三文ゴシップ
『三文ゴシップ』 | ||||
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椎名林檎 の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
ジャンル | J-POP | |||
時間 | ||||
レーベル | EMIミュージック・ジャパン/Virgin Music | |||
プロデュース | 化猫キラー[注 1] | |||
チャート最高順位 | ||||
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ゴールドディスク | ||||
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椎名林檎 アルバム 年表 | ||||
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『三文ゴシップ』収録のシングル | ||||
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ミュージックビデオ | ||||
流行 - YouTube 都合のいい身体 - YouTube 旬 - YouTube |
『三文ゴシップ』(さんもんゴシップ、英題:Superficial Gossip)は、2009年6月24日にEMIミュージック・ジャパンより発売された日本のシンガーソングライター椎名林檎の4作目のスタジオ・アルバム。
概要
[編集]ソロ名義としては、2007年に斎藤ネコとの共同名義で発表された『平成風俗』から約2年4ヶ月ぶり、純粋な「椎名林檎」名義では2003年の『加爾基 精液 栗ノ花』から約6年4ヶ月ぶりとなる通算6作目のフルアルバム[2]。
さまざまな音楽家たちが多数参加・共演したアルバムで、以前にアレンジ違いがアルバム収録されている「カリソメ乙女」「丸ノ内サディスティック」を除き、全て書き下ろしのオリジナル曲を収録[3]。これまで椎名が発表してきたアルバムでは全編を通して基本的に同一のアレンジャーが編曲を担当していたが、本作には合計10組ものアレンジャーが参加しているのが特徴。なおトータル・プロデュースは前作『加爾基 精液 栗ノ花』同様、椎名と井上雨迩によるプロデュース・チーム、化猫キラーが手掛けている。
本作発売直前に発表されたソロ名義としては約5年ぶりのシングル『ありあまる富』は、本作の構成が出来上がった後に書き下ろされたために収録されず、2014年に発売された5作目のアルバム『日出処』に収録された。そのためアルバムの先行シングルという扱いではないが、同シングルに収録されたカップリング曲の「SG〜Superficial Gossip〜」については本作の予告編のような曲であると語っている[4]。「カリソメ乙女」は、2006年11月11日に配信限定で発売された「カリソメ乙女(DEATH JAZZ ver.)」が収録されている。
これまでの作品同様、7曲目「旬」を中心に曲目の字数がシンメトリーにされているほか、総合収録時間も50分5秒(50:05)に設定されている。収録曲のうち数曲にはミュージック・ビデオが製作され、「ありあまる富」のミュージック・ビデオとともにミュージック・ビデオ集『性的ヒーリング〜其ノ四〜』に収録され、本作から数曲をセレクトしたアナログ盤アルバム『サタデーナイト・ゴシップ』とともに同年8月26日に発売された。
初回生産分のみ、スリーブケース&素肌ブックレット仕様。
アルバムのコンセプトとアートワーク
[編集]『三文ゴシップ』というタイトルは『平成風俗』の完成前にすでに浮かんでいた。きっかけは、椎名がギブソンのギター・SGのルックスには惹かれるのに使ったことが無かったので、それを使ったアルバム・ジャケットの作品を作ってみたいと思ったこと。SGの"S"から三文、"G"からゴシップという椎名の好きな言葉が浮かび、タイトルが決まった。[5][6]
本作とシングル『ありあまる富』のジャケット・ブックレット、また一連のアーティスト写真およびポスターは“ヌード”をコンセプトに、木村豊によって制作された[7]。本作収録曲「旬」のミュージック・ビデオもこのコンセプトを基に製作されている。またブックレット等で抱えているギターは、肌色に塗装されたギブソン・SGである。
プロモーション
[編集]アルバムのリリースを記念して、iTunes Storeにて日本人アーティストとしては初となるArtist Week[注 2]を2009年6月30日まで展開[8]。また同年6月22日から28日には期間限定でJR山手線と東京メトロの主要駅に巨大ポスターが貼り出されたほか、NHKの音楽番組『SONGS』で2週に渡って特集されるなど、様々な媒体のメディアに出演した[9][10]。
制作の背景
[編集]通勤通学やレジャーのお供など、日常生活で聴いてもらうことを想定して制作されたアルバム。参加した計10組のアレンジャーは、過去の作品で亀田誠治が行っていたようなデモの段階で使われている楽器や無秩序で乱雑な楽曲を整理して統一感を持たせるような仕事ではなく、曲単位でデモの内容に沿ったアレンジを行っている。[11]
音楽的な部分では、デビュー当時は和製R&B全盛期だったためにあえて出すことを避けていたブラックミュージックの影響が色濃く表れている。ブロードウェイ・ミュージカル風の楽曲からロック、クラシック、ジャズ、ヒップホップ、ラテン、エレクトロニカまで、そのジャンルは多岐に渡る。[11][12][13]
収録曲
[編集]楽曲解説
[編集]- 流行
- 東京事変の元メンバーでありPE'Zのヒイズミマサユ機が椎名と共同で編曲を担当し、ウーリッツァーピアノで演奏にも参加している[注 3]。
- RHYMESTERのMummy-D(坂間大介、Mr.Drunk)と竹内朋康がそれぞれラップとギターで参加している[注 4]。坂間と竹内も出演したミュージック・ビデオが製作され、ミュージック・ビデオ集『性的ヒーリング〜其ノ四〜』に収録されている。
- 労働者
- 密偵物語
- 〇地点から
- タイトルは「ゼロちてんから」と読むが、本来の「0」である部分は図形の丸印で表記されている。
- 以前より椎名の作品やコンサートでミュージックシーケンサーを担当している中山信彦が編曲に参加している。
- カリソメ乙女
- 椎名林檎×SOIL&"PIMP"SESSIONS名義で2006年11月11日より発売されていた配信限定シングル「カリソメ乙女(DEATH JAZZ ver.)」を収録[注 7]。このバージョンは初のCD音源化となる。
- 都合のいい身体
- 斎藤ネコが編曲および指揮を担当。ミュージック・ビデオが製作され、ミュージック・ビデオ集『性的ヒーリング〜其ノ四〜』に収録されている。
- 旬
- 二人ぼっち時間
- 6月1日に着うた、着うたフルで先行配信された。
- 2003年に発表された「りんごのうた」に続く2作目のNHK『みんなのうた』(2009年6月〜7月)提供楽曲。
- マヤカシ優男
- 尖った手□
- タイトルは「とがったてぐち」と読むが、本来の「口」である部分は図形の正方形で表記されている。
- 1曲目の「流行」同様、Mummy-Dがラップで参加しており、この曲ではさらにMr.Drunk名義で編曲にも参加している。また同年8月26日に発売されたアナログ盤『サタデーナイト・ゴシップ』に収録の「密偵物語 Saturday Night Gossip Ver.」の冒頭に本曲のラップが挿入されている。
- 色恋沙汰
- ミュージック・ビデオが製作され、ミュージック・ビデオ集『性的ヒーリング〜其ノ四〜』に収録されている。
- 凡才肌
- 伴奏はcobaによるアコーディオンのみ[注 9]。
- 後のライブツアー『椎名林檎と彼奴等がゆく 百鬼夜行2015』ではオープニング・ナンバーとして演奏された。
- 余興
- 2008年に行われた「椎名林檎 (生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」のアンコールで新曲として披露され、『Ringo EXPO 08』に「余興(仮)」として収録されていたものが正式に音源化された。同コンサートでもエレキギターを担当していた名越由貴夫が編曲およびギターを担当している。
- 丸ノ内サディスティック(EXPO Ver.)
- 1999年に発表された1作目のアルバム『無罪モラトリアム』収録曲のアレンジバージョン。歌詞の大部分が英語に変更されたほか、ディスクジャケットとブックレットには「㋚」とも表記されている。
- 東京事変から唯一参加している浮雲によってR&B調のアレンジが施されたトラックが制作された[11]。また浮雲はコーラスも担当している[注 10]。
- 当初は椎名と浮雲、そして同じく東京事変の伊澤一葉の3人で作る予定だったが、伊澤が連絡してきた時にはすでに浮雲がレコーディングを始めてしまっていたため、椎名が断わりを入れて伊澤は不参加となった。[11]
- 元は「椎名林檎 (生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」のエンドロールの際に流れた曲であり[注 11]、シンメトリーの構成からも外されているため、実質的にはボーナス・トラックとして収録された楽曲[注 12]。ミュージック・ビデオ集『性的ヒーリング〜其ノ四〜』にはエンドロールとして収録されている。
楽曲クレジット
[編集]全作曲: 椎名林檎。 | |||||
# | タイトル | 作詞 | 編曲 | 管弦楽編曲 | 時間 |
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1. | 「流行」 |
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2. | 「労働者」 | 椎名林檎 | 池田貴史 | ||
3. | 「密偵物語」 | Jack Brown | 服部隆之 | ||
4. | 「〇地点から」 | 椎名林檎 |
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5. | 「カリソメ乙女」 | 椎名林檎 | SOIL&"PIMP"SESSIONS | ||
6. | 「都合のいい身体」 | 椎名林檎 | 斎藤ネコ | ||
7. | 「旬」 | 椎名林檎 | J.A.M | 斎藤ネコ(弦編曲) | |
8. | 「二人ぼっち時間」 | 椎名林檎 | 斎藤ネコ | ||
9. | 「マヤカシ優男」 | 椎名林檎 | SOIL&"PIMP"SESSIONS | ||
10. | 「尖った手口」 |
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11. | 「色恋沙汰」 | 椎名林檎 | 服部隆之 | ||
12. | 「凡才肌」 | 椎名林檎 |
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13. | 「余興」 | 椎名林檎 | 名越由貴夫 | ||
14. | 「丸ノ内サディスティック (EXPO Ver.)」 | 椎名林檎 | 浮雲 | ||
合計時間: |
演奏クレジット
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タイアップ
[編集]楽曲 | タイアップ | 起用年 |
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「カリソメ乙女[注 14]」 | 映画「さくらん」の主題歌 | 2007年 |
「二人ぼっち時間」 | NHK「みんなのうた」(6〜7月のうた) | 2009年 |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ a b c 椎名林檎と井上雨迩によるユニット。
- ^ iTunes Artist Weekとは、1人または1組のアーティストが、iTunes Storeの特定ジャンルのトップバナー3つを全部占拠するというもので、日本ではGreen Dayがオルタナティブジャンルで展開したのが初。椎名林檎の場合は、J-Pop内のトップバナー3つを使用した。
- ^ PE'Zのメンバーも2名、ヒイズミと共に演奏に参加している。
- ^ ちなみに椎名は同年3月に発表されていたマボロシのアルバム『マボロシのシ』収録曲の「あまいやまい feat. 椎名林檎」にフィーチャリングゲストとして、作詞作曲とボーカルで参加している。
- ^ その後、椎名は2011年3月に発表された池田のソロユニットレキシのアルバム『レキツ』収録曲の「きらきら武士 feat. Deyonná」にフィーチャリングゲストとして参加している。
- ^ 服部は2001年に発表された椎名のシングル『真夜中は純潔』にカップリング曲として収録されている「シドと白昼夢」、2003年に発表された「りんごのうた」の編曲も行っている。
- ^ なお、ジャケットや歌詞カードには「DEATH JAZZ ver.」といった表記はされていない。
- ^ J.A.Mとは、2008年に放送されたNHKのトーク番組『トップランナー』に出演した際にも共演している。
- ^ cobaとの共演は2001年に発売されたシングル『真夜中は純潔』のカップリング曲「愛妻家の朝食」以来、8年ぶり2作目となる。
- ^ レコーディングには浮雲が長岡亮介名義でボーカルとギターを担当するバンド・ペトロールズのメンバーである三浦淳悟もベースで参加している。
- ^ ただしライブ映像集『Ringo EXPO 08』には収録されておらず、歌詞も異なる。
- ^ 椎名の楽曲は基本的に曲間を排して収録されているが、「余興」と本楽曲の間には数秒間の空白が取られている。
- ^ a b c すべてMummy-Dのこと。
- ^ 「カリソメ乙女 death jazz ver.」として使用。
出典
[編集]- ^ “『三文ゴシップ』がオリコン1位の椎名林檎、最新クリップはモード系”. BARKS (2009年7月6日). 2018年4月18日閲覧。
- ^ “椎名林檎6年4カ月ぶりのフルアルバム「三文ゴシップ」”. ナタリー (2009年4月17日). 2012年11月23日閲覧。
- ^ “椎名林檎、門外不出の写真を初公開”. BARKS (2009年4月20日). 2018年4月18日閲覧。
- ^ 椎名林檎『ありあまる富』オフィシャルインタビュー
- ^ 「特集:椎名林檎「音楽家のタブー」LONG INTERVIEW「音楽は五線譜の外に」」『SWITCH』第27巻第6号、スイッチ・パブリッシング、2009年6月、32-39頁、2018年6月24日閲覧。
- ^ “裸身でギターと戯れる、椎名林檎の衝撃写真”. BARKS (2009年6月22日). 2018年4月18日閲覧。
- ^ “椎名林檎、“ヌード”にこだわった新曲PVを公開”. BARKS (2009年6月8日). 2018年4月18日閲覧。
- ^ “椎名林檎、日本人アーティスト初となるiTunes Artist Weekを展開”. BARKS (2009年6月24日). 2018年4月18日閲覧。
- ^ “林檎アルバムアートワークで肌色ギブソンと同衾”. 音楽ナタリー (2009年6月22日). 2018年4月11日閲覧。
- ^ “NHK「SONGS」で椎名林檎の新作紐解く2週連続特集”. 音楽ナタリー (2009年5月12日). 2018年4月18日閲覧。
- ^ a b c d e インタビュー(インタビュアー:永堀アツオ)「【椎名林檎】」『OKMUSIC』、JAPAN MUSIC NETWORK、2009年6月20日 。2018年4月18日閲覧。
- ^ “OPUS OF THE YEAR 2009 -Part.4 ROCK IN JAPAN (2)”. bounce. TOWER RECORDS ONLINE (2010年1月13日). 2018年4月18日閲覧。
- ^ “椎名林檎 / 三文ゴシップ”. CDJournal. 株式会社音楽出版社. 2018年4月18日閲覧。