コンセプト・アルバム
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コンセプト・アルバム(Concept Album)は、ある一定のテーマまたは物語に沿った楽曲によって構成されたアルバム。アルバム全体でひとつの作品になっている作品をさしている。
概要
[編集]通常、ロックのアルバムに収録されている曲は、互いに無関係な単独の楽曲から構成される。コンセプト・アルバムとは、それぞれの楽曲が関連を持ち、アルバム全体で一つのストーリー性を内包するタイプのアルバムを指している。
初期のコンセプト・アルバムの例としては、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967年)[2]があげられる。
1960年代後半からは、ロック・ミュージックのシーンにおいて、コンセプト・アルバムに定義される作品が生まれてきた。特にロック・オペラやプログレッシブ・ロックのジャンルにおいては、単一曲をアルバム1枚(もしくは2枚以上)を費やして収録するなど、多くの作品が発表されている。ザ・フー[3]の『トミー』(1969年)や、ピンク・フロイドの『アニマルズ』[4](1977年)なども代表的なコンセプト・アルバムとされている[注釈 1]。
主なコンセプト・アルバム(洋楽)
[編集]1950年代までの作品
[編集]- 1940年 『ダスト・ボウル・バラッズ』:ウディ・ガスリー[5]
1960年代の作品
[編集]- 1962年 『モダン・サウンズ・イン・カントリー&ウエスタン・ミュージック』:レイ・チャールズ
- 1966年 『フリーク・アウト!』[6][7]:マザーズ・オブ・インヴェンション
- 1962年 『ピーターと狼』:ジミー・スミス
- 1967年 『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』:ビートルズ[2]
- 1967年 『デイズ・オブ・フューチャー・パスト』:ムーディー・ブルース
- 1967年 『サタニック・マジェスティーズ』:ローリング・ストーンズ
- 1967年 『セル・アウト』:ザ・フー
- 1968年 『ウィー・アー・オンリー・イン・イット・フォー・ザ・マニー』:マザーズ・オブ・インヴェンション
- 1968年 『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』:キンクス
- 1968年 『S.F.ソロウ』:プリティ・シングス
- 1968年 『失われたコードを求めて』:ムーディー・ブルース
- 1968年 『ザ・タートルズ・プレゼント・ザ・バトル・オブ・ザ・バンズ』:タートルズ
- 1968年 『オグデンズ・ナット・ゴーン・フレイク』:スモール・フェイセス
- 1969年 『トミー』:ザ・フー
- 1969年 『アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡』:キンクス
1970年代の作品
[編集]- 1970年 『ウォータータウン』:フランク・シナトラ
- 1970年 『天と地、火と水』: サード・イアー・バンド[8]
- 1970年 『ローラ対パワーマン、マネーゴーラウンド組第一回戦』から1976年『不良少年のメロディ〜愛の鞭への傾向と対策』まで9作連続のキンクスのアルバム
- 1971年 『メロディ・ネルソンの物語』:セルジュ・ゲンスブール
- 1971年 『タルカス』:エマーソン・レイク・アンド・パーマー
- 1971年 『ホワッツ・ゴーイン・オン』:マーヴィン・ゲイ
- 1971年 『ババコム・リー』:フェアポート・コンヴェンション
- 1971年 『オブリオの不思議な旅』:ハリー・ニルソン
- 1972年 『ジギー・スターダスト』:デヴィッド・ボウイ
- 1972年 『ジェラルドの汚れなき世界』:ジェスロ・タル[9]
- 1972年 『マクベス』:サード・イアー・バンド[8]
- 1972年 『スリー・フレンズ』:ジェントル・ジャイアント
- 1972年 『スクールズ・アウト』:アリス・クーパー
- 1972年からのヴァンゲリスのオリジナル作品群
- 1973年 『狂気』:ピンク・フロイド
- 1973年 『ならず者 』:イーグルス
- 1973年 『海洋地形学の物語』:イエス
- 1973年 『四重人格』:ザ・フー
- 1973年 『ベルリン』:ルー・リード
- 1973年 『ヘンリー八世の六人の妻』:リック・ウェイクマン
- 1973年 『パッション・プレイ』:ジェスロ・タル
- 1973年 『アラジン・セイン』:デヴィッド・ボウイ
- 1973年以降の『ラジオ・グノーム・インヴィジブル』三部作のゴングのアルバム
- 1974年 『眩惑のブロードウェイ』:ジェネシス
- 1974年 『エルドラド』:エレクトリック・ライト・オーケストラ
- 1974年 『地底探検』:リック・ウェイクマン
- 1974年 『ダイアモンドの犬』:デヴィッド・ボウイ
- 1974年 『アウトバーン』以下4作のクラフトワークのアルバム
- 1975年 『炎〜あなたがここにいてほしい』:ピンク・フロイド
- 1975年 『ウェルカム・トゥ・ナイトメア』:アリス・クーパー[9]
- 1975年 『第四帝国の白日夢』:セルジュ・ゲンスブール
- 1975年 『スノー・グース』:キャメル
- 1975年 『アーサー王と円卓の騎士たち』:リック・ウェイクマン
- 1975年 『レッド・ヘッディド・ストレンジャー』:ウィリー・ネルソン
- 1975年 『キャプテン・ファンタスティック』:エルトン・ジョン
- 1975年 『ネイディアーズ・ビッグ・チャンス』:ピーター・ハミル
- 1975年 『マザーシップ・コネクション』:パーラメント
- 1975年 『ピーターと狼』:ジャック・ランカスター&ロビン・ラムリー
- 1976年 『くたばれキャベツ野郎』:セルジュ・ゲンスブール
- 1976年 『西暦2112年』:ラッシュ
- 1976年 『怪奇と幻想の物語 - エドガー・アラン・ポーの世界』以下4作のアラン・パーソンズ・プロジェクトのアルバム
- 1977年 『地獄のロック・ライダー』:ミートローフ
- 1977年 『アニマルズ』:ピンク・フロイド
- 1977年 『太陽神』:ユートピア
- 1978年 『ヒア、マイ・ディア』:マーヴィン・ゲイ
- 1978年 『宇宙戦争』:ジェフ・ウェイン
- 1979年 『ザ・ウォール』:ピンク・フロイド
- 1979年 『セッティング・サンズ』:ザ・ジャム
1980年代の作品
[編集]- 1980年 『運命の切り札』以下6作のアラン・パーソンズ・プロジェクトのアルバム
- 1980年からのヴァンゲリスのオリジナル作品群
- 1981年 『パラダイス・シアター』:スティクス
- 1981年 『コンピューター・ワールド』:クラフトワーク
- 1981年 『ヌードの物語 - Mr.Oの帰還 -』:キャメル
- 1987年 『ヒッチハイクの賛否両論』:ロジャー・ウォーターズ
- 1984年 『ゼン・アーケード』:ハスカー・ドゥ
- 1985年 『過ち色の記憶』:マリリオン
- 1984年 『スレイヴ・トゥ・ザ・リズム』:グレイス・ジョーンズ
- 1986年 『スカイラーキング』:XTC
- 1987年 『囚われ者』[注釈 2]:セルジュ・ゲンスブール
- 1987年 『RADIO K.A.O.S.』:ロジャー・ウォーターズ
- 1988年 『第七の予言』:アイアン・メイデン
- 1988年 『オペレーション:マインドクライム』:クイーンズライク
1990年代の作品
[編集]- 1993年 『ZOOROPA』:U2
- 1993年 『地獄のロック・ライダーII〜地獄への帰還』:ミートローフ
- 1994年 『対』:ピンク・フロイド
- 1994年 『ブレイヴ』:マリリオン
- 1995年 『アウトサイド』:デヴィッド・ボウイ
- 1996年 『Tunes of War』以下10作連続のグレイヴ・ディガーのアルバム
- 1997年からのラプソディー・オブ・ファイアのアルバム5作(1stから5thまでのアルバムを総じ「Emerald Sword Saga」五部作としている)
- 1997年 『OK コンピューター』:レディオヘッド
- 1998年 『鬼女と野獣』:クレイドル・オブ・フィルス
- 1999年 『メトロポリス・パート2』:ドリーム・シアター
- 1999年 『地底探検〜完結編』:リック・ウェイクマン
2000年代以降の作品
[編集]- 2001年 『サザン・ロック・オペラ』:ドライヴ・バイ・タッカーズ
- 2002年 『スカーレッツ・ウォーク』:トーリ・エイモス
- 2002年 『ソングス・フォー・ザ・デフ』:クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ
- 2004年 『アメリカン・イディオット』:グリーン・デイ
- 2004年 『スマイル』:ブライアン・ウィルソン
- 2005年 『オクタヴァリウム』:ドリーム・シアター
- 2005年 『フォーゴトン・アーム』:エイミー・マン
- 2006年 『地獄のロック・ライダー3〜最後の聖戦!』:ミートローフ
- 2006年 『ザ・ブラック・パレード』:マイ・ケミカル・ロマンス
- 2008年 『ノストラダムス』:ジューダス・プリースト
- 2008年 『ラッキー・オールド・サン』:ブライアン・ウィルソン
- 2009年 『21世紀のブレイクダウン』:グリーン・デイ
- 2009年 『ザ・レジスタンス』:ミューズ
- 2012年 『クロックワーク・エンジェルズ』:ラッシュ
- 2012年 『グッド・キッド、マッド・シティー』:ケンドリック・ラマー
- 2016年 『レボリューション・レディオ』:グリーン・デイ
- 2018年 『ダーティー・コンピューター』:ジャネール・モネイ
- 2019年 『ビギン・アゲイン』:ノラ・ジョーンズ
- 2020年 『クロマティカ』:レディー・ガガ
主なコンセプト・アルバム(邦楽)
[編集]1960年代の作品
[編集]- 1968年 『ヒューマン・ルネッサンス』:ザ・タイガース
- 1968年 『ヨーロッパのブルー・コメッツ』:ジャッキー吉川とブルー・コメッツ
- 1968年 『明治百年 すぱいだーす七年』:ザ・スパイダース
- 1968年 『紀元貳阡年』[注釈 3]:ザ・フォーク・クルセダーズ
1970年代の作品
[編集]- 1975年 『黒船』:サディスティック・ミカ・バンド
- 1975年 『地球空洞説』:ファー・イースト・ファミリー・バンド
- 1976年 『多元宇宙の旅』:ファー・イースト・ファミリー・バンド
- 1977年 『天空人』:ファー・イースト・ファミリー・バンド
- 1977年 『百恵白書』:山口百恵
- 1977年 『Nadja~愛の世界』:萩原健一
- 1978年 『NadjaII~男と女』:萩原健一
- 1979年 『NadjaIII~Angel Gate』:萩原健一
- 1979年 『NEO-N』:四人囃子
- 1979年 『マラッカ』:PANTA & HAL
1980年代の作品
[編集]- 1980年 『イン・ザ・ナイト』:ノヴェラ
- 1980年 『1980X』:PANTA & HAL
- 1981年 『虹伝説 THE RAINBOW GOBLINS』:高中正義
- 1983年 『女たちよ』:沢田研二
- 1983年 『ノイの城』:平山照継
- 1983年 『最終戦争伝説』:ノヴェラ
- 1984年 『最終戦争伝説 Part2』:ノヴェラ
- 1984年 『16人格』:PANTA
- 1985年 『シンフォニア』:平山照継
- 1986年 『R★E★D』:PANTA
- 1986年 『不思議』:中森明菜
- 1987年 『マルタの鷹』:加藤和彦
- 1987年 『クリスタルナハト』:PANTA
- 1987年 『Twilight Swim』:TUBE
- 1988年 『FENCE OF DEFENSE III 2235 ZERO GENERATION』:FENCE OF DEFENSE
- 1988年 『THE OUTER MISSION』:聖飢魔II
- 1988年 『CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜』:TM NETWORK
- 1989年 『Swingin' Daze』:RED WARRIORS
- 1989年 『NEO FASCIO』:氷室京介
1990年代以降の作品
[編集]- 1990年 『ROMANTIC 1990』:COMPLEX
- 1990年 『おどる亀ヤプシ』:UNICORN
- 1990年 『ハヴァナイスデー』:UNICORN
- 1991年 『LUNATIC LION』:吉川晃司
- 1993年 『FACELESS MAN』:THE BOOM
- 1994年 『Jaguar hard pain』:THE YELLOW MONKEY
- 1994年 『レティクル座妄想』:筋肉少女帯
- 1996年 『深海』:Mr.Children
- 1997年 『虹伝説II THE WHITE GOBLIN』:高中正義
- 2000年 『怪人二十面相』:人間椅子
- 2003年 『BIOGENESIS』:ARS NOVA
- 2005年 『十三階は月光』:BUCK-TICK
- 2006年 『ALCHEMY(HAL&RING)』:新●月
- 2007年 『オリーブの樹の下で』:響
- 2008年 『Key』:一青窈
- 2011年 『鬼子母神』:陰陽座
- 2013年 『安全地帯XIV〜The Saltmoderate Show〜』:安全地帯
- 2013年 『暗転』:頭脳警察
- 2014年 『YANKEE』:米津玄師
- 2015年 『L-エル-』:Acid Black Cherry
- 2015年 『Bremen』:米津玄師
- 2015年 『FUKUSHIMA』:遠藤ミチロウ
- 2016年 『Sea and The Darkness』:Galileo Galilei
- 2019年 『乱破』:頭脳警察
- 菊地成孔の各作品
- 平沢進の各作品
- 喜多郎の各作品
- Sound Horizonの各作品
- ヨルシカの各作品
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “23 of the Maddest And Most Memorable Concept Albums”. NME (8 July 2015). 07 December 2023閲覧。
- ^ a b “The Beatles, Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band”. chnm.gmu.edu. 2023年3月3日閲覧。
- ^ “The Who Songs, Albums, Reviews, Bio & More” (英語). AllMusic. 2023年3月3日閲覧。
- ^ 『Pink Floyd - Animals』 。2023年3月3日閲覧。
- ^ Chilton, Martin (2017年8月16日). “壮大な音楽:大作アルバムやコンセプト・アルバムはいかにして生まれるか?”. uDiscoverMusic日本版. ユニバーサルミュージック. 2021年3月25日閲覧。
- ^ “Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band: The first concept album?”. Its Influence. 2021年8月10日閲覧。
- ^ “GRAMMY Hall Of Fame Awards”. Grammy.com. 2021年8月10日閲覧。
- ^ a b “Third Ear Band”. Discogs. 2023年3月3日閲覧。
- ^ a b “ギブソンが「歴代最高のコンセプト・アルバム TOP10」を発表”. amass. 2023年3月3日閲覧。
参考文献
[編集]- Shute, Gareth (2013). Concept Albums. Investigations Publishing. ISBN 978-0-473-22685-5
- Tunbridge, Laura (2010). The Song Cycle. Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-89644-3