「枇杷島分岐点」の版間の差分
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2020年2月15日 (土) 02:06時点における版
枇杷島分岐点 | |
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枇杷島分岐点 左-名古屋本線・右-犬山線(踏切から撮影) | |
びわじま BIWAJIMA | |
所在地 | 愛知県清須市 |
所属事業者 | 名古屋鉄道 |
乗入路線 2 路線 | |
所属路線 | 名古屋本線 |
キロ程 | 71.3 km(豊橋起点) |
◄NH38 東枇杷島 (0.6 km) (0.3 km) 西枇杷島 NH39► | |
所属路線 | 犬山線 |
キロ程 | 0.0 km(枇杷島分岐点起点) |
(1.0km) 下小田井 IY01► | |
備考 | 全列車通過。乗降設備なし。 |
枇杷島分岐点(びわじまぶんきてん)は、愛知県清須市にある名古屋鉄道の分岐点(信号場)。
本項では隣接して存在した下砂杁信号場についても記述する。
位置
東枇杷島 - 西枇杷島・下小田井駅間の庄内川橋梁の北側にあり、名古屋本線と犬山線が分岐する。駅ではないのでプラットホームなどの設備はなく、全ての列車が通過する。ただし、1949年(昭和24年)7月31日までここは枇杷島橋駅(特急停車駅)という駅であったため、同駅の廃止後も運賃計算上の箇所として扱われている。名古屋本線(当分岐点以西)と犬山線とを跨いで乗車する場合、乗換は東枇杷島・栄生・名鉄名古屋のいずれかの駅で行なわれるが、運賃は当分岐点で乗り換えたものとした距離で計算され、この場合には当分岐点から名鉄名古屋駅までの重複乗り越し運賃は不要となっている。特急の特別車(名鉄での有料座席指定席車の呼称)同士の乗り換えには「乗り継ぎミューチケット」制度が適用される[1]。また、別途乗車の場合などには当分岐点を発着する乗車券類も発売される。
枇杷島橋駅は当分岐点と踏切に挟まれてホームの延長ができない立地条件にあり、また駅と庄内川橋梁との間には40 ‰の急勾配が存在していた。そのため、拡張余地のない枇杷島橋駅を廃止し、その代替として隣接して休止中だった西枇杷島駅を復活させた。なお、この時下小田井駅も500 m枇杷島分岐点寄りへ移設している[2]。その後1958年(昭和33年)に庄内川橋梁が上流側に架け替えられ現状となった。架け替え前はほぼ直線の名古屋本線に対して犬山線が分岐する形となっていたが、この配線変更で両開きとなった[2]。後年軌道強化により制限速度が40 km/hから50 km/hに引き上げられ現在に至る。
構造
線路はデルタ線・三角線といわれる三角形に配置されており、
の3経路が存在する(便宜上、本項ではこの番号を用いて経路を表す)。
経路3は西枇杷島駅構内から分岐し、定期旅客列車は運行されず、主に車両の留置場所として使用される。また、車両の方向転換にも使用されており、「パノラマスーパー」に一般席車を組み込む際、デルタ線で特別車の向きを豊橋方(上り方面)に統一した例がある。
経路3の延長に当たる経路2の側線(有効長6両分)は、河和・内海 - 名古屋駅間運転の特急が折り返すための場所としても用いられている。
線路は平面交差のため、本線豊橋方面へ向かう列車と犬山線列車が同時に通過することはできない。両者が直近に迫った場合、
- 犬山方面へ向かう列車が、第1場内信号機手前(庄内川橋梁上)で停止し、名古屋本線豊橋方面への列車の通過を待つ。
- 本線豊橋方面への列車が、分岐点の手前の第2出発信号機(この時、停止信号を現示)まで警戒信号で運転 (25 km/h) を行い、犬山線列車(犬山方面・名古屋方面を問わず)の通過を待つ。
のどちらかの方法で対処する。列車ダイヤは、極力同じ運転系統の列車同士を当分岐点至近ですれ違わせ、分岐点手前で停止することなく通過できるように工夫して組まれているが、実際には、特に運転間隔が短い時間帯において、本線・犬山線双方から名鉄名古屋方面への列車が直近に迫り、どちらかが分岐点手前で停止することがある。
枇杷島分岐点 - 神宮前駅 間(金山駅 - 神宮前駅間は複々線)は、岐阜・犬山・津島方面 - (名古屋駅) - 知立 (豊橋・豊川稲荷・西尾)・常滑(中部国際空港)・半田(河和・内海)方面の経路を運行する列車が、約2分30秒間隔で行き来する高密度運行区間であるが、カーブ半径が 160 - 200 m 余りと小さいため、西枇杷島駅から栄生駅手前までミュースカイから普通までの全列車が50 km/h の速度制限が連続する。この平面交差と速度制限が、名古屋 - 岐阜間のJR東海との競争力を弱める原因の一つとなっている。
この様な高密度運行区間の分岐点は、本来なら立体化したり、駅を設置(厳密には復活)して岐阜方面と犬山方面の列車を接続、または片方の列車を折り返し運転にする等で、捌き易くする方法を採ることが多い。しかし枇杷島分岐点では、
と、上下前後全てがボトルネックとなっており、そうした改良が大変困難である。1990年代には名鉄から立体化の検討がされた事もあったが、前述した複数の制約に加え、近年の名鉄の財政難もあって立体化検討の続報は無く、当分は現状のままとなる見込である。現状でも庄内川右岸(北西側)の線路の勾配は比較的急で、経路1(分岐点 - 本線)は 29 ‰、経路2(分岐点 - 犬山線)は 30 ‰ となっている。
写真でも判る通り、かつては三角地内の名鉄の所有地でない部分に民家が1軒あった。これは、1939年(昭和14年)に本線の岐阜方と犬山線の犬山方を結ぶ連絡線が敷設される際、その民家の所有者が当時築2年だった家を壊したくないとの理由で立ち退きを拒否したためである。長い間空き家となっていたが、2011年(平成23年)秋頃に取り壊された。
なお、運転取扱い上はデルタ線全体が西枇杷島駅の構内であり、枇杷島分岐点はその内の信号場として扱われるほか、経路2と経路3が交わるポイントは犬山線ダイヤにおいて下砂杁信号場[3](しもすいりしんごうじょう)として扱われる(1949年(昭和24年)8月1日に西枇杷島駅に統合。資料によっては「砂入[4]」「砂杁[5]」「下砂入[6]」、読みについても「(しも)すいり」「(しも)ずいり」などの表記揺れが見られる)。
下砂杁信号場の部分に関しては、経路3から犬山線へ合流する手前に犬山線下リ出発信号機(経路2の第2場内信号機とほぼ並んでいる)、側線(現在主に河和‐名古屋間特急の折り返しに使用)から経路2へ発車する箇所に犬山線上り第1出発信号機が設置されている。そして犬山線の上下本線にはこれらの称番が付いた信号機が無い(犬山線上りの経路2の区間にあるのは第2・第3出発信号機である)。
また、経路3の途中には第4種踏切が1ヶ所ある。これは名鉄で唯一現存するものである。かつて存在した民家の住人はここから外部と出入りをしていた。
配線図
↑ 名古屋本線 名古屋・豊橋・空港方面 |
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→ 名古屋本線 一宮・岐阜・津島方面 |
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↓ 犬山線 岩倉・犬山方面 |
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凡例 出典:[7] 左上:庄内川橋梁と枇杷島分岐点、左下:旧下砂杁信号場 |
ギャラリー
-
西枇杷島駅からの眺め
右 - 名古屋本線
左 - 電留線 -
下砂杁信号場からの眺め
右 - 電留線
左 - 犬山線 -
電留線の第4種踏切
隣の施設
脚注
- ^ 乗り継ぎミューチケット - 名古屋鉄道(平成28年4月1日更新/2016年7月12日閲覧)
- ^ a b 沢田幸雄 「廃止された線路を訪ねて 押切町 - 枇杷島橋間と柳橋乗入れ」(『鉄道ピクトリアル No.473 1986年12月増刊号』、p.106,電気車研究会、1986年
- ^ 名古屋鉄道広報宣伝部(編)『名古屋鉄道百年史』名古屋鉄道、1994年、982頁。
- ^ 白井良和「名鉄に見る運転と施設の興味」『鉄道ピクトリアル』第624巻、電気車研究会、1996年7月、114頁。など
- ^ 川島令三『東海道ライン 全線・全駅・全配線 第5巻』講談社、2009年、64頁。ISBN 978-4-06-270015-3。など
- ^ 澤田幸雄「名鉄の駅,構内設備の思い出」『鉄道ピクトリアル』第816巻、電気車研究会、2009年3月、146頁。(本文。図中表記は「下砂杁信号所」)など
- ^ 電気車研究会、『鉄道ピクトリアル』通巻第816号 2009年3月 臨時増刊号 「特集 - 名古屋鉄道」、巻末折込「名古屋鉄道 配線略図」