第58回有馬記念
第58回有馬記念(だい58かいありまきねん)は、2013年12月22日に中山競馬場で施行された競馬の競走である。この競走を最後に引退することを表明していた三冠馬・オルフェーヴルが圧勝し、見事に有終の美を飾った。
ファン投票の結果
11月16日から12月1日までファン投票が行われ、11月21日に第1回中間発表、11月28日に第2回中間発表、12月5日に最終発表が行われた[1]。最終の有効件数は11万8238件、有効投票総数は106万4233票だった。
以下の表において、出走馬は灰色の枠で表示する。
- 最終順位上位20頭
最終順位 | 馬名 | 性齢 | 第1回 | 第2回 | 最終 | 出否 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
票数 | 順位 | 票数 | 順位 | 票数 | ||||
1位 | オルフェーヴル | 牡5 | 7,561 | 1 | 43,042 | 1 | 81,198 | 出走 |
2位 | キズナ | 牡3 | 7,436 | 2 | 41,665 | 2 | 78,803 | 回避 |
3位 | ゴールドシップ | 牡4 | 6,597 | 3 | 35,829 | 3 | 65,044 | 出走 |
4位 | ジェンティルドンナ | 牝4 | 5,770 | 4 | 32,475 | 4 | 55,534 | 回避 |
5位 | エイシンフラッシュ | 牡6 | 5,159 | 5 | 28,940 | 5 | 52,639 | 引退 |
6位 | メイショウマンボ | 牝3 | 4,564 | 6 | 22,601 | 6 | 40,655 | 回避 |
7位 | トーセンラー | 牡5 | 4,004 | 7 | 20,566 | 7 | 35,560 | 回避 |
8位 | エピファネイア | 牡3 | 3,373 | 8 | 19,112 | 8 | 35,382 | 回避 |
9位 | フェノーメノ | 牡4 | 3,296 | 9 | 18,582 | 9 | 34,998 | 回避 |
10位 | ジャスタウェイ | 牡4 | 2,480 | 10 | 13,877 | 10 | 24,960 | 回避 |
11位 | ナカヤマナイト | 牡5 | 1,638 | 12 | 10,320 | 11 | 20,026 | 出走 |
12位 | ロゴタイプ | 牡3 | 1,661 | 11 | 9,298 | 12 | 17,627 | 回避 |
13位 | トーセンジョーダン | 牡7 | 904 | 24 | 6,994 | 17 | 16,622 | 出走 |
14位 | ウインバリアシオン | 牡5 | 1,581 | 14 | 7,219 | 15 | 16,414 | 出走 |
15位 | デニムアンドルビー | 牝3 | 613 | 31 | 6,512 | 20 | 15,212 | 回避 |
16位 | コディーノ | 牡3 | 1,260 | 15 | 7,414 | 14 | 14,304 | 回避 |
17位 | トウケイヘイロー | 牡4 | 1,597 | 13 | 7,827 | 13 | 13,698 | 回避 |
18位 | ルルーシュ | 牡5 | 952 | 22 | 6,840 | 18 | 13,480 | 出走 |
19位 | ヴィルシーナ | 牝4 | 1,196 | 16 | 7,020 | 16 | 13,336 | 回避 |
20位 | ロードカナロア | 牡5 | 1,105 | 18 | 6,523 | 19 | 12,229 | 引退 |
- 最終登録を行った馬のうち、最終順位21位以下で100位までに入った馬の順位
最終順位 | 馬名 | 性齢 | 第1回 | 第2回 | 最終 | 出否 | ||
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票数 | 順位 | 票数 | 順位 | 票数 | ||||
21位 | トゥザグローリー | 牡6 | 1,104 | 20 | 6,223 | 21 | 12,035 | 出走 |
23位 | ダノンバラード | 牡5 | 1,054 | 21 | 5,815 | 23 | 10,682 | 出走 |
28位 | アドマイヤラクティ | 牡5 | 530 | 35 | 4,427 | 28 | 8,522 | 出走 |
39位 | ヴェルデグリーン | 牡5 | 532 | 34 | 2,310 | 39 | 4,336 | 出走 |
49位 | デスペラード | 牡5 | 144 | 81 | 755 | 78 | 3,035 | 出走 |
64位 | タマモベストプレイ | 牡3 | 198 | 63 | 1,107 | 62 | 2,176 | 出走 |
76位 | カレンミロティック | セン5 | - | 圏外 | - | 圏外 | 1,673 | 出走 |
レース施行前の状況
各競走の結果
施行日 | レース名 | 着順 | 競走馬名 |
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6月23日 | 第54回宝塚記念(GI) | 1着 | ゴールドシップ |
2着 | ダノンバラード | ||
9月22日 | 第59回オールカマー(GII) | 1着 | ヴェルデグリーン |
10月 6日 | 第92回凱旋門賞(G1) | 2着 | オルフェーヴル |
4着 | キズナ | ||
第64回毎日王冠(GII) | 1着 | エイシンフラッシュ | |
第48回京都大賞典(GII) | 1着 | ヒットザターゲット | |
10月20日 | 第74回菊花賞(GI) | 1着 | エピファネイア |
2着 | サトノノブレス | ||
10月27日 | 第148回天皇賞(秋)(GI) | 1着 | ジャスタウェイ |
2着 | ジェンティルドンナ | ||
11月 3日 | 第51回アルゼンチン共和国杯(GII) | 1着 | アスカクリチャン |
11月10日 | 第38回エリザベス女王杯(GI) | 1着 | メイショウマンボ |
2着 | ラキシス | ||
11月24日 | 第33回ジャパンカップ(GI) | 1着 | ジェンティルドンナ |
2着 | デニムアンドルビー | ||
11月30日 | 第47回ステイヤーズステークス(GII) | 1着 | デスペラード |
第49回金鯱賞(GII) | 1着 | カレンミロティック |
施行直前の状況
この年はファン投票の上位馬に回避が多く、上位20頭のうち出走したのは6頭にとどまり、GI競走の勝ち馬は3頭であった。
三冠馬で2011年の勝馬オルフェーヴルは2着に敗れた当年の凱旋門賞直後に有馬記念を最後に引退することを表明し、2年連続でファン投票1位に選出されこの競走に出走してきた。なお、2012年については凱旋門賞、ジャパンカップ連続2着の激闘からの回復が遅かったため、出走を回避し当年内は休養に充てられていた。ゴールドシップは当年の宝塚記念に優勝したが、秋は京都大賞典7着、ジャパンカップ15着を経ての出走であり、初めてライアン・ムーア騎手とのコンビで、なおかつブリンカーを着用して挑むこととなった。トーセンジョーダンは札幌記念13着、天皇賞(秋)11着であったが、ジャパンカップで3着と復調の気配を見せていた。他には、ナカヤマナイト、ダノンバラード、アドマイヤラクティ、ヴェルデグリーン、デスペラード、タマモベストプレイ、カレンミロティックが当年の重賞を制しており、出走16頭中14頭が重賞勝ち馬であった。
その他のGI馬は、フェノーメノとロゴタイプは、GI戦線が本格化する前に秋シーズンの休養を発表した[2]。キズナは当初は出走予定であったものの、特別登録実施日の12月8日に「ダービーや凱旋門賞の時の完調には程遠い」として回避を表明[3]。一方、ジェンティルドンナ、メイショウマンボ、トーセンラー、エピファネイア、ジャスタウェイ、ヴィルシーナは有馬記念への出走登録を行わず、休養に入った。また、ロードカナロアは香港スプリントへの出走を最後に引退することを表明しており[4]、エイシンフラッシュは枠順発表直前に右前球節部の捻挫のために出走を回避し[5]、そのまま引退することとなった。
出走馬と枠順
負担重量は4歳以上牡馬・セン馬57kg、4歳以上牝馬及び3歳牡馬55kg、全馬日本()調教馬。
枠番 | 馬番 | 競走馬名 | 性齢 | 騎手 | 調教師 | 単勝オッズ |
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1 | 1 | ダノンバラード | 牡5 | 川田将雅 | 池江泰寿 | 40.9(9人) |
2 | ヴェルデグリーン | 牡5 | 田辺裕信 | 相沢郁 | 37.4(8人) | |
2 | 3 | カレンミロティック | セン5 | 戸崎圭太 | 平田修 | 28.1(6人) |
4 | ウインバリアシオン | 牡5 | 岩田康誠 | 松永昌博 | 16.1(4人) | |
3 | 5 | デスペラード | 牡5 | 横山典弘 | 安達昭夫 | 33.8(7人) |
6 | オルフェーヴル | 牡5 | 池添謙一 | 池江泰寿 | 1.6(1人) | |
4 | 7 | タマモベストプレイ | 牡3 | 和田竜二 | 南井克巳 | 113.7(16人) |
8 | ラブリーデイ | 牡3 | 蛯名正義 | 池江泰寿 | 81.1(14人) | |
5 | 9 | ルルーシュ | 牡5 | 福永祐一 | 藤沢和雄 | 51.2(11人) |
10 | アドマイヤラクティ | 牡5 | C.ウィリアムズ | 梅田智之 | 14.4(3人) | |
6 | 11 | ラブイズブーシェ | 牡4 | 武豊 | 村山明 | 63.7(12人) |
12 | テイエムイナズマ | 牡3 | M・デムーロ | 福島信晴 | 110.2(15人) | |
7 | 13 | トゥザグローリー | 牡6 | C・ルメール | 池江泰寿 | 63.8(13人) |
13 | ゴールドシップ | 牡4 | R.ムーア | 須貝尚介 | 4.4(2人) | |
8 | 15 | ナカヤマナイト | 牡5 | 柴田善臣 | 二ノ宮敬宇 | 47.5(10人) |
16 | トーセンジョーダン | 牡7 | 内田博幸 | 池江泰寿 | 24.8(5人) |
レース結果
レース展開
揃ったスタートからゴールドシップが遅れ始めるが、ムーアが手綱をしごいて中団後方にまで順位を上げる。前方ではルルーシュが逃げ、カレンミロティック、ダノンバラード、ナカヤマナイト、ラブリーデイらが追いかける。1番人気に推されたオルフェーヴルはゴールドシップより後ろの後方4番手を折り合いよく進む。向こう正面では単騎で逃げていたルルーシュのリードがなくなる。またウインバリアシオンが順位を下げ、オルフェーヴルと併走する形となる。3コーナーを回るころから、オルフェーヴルが馬群の外を上がっていき、それに合わせて他馬も上昇を開始する。直線に入るときには既にオルフェーヴルが先頭に立ち、一方的に後続との差を広げていく。最終的には2着のウインバリアシオンに8馬身の差をつけ、有終の美を飾った。3着にはゴールドシップが入った。
レース着順
着順 | 馬番 | 競走馬名 | タイム | 着差 | 上がりタイム |
---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | オルフェーヴル | 2:32.3 | 36.0 | |
2 | 4 | ウインバリアシオン | 2:33.6 | 8 | 37.3 |
3 | 14 | ゴールドシップ | 2:33.8 | 1.1/2 | 37.8 |
4 | 11 | ラブイズブーシェ | 2:34.2 | 2.1/2 | 37.6 |
5 | 7 | タマモベストプレイ | 2:34.3 | クビ | 38.3 |
6 | 3 | カレンミロティック | 2:34.3 | アタマ | 38.7 |
7 | 5 | デスペラード | 2.36.5 | ハナ | 38.1 |
8 | 13 | トゥザグローリー | 2:36.5 | 2.1/2 | 38.6 |
9 | 12 | テイエムイナズマ | 2:36.5 | 1.1/4 | 37.7 |
10 | 2 | ヴェルデグリーン | 2:36.6 | クビ | 38.4 |
11 | 10 | アドマイヤラクティ | 2:36.8 | 2.1/2 | 39.4 |
12 | 8 | ラブリーデイ | 2:37.1 | 1.1/4 | 39.7 |
13 | 15 | ナカヤマナイト | 2:37.4 | 1.1/2 | 40.0 |
14 | 16 | トーセンジョーダン | 2:37.4 | 1/2 | 39.9 |
15 | 1 | ダノンバラード | 2:37.4 | 7 | 41.2 |
16 | 9 | ルルーシュ | 2:42.8 | 大差 | 47.0 |
データ
ハロンタイム | 6.9 - 11.1 - 12.3 - 11.6 - 12.4 - 12.8 - 12.4 - 12.0 - 11.8 - 12.3 - 12.6 - 11.8 - 12.3 |
1000m通過タイム | 60.8秒(ルルーシュ) |
上がり4ハロン | 49.0秒 |
上がり3ハロン | 36.7秒 |
優勝馬上がり3ハロン | 36.0秒 |
払戻
単勝 | 6 | 160円 |
複勝 | 6 | 110円 |
4 | 250円 | |
14 | 170円 | |
枠連 | 2-3 | 610円 |
馬連 | 4-6 | 860円 |
馬単 | 6-4 | 1,020円 |
3連複 | 4-6-14 | 1,420円 |
3連単 | 6-4-14 | 5,240円 |
ワイド | 4-6 | 350円 |
6-14 | 250円 | |
4-14 | 950円 |
達成された記録
- オルフェーヴルは、史上6頭目となる有馬記念2勝目。隔年での2勝はオグリキャップ以来2頭目[7]。
- 優勝馬と2着馬の8馬身差は、2003年のシンボリクリスエス(9馬身)[8]に次ぐ史上2位。
- 騎手の池添謙一、調教師の池江泰寿はいずれも有馬記念最多勝に並ぶ3勝目[注 1]。
- ステイゴールド産駒は有馬記念3連覇(2011年=オルフェーヴル、2012年=ゴールドシップ、2013年=オルフェーヴル)。また、2011年の有馬記念から2013年の有馬記念までグランプリ5連覇(2012年宝塚記念=オルフェーヴル、2013年宝塚記念=ゴールドシップ)[注 2]。
入場者数・レース売り上げ
エピソード
- 中山競馬場の全レース終了後に、オルフェーヴルの引退式が行われた[12]。
- レースの中継を担当したフジテレビの青嶋達也は「これだ!これだ!目に焼き付けよう!これが、オルフェーヴルだ~!!!ラストラン、有終の美、見事に飾りました!強すぎる!!これがラストランなんて信じられない!!」とコメントしている。
- プレゼンターは東北楽天ゴールデンイーグルス(当時。現・ニューヨーク・ヤンキース)[13]の田中将大が務めた[14]。
- JRAの2014年のGIプロモーションCM「The GI story」有馬記念編で当レースが取り上げられ、引退後のオルフェーヴルも出演した。
脚注
注釈
出典
- ^ 有馬記念ファン投票 最終結果発表!
- ^ 『優駿』2013年11月号154頁
- ^ “キズナが有馬記念を回避”. ラジオNIKKEI電子版「競馬実況Web」 (2013年12月8日). 2015年2月26日閲覧。
- ^ 『優駿』2014年2月号162頁
- ^ “エイシンフラッシュ号の有馬記念(GI)出走取りやめについて”. 日本中央競馬会 (2013年12月19日). 2013年12月29日閲覧。
- ^ “【有馬記念】16頭の枠順確定~オルフェーヴルは3枠6番”. ラジオNIKKEI公式サイト 競馬実況Web (2013年12月19日). 2013年12月29日閲覧。
- ^ 『優駿』2014年1月号45頁
- ^ 『優駿』2014年1月号44頁
- ^ 『優駿』2014年1月号42頁
- ^ 年度別全成績 2013年中山第5回第8日(PDFファイル)7頁 JRA公式サイト 「データファイル」内「レース成績データ」
- ^ 年度別全成績 2013年中山第5回第8日(PDFファイル)5頁 JRA公式サイト 「データファイル」内「レース成績データ」
- ^ オルフェーヴル号の引退式【中山競馬場】 日本中央競馬会(JRAニュース) 2013年12月22日付
- ^ 今年の有馬記念(GI)表彰式プレゼンターは田中将大選手!! 日本中央競馬会(JRAニュース) 2013年11月23日付
- ^ 有馬記念のプレゼンターを務めた田中将大投手のコメント Netkeiba 2013年12月22日閲覧
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