高蔵寺ニュータウン
高蔵寺ニュータウン | |
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中央台にあるサンマルシェ | |
所在地 | 愛知県春日井市 |
位置 |
北緯35度16分53.7秒 東経137度2分56.6秒 / 北緯35.281583度 東経137.049056度座標: 北緯35度16分53.7秒 東経137度2分56.6秒 / 北緯35.281583度 東経137.049056度 サンマルシェ |
範囲地域 | #地域を参照 |
開発規模 | 702ha |
整備主体 | 住宅・都市整備公団 |
事業手法 | 土地区画整理事業 |
計画人口 | 81,000人 |
現在の人口 | 39,912人(2023年(令和5年)4月) |
現在の世帯数 | 19,298世帯(2023年(令和5年)4月) |
最寄駅 | JR中央本線 / 愛知環状鉄道・愛知環状鉄道線 高蔵寺駅 |
高蔵寺ニュータウン(こうぞうじニュータウン、英: Kozoji New Town)は、愛知県春日井市東部の丘陵地帯に建設されたニュータウン。2023年4月現在の人口は39,912人[1]。
1968年(昭和43年)に入居が開始された、日本で二番目に古い大規模ニュータウンである。千里や多摩と並ぶ黎明期のニュータウンの一つ。
概要
[編集]東西約4km[2][3]・南北約4km[2][3]に渡るニュータウンで、名古屋圏のベッドタウンとして開発された[4]東京大学の高山英華研究室が主導した都市計画で、イギリスやフランスのニュータウンの知識を参考にしながら都市開発を行った、戦後日本の代表的なニュータウンである[5]。設計は津端修一[6][7]。ニュータウンが丘陵地帯を開拓して作られた事にちなみ、地名にはすべて「台」の文字が付けられている[8]。
ニュータウンの中心部には、アピタ高蔵寺店を中核としたサンマルシェと呼ばれるショッピングセンターがあり[9]、このショッピングセンター周辺がニュータウンの中核施設群「センター地区」[8][10]となっている。また、ニュータウン周辺や国道19号、155号沿いには郊外型の店舗が多数進出している。
ニュータウン内には航空自衛隊高蔵寺分屯基地がある[11]。高蔵寺ニュータウンの計画はこの基地の移転を前提にしたものだったが、移転候補先で反対運動に合い、移転計画が頓挫してしまった[11]。そのため高蔵寺ニュータウンは、基地を抱えたまま現在に至っている[11]。同基地が移転せずその部分が未だに開発されていない分だけ、計画よりも人口が少なくなっている[11]。
名古屋市のベッドタウンであるため、名古屋市への勤務者がきわめて多い[11]。
リニューアル計画
[編集]高蔵寺ニュータウンでは、他地域のニュータウン同様に高齢化と老朽化が深刻な問題になっている[12][13]。ニュータウン内の人口は、1995年の52,215人をピークに減少が続いている[13]。ただし戸建て住宅の人口はほぼ横ばいであるため、とくに集合住宅での人口が急減しているものと見られる[13]。
そのため、春日井市では「高蔵寺リ・ニュータウン計画」を打ち出して、街のリニューアルに着手している[13][14]。
- 2016年3月策定 - 「高蔵寺リ・ニュータウン計画」の策定[13]。
- 2021年3月策定 - 「高蔵寺リ・ニュータウン計画2021-2030」(JR高蔵寺駅周辺整備に伴い、高蔵寺町北2丁目、4丁目、白山町1丁目を含んだ都市計画)の策定[14]。
地理
[編集]山地
[編集]- 主な山
河川
[編集]- 主な川
- 庄内川(玉野川)
- 高座川
- 新繁田川
湖沼
[編集]- 主な池
- 洞口池
- 新池
ニュータウンの地域概要
[編集]以下の人口、高齢化率はすべて2022年10月現在[15]。
藤山台
[編集]高蔵寺ニュータウンの中で最も早期に番早く整備された街である[16]。人口は8,785人。高齢化率は34.66%。
愛知県立高蔵寺高等学校[17][18]やグルッポふじとう[19]などが立地している。
岩成台
[編集]人口は8,093人。高齢化率は34.75%。
高森台
[編集]高蔵寺ニュータウンの中でも最も標高が高い[8]。人口は7,494人。高齢化率は35.86%。
中央台
[編集]高蔵寺ニュータウンの中央部に位置する[8][20]。人口4,524人。高齢化率は41.47%。
サンマルシェ[21]や高蔵寺郵便局[22]、春日井市東部市民センター[12][23]が立地する。
石尾台
[編集]人口4,526人。高齢化率は47.48%。
押沢台
[編集]団地が存在しない[8]。人口4,127人。高齢化率は38.91%。
高座台
[編集]ニュータウンの中でも最も高蔵寺駅に近い地区[8]。人口2,638人。高齢化率は31.01%。
歴史・沿革
[編集]昭和時代
[編集]- 1958年1月1日 - 東春日井郡高蔵寺町を春日井市に編入合併[24]。
- 1960年5月 - ニュータウン建設の適地調査(候補地選定)開始。
- 1960年10月 - ニュータウン建設地が高蔵寺に決まる。
- 1963年 - 事業決定[25]。
- 1964年12月 - 造成工事始まる[25]。
- 1966年5月 - 起工式を行う。
- 1967年 - 藤山台の公団住宅建設開始[26]。
- 1968年5月 - 高蔵寺ニュータウン第1次入居(藤山台集合住宅入居)開始[25][27][28]。
- 1969年 - 岩成台の公団住宅建設開始[26]。
- 1971年 - 高森台の公団住宅建設開始[26]。
- 1971年3月 - 岩成台集合住宅入居開始。
- 1971年5月 - 医者村に1件目の診療所が開業。
- 1971年7月 - 藤山台(現在の住所表記では岩成台)に、ココストアが開店。諸説あるものの、同店が日本初のコンビニエンスストアとされることがあり[注 1]、店の前には「日本のコンビニ発祥の地」というプレートが掲げられていた[29][30]。2016年9月1日にタックメイト藤山台店となり、同年11月17日13時[要出典]に閉店した[30]。
- 1972年 - 1965年に次いで高森山で山火事が発生[31]、高森山は禿げ山となる。これを受けて、同年11月に「どんぐり作戦」が始まる(住民の手による緑化として、全国のモデルケースとなる)。中央台の公団住宅建設開始[26]。
- 1973年 - ニュータウン内の違法駐車が問題となり始める。
- 1973年3月 - 高森台集合住宅入居開始。
- 1974年 - 高座台の公団住宅建設開始[26]。
- 1974年7月 - 中央台集合住宅入居開始。
- 1975年 - 石尾台の公団住宅建設開始[26]。
- 1975年2月 - 7つの診療科が揃い、藤山台に医者村と呼ばれる病院の団地が完成。
- 1975年6月 - ニュータウン内を流れる愛知用水で幼児が水死する。
- 翌年にも児童の転落事故があり、愛知用水をフェンスで厳重に囲う等の対策が取られる事になる。
- 1976年5月 - 雨により高森台で石垣が崩壊し、1名が圧死する事故が発生する。
- 違法駐車に阻まれて重機が進入できず、救助が遅れてしまった。
- その後の数か月間で、各所で石垣の崩壊が相次ぎ、石垣の多くが緩斜面に改修される事になる。
- 1976年10月 - 中央台に総合スーパーユニーを核店舗とするショッピングセンターサンマルシェが開店[32]。
- 現在のアピタ館と北西エリアに相当する部分が開業。
- 1978年 - 一般戸建住宅の建設開始[26]。
- 1978年3月 - 高座台集合住宅入居開始[12]。
- 1979年3月 - 藤山台で火災が発生。違法駐車に阻まれてはしご車が進入できず、乳児が焼死する。
- これを受けて、「緑を取るか駐車場を取るか」の議論に決着をつけて、駐車場の造成が進む事になる。
- 1980年 - 愛知県立高蔵寺高等学校が藤山台東部[要出典]に開校[33]。
- 1982年 - 航空自衛隊高蔵寺分屯基地の部分が未着工のままで、竣工となる[28]。
- 1982年9月 - 高森台の業誘致エリアへの工場誘致に対して反対運動が起こる。それを受けて反反対運動も起こり、両者で署名合戦となる。
- 1983年 - 中央台西部に春日井市東部市民センターがオープン。
- 1983年8月 - 岩成台西集合住宅入居開始。
- 1984年4月 - 石尾台にスーパーナフコを誘致。
平成時代
[編集]- 1992年4月 - サンマルシェ南館が開業[13]。
- 1999年4月 - サンマルシェ南西エリアが開業。
- 2002年4月 - 中央台で山火事が発生、自衛隊敷地に燃え広がる。
- 2004年4月 - 高座山の南側で山火事が発生、自衛隊敷地に燃え広がる。
- 2005年5月 - サンマルシェ本館を建て替え[13]、アピタ館がオープンする。
- 2006年4月 - サンマルシェ循環バスの試験[要出典]運行開始[13][32]。
- 2008年 - ニュータウン40周年。
- 2016年3月 - 「高蔵寺リ・ニュータウン計画」の策定[13]。
- 2017年1月 - 高蔵寺ニュータウンを舞台にしたドキュメンタリー映画『人生フルーツ』が公開される[34]。
- 2017年10月 - 春日井市と春日井商工会議所、大垣共立銀行などが「高蔵寺まちづくり株式会社」を設立する[35]。
- 2018年4月 - グルッポふじとうが旧藤山台東小学校に開設[36][37]。
- 2018年 - ニュータウン50周年[13]。高森台団地の集約計画が順次開始される。
令和時代
[編集]教育機関
[編集]高等学校
[編集]中学校(市立)
[編集]※ 高座台1丁目~4丁目は春日井市立高蔵寺中学校校区。5丁目のみ岩成台中学校校区。
小学校(市立)
[編集]- 春日井市立石尾台小学校
- 春日井市立岩成台小学校
- 春日井市立岩成台西小学校
- 春日井市立押沢台小学校
- 春日井市立高座小学校(所在地は高蔵寺町北。学区に高座台1〜4丁目を含む)
- 春日井市立高森台小学校
- 春日井市立中央台小学校
- 春日井市立東高森台小学校
- 春日井市立藤山台小学校
- 春日井市立藤山台東小学校(2013年(平成25年)3月で廃校)
- 春日井市立西藤山台小学校(2016年(平成28年)3月で廃校)
交通
[編集]最寄り駅である高蔵寺駅からニュータウンの中心部へは、2km離れているうえに大きな坂を上る必要がある[38]。高蔵寺駅からニュータウン方面へは名鉄バスが運行しており、バスの本数も比較的多い[38]。しかし、ニュータウン内では自家用車が広く利用されており、自動車免許を持たない交通弱者への対応が課題となっている[38]。
そのほか、ニュータウンから春日井市民病院まではかすがいシティバスはあとふるライナーが、ニュータウン内にはサンマルシェ循環バスが走っている[39]。令和4年度からオンデマンド乗合サービス(乗合タクシー)の実証実験を行っている[40]。2023年2月からは、自動運転車両の定常運行が開始された[41]。
鉄道
[編集]バス(路線バス)
[編集]道路
[編集]- 県道:愛知県道199号高蔵寺小牧線
- 国道:国道19号線、国道155号線
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “高蔵寺ニュータウンの状況”. 春日井市. 2023年5月14日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b 西川祐子「ニュータウンの記憶のゆくえ」『日本都市社会学会年報』第2009巻第27号、日本都市社会学会、2009年、21-36頁、doi:10.5637/jpasurban.2009.21。
- ^ a b “高蔵寺ニュータウンの空き家をリノベーション。若い世代が住みやすいまちづくりを目指して(TRIMSO(トリムソウ))|春日井市の住まい・不動産>その他(住ま...”. アライブ株式会社. 2023年8月3日閲覧。
- ^ “高蔵寺ニュータウン 愛知県春日井市”. UR都市機構. 2023年8月3日閲覧。
- ^ 戦後都市計画を再考する:高山英華の生涯第42回NSRI都市・環境フォーラム, 2011年
- ^ “人生フルーツ”. 東海テレビ放送株式会社. 2023年8月3日閲覧。
- ^ “故津端修一さんと妻の英子さんの暮らしを追ったドキュメンタリー番組『人生フルーツ』が映画化!完成披露上映会&特別パネル展示!|高蔵寺ニュータウン...”. 春日井市. 2023年8月3日閲覧。
- ^ a b c d e f “エリア紹介”. 春日井市. 2023年8月15日閲覧。
- ^ “サンマルシェについて”. 高蔵寺ニュータウンセンター株式会社. 2023年8月15日閲覧。
- ^ “高蔵寺ニュータウンにおける 先導的モビリティを活用したまちづくり”. 国土交通省. 2023年8月15日閲覧。
- ^ a b c d e “toshikan011029.pdf”. 杉並区役所. 2023年8月15日閲覧。
- ^ a b c “≪資料≫高蔵寺ニュータウンの現状”. 春日井市役所. 2023年8月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 尾﨑智央「高蔵寺ニュータウンの現状と活性化への取組」『都市住宅学』第2018巻第102号、都市住宅学会、2018年、52-57頁、doi:10.11531/uhs.2018.102_52、ISSN 13418157、CRID 1390001288155178752、2023年6月23日閲覧。
- ^ a b c “高蔵寺リ・ニュータウン計画”. 春日井市役所. 2023年8月15日閲覧。
- ^ “高蔵寺ニュータウンの状況(人口)”. 春日井市. 2023年1月3日閲覧。
- ^ “藤山台団地のくらし”. UR都市機構. 2023年8月15日閲覧。
- ^ “学校概要”. 愛知県立高蔵寺高等学校. 2023年8月15日閲覧。
- ^ “高蔵寺ニュータウンの概要、歴史、主な取組”. 春日井市役所. 2023年8月15日閲覧。
- ^ “施設案内 グルッポふじとう(高蔵寺まなびと交流センター)”. 春日井市役所. 2023年8月15日閲覧。
- ^ “中央大団地のくらし”. UR都市機構. 2023年8月15日閲覧。
- ^ “主要施設案内”. 高蔵寺ニュータウンセンター開発株式会社. 2023年8月15日閲覧。
- ^ “高蔵寺郵便局”. 日本郵便株式会社. 2023年8月15日閲覧。
- ^ “「住宅団地再生」連絡会議を「高蔵寺ニュータウン」において開催します”. 国土交通省. 2023年8月15日閲覧。
- ^ “春日井市を構成する地域の人口及び世帯の変遷”. 春日井市役所. 2023年8月18日閲覧。
- ^ a b c 『ニュータウンの社会史』青弓社、2017年10月、p1頁。
- ^ a b c d e f g “郷土誌かすがい 第46号”. 春日井市. 2023年8月3日閲覧。
- ^ “どんな街?”. 春日井市. 2023年8月3日閲覧。
- ^ a b “住まいとまちづくり50年の歩み”. UR都市機構. 2023年8月18日閲覧。
- ^ 「日本のコンビニ1号店」が閉店 45年の歴史に幕 livedoorニュース 2016年11月17日
- ^ a b “コンビニ国内1号店は愛知県春日井市のココストア藤山台店? 豊中、豊洲…複数の候補を追った【企画・NAGOYA発】”. 株式会社 中日新聞社. 2023年8月18日閲覧。
- ^ “2050 年自然の回復・復元に至る過程私論”. 野生生物保全論研究会. 2023年8月18日閲覧。
- ^ a b “高蔵寺ニュータウン未来プラン 意見交換会”. 春日井市役所. 2023年8月18日閲覧。
- ^ “学校概要”. 愛知県立高蔵寺高等学校. 2023年8月18日閲覧。
- ^ 人生フルーツ
- ^ 「高蔵寺まちづくり株式会社」の設立~高蔵寺ニュータウンの新たなまちづくりを推進!~大垣共立銀行プレスリリース(2017年10月4日)
- ^ “〜旧小学校施設を有効活用したエリアマネジメント〜 多世代交流拠点施設『グルッポふじとう(高蔵寺まなびと交流センター)』の整備について”. 国立研究開発法人 化学技術振興機構. 2023年10月6日閲覧。
- ^ “グルッポふじとうWeb”. 2023年10月6日閲覧。
- ^ a b c “4割弱が高齢者、「高蔵寺ニュータウン」が挑む“本気”の交通改革の詳細”. ビジネス+IT. 2022年5月30日閲覧。
- ^ kozoji-nt (2021年3月21日). “アクセス”. 2022年5月30日閲覧。
- ^ “オンデマンド乗合サービス(乗合タクシー)に関する取組”. 春日井市役所. 2023年8月15日閲覧。
- ^ 『公共交通の自動運転が変える都市生活』近代科学社、2023年9月、p90頁。
参考文献
[編集]- 金子淳『ニュータウンの社会史』青弓社、2017年10月。ISBN 978-4-7872-3427-8。
- 西山敏樹、長束晃一『公共交通の自動運転が変える都市生活』近代科学社、2023年9月。ISBN 978-4-7649-6065-7。
関連項目
[編集]- 日本のニュータウン
- 公団住宅
- サンマルシェ
- サンマルシェ循環バス
- 桃花台ニュータウン(近隣のニュータウン)
- 桃花台新交通桃花台線(当初ニュータウン内を走行する計画だった)
- 津端修一(ニュータウンの基本設計を行った人物)
外部リンク
[編集]- 高蔵寺ニュータウン公式サイト
- 団地百景
- 高蔵寺ニュータウン
- 高蔵寺ニュータウン物語 - 椙山女学園大学制作、2011年
- 西山康雄, 沢柳達男, 松村憲一, 今枝忠彦 「敷地計画技法の歴史的展開に関する研究(1) わが国の場合」『住宅建築研究所報』 1984年 10巻 p.151-162, doi:10.20803/jusokenjo.10.0_151