴するパフォーマンスの一つとなった。自分たちだけではなく、他のアーティストと共に出演することを望んだクリス・マーティンの思いからハーフタイムショーでの共演は実現した。「一体感を演出したかった。僕たちの世界、音楽界にあるできるだけ多くのものを取り入れようと考えたんだ」とクリスは話している[260]。当初はクリスの誘いをブルーノ・マーズは断っていたが、クリスはブルーノをスタジオに招き、ブルーノとマーク・ロンソンの大ヒット曲「アップタウン・ファンク」を三人で一緒に披露したいという希望を明かした[261]。ブルーノは「スター同士の共演はお粗末な内容になるケースも多い」との思いからまだ懐疑的だったため、ビヨンセの考えを聞いてみるようにクリスに提案した。クリスがすぐに二人の動画をビヨンセに送ったところ、ビヨンセも参加に乗り気だったため、共演が実現した。人種も性別も違う三者が歌い踊ることで音楽が人を繋げることをステージで体現し、さらにスーパーボウルや音楽の歴史を振り返る構成によって先人たちへのリスペクトを表現した。このステージは世界中の音楽ファンから称賛を浴びる一方、ビヨンセとブルーノの鮮烈な印象から「コールドプレイは脇役だった」という共演の背景や意図を無視した心無い意見も多くあったが、スーパーボウル後の会見でクリスは「ビヨンセとブルーノをよりカッコよく見せることができたなら僕は幸せだよ」と笑顔で答えている。

ロック/オルタナティブ

ローリング・ストーンズU2オアシスニック・ケイヴなど、多くのロックアーティストがコールドプレイを称賛している。また、イマジン・ドラゴンズトゥエンティ・ワン・パイロッツワン・リパブリックザ・キラーズマムフォード・アンド・サンズなど、多くのロックバンドがコールドプレイに影響を受けたことを公言している。

ポール・マッカートニーミュージケアーズ・パーソン・オブ・ザ・イヤーを授与されたときには、トリビュート・コンサートのパフォーマーの一組にコールドプレイが選ばれ、ビートルズの「恋を抱きしめよう(We Can Work It Out)」を演奏した。

ローリング・ストーンズミック・ジャガーは、コールドプレイのライブを観て楽しんでいる動画をSNSに投稿し、「素晴らしい時間を過ごした」と書いている。 ブルース・スプリングスティーンマイケル・スタイプ(元R.E.M.)、エド・オブライエンレディオヘッド)、ベックなどとも親交があり、ステージ上で共演することも多い。

ニック・ケイヴ

ニック・ケイヴは、自身のバンド「ニック・ケイヴ・アンド・ザ・バッド・シーズ」の楽曲「Waiting for You」(2019年リリース)は、クリスの助言を取り入れて作り直したものだと明かし、「私はいつもクリスの寛大な精神と世界との関わり方に惹かれている」「彼は優しい男で、私の大切な友人だ」と話している。

U2のボノ

U2ボノは、自身の楽曲「Every Breaking Wave」(2014年リリース)は、友人のクリス・マーティンの助言がなければ完成させることができなかったと話している。U2のジ・エッジは「ジョニー・バックランドは多くのギタリストの憧れだ」と称賛している[43]

元オアシスのノエル・ギャラガーは、コールドプレイの楽曲「イエロー」について、「初めて聴いたとき、とっさギターを引っ掴んで叫んだよ。ちくしょう!どうして俺がこの曲を書かなかったんだ!ってね」と明かしている[43]。ノエルは、コールドプレイの楽曲「Up&Up」にギターで参加し、クリスについて「自分のアルバムにも参加してもらいたい」「やつはとんでもない魔法使いなんだ。天才だよ」と称賛している[181]

オアシスリアム・ギャラガーは、過去には「コールドプレイの曲を聴くと自殺したくなる」などと否定的な発言もしていたが、2017年には「自分が今まで彼らについて言ってきた発言全てを撤回する」「クリスもバンドメンバーもクールなやつだ」「とてもかっこいいバンドで驚いた」と発言し[262]、現在は「クリス・マーティンは人々に愛と沢山の光をもたらす素晴らしい奴だ」[182]と話している。

フィービー・ブリジャーズは、自身が好きなナダ・サーフの楽曲「Inside of Love」をコールドプレイの音楽に喩え、ときどき聴くと他の音楽がしばらく存在しなくなるくらい素晴らしい曲だと紹介している。

ダンス/エレクトロニック

マーティン・ギャリックス

デヴィット・ゲッタザ・チェインスモーカーズカイゴスウェディッシュ・ハウス・マフィアなどのEDMアーティストがコールドプレイに影響を受けたことを公言している。世界No.1のDJ[263]とも称されるマーティン・ギャリックスは、ファンを公言し、たびたびコンサートを観に行っている。

ジョン・ホプキンス

エレクトロニック・ミュージック界を牽引し、ブライアン・イーノの作品や4thアルバム『美しき生命 』以降の多くのコールドプレイの楽曲にも携わっているジョン・ホプキンスは、「コールドプレイはとても実験的な音楽センスを持っている」「彼らは音楽の趣味がめちゃくちゃ広いんだ」と2013年にインタビューで語っている[99]。また、ホプキンスは別のインタビューで「あまりによくできたポップソングは、なぜだが簡単に作られたように思われるんだけれど、実際に作ってみようとすれば、何千人ものひとを一瞬で虜にする曲を書くことがどれだけ難しいか、よくわかると思う」「たとえばコールドプレイは誰もがくちずさんでしまう曲を書く、それどころか、スタジアム全体を合唱させてしまう。それは決して簡単なことではないよ」「ある程度聴き手を選ぶ音楽を作るほうがきっと簡単だろう」と語っている[264]

ライブ/ツアー

2022年のウェンブリー・スタジアム公演

Veja誌のFelipe Branco Cruzは、コールドプレイは「アリーナロックの概念を再発明した」と述べている。彼らのライブパフォーマンスは、ファンを単なる観客ではなくライブの主人公に変え、ピンク・フロイドクイーンU2のようなグループが確立した「音楽を超越した」ショーの遺産を受け継ぐことになった。また、コンサートでのLEDリストバンドの普及も彼らの功績である。レディー・ガガテイラー・スウィフトワンリパブリックザ・ウィークエンドジェイ・Zなど、コールドプレイの演出を取り入れたアーティストも多数存在する。

Le SoirのDidier Zacharieによると、『Music of the Spheres World Tour』(2022-23)が提案したエコロジー計画は、スタジアムツアーとしては「前例がない」とし、バンドが環境に優しいツアーの「青写真を描いた」と評価されている。2022年、世界最大級のライブ・エンタテイメント企業であるライブ・ネイションのLucy August-Pernaは、Coldplayはそれまでの5年間に同社が開発してきたフレームワークをさらに構築するのを手助けし、コールドプレイの成功事例と計画は、より多くのアーティストに「持続可能なツアーの選択肢を提供」するために標準化されるとコメントしている。Uproxxとビルボードは、コールドプレイがビリー・アイリッシュの『Happier Than Ever, The World Tour』とショーン・メンデスの『Wonder:The World Tour』のツアーに与えた影響について評価している。

2016年のアムステルダム公演

ステージのLED機材のためのJohn Wiseman(Worldwide Sales社)、Frederic Opsomer(PRG Projects社)とのパートナーシップによる仕事は、「これまでに存在しなかった」製品を生み出すことになった。例えば、膨らませることができる立体的な球体は、通常のモデルを保管・運搬するために必要なスペースを劇的に縮小した。Opsomer氏は、コールドプレイのツアーのために開発されたカスタム技術は、ライブエンターテインメント業界において「数年後には当たり前のものになる」とも語り、この試みの「ビジョンとバックボーンを持っている」バンドへの感謝を語った。

メディア/評論家

フォーブスのスティーブ・バルティンによると、コールドプレイは現在のオルタナティブロックの音楽シーンにおけるスタンダードとなり、「一貫した演奏と冒険的な仕事を通じて」「すべての音楽の中で最も優れたライブバンドのひとつ」に成長し続けている[265]。Afishaに寄稿したセルゲイ・ステパノフは、彼らは「ヒットメーカーの能力と潜在的な重さ」という点で「21世紀のビートルズ」であり、U2の「オルタナティブ・ロックを主流にする」能力も受け継いでいるとコメントしている[266]

レコーディングアカデミーによる『Parachutes』20周年レビューでジョン・オブライエンは、この作品が現在でもバンドにとって最も影響を与えたアルバムで、ザ・フレイスノウ・パトロールワンリパブリックといったバンドの作品に影響を与えていると述べた[267]。 また、「コールドプレイや、より小さい程度ではあるがトラヴィスは、ロックンロール・スターの考え方に賛同しない人々のために門戸を開く手助けをした」とも論じている[268]

コールドプレイの大ヒット曲「Yellow」は、ピッチフォークによって2000年代のベストトラックの1つとされ[269]、音楽において最も重要である曲の1つであるとしてロックの殿堂の「ロックンロールを形作った曲」のリストに選出された[270]。ロック史における重要な出来事について論じたガーディアン紙は、バンドがこの曲でその後のメインストリーム・ロックの方向性を定め、「高揚感に支えられた切望した哀愁という新しい音楽性を生み出した」と称賛した[271]

2ndアルバム『静寂の世界 (A Rush of the Blood to the Head)』(2002年)は、ロイヤル・メールによって過去40年間のイギリスのクラシックなアルバム・カバーを称える切手セットに選ばれ[272]ロックの殿堂[273]ローリング・ストーン[274]NME[275]によって史上最高のアルバムの1つに選ばれた。 ローリング・ストーンは「Clocks」と「Fix You」を、NMEは「Yellow」と「The Scientist」を史上最高の曲の1つに位置づけた。ローリング・ストーンとBBCアメリカは、「美しき生命 (Viva La Vida)」を2000年代のベストトラックの1つとして称賛した。『静寂の世界』はBBCのラジオ2局のリスナーによる歴代最も好きなアルバムの1位に選出された[15]

2010年、VH1は音楽業界の専門家の投票に基づき「史上最も偉大な100人のアーティスト」の一つにコールドプレイを選出した[276]。 翌年、バンドは『Mylot Xyloto』をリリースし、Qの「過去30年間の偉大なアルバムリスト」に加えられた[277]ローリング・ストーンはリードシングル「Every Teardrop Is a Waterfall」を2010年代のベストトラックの1つに選出した[278]。 iHeartRadioは2014年にバンドがリリースした「A Sky Full of Stars」を2010年代のオルタナティブ・ロックを代表する1曲とした[279]英国レコード産業協会は英国音楽の世界輸出を押し上げたアーティストとしてアデルエド・シーランと共にコールドプレイを挙げている。

日本のメディア/評論家

音楽雑誌rockin'onの創刊者の渋谷陽一は、9thアルバム『Music Of The Spheres』について、「アルバム・コンセプトにしっかり物語性を持たせ、それをジャケット・デザインやMVによってひとつの世界観として作り上げていく、その手法は相変わらず見事だし、真面目だ」と評している[280]。収録曲「Coloratura」については、プログレッシブ・ロックを生んだUKロックの伝統文化の継承を見事なエンターテイメントにして見せていると称賛している[281]

rockin'onの現編集長の山崎洋一郎は、コールドプレイは「他のどんな英バンドとも違う、アメリカのバンドとも違う、独特の」メロディーを持っていると分析している。2014年のライブの感想として「極上のライブ。至福の時間だった」「終わってロビーに出た時に日本のアーティストに何人も会ったが、一人残らずみんな興奮しまくっていた」と絶賛している[282]

rockin'onの元編集長の粉川しのは、8thアルバム『Everyday Life』について「宗教や文化、人種や価値観の差を音楽によって融和していこうとする本作は、この分断の時代を乗り越える決意が宿った、力強いメッセージ・アルバムでもある」と評している[283]

音楽雑誌MUSICAの創刊者であり、音楽フェス『VIVA LA ROCK』のプロデューサーを務めている鹿野淳は、コールドプレイの2017年の東京ドームライブの感想として「あれだけ彼ら(=コールドプレイ)のエンターテイメントに影響されたバンドによる音楽とライヴが世界中に溢れ、それを目撃し続けているのに、やはり大元のライヴは一味違うし、誰よりも大胆でキレがあった。何度見ても楽しいし、何度見ても知り合いにバカスカ会う(笑)」と称賛している[284]

音楽ライターの池城美菜子はファンを公言し[285]、「Viva La Vida」の歌詞を絶賛している[286]

否定的な評価

コールドプレイに否定的な立場をとるメディアも存在する。一部のメディアやロックのファンダムは、ロックバンドは労働者階級出身であるべきだとする価値観を持っており[287]中流階級上流階級出身のロックアーティストは批判対象となることも多いとされる。こうした風潮はロックが歴史的にカウンターカルチャーの象徴的存在として受容されてきたことと関係し、ビートルズやボブ・ディランなどは、下流階級や辺境、不良などの「アウトサイダー」に魅力があるということを強く訴えていた。オアシスやニルヴァーナなどは、労働者階級の代弁者として人気を集めた。反支配層・反中央という指標を満たすことが「ロックであること」にとっての本質であるとされた。ロック音楽文化にコミットする人やメディアが音楽の価値を論じるときには、「下方向」「埒外」への指向性や出自によって判断される度合いも大きかったと言われている。欧米圏ではそのような風潮が現在も残っており、階級社会であるイギリスにおいて顕著である。コールドプレイが多くのトップアーティストから称賛されているのにも関わらず、一部の評論家やリスナーから見合った評価を得ていない理由として、クリス・マーティンやメンバーの恵まれた生い立ち[288][289]や経歴、品行方正な振る舞いなどが伝統的なロックスター観と相容れないことが背景にあるという指摘がある[290]。クリスが2003年にハリウッド女優のグウィネス・パルトローと結婚したことや、労働者階級を象徴していたロック音楽にストリングス・ピアノなどのクラシック音楽の要素を積極的に導入したことなども反発を呼んだ。

コールドプレイの中性的な音楽性や歌詞に対して「弱々しくて男らしくない」「女々しい」というマチズモ(男性優位主義)に基づく批判も多数存在した。「男らしさ」「女らしさ」といった旧来のジェンダー観が一般的だった頃は、メディアや世間は、荒々しく力強い男性像を多くのロックバンドに対して求めていた。

コールドプレイは、ブラックミュージック、ダンスミュージック、ポップミュージック、クラシックなど、他ジャンルとの融合・コラボレーションを積極的に行い、自身の持つボーダレスな作風・姿勢を強めているが、ロックの原理主義者は「ロックの魂を売って擦り寄った」「ミーハーで軽薄」とコールドプレイを非難した。その一方で、コールドプレイ批判の急先鋒であるピッチフォーク・メディアは、2000年代にインディー・ロックを象徴する音楽メディアとして脚光を浴びたが、2010年代以降その権威や影響力を失った[291]

日本でも同様に、伝統的なロック観やジェンダー観の維持、音楽ジャンルの区別や差別化にこだわる保守的なメディアやリスナーから誹謗中傷されることが多い。コールドプレイに批判的な評論家として田中宗一郎宇野維正などがいる。田中宗一郎は、自身が創刊した音楽雑誌 『snoozer』(2011年に廃刊)、ウェブメディアやポッドキャスト(ともに2023年に終了)などでコールプレイを酷評し続け、現在は「悪しきマチズモの権化」を自称している[292]女性蔑視発言などで度々批判を受けている[293]宇野維正は、コールドプレイに対する辛辣な評価を繰り返す一方で、コールドプレイに多大な影響を受けている宇多田ヒカルやフランク・オーシャンなどを高く評価しており、批評の基準に一貫性が見られない。

コールドプレイへの批判やアンチの存在に対して、2016年にボーカルのクリス・マーティンは「誰かが僕たちのことを嫌いだとしても、今は全く気にしていないんだ。2つ前のアルバム(『マイロ・ザイロト』)を作るときにみんなを喜ばせようとするのはやめようと決めたんだよ。それでは結局誰も喜ばせることが出来ないからね。僕たちのことを酷いと思うことで喜びが得られるのなら、是非そうしてほしいんだ。僕は気にしない。音楽っていうのはレストランのようなもので、みんなが同じものを好きにはならない。僕は自分達が作っている音楽が好きだけど、みながそうである必要はないし、嫌いな人たちを恨むこともない。自分の心と感性に従うべきなんだ。」とインタビューで語っている[294]

クリスの親友のサイモン・ペッグ
友人のブルース・スプリングスティーン

2021年のインタビューでクリスは、「僕たちの音楽に対する否定的な意見にとらわれないようにするために、僕は本当に一生懸命努力してきたんだ」「これはイギリス的なことで、自分が自分であることができないように感じる」「今はもうそんなことは気にしていないんだ」「もし僕らの音楽を好きではない人たちや、僕のことを愚か者だと思うかもしれない人たちのことを考えすぎれば、話すことも自分らしくいることもできなくなるからね」「だからいつもそのことには自分で対処しなければならないんだ」と話している。さらには、周りの友人やミュージシャンから手助けを受けたことへの感謝を語り、長年サポートを受けた友人の名前として、ジェイ・Zサイモン・ペッグボノU2)、ジ・エッジ(U2)、ブルース・スプリングスティーンニック・ケイヴマイケル・スタイプ(元R.E.M.)、エド・オブライエンレディオヘッド)、フラン・ヒーリー(トラヴィス)、ダニー・マクナマラエンブレイス)を挙げている。

文化/スポーツ

作家の村上春樹
Apple創業者のスティーブ・ジョブズ

コールドプレイは、映画やドラマ、スポーツ、テクノロジーなどをはじめとする現代のポップカルチャーや社会とも密接に結びついている。作家の村上春樹やサッカー監督のペップ・グアルディオラApple創業者のスティーブ・ジョブズなど、著名人や文化人にもファンが多い。

世界的なベストセラー作家で音楽好きとしても知られている村上春樹は、自身の日課のランニングの最中に聴くアーティストとして、コールドプレイやゴリラズなどを挙げている。

6才のボクが、大人になるまで』『クレイジー・リッチ!』『SUITS/スーツ』『ペーパー・ハウス』『SING/シング: ネクストステージ』『トロールズ』『ハンガー・ゲーム2』『宇宙兄弟』などの映像作品にコールドプレイの楽曲が使用されている。また、『ゲーム・オブ・スローンズ』『モダン・ファミリー』『ラリーのミッドライフ★クライシス』『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ブルーノ』『AVICII: TRUE STORIES』『エキストラ:スターに近づけ!』などの映像作品にメンバーが出演している(詳細は#映像作品/俳優で後述)。

AppleのiPodシリーズ

2008年のAppleの「iPod + iTunes」のCMでは、コールドプレイの「Viva La Vida」が使用された。2011年にApple本社で行われたスティーブ・ジョブズの追悼式典では、コールドプレイは式の最後に「Fix You」「Every Teardrop Is a Waterfall」など計4曲を演奏し、コールドプレイのファンでもあったジョブズに捧げた[295]。Appleが2014年に初めてApple Watchをイベントで発表する際の動画では、コールドプレイの「A Sky Full of Stars」が使われた。2021年には、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツの娘のジェニファー・ゲイツの結婚式に招かれて楽曲を演奏した。

2012年のロンドンパラリンピックの閉会式

スポーツとの関わりも深く、2012年のロンドンパラリンピック閉会式や2016年のスーパーボウル50周年記念のハーフタイムショーではヘッドライナーを務めた。閉会式では15曲以上の楽曲を披露し、前年にリリースした「Every Teardrop Is A Waterfall」でロンドンパラリンピック及びロンドンオリンピックの最後を締めた。ペップ・グアルディオラフィルジル・ファン・ダイクペトル・チェフオリヴィエ・ジルーなど、多くのサッカー関係者がファンを公言している(詳細は#サッカーで後述)。アメリカの元フィギュアスケート選手のアダム・リッポンは、2018年平昌オリンピックなどのフリープログラムでコールドプレイの楽曲「O(オー)」を使用していた。

映像作品/俳優

ドラマ『ペーパーハウス』
映画『クレイジー・リッチ』

映画・ドラマ・アニメなどの映像作品にコールドプレイの楽曲が使用されることも多い。

アメリカの人気テレビドラマ『SUITS/スーツ』(2011-19年放送)の最終回では、楽曲「Viva La Vida」(2008年リリース)がエンディングで流された。2013年の全米興行収入1位を記録した『ハンガー・ゲーム2』では、「Atlas」が主題歌に使われた。映画技術史上の金字塔的作品として絶賛された『6才のボクが、大人になるまで』(2014年公開)では、冒頭からコールドプレイの「Yellow」(2000年リリース)が流れて映画が始まる。アニーション映画『トロールズ』(2016年公開)では「Adventure of a Lifetime」(2015年リリース)が劇中歌に使われている。第46回国際エミー賞で最優秀ドラマ・シリーズを受賞したNetflix屈指の人気シリーズ[296]ペーパー・ハウス』(2017-21年放送)の最終回では、楽曲「Fix You」(2005年リリース)が使われた。1993年以来で初めて主要キャストがすべてアジア系のハリウッド作品として脚光を浴び、大成功を収めた映画『クレイジー・リッチ!』(2018年公開)では、楽曲「Yellow」(2000年リリース)が使われた[297]。アジア人の蔑称として使われる「Yellow (イエロー)」を美しい言葉として歌った同曲にジョン・M・チュウ監督が感銘受けて「映画の主題歌に使いたい」とコールドプレイに直訴した[298]。2021年公開のアニメーション映画『SING/シング: ネクストステージ』では、「A Sky Full of Stars」(2014年リリース)が劇中歌に使われている。

川村元気が企画・プロデュースした日本の実写映画『宇宙兄弟』(2012年公開)では、「Every Teardrop Is a Waterfall」(2011年リリース)が主題歌に使われている。川村元気と『宇宙兄弟』の原作者の漫画家小山宙哉は、その後コールドプレイの楽曲「Something Just Like This」の日本版MVの脚本・監督・プロデュース、キャラクターデザインをそれぞれ担当し、小松菜奈がMVの主演を務めた。

ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』

多くの映画やドラマなどにメンバーが出演している。

ボーカルのクリス・マーティンは、映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年公開)、『ブルーノ』(2009年公開)、『AVICII: TRUE STORIES』(2017年公開)、テレビドラマ『エキストラ:スターに近づけ!』(2006年放送のシーズン2のエピソード4)、『モダン・ファミリー』(2017年放送のシーズン9のエピソード8)、『ラリーのミッドライフ★クライシス』(2020年放送のシーズン10のエピソード6)などに出演している。

ギターのジョニー・バックランドは、映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年公開)にクリスと共に出演している。ドラムスのウィル・チャンピオンは、21世紀を代表するテレビドラマの一つである『ゲーム・オブ・スローンズ』(2013年放送のシリーズ3のエピソード9)にドラマーとしてカメオ出演している。

ロバート・ダウニー・ジュニア

俳優ロバート・ダウニー・ジュニアはクリス・マーティンと親交があり、度々コールドプレイのコンサートを観に行っている。自身が主演した映画『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』にはクリスのアイデアが多数使われていると明かしている。俳優マット・デイモンクロエ・グレースモレッツトム・ヒドルストンなど海外セレブのコンサート会場での目撃情報が報じられることも多い。

サッカー

2011年のFCバルセロナのクラブワールドカップ優勝時のセレモニー
ペップ・グアルディオラ監督

サッカー史上最も強いチームとの呼び声も高いペップ・グアルディオラ監督時代(2008-12年)のFCバルセロナでは、監督の意向で試合に向かうバスの中で毎回コールドプレイの曲を流していた。「Viva La Vida 」はチーム「ペップ・バルサ」の象徴的な楽曲となり、欧州サッカーリーグで6大トロフィーを全て獲得した歴史的な2008-09シーズンのFCバルセロナのシーズンエンディング曲としても使用された。当時のFCバルセロナに所属していたリオネル・メッシは、世界年間最優秀選手に贈られるバロンドールを4年連続(2009-2012年)で受賞し、キャリアの全盛期を迎えた。コールドプレイの大ファンであることを公言しているペップ・グアルディオラ監督は、現代サッカーの戦術や仕組みを一変させ、現在まで世界一の名将と評されている。その後指揮したFCバイエルン・ミュンヘンマンチェスター・シティFCといった他の強豪クラブでも同様に、「Viva La Vida」「Fix You」などのコールドプレイの楽曲を、選手に見せる動画などで使用している。

世界屈指の名門クラブとして知られるリヴァプールFCでは、2019年に30年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた際に、選手たちは祝賀会で流す曲としてコールドプレイの「A Sky Full of Star」を選んだ。優勝の立役者としてPFA年間最優秀選手賞を受賞したフィルジル・ファン・ダイクは、コールドプレイのファンであることを明かしている。リヴァプールFCの元キャプテンのスティーヴン・ジェラードは、好きなアーティストの1つにコールドプレイを挙げている。

イングランドの強豪チームチェルシーFCでは、以前 フローラン・マルダの呼びかけにより ディディエ・ドログバジョー・コールジョン・テリーも含めた4名でコールドプレイに影響されたバンドを結成する計画があった。元チェルシーFCペトル・チェフはコールドプレイのファンであると話し、自身のYouTubeチャンネルでは楽曲をドラムでカバーしている

同じくイングランドの強豪チームであるアーセナルFCに所属していたオリヴィエ・ジルーアーロン・ラムジーは、コールドプレイのファンを公言している。ジルーは試合前に聴く曲として「Evert Teardrop Is A Waterfall」を挙げていた。アーセナルFCの熱狂的なサポーターのタレントハリー杉山もコールドプレイの大ファンであることを度々話しており、好きな楽曲に「Viva La Vida」「Yellow」「A Sky Full of Stars」を挙げている[299]

ボーカルのクリス・マーティンエクセター・シティFC、ギターのジョニー・バックランドトッテナム・ホットスパーFC、ベースのガイ・ベリーマンはレイス・ローヴァーズFC、ドラムスのウィル・チャンピオンはサウサンプトンFCのファンである。ウィル・チャンピオンは2007年のチャリティーマッチ、ルイス・フィーゴチームvs世界選抜でフィーゴチームに後半17分から途中出場してプレーした。2019年にはチェルシーFCの本拠地スタンフォード・ブリッジで、元マンチェスター・ユナイテッドFCのスター選手リオ・ファーディナンドなどとサッカーをした。2013年にボーカルのクリス・マーティンは、ラッパーで親友のジェイ・Zと共にアーセナルFC対マンチャスター・ユナイテッドFCの試合を観戦する姿を報じられている。2012年のインタビューでクリスは自分たちをマンチェスター・ユナイテッドFCに喩えている。

クリス・マーティンは2000年リリースの代表曲「Yellow」の制作秘話として、曲が浮かんだ際にスタジオのラウンジにいるジョニーとウィルに聴かせたが、2人はサッカーゲームのFIFAシリーズを夢中でプレーしていたため、空返事しか貰えなかったことを明かしている。クリスは曲のサビができてからまたラウンジに戻って演奏したが、2人はまだサッカーゲームに夢中だったので、同じようにただ「いいね」と答えるだけだったという。

サッカーワールドカップではメンバー4人でイングランド代表を応援している。クリスは2022年のカタールワールドカップの前にはリオネル・メッシを史上最も偉大な選手と称賛し、決勝の対戦カードをイングランド対アルゼンチンと予想した。スコアは3対3で延長戦やPK線にもつれ込むだろうと語っていた。イングランドが準々決勝でフランスに敗れた際には、 「負けるか勝つかは重要じゃない。みんなこのイングランドというチームを見るのが大好きなんだ。彼らはとても美しい精神、優しさ、一体感を持ってプレーしており、それこそが僕たちが大切にしていることのすべてだ。本当にありがとう」と話している。決勝戦はアルゼンチンとフランスの対決となり、スコアは3対3でPK戦までもつれ込んでアルゼンチンが優勝した。メッシは自身のワールドカップ初優勝を成し遂げるとともに、大会最優秀選手(MVP)のゴールデンボール賞を受賞し、歴史的な大会となった。

政治/社会的姿勢

バンドの利益の10%を慈善団体に寄付している。コールドプレイは現在30以上の団体を支援している。アムネスティ・インターナショナルの支持者である。また、フェアトレード推進活動を支援し、2005年にスコットランドで行われた先進国首脳会議にむけて活動していたオックスファムの「Make Trade Fair」キャンペーンの参加者であった。クリスは実際の現場を見るために自らガーナハイチにも行っている。

2017年のグローバル・シティズン・フェスティバル
2017年のOne Love Manchester

バンド・エイドLIVE 8、グローバル・シチズン・フェスティヴァルなどの慈善コンサートにおいても公演を行っている。グローバル・シチズン・フェスティヴァルでは、2015年から2030年までのフェスのキュレーターに就任した[300]。2017年にはアリアナ・グランデマンチェスター・アリーナの爆破事件を受けて開催し、事件の被害者とその家族を支援するための資金を集めた慈善コンサート「One Love Manchester」に出演し、アリアナ・グランデやリアム・ギャラガーと共演した。コールドプレイの「Fix You」「Viva La Vida」やオアシスの「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」「ワンダーウォール」などを演奏した。

バラク・オバマ

2004年のグラミー賞の授賞式では当時のアメリカ大統領ジョージ・ウォーカー・ブッシュイラク戦争を批判し、民主党の大統領候補だったジョン・ケリーを支持した。2008年の大統領選では民主党から立候補したバラク・オバマを支持した。2015年にリリースされた楽曲「Keleidoscope」では、当時のオバマ大統領が歌った「アメイジング・グレイス」がサンプリングされている。2015年にアメリカ初の黒人教会で起きたチャールストン教会銃撃事件で亡くなった州上院議員クレメンタ・C・ピンクニーの葬儀の際に、オバマは同曲を歌ったが、その時の歌声が楽曲「Keleidoscope」に使われている。コールドプレイのファンでもあるオバマは特別に使用許可を与え、「彼らの歴史の一部になることができて嬉しい」と話している。2020年のジョー・バイデンアメリカ大統領選の勝利演説集会では、コールドプレイの「A Sky Full of Stars」が流された[301]。バイデンの息子ポー・バイデンはコールドプレイのファンだったが、2015年に脳腫瘍で亡くなっている。「A Sky Full of Stars」は息子の1番好きな曲だった。ボーカルのクリス・マーティンは当時の彼の葬儀で、コールドプレイの楽曲「Til Kingdom Come」を演奏している。

2016年の第50回スーパーボウルのハーフタイムショー

LGBTQコミュニティを支持しており、2016年の第50回スーパーボウルハーフタイムショーでのパフォーマンスでは、ショーの最後の瞬間、観客が "Believe In Love" と書かれた虹色のプラカードをひっくり返す演出を行った。2021年にリリースされた楽曲「People of the Pride」は、人種差別性差別などによって奪われた人権がテーマとなっている[302]ブラック・ライヴス・マターゲイ・プライドといった社会運動からインスパイアされて作られた。

コールドプレイは2022年のブエノスアイレス公演でイラン人女優のゴルシフテ・ファラハニと共演して、抗議活動のアンセムとなっている曲「Baraye」を披露している[303]。イランでは政府の基準に従ってヒジャブを着用しなかったとして「道徳警察」に首都テヘランで逮捕された22歳の女性マフサ・アミニが死亡したことを受けて、抗議活動が行われている。クリスは、「今、イランで多くの人に歌われている曲を歌いたい」「みんながニュースを観ているかどうか分からないけど、若い女性や若い人々が自分たちの自由や権利のために闘っている。バンドとして他の人を傷つけるのでなければ、誰もが自由であるべきだと思っている。自由のために闘う勇敢な若者に愛と応援を送るよ」「この曲はシャーヴィン・ハージーポアの“Baraye”という曲で、当局と揉めている人物が自由であることについて書いた曲なんだ」と曲を紹介している。

近年は地球環境問題気候変動への取り組みに力を入れている。2019年に自分たちが行うツアーの環境負荷を懸念し、「環境対策ができるまではツアーを中止する」と発表した[304]。その際、BBCの取材に対し、「今後1~2年かけて、地球環境を持続させるだけでなく、地球をより良くするための、ツアーのあり方を検討していく」と語っていた。2年後の2021年には、環境に配慮したワールドツアー『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ・ワールド・ツアー』を発表した。2016年〜2017年に行なった前回のツアー『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』ツアーの時と比較して、二酸化炭素の排出量を50%削減するほか、会場では、ほとんどすべての動力を再生可能エネルギーでまかなうと宣誓した[305]。観客が動くことで発電するキネティックフローリングやソーラーパネルを会場に設置し、チケットが1枚売れるごとに木を1本植えるなど、様々な取り組みをしている。

インクルーシブ&アクセシブル」をテーマに、あらゆる人がライブを楽しめるように様々な取り組みを実施している[306]。2021年にはツアーの全公演で聴覚障害者をサポートすると発表。コンサート手話通訳士を起用すると同時に、SUBPACという、振動を通して低音などを感じることができるウェアラブルベストを提供している[7]

ツアー/日本公演

ワールドツアー

ツアー名 日程 対応アルバム
1st Parachutes Tour 2000-2001年 1stアルバム『パラシューツ
2nd A Rush of Blood to the Head Tour 2002-2003年 2ndアルバム『静寂の世界
3rd Twisted Logic Tour 2005-2007年 3rdアルバム『X&Y
4th Viva La Vida Tour 2008-2010年 4thアルバム『美しき生命
5th Mylo Xyloto Tour 2011-12年 5thアルバム『マイロ・ザイロト
6th Ghost Stories Tour 2014年 6thアルバム『ゴースト・ストーリーズ
7th A Head Full of Dreams Tour 2016-2017年 7thアルバム『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』
8th Music of the Spheres World Tour 2022年-現在 9thアルバム『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』

ワールドツアーでは、対応するアルバムの収録曲に加えて過去の代表曲などを網羅したようなセットリストが組まれることが多い。

日本公演

公演・フェス 日程 会場
2000年 SUMMER SONIC '00 8月5日 富士急ハイランドコニファーフォレスト
2002年 招待制シークレット公演 12月6日 東京・新宿LIQUIDROOM
2003年 FUJI ROCK FESTIVAL '03 7月26日 新潟・苗場スキー場
2005年 FUJI ROCK FESTIVAL '05 7月29日 新潟・苗場スキー場
2006年 Twisted Logic Tour 7月15日 大阪・インテックス大阪5号館
7月17日 名古屋・レインボーホール
7月18日 東京・日本武道館
7月19日
2008年 SUMMER SONIC '08 8月9日 大阪・舞洲特設会場
8月10日 千葉マリンスタジアム
2009年 Viva la Vida Tour 2月11日 さいたまスーパーアリーナ
2月12日
2月14日 神戸・ワールド記念ホール
2月15日
2011年 FUJI ROCK FESTIVAL '11 7月29日 新潟・苗場スキー場
2014年 スペシャルクラブショー 6月12日 TOKYO DOME CITY HALL
2017年 A Head Full of Dreams Tour 4月19日 東京ドーム

まだ確定はしていないが、2024年に来日予定とする情報もある[24]

注釈

注釈

  1. ^ 授賞式の開催年を指す
  2. ^ リミックス曲「Talk (Thin White Duke Mix)」はBest Remixed Recording, Non-Classicalを受賞したが、コールドプレイではなくプロデューサーのJacques Lu Contに贈られた賞である。[146]
  3. ^ アルバム『Everyday Life』はグラミー賞「ベスト・レコーディング・パッケージ賞」にもノミネートされた。該当の賞はアーティストではなくアートディレクターに与えられる賞であり、アルゼンチン人のピラール・セタの名前でノミネートされた。
  4. ^ 授賞式の開催年を指す

出典

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  10. ^ a b c d 2023年1月現在、コールドプレイのグラミー賞ノミネート回数は39回と書かれる場合と34回と書かれる場合がある。グラミー賞の公式サイトでは、個々のメンバーのページでは39回と表示され、グループのページでは34回と表示される。理由としては、楽曲のソングライティングのクレジットに掲載されている者だけに与えられる賞の存在があり、そのような賞ではグループの曲であっても、グループ名ではなくクレジットの個人名で授与される。コールドプレイは基本的にどの楽曲に対してもメンバー全員の個人名をクレジットに載せている。メンバー全員に対して個人名で与えられた賞を実質グループとして与えられたと考えて回数に含めるかどうかという判断はメディアによって分かれているため、コールドプレイの通算ノミネート数は媒体によって異なる。
  11. ^ a b c d e f 原則としてグラミー賞の公式サイトに準じている。サイトやメディアによって受賞回数やノミネート回数のカウントの仕方が異なる。曲のソングライティングに携わったものだけに与えられる賞、アートディレクターなどに与えられる賞、レコーディング・エンジニアなどに与えられる賞、通常の賞とは別の特別賞などを含むか含まないかの違いである。
  12. ^ a b c d グラミー賞の公式サイトではビートルズの受賞回数は7回で、コールドプレイと並んでイギリスのグループとして最多となっている。これには特別賞や一部のメンバーのみに与えられた賞、アルバムのアートディレクターに贈られた賞などが含まれていない。公式サイトでは他のアーティストに対しても同様のカウント方法が採られている。受賞回数に含めるどうかはメディアによって異なり、ビートルズの受賞回数について特別賞等を含んで9回、もしくは11回受賞などと報じている媒体なども一部存在する。
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  288. ^ クリス・マーティンの父親は公認会計士で、母親は音楽教師であった。夏時間の提唱者であるウィリアム・ウィレットは曽曽祖父である。祖父は会社を興して成功した後、クリスが生まれ育ったデヴァンエクセターの執政長官と市長を務め、大英帝国勲章の第3位CBEを叙勲している。遠い親戚には、ウィンストン・チャーチルがいる。クリスは広大な敷地の中にある、6つの寝室をそなえたマナー・ハウスで育った。中高は全寮制のパブリックスクールに通い、大学は名門ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンをファーストクラスの学士号を取得して卒業している。
  289. ^ メンバーの多くは、親が大学や学校の教師であった。また、デビュー当時は、メンバー全員、名門大学ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの学生だった。
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外部リンク