コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「野菜」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Neobodo (会話) による ID:101278603 の版を取り消し
タグ: 取り消し
(2人の利用者による、間の6版が非表示)
1行目: 1行目:
{{Redirect|青物|食用魚の概念|青魚}}
{{Redirect|青物|食用魚の概念|青魚}}
{{redirect|ベジタブル|大貫妙子の曲|ベジタブル (大貫妙子の曲)}}
{{redirect|ベジタブル|大貫妙子の曲|ベジタブル (大貫妙子の曲)}}
'''野菜'''(やさい、{{lang-en-short|vegetable}})とは、あまり加工せずにおもに[[副食]]として利用される[[草本性]]の[[栽培植物]]のこと、またはその可食部のことである。蔬菜(そさい)や菜(さい)、青物(あおもの)ともよばれる。ただし、「野菜」は慣用的な用語であり国や分野によって含まれる植物はやや異なるため、「野菜」を明確に定義することはできない。食用とする部位は[[葉]]や[[茎]]、[[根]]、[[つぼみ]]、[[花]]、[[果実]]などさまざまであり、一般的にはこれに応じて[[果菜|果菜類]](果実や種子を利用)、[[葉菜類]](葉や地上茎、花を利用)、[[根菜類]](根や地下茎を利用)に分けられる。また、香りや辛味が強い[[#香辛野菜|香辛野菜]]、カロテン含量が多い[[緑黄色野菜]]などがある。
[[ファイル:Colours of Health (4877352097).jpg|thumb|様々な野菜。]]

'''野菜'''(やさい、{{lang-en-short|vegetable}})は、食用の[[草本|草本植物]]の総称<ref name="kenkoueiyougakuyougojiten_p636">『健康・栄養学用語辞典』中央法規出版 p.636 2012年</ref>。水分が多い草本性で食用となる[[植物]]を指す<ref>バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアン編『世界の食用植物文化図鑑』(柊風舎) 140ページ</ref>。主に[[葉]]や[[根]]、[[茎]]([[地下茎]]を含む)、[[花]]・[[蕾|つぼみ]]・[[果実]]を副食として食べるものをいう。
{{multiple image
| header = さまざまな野菜
| header_align = center
| total_width = 800
| align = center
| caption_align = left
| image1 = West Show Jersey July 2010 46.jpg
| image2 = Kleinmarkthalle Frankfurt Gemüsestand.jpg
| image3 = Thai market vegetables 01.jpg
}}

野菜は一般的に貯蔵性が低く時期が限られたものであったが、栽培技術の発展によっておもな野菜は一年中供給されるようになっている。近年では[[化学肥料]]・[[農薬]]を使用しない[[有機野菜]]に対する需要が増加し、また高度に管理された[[野菜工場]]も見られるようになった。野菜の中には、生食するものや、煮るもの、焼くもの、漬物にするものなどがある。一般的に、野菜は柔軟多汁で低[[カロリー]]、[[ビタミン]]や[[ミネラル]]、[[食物繊維]]に富むものが多いが、マメ類やイモ類は[[デンプン]]や[[タンパク質]]を多く含む。また、[[ポリフェノール]]など人の健康に有用と考えられている物質を含み、[[生活習慣病]]予防などで重要視されている。


== 定義 ==
== 定義 ==
[[ファイル:Gronsaker (1).jpg|thumb|left|並べられた野菜]]
[[ファイル:Colours of Health (4877352097).jpg|thumb|200px|さまざまな野菜]]
おもに[[副食]]([[主食]]や[[間食]]ではない)として、無加工または低加工で利用される[[草本]]性の栽培植物またはその可食部は、'''野菜'''とよばれる<ref name="飛騨2009">{{Cite book|author=飛騨健一|translator=|year=2009|chapter=野菜として利用する栽培植物|editor=石井龍一・岩槻邦男・竹中 明夫・土橋豊・長谷部光泰・矢原徹一・和田正三|title=植物の百科事典|publisher=朝倉書店|isbn=978-4-254-17137-2|pages=341–346}}</ref><ref name="コトバンク_野菜1">{{Cite Kotobank|word=野菜|encyclopedia=日本大百科全書(ニッポニカ)|accessdate=2024-06-15}}</ref><ref name="大森2012">{{cite book|author=|year=2012|chapter=|editor=大森正英|title=健康・栄養学用語辞典|publisher=中央法規出版|isbn=978-4805836026|page=636}}</ref>。蔬菜や菜、青物ともよばれる<ref name="コトバンク_野菜1" /><ref name="大森2012"/><ref name="コトバンク_野菜2" /><ref name="食料の百科事典_p18">『食料の百科事典』丸善 p.18 2001年</ref><ref name="最新農業技術事典_p874">農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.1542 2006年</ref><ref name="sosai_p1">斎藤隆『蔬菜園芸の事典』朝倉書店 p.1 1991年</ref>。


ただし、「野菜」は慣用的な用語であり、国や分野によって野菜に含まれる植物はやや異なるため、明確な[[定義]]はできない<ref name="飛騨2009" /><ref name="食料の百科事典_p30">{{cite book|author=|year=2001|chapter=|editor=五十嵐脩|title=食料の百科事典|publisher=丸善出版|isbn=978-4621049396|page=30}}</ref><ref name="最新農業技術事典_p1542">{{cite book|author=|year=2006|chapter=|editor=農業・生物系特定産業技術研究機構|title=最新農業技術事典|publisher=農山漁村文化協会|isbn=978-4540051630|page=1542}}</ref>。たとえば[[メロン]]や[[スイカ]]、[[イチゴ]]は甘く、ふつう間食に利用されるため、消費分野では[[果物]]として扱われるが、草本に実ることから、日本の生産分野では野菜として扱われる<ref name="飛騨2009" /><ref name="大森2012" /><ref name="=野菜類の区分" /><ref name="hokuriku">{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20170513213559/https://www.maff.go.jp/hokuriku/kids/question/green03.html|title=すいか、メロン、いちごは野菜か果実か|publisher=北陸農政局|accessdate=2024-07-17}}</ref><ref name="食料の百科事典_p30" /><ref name="yasaiengeidaijiten_p1">野菜園芸大事典編集委員会編『野菜園芸大事典』養賢堂 p.1</ref>。そのため、特に「果実的野菜」や「果物的果菜」とよばれることがある<ref name="飛騨2009" /><ref name="=野菜類の区分">{{Cite web|和書|author=|date=|url=https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1205/05a.html|title=野菜類の区分はどのようになっているのか教えてください。|website=|publisher=農林水産省|accessdate=2022-12-22}}</ref>。また、[[サツマイモ]]や[[ジャガイモ]]などイモ類は副食とされる際には野菜であるが、主食や加工品原料とされることも多く、野菜とは分けて扱われることもある<ref name="大森2012"/><ref name="谷野1996" /><ref name="野菜の定義" />。[[マメ類]]や[[トウモロコシ]]の未熟な果実・種子([[サヤエンドウ]]、[[スイートコーン]]など)は野菜として扱われるが、完熟したものは[[穀物]]として扱われることが多い<ref name="飛騨2009" />。ただし、完熟したものであっても、副食に用いられる場合は野菜として扱われる<ref name="谷野1996" />。[[コメ]]は日本においては最も重要な主食であるが、ヨーロッパでは付け合せなどに使われるため、野菜として扱われることがある<ref name="谷野1996" />。また、[[タラノキ]]や[[サンショウ]]は草ではなく[[木本植物]]であるが、副食に使われるため野菜として扱われることがある<ref name="最新農業技術事典_p1542" />。
野菜は一般には食用の[[草本|草本植物]]をいう<ref name="kenkoueiyougakuyougojiten_p636"/>。ただし、野菜の明確な[[定義]]づけは難しい問題とされている<ref name="syokuryounohyakkajiten_p30">『食料の百科事典』丸善 p.30 2001年</ref><ref name="saishinnougyougijutsujiten_p1542">農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.1542 2006年</ref>。たとえばイネとトウモロコシは、日本においてはイネは野菜ではなく穀物であり、トウモロコシは野菜であると同時に穀物である。


栽培植物である「野菜」に対して、同様に利用される野生植物は「[[山菜]]」とよばれる<ref name="飛騨2009" /><ref name="コトバンク_山菜">{{Cite Kotobank|word=山菜|encyclopedia=改訂新版 世界大百科事典|accessdate=2024-07-13}}</ref>。一般的に、山菜は野菜に比べて栽培効率が悪いが、近年になって地域産品の需要や販路が拡大しており、それに伴って栽培されている例も多い([[アシタバ]]、[[フキ]]、[[ウド]]、[[タラノキ]]、[[ワラビ]]など)<ref name="飛騨2009" /><ref name="コトバンク_山菜" />。現在市場に流通している山菜の多くは栽培品であり<ref name="飛騨2009" />、これらを野菜として扱うこともある<ref name="米安1996">{{Cite journal|author=米安晟|year=1996|title=日本の野菜|journal=日本食生活学会誌|volume=7|issue=2|pages=7-14|doi=10.2740/jisdh.7.2_7}}</ref><ref name="芦澤1992">{{Cite journal|author=芦澤正和|year=1992|title=1. 野菜|journal=化学と生物|volume=27|issue=10|pages=663–671|doi=10.1271/kagakutoseibutsu1962.30.735}}</ref><ref name="最新農業技術事典_p1542"/><ref name="yasaiengeidaijiten_p1"/>。
[[園芸学]]上において野菜とは「副食物として利用する草本類の総称」をいう<ref name="alic-yasaibook1">{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20160305071029/https://vegetable.alic.go.jp/yasaibook/pdf/c01.pdf|title=野菜ブック chapter1 野菜と私たちの生活・健康|publisher=農畜産業振興機構|accessdate=2013-04-16}}</ref>。例えば[[イチゴ]]、[[スイカ]]、[[メロン]]は[[園芸|園芸分野]]では野菜として扱われ<ref name="syokuryounohyakkajiten_p30"/><ref name="hokuriku">{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20170513213559/https://www.maff.go.jp/hokuriku/kids/question/green03.html|title=すいか、メロン、いちごは野菜か果実か|publisher=北陸農政局|accessdate=2013-04-05}}</ref>、[[農林水産省]]「野菜生産出荷統計」でもイチゴ、スイカ、メロンは「果実的野菜」([[果菜]])として野菜に分類されている<ref name="alic-yasaibook1"/>。青果市場ではこれらは[[果物]](果実部)として扱われ<ref name="hokuriku"/><ref name="yasaiengeidaijiten_p1">野菜園芸大事典編集委員会編『野菜園芸大事典』養賢堂 p.1</ref>、[[厚生労働省]]の「国民栄養調査」<ref name="alic-yasaibook1"/>や[[日本食品標準成分表]]でも「果実類」で扱われている<ref name="syokuryounohyakkajiten_p30"/><ref name="kenkoueiyougakuyougojiten_p636"/>。また、日本食品標準成分表において「野菜類」とは別に「いも類」として扱われているもの(食品群としては「いも及びでん粉類」に分類)は一般には野菜として扱われている<ref name="kenkoueiyougakuyougojiten_p636"/><ref name="alic-yasaibook1"/>。また、[[ゼンマイ]]や[[ツクシ]]といった[[山菜]]については野菜に含めて扱われることもあり<ref name="saishinnougyougijutsujiten_p1542"/><ref name="yasaiengeidaijiten_p1"/>、[[木|木本性]]の植物である[[タラノキ|タラの芽]]や[[サンショウ]]の葉も野菜の仲間として扱われることがある<ref name="saishinnougyougijutsujiten_p1542"/>。さらに、日本食品標準成分表において[[種実類]]に分類される[[ヒシ]]なども野菜として取り扱われる場合がある<ref name="kenkoueiyougakuyougojiten_p636"/>。


日本では、[[菌類]]([[シイタケ]]、[[エノキタケ]]、[[ナメコ]]など)も野菜に含めることがある<ref name="米安1996" /><ref name="斎藤1996">{{cite book|author=斎藤隆|year=1996|chapter=|editor=|title=新版 蔬菜園芸|publisher=文永堂出版|isbn=978-4830040818|page=31}}</ref>。また、日本では藻類([[海苔]]、[[ワカメ]]、[[ヒジキ]]など)の利用が多く、野菜とは別に扱われているが、他の国では野菜に含めていることが多い<ref name="飛騨2009" />。
日本では慣用的に'''[[蔬菜]]'''(そさい)と同義語となっている<ref name="syokuryounohyakkajiten_p18">『食料の百科事典』丸善 p.18 2001年</ref><ref name="saishinnougyougijutsujiten_p874">農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.1542 2006年</ref><ref name="sosai_p1">斎藤隆『蔬菜園芸の事典』朝倉書店 p.1 1991年</ref>。ただし、「蔬菜」は[[明治|明治時代]]に入ってから栽培作物を指して用いられるようになった語で<ref name="yasaiengeidaijiten_p1"/><ref name="sosai_p1"/>、本来は栽培されたものではない野菜や山菜などと厳密な区別があった<ref name="sosai_p2">斎藤隆『蔬菜園芸の事典』朝倉書店 p.2 1991年</ref>。しかし、その後、山菜等も[[栽培]]されるようになった結果としてこれらの厳密な区別が困難になったといわれ<ref name="sosai_p2"/>、「野菜」と「蔬菜」は学問的にも全く同義語として扱われるようになっている<ref name="sosai_p2"/>。そして、「蔬菜」の「蔬」の字が[[常用漢字]]外であることもあって一般には「野菜」の語が用いられている<ref>野菜園芸大事典編集委員会編『野菜園芸大事典』養賢堂 p.1参照</ref>。なお、野菜は'''青物'''(あおもの)とも呼ばれる<ref name="kenkoueiyougakuyougojiten_p636"/>。京浜急行には「[[青物横丁駅]]」がある。

古くは、副食として用いる草本植物を「[[蔬菜]](または菜、蔬)」と総称し、そのうち野生のものを「野菜」、栽培されるものを「園菜(園蔬、圃菜)」とよんでいた<ref name="米安1996" /><ref name="コトバンク_野菜1" /><ref name="コトバンク_野菜2">{{Cite Kotobank|word=野菜|encyclopedia=改訂新版 世界大百科事典|accessdate=2024-06-15}}</ref>。しかし、その後は園菜の語は使われなくなり、やがて現在と同様に栽培されるものが「野菜」とよばれるようになり、また野生のものは「山菜」とよばれるようになった<ref name="コトバンク_野菜2" />。ただし、官公庁などでの公式的な表現では、栽培されるものは「蔬菜」とよばれていた<ref name="コトバンク_野菜1" /><ref name="yasaiengeidaijiten_p1" /><ref name="sosai_p1" />。しかし第二次世界大戦後には「蔬菜」の「蔬」が[[常用漢字]]外となったこともあって官公庁でも「野菜」の語が用いられるようになった<ref>野菜園芸大事典編集委員会編『野菜園芸大事典』養賢堂 p.1参照</ref>。

英語の "vegetable" は、ラテン語の ''vegetabilis''(活力を与える)に由来する<ref name="コトバンク_野菜2" />。


== 代表的な野菜 ==
== 代表的な野菜 ==
下表には、FAOSTAT([[国際連合食糧農業機関]]のデータベース)において世界生産量が100万トン以上のもの(2022年)<ref name="FAOSTAT" />、および日本における[[指定野菜]](***; 消費量が多く、収穫量と出荷量が毎年調査される)と[[特定野菜]](**; 指定野菜に準ずる野菜)<ref name="野菜の収穫量及び出荷量">{{Cite web|和書|author=|date=2024|url=https://www.stat.go.jp/library/faq/faq07/faq07a06.html|title=07A-Q06 野菜の収穫量及び出荷量|website=|publisher=総務省統計局|accessdate=2024-06-01}}</ref><ref name="特定野菜等の対象産地の選定状況">{{Cite web|和書|author=|date=|url=https://www.maff.go.jp/chushi/seisan/vegetable/tokutei.html|title=特定野菜等の対象産地の選定状況|website=|publisher=中国四国農政局|accessdate=2024-07-18}}</ref>を記している。下表の中で[[メロン]]、[[スイカ]]、[[イチゴ]]はふつう果物として扱われるが、草本に実るため日本の生産分野では野菜(果実的野菜、果物的果菜)として扱われている<ref name="野菜の定義" />。また、マメ類やトウモロコシの完熟品、イモ類([[ジャガイモ]]、[[サツマイモ]]、[[ヤムイモ]]など)は主食や加工品原材料に利用されることも多く、野菜とは別に扱われることもある<ref name="谷野1996">{{Cite journal|author=谷野陽|year=1996|title=世界の野菜, 日本の野菜|journal=日本調理科学会誌|volume=29|issue=3|pages=224-233|doi=10.11402/cookeryscience1995.29.3_224}}</ref><ref name="野菜の定義">{{Cite web|和書|author=|date=|url=https://www.alic.go.jp/content/000093223.pdf|title=野菜の定義について|website=|publisher=独立行政法人 農畜産業振興機構|accessdate=2024-07-17}}</ref>。

下表は、[[果菜]]、[[葉菜]](茎菜、花菜を含む)、[[根菜]]の順で表記してある。ただし、同一の植物種の別の器官(葉と根など)が食用とされることもある([[ダイコン]]など)。

{|style="width:98%;" class="wikitable"
{|style="width:98%;" class="wikitable"
! style="text-align:center; " colspan="6"|代表的な野菜
! style="text-align:center; " colspan="6"|代表的な野菜
|-
|-
! style="" |画像
! style="" |画像
! style="" |名前<ref name="飛騨2009" /><ref name="養賢堂2004">{{Cite book|author=|translator=|year=2004|chapter=|editor=山崎耕宇, 久保祐雄, 西尾敏彦, 石原邦|title=新編 農学大事典|publisher=養賢堂|isbn=978-4-8425-0354-7|pages=515–560}}</ref>
! style="" |名前(学名)
! style="" |分類<ref name="YList">{{Cite web|和書|author=米倉浩司・梶田忠|date=2007–|url=http://ylist.info/index.html|title=YList|website=「植物和名ー学名インデックスYList」(YList)|publisher=|accessdate=2024-07-12}}</ref>
! style="" |食用部位
! style="" |原産地
! style="" |食用部位<ref name="養賢堂2004" />
! style="" |類縁種
! style="" |原産地<ref name="養賢堂2004" />
! style="" |世界生産量<br>(100万トン;2012)<ref>{{cite web|url=http://faostat.fao.org/site/567/DesktopDefault.aspx?PageID=567#ancor |title=FAOSTAT Query page |accessdate=2015-09-16}} Aggregate data: may include official, semi-official or estimated data</ref>
! style="" |2022年世界生産量<br />(100万トン)<ref name="FAOSTAT">{{cite web|url=https://www.fao.org/faostat/en/#data/QCL|title=FAOSTAT Query page, Crops and livestock products|accessdate=2024-07-14}}</ref>
|-
|-
| [[File:Tomato je.jpg|125px]] || [[トマト]]*** || [[ナス科]]<br />{{Snamei||Solanum lycopersicum}} || 果実 || [[南米]] || 186.1
| [[File:CabbageBG.JPG|125px]] || [[キャベツ]]<br>''Brassica oleracea'' || 葉、腋芽、茎、花 || ヨーロッパ || キャベツ、[[赤キャベツ]]、[[コールラビ]]、[[ケール]]、[[メキャベツ]]、[[カリフラワー]]、[[ブロッコリー]]、[[カイラン]]
|style="text-align:right"|70.1
|-
|-
| [[File:Aubergine.jpg|125px]] || [[ナス]]*** || ナス科<br />{{Snamei||Solanum melongena}} || 果実 || [[南アジア]] || 59.3
| [[File:Turnip 2622027.jpg|125px]] || [[カブ]]<br>''Brassica rapa'' || 塊茎、葉 || アジア ||カブ、[[ルタバガ]]、[[ハクサイ]]、[[チンゲンサイ]]、[[ノザワナ]]、[[コマツナ]]、[[アブラナ]]([[菜の花]])、[[ミズナ]]、[[タアサイ]]
|style="text-align:right"|
|-
|-
| [[File:Capsicum annuum (8307305118).jpg|125px]] || [[トウガラシ]]、[[シシトウ]]、[[ピーマン]]***、[[パプリカ]]など || ナス科<br />{{Snamei||Capsicum annuum}} || 果実 || [[中米]] || 41.8{{efn2|name="含乾燥"|乾燥品を含む。}}
| [[File:Daikon.Japan.jpg|125px]] || [[ダイコン]]<br>''Raphanus sativus'' || 根、葉、種子鞘、種子油、芽 || 東南アジア || ダイコン、[[ハツカダイコン]](ラディッシュ)
|style="text-align:right"|
|-
|-
| [[File:7carrots.jpg|125px]] || [[ニンジン]]<br>''Daucus carota'' || 塊根 || イラン || ニンジ
| [[File:Cucumber from Denmark.jpg|125px]] || [[キュウリ]]*** || [[ウリ科]]<br />{{Snamei||Cucumis sativus}} || 果実 || 南アジア || 94.7{{efn2|name="キュウリ"|[[ガーキ]]({{Snamei||Cucumis anguria}})を含む。}}
|style="text-align:right"|36.9<ref group=n name=carrot>ニンジンとカブの合算</ref>
|-
|-
| [[File:Cantaloupe.jpg|125px]] || [[メロン]]**{{efn2|name="果実的野菜"|甘いため、消費分野では「果物」として扱われるが、草本に実るため、日本の生産分野では「野菜」(果実的野菜、果物的果菜)として扱われる。}}、[[マクワウリ]]、[[シロウリ]]など || ウリ科<br />{{Snamei||Cucumis melo}} || 果実 || [[アフリカ]] || 28.5
| [[File:Arctium lappa 2006.10.14 11.01.25-pa140017.jpg|75px]] || [[ゴボウ]]<br>''Arctium lappa'' || 塊根 || ユーラシア ||ゴボウ
|style="text-align:right"|
|-
|-
| [[File:Kropsla herfst.jpg|125px]] || [[レタス]]<br>''Lactuca sativa'' || 葉、茎、種子油 || エジプト || レタス、[[ステムレタス]]
| [[File:FvfMexicoPampanga1620 34.JPG|125px]] || [[スイカ]]**{{efn2|name="果実的野菜"}} || ウリ科<br />{{Snamei||Citrullus lanatus}} || 果実 || アフリカ || 99.9
|style="text-align:right"|24.9
|-
|-
| [[File:PumpkinVariety.jpg|125px]] || [[カボチャ]]**、[[ズッキーニ]]など || ウリ科<br />{{Snamei||Cucurbita}} spp.{{efn2|name="カボチャ"|[[セイヨウカボチャ]]({{Snamei||Cucurbita maxima}})、[[ニホンカボチャ]]({{Snamei||Cucurbita moschata}})、[[ペポカボチャ]]({{Snamei||Cucurbita pepo}})、[[クロダネカボチャ]]({{Snamei||Cucurbita ficifolia}})など数種を含み、また[[ズッキーニ]]はペポカボチャの1品種である<ref name="養賢堂2004" />}} || 果実 || 中米から南米 || 22.8{{efn2|name="カボチャ統計"|カボチャなどウリ類 (pumpkins, squash and gourds) の総計とされている。}}
| [[File:Bohne z01.JPG|125px]] || [[インゲンマメ]]<br>''Phaseolus vulgaris''<br>''Phaseolus coccineus''<br>''Phaseolus lunatus'' || 種子、鞘 || 中央アメリカおよび南アメリカ || インゲンマメ、[[ベニバナインゲン]]、[[リママメ]]
|style="text-align:right"|44.6<ref group=n name=dry>乾物及び生野菜の合算</ref>
|-
|-
| [[File:Phaseolus vulgaris, the common green bean.JPG|125px]] || [[インゲンマメ]]([[サヤインゲン]]**など) || [[マメ科]]<br />{{Snamei||Phaseolus vulgaris}} || 果実、種子、葉<ref name="Yamaguchi1985マメ">{{cite book|author=Yamaguchi, M.|translator=高橋和彦ら|year=1985|chapter=21.1.1 豆類|title=世界の野菜|publisher=養賢堂|isbn=978-4-8425-0237-3|pages=246–250}}</ref> || 中米 || 29.6{{efn2|name="含乾燥"}}
| [[File:Tuinboon zaden in peul.jpg|125px]] || [[ソラマメ]]<br>''Vicia faba'' || 種子、鞘 || 北アフリカ<br>西南アジアから南アジア || ソラマメ
|style="text-align:right"|
|-
|-
| [[File:NCI peas in pod.jpg|125px]] || [[エンドウマメ]]<br>''Pisum sativum'' || 種子、鞘、芽 || 地中海から中東 || エンドウマメ、[[スナップエンドウ]]
| [[File:Guisantes - en - Vainas (8454321298).jpg|125px]] || [[エンドウ]]([[サヤエンドウ]]**、[[グリーンピース]]**など) || マメ科<br />{{Snamei||Pisum sativum}} || 果実、種子、スプラウト<ref name="Yamaguchi1985マメ" /> || [[地中海沿岸]]から[[中東]] || 35.1{{efn2|name="含乾燥"}}
|style="text-align:right"|28.9<ref group=n name=dry/>
|-
|-
| [[File:CDC edamame.jpg|125px]] || [[ダイズ]]([[枝豆]]**など) || マメ科<br />{{Snamei||Glycine max}} || 果実、種子、[[スプラウト]]<ref name="Yamaguchi1985マメ" /> || [[中国]] || 34.8{{efn2|name="含乾燥"}}
| [[File:Various types of potatoes for sale.jpg|125px]] || [[ジャガイモ]]<br>''Solanum tuberosum'' || 塊茎 || 南アメリカ || ジャガイモ
|style="text-align:right"|365.4
|-
|-
| [[File:Aubergine.jpg|125px]] || [[ナス]]<br>''Solanum melongena'' || 果実 || 南アジアおよび東アジア || ナス
| [[File:Baqla.jpg|125px]] || [[ソラマメ]]** || マメ科<br />{{Snamei||Vicia faba}} || 種子<ref name="Yamaguchi1985マメ" /> || [[北アフリカ]]から[[西南アジア]] || 7.7{{efn2|name="含乾燥"}}
|style="text-align:right"|48.4
|-
|-
| [[File:Tomato je.jpg|125px]] || [[トマト]]<br>''Solanum lycopersicum'' || 果実 || リカ || トマト
| [[File:Lady's fingers (Okra) in Chennai.JPG|125px]] || [[オクラ]] || [[アオイ科]]<br />{{Snamei||Abelmoschus esculentus}} || 果実 || 東北リカ || 11.2
|style="text-align:right"|161.8
|-
|-
| [[File:Fraises 2 Luc Viatour.jpg|125px]] || [[イチゴ]]**{{efn2|name="果実的野菜"}}(オランダイチゴ) || [[バラ科]]<br />{{Snamei||Fragaria x ananassa}} || 果実 || [[オランダ]]{{efn2|name="オランダイチゴ"|南米西部原産のチリーイチゴ({{Snamei||Fragaria chiloensis}})と北米東部原産のバージニアイチゴ({{Snamei||Fragaria virginiana}})の種間雑種に由来する。}} || 9.5
| [[File:Ogórki...jpg|125px]] || [[キュウリ]]<br>''Cucumis sativus'' || 果実 || 南アジア || キュウリ
|style="text-align:right"|65.1
|-
|-
| [[File:Palaintains of Salem Tamil Nadu.jpg|125px]] || リョウリバナナ<ref name="Yamaguchi1985リョウリバナナ">{{cite book|author=Yamaguchi, M.|translator=高橋和彦ら|year=1985|chapter=16.1 リョウリバナナ|title=世界の野菜|publisher=養賢堂|isbn=978-4-8425-0237-3|pages=170–175}}</ref>([[プランテン]]など) || [[バショウ科]]<br />{{Snamei||Musa × paradisiaca}} など || 果実、茎葉<ref name="Yamaguchi1985リョウリバナナ" /> || [[東南アジア]]<ref name="Yamaguchi1985リョウリバナナ" /> || 44.1{{efn2|name="バナナ"|果物用のバナナは135.1(百万トン)。}}
| [[File:Pumpkins Hancock Shaker village 2418.jpg|125px]] || [[カボチャ]]<br>''Cucurbita spp.'' || 果実、花 || メソアメリカ || カボチャ、[[ズッキーニ]]|| style="text-align:right"|24.6
|-
|-
| [[File:Batar kinur.jpg|125px]] || [[トウモロコシ]](スイートコーン**など) || [[イネ科]]<br />{{Snamei||Zea mays}} || 果実 || 中米または南米 || 9.8{{efn2|name="トウモロコシ"|生鮮品の量であり、乾燥品(穀類として扱われる)の量は1163.4(百万トン)。}}
| [[File:Onions.jpg|125px]] || [[タマネギ]]<br>''Allium cepa'' || 球根, 葉 || アジア || タマネギ、[[ネギ]]、[[ワケギ]]、[[エシャロット]]
|style="text-align:right"|87.2<ref group=n name=dry/>
|-
|-
| [[File:Garlic.jpg|125px]] || [[ニク]]<br>''Allium sativum'' || 球根 || アジア || ニンニク
| [[File:ほうれん草 2014-02-27 22-16.jpg|125px]] || [[ホウレソウ]]*** || [[ヒユ科]]<br />{{Snamei||Spinacia oleracea}} || || 西南アジアから[[中央アジア]] || 33.1
|style="text-align:right"|24.8
|-
|-
| [[File:Choux 01.jpg|125px]] || [[キャベツ]]***、[[コールラビ]]、[[ケール]]、[[メキャベツ]]、[[カリフラワー]]**、[[ブロッコリー]]**など || [[アブラナ科]]<br />{{Snamei||Brassica oleracea}} || 葉、腋芽、茎、花芽 || 地中海沿岸域 || 72.6{{efn2|name="キャベツ"|キャベツの生産量}}<br />26.0{{efn2|name="カリフラワー"|カリフラワーとブロッコリーの生産量合計}}
| [[File:Red capsicum and cross section.jpg|125px]] || [[トウガラシ]]<br>''Capsicum annuum'' || 果実 || 南北アメリカ || トウガラシ、[[ピーマン]]、[[パプリカ]]、[[シシトウ]]
|style="text-align:right"|34.5<ref group=n name=dry/>
|-
|-
| [[File:ChineseCabbage.jpg|125px]] || [[ハクサイ]]***、[[コマツナ]]**、[[ミズナ]]**、[[チンゲンサイ]]**、[[ナバナ]]など<br />※[[カブ]]と同種 || [[アブラナ科]]<br />{{Snamei||Brassica rapa}} || 茎葉、花芽 || [[ヨーロッパ]]西南部から西南アジア ||
| [[File:Espinac 5nov.JPG|125px]]||[[ホウレンソウ]]<br>''Spinacia oleracea''||葉||中央アジアから西南アジア||ホウレンソウ
|style="text-align:right"|21.7
|-
|-
| [[File:Taro corms 2.jpg|125px]] || [[サトイモ]]<br>''Colocasia esculenta'' || || 東南アジア ||サトイモ、[[ロイモ]]、[[タイモ]]
| [[File:Lettuce mix.jpg|125px]] || [[レタス]]*** || [[キク科]]<br />{{Snamei||Lactuca sativa}} || 茎葉 || 地中海沿岸域から中近東 || 27.1{{efn2|name="レス"|[[チコリー]]との合計}}
|style="text-align:right"|
|-
|-
| [[File:4649 - Carciofi al mercato di Ortigia, Siracusa - Foto Giovanni Dall'Orto, 20 marzo 2014.jpg|125px]] || [[アーティチョーク]] || キク科<br />{{Snamei||Cynara scolymus}} || 花芽 || 地中海沿岸域 || 1.5
| [[File:Dioscorea polystachya (batatas).jpg|125px]] || [[ヤムイモ]]<br>''Dioscorea spp.'' || 塊茎 || アフリカ熱帯地域 ||ヤムイモ、[[ヤマノイモ]]
|style="text-align:right"|59.5
|-
|-
| [[File:Fuki no tou (Petasites japonicus) , フキノトウ - panoramio.jpg|125px]] || [[フキ]]** || キク科<br />{{Snamei||Petasites japonicus}} || [[葉柄]]、花茎<ref name="コトバンク_フキ">{{Cite Kotobank|word=フキ|encyclopedia=改訂新版 世界大百科事典|accessdate=2024-06-28}}</ref> || 日本 ||
| [[File:Ipomoea batatas 006.JPG|125px]] || [[サツマイモ]]<br>''Ipomoea batatas'' || 塊根, 葉, 苗条 || 中央アメリカおよび南アメリカ ||サツマイモ
|style="text-align:right"|108.0
|-
|-
| [[File:Glebionis coronaria 4.jpg|125px]] || [[シュンギク]]<ref name="養賢堂2004" />** || キク科<br />{{Snamei||Glebionis coronaria}} || 茎葉<ref name="養賢堂2004" /> || 地中海沿岸域 ||
| [[File:Manihot esculenta dsc07325.jpg|125px]]||[[キャッサバ]]<br>''Manihot esculenta''|| 塊茎 || 南アメリカ || キャッサバ
|-
|style="text-align:right"|269.1
| [[File:Mitsuba.jpg|125px]] || [[ミツバ]]<ref name="養賢堂2004" /><ref name="コトバンク_ミツバ">{{Cite Kotobank|word=ミツバ|encyclopedia=日本大百科全書(ニッポニカ)|accessdate=2024-06-23}}</ref>** || セリ科<br />{{Snamei||Cryptotaenia canadensis}} || 茎葉、根<ref name="コトバンク_ミツバ" />|| 日本 ||
|-
| [[File:Céleri.jpg|125px]] || [[セロリ]]<ref name="養賢堂2004" /><ref name="コトバンク_セロリ">{{Cite Kotobank|word=セロリ|encyclopedia=改訂新版 世界大百科事典|accessdate=2024-06-23}}</ref>** || セリ科<br />{{Snamei||Apium graveolens}} || 茎葉、根{{efn2|name="セルリアック"|根用の品種は[[セルリアック]]とよばれる<ref>{{Cite book|author=|translator=|year=2004|chapter=セルリアック|editor=山崎耕宇, 久保祐雄, 西尾敏彦, 石原邦|title=新編 農学大事典|publisher=養賢堂|isbn=978-4-8425-0354-7|page=536}}</ref>。}}、種子<ref name="養賢堂2004" /><ref name="コトバンク_セロリ" /> || 地中海沿岸域 ||
|-
| [[File:Asparagas_display.jpg|125px]] || [[アスパラガス]]** || [[キジカクシ科]]<br />{{Snamei||Asparagus officinalis}} || 茎 || 南ヨーロッパ || 8.8
|-
| [[File:Cebolleta-rafax.jpg|125px]] || [[ネギ]]***、[[ニラ]]**、[[リーキ]]、[[ワケギ]]など || [[ヒガンバナ科]]<br />{{Snamei||Allium}} spp. || 葉 || 中国など || 2.1
|-
| [[File:Onions.jpg|125px]] || [[タマネギ]]***、[[エシャロット]]{{efn2|name="エシャロット"|エシャロット(エシャレット<ref name="日本標準商品分類" />、シャレット<ref name="米安1996" />、シャロット<ref name="YList" />)は、本来はタマネギの1変種({{Snamei||Allium cepa}} var. ''aggregatum'')であるが<ref name="YList" />、日本ではラッキョウを軟白栽培したものがエシャロットとよばれている<ref name="コトバンク_エシャロット">{{Cite Kotobank|word=エシャロット|encyclopedia=日本大百科全書(ニッポニカ)|accessdate=2024-06-07}}</ref>。}} || ヒガンバナ科<br />{{Snamei||Allium cepa}} || 鱗茎 || 中央アジア || 115.5
|-
| [[File:Allium sativum - Garlic 02.jpg|125px]] || [[ニンニク]]** || ヒガンバナ科<br />{{Snamei||Allium sativum}} || 鱗茎、茎葉 || 中央アジア || 29.1
|-
| [[File:Daikon.Japan.jpg|125px]] || [[ダイコン]]***([[カイワレダイコン]]を含む)、[[ハツカダイコン]](ラディッシュ) || [[アブラナ科]]<br />{{Snamei||Raphanus sativus}} || 根、葉、芽生え || ヨーロッパ ||
|-
| [[File:CSA-Tokyo-Turnips.jpg|125px]] || [[カブ]]**<br />※[[ハクサイ]]、[[ミズナ]]、[[コマツナ]]、[[チンゲンサイ]]などと同種 || [[アブラナ科]]<br />{{Snamei||Brassica rapa}} || 根(胚軸)、葉 || ヨーロッパ西南部から西南アジア || 42.2{{efn2|name="ニンジンとカブ"|ニンジンとカブの生産量合計値である。}}
|-
| [[File:7carrots.jpg|125px]] || [[ニンジン]]*** || [[セリ科]]<br />{{Snamei||Daucus carota}} || 根、葉 || 中央アジア || 42.2{{efn2|name="ニンジンとカブ"}}
|-
| [[File:Arctium1.jpg|125px]] || [[ゴボウ]]** || [[キク科]]<br />{{Snamei||Arctium lappa}} || 根、葉 || [[ユーラシア]] ||
|-
| [[File:Ipomoea batatas 006.JPG|125px]] || [[サツマイモ]] || [[ヒルガオ科]]<br />{{Snamei||Ipomoea batatas}} || 根 || 中南米 || 86.4
|-
| [[File:Manihot esculenta dsc07325.jpg|125px]] || [[キャッサバ]] || [[トウダイグサ科]]<br />{{Snamei||Manihot esculenta}} || 根 || 中南米 || 330.4
|-
| [[File:Picture of many potatoes.jpg|125px]] || [[ジャガイモ]]*** || [[ナス科]]<br />{{Snamei||Solanum tuberosum}} || 地下茎 || 南米 || 374.7
|-
| [[File:Lotus_root.jpg|125px]] || [[ハス]](レンコン**) || [[ハス科]]<br />{{Snamei||Nelumbo nucifera}} || 地下茎 || 中国または[[エジプト]] ||
|-
| [[File:Starr 070730-7885 Colocasia esculenta.jpg|125px]] || [[タロイモ]]([[サトイモ]]***、[[ハスイモ]]など) || [[サトイモ科]]<br />{{Snamei||Colocasia}} spp. など{{efn2|name="タロイモ"|サトイモ属以外の {{Snamei||Xanthosoma}}、クワズイモ属({{Snamei||Alocasia}})、キルトスペルマ属({{Snamei||Cyrtosperma}})などのものもタロイモとよばれることがある<ref name="コトバンク_タロイモ1">{{Cite Kotobank|word=タロイモ|encyclopedia=改訂新版 世界大百科事典|accessdate=2024-06-07}}</ref>。}} || 地下茎、葉柄 || 東南アジアなど || 17.7
|-
| [[File:Nagaimo.Japan.JPG|125px]] || [[ヤムイモ]]([[ヤマノイモ]]**{{efn2|name="ヤマノイモ"|日本の作物統計などではヤマノイモの名でまとめられているが<ref name="日本標準商品分類">{{Cite web|author=|date=|url=https://www.soumu.go.jp/main_content/000294475.pdf|title=農産食品|website=[https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/syouhin/2index.htm 日本標準商品分類(平成2年6月改定)]|publisher=総務省|accessdate=2023-01-21}}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=|date=|url=https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=41|title=夏の旬野菜ヤマノイモ|website=とれたて大百科|publisher=JAグループ|accessdate=2024-06-06}}</ref>、日本で栽培されているものはほとんどナガイモ({{Snamei||Dioscorea polystachya}})であり、狭義のヤマノイモ(自然薯、{{Snamei||Dioscorea japonica}})の多くは野生品である<ref name="コトバンク_ヤマノイ">{{Cite Kotobank|word=ヤマノイモ|encyclopedia=改訂新版 世界大百科事典|accessdate=2024-06-06}}</ref>。}}、[[ナガイモ]]、[[ダイジョ]]、[[トゲドコロ]]、[[カシュウイモ]]、[[シロギニアヤム]]など) || [[ヤマノイモ科]]<br />{{Snamei||Dioscorea}} spp. || 地下茎(担根体{{efn2|name="担根体"|ヤマノイモ属の「イモ」は、維管束の配列や発生過程から地下茎が肥大したもの([[塊茎]])と考えられているが、葉を付けず全面に根を生じるため典型的な塊茎とは異なる<ref name="岩佐1980ダイジョ">{{cite book|author=岩佐俊吉|year=1980|chapter=45. ダイジョ|editor=農林水産省熱帯農業研究センター|title=熱帯の野菜|publisher=養賢堂|isbn=|pages=190–201}}</ref><ref name="土橋2019">{{cite book|author=土橋豊|year=2019|chapter=球根|editor=園芸学会|title=最新園芸・植物用語集|publisher=淡交社|isbn=978-4473042668|page=81–83}}</ref><ref name="寺林2013">{{cite journal|author=寺林進|year=2013|title=生薬の基原, 特に薬用部位および基原植物の学名について|journal=日本東洋医学雑誌|volume=64|pages=67-77|doi=10.3937/kampomed.64.67}}</ref><ref name="熊沢1979担根体">{{cite book|author=熊沢正夫|year=1979|chapter=担根体|editor=|title=植物器官学|publisher=裳華房|isbn=978-4785358068|pages=166−171}}</ref>。そのため、担根体ともよばれるが<ref name="土橋2019" /><ref name="寺林2013" /><ref name="熊沢1979担根体" />、[[ヒカゲノカズラ綱]]の[[イワヒバ属]]や[[ミズニラ属]]に見られる[[担根体]]とは異なる構造である<ref name="Iwasa2013担根体">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=担根体|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=883}}</ref>。}}) || 世界の熱帯域 || 88.2
|-
| [[File:Zingiber officinale (Zingiberaceae).jpg|125px]] || [[ショウガ]]** || [[ショウガ科]]<br />{{Snamei||Zingiber officinale}} || 地下茎、葉 || 不明 || 4.8
|}
|}
{{reflist|group=n}}
{{reflist|group=n}}


== 分類 ==
== 分類 ==
=== 食用部位による分類 ===
[[ファイル:Vegetables.jpg|right|thumb|200px|多種多様な野菜。]]
野菜は食用とする部位の違いに基づいて分類されることがあり、[[果実]]や[[種子]]を食用部位とするものを'''[[果菜類]]'''、地上茎を食用部位とするものを'''茎菜類'''、[[葉]]や[[葉柄]]を食用部位とするものを'''[[葉菜類]]'''、[[花序]]や[[花]]を食用部位とするものを'''花菜類'''、[[根]]や[[地下茎]]を食用部位とするものを'''[[根菜|根菜類]]'''とよぶ<ref name="nihonsyokuhindaijiten_p104">杉田浩一編『日本食品大事典』医歯薬出版 p.104 2008年</ref><ref name="sosai_p30">斎藤隆『蔬菜園芸の事典』朝倉書店 p.30 1991年</ref><ref name="野菜区分">{{Cite web|和書|url=https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1205/05a.html|title=野菜の区分について教えてください。|publisher=農林水産省|accessdate=2024-07-20}}</ref>。ただし、葉や茎、花は分けずに利用されることも多く、茎菜類や花菜類は、広義の葉菜類または葉茎菜類にまとめられることが多い<ref name="alic-yasaibook1"/><ref name="飛騨2009" /><ref name="=野菜類の区分" />。


{{multiple image
=== 需要部位による分類 ===
| total_width = 600
野菜は食用とする部位(需要部位)の違いから、一般に根を食用部位とする'''[[根菜|根菜類]]'''、地下あるいは地上の茎を食用部位とする'''茎菜類'''、葉や[[葉柄]]を食用部位とする'''[[葉菜類]]'''、[[花序]]や[[花弁]]を食用部位とする'''花菜類'''、未熟果や熟果を食用部位とする'''果菜類'''に分けられる<ref name="nihonsyokuhindaijiten_p104">杉田浩一編『日本食品大事典』医歯薬出版 p.104 2008年</ref><ref name="sosai_p30">斎藤隆『蔬菜園芸の事典』朝倉書店 p.30 1991年</ref><ref name="heya sodan 1205">{{Cite web|和書|url=https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1205/05a.html|title=消費者相談 ジャガイモは根菜類と区分されているようですが、そのほかの野菜類の区分はどのようになっているのか教えてください。|publisher=農林水産省|accessdate=2013-04-16}}</ref>。
| align = center
| caption_align = left
| image1 = Vegetables 0006.JPG
| caption1 = さまざまな果菜類
| image2 = Rau - Vegetables.jpg
| caption2 = さまざまな葉菜類
| image3 = Root vegetables, 2007.jpg
| caption3 = さまざまな根菜類
}}


* 菜類(もの野菜{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=218}}{{sfn|金子美登|2012|p=236}})
; [[果菜類]]<span style="font-weight:400;">もの野菜{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=218}}{{sfn|金子美登|2012|p=236}}、成り物野菜ともいう</span>
: [[果実]]や[[種子]]を食用部位とする野菜<ref name="飛騨2009" />。[[インゲンマメ]]などのマメ類や[[トウモロコシ]]の未成熟果は副菜に利用され野菜(果菜)として扱われるが、成熟した果実や種子は主食や加工品原料に使われることが多いため、「マメ類」や「穀類」として野菜とは分けて扱われることも多い<ref name="飛騨2009" /><ref name="日本標準商品分類" />。
** [[ダイコン]]、[[カブ]]、[[ラディッシュ]]、[[ニンジン]]、[[ゴボウ]]、[[レンコン]]、[[ジャガイモ]]{{sfn|金子美登|2012|p=236}}、[[サトイモ]]{{sfn|金子美登|2012|p=236}}、[[サツマイモ]]、[[ヤマイモ]]、[[百合根]]、[[クワイ]]、[[ビーツ]]、[[ヤーコン]]、[[ニンニク]]{{sfn|金子美登|2012|p=236}}、[[ショウガ]]{{sfn|金子美登|2012|p=236}}など。
: [[トマト]]、[[ナス]]、[[ピーマン]]、[[パプリカ]]、[[トウガラシ]]、[[キュウリ]]、[[メロン]]{{efn2|name="果実的野菜"}}、[[スイカ]]{{efn2|name="果実的野菜"}}、[[カボチャ]]、[[ズッキーニ]]、[[ニガウリ]]、[[インゲンマメ]]、[[エンドウ]]、[[ソラマメ]]、[[オクラ]]、[[イチゴ]]{{efn2|name="果実的野菜"}}、[[トウモロコシ]]など<ref name="養賢堂2004" />。
; [[葉菜類]]<span style="font-weight:400;">(葉もの野菜{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=218}}{{sfn|金子美登|2012|p=236}})</span>
: 狭義には[[葉]]を食用部位とする野菜のことであるが、[[アスパラガス]]や[[ウド]]など地上茎を食用部とする茎菜類(茎もの野菜{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=218}})や、[[ブロッコリー]]や[[ミョウガ]]など[[花芽]]・[[花]]を食用部とする花菜類を含めて広義の葉菜類や'''葉茎菜類'''とすることが多い<ref name="飛騨2009" /><ref name="野菜区分" /><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.soumu.go.jp/main_content/000294475.pdf |title=日本標準商品分類(平成2年6月改定) |access-date=2023/02/13 |publisher=総務省}}</ref>。また、[[カイワレダイコン]]や[[モヤシ]]のように芽生えの茎葉を利用するものは、とくに[[スプラウト]](新芽野菜、発芽野菜)とよばれる<ref name="コトバンク_スプラウト">{{Cite Kotobank|word=スプラウト|encyclopedia=デジタル大辞泉|accessdate=2024-07-08}}</ref><ref>{{cite book|author=|year=2017|chapter=スプラウト野菜を作ってみよう|editor=主婦の友社|title=野菜づくりに失敗しないための知恵とコツ|publisher=主婦の友社|isbn=9784074235452|page=160}}</ref>。
: [[キャベツ]]、[[カリフラワー]]、[[ブロッコリー]]、[[ハクサイ]]、[[コマツナ]]、[[ミズナ]]、[[チンゲンサイ]]、[[タアサイ]]、[[ホウレンソウ]]、[[モロヘイヤ]]、[[ツルムラサキ]]、[[クウシンサイ]]、[[シソ]]、[[セリ]]、[[ミツバ]]、[[セロリ]]、[[パセリ]]、[[ウド]]、[[レタス]]、[[エンダイブ]]、[[チコリ]]、[[シュンギク]]、[[フキ]]、[[食用菊]]、[[アーティチョーク]]、[[アスパラガス]]、[[ネギ]]、[[ニラ]]、[[ワケギ]]、[[ミョウガ]]など<ref name="養賢堂2004" />。
; [[根菜類]]<span style="font-weight:400;">(根もの野菜{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=218}}{{sfn|金子美登|2012|p=236}})</span>
: 地中にある[[根]]や[[地下茎]]([[根茎]]、[[球茎]]、[[塊茎]]、[[鱗茎]])を食用部位とする野菜<ref name="飛騨2009" />。[[サツマイモ]]、[[ジャガイモ]]、[[タロイモ]]([[サトイモ]]など)、[[ヤムイモ]]([[ヤマノイモ]]など)、[[キャッサバ]]などは[[主食]]や加工品原料に使われることが多いため、「イモ類」として野菜とは分けて扱われることがある<ref name="野菜の定義" /><ref name="石井2009">{{Cite book|author=石井龍一|translator=|year=2009|chapter=野菜として利用する栽培植物|editor=石井龍一・岩槻邦男・竹中明夫・土橋豊・長谷部光泰・矢原徹一・和田正三|title=植物の百科事典|publisher=朝倉書店|isbn=978-4-254-17137-2|pages=341–346}}</ref>。[[タマネギ]]や[[ニンニク]]、[[ラッキョウ]]は地中にできるため根菜として扱われることもあるが、可食部である鱗茎の主体は特殊化した葉(鱗茎葉)であり、葉菜類(葉茎菜類)として扱われることも多く<ref name="日本標準商品分類" /><ref name="=野菜類の区分" />、また[[ネギ]]や[[ニラ]]など他の[[ネギ属]]野菜と合わせてネギ類<ref name="養賢堂2004" />や鱗茎菜類<ref name="米安1996" />として他と分けられることもある。
: [[ダイコン]]、[[ハツカダイコン]]、[[カブ]]、[[ビーツ]]、[[ニンジン]]、[[ゴボウ]]、[[キャッサバ]]、[[サツマイモ]]、[[ヤーコン]]、[[ショウガ]]、[[レンコン]]、[[サトイモ]]、[[クワイ]]、[[ヤマイモ]]、[[ジャガイモ]]、[[タマネギ]]{{efn2|name="ネギ類"|根菜として扱われることもあるが、可食部である鱗茎の主体は特殊化した葉(鱗茎葉)であり、葉菜類(葉茎菜類)として扱われることも多く<ref name="日本標準商品分類" /><ref name="=野菜類の区分" />、またネギやニラなど他のネギ属野菜と合わせてネギ類<ref name="養賢堂2004" />や鱗茎菜類<ref name="米安1996" />として他と分けられることもある。}}、[[ニンニク]]{{efn2|name="ネギ類"}}、[[百合根]]など<ref name="養賢堂2004" />。


[[果菜類]](および花菜類)では花を咲かせることが必要であるが、[[葉菜類]]や[[根菜類]]では花茎が伸びて花芽が形成されると([[抽苔]]とよばれる)食用部分の品質が低下する<ref name="コトバンク_野菜2" />。そのため、このような野菜は抽台しにくい品種や抽台しにくい季節に栽培される<ref name="コトバンク_野菜2" />。
* 茎菜類(茎もの野菜{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=218}})
** [[タマネギ]]{{efn2|name="葉もの"|葉もの野菜にグループ分けされることもある{{sfn|金子美登|2012|p=236}}。}}、[[アスパラガス]]、[[ウド]]など。


=== 植物分類学による分類 ===
* 葉菜類(葉もの野菜{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=218}}{{sfn|金子美登|2012|p=236}})
植物分類学における区分では、野菜はさまざまな[[科 (分類学)|科]]に属する<ref name="飛騨2009" />。ただし、[[アブラナ科]]、[[マメ科]]、[[ウリ科]]、[[ナス科]]、[[キク科]]、[[セリ科]]などいくつかの科が特に多くの野菜を含む。以下に、一般的な被子植物の科の配列に沿って野菜を含むおもな科を列記している<ref name="養賢堂2004" /><ref name="YList" /><ref name="米倉2019">{{Cite book|author=米倉浩司|title=新維管束植物分類表|publisher=北隆館|year=2019|pages=|isbn=978-4-8326-1008-8}}</ref>。同じ科に属する野菜はしばしば味や栄養価が似ており、また栽培に関しても共通点がある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=218}}。
** [[キャベツ]]、[[コマツナ]]、[[ミズナ]]、[[ハクサイ]]、[[チンゲンサイ]]、[[タアサイ]]、[[レタス]]、[[シュンギク]]、[[チコリ]]、[[トレビス]]、[[エンダイブ]]、[[ホウレンソウ]]、[[ハクサイ]]、[[ニラ]]、[[ネギ]]、[[ワケギ]]、[[ミツバ]]、[[モロヘイヤ]]、[[パセリ]]、[[ミツバ]]、[[シソ]]、[[クウシンサイ]]、[[ツルムラサキ]]など。


* [[ハゴロモモ科]](ジュンサイ科):[[ジュンサイ]]
* 果菜類(実もの野菜{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=218}}{{sfn|金子美登|2012|p=236}}、成り物野菜ともいう)
* [[サトイモ科]]:[[タロイモ]]([[サトイモ]]、[[ハスイモ]]など)
** [[トマト]]、[[ナス]]、[[カボチャ]]、[[ニガウリ]]、[[トウガン]]、[[シロウリ]]、[[ピーマン]]、[[パプリカ]]、[[シシトウガラシ]]、[[キュウリ]]、[[ズッキーニ]]、[[オクラ]]、[[スイカ]]{{sfn|金子美登|2012|p=236}}、[[イチゴ]]{{sfn|金子美登|2012|p=236}}、[[トウモロコシ]]{{sfn|金子美登|2012|p=236}}など。
* [[オモダカ科]]:[[クワイ]]など
* [[ヤマノイモ科]]:[[ヤムイモ]]([[ナガイモ]]、[[ヤマノイモ]]など)
* [[ユリ科]]:[[ユリ根]]など
* [[キジカクシ科]]:[[アスパラガス]]など
* [[ヒガンバナ科]]:[[タマネギ]]、[[ネギ]]、[[ワケギ]]、[[ニラ]]、[[リーキ]]、[[ニンニク]]、[[ラッキョウ]]など
* [[ショウガ科]]:[[ショウガ]]、[[ウコン]]、[[ミョウガ]]など
* [[イネ科]]:[[タケノコ]]、[[トウモロコシ]](スイートコーン)など
* [[ハス科]]:[[ハス]]([[レンコン]])
* [[マメ科]]:[[インゲンマメ]]、[[エンドウ]]、[[ダイズ]]([[枝豆]])、[[ソラマメ]]、[[ラッカセイ]]、[[リョクトウ]](緑豆もやし)など
* [[バラ科]]:[[イチゴ]]、[[ウメ]]など
* [[ウリ科]]:[[キュウリ]]、[[シロウリ]]、[[スイカ]]、[[カボチャ]]、[[ズッキーニ]]、[[ニガウリ]]、[[トウガン]]など
* [[ミソハギ科]]:[[ヒシ]]
* [[ミカン科]]:[[サンショウ]]など
* [[トウダイグサ科]]:[[キャッサバ]]など。
* [[アオイ科]]:[[オクラ]]、[[モロヘイヤ]]など
* [[アブラナ科]]:[[キャベツ]]、[[ブロッコリー]]、[[カリフラワー]]、[[ハクサイ]]、[[コマツナ]]、[[ミズナ]]、[[タアサイ]]、[[チンゲンサイ]]、[[菜花]]、[[カブ]]、[[ダイコン]]、[[クレソン]]、[[ワサビ]]など
* [[ヒユ科]]:[[ホウレンソウ]]、[[オカヒジキ]]、[[ビート (植物)|ビート]]、[[スイスチャード]]など
* [[タデ科]]:[[ヤナギタデ]]、[[ルバーブ]]など
* [[ハマミズナ科]]:[[ツルナ]]、[[アイスプラント]]など
* [[ツルムラサキ科]]:[[ツルムラサキ]]など
* [[ヒルガオ科]]:[[サツマイモ]]、[[クウシンサイ]](ヨウサイ)など
* [[ナス科]]:[[ナス]]、[[トマト]]、[[ピーマン]]、[[パプリカ]]、[[トウガラシ]]、[[シシトウガラシ]]、[[ジャガイモ]]など
* [[シソ科]]:[[シソ]](大葉)、[[エゴマ]]、[[バジル]]など
* [[キク科]]:[[レタス]]、[[シュンギク]]、[[ゴボウ]]、[[食用菊]]、[[アーティチョーク]]、[[チコリ]]、[[トレビス]]、[[エンダイブ]]、[[スイゼンジナ]]、[[フキ]]、[[ヤーコン]]など
* [[ウコギ科]]:[[ウド]]、[[タラノキ]]など
* [[セリ科]]:[[ニンジン]]、[[セロリ]]、[[パセリ]]、[[セリ]]、[[ミツバ]]、[[アシタバ]]、[[パクチー]]、[[フェンネル]]など


=== 香辛野菜 ===
* 花菜類
野菜の中には香りや辛味が強く、少量が料理に添えられたり調味に使われるものがあり、'''[[香辛野菜]]'''(香辛菜)ともよばれる<ref name="=野菜類の区分" /><ref name="コトバンク_香味野菜">{{Cite Kotobank|word=香味野菜|encyclopedia=デジタル大辞泉|accessdate=2024-07-20}}</ref>。[[薬味]]や[[ハーブ]]とよばれるものもある<ref name="コトバンク_薬味">{{Cite Kotobank|word=薬味|encyclopedia=日本大百科全書(ニッポニカ)|accessdate=2024-07-08}}</ref><ref name="コトバンク_ハーブ">{{Cite Kotobank|word=ハーブ|encyclopedia=日本大百科全書(ニッポニカ)|accessdate=2024-07-08}}</ref>。[[サンショウ]]、[[クレソン]]、[[カイワレダイコン]]、[[ワサビ]]、[[ワサビダイコン]]、[[ヤナギタデ]]、[[トウガラシ]]、[[シソ]]、[[バジル]]、[[タイム (植物)|タイム]]、[[ラベンダー]]、[[ミント]]、[[パセリ]]、[[チャービル]]、[[フェンネル]]、[[パクチー]]、[[ハマボウフウ]]、[[ミツバ]]、[[セリ]]、[[食用菊]]、[[ショウガ]]、[[ミョウガ]]、[[ニンニク]]などがある<ref name="斎藤1996" /><ref name="日本標準商品分類" /><ref name="芦澤1992">{{Cite journal|author=芦澤正和|year=1992|title=1. 野菜|journal=化学と生物|volume=27|issue=10|pages=663–671|doi=10.1271/kagakutoseibutsu1962.30.735}}</ref>。
** [[ミョウガ]]{{efn2|name="葉もの"}}、[[カリフラワー]]{{efn2|name="葉もの"}}、[[ブロッコリー]]{{efn2|name="葉もの"}}、[[食用菊]]、[[アーティチョーク]]など。


=== 緑黄色野菜と淡色野菜 ===
なお、日本ではこのほかの分類法として総務省「日本標準商品分類」では根菜類、葉茎菜類、果菜類の3つに分類され<ref name="heya sodan 1205"/><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.soumu.go.jp/main_content/000294475.pdf |title=日本標準商品分類(平成2年6月改定) |access-date=2023/02/13 |publisher=総務省}}</ref>、農林水産省「野菜生産出荷統計」では根菜類、葉茎菜類、果菜類、果実的野菜、香辛野菜の5つに分類されている<ref name="alic-yasaibook1"/>。
日本では、可食部分の[[カロテン]]含有量によって、野菜を[[緑黄色野菜]]と[[淡色野菜]]に分けることがある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}{{sfn|講談社編|2013|p=236}}。日本の[[厚生労働省]]では「原則として可食部100グラム当たりの[[カロテン]]含量が600[[マイクログラム]] (µg) 以上の野菜」を'''[[緑黄色野菜]]'''と定義している<ref name="kenkouyougo">{{Cite web|和書|url=https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-037.html|title=健康用語辞典 緑黄色野菜|publisher=厚生労働省|accessdate=2013-04-05}}</ref><ref name="alic-yasaibook1"/>。緑黄色野菜は色が濃い野菜が多く、[[ホウレンソウ]]、[[ニンジン]]、[[カボチャ]]などがその代表例である{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。[[トマト]]や[[ピーマン]]などは、この基準に入らないが、食べる回数や量が多いことから緑黄色野菜とみなされている{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}{{sfn|講談社編|2013|p=236}}。また、緑黄色野菜以外の野菜は、'''[[淡色野菜]]'''とよばれる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。


=== 科による分類 ===
=== 西洋野菜と中国野菜 ===
日本において、[[明治時代]]以降に[[欧米]]から導入された[[ブロッコリー]]、[[カリフラワー]]、[[キャベツ]]、[[メキャベツ]]、[[ハツカダイコン]]、[[トマト]]、[[ピーマン]]、[[バジル]]、[[セロリ]]、[[パセリ]]、[[レタス]]、[[チコリー]]、[[エンダイブ]]、[[アスパラガス]]、[[リーキ]]などの野菜は、'''西洋野菜'''(洋菜)とよばれる<ref name="nihonsyokuhindaijiten_p104">杉田浩一編『日本食品大事典』医歯薬出版 p.104 2008年</ref><ref name="コトバンク_西洋野菜">{{Cite Kotobank|word=西洋野菜|encyclopedia=日本大百科全書(ニッポニカ)|accessdate=2024-07-26}}</ref>。また、日本において[[1970年代]]以降に中国から導入され普及した野菜は'''[[中国野菜]]'''とよばれ、[[チンゲンサイ]]や[[パクチョイ]]、[[タアサイ]]、[[カイラン]]、[[セリホン]]、[[トウミョウ]]、[[キンサイ]]、[[ステムレタス]]、[[オオクログワイ]]などがある<ref name="nihonsyokuhindaijiten_p104"/><ref name="コトバンク_中国野菜">{{Cite Kotobank|word=中国野菜|encyclopedia=日本大百科全書(ニッポニカ)|accessdate=2024-07-26}}</ref>。
植物学的に属する科に注目すると、その野菜の特徴がみえてくる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=218}}。同じ科どうしの野菜であれば、見た目や味、栄養価が似ているほか、栽培する上での基本的な育ち方が似通っている{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=218}}。
* [[アブラナ科]]
** [[キャベツ]]、[[コマツナ]]、[[ハクサイ]]、[[タアサイ]]、[[チンゲンサイ]]、[[ブロッコリー]]、[[カリフラワー]]、[[ダイコン]]、[[カブ]]、[[ミズナ]]、[[菜花]]など。
* [[セリ科]]
** [[ニンジン]]、[[セロリ]]、[[パセリ]]、[[ミツバ]]、[[アシタバ]]、[[フェンネル|フローレンスフェンネル]]など。
* [[ウリ科]]
** [[キュウリ]]、[[カボチャ]]、[[スイカ]]、[[ニガウリ]]、[[ズッキーニ]]、[[トウガン]]、[[シロウリ]]など。
* [[ヒガンバナ科]][[ネギ亜科]]
** [[タマネギ]]、[[ネギ]]、[[ワケギ]]、[[ニラ]]、[[ニンニク]]、[[ラッキョウ]]、[[リーキ]]など。
* [[ナス科]]
** [[ナス]]、[[トマト]]、[[ピーマン]]、[[パプリカ]]、[[トウガラシ]]、[[シシトウガラシ]]、[[ジャガイモ]]など。
* [[マメ科]]
** [[インゲン]]、[[エンドウ]]、[[枝豆]]([[ダイズ]])、[[ラッカセイ]]など。
* [[アオイ科]]
** [[オクラ]]、[[モロヘイヤ]]など。
* [[キク科]]
** [[レタス]]、[[シュンギク]]、[[ゴボウ]]、[[食用菊]]、[[アーティチョーク]]、[[チコリ]]、[[トレビス]]、[[エンダイブ]]、[[金時草]]、[[ヤーコン]]など。
* [[ショウガ科]]
** [[ショウガ]]、[[ミョウガ]]など。
* [[ヒルガオ科]]
** [[サツマイモ]]、[[クウシンサイ]]など。
* [[シソ科]]
** [[シソ]](大葉)、[[エゴマ]]など。
* [[イネ科]]
** [[トウモロコシ]]、[[タケノコ]]など。
* [[キジカクシ科]]
** [[アスパラガス]]
* [[サトイモ科]]
** [[サトイモ]]、[[ハスイモ]]など。
* [[ヒユ科]]
** [[ホウレンソウ]]、[[オカヒジキ]]、[[ビート (植物)|ビート]]、[[スイスチャード]]など
* [[ゴマ科]]
** [[ゴマ]]


=== 高原野菜 ===
[[ファイル:Tsumagoi Cabbage&Asamayama.JPG|thumb|right|200px|[[嬬恋村]](群馬県)におけるキャベツ栽培]]
日本において、夏でも涼しい標高1,000メートル前後の[[高原]]で栽培される野菜は、'''[[高原野菜]]'''(こうげんやさい)または'''高冷地野菜'''(こうれいちやさい)とよばれる<ref name="コトバンク_高原野菜">{{Cite Kotobank|word=高原野菜|encyclopedia=改訂新版 世界大百科事典|accessdate=2024-07-20}}</ref>。高原野菜の利点は、平地では夏に栽培が難しい野菜を、独占的に栽培できるところにあるが、栽培期間が短くふつう年1作しかできない<ref name="コトバンク_高原野菜" />。代表的なものとして、[[レタス]]、[[ハクサイ]]、[[キャベツ]]などがある<ref>{{Cite web|和書|author=|date=|url=https://www.ja-yatugatake.iijan.or.jp/product_guide/index.html|title=夏の高原野菜|website=|publisher=JA長野八ヶ岳|accessdate=2024-07-20}}</ref>。明治半ばに、長野県の[[軽井沢]]において[[避暑]]に訪れる外国人客向けとして栽培が始まり、大正末期から東京など大都市に出荷されるようになった<ref name="コトバンク_高原野菜" />。
{{-}}
=== 品種 ===
=== 品種 ===
野菜名であっ種類によってはさまざまな[[品種 (分類学)|品種]]が作れているものもり、個々に品種名がつけられている。品種名には、産地の名前が由来となっているもの、地域で特別に名付けたもの、品種改良を行った人物や種苗会社が名付けたものなどさまざまである{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=219}}。品種名がそのまま商品名(商標名)となったり、同じ品種でも産地によって異なる商標名になることもあり、地域の特産品になるとブランド名として独自の名前をつけることもある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=219}}。
一種の野菜において、さまざまな[[栽培品種]]が作出されていることがある。品種名には、産地の名前が由来となっているもの、地域で特別に名付けたもの、品種改良を行った人物や種苗会社が名付けたものなどさまざまである{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=219}}。品種名がそのまま商品名(商標名)となったり、同じ品種でも産地によって異なる商標名になることもあり、地域の特産品になるとブランド名として独自の名前をつけることもある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=219}}。


野菜には[[雑種第一代|'''F<sub>1</sub>品種'''(雑種第一代)]]とよばれるものがある。F<sub>1</sub>品種は、異なる品種を人工的に交配して、病気に強い・形が揃いやすい・栽培期間が短いなどの長所となる特性を持たせたもので、流通している野菜の多くはF<sub>1</sub>品種だといわれている{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=219}}。F<sub>1</sub>品種の特性は一代限りのため、種を取って翌年栽培しても一代目と同じ特性の野菜には育たない。そのため、F<sub>1</sub>品種は種苗会社が種を作り、栽培[[農家]]が毎年その種を購入する必要がある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=219}}。
野菜には[[雑種第一代|'''F<sub>1</sub>品種'''(雑種第一代)]]とよばれるものがある。F<sub>1</sub>品種は、異なる品種を人工的に交配して、病気に強い・形が揃いやすい・栽培期間が短いなどの長所となる特性を持たせたものであり、流通している野菜の中にはF<sub>1</sub>品種であものも多い{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=219}}。F<sub>1</sub>品種の特性は一代限りのため、これから[[子]]を取って翌年栽培しても一代目と同じ特性の野菜には育たない。そのため、F<sub>1</sub>品種は種苗会社が種を作り、栽培[[農家]]が毎年その種を購入する必要がある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=219}}。


'''固定種'''や'''在来種'''とよばれる野菜は、長い年月をかけて優良な個体から種を取り、特性を固定していくことでできた品種である。遺伝的にも安定しており、地方によっては多くの固定種が作り継がれていった{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=219}}。現在、地方の[[伝統野菜]]とよばれている品種は、こうした受け継がれて栽培されたことによって、その地域の在来種となったものである{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=219}}。
'''固定種'''や'''在来種'''{{efn2|name="在来種"|在来種は、(人間による移入ではなく)その地域に自然分布していた生物種を意味することもある<ref name="コトバンク_在来種">{{Cite Kotobank|word=在来種|encyclopedia=改訂新版 世界大百科事典|accessdate=2024-07-22}}</ref>。}}とよばれる野菜は、長い年月をかけて優良な個体から種を取り、特性を固定していくことでできた品種である。遺伝的にも安定しており、地方によっては多くの固定種が作り継がれていった{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=219}}。現在、地方の[[伝統野菜]]とよばれている品種は、このよ受け継がれて栽培されたことによって、その地域の在来種となったものである{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=219}}。


== 歴史 ==
=== 緑黄色野菜と淡色野菜 ===
現代において世界で栽培される野菜の多くは、[[中国]]、[[インド]]から[[東南アジア]]、[[中央アジア]]、[[近東]]、[[地中海]]岸、[[アフリカ]]([[サヘル]]地帯及び[[エチオピア高原]])、[[中央アメリカ]]、南米の[[アンデス]]山脈の8地域を起源としている。これらの地域は農耕文明の発祥地と重なっている。また、もともとの生息域が広く、栽培化地域が複数にまたがっている野菜も多い。中国においてはハクサイ、ネギ、ゴボウが、インドから東南アジアにおいてはキュウリやナス、サトイモ、中央アジアではダイコン、ニンジン、タマネギ、ホウレンソウ、ソラマメなどが栽培化されている。近東地域ではレタスやニンジンやタマネギが栽培化されている。地中海岸は野菜の一大起源地であり、キャベツやエンドウマメ、アスパラガスや[[セロリ]]が栽培化されている。アフリカのサヘルからエチオピア高原にかけては、[[ササゲ]]や[[オクラ]]などが栽培化された。中央アメリカにおいてはインゲンマメやサツマイモ、カボチャが栽培化された。南アメリカ・アンデスにおいては、トマトとジャガイモ、それにトウガラシやピーマン、カボチャの栽培化が行われた<ref>「蔬菜園芸の事典(普及版)」p10-12 斎藤隆 朝倉書店 2010年10月30日普及版第1刷</ref>。こうした中心地のほか、世界各地で野草採集から発展した独自の野菜が栽培されており、各地独特の食文化の重要な要素となっている。
野菜は栄養面で見ると、可食部分の[[カロテン]]含有量の違いによって[[緑黄色野菜]]と[[淡色野菜]]に分けられる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}{{sfn|講談社編|2013|p=236}}。日本の[[厚生労働省]]では「原則として可食部100g当たり[[カロテン]]含量が600μg以上の野菜」<ref name="kenkouyougo">{{Cite web|和書|url=https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-037.html|title=健康用語辞典 緑黄色野菜|publisher=厚生労働省|accessdate=2013-04-05}}</ref><ref name="alic-yasaibook1"/>を[[緑黄色野菜]]と定義している。緑黄色野菜は色が濃い野菜が多く、[[ホウレンソウ]]、[[ニンジン]]、[[カボチャ]]などがその代表例である{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。[[トマト]]や[[ピーマン]]などは、この基準に入らないが、食べる回数や量が多いことから緑黄色野菜とみなされている{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}{{sfn|講談社編|2013|p=236}}。また、緑黄色野菜以外の野菜は、淡色野菜である{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。


=== 西洋野菜と中国野菜 ===
=== 日本における歴史 ===
[[フキ]]や[[セリ]]、[[ミツバ]]、[[ウド]]など日本原産の野菜もあるが、ほとんどの野菜は[[日本列島]]の外で栽培化されたものが持ち込まれたものである<ref name="米安1996" />。
日本において[[明治時代]]以降に[[欧米]]から導入された[[ブロッコリー]]などを西洋野菜(洋菜)という<ref name="nihonsyokuhindaijiten_p104">杉田浩一編『日本食品大事典』医歯薬出版 p.104 2008年</ref>。また、日本において中国から[[1970年代]]以降に導入され普及した[[チンゲンサイ]]や[[パクチョイ]]などを[[中国野菜]]という<ref name="nihonsyokuhindaijiten_p104"/>。


その移入の歴史は古く、すでに[[縄文時代]]の遺跡である[[福井県]]の[[鳥浜貝塚]]においては、[[ゴボウ]]、[[カブ]]、[[アブラナ]]、[[リョクトウ]]、[[エゴマ]]、[[シソ]]などの種子が出土し、栽培されていたと考えられている。この発見は[[弥生時代]]の稲作伝来以前からすでに農耕が開始されていたこと、および縄文時代にすでにはるかな遠隔地で栽培化されていた野菜(カブやアブラナは地中海沿岸、エゴマやシソやリョクトウはインド原産)が伝来しており、大陸をはじめとする広範囲な移動がすでに行われていたことを示した<ref>[http://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/fukui/07/kenshi/T1/2a3-02-02-03-02.htm 「福井県史 通史編」第三章 コシ・ワカサと日本海文化] - [[福井県文書館]] 2016年8月24日閲覧</ref>。
=== 高原野菜 ===

夏でも涼しい標高1,000メートル前後の[[高原]]で栽培される野菜類を'''高原野菜'''(こうげんやさい)または'''高冷地野菜'''(こうれいちやさい)という。明治以降、長野県の[[軽井沢]]において[[避暑]]に訪れる外国人客向けとして栽培が始まった。その後各地に広まり、ハクサイやキャベツ、レタスなど、40を超える種類の野菜が高原野菜として栽培されている<ref>{{Cite web|和書|url=https://kotobank.jp/word/高原野菜 |title=コトバンク 高原野菜(デジタル大辞泉、世界大百科事典 第2版、大辞林 第三版) |accessdate=2017-03-13 }}</ref>。
このほか、1世紀ごろまでには[[ゴマ]]、[[サトイモ]]、[[ニンニク]]、[[ラッキョウ]]、[[ヤマイモ]]、[[トウガン]]などがすでに伝来しており、[[古墳時代]]には[[ナス]]、[[キュウリ]]、[[ササゲ]]、[[ネギ]]が伝来した<ref>「蔬菜園芸の事典(普及版)」p13 斎藤隆 朝倉書店 2010年10月30日普及版第1刷</ref>。

[[古事記]]や[[日本書紀]]にはカブや[[ニラ]]の、[[万葉集]]では[[ジュンサイ]]、[[ヒシ]]、[[セリ]]、瓜([[マクワウリ]])などの記述が存在する。このほか、現代ではあまり野菜としては使用されない水葱(なぎ、現代の[[ミズアオイ]]や[[コナギ]])や羊蹄(しのね、現代の[[ギシギシ]])などが食用とされていた<ref>『FOOD'S FOOD 新版 食材図典 生鮮食材編』p204-205 2003年3月20日初版第1刷 小学館</ref>。その後、[[レタス]]も[[8世紀]]には「萵苣」(わきょ/ちしゃ)という名前で日本に伝来している(玉状のレタスは明治時代になってからの伝来)<ref>主婦の友社編 『野菜まるごと大図鑑』主婦の友社、2011年2月20日、148頁。ISBN 978-4-07-273608-1</ref>。

[[江戸時代]]に入り、平和が続き経済が成長すると野菜の需要も高まり、特に一大消費地である[[江戸]]の周辺では大量の野菜が栽培され都市へ運び込まれるようになった。小松菜や練馬大根などのように、地名をつけブランド化する野菜が現れ始めたのもこのころである<ref>「ヴィジュアル日本生活史 江戸の料理と食生活」p68-69 原田信男編著 小学館 2004年6月20日第1版第1刷</ref>。こうした傾向は江戸に限ったことではなく、[[京野菜]]や[[加賀野菜]]をはじめ、各地で特色ある野菜が開発され定着したのも江戸時代のことであった。また[[ニンジン]]や[[ホウレンソウ]]、[[ジャガイモ]]、[[サツマイモ]]も江戸時代に伝来し、江戸時代後期には野菜の種類は著しく増加した<ref name="コトバンク_野菜2" />。

[[明治時代]]に入ると[[文明開化]]の潮流とともに、[[タマネギ]]や[[トマト]]、[[キャベツ]]をはじめとする[[西洋野菜]]が多く流入した<ref name="コトバンク_野菜2" />。またその後さまざまな[[中国野菜]]なども伝来し、日本の野菜はより多様なものとなった<ref name="コトバンク_野菜2" />。

[[スーパーマーケット]]では外観を重視し、変形が見られるものは「規格外」として取り扱わず、「訳あり」などとして格安で売られるか、採算が取れないと農家が判断し廃棄されることもあった。消費者の意識が過度に美観を重視する姿勢から変化していることもあり、外観を規格に合わせるための栽培法を止める試みもある<ref>{{Cite web|和書|title=規格外の野菜・果物=安い、は古い?|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210709/k10013129011000.html|website=NHKニュース|accessdate=2021-07-10|last=日本放送協会}}</ref>。

== 生産 ==
{{multiple image
| total_width = 250
| direction = vertical
| align = right
| caption_align = left
| image1 = Yunnan farmland 07.JPG
| caption1 = 中国の農場
| image2 = Aalu (Hindi- आलू) (4218062297).jpg
| caption2 = インドのジャガイモ農場
| image3 = John Deere tractor between cabbage rows.jpg
| caption3 = アメリカ合衆国のキャベツ農場
}}
下表では、2021年における野菜生産量が多い国を列記している<ref name="FAObook">{{cite book|author=FAO|year=2023|chapter=Tables 17, 51|editor=|title=World Food and Agriculture – Statistical Yearbook 2023|publisher=FAO|isbn=978-92-5-138262-2|pages=|url=https://openknowledge.fao.org/handle/20.500.14283/cc8166en}}</ref>。生産量が最も多い国は[[中華人民共和国]]であり、一国で世界の半分以上の生産量があった。2位は[[インド]]で、以下[[アメリカ合衆国]]、[[トルコ]]、[[ナイジェリア]]、[[エジプト]]の順となっている。野菜耕地面積も、中国が飛び抜けて広い。一方、単位面積当たりの野菜の収穫量が高い国は、[[ウズベキスタン]]、[[大韓民国]]、[[スペイン]]などである。

{| class="sortable wikitable" style="text-align:right"
|-
! 国 !! 栽培面積 <br>(1,000ヘクタール) !! 単収(トン/ha) !! 生産量 <br>(1,000トン)
|-
| style="text-align:left"|[[中華人民共和国]] || 23,394 || 25.7 || 602,344
|-
| style="text-align:left"|[[インド]] || 8,897 || 15.5 || 137,988
|-
| style="text-align:left"|[[アメリカ合衆国]] || 829 || 33.7 || 27,917
|-
| style="text-align:left"|[[トルコ]] || 677 || 39.4 || 26,646
|-
| style="text-align:left"|[[ナイジェリア]] || 4,142 || 3.8 || 15,795
|-
| style="text-align:left"|[[エジプト]] || 639 || 24.4 || 15,571
|-
| style="text-align:left"|[[メキシコ]] || 695 || 21.2 || 14,747
|-
| style="text-align:left"|[[ロシア]] || 490 || 27.6 || 13,544
|-
| style="text-align:left"|[[スペイン]] || 338 || 40.0 || 13,536
|-
| style="text-align:left"|[[インドネシア]] || 1,198 || 10.9 || 13,010
|-
| style="text-align:left"|[[イタリア]] || 332 || 34.5 || 11,441
|-
| style="text-align:left"|[[ベトナム]] || 1,003 || 10.7 || 10,741
|-
| style="text-align:left"|[[ウズベキスタン]] || 222 || 46.6 || 10,348
|-
| style="text-align:left"|[[日本]] || 370 || 27.5 || 10,177
|-
| style="text-align:left"|[[ウクライナ]] || 461 || 21.6 || 9,959
|-
| style="text-align:left"|[[大韓民国]] || 230 || 42.5 || 9,769
|-
| style="text-align:left"|[[イラン]] || 323 || 28.9 || 9,331
|-
| style="text-align:left"|[[ブラジル]] || 350 || 24.5 || 8,572
|-
| style="text-align:left"|[[アルジェリア]] || 301 || 25.4 || 7,652
|-
| style="text-align:left"|[[バングラデシュ]] || 709 || 10.3 || 7,318
|-
| style="text-align:left"|[[パキスタン]] || 584 || 12.1 || 7,074
|-class="sortbottom"
| style="text-align:left"|'''世界総計''' || '''58,034''' || '''19.9''' || '''1,154,598'''
|}

野菜は一般的に貯蔵性が高くないため、[[農家]]が自給的に生産して余剰分を市場に供給することが多く、商業的に生産される場合は消費地の近くで生産されることが多かった。しかし都市の急速な拡大によって都市近郊の野菜生産地が都市化していったことや、輸送手段・貯蔵手段の発達によって遠隔地でも野菜栽培が採算に乗るようになったことから、野菜生産は都市から離れた地域でも行われるようになった。また、葉や実を利用し貯蔵性が低い関係上供給はその植物の収穫期に限定され、旬が短く時期によって左右されたものが野菜生産であった。その後、[[温室]]や[[ビニールハウス]]などの技術革新によって野菜は一年中供給されるようになった。

{{multiple image
| total_width = 800
| align = center
| caption_align = left
| image1 = 貴志摘草莓 (27196976410).jpg
| caption1 = いちご狩り温室
| image2 = Lettuce field Minami-Awaji-shi レタス畑 南あわじ市 DSCF4242.JPG
| caption2 = ビニール掛けのレタス栽培(2月)
| image3 = Tomato_P5260299b.jpg
| caption3 = 管理されたトマト栽培
| image4 = 桑の水耕栽培をされているストリームさんにて (37776549804).jpg
| caption4 = 植物工場
}}

近年では、巨大なハウスを造りコンピュータ制御でその中の環境をコントロールし高い生産性・採算性で野菜を生産するオランダのような国が出現している<ref>[https://web.archive.org/web/20160715104217/http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/249071.html NHK「野菜はもっと安くなる?オランダに学ぶ農業」]</ref>。オランダはトマトを、本場であるイタリア向けも含めてヨーロッパ各地に大量に輸出するほどになっている。

また最近では、野菜を[[植物工場]]で生産する事例も、まだ生産量は少ないものの徐々に増えてきている。閉じた空間、害虫や雑菌の影響が少ない空間において、LED照明やコンピュータで制御された空調や養液補給などによって、気候・天候の影響をほぼ受けずに安定的に野菜を生産する方式である。雑菌や害虫が少ないため[[無農薬栽培]]が可能で、栄養価や規格の統一も容易であるなど利点も多いが、生産コストが高く採算を取るのが難しいなど課題も多く残っている<ref>「2020-2021 日経キーワード」p160-161 日経HR編集部編著 日経HR社 2019年12月4日第1刷</ref>。


== 食材 ==
== 食材 ==
野菜には[[旬]]があるが、近年では[[品種]]改良・[[作型]]の改良([[ビニールハウス|ハウス]]栽培など)・[[輸入]]野菜の増加によって、旬以外の時期でも[[市場]]に年間を通して[[供給]]されるようになった{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。需要形態が変化してきており、カット野菜(切断されて部分的に販売される野菜)や冷凍野菜も利用されるようになっている<ref name="alic-yasaibook1"/>。ただし、カット野菜は切断面が大きい分、野菜の呼吸量も大きくなるため、品質の落ちるスピードも速くなってしまうという難点がある<ref name="tabemonotokenkouomoshirozatsugaku_p195"> 落合敏監修 『食べ物と健康おもしろ雑学』 p.195 梧桐書院 1991年</ref>。
[[ファイル:Paris - Monop' de Bercy Village.jpg|thumb|[[スーパーマーケット]]に並んだ野菜。]]


{{multiple image
野菜には[[旬]]があるが、近年では[[品種]]改良・[[作型]]の改良([[ビニールハウス|ハウス]]栽培など)・[[輸入]]野菜の増加によって、旬以外の時期でも[[市場]]に年間を通して[[供給]]されるようになった{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。またこれらの影響か、近年の野菜の[[味]]は昔よりも薄くなったと感じている人もいる。需要形態が変化してきており、カット野菜(切断されて部分的に販売される野菜)や冷凍野菜も利用されるようになっている<ref name="alic-yasaibook1"/>。ただし、カット野菜は切断面が大きい分、野菜の呼吸量も大きくなるため、品質の落ちるスピードも速くなってしまうという難点がある<ref name="tabemonotokenkouomoshirozatsugaku_p195"> 落合敏監修 『食べ物と健康おもしろ雑学』 p.195 梧桐書院 1991年</ref>。
| total_width = 600
| align = center
| caption_align = left
| image1 = Vegetable Shop in Meppadi.jpg
| caption1 = インドの八百屋
| image2 = VegetablesSupermarket.jpg
| caption2 = カナダのスーパーマーケット
| image3 = Prepared vegetables.jpg
| caption3 = カット野菜
}}


古来食材としては、野菜類はどの文化圏においても副菜としての性格が強く、[[主食]]は[[コメ]]や[[コムギ]]といった炭水化物を摂取するための穀物であり、またタンパク質に富む[[食肉|肉]]や[[魚]]が[[ごちそう]]として扱われるのに比べ、野菜類がメインとなることは少なかった。野菜類がメインとなる場合も、[[うま味]]を供給する肉や魚、[[油]]や[[調味料]]と組み合わせて使用されることが常である<ref name="名前なし-1">『世界の食べもの 食の文化地理』p238 石毛直道 講談社学術文庫 2013年5月9日第1刷</ref>。また野菜類の作物としての比重も高くなく、古代にはこうした野菜類は栽培するのではなく、食べられる[[野草]]を採集してくることも多かった。これは野菜類にエネルギー源やタンパク質に富むものが少なく、栄養源としてはそこまで必要性が高くなかったことによる<ref>『世界の食べもの 食の文化地理』p237 石毛直道 講談社学術文庫 2013年5月9日第1刷</ref>。やがて生活が豊かになるにつれて食生活に彩りを添えるために各種栽培野菜の開発が各地で進められていくが、野草採集も食糧供給源としては存続し、現代においても[[山菜]]として食卓をにぎわせている。
古来食材としては、野菜類はどの文化圏においても副菜としての性格が強く、[[主食]]は[[コメ]]や[[コムギ]]といった[[炭水化物]]を摂取するための[[穀物]]であり、また[[タンパク質]]に富む[[食肉|肉]]や[[魚]]が[[ごちそう]]として扱われるのに比べ、野菜類がメインとなることは少なかった。野菜類がメインとなる場合も、[[うま味]]を供給する肉や魚、[[油]]や[[調味料]]と組み合わせて使用されることが常である<ref name="名前なし-1">『世界の食べもの 食の文化地理』p238 石毛直道 講談社学術文庫 2013年5月9日第1刷</ref>。また野菜類の作物としての比重も高くなく、古代にはこうした野菜類は栽培するのではなく、食べられる[[野草]]を採集してくることも多かった。これは野菜類にエネルギー源やタンパク質に富むものが少なく、栄養源としてはそこまで必要性が高くなかったことによる<ref>『世界の食べもの 食の文化地理』p237 石毛直道 講談社学術文庫 2013年5月9日第1刷</ref>。やがて生活が豊かになるにつれて食生活に彩りを添えるために各種栽培野菜の開発が各地で進められていくが、野草採集も食糧供給源としては存続し、現代においても[[山菜]]として食卓をにぎわせている。


[[宗教]]・[[文化的]]理由もしくは[[主義]]として[[肉食]]を避ける人は、一般に[[菜食主義|菜食主義者]]と呼ばれるが、これは「野菜のみを食べる人」という意味ではない。菜食主義者の食事においてもメインとなるものは[[エネルギー]]源となる[[炭水化物]]を多く含む穀物や[[イモ]]類、および[[タンパク質]]に富む[[豆]]類であり、野菜は副菜としての位置づけにあることには変わりがない<ref name="名前なし-1"/>。
[[宗教]]・[[文化的]]理由もしくは[[主義]]として[[肉食]]を避ける人は、一般に[[菜食主義|菜食主義者]]と呼ばれるが、これは「野菜のみを食べる人」という意味ではない。菜食主義者の食事においてもメインとなるものは[[エネルギー]]源となる[[炭水化物]]を多く含む穀物や[[イモ]]類、および[[タンパク質]]に富む[[豆]]類であり、野菜は副菜としての位置づけにあることには変わりがない<ref name="名前なし-1"/>。

なお、[[主食]]となる[[穀物]]は野菜に含めないことが多いが、それを主食としない[[文化圏]]では野菜として扱われることがある。たとえば、穀物である[[トウモロコシ]]は日本などでは野菜に含まれ、欧米でも[[米]]が野菜に含まれることがある。


=== 調理法 ===
=== 調理法 ===
野菜は、洗う、切るといった下ごしらえを調理の直前に行うのが基本である{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=222}}。根付き野菜は、水につけて洗うことによって根元付近に付着した泥が落ちやすくなる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=222}}。[[灰汁]]が強い野菜の場合は、下処理として水や酢水、焼き[[ミョウバン]]水などにつけて[[灰汁抜き]]をする{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=222}}。キュウリやオクラ、ニガウリのように、塩をまぶして揉むことで食感が良くなる野菜もある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=222}}。野菜を切るときは食べやすく味や食感を考えて、[[輪切り]]、[[角切り]](さいの目切り)、[[千切り]]、[[千六本]]、[[小口切り]]、[[拍子切り]]、[[短冊切り]]、[[半月切り]]、[[いちょう切り]]、[[かつらむき]]、[[みじん切り]]、[[くし形切り]]、[[細切り]]、[[斜め切り]]、[[乱切り]]、[[ささがき]]など、料理に合わせたさまざまな切り方がある<ref>{{Cite web |title=Harvard Health |url=https://www.health.harvard.edu/promotions/harvard-health-publications/the-harvard-medical-school-6-week-plan-for-healthy-eating |website=www.health.harvard.edu |access-date=2023-02-14 |language=en}}</ref>{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=223}}{{sfn|講談社編|2013|pp=245&ndash;247}}。
野菜は、洗う、切るといった下ごしらえを調理の直前に行うのが基本である{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=222}}。根付き野菜は、水につけて洗うことによって根元付近に付着した泥が落ちやすくなる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=222}}。[[灰汁]]が強い野菜の場合は、下処理として水や酢水、焼き[[ミョウバン]]水などにつけて[[灰汁抜き]]をする{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=222}}。キュウリやオクラ、ニガウリのように、塩をまぶして揉むことで食感が良くなる野菜もある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=222}}。野菜を切るときは食べやすく味や食感を考えて、[[輪切り]]、[[角切り]](さいの目切り)、[[千切り]]、[[千六本]]、[[小口切り]]、[[拍子切り]]、[[短冊切り]]、[[半月切り]]、[[いちょう切り]]、[[かつらむき]]、[[みじん切り]]、[[くし形切り]]、[[細切り]]、[[斜め切り]]、[[乱切り]]、[[ささがき]]など、料理に合わせたさまざまな切り方がある<ref>{{Cite web |title=Harvard Health |url=https://www.health.harvard.edu/promotions/harvard-health-publications/the-harvard-medical-school-6-week-plan-for-healthy-eating |website=www.health.harvard.edu |access-date=2023-02-14 |language=en}}</ref>{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=223}}{{sfn|講談社編|2013|pp=245&ndash;247}}。


{{multiple image
[[サラダ]]などで生で食べる野菜は、加熱で失われやすい[[ビタミン]]などを効率よく摂ることができる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。生野菜のみずみずしさ、香り、爽やかな歯ごたえは加熱野菜では得られない魅力がある{{sfn|講談社編|2013|pp=238, 239}}。一方、野菜を加熱調理にも特有のおいしさがあり、加熱によって失われる栄養素もあるが、かさが減ることで食べる量でカバーできるので、結果的に加熱した方が多くの栄養を摂ることができる{{sfn|講談社編|2013|pp=238, 239}}。
| total_width = 600
| align = center
| caption_align = left
| image1 = U.S. Air Force Senior Airman Megan Stanton, a medic with the 366th Medical Operations Squadron, chops vegetables at her home in Mountain Home, Idaho, July 17, 2013 130717-F-NW635-110.jpg
| caption1 =
| image2 = Chopping garlic-01.jpg
| caption2 = ニンニクのみじん切り
| image3 = Mixed Green Salad (15977106804).jpg
| caption3 = 野菜サラダ
}}


[[サラダ]]などで生で食べる野菜は、加熱で失われやすい[[ビタミン]]などを効率よく摂ることができる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。生野菜のみずみずしさ、香り、爽やかな歯ごたえは加熱野菜では得られない魅力がある{{sfn|講談社編|2013|pp=238, 239}}。一方、野菜を加熱調理にも特有のおいしさがあり、加熱によって失われる栄養素もあるが、かさが減ることで食べる量が多くなり、結果的に加熱した方が多くの栄養を摂ることができる{{sfn|講談社編|2013|pp=238, 239}}。
焼く場合は直火・[[オーブン]]・[[フライパン]]で焼くなど方法があり、野菜表面の水分が抜けて素材の旨味も凝縮されて、かさも減るため生野菜よりも多く摂ることができる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。蒸すと野菜が元来持つ旨味や栄養分を損なわずに加熱できる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。[[油炒め]]は、[[脂溶性ビタミン]]の[[ビタミンA]]や[[ビタミンD]]の吸収率を上げる調理法で、短時間で炒めると[[ビタミンC]]の損失量も少なくなる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。煮る場合は、煮汁まで食べたほうが栄養を無駄なく摂取できる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。油で揚げると野菜の水分が適度に抜けて甘味が出る{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。クセの強い野菜は油で揚げると食べやすくなるため、[[山菜]]や苦味のある野菜に向いている調理法である{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。茹でるときは、[[葉野菜]]はたっぷりの湯を沸騰させて短時間で茹で上げるようにする{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=225}}。[[根菜]]は水から入れてじっくりと加熱し、[[デンプン]]質が多い[[芋類]]は、加熱に時間をかけることによって[[糖質]]がふえて甘くなる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=225}}。[[電子レンジ]]は、固めの野菜でも短時間で加熱調理できる方法で、野菜全体をラップに包んで水分が抜けて乾燥するのを防ぐ{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。電子レンジで加熱すると、ガスレンジで加熱するよりも短時間で火が通り、ビタミンの損失が少なく済むというメリットがある{{sfn|講談社編|2013|p=241}}。


焼く場合は、直火・[[オーブン]]・[[フライパン]]で焼くなどの方法があり、野菜表面の水分が抜けて素材の旨味も凝縮されて、かさも減るため生野菜よりも多く摂ることができる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。蒸すと、野菜が元来持つ旨味や栄養分を損なわずに加熱できる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。[[油炒め]]は、[[脂溶性ビタミン]]の[[ビタミンA]]や[[ビタミンD]]の吸収率を上げる調理法であり、短時間で炒めると[[ビタミンC]]の損失量も少なくなる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。煮る場合は、煮汁まで食べたほうが栄養を無駄なく摂取できる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。油で揚げると野菜の水分が適度に抜けて甘味が出る{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。クセの強い野菜は油で揚げると食べやすくなるため、[[山菜]]や苦味のある野菜に向いている調理法である{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。茹でるときは、[[葉野菜]]はたっぷりの湯を沸騰させて短時間で茹で上げるようにする{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=225}}。[[根菜]]は水から入れてじっくりと加熱し、[[デンプン]]質が多い[[芋類]]は、加熱に時間をかけることによって[[糖質]]がふえて甘くなる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=225}}。[[電子レンジ]]は、固めの野菜でも短時間で加熱調理できる方法で、野菜全体をラップに包んで水分が抜けて乾燥するのを防ぐ{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。電子レンジで加熱すると、ガスレンジで加熱するよりも短時間で火が通り、ビタミンの損失が少なく済むというメリットがある{{sfn|講談社編|2013|p=241}}。
野菜に含まれるビタミン・ミネラル類の中でも、調理で最も失われやすい栄養素は[[ビタミンC]]である{{sfn|講談社編|2013|pp=238, 239}}。ビタミンCは水溶性ビタミンであり、水にさらす時間が長いほど減少してしまう{{sfn|講談社編|2013|pp=238, 239}}。例えばニンジンを千切りにして水に5分さらすと、ビタミンCが30%ほど減少する{{sfn|講談社編|2013|pp=238, 239}}。また、ゆで時間が長くなるほどビタミンCの損失量が多くなる{{sfn|講談社編|2013|pp=238, 239}}。野菜を煮るときは、野菜を大きめに切ったほうがビタミンCは失われにくくなる{{sfn|講談社編|2013|p=240}}。体内で必要に応じてビタミンAに変化するカロテンは、脂溶性ビタミンであっるため、油で調理することでより吸収されやすくなる{{sfn|講談社編|2013|p=240}}。緑色が濃い緑黄色野菜を色鮮やかに仕上げるには、加熱時間を短くして、酢などは食べる直前に加えるなどの配慮が必要になる{{sfn|講談社編|2013|p=240}}。野菜のえぐみ、渋み、苦味などのアクは、灰分、有機酸、タンニン、アルカノイドなどである{{sfn|講談社編|2013|p=241}}。野菜によってアクに違いがあり単純ではないが、大半は水溶性のため、茹でたり、水にさらすことによって減らすことができる{{sfn|講談社編|2013|p=241}}。ホウレンソウのようにアクが強いものは、下茹でや電子レンジ加熱後に水にさらしてアク抜きしてから使われる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。


{{multiple image
[[漬物]]は調味料で味をつけるとともに、野菜から水気を引き出し、保存性を増すことができる調理法である{{sfn|講談社編|2013|pp=248&ndash;250}}。低塩分で手軽につくれる[[浅漬け]]、野菜に塩を振って重石して保存性を高める[[塩漬け]]、精米の副産物のぬかを微生物で発酵させて野菜を漬け込んだ[[ぬか漬け]]、酢・水・砂糖を煮溶かした甘酢に漬け込んだ[[甘酢漬け]]、ハーブやスパイスで香り付けした酢に漬け込んだ[[ピクルス]]などがある{{sfn|講談社編|2013|pp=248&ndash;250}}。
| total_width = 800
| align = center
| caption_align = left
| image1 = 大阪屋で提供されるポテトサラダ 03.jpg
| caption1 = ポテトサラダ
| image2 = Neon root veggies (roasted beets, turnips, rutabaga, carrots and onions) (6893015819).jpg
| caption2 = 焼き野菜
| image3 = がめ煮(筑前煮)P1010424.jpg
| caption3 = 筑前煮
| image4 = Local vegetable tempura (44004736031).jpg
| caption4 = 野菜の天ぷら
}}

野菜に含まれるビタミン・ミネラル類の中でも、調理で最も失われやすい栄養素は[[ビタミンC]]である{{sfn|講談社編|2013|pp=238, 239}}。ビタミンCは水溶性ビタミンであり、水にさらす時間が長いほど減少してしまう{{sfn|講談社編|2013|pp=238, 239}}。例えばニンジンを千切りにして水に5分さらすと、ビタミンCが30%ほど減少する{{sfn|講談社編|2013|pp=238, 239}}。また、ゆで時間が長くなるほどビタミンCの損失量が多くなる{{sfn|講談社編|2013|pp=238, 239}}。野菜を煮るときは、野菜を大きめに切ったほうがビタミンCは失われにくくなる{{sfn|講談社編|2013|p=240}}。体内で必要に応じてビタミンAに変化するカロテンは、脂溶性ビタミンであるため、油で調理することでより吸収されやすくなる{{sfn|講談社編|2013|p=240}}。緑色が濃い緑黄色野菜を色鮮やかに仕上げるには、加熱時間を短くして、酢などは食べる直前に加えるなどの配慮が必要になる{{sfn|講談社編|2013|p=240}}。野菜のえぐみ、渋み、苦味などのアクは、灰分、有機酸、タンニン、アルカノイドなどである{{sfn|講談社編|2013|p=241}}。野菜によってアクに違いがあり単純ではないが、大半は水溶性のため、茹でたり、水にさらすことによって減らすことができる{{sfn|講談社編|2013|p=241}}。ホウレンソウのようにアクが強いものは、下茹でや電子レンジ加熱後に水にさらしてアク抜きしてから使われる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=224}}。

[[漬物]]は調味料で味をつけるとともに、野菜から水気を引き出し、保存性を増すことができる調理法である{{sfn|講談社編|2013|pp=248&ndash;250}}。低塩分で手軽につくれる[[浅漬け]]、野菜に塩を振って重石して保存性を高める[[塩漬け]]、精米の副産物であるぬかを微生物で発酵させて野菜を漬け込んだ[[ぬか漬け]]、酢・水・砂糖を煮溶かした甘酢に漬け込んだ[[甘酢漬け]]、ハーブやスパイスで香り付けした酢に漬け込んだ[[ピクルス]]などがある{{sfn|講談社編|2013|pp=248&ndash;250}}。

{{multiple image
| total_width = 600
| align = center
| caption_align = left
| image1 = Tsukemono by clanchou in Hakone, Kanagawa.jpg
| caption1 = 漬物
| image2 = Nukazuke storefront by wilbanks in Nishiki-ichiba, Kyoto.jpg
| caption2 = ぬか漬け
| image3 = Korean Gimchi01.jpg
| caption3 = キムチ
| image4 = Pickled asparagus jar with proper headspace.jpg
| caption4 = アスパラガスのピクルス
}}


=== 野菜料理 ===
=== 野菜料理 ===
191行目: 381行目:


== 栄養価および機能性成分の効果 ==
== 栄養価および機能性成分の効果 ==
一般的に、野菜は柔軟多汁で低[[カロリー]]、[[ビタミン]]や[[ミネラル]]、[[食物繊維]]に富むものが多いが、マメ類やイモ類は[[デンプン]]や[[タンパク質]]を多く含む<ref name="飛騨2009" /><ref name="コトバンク_野菜2" /><ref name="alic-yasaibook1">{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20160305071029/https://vegetable.alic.go.jp/yasaibook/pdf/c01.pdf|title=野菜ブック chapter1 野菜と私たちの生活・健康|publisher=農畜産業振興機構|accessdate=2024-07-17}}</ref>{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
食物に含まれる栄養素の中でも重要な[[タンパク質]]、[[脂質]]、[[炭水化物]]、[[ビタミン]]、[[ミネラル]]は五大栄養素とよばれ、中でも野菜はビタミンとミネラルを手軽に摂取しやすい食材である{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。品種改良が進んだ現代の野菜も、本来の生育時期は決まっており、その野菜の特性と栽培地の環境の中で自然に収穫を迎えたものが旬となる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。本来の旬の時期に収穫した野菜は、もっとも味がよくなり、栄養価も高くなる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。例えば、冬場に旬の時期を迎えるホウレンソウは、夏に収穫したものではビタミンC量が3分の1程度しかない{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。

品種改良が進んだ現代の野菜も、本来の生育時期は決まっており、その野菜の特性と栽培地の環境の中で自然に収穫を迎えたものが旬となる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。本来の旬の時期に収穫した野菜は、もっとも味がよくな流とされ、栄養価も高くなる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。例えば、冬場に旬の時期を迎えるホウレンソウは、夏に収穫したものではビタミンC量が3分の1程度しかない{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。


野菜の多くは[[無機塩類]]やビタミン類、[[食物繊維]]のほかに、[[抗酸化物質]]を含む[[ファイトケミカル]](フィトケミカル)が豊富で、免疫力を上げて体内を浄化する働きがあり、癌予防を含めた各種[[健康]]維持に役立っている{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。ファイトケミカルとは、植物に含まれる色素や香り、灰汁などに含まれる植物自体が有害な物から防御するための物質で、[[ポリフェノール]]類、[[フラボノール]]、[[カテキン]]などが相当する{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
野菜の多くは[[無機塩類]]やビタミン類、[[食物繊維]]のほかに、[[抗酸化物質]]を含む[[ファイトケミカル]](フィトケミカル)が豊富で、免疫力を上げて体内を浄化する働きがあり、癌予防を含めた各種[[健康]]維持に役立っている{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。ファイトケミカルとは、植物に含まれる色素や香り、灰汁などに含まれる植物自体が有害な物から防御するための物質で、[[ポリフェノール]]類、[[フラボノール]]、[[カテキン]]などが相当する{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
206行目: 398行目:
|{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=221}}
|{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=221}}
|-
|-
|[[ビタミンB1]]
|[[ビタミンB1|ビタミンB<sub>1</sub>]]
|炭水化物(糖質)をエネルギーに変えるのを助ける水溶性ビタミンの1種。不足すると糖質代謝が低下して、疲労の原因になる。神経のはたらきを正常に保つ。
|炭水化物(糖質)をエネルギーに変えるのを助ける水溶性ビタミンの1種。不足すると糖質代謝が低下して、疲労の原因になる。神経のはたらきを正常に保つ。
|枝豆、ニンニク、モロヘイヤ、ラッカセイ、グリーンピース、ソラマメなど。
|枝豆、ニンニク、モロヘイヤ、ラッカセイ、グリーンピース、ソラマメなど。
|{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=221}}
|{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=221}}
|-
|-
|[[ビタミンB2]]
|[[ビタミンB2|ビタミンB<sub>2</sub>]]
|糖質、脂質、タンパク質の代謝を助けて、エネルギーに変えるのを助ける。タンパク質の合成を助けて細胞の成長を促す働きがあり、皮膚や粘膜の健康維持を助ける。
|糖質、脂質、タンパク質の代謝を助けて、エネルギーに変えるのを助ける。タンパク質の合成を助けて細胞の成長を促す働きがあり、皮膚や粘膜の健康維持を助ける。
|ブロッコリー、シソ、ホウレンソウ、モロヘイヤ、トウガラシ、アシタバ、パセリ、クレソン、バジル、メキャベツなど。
|ブロッコリー、シソ、ホウレンソウ、モロヘイヤ、トウガラシ、アシタバ、パセリ、クレソン、バジル、メキャベツなど。
|{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=221}}
|{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=221}}
|-
|-
|[[ビタミンB6]]
|[[ビタミンB6|ビタミンB<sub>6</sub>]]
|タンパク質をアミノ酸に分解や合成する働きを助け、筋肉や血液を作るために不可欠なビタミン。女性ホルモンのエストロゲンの代謝にも必要とされる。
|タンパク質をアミノ酸に分解や合成する働きを助け、筋肉や血液を作るために不可欠なビタミン。女性ホルモンのエストロゲンの代謝にも必要とされる。
|赤ピーマン、モロヘイヤ、ニンニク、トウガラシ、バジル、パセリ、カブの葉など。
|赤ピーマン、モロヘイヤ、ニンニク、トウガラシ、バジル、パセリ、カブの葉など。
227行目: 419行目:
|-
|-
|[[ビタミンK]]
|[[ビタミンK]]
|血液凝固促進作用があるタンパク質を作るのを助ける脂溶性ビタミンの1種。またカルシウムを取り込む働きがあり、丈夫な骨を作るのを助ける。ビタミンK1(フィロキノン)とビタミンK2(メナキノン類)の2種類がある。
|血液凝固促進作用があるタンパク質を作るのを助ける脂溶性ビタミンの1種。またカルシウムを取り込む働きがあり、丈夫な骨を作るのを助ける。ビタミンK<sub>1</sub>(フィロキノン)とビタミンK<sub>2</sub>(メナキノン類)の2種類がある。
|カブ・ダイコンの葉、モロヘイヤ、アシタバ、ツルムラサキ、ケール、パセリ、シソ、ホウレンソウ、ヨメナ、バジルなど。
|カブ・ダイコンの葉、モロヘイヤ、アシタバ、ツルムラサキ、ケール、パセリ、シソ、ホウレンソウ、ヨメナ、バジルなど。
|{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=221}}
|{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=221}}
253行目: 445行目:


=== 食物繊維 ===
=== 食物繊維 ===
[[ヒト]]の消化酵素で分解できない物質のことを、[[食物繊維]]という<ref name="e-食物繊維">{{Cite web|和書|author=|date=|url=https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html|title=食物繊維|website=e-ヘルスネット|publisher=厚生労働省|accessdate=2024-07-19}}</ref>。水に溶けない不溶性食物繊維としては[[セルロース]]や[[ヘミセルロース]]があり、水に溶ける水溶性食物繊維としては[[ペクチン]]や[[グルコマンナン]]、[[ポリデキストロース]]などがある<ref name="e-食物繊維" />。食物繊維は便通を整え、また過剰な[[脂質]]や[[糖]]、[[ナトリウム]]などを吸着して体外に排出する働きがある<ref name="e-食物繊維" />。野菜としては、[[サツマイモ]]、[[切り干し大根]]、[[カボチャ]]、[[ゴボウ]]、[[タケノコ]]、[[ブロッコリー]]、[[モロヘイヤ]]、[[インゲンマメ]]、[[アズキ]]などに食物繊維が多い<ref name="清水2021">{{Cite web|和書|author=清水純|date=2021|url=https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html|title=食物繊維の必要性と健康|website=e-ヘルスネット|publisher=厚生労働省|accessdate=2024-07-19}}</ref>。厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食物繊維の望ましい摂取量は、成人男性で21グラム/日以上、成人女性で18グラム/日以上とされている<ref name="清水2021" />。
[[ヒト]]の[[消化管]]は自力では[[デンプン]]や[[グリコーゲン]]以外の多くの[[多糖類]]を消化できないが、[[大腸]]内の[[腸内細菌]]が[[嫌気的|嫌気]][[発酵]]することによって、一部が[[酪酸]]や[[プロピオン酸]]のような[[短鎖脂肪酸|短鎖]][[脂肪酸]]に変換されてエネルギー源として吸収される。野菜に含まれる食物繊維の大半が[[セルロース]]であり、人間のセルロース利用能力は意外に高く、粉末にしたセルロースであれば腸内細菌を介してほぼ100%分解利用されるとも言われている。デンプンは約4kcal/g のエネルギーを産生するが、食物繊維は腸内細菌による醗酵分解によってエネルギーを産生し、その値は一定でないが、有効エネルギーは0~2kcal/gであると考えられている。また、食物繊維の望ましい摂取量は、成人男性で19g/日以上、成人女性で17g/日以上である<ref name="摂取基準">{{PDFlink|[https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4h.pdf 「日本人の食事摂取基準」(2010年版)厚生労働省]}}</ref>。食物繊維は、大腸内で腸内細菌によりヒトが吸収できる分解物に転換されることから、食後長時間を経てから体内にエネルギーとして吸収される特徴を持ち、エネルギー吸収の平準化に寄与している。

一方で、[[大腸]]内の[[腸内細菌]]が、一部の食物繊維やオリゴ糖を分解することが知られている<ref name="内藤2024">{{Cite web|和書|author=内藤裕二(監修)|date=2024-02-07|url=https://bio-three.jp/contents/dietary-fiber.html|title=食物繊維が腸内細菌に与える影響とは?手軽に摂るコツや便秘解消以外の効果も解説|website=|publisher=アリナミン製薬株式会社|accessdate=2024-07-20}}</ref><ref name="太陽化学">{{Cite web|和書|author=|date=|url=https://www.taiyokagaku.com/lab/health/phgg_pickup05/|title=腸の健康と短鎖脂肪酸の関係性~短鎖脂肪酸を増やす水溶性食物繊維~|website=|publisher=太陽化学株式会社|accessdate=2024-07-20}}</ref>。このように食物繊維は腸内細菌の栄養源となり、腸内細菌の組成に大きく影響する<ref name="内藤2024" />。このような分解によって生じる[[酪酸]]、[[プロピオン酸]]、[[酢酸]]などの[[短鎖脂肪酸]]は、腸内環境の安定化に寄与することが示唆されている<ref name="太陽化学" />。この反応には食物からの[[ビタミンB1|ビタミンB<sub>1</sub>]]供給が重要であることが知られているが、一方で腸内細菌がビタミンB<sub>1</sub>、[[ビタミンB2|B<sub>2</sub>]]、[[ビタミンB3|B<sub>3</sub>]]、[[ビタミンB5|B<sub>5</sub>]]、[[ビタミンB6|B<sub>6</sub>]]、[[ビタミンB7|B<sub>7</sub>]]、[[葉酸]]、[[ビタミンB12|B<sub>12</sub>]]、[[ビタミンK]]などを生成することも知られている<ref name="國澤">{{Cite web|和書|author=國澤純|date=2023-12-20|url=https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/041500053/121200249/|title=新しい「腸活」3つの戦略 腸内細菌が作り出す物質にも着目|website=|publisher=日経BP|accessdate=2024-07-20}}</ref><ref name="腸内細菌学会">{{Cite web|和書|author=|date=|url=https://bifidus-fund.jp/keyword/kw073.shtml|title=腸内細菌によるビタミン産生|website=|publisher=腸内細菌学会|accessdate=2024-07-20}}</ref>。


=== ファイトケミカル ===
=== ファイトケミカル ===
野菜に含まれるファイトケミカル(フィトケミカル)には、ポリフェノールと[[カロテノイド]]がある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
植物に含まれる化学成分はファイトケミカル(フィトケミカル、phytochemicals)と総称され、紫外線や害虫防御のための色素、香り、苦味、あくなどの成分となる<ref name="コトバンク_フィトケミカル">{{Cite Kotobank|word=フィトケミカル|encyclopedia=日本大百科全書(ニッポニカ)|accessdate=2024-07-20}}</ref>。[[ポリフェノール]]と[[カロテノイド]]があり、いずれも抗酸化能による[[活性酸素]]の除去や免疫力向上をもたらしてくれる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}<ref name="コトバンク_フィトケミカル" />


'''ポリフェノール'''は化学構造上の分類で、[[フェノール基]]に[[水酸基]](OH)が2つ以上たくさんついている物質のことをいう。植物の色素やアクとよばれている苦味成分のほとんどはポリフェノールである{{sfn|講談社編|2013|p=230}}。光合成によって生成されるといわれ、光の当たる部分には特にたくさん含有されている{{sfn|講談社編|2013|p=230}}。含有している野菜としては、赤タマネギ、紅芋、ダイズなどがよく知られる{{sfn|講談社編|2013|p=230}}。ポリフェノールの主たる機能は[[抗酸化物質|抗酸化作用]]であり、がん予防や血中コレステロールの酸化を防いで動脈硬化を予防する働きがあるとされる{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。ポリフェノール類生理作用は個々の物質によって異なるさまざまな作用があり、その効用は数時間内といわれる{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。
'''ポリフェノール'''は、[[フェノール基]]に[[水酸基]](OH)が2つ以上ついている物質のことである<ref name="コトバンク_ポリフェノール">{{Cite Kotobank|word=ポリフェノール|encyclopedia=日本大百科全書(ニッポニカ)|accessdate=2024-07-20}}</ref>。植物の色素やアクとよばれている苦味成分のほとんどはポリフェノールである{{sfn|講談社編|2013|p=230}}。ポリフェノールの主たる機能は[[抗酸化物質|抗酸化作用]]であり、がん予防や血中コレステロールの酸化を防いで動脈硬化を予防する働きがあるとされる{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。ほかにも個々の物質によって異なる生理作用があり、その効用は数時間内といわれる{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。
* [[アントシアニン]] - [[紫キャベツ]]、[[紫芋]]、[[赤ジソ]]、[[インゲンマメ]]などに含まれる野菜の赤紫色や青紫色の色素成分で、抗酸化作用目の働きによいといわれる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
* [[アントシアニン]] - [[紫キャベツ]]、[[紫芋]]、[[赤ジソ]]、[[インゲンマメ]]などに含まれる紫色の色素であり、抗酸化作用をもち、また目の働きによいといわれる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
* [[イソフラボン]] - ダイズなどに含まれる。女性ホルモンに似た働きをし、骨粗鬆症予防、更年期障害によいといわれる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
* [[イソフラボン]] - ダイズなどに含まれる。女性ホルモンに似た働きをし、骨粗鬆症予防、更年期障害によいといわれる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
* [[セサミン]] - ゴマなどに含まれる。血中コレステロールを下げる働きがあるとされる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
* [[セサミン]] - ゴマなどに含まれる。血中コレステロールを下げる働きがあるとされる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
* [[ショウガオール]] - ショウガに含まれる辛味成分で、抗菌作用、食欲増進作用がある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
* [[ショウガオール]] - ショウガに含まれる辛味成分で、抗菌作用、食欲増進作用がある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
* [[カテキン]] - 殺菌作用がある{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。
* [[カテキン]] - 茶に多いが、インゲンマメやレンコンにも含まれる<ref name="コトバンク_カテキン">{{Cite Kotobank|word=カテキン|encyclopedia=日本大百科全書(ニッポニカ)|accessdate=2024-07-08}}</ref>。殺菌作用がある{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。
* [[ルテイン]] - 毛細血管を強化する{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。


{{multiple image
'''カロテノイド類'''は、主として植物に含まれている赤色から黄色の色素成分で、[[カロテン]]類と[[キサントフィル]]類に分けられる。基本的に植物だけが作り出せる成分である{{sfn|講談社編|2013|p=230}}。カロテン類には、[[αカロテン]]、[[βカロテン]]、[[γカロテン]]、[[リコペン]](リコピン)などがあり、人間の体内で[[レチノール]]という物質に変換されて[[ビタミンA]]として作用する{{sfn|講談社編|2013|p=230}}。レチノールに変換されないカロテン類は、抗酸化作用を発揮する{{sfn|講談社編|2013|p=230}}。また、キサントフィル類には[[アントシアニン]]、[[ルテイン]]、[[アスタキサンチン]]、[[クリプトキサンチン]]、[[カプサイシン]]などがあり、これらはビタミンAとして働かないが、抗酸化作用を発揮して、がん予防や老化防止に役立つと考えられている{{sfn|講談社編|2013|p=230}}。
| total_width = 800
* [[リコペン]] - トマト、[[スイカ]]、[[金時人参]]などに含まれる赤色色素成分でカロテンの1種。抗酸化作用がある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
| align = center
* [[カプサイシン]] - 赤トウガラシ、赤ピーマンなどに含まれ、抗酸化作用がある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
| caption_align = left
| image1 = Peonidin.png
| caption1 = ペオニジン(アントシアニンの一種)
| image2 = Isoflavone acsv.svg
| caption2 = イソフラボン
| image3 = 6-Shogaol Structural Formula V1.svg
| caption3 = ショウガオール
| image4 = (+)-Catechin.svg
| caption4 = (+)-カテキン
}}

'''カロテノイド'''は、主として植物に含まれている赤色から黄色の色素であり、炭素と水素のみからなる[[カロテン]]と酸素を含む[[キサントフィル]]に分けられる<ref name="コトバンク_カロチノイド">{{Cite Kotobank|word=カロチノイド|encyclopedia=日本大百科全書(ニッポニカ)|accessdate=2024-07-08}}</ref>。基本的に植物だけが作り出せる成分である{{sfn|講談社編|2013|p=230}}。カロテンには、[[αカロテン]]、[[βカロテン]]、[[γカロテン]]、[[リコペン]](リコピン)などがあり、人間の体内で[[レチノール]]に変換されて[[ビタミンA]]として作用する{{sfn|講談社編|2013|p=230}}。レチノールに変換されないカロテン類は、抗酸化作用を発揮する{{sfn|講談社編|2013|p=230}}。また、キサントフィルには[[アントシアニン]]、[[ルテイン]]、[[クリプトキサンチン]]、[[カプサイシン]]などがあり、これらはビタミンAとして働かないが、抗酸化作用を発揮して、がん予防や老化防止に役立つと考えられている{{sfn|講談社編|2013|p=230}}。
* [[リコペン]] - トマト、[[スイカ]]、[[金時人参]]などに含まれる赤色色素成分でカロテンの1種。ビタミンA能はないが、抗酸化作用がある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}<ref name="コトバンク_カロチノイド" />。
* [[ルテイン]] - ホウレンソウ、コマツナ、[[ケール]]などの緑黄色野菜に含まれる黄色の色素成分。抗酸化作用が高く、眼病予防にも良いといわれる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
* [[ルテイン]] - ホウレンソウ、コマツナ、[[ケール]]などの緑黄色野菜に含まれる黄色の色素成分。抗酸化作用が高く、眼病予防にも良いといわれる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
* [[クリプトキサンチン]] - 赤ピーマンに含まれるオレンジ色の色素成分。[[柑橘類]]、[[カキノキ|カキ]]、[[パパイヤ]]、[[アンズ]]などの果物にも含まれる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
* [[クリプトキサンチン]] - 赤ピーマンに含まれるオレンジ色の色素成分。[[柑橘類]]、[[カキノキ|カキ]]、[[パパイヤ]]、[[アンズ]]などの果物にも含まれる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。
* [[カプサイシン]] - 赤トウガラシ、赤ピーマンなどに含まれ、抗酸化作用がある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=220}}。

{{multiple image
| total_width = 600
| align = center
| caption_align = left
| image1 = Lycopene.svg
| caption1 = リコペン
| image2 = Luteine - Lutein.svg
| caption2 = ルテイン
}}
{{multiple image
| total_width = 600
| align = center
| caption_align = left
| image1 = Cryptoxanthin.svg
| caption1 = クリプトキサンチン
| image2 = Kapsaicyna.svg
| caption2 = カプサイシン
}}


'''イオウ化合物'''は、[[アメリカ国立癌研究所]] (NCI) が中心となって研究した[[デザイナーフーズ計画|デザイナーズフーズ]]の上位に、ニンニクやキャベツ、タマネギがランクされたことから注目されるようになった生理機能成分で、特有の臭いを発する{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。
'''イオウ化合物'''は、[[アメリカ国立癌研究所]] (NCI) が中心となって研究した[[デザイナーフーズ計画|デザイナーズフーズ]]の上位に、ニンニクやキャベツ、タマネギがランクされたことから注目されるようになった生理機能成分で、特有の臭いを発する{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。
276行目: 502行目:
** [[アリシン]] - 硫化アリルの一種でニンニクやネギ臭の素になる成分{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。生ニンニクには[[アイリン]]という無臭成分が含まれているが、空気に触れるとアリシンに変化する{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。ビタミンB1の吸収を助け、血栓予防、貧血予防、血中コレステロール値の上昇の抑制のほか、強力な抗酸化作用が知られている{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。
** [[アリシン]] - 硫化アリルの一種でニンニクやネギ臭の素になる成分{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。生ニンニクには[[アイリン]]という無臭成分が含まれているが、空気に触れるとアリシンに変化する{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。ビタミンB1の吸収を助け、血栓予防、貧血予防、血中コレステロール値の上昇の抑制のほか、強力な抗酸化作用が知られている{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。
* [[イソチオシアネート]] - キャベツ、ブロッコリーなどアブラナ科野菜に特異的に含まれる臭い成分{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。遺伝子が傷ついた細胞増殖の抑制、発がん性物質の活性化の抑制、抗菌作用のほか、女性ホルモンと似たような働きをすると言われている{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。
* [[イソチオシアネート]] - キャベツ、ブロッコリーなどアブラナ科野菜に特異的に含まれる臭い成分{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。遺伝子が傷ついた細胞増殖の抑制、発がん性物質の活性化の抑制、抗菌作用のほか、女性ホルモンと似たような働きをすると言われている{{sfn|講談社編|2013|p=231}}。
{{multiple image
| total_width = 300
| align = center
| caption_align = left
| image1 = Diallyl sulfide.svg
| caption1 = 硫化アリル
| image2 = Ethylisothiocyanat.svg
| caption2 = イソチオシアン酸エチル
}}


=== がん予防の可能性 ===
=== がん予防の可能性 ===
野菜は、[[果物]]とともに癌予防の可能性が大きいものとされている<ref name="ganjohosci">{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20100504132612/http://ganjoho.ncc.go.jp/public/pre_scr/prevention/evidence_based.html|title=日本人のためのがん予防法:現状において推奨できる科学的根拠に基づくがん予防法|author=国立がんセンターがん対策情報センター|date=2009-02-25|accessdate=2009年12月1日}}</ref><ref>WHO technical report series 916. ''Diet, nutrition and the prevention of chronic diseases'', 2003 & IARC monograph on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans, Volume83, ''Tobacco Smoke and Involuntary Smoking'', 2004</ref>。
野菜は、[[果物]]とともに癌予防の可能性が大きいものとされている<ref name="ganjohosci">{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20100504132612/http://ganjoho.ncc.go.jp/public/pre_scr/prevention/evidence_based.html|title=日本人のためのがん予防法:現状において推奨できる科学的根拠に基づくがん予防法|author=国立がんセンターがん対策情報センター|date=2009-02-25|accessdate=2009年12月1日}}</ref><ref>WHO technical report series 916. ''Diet, nutrition and the prevention of chronic diseases'', 2003 & IARC monograph on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans, Volume83, ''Tobacco Smoke and Involuntary Smoking'', 2004</ref>。


野菜などで変異原性物質Trp-P-1(3-amino-1,4-di-methyl-5H-pyrido[4,3-b]indole)に対して抗[[変異原性]]を示すものは次のようなものがある<ref>[https://doi.org/10.11428/jhej1987.48.637 植物性食品抽出成分の抗変異原活性]、小原 章裕ほか、日本家政学会誌、Vol.48 (1997) No.7</ref>。
変異原性物質Trp-P-1(3-amino-1,4-di-methyl-5H-pyrido[4,3-b]indole)に対して抗[[変異原性]]を示す(変異性を抑える)野菜としては次のようなものがある<ref>[https://doi.org/10.11428/jhej1987.48.637 植物性食品抽出成分の抗変異原活性]、小原 章裕ほか、日本家政学会誌、Vol.48 (1997) No.7</ref>。
* 抗変異原性++++:[[ダイコン]](葉)、[[キクナ]]、[[アスパラガス]]、[[ピーマン]]、[[キュウリ]]
* 抗変異原性++++:[[ダイコン]](葉)、[[キクナ]]、[[アスパラガス]]、[[ピーマン]]、[[キュウリ]]
* 抗変異原性+++:[[ニラ]]、[[ハクサイ]]、[[ゴボウ]]
* 抗変異原性+++:[[ニラ]]、[[ハクサイ]]、[[ゴボウ]]
286行目: 521行目:
* 抗変異原性+:[[チンゲンサイ]]、[[コマツナ]]、[[セロリ]]、[[レンコン]]、[[カブ]]、[[ダイコン]](根)、[[オクラ]]、[[ウリ]]
* 抗変異原性+:[[チンゲンサイ]]、[[コマツナ]]、[[セロリ]]、[[レンコン]]、[[カブ]]、[[ダイコン]](根)、[[オクラ]]、[[ウリ]]


野菜などで変異原性物質NIHP(2-ヒドロキシ-3-(1-N-ニトロソインドリル)-プロピオン酸)に対して抗[[変異原性]]を示すものは次のようなものがある。
変異原性物質NIHP(2-ヒドロキシ-3-(1-N-ニトロソインドリル)-プロピオン酸)に対して抗[[変異原性]]を示す(変異性を抑える)野菜としては次のようなものがある。
* 抗変異原性++++:[[トマト]]、[[タマネギ]]
* 抗変異原性++++:[[トマト]]、[[タマネギ]]
* 抗変異原性+++:[[ナス]]、[[キャベツ]]、[[ブロッコリー]]、[[ニンジン]]、[[ダイコン]](根)、[[エノキ]]、[[シメジ]]
* 抗変異原性+++:[[ナス]]、[[キャベツ]]、[[ブロッコリー]]、[[ニンジン]]、[[ダイコン]](根)、[[エノキ]]、[[シメジ]]
301行目: 536行目:
[[腎臓]]に障害がなく[[カリウム]]を摂取しても問題がなければ、カリウムを豊富に含む野菜や[[果物]]の摂取を増やすことにより[[血圧]]の降圧が期待できる<ref>久代登志男、「[https://doi.org/10.3143/geriatrics.47.123 高齢者高血圧治療のこつ]」『日本老年医学会雑誌』 2010年 47巻 2号 P.123-126, {{doi|10.3143/geriatrics.47.123}}</ref>。
[[腎臓]]に障害がなく[[カリウム]]を摂取しても問題がなければ、カリウムを豊富に含む野菜や[[果物]]の摂取を増やすことにより[[血圧]]の降圧が期待できる<ref>久代登志男、「[https://doi.org/10.3143/geriatrics.47.123 高齢者高血圧治療のこつ]」『日本老年医学会雑誌』 2010年 47巻 2号 P.123-126, {{doi|10.3143/geriatrics.47.123}}</ref>。


[[21世紀における国民健康づくり運動]](健康日本21)では、望ましい野菜の摂取量は成人1人1日あたり350g以上とされている<ref>[https://www.kenkounippon21.gr.jp/ 健康日本21]</ref><ref>[https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/pdf/all.pdf 21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)について 報告書-厚生労働省]</ref><ref name="alic-yasaibook1"/>。日本人の平均ではこの目標に対して8割程度の摂取量にとどまっており、若年層においては7割~6割程度にとどまっている状況にある<ref name="alic-yasaibook1"/><ref name=kokumin>[https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020qbb.html 平成22年国民健康・栄養調査結果の概要]</ref>。平成24年の調査では20歳以上の日本人の平均野菜摂取量は、286.5g/人日であった<ref>[https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h24-houkoku.html 平成24年度『国民健康・栄養調査』]、厚生労働省</ref>。所得と生活習慣等に関する状況の調査においては、所得が高いほど野菜摂取量が多く、所得が低いほど野菜摂取量が低い傾向が見られた<ref name=kokumin/>。
[[21世紀における国民健康づくり運動]](健康日本21)では、望ましい野菜の摂取量は成人1人1日あたり350g以上とされている<ref>[https://www.kenkounippon21.gr.jp/ 健康日本21]</ref><ref>[https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/pdf/all.pdf 21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)について 報告書-厚生労働省]</ref><ref name="alic-yasaibook1"/>。日本人の平均ではこの目標に対して8割程度の摂取量にとどまっており、若年層においては7割~6割程度にとどまっている状況にある<ref name="alic-yasaibook1"/><ref name=kokumin>[https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020qbb.html 平成22年国民健康・栄養調査結果の概要]</ref>。2012年(平成24年の調査では20歳以上の日本人の平均野菜摂取量は、286.5g/人日であった<ref>[https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h24-houkoku.html 平成24年度『国民健康・栄養調査』]、厚生労働省</ref>。所得と生活習慣等に関する状況の調査においては、所得が高いほど野菜摂取量が多く、所得が低いほど野菜摂取量が低い傾向が見られた<ref name=kokumin/>。

== 生産 ==

[[File:Vegetable Shop in Meppadi.jpg|thumb|インドの八百屋]]
[[File:Veggies.jpg|thumb|アメリカのスーパーに並ぶ野菜]]
[[File:VegetablesSupermarket.jpg|thumb|カナダのスーパーに並ぶ野菜]]
2010年度における野菜の最大生産国は[[中華人民共和国]]であり、一国で世界の半分以上の生産量があった。2位は[[インド]]で、以下[[アメリカ合衆国]]、[[トルコ]]、[[イラン]]、[[エジプト]]の順となっている。中国は世界で最も野菜畑の面積が広いが、野菜の反収が最も高い国は[[スペイン]]と[[大韓民国]]である。<ref>{{cite web |url=http://www.fao.org/docrep/018/i3107e/i3107e.PDF |title=Table 27 Top vegetable producers and their productivity |work=FAO Statistical Yearbook 2013 |publisher=Food and Agriculture Organization of the United Nations |page=165 |accessdate=2015-09-14}}</ref>

{| class="sortable wikitable" style="text-align:right"
|-
! 国 !! 栽培面積 <br>(1,000ヘクタール) !! 反収 <br>(1,000kg/ha) !! 生産量 <br>(1,000トン)
|-
| style="text-align:left"|[[中華人民共和国]] || 23,458 || 230 || 539,993
|-
| style="text-align:left"|[[インド]] || 7,256 || 138 || 100,045
|-
| style="text-align:left"|[[アメリカ合衆国]] || 1,120 || 318 || 35,609
|-
| style="text-align:left"|[[トルコ]] || 1,090 || 238 || 25,901
|-
| style="text-align:left"|[[イラン]] || 767 || 261 || 19,995
|-
| style="text-align:left"|[[エジプト]] || 755 || 251 || 19,487
|-
| style="text-align:left"|[[イタリア]] || 537 || 265 || 14,201
|-
| style="text-align:left"|[[ロシア]] || 759 || 175 || 13,283
|-
| style="text-align:left"|[[スペイン]] || 348 || 364 || 12,679
|-
| style="text-align:left"|[[メキシコ]] || 681 || 184 || 12,515
|-
| style="text-align:left"|[[ナイジェリア]] || 1,844 || 64 || 11,830
|-
| style="text-align:left"|[[ブラジル]] || 500 || 225 || 11,233
|-
| style="text-align:left"|[[日本]] || 407 || 264 || 10,746
|-
| style="text-align:left"|[[インドネシア]] || 1,082 || 90 || 9,780
|-
| style="text-align:left"|[[大韓民国]] || 268 || 364 || 9,757
|-
| style="text-align:left"|[[ベトナム]] || 818 || 110 || 8,976
|-
| style="text-align:left"|[[ウクライナ]] || 551 || 162 || 8,911
|-
| style="text-align:left"|[[ウズベキスタン]] || 220 || 342 || 7,529
|-
| style="text-align:left"|[[フィリピン]] || 718 || 88 || 6,299
|-
| style="text-align:left"|[[フランス]] || 245 || 227 || 5,572
|-class="sortbottom"
| style="text-align:left"|'''世界総計''' || '''55,598''' || '''188''' || '''1,044,380'''
|}

野菜は一般的に貯蔵性が高くないため、[[農家]]が自給的に生産して余剰分を市場に供給することが多く、商業的に生産される場合は消費地の近くで生産されることが多かった。しかし都市の急速な拡大によって都市近郊の野菜生産地が都市化していったことや、輸送手段・貯蔵手段の発達によって遠隔地でも野菜栽培が採算に乗るようになったことから、野菜生産は都市から離れた地域でも行われるようになった。また、葉や実を利用し貯蔵性が低い関係上供給はその植物の収穫期に限定され、旬が短く時期によって左右されたものが野菜生産であった。その後、[[温室]]や[[ビニールハウス]]などの技術革新によって野菜は一年中供給されるようになった。

近年では、巨大なハウスを造りコンピュータ制御でその中の環境をコントロールし高い生産性・採算性で野菜を生産するオランダのような国が出現している<ref>[https://web.archive.org/web/20160715104217/http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/249071.html NHK「野菜はもっと安くなる?オランダに学ぶ農業」]</ref>。オランダはトマトを、本場であるイタリア向けも含めてヨーロッパ各地に大量に輸出するほどになっている。

また最近では、野菜を[[植物工場]]で生産する事例も、まだ生産量は少ないものの徐々に増えてきている。閉じた空間、害虫や雑菌の影響が少ない空間において、LED照明やコンピュータで制御された空調や養液補給などによって、気候・天候の影響をほぼ受けずに安定的に野菜を生産する方式である。雑菌や害虫が少ないため[[無農薬栽培]]が可能で、栄養価や規格の統一も容易であるなど利点も多いが、生産コストが高く採算を取るのが難しいなど課題も多く残っている<ref>「2020-2021 日経キーワード」p160-161 日経HR編集部編著 日経HR社 2019年12月4日第1刷</ref>。

== 歴史 ==
現代において世界で栽培される野菜の多くは、[[中国]]、[[インド]]から[[東南アジア]]、[[中央アジア]]、[[近東]]、[[地中海]]岸、[[アフリカ]]([[サヘル]]地帯及び[[エチオピア高原]])、[[中央アメリカ]]、南米の[[アンデス]]山脈の8地域を起源としている。これらの地域は農耕文明の発祥地と重なっている。また、もともとの生息域が広く、栽培化地域が複数にまたがっている野菜も多い。中国においてはハクサイ、ネギ、ゴボウが、インドから東南アジアにおいてはキュウリやナス、サトイモ、中央アジアではダイコン、ニンジン、タマネギ、ホウレンソウ、ソラマメなどが栽培化されている。近東地域ではレタスやニンジンやタマネギが栽培化されている。地中海岸は野菜の一大起源地であり、キャベツやエンドウマメ、アスパラガスや[[セロリ]]が栽培化されている。アフリカのサヘルからエチオピア高原にかけては、[[ササゲ]]や[[オクラ]]などが栽培化された。中央アメリカにおいてはインゲンマメやサツマイモ、カボチャが栽培化された。南アメリカ・アンデスにおいては、トマトとジャガイモ、それにトウガラシやピーマン、カボチャの栽培化が行われた<ref>「蔬菜園芸の事典(普及版)」p10-12 斎藤隆 朝倉書店 2010年10月30日普及版第1刷</ref>。こうした中心地のほか、世界各地で野草採集から発展した独自の野菜が栽培されており、各地独特の食文化の重要な要素となっている。

=== 日本における歴史 ===
日本においては、[[フキ]]や[[ウド]]、[[ミツバ]]などのように日本原産の野菜も存在するが、ほとんどの野菜は[[日本列島]]の外で栽培化されたものが持ち込まれたものである。

その移入の歴史は古く、すでに[[縄文時代]]の遺跡である[[福井県]]の[[鳥浜貝塚]]においては、ゴボウ、カブ、アブラナ、[[リョクトウ]]、[[エゴマ]]、[[シソ]]などの種子が出土し、栽培されていたと考えられている。この発見は[[弥生時代]]の稲作伝来以前からすでに農耕が開始されていたこと、および縄文時代にすでにはるかな遠隔地で栽培化されていた野菜(カブやアブラナは地中海沿岸、エゴマやシソやリョクトウはインド原産)が伝来しており、大陸をはじめとする広範囲な移動がすでに行われていたことを示した<ref>[http://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/fukui/07/kenshi/T1/2a3-02-02-03-02.htm 「福井県史 通史編」第三章 コシ・ワカサと日本海文化] - [[福井県文書館]] 2016年8月24日閲覧</ref>。

このほか、1世紀ごろまでにはゴマ、サトイモ、ニンニク、[[ラッキョウ]]、ヤマイモ、[[トウガン]]などがすでに伝来しており、[[古墳時代]]にはナス、キュウリ、ササゲ、ネギが伝来した<ref>「蔬菜園芸の事典(普及版)」p13 斎藤隆 朝倉書店 2010年10月30日普及版第1刷</ref>。

[[古事記]]や[[日本書紀]]にはカブや[[ニラ]]の、万葉集では水葱(なぎ、現代の[[ミズアオイ]]や[[コナギ]])や[[ジュンサイ]]、[[ヒシ]]、[[セリ]]、瓜([[マクワウリ]])などの記述が存在する。このほか、現代ではあまり野菜としては使用されない水葱や羊蹄(しのね、現代の[[ギシギシ]])なども使用されていた<ref>『FOOD'S FOOD 新版 食材図典 生鮮食材編』p204-205 2003年3月20日初版第1刷 小学館</ref>。

その後も日本に伝来した野菜があり、[[レタス]]も[[8世紀]]には「萵苣」(わきょ/ちしゃ)という名前で日本に伝来している(玉状のものは明治になってからの伝来)<ref>主婦の友社編 『野菜まるごと大図鑑』主婦の友社、2011年2月20日、148頁。ISBN 978-4-07-273608-1</ref>。

[[江戸時代]]に入り、平和が続き経済が成長すると野菜の需要も高まり、特に一大消費地である[[江戸]]の周辺では大量の野菜が栽培され都市へ運び込まれるようになった。小松菜や練馬大根などのように、地名をつけブランド化する野菜が現れ始めたのもこのころのことである<ref>「ヴィジュアル日本生活史 江戸の料理と食生活」p68-69 原田信男編著 小学館 2004年6月20日第1版第1刷</ref>。

こうした傾向は江戸に限ったことではなく、[[京野菜]]や[[加賀野菜]]をはじめ、各地で特色ある野菜が開発され定着したのも江戸時代のことであった。[[明治時代]]に入ると[[文明開化]]の潮流とともにタマネギやトマト、キャベツをはじめとする西洋野菜が多く流入し、日本の野菜はより多様なものとなった。

[[スーパーマーケット]]では外観を重視し、変形が見られるものは「規格外」として取り扱わず、「訳あり」などとして格安で売られるか、採算が取れないと農家が判断し廃棄されることもあった。消費者の意識が過度に美観を重視する姿勢から変化していることもあり、外観を規格に合わせるための栽培法を止める試みもある<ref>{{Cite web|和書|title=規格外の野菜・果物=安い、は古い?|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210709/k10013129011000.html|website=NHKニュース|accessdate=2021-07-10|last=日本放送協会}}</ref>。


== 野菜の安全性 ==
== 野菜の安全性 ==
野菜は人間が長年かけて改良し続けて、長い間食べ続けられてきた植物なので、それなりに安全性は確保できていると考えてもよい{{sfn|講談社編|2013|p=232}}。しかし、野菜の安全性に関してまだ結論が出ていないこともたくさんあり{{sfn|講談社編|2013|p=235}}、新しく作り出された野菜の品種や[[遺伝子組み換え作物]]などは、必ずしも安全性が確かめられているわけではなく、未知のリスクの可能性も指摘されている{{sfn|講談社編|2013|p=232}}。なるべく健康的な食生活を送るためにも、なるべく多くの種類の野菜を適量摂ることが、今最も安全な野菜の食べ方といわれている{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。
野菜は人間が長年かけて改良し続けて、長い間食べ続けられてきた植物なので、それなりに安全性は確保できていると考えてもよい{{sfn|講談社編|2013|p=232}}。しかし、野菜の安全性に関してまだ結論が出ていないこともたくさんあり{{sfn|講談社編|2013|p=235}}、新しく作り出された野菜の品種や[[遺伝子組み換え作物]]などは、必ずしも安全性が確かめられているわけではなく、未知のリスクの可能性も指摘されている{{sfn|講談社編|2013|p=232}}。なるべく健康的な食生活を送るためにも、なるべく多くの種類の野菜を適量摂ることが、今最も安全な野菜の食べ方といわれている{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。


[[ファイル:農村日常 (52415479863).jpg|thumb|right|200px|農薬散布]]
野菜を生産するうえで、人間以外の昆虫などの動物から受ける被害を抑止する目的で[[農薬]]が使用されるが、農薬の残存化学物質は人間にとっても癌などのリスクがあるので好ましいものではない{{sfn|講談社編|2013|p=232}}。農薬を使用しなければ、地球上の人類を養うだけの農作物の生産量は確保できないと言われており、農薬を正しく用いる農法がふつう一般に行われている(これを慣行栽培という){{sfn|講談社編|2013|p=233}}。先進国のように農薬の製造や使用が適正に規制されている国では、[[癌]]を含む疾病のリスクについて、農薬を正しく使用している限りは害はないと考えてもよいといわれている{{sfn|講談社編|2013|p=233}}。しかし、農薬が適正に使用されていない状況でつくられた野菜については、人体に害はないという前提条件が崩れてしまう{{sfn|講談社編|2013|p=233}}。しばしば「野菜には[[残留農薬]]の危険があるから、よく洗ってから食べる」という意見も見かけられ、ていねいな水洗いや加熱調理が野菜についている残留農薬を減らすことになるのは間違いではないが、先進諸国において野菜を洗うことによって農薬の害が低減するといった科学的根拠のある研究結果はほとんど発表されていない{{sfn|講談社編|2013|p=233}}。
野菜を生産するうえで、人間以外の昆虫などの動物から受ける被害を抑止する目的で[[農薬]]が使用されるが、農薬の残存化学物質は人間にとっても[[癌]]などのリスクがあるので好ましいものではない{{sfn|講談社編|2013|p=232}}。しかし、農薬を使用しなければ、地球上の人類を養うだけの農作物の生産量は確保できないと言われており、農薬を正しく用いる農法がふつう一般に行われている(これを慣行栽培という){{sfn|講談社編|2013|p=233}}。先進国のように農薬の製造や使用が適正に規制されている国では、農薬を正しく使用している限りは癌を含む疾病のリスクはないと考えてよいといわれている{{sfn|講談社編|2013|p=233}}。しかし、農薬が適正に使用されていない状況でつくられた野菜については、人体に害を及ぼす可能性がある{{sfn|講談社編|2013|p=233}}。しばしば「野菜には[[残留農薬]]の危険があるから、よく洗ってから食べる」という意見も見かけられ、ていねいな水洗いや加熱調理が野菜についている残留農薬を減らすことになるのは間違いではないが、先進諸国において野菜を洗うことによって農薬の害が低減するといった科学的根拠のある研究結果はほとんど発表されていない{{sfn|講談社編|2013|p=233}}。

野菜の安全性で注目されるようになったものに、原則として農薬や化学肥料を使わずに栽培(有機栽培)された[[有機農産物]]('''[[有機野菜]]'''、オーガニック野菜)がある{{sfn|講談社編|2013|p=233}}<ref name="カゴメ">{{Cite web|和書|author=|date=2024-03-28|url=https://www.kagome.co.jp/vegeday/store/201702/6292.html|title=有機野菜と無農薬野菜、オーガニック野菜の正しい見分け方まとめ|website=|publisher=カゴメ|accessdate=2024-07-20}}</ref>。有機野菜は栽培法による分類であり、日本のJAS法では厳密な規定により認定を受けたものだけが有機野菜と表示することができる{{sfn|講談社編|2013|p=233}}<ref name="カゴメ" />。有機野菜は農薬が残留している可能性は低いが、残留農薬がゼロであることまでは保証していない{{sfn|講談社編|2013|p=233}}。有機野菜の特徴は「安心して食べられる」という点において一般に高い評価を得ているが、科学的根拠のある研究結果はほとんどない{{sfn|講談社編|2013|p=234}}。


{{multiple image
野菜の安全性で注目されるのようになったものに、原則として農薬や化学肥料を使わずに栽培された[[有機農産物]]('''[[有機野菜]]''')がある{{sfn|講談社編|2013|p=233}}。有機野菜は栽培法による分類で、日本のJAS法では厳密な規定により認定を受けたものだけが有機野菜と表示することができるため、流通量が極めて少ないのが現状である{{sfn|講談社編|2013|p=233}}。有機野菜は農薬が残留している可能性は低いが、残留農薬がゼロであることまでは保証していない{{sfn|講談社編|2013|p=233}}。有機野菜の特徴は「安心して食べられる」という点において一般に高い評価を得ているが、科学的根拠のある研究結果はほとんどない{{sfn|講談社編|2013|p=234}}。
| total_width = 600
| align = center
| caption_align = left
| image1 = Organic-vegetable-cultivation.jpeg
| caption1 = 有機野菜栽培
| image2 = OrganicVegetables3.jpg
| caption2 = 有機野菜の販売
| image3 = 無農薬野菜 販売中 2016 ファミマ (31834658642).jpg
| caption3 = 無農薬野菜の販売
}}


また、有機栽培と一般的な栽培(慣行栽培)の中間的なものとして、「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」があったが、これらの表現は生産者によって定義が異なり、消費者に誤解を与えやすいという理由で、2004年に表示が禁止された{{sfn|講談社編|2013|p=234}}<ref name="カゴメ" /><ref>{{Cite web|和書|author=|date=2008|url=https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/tokusai_qa.pdf|title=特別栽培農産物に係る表示ガイドライン Q&A|website=|publisher=農林水産省消費・安全局表示・規格課|accessdate=2024-07-20}}</ref>。農林水産省のガイドラインでは、有機栽培と慣行栽培の中間的な栽培様式(農薬、化学肥料の使用量が規定の5割以下に制限されている)によって生産された野菜は、'''特別栽培野菜'''としている{{sfn|講談社編|2013|p=234}}<ref name="カゴメ" />。また慣行栽培であっても、残留農薬量は無毒性量(有害な影響が見られない最大量)の1/100以下とされている<ref name="カゴメ" />。
有機野菜に変わって増えてきたものに、農林水産省(農水省)のガイドラインに示されている'''無農薬野菜'''と'''減農薬野菜'''がある{{sfn|講談社編|2013|p=234}}。農水省のガイドラインは、第三者による認定を必要とせず、違反しても罰則規定がないので、本当に無農薬かどうかまではわからないという問題が指摘されている{{sfn|講談社編|2013|p=234}}。また農水省とは別に、各自治体や生産者団体が独自にガイドラインを設けて、無農薬・減農薬生産と表示をしているケースもある{{sfn|講談社編|2013|p=234}}。農水省のガイドラインは平成16年4月に改定され、無農薬野菜と減農薬野菜という分類が'''特別栽培野菜'''という表記に統一されている{{sfn|講談社編|2013|p=234}}。


世帯の野菜消費量が少なくなるなかで、外食産業を中心に利便性を考えてあらかじめ下処理された野菜である'''[[カット野菜]]'''の生産量が増えてきている{{sfn|講談社編|2013|p=234}}。カット野菜は手軽で便利というメリットがある反面、丸のままの野菜よりもカット工程などが増えるので、雑菌に触れやすく傷みやすい性質上、多くは[[次亜塩素酸ナトリウム]]溶液で殺菌してある{{sfn|講談社編|2013|p=234}}。その後は水洗いしてあるので、食べる人の健康を害するほど残留していないが、とても傷みやすいことには変わりないので、消費期限を厳守して封を開けたら早めに使い切ることが肝要になる{{sfn|講談社編|2013|p=234}}。
世帯の野菜消費量が少なくなるなかで、外食産業を中心に利便性を考えてあらかじめ下処理された野菜である'''[[カット野菜]]'''の生産量が増えてきている{{sfn|講談社編|2013|p=234}}。カット野菜は手軽で便利というメリットがある反面、丸のままの野菜よりもカット工程などが増えるので、雑菌に触れやすく傷みやすい性質上、多くは[[次亜塩素酸ナトリウム]]溶液で殺菌してある{{sfn|講談社編|2013|p=234}}。その後は水洗いしてあるので、食べる人の健康を害するほど残留していないが、とても傷みやすいことには変わりないので、消費期限を厳守して封を開けたら早めに使い切ることが肝要になる{{sfn|講談社編|2013|p=234}}。


[[ファイル:Sprouted potatoes of salem.jpg|thumb|right|200px|芽を出したジャガイモ(有毒)]]
'''放射線照射野菜'''で知られるものに、発芽防止目的で使用されている[[ジャガイモ]]がある。放射線を当てた食品が放射能を持つことはなく、健康に害を与えるようなこともないとされている{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。ジャガイモの芽に含まれるアルカロイド (PGA) による食中毒リスク、輸入スパイスに付着する病原菌リスク、食品保存に使われる燻蒸の発がん性リスクを軽減するために用いられているのが放射線照射である{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。また放射線を当てることによって殺菌効果が高められるため、食品が腐りにくくなるという特徴もある{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。
'''放射線照射野菜'''で知られるものに、発芽防止目的で使用されている[[ジャガイモ]]がある。放射線を当てた食品が放射能を持つことはなく、健康に害を与えるようなこともないとされている{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。ジャガイモの芽に含まれる[[アルカロイド]] (PGA) による食中毒リスク、輸入スパイスに付着する病原菌リスク、食品保存に使われる燻蒸の発がん性リスクを軽減するために用いられているのが放射線照射である{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。また放射線を当てることによって殺菌効果が高められるため、食品が腐りにくくなるという特徴もある{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。


'''[[遺伝子組み換え作物]]'''は[[遺伝子]]操作によってつくられた野菜であるが、それを食べた人の遺伝子に影響を与えるようなことはない{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。遺伝子がつくる物質はタンパク質であるため、そのタンパク質が人の健康に害を及ぼすかどうかが、遺伝子組み換え作物の安全性の評価となる{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。遺伝子組み換え作物のタンパク質が人の健康を害すという研究結果はほとんどなく、[[スターリンク]]というトウモロコシのタンパク質が[[アレルギー]]を起こす可能性があという研究があため、スターリンクついは食品として許可されていないのが現状である{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。遺伝子組み換え作物については、大企業の利益になっても一般市民の利益は何もないという指摘もあるため、遺伝子組み換え作物の必要性について意見が分かれるところであるが、その安全性について現段階では害は認められていないことから安全であるといわれている{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。
'''[[遺伝子組み換え作物]]'''は[[遺伝子]]操作によってつくられた作物であるが、それを食べた人の遺伝子に影響を与えるようなことはない{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。遺伝子がつくる物質は[[タンパク質]]であるため、そのタンパク質が人の健康に害を及ぼすかどうかが、遺伝子組み換え作物の安全性の評価となる{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。害虫抵抗性遺伝子組み換えトウモロコシであるスターリンク(StarLink)は、「そのタンパク質が[[アレルギー]]の原因となる可能性」を否定できだけのデータ不十分でったため、米国内の飼料用限っ利用されていたが、2000年に食料用や輸出品へ混入確認され大きな問題となった<ref name="スターリンク">{{Cite web|和書|author=|date=2008-06-01|url=https://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/magazine/098/mgzn09809.html|title=GMO情報: スターリンクの悲劇 ~8年後も残るマイナスイメージ~|website=|publisher=独立行政法人農業環境技術研究所|accessdate=2024-07-21}}</ref>。遺伝子組み換え作物については、大企業の利益になっても一般市民の利益は何もないという指摘もあるため、遺伝子組み換え作物の必要性について意見が分かれるところであるが、その安全性について現段階では害は認められていないことから安全であるといわれている{{sfn|講談社編|2013|p=235}}。

{{multiple image
| total_width = 800
| align = center
| caption_align = left
| image1 = VitA Cassava.jpg
| caption1 = [[β-カロテン]]生成量を増加させた遺伝子組み換え[[キャッサバ]](右)
| image2 = Amflora Ernte 2.jpg
| caption2 = 遺伝子組み換えジャガイモの収穫
| image3 = World map GMO production.svg
| caption3 = 世界各国の遺伝子組換え作物栽培面積(2019年)
{{legend|#803300|1000万ヘクタール以上}}
{{legend|#D45500|5万–1000万ヘクタール}}
{{legend|#FF9955|5万ヘクタール未満}}
{{legend|#b9b9b9|なし}}
}}


== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
=== 注釈 ===
{{Notelist2}}
<references group="注"/>
=== 注釈 ===
=== 出典 ===
{{Reflist|30em}}
{{Reflist}}


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
411行目: 596行目:


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[野菜の一覧]] - [[果菜類]] - [[葉菜類]] - [[根菜類]]- [[果物]]- [[ベリー]]- [[種実類]]
{{Commonscat|Vegetables}}
* [[農産物]] -[[遺伝子組み換え作物]]
* [[野菜の一覧]]
* [[農産物]]
* [[:Category:野菜料理]]
* [[果物]]
* [[:Category:野菜料理|野菜料理]]
* [[遺伝子組み換え作物]]
* 生産・流通
* 生産・流通
** [[農業協同組合]] - [[農産物直売所]] -[[中央卸売市場]]- [[八百屋]]
** [[有機農家]]
** [[農業協同組合]] - [[農産物直売所]]
** [[有機農家]] - [[有機農業]] - [[有機農産物]] - [[残留農薬]]
** [[野菜生産出荷安定法]] … 生産量が多い指定野菜などを安定して供給するための法律。
** [[中央卸売市場]]
** [[八百屋]]
** [[有機農業]] - [[有機農産物]] - [[残留農薬]]
** [[野菜生産出荷安定法]] ‐ 生産量が多い指定野菜などを安定して供給するための法律。
* 野菜に関連するトピック
* 野菜に関連するトピック
** [[家庭菜園]]
** [[家庭菜園]]
437行目: 616行目:


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{Commonscat|Vegetables}}
* {{Cite Kotobank|word=野菜|encyclopedia=|accessdate=2024-07-20}}
* {{Cite web|和書|author=|date=|url=https://www.alic.go.jp/content/000093223.pdf|title=主な野菜の主要な分類の比較|website=|publisher=独立行政法人農畜産業振興機構|accessdate=2022-12-22}}
* [http://www.alic.go.jp/vegetable/index.html 野菜に関する紹介]([[独立行政法人]][[農畜産業振興機構]])
* [http://www.alic.go.jp/vegetable/index.html 野菜に関する紹介]([[独立行政法人]][[農畜産業振興機構]])
* [https://web.archive.org/web/20041215012128/http://www.vegefund.com/ 野菜の情報](独立行政法人農畜産業振興機構)
* {{PaulingInstitute|jp/mic/food-beverages/fruit-vegetables|果実及び野菜}}
* {{Kotobank}}
*[https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/yasai/index.html 野菜のページ] - 農林水産省
*[https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/yasai/index.html 野菜のページ] - 農林水産省
*[http://www.hinshu2.maff.go.jp/vips/cmm/apCMM110.aspx?MOSS=1 品種登録データ検索] - 農林水産省
*[http://www.hinshu2.maff.go.jp/vips/cmm/apCMM110.aspx?MOSS=1 品種登録データ検索] - 農林水産省
* {{PaulingInstitute|jp/mic/food-beverages/fruit-vegetables|果実及び野菜}}
*[https://web.archive.org/web/20051231220701/http://mogu.pupu.jp/ 野菜もぐもぐ]


{{料理}}
{{料理}}

2024年7月29日 (月) 10:03時点における版

野菜(やさい、: vegetable)とは、あまり加工せずにおもに副食として利用される草本性栽培植物のこと、またはその可食部のことである。蔬菜(そさい)や菜(さい)、青物(あおもの)ともよばれる。ただし、「野菜」は慣用的な用語であり国や分野によって含まれる植物はやや異なるため、「野菜」を明確に定義することはできない。食用とする部位はつぼみ果実などさまざまであり、一般的にはこれに応じて果菜類(果実や種子を利用)、葉菜類(葉や地上茎、花を利用)、根菜類(根や地下茎を利用)に分けられる。また、香りや辛味が強い香辛野菜、カロテン含量が多い緑黄色野菜などがある。

さまざまな野菜

野菜は一般的に貯蔵性が低く時期が限られたものであったが、栽培技術の発展によっておもな野菜は一年中供給されるようになっている。近年では化学肥料農薬を使用しない有機野菜に対する需要が増加し、また高度に管理された野菜工場も見られるようになった。野菜の中には、生食するものや、煮るもの、焼くもの、漬物にするものなどがある。一般的に、野菜は柔軟多汁で低カロリービタミンミネラル食物繊維に富むものが多いが、マメ類やイモ類はデンプンタンパク質を多く含む。また、ポリフェノールなど人の健康に有用と考えられている物質を含み、生活習慣病予防などで重要視されている。

定義

さまざまな野菜

おもに副食主食間食ではない)として、無加工または低加工で利用される草本性の栽培植物またはその可食部は、野菜とよばれる[1][2][3]。蔬菜や菜、青物ともよばれる[2][3][4][5][6][7]

ただし、「野菜」は慣用的な用語であり、国や分野によって野菜に含まれる植物はやや異なるため、明確な定義はできない[1][8][9]。たとえばメロンスイカイチゴは甘く、ふつう間食に利用されるため、消費分野では果物として扱われるが、草本に実ることから、日本の生産分野では野菜として扱われる[1][3][10][11][8][12]。そのため、特に「果実的野菜」や「果物的果菜」とよばれることがある[1][10]。また、サツマイモジャガイモなどイモ類は副食とされる際には野菜であるが、主食や加工品原料とされることも多く、野菜とは分けて扱われることもある[3][13][14]マメ類トウモロコシの未熟な果実・種子(サヤエンドウスイートコーンなど)は野菜として扱われるが、完熟したものは穀物として扱われることが多い[1]。ただし、完熟したものであっても、副食に用いられる場合は野菜として扱われる[13]コメは日本においては最も重要な主食であるが、ヨーロッパでは付け合せなどに使われるため、野菜として扱われることがある[13]。また、タラノキサンショウは草ではなく木本植物であるが、副食に使われるため野菜として扱われることがある[9]

栽培植物である「野菜」に対して、同様に利用される野生植物は「山菜」とよばれる[1][15]。一般的に、山菜は野菜に比べて栽培効率が悪いが、近年になって地域産品の需要や販路が拡大しており、それに伴って栽培されている例も多い(アシタバフキウドタラノキワラビなど)[1][15]。現在市場に流通している山菜の多くは栽培品であり[1]、これらを野菜として扱うこともある[16][17][9][12]

日本では、菌類シイタケエノキタケナメコなど)も野菜に含めることがある[16][18]。また、日本では藻類(海苔ワカメヒジキなど)の利用が多く、野菜とは別に扱われているが、他の国では野菜に含めていることが多い[1]

古くは、副食として用いる草本植物を「蔬菜(または菜、蔬)」と総称し、そのうち野生のものを「野菜」、栽培されるものを「園菜(園蔬、圃菜)」とよんでいた[16][2][4]。しかし、その後は園菜の語は使われなくなり、やがて現在と同様に栽培されるものが「野菜」とよばれるようになり、また野生のものは「山菜」とよばれるようになった[4]。ただし、官公庁などでの公式的な表現では、栽培されるものは「蔬菜」とよばれていた[2][12][7]。しかし第二次世界大戦後には「蔬菜」の「蔬」が常用漢字外となったこともあって官公庁でも「野菜」の語が用いられるようになった[19]

英語の "vegetable" は、ラテン語の vegetabilis(活力を与える)に由来する[4]

代表的な野菜

下表には、FAOSTAT(国際連合食糧農業機関のデータベース)において世界生産量が100万トン以上のもの(2022年)[20]、および日本における指定野菜(***; 消費量が多く、収穫量と出荷量が毎年調査される)と特定野菜(**; 指定野菜に準ずる野菜)[21][22]を記している。下表の中でメロンスイカイチゴはふつう果物として扱われるが、草本に実るため日本の生産分野では野菜(果実的野菜、果物的果菜)として扱われている[14]。また、マメ類やトウモロコシの完熟品、イモ類(ジャガイモサツマイモヤムイモなど)は主食や加工品原材料に利用されることも多く、野菜とは別に扱われることもある[13][14]

下表は、果菜葉菜(茎菜、花菜を含む)、根菜の順で表記してある。ただし、同一の植物種の別の器官(葉と根など)が食用とされることもある(ダイコンなど)。

代表的な野菜
画像 名前[1][23] 分類[24] 食用部位[23] 原産地[23] 2022年世界生産量
(100万トン)[20]
トマト*** ナス科
Solanum lycopersicum
果実 南米 186.1
ナス*** ナス科
Solanum melongena
果実 南アジア 59.3
トウガラシシシトウピーマン***、パプリカなど ナス科
Capsicum annuum
果実 中米 41.8[注 1]
キュウリ*** ウリ科
Cucumis sativus
果実 南アジア 94.7[注 2]
メロン**[注 3]マクワウリシロウリなど ウリ科
Cucumis melo
果実 アフリカ 28.5
スイカ**[注 3] ウリ科
Citrullus lanatus
果実 アフリカ 99.9
カボチャ**、ズッキーニなど ウリ科
Cucurbita spp.[注 4]
果実 中米から南米 22.8[注 5]
インゲンマメサヤインゲン**など) マメ科
Phaseolus vulgaris
果実、種子、葉[25] 中米 29.6[注 1]
エンドウサヤエンドウ**、グリーンピース**など) マメ科
Pisum sativum
果実、種子、スプラウト[25] 地中海沿岸から中東 35.1[注 1]
ダイズ枝豆**など) マメ科
Glycine max
果実、種子、スプラウト[25] 中国 34.8[注 1]
ソラマメ** マメ科
Vicia faba
種子[25] 北アフリカから西南アジア 7.7[注 1]
オクラ アオイ科
Abelmoschus esculentus
果実 東北アフリカ 11.2
イチゴ**[注 3](オランダイチゴ) バラ科
Fragaria x ananassa
果実 オランダ[注 6] 9.5
リョウリバナナ[26]プランテンなど) バショウ科
Musa × paradisiaca など
果実、茎葉[26] 東南アジア[26] 44.1[注 7]
トウモロコシ(スイートコーン**など) イネ科
Zea mays
果実 中米または南米 9.8[注 8]
ホウレンソウ*** ヒユ科
Spinacia oleracea
西南アジアから中央アジア 33.1
キャベツ***、コールラビケールメキャベツカリフラワー**、ブロッコリー**など アブラナ科
Brassica oleracea
葉、腋芽、茎、花芽 地中海沿岸域 72.6[注 9]
26.0[注 10]
ハクサイ***、コマツナ**、ミズナ**、チンゲンサイ**、ナバナなど
カブと同種
アブラナ科
Brassica rapa
茎葉、花芽 ヨーロッパ西南部から西南アジア
レタス*** キク科
Lactuca sativa
茎葉 地中海沿岸域から中近東 27.1[注 11]
アーティチョーク キク科
Cynara scolymus
花芽 地中海沿岸域 1.5
フキ** キク科
Petasites japonicus
葉柄、花茎[27] 日本
シュンギク[23]** キク科
Glebionis coronaria
茎葉[23] 地中海沿岸域
ミツバ[23][28]** セリ科
Cryptotaenia canadensis
茎葉、根[28] 日本
セロリ[23][29]** セリ科
Apium graveolens
茎葉、根[注 12]、種子[23][29] 地中海沿岸域
アスパラガス** キジカクシ科
Asparagus officinalis
南ヨーロッパ 8.8
ネギ***、ニラ**、リーキワケギなど ヒガンバナ科
Allium spp.
中国など 2.1
タマネギ***、エシャロット[注 13] ヒガンバナ科
Allium cepa
鱗茎 中央アジア 115.5
ニンニク** ヒガンバナ科
Allium sativum
鱗茎、茎葉 中央アジア 29.1
ダイコン***(カイワレダイコンを含む)、ハツカダイコン(ラディッシュ) アブラナ科
Raphanus sativus
根、葉、芽生え ヨーロッパ
カブ**
ハクサイミズナコマツナチンゲンサイなどと同種
アブラナ科
Brassica rapa
根(胚軸)、葉 ヨーロッパ西南部から西南アジア 42.2[注 14]
ニンジン*** セリ科
Daucus carota
根、葉 中央アジア 42.2[注 14]
ゴボウ** キク科
Arctium lappa
根、葉 ユーラシア
サツマイモ ヒルガオ科
Ipomoea batatas
中南米 86.4
キャッサバ トウダイグサ科
Manihot esculenta
中南米 330.4
ジャガイモ*** ナス科
Solanum tuberosum
地下茎 南米 374.7
ハス(レンコン**) ハス科
Nelumbo nucifera
地下茎 中国またはエジプト
タロイモサトイモ***、ハスイモなど) サトイモ科
Colocasia spp. など[注 15]
地下茎、葉柄 東南アジアなど 17.7
ヤムイモヤマノイモ**[注 16]ナガイモダイジョトゲドコロカシュウイモシロギニアヤムなど) ヤマノイモ科
Dioscorea spp.
地下茎(担根体[注 17] 世界の熱帯域 88.2
ショウガ** ショウガ科
Zingiber officinale
地下茎、葉 不明 4.8

分類

食用部位による分類

野菜は食用とする部位の違いに基づいて分類されることがあり、果実種子を食用部位とするものを果菜類、地上茎を食用部位とするものを茎菜類葉柄を食用部位とするものを葉菜類花序を食用部位とするものを花菜類地下茎を食用部位とするものを根菜類とよぶ[41][42][43]。ただし、葉や茎、花は分けずに利用されることも多く、茎菜類や花菜類は、広義の葉菜類または葉茎菜類にまとめられることが多い[44][1][10]

さまざまな果菜類
さまざまな葉菜類
さまざまな根菜類
果菜類(実もの野菜[45][46]、成り物野菜ともいう)
果実種子を食用部位とする野菜[1]インゲンマメなどのマメ類やトウモロコシの未成熟果は副菜に利用され野菜(果菜)として扱われるが、成熟した果実や種子は主食や加工品原料に使われることが多いため、「マメ類」や「穀類」として野菜とは分けて扱われることも多い[1][31]
トマトナスピーマンパプリカトウガラシキュウリメロン[注 3]スイカ[注 3]カボチャズッキーニニガウリインゲンマメエンドウソラマメオクライチゴ[注 3]トウモロコシなど[23]
葉菜類(葉もの野菜[45][46]
狭義にはを食用部位とする野菜のことであるが、アスパラガスウドなど地上茎を食用部とする茎菜類(茎もの野菜[45])や、ブロッコリーミョウガなど花芽を食用部とする花菜類を含めて広義の葉菜類や葉茎菜類とすることが多い[1][43][47]。また、カイワレダイコンモヤシのように芽生えの茎葉を利用するものは、とくにスプラウト(新芽野菜、発芽野菜)とよばれる[48][49]
キャベツカリフラワーブロッコリーハクサイコマツナミズナチンゲンサイタアサイホウレンソウモロヘイヤツルムラサキクウシンサイシソセリミツバセロリパセリウドレタスエンダイブチコリシュンギクフキ食用菊アーティチョークアスパラガスネギニラワケギミョウガなど[23]
根菜類(根もの野菜[45][46]
地中にある地下茎根茎球茎塊茎鱗茎)を食用部位とする野菜[1]サツマイモジャガイモタロイモサトイモなど)、ヤムイモヤマノイモなど)、キャッサバなどは主食や加工品原料に使われることが多いため、「イモ類」として野菜とは分けて扱われることがある[14][50]タマネギニンニクラッキョウは地中にできるため根菜として扱われることもあるが、可食部である鱗茎の主体は特殊化した葉(鱗茎葉)であり、葉菜類(葉茎菜類)として扱われることも多く[31][10]、またネギニラなど他のネギ属野菜と合わせてネギ類[23]や鱗茎菜類[16]として他と分けられることもある。
ダイコンハツカダイコンカブビーツニンジンゴボウキャッサバサツマイモヤーコンショウガレンコンサトイモクワイヤマイモジャガイモタマネギ[注 18]ニンニク[注 18]百合根など[23]

果菜類(および花菜類)では花を咲かせることが必要であるが、葉菜類根菜類では花茎が伸びて花芽が形成されると(抽苔とよばれる)食用部分の品質が低下する[4]。そのため、このような野菜は抽台しにくい品種や抽台しにくい季節に栽培される[4]

植物分類学による分類

植物分類学における区分では、野菜はさまざまなに属する[1]。ただし、アブラナ科マメ科ウリ科ナス科キク科セリ科などいくつかの科が特に多くの野菜を含む。以下に、一般的な被子植物の科の配列に沿って野菜を含むおもな科を列記している[23][24][51]。同じ科に属する野菜はしばしば味や栄養価が似ており、また栽培に関しても共通点がある[45]

香辛野菜

野菜の中には香りや辛味が強く、少量が料理に添えられたり調味に使われるものがあり、香辛野菜(香辛菜)ともよばれる[10][52]薬味ハーブとよばれるものもある[53][54]サンショウクレソンカイワレダイコンワサビワサビダイコンヤナギタデトウガラシシソバジルタイムラベンダーミントパセリチャービルフェンネルパクチーハマボウフウミツバセリ食用菊ショウガミョウガニンニクなどがある[18][31][17]

緑黄色野菜と淡色野菜

日本では、可食部分のカロテン含有量によって、野菜を緑黄色野菜淡色野菜に分けることがある[55][56]。日本の厚生労働省では「原則として可食部100グラム当たりのカロテン含量が600マイクログラム (µg) 以上の野菜」を緑黄色野菜と定義している[57][44]。緑黄色野菜は色が濃い野菜が多く、ホウレンソウニンジンカボチャなどがその代表例である[55]トマトピーマンなどは、この基準に入らないが、食べる回数や量が多いことから緑黄色野菜とみなされている[55][56]。また、緑黄色野菜以外の野菜は、淡色野菜とよばれる[55]

西洋野菜と中国野菜

日本において、明治時代以降に欧米から導入されたブロッコリーカリフラワーキャベツメキャベツハツカダイコントマトピーマンバジルセロリパセリレタスチコリーエンダイブアスパラガスリーキなどの野菜は、西洋野菜(洋菜)とよばれる[41][58]。また、日本において1970年代以降に中国から導入され普及した野菜は中国野菜とよばれ、チンゲンサイパクチョイタアサイカイランセリホントウミョウキンサイステムレタスオオクログワイなどがある[41][59]

高原野菜

嬬恋村(群馬県)におけるキャベツ栽培

日本において、夏でも涼しい標高1,000メートル前後の高原で栽培される野菜は、高原野菜(こうげんやさい)または高冷地野菜(こうれいちやさい)とよばれる[60]。高原野菜の利点は、平地では夏に栽培が難しい野菜を、独占的に栽培できるところにあるが、栽培期間が短くふつう年1作しかできない[60]。代表的なものとして、レタスハクサイキャベツなどがある[61]。明治半ばに、長野県の軽井沢において避暑に訪れる外国人客向けとして栽培が始まり、大正末期から東京など大都市に出荷されるようになった[60]

品種

同一種の野菜において、さまざまな栽培品種が作出されていることがある。品種名には、産地の名前が由来となっているもの、地域で特別に名付けたもの、品種改良を行った人物や種苗会社が名付けたものなどさまざまである[62]。品種名がそのまま商品名(商標名)となったり、同じ品種でも産地によって異なる商標名になることもあり、地域の特産品になるとブランド名として独自の名前をつけることもある[62]

野菜には、F1品種(雑種第一代)とよばれるものがある。F1品種は、異なる品種を人工的に交配して、病気に強い・形が揃いやすい・栽培期間が短いなどの長所となる特性を持たせたものであり、流通している野菜の中にはF1品種であるものも多い[62]。F1品種の特性は一代限りのため、これから種子を取って翌年栽培しても一代目と同じ特性の野菜には育たない。そのため、F1品種は種苗会社が種子を作り、栽培農家が毎年その種子を購入する必要がある[62]

固定種在来種[注 19]とよばれる野菜は、長い年月をかけて優良な個体から種を取り、特性を固定していくことでできた品種である。遺伝的にも安定しており、地方によっては多くの固定種が作り継がれていった[62]。現在、地方の伝統野菜とよばれている品種は、このように受け継がれて栽培されたことによって、その地域の在来種となったものである[62]

歴史

現代において世界で栽培される野菜の多くは、中国インドから東南アジア中央アジア近東地中海岸、アフリカサヘル地帯及びエチオピア高原)、中央アメリカ、南米のアンデス山脈の8地域を起源としている。これらの地域は農耕文明の発祥地と重なっている。また、もともとの生息域が広く、栽培化地域が複数にまたがっている野菜も多い。中国においてはハクサイ、ネギ、ゴボウが、インドから東南アジアにおいてはキュウリやナス、サトイモ、中央アジアではダイコン、ニンジン、タマネギ、ホウレンソウ、ソラマメなどが栽培化されている。近東地域ではレタスやニンジンやタマネギが栽培化されている。地中海岸は野菜の一大起源地であり、キャベツやエンドウマメ、アスパラガスやセロリが栽培化されている。アフリカのサヘルからエチオピア高原にかけては、ササゲオクラなどが栽培化された。中央アメリカにおいてはインゲンマメやサツマイモ、カボチャが栽培化された。南アメリカ・アンデスにおいては、トマトとジャガイモ、それにトウガラシやピーマン、カボチャの栽培化が行われた[64]。こうした中心地のほか、世界各地で野草採集から発展した独自の野菜が栽培されており、各地独特の食文化の重要な要素となっている。

日本における歴史

フキセリミツバウドなど日本原産の野菜もあるが、ほとんどの野菜は日本列島の外で栽培化されたものが持ち込まれたものである[16]

その移入の歴史は古く、すでに縄文時代の遺跡である福井県鳥浜貝塚においては、ゴボウカブアブラナリョクトウエゴマシソなどの種子が出土し、栽培されていたと考えられている。この発見は弥生時代の稲作伝来以前からすでに農耕が開始されていたこと、および縄文時代にすでにはるかな遠隔地で栽培化されていた野菜(カブやアブラナは地中海沿岸、エゴマやシソやリョクトウはインド原産)が伝来しており、大陸をはじめとする広範囲な移動がすでに行われていたことを示した[65]

このほか、1世紀ごろまでにはゴマサトイモニンニクラッキョウヤマイモトウガンなどがすでに伝来しており、古墳時代にはナスキュウリササゲネギが伝来した[66]

古事記日本書紀にはカブやニラの、万葉集ではジュンサイヒシセリ、瓜(マクワウリ)などの記述が存在する。このほか、現代ではあまり野菜としては使用されない水葱(なぎ、現代のミズアオイコナギ)や羊蹄(しのね、現代のギシギシ)などが食用とされていた[67]。その後、レタス8世紀には「萵苣」(わきょ/ちしゃ)という名前で日本に伝来している(玉状のレタスは明治時代になってからの伝来)[68]

江戸時代に入り、平和が続き経済が成長すると野菜の需要も高まり、特に一大消費地である江戸の周辺では大量の野菜が栽培され都市へ運び込まれるようになった。小松菜や練馬大根などのように、地名をつけブランド化する野菜が現れ始めたのもこのころである[69]。こうした傾向は江戸に限ったことではなく、京野菜加賀野菜をはじめ、各地で特色ある野菜が開発され定着したのも江戸時代のことであった。またニンジンホウレンソウジャガイモサツマイモも江戸時代に伝来し、江戸時代後期には野菜の種類は著しく増加した[4]

明治時代に入ると文明開化の潮流とともに、タマネギトマトキャベツをはじめとする西洋野菜が多く流入した[4]。またその後さまざまな中国野菜なども伝来し、日本の野菜はより多様なものとなった[4]

スーパーマーケットでは外観を重視し、変形が見られるものは「規格外」として取り扱わず、「訳あり」などとして格安で売られるか、採算が取れないと農家が判断し廃棄されることもあった。消費者の意識が過度に美観を重視する姿勢から変化していることもあり、外観を規格に合わせるための栽培法を止める試みもある[70]

生産

中国の農場
インドのジャガイモ農場
アメリカ合衆国のキャベツ農場

下表では、2021年における野菜生産量が多い国を列記している[71]。生産量が最も多い国は中華人民共和国であり、一国で世界の半分以上の生産量があった。2位はインドで、以下アメリカ合衆国トルコナイジェリアエジプトの順となっている。野菜耕地面積も、中国が飛び抜けて広い。一方、単位面積当たりの野菜の収穫量が高い国は、ウズベキスタン大韓民国スペインなどである。

栽培面積
(1,000ヘクタール)
単収(トン/ha) 生産量
(1,000トン)
中華人民共和国 23,394 25.7 602,344
インド 8,897 15.5 137,988
アメリカ合衆国 829 33.7 27,917
トルコ 677 39.4 26,646
ナイジェリア 4,142 3.8 15,795
エジプト 639 24.4 15,571
メキシコ 695 21.2 14,747
ロシア 490 27.6 13,544
スペイン 338 40.0 13,536
インドネシア 1,198 10.9 13,010
イタリア 332 34.5 11,441
ベトナム 1,003 10.7 10,741
ウズベキスタン 222 46.6 10,348
日本 370 27.5 10,177
ウクライナ 461 21.6 9,959
大韓民国 230 42.5 9,769
イラン 323 28.9 9,331
ブラジル 350 24.5 8,572
アルジェリア 301 25.4 7,652
バングラデシュ 709 10.3 7,318
パキスタン 584 12.1 7,074
世界総計 58,034 19.9 1,154,598

野菜は一般的に貯蔵性が高くないため、農家が自給的に生産して余剰分を市場に供給することが多く、商業的に生産される場合は消費地の近くで生産されることが多かった。しかし都市の急速な拡大によって都市近郊の野菜生産地が都市化していったことや、輸送手段・貯蔵手段の発達によって遠隔地でも野菜栽培が採算に乗るようになったことから、野菜生産は都市から離れた地域でも行われるようになった。また、葉や実を利用し貯蔵性が低い関係上供給はその植物の収穫期に限定され、旬が短く時期によって左右されたものが野菜生産であった。その後、温室ビニールハウスなどの技術革新によって野菜は一年中供給されるようになった。

いちご狩り温室
ビニール掛けのレタス栽培(2月)
管理されたトマト栽培
植物工場

近年では、巨大なハウスを造りコンピュータ制御でその中の環境をコントロールし高い生産性・採算性で野菜を生産するオランダのような国が出現している[72]。オランダはトマトを、本場であるイタリア向けも含めてヨーロッパ各地に大量に輸出するほどになっている。

また最近では、野菜を植物工場で生産する事例も、まだ生産量は少ないものの徐々に増えてきている。閉じた空間、害虫や雑菌の影響が少ない空間において、LED照明やコンピュータで制御された空調や養液補給などによって、気候・天候の影響をほぼ受けずに安定的に野菜を生産する方式である。雑菌や害虫が少ないため無農薬栽培が可能で、栄養価や規格の統一も容易であるなど利点も多いが、生産コストが高く採算を取るのが難しいなど課題も多く残っている[73]

食材

野菜にはがあるが、近年では品種改良・作型の改良(ハウス栽培など)・輸入野菜の増加によって、旬以外の時期でも市場に年間を通して供給されるようになった[55]。需要形態が変化してきており、カット野菜(切断されて部分的に販売される野菜)や冷凍野菜も利用されるようになっている[44]。ただし、カット野菜は切断面が大きい分、野菜の呼吸量も大きくなるため、品質の落ちるスピードも速くなってしまうという難点がある[74]

インドの八百屋
カナダのスーパーマーケット
カット野菜

古来食材としては、野菜類はどの文化圏においても副菜としての性格が強く、主食コメコムギといった炭水化物を摂取するための穀物であり、またタンパク質に富むごちそうとして扱われるのに比べ、野菜類がメインとなることは少なかった。野菜類がメインとなる場合も、うま味を供給する肉や魚、調味料と組み合わせて使用されることが常である[75]。また野菜類の作物としての比重も高くなく、古代にはこうした野菜類は栽培するのではなく、食べられる野草を採集してくることも多かった。これは野菜類にエネルギー源やタンパク質に富むものが少なく、栄養源としてはそこまで必要性が高くなかったことによる[76]。やがて生活が豊かになるにつれて食生活に彩りを添えるために各種栽培野菜の開発が各地で進められていくが、野草採集も食糧供給源としては存続し、現代においても山菜として食卓をにぎわせている。

宗教文化的理由もしくは主義として肉食を避ける人は、一般に菜食主義者と呼ばれるが、これは「野菜のみを食べる人」という意味ではない。菜食主義者の食事においてもメインとなるものはエネルギー源となる炭水化物を多く含む穀物やイモ類、およびタンパク質に富む類であり、野菜は副菜としての位置づけにあることには変わりがない[75]

調理法

野菜は、洗う、切るといった下ごしらえを調理の直前に行うのが基本である[77]。根付き野菜は、水につけて洗うことによって根元付近に付着した泥が落ちやすくなる[77]灰汁が強い野菜の場合は、下処理として水や酢水、焼きミョウバン水などにつけて灰汁抜きをする[77]。キュウリやオクラ、ニガウリのように、塩をまぶして揉むことで食感が良くなる野菜もある[77]。野菜を切るときは食べやすく味や食感を考えて、輪切り角切り(さいの目切り)、千切り千六本小口切り拍子切り短冊切り半月切りいちょう切りかつらむきみじん切りくし形切り細切り斜め切り乱切りささがきなど、料理に合わせたさまざまな切り方がある[78][79][80]

ニンニクのみじん切り
野菜サラダ

サラダなどで生で食べる野菜は、加熱で失われやすいビタミンなどを効率よく摂ることができる[81]。生野菜のみずみずしさ、香り、爽やかな歯ごたえは加熱野菜では得られない魅力がある[82]。一方、野菜を加熱調理にも特有のおいしさがあり、加熱によって失われる栄養素もあるが、かさが減ることで食べる量が多くなり、結果的に加熱した方が多くの栄養を摂ることができる[82]

焼く場合は、直火・オーブンフライパンで焼くなどの方法があり、野菜表面の水分が抜けて素材の旨味も凝縮されて、かさも減るため生野菜よりも多く摂ることができる[81]。蒸すと、野菜が元来持つ旨味や栄養分を損なわずに加熱できる[81]油炒めは、脂溶性ビタミンビタミンAビタミンDの吸収率を上げる調理法であり、短時間で炒めるとビタミンCの損失量も少なくなる[81]。煮る場合は、煮汁まで食べたほうが栄養を無駄なく摂取できる[81]。油で揚げると野菜の水分が適度に抜けて甘味が出る[81]。クセの強い野菜は油で揚げると食べやすくなるため、山菜や苦味のある野菜に向いている調理法である[81]。茹でるときは、葉野菜はたっぷりの湯を沸騰させて短時間で茹で上げるようにする[83]根菜は水から入れてじっくりと加熱し、デンプン質が多い芋類は、加熱に時間をかけることによって糖質がふえて甘くなる[83]電子レンジは、固めの野菜でも短時間で加熱調理できる方法で、野菜全体をラップに包んで水分が抜けて乾燥するのを防ぐ[81]。電子レンジで加熱すると、ガスレンジで加熱するよりも短時間で火が通り、ビタミンの損失が少なく済むというメリットがある[84]

ポテトサラダ
焼き野菜
筑前煮
野菜の天ぷら

野菜に含まれるビタミン・ミネラル類の中でも、調理で最も失われやすい栄養素はビタミンCである[82]。ビタミンCは水溶性ビタミンであり、水にさらす時間が長いほど減少してしまう[82]。例えばニンジンを千切りにして水に5分さらすと、ビタミンCが30%ほど減少する[82]。また、ゆで時間が長くなるほどビタミンCの損失量が多くなる[82]。野菜を煮るときは、野菜を大きめに切ったほうがビタミンCは失われにくくなる[85]。体内で必要に応じてビタミンAに変化するカロテンは、脂溶性ビタミンであるため、油で調理することでより吸収されやすくなる[85]。緑色が濃い緑黄色野菜を色鮮やかに仕上げるには、加熱時間を短くして、酢などは食べる直前に加えるなどの配慮が必要になる[85]。野菜のえぐみ、渋み、苦味などのアクは、灰分、有機酸、タンニン、アルカノイドなどである[84]。野菜によってアクに違いがあり単純ではないが、大半は水溶性のため、茹でたり、水にさらすことによって減らすことができる[84]。ホウレンソウのようにアクが強いものは、下茹でや電子レンジ加熱後に水にさらしてアク抜きしてから使われる[81]

漬物は調味料で味をつけるとともに、野菜から水気を引き出し、保存性を増すことができる調理法である[86]。低塩分で手軽につくれる浅漬け、野菜に塩を振って重石して保存性を高める塩漬け、精米の副産物であるぬかを微生物で発酵させて野菜を漬け込んだぬか漬け、酢・水・砂糖を煮溶かした甘酢に漬け込んだ甘酢漬け、ハーブやスパイスで香り付けした酢に漬け込んだピクルスなどがある[86]

漬物
ぬか漬け
キムチ
アスパラガスのピクルス

野菜料理

野菜料理 とは、野菜を主体とした料理である。調理法は温野菜生野菜にわけられ、肉料理魚料理などに対置して使われる。野菜も他の食材と同じく、基本的には火を通すなど何らかの加工をして食用とするものであった。このため、おひたし和え物炒め物野菜炒め)、煮物蒸し物揚げ物天ぷらなど)など様々な調理法が開発された。こうした加熱法のほか、野菜の調理において非常に重要だったものは漬物としての利用である。多くの野菜、特に葉物野菜は日持ちがしないが、などで漬け込み漬物とすれば非常に長持ちするため、保存食として価値が高く、世界各国において様々な野菜の漬物が考案された[87]。こうした加工利用に比べ、野菜の生での食用が一般化したのはかなり遅い時代のことだった。とりわけ日本においては、肥料に下肥を用いていたこともあり、加熱等の加工処理が必須だったために野菜の生食は非常に遅れ、一般家庭において野菜の生食であるサラダが一般化したのは1970年代中期を待たねばならなかった。

栄養価および機能性成分の効果

一般的に、野菜は柔軟多汁で低カロリービタミンミネラル食物繊維に富むものが多いが、マメ類やイモ類はデンプンタンパク質を多く含む[1][4][44][55]

品種改良が進んだ現代の野菜も、本来の生育時期は決まっており、その野菜の特性と栽培地の環境の中で自然に収穫を迎えたものが旬となる[55]。本来の旬の時期に収穫した野菜は、もっとも味がよくな流とされ、栄養価も高くなる[55]。例えば、冬場に旬の時期を迎えるホウレンソウは、夏に収穫したものではビタミンC量が3分の1程度しかない[55]

野菜の多くは無機塩類やビタミン類、食物繊維のほかに、抗酸化物質を含むファイトケミカル(フィトケミカル)が豊富で、免疫力を上げて体内を浄化する働きがあり、癌予防を含めた各種健康維持に役立っている[55]。ファイトケミカルとは、植物に含まれる色素や香り、灰汁などに含まれる植物自体が有害な物から防御するための物質で、ポリフェノール類、フラボノールカテキンなどが相当する[55]

野菜の代表的な栄養素
栄養素 特徴 多く含まれる主な野菜 備考
ビタミンA カロテン類として含まれている脂溶性ビタミンで、体内でビタミンAに変換される。食用油と一緒に摂ると吸収力が上がる。抗酸化作用があり、皮膚や粘膜を健康に保つ働きがある。 ニンジン、ホウレンソウ、アシタバ、ニラ、タアサイ、シュンギク、モロヘイヤ、西洋カボチャ、タカナ、ダイコン・カブの葉などの緑黄色野菜。 [88]
ビタミンB1 炭水化物(糖質)をエネルギーに変えるのを助ける水溶性ビタミンの1種。不足すると糖質代謝が低下して、疲労の原因になる。神経のはたらきを正常に保つ。 枝豆、ニンニク、モロヘイヤ、ラッカセイ、グリーンピース、ソラマメなど。 [88]
ビタミンB2 糖質、脂質、タンパク質の代謝を助けて、エネルギーに変えるのを助ける。タンパク質の合成を助けて細胞の成長を促す働きがあり、皮膚や粘膜の健康維持を助ける。 ブロッコリー、シソ、ホウレンソウ、モロヘイヤ、トウガラシ、アシタバ、パセリ、クレソン、バジル、メキャベツなど。 [88]
ビタミンB6 タンパク質をアミノ酸に分解や合成する働きを助け、筋肉や血液を作るために不可欠なビタミン。女性ホルモンのエストロゲンの代謝にも必要とされる。 赤ピーマン、モロヘイヤ、ニンニク、トウガラシ、バジル、パセリ、カブの葉など。 [88]
ビタミンC 抗酸化作用があるほか、タンパク質やコラーゲンの生成を助けて、風邪予防や肌を健康に保つ働きがある。 ブロッコリー、ジャガイモ、赤ピーマン、黄ピーマン、パセリ、ケール、メキャベツ、菜花、カブの葉、カリフラワーなど。 [88]
ビタミンK 血液凝固促進作用があるタンパク質を作るのを助ける脂溶性ビタミンの1種。またカルシウムを取り込む働きがあり、丈夫な骨を作るのを助ける。ビタミンK1(フィロキノン)とビタミンK2(メナキノン類)の2種類がある。 カブ・ダイコンの葉、モロヘイヤ、アシタバ、ツルムラサキ、ケール、パセリ、シソ、ホウレンソウ、ヨメナ、バジルなど。 [88]
カリウム 細胞内の水分量を調節して、腎臓でナトリウムの排出作用がある。高血圧予防やむくみ予防、筋肉の働きを調整する。 ミツバ、サトイモ、パセリ、ホウレンソウ、枝豆、ケールなど。 [88]
カルシウム 骨や歯の主成分で、発育や骨粗鬆症予防に重要なミネラル。脳内神経伝達物質を放出するため、不足するとイライラするといわれている。 コマツナ、モロヘイヤ、パセリ、シソ、ツルムラサキ、エンドウ、ゴマ、ダイズなど。 [88]
鉄分 血液中のヘモグロビンを構成し、全身の酸素を送る働きがある。不足すると、疲れやすくなり、動悸、息切れ、食欲不振の症状が出る。 コマツナ、レタス、枝豆、ホウレンソウ、シソ、パセリ、コンニャク、ソラマメなど。 [88]
食物繊維 体内で消化されない炭水化物で、腸の働きを活発にさせる働きがある。便秘予防、血糖値の急上昇の抑制、コレステロールの吸収を抑える働きがある。 ゴボウ、グリーンピース、モロヘイヤ、コンニャク、ダイズ、ケール、ラッキョウ、エンドウ、インゲンなど。 [88]

食物繊維

ヒトの消化酵素で分解できない物質のことを、食物繊維という[89]。水に溶けない不溶性食物繊維としてはセルロースヘミセルロースがあり、水に溶ける水溶性食物繊維としてはペクチングルコマンナンポリデキストロースなどがある[89]。食物繊維は便通を整え、また過剰な脂質ナトリウムなどを吸着して体外に排出する働きがある[89]。野菜としては、サツマイモ切り干し大根カボチャゴボウタケノコブロッコリーモロヘイヤインゲンマメアズキなどに食物繊維が多い[90]。厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食物繊維の望ましい摂取量は、成人男性で21グラム/日以上、成人女性で18グラム/日以上とされている[90]

一方で、大腸内の腸内細菌が、一部の食物繊維やオリゴ糖を分解することが知られている[91][92]。このように食物繊維は腸内細菌の栄養源となり、腸内細菌の組成に大きく影響する[91]。このような分解によって生じる酪酸プロピオン酸酢酸などの短鎖脂肪酸は、腸内環境の安定化に寄与することが示唆されている[92]。この反応には食物からのビタミンB1供給が重要であることが知られているが、一方で腸内細菌がビタミンB1B2B3B5B6B7葉酸B12ビタミンKなどを生成することも知られている[93][94]

ファイトケミカル

植物に含まれる化学成分はファイトケミカル(フィトケミカル、phytochemicals)と総称され、紫外線や害虫防御のための色素、香り、苦味、あくなどの成分となる[95]ポリフェノールカロテノイドがあり、いずれも抗酸化能による活性酸素の除去や免疫力向上をもたらしてくれる[55][95]

ポリフェノールとは、フェノール基水酸基(OH)が2つ以上ついている物質のことである[96]。植物の色素やアクとよばれている苦味成分のほとんどはポリフェノールである[97]。ポリフェノールの主たる機能は抗酸化作用であり、がん予防や血中コレステロールの酸化を防いで動脈硬化を予防する働きがあるとされる[98]。そのほかにも個々の物質によって異なる生理作用があり、その効用は数時間内といわれる[98]

ペオニジン(アントシアニンの一種)
イソフラボン
ショウガオール
(+)-カテキン

カロテノイドは、主として植物に含まれている赤色から黄色の色素であり、炭素と水素のみからなるカロテンと酸素を含むキサントフィルに分けられる[100]。基本的に植物だけが作り出せる成分である[97]。カロテンには、αカロテンβカロテンγカロテンリコペン(リコピン)などがあり、人間の体内でレチノールに変換されてビタミンAとして作用する[97]。レチノールに変換されないカロテン類は、抗酸化作用を発揮する[97]。また、キサントフィルにはアントシアニンルテインクリプトキサンチンカプサイシンなどがあり、これらはビタミンAとして働かないが、抗酸化作用を発揮して、がん予防や老化防止に役立つと考えられている[97]

リコペン
ルテイン
クリプトキサンチン
カプサイシン

イオウ化合物は、アメリカ国立癌研究所 (NCI) が中心となって研究したデザイナーズフーズの上位に、ニンニクやキャベツ、タマネギがランクされたことから注目されるようになった生理機能成分で、特有の臭いを発する[98]

  • 硫化アリル - ネギタマネギニララッキョウなどに共通して含まれる刺激臭のある成分で、ビタミンB1の吸収を助け、炭水化物の代謝を活発にする働きがある。また、血液の粘度を下げる働きがあるといわれ、血栓を予防するともいわれている[98]
    • アリシン - 硫化アリルの一種でニンニクやネギ臭の素になる成分[98]。生ニンニクにはアイリンという無臭成分が含まれているが、空気に触れるとアリシンに変化する[98]。ビタミンB1の吸収を助け、血栓予防、貧血予防、血中コレステロール値の上昇の抑制のほか、強力な抗酸化作用が知られている[98]
  • イソチオシアネート - キャベツ、ブロッコリーなどアブラナ科野菜に特異的に含まれる臭い成分[98]。遺伝子が傷ついた細胞増殖の抑制、発がん性物質の活性化の抑制、抗菌作用のほか、女性ホルモンと似たような働きをすると言われている[98]
硫化アリル
イソチオシアン酸エチル

がん予防の可能性

野菜は、果物とともに癌予防の可能性が大きいものとされている[101][102]

変異原性物質Trp-P-1(3-amino-1,4-di-methyl-5H-pyrido[4,3-b]indole)に対して抗変異原性を示す(変異性を抑える)野菜としては次のようなものがある[103]

変異原性物質NIHP(2-ヒドロキシ-3-(1-N-ニトロソインドリル)-プロピオン酸)に対して抗変異原性を示す(変異性を抑える)野菜としては次のようなものがある。

キャベツブロッコリーゴボウナスショウガ等に強い抗変異原性があることが知られている。加えて、エストラゴンオレガノギョウジャニンニクシロザタイムツクシフキノトウモミジガサレモンバームの野菜類9種にもTrp-P-1に対して強い抗変異原性があり、キク科シソ科アブラナ科セリ科の植物に抗変異原性があるものが多い[104]

2007年11月1日、世界がん研究基金アメリカがん研究協会によって7000以上の研究を根拠に「食べもの、栄養、運動とがん予防[105]」が報告されている。(詳細は「食生活指針」を参照のこと)

生活習慣病予防

野菜は果物とともにアルカリ性食品に分類されている[106]。(詳細は、酸性食品とアルカリ性食品を参照)

腎臓に障害がなくカリウムを摂取しても問題がなければ、カリウムを豊富に含む野菜や果物の摂取を増やすことにより血圧の降圧が期待できる[107]

21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)では、望ましい野菜の摂取量は成人1人1日あたり350g以上とされている[108][109][44]。日本人の平均ではこの目標に対して8割程度の摂取量にとどまっており、若年層においては7割~6割程度にとどまっている状況にある[44][110]。2012年(平成24年)の調査では20歳以上の日本人の平均野菜摂取量は、286.5g/人日であった[111]。所得と生活習慣等に関する状況の調査においては、所得が高いほど野菜摂取量が多く、所得が低いほど野菜摂取量が低い傾向が見られた[110]

野菜の安全性

野菜は人間が長年かけて改良し続けて、長い間食べ続けられてきた植物なので、それなりに安全性は確保できていると考えてもよい[112]。しかし、野菜の安全性に関してまだ結論が出ていないこともたくさんあり[113]、新しく作り出された野菜の品種や遺伝子組み換え作物などは、必ずしも安全性が確かめられているわけではなく、未知のリスクの可能性も指摘されている[112]。なるべく健康的な食生活を送るためにも、なるべく多くの種類の野菜を適量摂ることが、今最も安全な野菜の食べ方といわれている[113]

農薬散布

野菜を生産するうえで、人間以外の昆虫などの動物から受ける被害を抑止する目的で農薬が使用されるが、農薬の残存化学物質は人間にとってもなどのリスクがあるので好ましいものではない[112]。しかし、農薬を使用しなければ、地球上の人類を養うだけの農作物の生産量は確保できないと言われており、農薬を正しく用いる農法がふつう一般に行われている(これを慣行栽培という)[114]。先進国のように農薬の製造や使用が適正に規制されている国では、農薬を正しく使用している限りは癌を含む疾病のリスクはないと考えてよいといわれている[114]。しかし、農薬が適正に使用されていない状況でつくられた野菜については、人体に害を及ぼす可能性がある[114]。しばしば「野菜には残留農薬の危険があるから、よく洗ってから食べる」という意見も見かけられ、ていねいな水洗いや加熱調理が野菜についている残留農薬を減らすことになるのは間違いではないが、先進諸国において野菜を洗うことによって農薬の害が低減するといった科学的根拠のある研究結果はほとんど発表されていない[114]

野菜の安全性で注目されるようになったものに、原則として農薬や化学肥料を使わずに栽培(有機栽培)された有機農産物有機野菜、オーガニック野菜)がある[114][115]。有機野菜は栽培法による分類であり、日本のJAS法では厳密な規定により認定を受けたものだけが有機野菜と表示することができる[114][115]。有機野菜は農薬が残留している可能性は低いが、残留農薬がゼロであることまでは保証していない[114]。有機野菜の特徴は「安心して食べられる」という点において一般に高い評価を得ているが、科学的根拠のある研究結果はほとんどない[116]

有機野菜栽培
有機野菜の販売
無農薬野菜の販売

また、有機栽培と一般的な栽培(慣行栽培)の中間的なものとして、「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」があったが、これらの表現は生産者によって定義が異なり、消費者に誤解を与えやすいという理由で、2004年に表示が禁止された[116][115][117]。農林水産省のガイドラインでは、有機栽培と慣行栽培の中間的な栽培様式(農薬、化学肥料の使用量が規定の5割以下に制限されている)によって生産された野菜は、特別栽培野菜としている[116][115]。また慣行栽培であっても、残留農薬量は無毒性量(有害な影響が見られない最大量)の1/100以下とされている[115]

世帯の野菜消費量が少なくなるなかで、外食産業を中心に利便性を考えてあらかじめ下処理された野菜であるカット野菜の生産量が増えてきている[116]。カット野菜は手軽で便利というメリットがある反面、丸のままの野菜よりもカット工程などが増えるので、雑菌に触れやすく傷みやすい性質上、多くは次亜塩素酸ナトリウム溶液で殺菌してある[116]。その後は水洗いしてあるので、食べる人の健康を害するほど残留していないが、とても傷みやすいことには変わりないので、消費期限を厳守して封を開けたら早めに使い切ることが肝要になる[116]

芽を出したジャガイモ(有毒)

放射線照射野菜で知られるものに、発芽防止目的で使用されているジャガイモがある。放射線を当てた食品が放射能を持つことはなく、健康に害を与えるようなこともないとされている[113]。ジャガイモの芽に含まれるアルカロイド (PGA) による食中毒リスク、輸入スパイスに付着する病原菌リスク、食品保存に使われる燻蒸の発がん性リスクを軽減するために用いられているのが放射線照射である[113]。また放射線を当てることによって殺菌効果が高められるため、食品が腐りにくくなるという特徴もある[113]

遺伝子組み換え作物遺伝子操作によってつくられた作物であるが、それを食べた人の遺伝子に影響を与えるようなことはない[113]。遺伝子がつくる物質はタンパク質であるため、そのタンパク質が人の健康に害を及ぼすかどうかが、遺伝子組み換え作物の安全性の評価となる[113]。害虫抵抗性遺伝子組み換えトウモロコシであるスターリンク(StarLink)は、「そのタンパク質がアレルギーの原因となる可能性」を否定できるだけのデータが不十分であったため、米国内の飼料用に限って利用されていたが、2000年に食料用や輸出品への混入が確認され大きな問題となった[118]。遺伝子組み換え作物については、大企業の利益になっても一般市民の利益は何もないという指摘もあるため、遺伝子組み換え作物の必要性について意見が分かれるところであるが、その安全性について現段階では害は認められていないことから安全であるといわれている[113]

β-カロテン生成量を増加させた遺伝子組み換えキャッサバ(右)
遺伝子組み換えジャガイモの収穫
世界各国の遺伝子組換え作物栽培面積(2019年)
  1000万ヘクタール以上
  5万–1000万ヘクタール
  5万ヘクタール未満
  なし

脚注

注釈

  1. ^ a b c d e 乾燥品を含む。
  2. ^ ガーキンCucumis anguria)を含む。
  3. ^ a b c d e f 甘いため、消費分野では「果物」として扱われるが、草本に実るため、日本の生産分野では「野菜」(果実的野菜、果物的果菜)として扱われる。
  4. ^ セイヨウカボチャCucurbita maxima)、ニホンカボチャCucurbita moschata)、ペポカボチャCucurbita pepo)、クロダネカボチャCucurbita ficifolia)など数種を含み、またズッキーニはペポカボチャの1品種である[23]
  5. ^ カボチャなどウリ類 (pumpkins, squash and gourds) の総計とされている。
  6. ^ 南米西部原産のチリーイチゴ(Fragaria chiloensis)と北米東部原産のバージニアイチゴ(Fragaria virginiana)の種間雑種に由来する。
  7. ^ 果物用のバナナは135.1(百万トン)。
  8. ^ 生鮮品の量であり、乾燥品(穀類として扱われる)の量は1163.4(百万トン)。
  9. ^ キャベツの生産量
  10. ^ カリフラワーとブロッコリーの生産量合計
  11. ^ チコリーとの合計
  12. ^ 根用の品種はセルリアックとよばれる[30]
  13. ^ エシャロット(エシャレット[31]、シャレット[16]、シャロット[24])は、本来はタマネギの1変種(Allium cepa var. aggregatum)であるが[24]、日本ではラッキョウを軟白栽培したものがエシャロットとよばれている[32]
  14. ^ a b ニンジンとカブの生産量合計値である。
  15. ^ サトイモ属以外の Xanthosoma、クワズイモ属(Alocasia)、キルトスペルマ属(Cyrtosperma)などのものもタロイモとよばれることがある[33]
  16. ^ 日本の作物統計などではヤマノイモの名でまとめられているが[31][34]、日本で栽培されているものはほとんどナガイモ(Dioscorea polystachya)であり、狭義のヤマノイモ(自然薯、Dioscorea japonica)の多くは野生品である[35]
  17. ^ ヤマノイモ属の「イモ」は、維管束の配列や発生過程から地下茎が肥大したもの(塊茎)と考えられているが、葉を付けず全面に根を生じるため典型的な塊茎とは異なる[36][37][38][39]。そのため、担根体ともよばれるが[37][38][39]ヒカゲノカズラ綱イワヒバ属ミズニラ属に見られる担根体とは異なる構造である[40]
  18. ^ a b 根菜として扱われることもあるが、可食部である鱗茎の主体は特殊化した葉(鱗茎葉)であり、葉菜類(葉茎菜類)として扱われることも多く[31][10]、またネギやニラなど他のネギ属野菜と合わせてネギ類[23]や鱗茎菜類[16]として他と分けられることもある。
  19. ^ 在来種は、(人間による移入ではなく)その地域に自然分布していた生物種を意味することもある[63]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 飛騨健一 (2009). “野菜として利用する栽培植物”. In 石井龍一・岩槻邦男・竹中 明夫・土橋豊・長谷部光泰・矢原徹一・和田正三. 植物の百科事典. 朝倉書店. pp. 341–346. ISBN 978-4-254-17137-2 
  2. ^ a b c d 野菜」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E9%87%8E%E8%8F%9Cコトバンクより2024年6月15日閲覧 
  3. ^ a b c d 大森正英, ed (2012). 健康・栄養学用語辞典. 中央法規出版. p. 636. ISBN 978-4805836026 
  4. ^ a b c d e f g h i j 野菜」『改訂新版 世界大百科事典』https://kotobank.jp/word/%E9%87%8E%E8%8F%9Cコトバンクより2024年6月15日閲覧 
  5. ^ 『食料の百科事典』丸善 p.18 2001年
  6. ^ 農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.1542 2006年
  7. ^ a b 斎藤隆『蔬菜園芸の事典』朝倉書店 p.1 1991年
  8. ^ a b 五十嵐脩, ed (2001). 食料の百科事典. 丸善出版. p. 30. ISBN 978-4621049396 
  9. ^ a b c 農業・生物系特定産業技術研究機構, ed (2006). 最新農業技術事典. 農山漁村文化協会. p. 1542. ISBN 978-4540051630 
  10. ^ a b c d e f 野菜類の区分はどのようになっているのか教えてください。”. 農林水産省. 2022年12月22日閲覧。
  11. ^ すいか、メロン、いちごは野菜か果実か”. 北陸農政局. 2024年7月17日閲覧。
  12. ^ a b c 野菜園芸大事典編集委員会編『野菜園芸大事典』養賢堂 p.1
  13. ^ a b c d 谷野陽 (1996). “世界の野菜, 日本の野菜”. 日本調理科学会誌 29 (3): 224-233. doi:10.11402/cookeryscience1995.29.3_224. 
  14. ^ a b c d 野菜の定義について”. 独立行政法人 農畜産業振興機構. 2024年7月17日閲覧。
  15. ^ a b 山菜」『改訂新版 世界大百科事典』https://kotobank.jp/word/%E5%B1%B1%E8%8F%9Cコトバンクより2024年7月13日閲覧 
  16. ^ a b c d e f g 米安晟 (1996). “日本の野菜”. 日本食生活学会誌 7 (2): 7-14. doi:10.2740/jisdh.7.2_7. 
  17. ^ a b 芦澤正和 (1992). “1. 野菜”. 化学と生物 27 (10): 663–671. doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.30.735. 
  18. ^ a b 斎藤隆 (1996). 新版 蔬菜園芸. 文永堂出版. p. 31. ISBN 978-4830040818 
  19. ^ 野菜園芸大事典編集委員会編『野菜園芸大事典』養賢堂 p.1参照
  20. ^ a b FAOSTAT Query page, Crops and livestock products”. 2024年7月14日閲覧。
  21. ^ 07A-Q06 野菜の収穫量及び出荷量”. 総務省統計局 (2024年). 2024年6月1日閲覧。
  22. ^ 特定野菜等の対象産地の選定状況”. 中国四国農政局. 2024年7月18日閲覧。
  23. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 山崎耕宇, 久保祐雄, 西尾敏彦, 石原邦, ed (2004). 新編 農学大事典. 養賢堂. pp. 515–560. ISBN 978-4-8425-0354-7 
  24. ^ a b c d 米倉浩司・梶田忠 (2007–). “YList”. 「植物和名ー学名インデックスYList」(YList). 2024年7月12日閲覧。
  25. ^ a b c d Yamaguchi, M. 高橋和彦ら訳 (1985). “21.1.1 豆類”. 世界の野菜. 養賢堂. pp. 246–250. ISBN 978-4-8425-0237-3 
  26. ^ a b c Yamaguchi, M. 高橋和彦ら訳 (1985). “16.1 リョウリバナナ”. 世界の野菜. 養賢堂. pp. 170–175. ISBN 978-4-8425-0237-3 
  27. ^ フキ」『改訂新版 世界大百科事典』https://kotobank.jp/word/%E3%83%95%E3%82%ADコトバンクより2024年6月28日閲覧 
  28. ^ a b ミツバ」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E3%83%9F%E3%83%84%E3%83%90コトバンクより2024年6月23日閲覧 
  29. ^ a b セロリ」『改訂新版 世界大百科事典』https://kotobank.jp/word/%E3%82%BB%E3%83%AD%E3%83%AAコトバンクより2024年6月23日閲覧 
  30. ^ 山崎耕宇, 久保祐雄, 西尾敏彦, 石原邦, ed (2004). “セルリアック”. 新編 農学大事典. 養賢堂. p. 536. ISBN 978-4-8425-0354-7 
  31. ^ a b c d e f 農産食品”. 日本標準商品分類(平成2年6月改定). 総務省. 2023年1月21日閲覧。
  32. ^ エシャロット」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E3%82%A8%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88コトバンクより2024年6月7日閲覧 
  33. ^ タロイモ」『改訂新版 世界大百科事典』https://kotobank.jp/word/%E3%82%BF%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%A2コトバンクより2024年6月7日閲覧 
  34. ^ 夏の旬野菜ヤマノイモ”. とれたて大百科. JAグループ. 2024年6月6日閲覧。
  35. ^ ヤマノイモ」『改訂新版 世界大百科事典』https://kotobank.jp/word/%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%83%A2コトバンクより2024年6月6日閲覧 
  36. ^ 岩佐俊吉 (1980). “45. ダイジョ”. In 農林水産省熱帯農業研究センター. 熱帯の野菜. 養賢堂. pp. 190–201 
  37. ^ a b 土橋豊 (2019). “球根”. In 園芸学会. 最新園芸・植物用語集. 淡交社. p. 81–83. ISBN 978-4473042668 
  38. ^ a b 寺林進 (2013). “生薬の基原, 特に薬用部位および基原植物の学名について”. 日本東洋医学雑誌 64: 67-77. doi:10.3937/kampomed.64.67. 
  39. ^ a b 熊沢正夫 (1979). “担根体”. 植物器官学. 裳華房. pp. 166−171. ISBN 978-4785358068 
  40. ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “担根体”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 883. ISBN 978-4000803144 
  41. ^ a b c 杉田浩一編『日本食品大事典』医歯薬出版 p.104 2008年
  42. ^ 斎藤隆『蔬菜園芸の事典』朝倉書店 p.30 1991年
  43. ^ a b 野菜の区分について教えてください。”. 農林水産省. 2024年7月20日閲覧。
  44. ^ a b c d e f 野菜ブック chapter1 野菜と私たちの生活・健康”. 農畜産業振興機構. 2024年7月17日閲覧。
  45. ^ a b c d e 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 218.
  46. ^ a b c 金子美登 2012, p. 236.
  47. ^ 日本標準商品分類(平成2年6月改定)”. 総務省. 2023年2月13日閲覧。
  48. ^ スプラウト」『デジタル大辞泉』https://kotobank.jp/word/%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%88コトバンクより2024年7月8日閲覧 
  49. ^ 主婦の友社, ed (2017). “スプラウト野菜を作ってみよう”. 野菜づくりに失敗しないための知恵とコツ. 主婦の友社. p. 160. ISBN 9784074235452 
  50. ^ 石井龍一 (2009). “野菜として利用する栽培植物”. In 石井龍一・岩槻邦男・竹中明夫・土橋豊・長谷部光泰・矢原徹一・和田正三. 植物の百科事典. 朝倉書店. pp. 341–346. ISBN 978-4-254-17137-2 
  51. ^ 米倉浩司 (2019). 新維管束植物分類表. 北隆館. ISBN 978-4-8326-1008-8 
  52. ^ 香味野菜」『デジタル大辞泉』https://kotobank.jp/word/%E9%A6%99%E5%91%B3%E9%87%8E%E8%8F%9Cコトバンクより2024年7月20日閲覧 
  53. ^ 薬味」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E8%96%AC%E5%91%B3コトバンクより2024年7月8日閲覧 
  54. ^ ハーブ」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%96コトバンクより2024年7月8日閲覧 
  55. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 220.
  56. ^ a b 講談社編 2013, p. 236.
  57. ^ 健康用語辞典 緑黄色野菜”. 厚生労働省. 2013年4月5日閲覧。
  58. ^ 西洋野菜」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E8%A5%BF%E6%B4%8B%E9%87%8E%E8%8F%9Cコトバンクより2024年7月26日閲覧 
  59. ^ 中国野菜」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E9%87%8E%E8%8F%9Cコトバンクより2024年7月26日閲覧 
  60. ^ a b c 高原野菜」『改訂新版 世界大百科事典』https://kotobank.jp/word/%E9%AB%98%E5%8E%9F%E9%87%8E%E8%8F%9Cコトバンクより2024年7月20日閲覧 
  61. ^ 夏の高原野菜”. JA長野八ヶ岳. 2024年7月20日閲覧。
  62. ^ a b c d e f 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 219.
  63. ^ 在来種」『改訂新版 世界大百科事典』https://kotobank.jp/word/%E5%9C%A8%E6%9D%A5%E7%A8%AEコトバンクより2024年7月22日閲覧 
  64. ^ 「蔬菜園芸の事典(普及版)」p10-12 斎藤隆 朝倉書店 2010年10月30日普及版第1刷
  65. ^ 「福井県史 通史編」第三章 コシ・ワカサと日本海文化 - 福井県文書館 2016年8月24日閲覧
  66. ^ 「蔬菜園芸の事典(普及版)」p13 斎藤隆 朝倉書店 2010年10月30日普及版第1刷
  67. ^ 『FOOD'S FOOD 新版 食材図典 生鮮食材編』p204-205 2003年3月20日初版第1刷 小学館
  68. ^ 主婦の友社編 『野菜まるごと大図鑑』主婦の友社、2011年2月20日、148頁。ISBN 978-4-07-273608-1
  69. ^ 「ヴィジュアル日本生活史 江戸の料理と食生活」p68-69 原田信男編著 小学館 2004年6月20日第1版第1刷
  70. ^ 日本放送協会. “規格外の野菜・果物=安い、は古い?”. NHKニュース. 2021年7月10日閲覧。
  71. ^ FAO (2023). “Tables 17, 51”. World Food and Agriculture – Statistical Yearbook 2023. FAO. ISBN 978-92-5-138262-2. https://openknowledge.fao.org/handle/20.500.14283/cc8166en 
  72. ^ NHK「野菜はもっと安くなる?オランダに学ぶ農業」
  73. ^ 「2020-2021 日経キーワード」p160-161 日経HR編集部編著 日経HR社 2019年12月4日第1刷
  74. ^ 落合敏監修 『食べ物と健康おもしろ雑学』 p.195 梧桐書院 1991年
  75. ^ a b 『世界の食べもの 食の文化地理』p238 石毛直道 講談社学術文庫 2013年5月9日第1刷
  76. ^ 『世界の食べもの 食の文化地理』p237 石毛直道 講談社学術文庫 2013年5月9日第1刷
  77. ^ a b c d 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 222.
  78. ^ Harvard Health” (英語). www.health.harvard.edu. 2023年2月14日閲覧。
  79. ^ 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 223.
  80. ^ 講談社編 2013, pp. 245–247.
  81. ^ a b c d e f g h i 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 224.
  82. ^ a b c d e f 講談社編 2013, pp. 238, 239.
  83. ^ a b 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 225.
  84. ^ a b c 講談社編 2013, p. 241.
  85. ^ a b c 講談社編 2013, p. 240.
  86. ^ a b 講談社編 2013, pp. 248–250.
  87. ^ 『世界の食べもの 食の文化地理』p239-241 石毛直道 講談社学術文庫 2013年5月9日第1刷
  88. ^ a b c d e f g h i j 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 221.
  89. ^ a b c 食物繊維”. e-ヘルスネット. 厚生労働省. 2024年7月19日閲覧。
  90. ^ a b 清水純 (2021年). “食物繊維の必要性と健康”. e-ヘルスネット. 厚生労働省. 2024年7月19日閲覧。
  91. ^ a b 内藤裕二(監修) (2024年2月7日). “食物繊維が腸内細菌に与える影響とは?手軽に摂るコツや便秘解消以外の効果も解説”. アリナミン製薬株式会社. 2024年7月20日閲覧。
  92. ^ a b 腸の健康と短鎖脂肪酸の関係性~短鎖脂肪酸を増やす水溶性食物繊維~”. 太陽化学株式会社. 2024年7月20日閲覧。
  93. ^ 國澤純 (2023年12月20日). “新しい「腸活」3つの戦略 腸内細菌が作り出す物質にも着目”. 日経BP. 2024年7月20日閲覧。
  94. ^ 腸内細菌によるビタミン産生”. 腸内細菌学会. 2024年7月20日閲覧。
  95. ^ a b フィトケミカル」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%88%E3%82%B1%E3%83%9F%E3%82%AB%E3%83%ABコトバンクより2024年7月20日閲覧 
  96. ^ ポリフェノール」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%ABコトバンクより2024年7月20日閲覧 
  97. ^ a b c d e 講談社編 2013, p. 230.
  98. ^ a b c d e f g h i j 講談社編 2013, p. 231.
  99. ^ カテキン」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E3%82%AB%E3%83%86%E3%82%AD%E3%83%B3コトバンクより2024年7月8日閲覧 
  100. ^ a b カロチノイド」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%83%81%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%83%89コトバンクより2024年7月8日閲覧 
  101. ^ 国立がんセンターがん対策情報センター (2009年2月25日). “日本人のためのがん予防法:現状において推奨できる科学的根拠に基づくがん予防法”. 2009年12月1日閲覧。
  102. ^ WHO technical report series 916. Diet, nutrition and the prevention of chronic diseases, 2003 & IARC monograph on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans, Volume83, Tobacco Smoke and Involuntary Smoking, 2004
  103. ^ 植物性食品抽出成分の抗変異原活性、小原 章裕ほか、日本家政学会誌、Vol.48 (1997) No.7
  104. ^ 上田成子, 桑原祥浩, 平位信子 ほか、「野菜類およびキノコ類の抗変異原性について」 『日本食品工業学会誌』 1991年 38巻 6号 p.507-514, doi:10.3136/nskkk1962.38.507
  105. ^ World Cancer Research Fund and American Institute for Cancer Research (2007). Food, Nutrition, Physical Activity, and the Prevention of Cancer: A Global Perspective. Amer. Inst. for Cancer Research. ISBN 978-0972252225. https://web.archive.org/web/20150503204125/http://wcrf.org/int/research-we-fund/continuous-update-project-cup/second-expert-report  日本語要旨:食べもの、栄養、運動とがん予防世界がん研究基金米国がん研究機構
  106. ^ 小池五郎、「食品の酸性・アルカリ性について」『日本釀造協會雜誌』 1976年 71巻 6号 p.410-413, doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.71.410
  107. ^ 久代登志男、「高齢者高血圧治療のこつ」『日本老年医学会雑誌』 2010年 47巻 2号 P.123-126, doi:10.3143/geriatrics.47.123
  108. ^ 健康日本21
  109. ^ 21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)について 報告書-厚生労働省
  110. ^ a b 平成22年国民健康・栄養調査結果の概要
  111. ^ 平成24年度『国民健康・栄養調査』、厚生労働省
  112. ^ a b c 講談社編 2013, p. 232.
  113. ^ a b c d e f g h 講談社編 2013, p. 235.
  114. ^ a b c d e f g 講談社編 2013, p. 233.
  115. ^ a b c d e 有機野菜と無農薬野菜、オーガニック野菜の正しい見分け方まとめ”. カゴメ (2024年3月28日). 2024年7月20日閲覧。
  116. ^ a b c d e f 講談社編 2013, p. 234.
  117. ^ 特別栽培農産物に係る表示ガイドライン Q&A”. 農林水産省消費・安全局表示・規格課 (2008年). 2024年7月20日閲覧。
  118. ^ GMO情報: スターリンクの悲劇 ~8年後も残るマイナスイメージ~”. 独立行政法人農業環境技術研究所 (2008年6月1日). 2024年7月21日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク