1975年のF1世界選手権
1975年のFIAフォーミュラ1 世界選手権 |
|||
前年: | 1974 | 翌年: | 1976 |
一覧: 開催国 | 開催レース |
F1関連記事 |
---|
関連リスト |
1975年のF1世界選手権(1975ねんのエフワンせかいせんしゅけん)は、FIAフォーミュラ1世界選手権の第26回大会である。1975年1月12日にアルゼンチンで開幕し、10月5日にアメリカ合衆国で開催される最終戦まで、全14戦で争われた。
概要
[編集]第4戦スペインGPはモンジュイックで行われたが、ヒルをドライブするロルフ・シュトメレンが大クラッシュ。カメラマン4人が死亡し、シュトメレン自身も重傷を負った。このレースは29周目で終了となり、ポイントは半分となった。勝者はヨッヘン・マス、彼にとって唯一の勝利であった。また、6位のレラ・ロンバルディはF1の歴史上で唯一のポイントを獲得した女性ドライバーである(2016年現在)。
1973年にマーチのシャーシを購入して参戦を開始したヘスケスが、第8戦オランダGPで初勝利をジェームス・ハントの手によってあげた。これはヘスケスにとって唯一の勝利でもある。
第12戦オーストリアGPでは、レース直前のウォームアップランでペンスキーのマーク・ダナヒューがクラッシュで頭部を強打して2日後に死亡した。搬送時にヘリコプターを使用したことによる気圧の変化が脳溢血を招いたとも言われた。
このレースは雨で中断となったため、ハーフポイントとなった。このレースを制したのはマーチを駆るヴィットリオ・ブランビラだった。この勝利は彼にとって唯一のものだった。ブランビラは強面・荒々しい走りから、「モンツァゴリラ」の愛称で親しまれた。このレースでは、初優勝の喜びのあまりステアリングから両手を離してガッツポーズをしてしまい、ウイニングラン中にクラッシュをすると言う珍事も引き起こしている。また、当のブランビラはノーズを破損したにもかかわらず、再びコースに戻ってからもガッツポーズをやめなかったそうである。
フェラーリのニキ・ラウダが自身初のワールドチャンピオンを獲得した。
エントリーリスト
[編集]エントラント | コンストラクター | シャーシ | エンジン | タイヤ | ドライバー |
---|---|---|---|---|---|
マールボロ・チーム・テキサコ | マクラーレン | M23 | フォードDFV(V8) | G | 1.エマーソン・フィッティパルディ 2.ヨッヘン・マス |
エルフ・チーム・ティレル | ティレル | 007 | フォードDFV(V8) | G | 3.ジョディ・シェクター 4.パトリック・デパイユ 15.ジャン=ピエール・ジャブイーユ (15.)ミシェル・ルクレール |
ジョン・プレイヤー・チーム・ロータス | ロータス | 72E 72F |
フォードDFV(V8) | G | 5.ロニー・ピーターソン 6.ジャッキー・イクス (6.)ジム・クロフォード (6.)ジョン・ワトソン (6.)ブライアン・ヘントン 15.ブライアン・ヘントン |
マルティニ・レーシング | ブラバム | BT44B | フォードDFV(V8) | G | 7.カルロス・ロイテマン 8.カルロス・パーチェ |
ベータ・チーム・マーチ(No.9) ラヴァッツァ・マーチ(No.10,29) |
マーチ | 741 751 |
フォードDFV(V8) | G | 9.ヴィットリオ・ブランビラ 10.レラ・ロンバルディ (10.)ハンス=ヨアヒム・スタック 29.レラ・ロンバルディ |
スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC | フェラーリ | 312B3-74 312T |
フェラーリTipo015(F12) | G | 11.クレイ・レガッツォーニ 12.ニキ・ラウダ |
スタンレー・BRM | BRM | P201 | BRM(V12) | G | 14.マイク・ワイルズ 14.ボブ・エバンス |
UOP・シャドウ・レーシング・チーム | シャドウ | DN3B DN5 DN7 |
フォードDFV(V8) マトラMS73(V12) |
G | 16.トム・プライス 17.ジャン=ピエール・ジャリエ |
チーム・サーティース | サーティース | TS16 | フォードDFV(V8) | G | 18.ジョン・ワトソン 19.デイヴ・モーガン |
フランク・ウィリアムズ・レーシングカーズ | ウィリアムズ | FW02 FW03 FW04 |
フォードDFV(V8) | G | 20.アルトゥーロ・メルツァリオ (20.)ダミアン・マギー (20.)イアン・シェクター (20.)フランソワ・ミゴール (20.)イアン・アシュレー (20.)ヨー・フォンランテン (20.)レンツォ・ゾルジ (20.)レラ・ロンバルディ 21.ジャック・ラフィット (21.)トニー・ブライズ (21.)イアン・シェクター |
エンバシー・レーシング・ウィズ・グラハム・ヒル | ローラ | T370 T371 |
フォードDFV(V8) | G | 22.グラハム・ヒル (22.)ガイ・タンマー 23.ロルフ・シュトメレン |
ヒル | GH1 | フォードDFV(V8) | G | 22.ロルフ・シュトメレン (22.)フランソワ・ミゴール (22).バーン・シュパン (22.)アラン・ジョーンズ 23.フランソワ・ミゴール (23.)グラハム・ヒル (23.)トニー・ブライズ | |
ヘスケス・レーシング | ヘスケス | 308 308B 308C |
フォードDFV(V8) | G | 24.ジェームス・ハント |
ヴェルズ・パーネリ・ジョーンズ・レーシング | パーネリ | VPJ4 | フォードDFV(V8) | F | 27.マリオ・アンドレッティ |
ペンスキー・レーシング | ペンスキー マーチ |
PC1 751 |
フォードDFV(V8) | G | 28.マーク・ダナヒュー (28.) ジョン・ワトソン |
コパスカー・フィッティパルディ | コパスカー | FD01 FD02 FD03 |
フォードDFV(V8) | G | 30.ウィルソン・フィッティパルディ (30.)アルトゥーロ・メルツァリオ |
ラッキーストライク・レーシング | マクラーレン | M23 | フォードDFV(V8) | G | 31.デイヴ・チャールトン |
HBビウェイキング・チーム・エンサイン | エンサイン | N174 N175 |
フォードDFV(V8) | G | 31.ロエロフ・ヴンデリンク (31.)ギス・ヴァン・レネップ (31.)クリス・エイモン 32.クリス・エイモン |
レキシントン・レーシング | ティレル | 007 | フォードDFV(V8) | G | 32.イアン・シェクター |
ピッチ・プラント Ltd | リンカー | 006 | フォードDFV(V8) | G | 32.ジョン・ニコルソン |
チーム・ガンストン | ロータス | 72E | フォードDFV(V8) | G | 33.エディ・ケイザン 34.ガイ・タンマー |
マキエンジニアリング | マキ | F101C | フォードDFV(V8) | G | 35.デヴィッド・ウォーカー (35.)鮒子田寛 (35.)トニー・トリマー |
エントラント名変更
[編集]ドライバー変更
[編集]- ロータスのNo.6は、第10,13戦はクロフォードが、第11戦はワトソンが、第12,14戦はヘントンがドライブ。
- マーチのNo.10は、第10戦以降はスタックがドライブ。
- ウィリアムズのNo.20は、第7戦はマギーが、第8戦はシェクターが、第9戦はミゴールが、第10戦は欠場、第11戦はアシュレーが、第12戦はフォンランテンが、第13戦はゾルジが、第14戦はロンバルディがドライブ。
- BRMのNo.14は、第3-9,12,13戦はエバンスがドライブ。
- ウィリアムズのNo.21は、第4戦はブライズが、第7戦はシェクターがドライブ。
- ヒルのNo.22は、第4,12,13戦はシュトメレンが、第6戦はミゴールが、第7戦はシュパンが、第8-11戦はショーンズがドライブ。
- ヒルのNo.23は、第4戦はミゴールが、第5戦はヒルが、第6-14戦はブライズがドライブ。
- ペンスキーのNo.28は、第14戦はワトソンがドライブ。
- マキのNo.35は、第8,10戦は鮒子田寛がドライブ。
- マキのNo.35は、第11戦以降はトリマーがドライブ。
エンジン変更
[編集]- なし
タイヤ変更
[編集]- パーネリは、第2戦以降はグッドイヤーにスイッチ。
スポット参戦
[編集]- マーチのNo.10は、第4戦以降出走。
- BRMのNo.14は、第1-2戦のみ出走。
- ティレルのNo.15は、第9,14戦に出走。
- ロータスのNo.15は、第10戦のみ出走。
- エンサインのNo.19は、第11戦のみ出走。
- ローラのNo.22,23は第1-3戦のみ出走。
- ヒルのNo.22は、第4,6-13戦に出走。
- ヒルのNo.23は、第4-14戦に出走。
- エンサインのNo.32は、第13戦のみ出走。
- マキのNo.35は、第9,11-13戦に出走。
開催地及び勝者
[編集]Rd. | レース | 開催日 | 開催地 | ポールポジション | ファステストラップ | 優勝者 | チーム | レポート |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | アルゼンチングランプリ | 1月12日 | ブエノスアイレス | ジャン=ピエール・ジャリエ | ジェームス・ハント | エマーソン・フィッティパルディ | マクラーレン | 詳細 |
2 | ブラジルグランプリ | 1月26日 | インテルラゴス | ジャン=ピエール・ジャリエ | ジャン=ピエール・ジャリエ | カルロス・パーチェ | ブラバム | 詳細 |
3 | 南アフリカグランプリ | 3月1日 | キャラミ | カルロス・パーチェ | カルロス・パーチェ | ジョディ・シェクター | ティレル | 詳細 |
4 | スペイングランプリ | 4月27日 | モンジュイック | ニキ・ラウダ | マリオ・アンドレッティ | ヨッヘン・マス | マクラーレン | 詳細 |
5 | モナコグランプリ | 5月11日 | モナコ | ニキ・ラウダ | パトリック・デパイユ | ニキ・ラウダ | フェラーリ | 詳細 |
6 | ベルギーグランプリ | 5月25日 | ゾルダー | ニキ・ラウダ | クレイ・レガツォーニ | ニキ・ラウダ | フェラーリ | 詳細 |
7 | スウェーデングランプリ | 6月8日 | アンデルストープ | ヴィットリオ・ブランビラ | ニキ・ラウダ | ニキ・ラウダ | フェラーリ | 詳細 |
8 | オランダグランプリ | 6月22日 | ザントフォールト | ニキ・ラウダ | ニキ・ラウダ | ジェームス・ハント | ヘスケス | 詳細 |
9 | フランスグランプリ | 7月6日 | ポール・リカール | ニキ・ラウダ | ヨッヘン・マス | ニキ・ラウダ | フェラーリ | 詳細 |
10 | イギリスグランプリ | 7月19日 | シルバーストン | トム・プライス | クレイ・レガツォーニ | エマーソン・フィッティパルディ | マクラーレン | 詳細 |
11 | ドイツグランプリ | 8月3日 | ニュルブルクリンク | ニキ・ラウダ | クレイ・レガツォーニ | カルロス・ロイテマン | ブラバム | 詳細 |
12 | オーストリアグランプリ | 8月17日 | エステルライヒリンク | ニキ・ラウダ | ヴィットリオ・ブランビラ | ヴィットリオ・ブランビラ | マーチ | 詳細 |
13 | イタリアグランプリ | 9月7日 | モンツァ | ニキ・ラウダ | クレイ・レガツォーニ | クレイ・レガツォーニ | フェラーリ | 詳細 |
14 | アメリカグランプリ | 10月5日 | ワトキンス・グレン | ニキ・ラウダ | エマーソン・フィッティパルディ | ニキ・ラウダ | フェラーリ | 詳細 |
1975年のドライバーズランキング
[編集]
|
1975年のコンストラクターズランキング
[編集]順位 | コンストラクター | ARG |
BRA |
RSA |
ESP |
MON |
BEL |
SWE |
NED |
FRA |
GBR |
GER |
AUT |
ITA |
USA |
ポイント[1] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | フェラーリ | 4 | 4 | 5 | NC | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 8 | 3 | 6 | 1 | 1 | 72.5 |
2 | ブラバム-フォード | 3 | 1 | 2 | 3 | 3 | 3 | 2 | 4 | 14 | 2 | 1 | 14 | 4 | Ret | 54 (56) |
3 | マクラーレン-フォード | 1 | 2 | 6 | 1 | 2 | 7 | 8 | Ret | 3 | 1 | Ret | 4 | 2 | 2 | 53 |
4 | ヘスケス-フォード | 2 | 6 | Ret | Ret | Ret | Ret | 10 | 1 | 2 | 4 | 8 | 2 | 5 | 4 | 33 |
5 | ティレル-フォード | 5 | Ret | 1 | Ret | 5 | 2 | 7 | 9 | 6 | 3 | 9 | 8 | 7 | 6 | 25 |
6 | シャドウ-フォード | 12 | Ret | 9 | 4 | Ret | 6 | Ret | 6 | 8 | 14 | 4 | 3 | 6 | NC | 9.5 |
7 | ロータス-フォード | 8 | 9 | 10 | 2 | 4 | Ret | 9 | 15 | 10 | 16 | Ret | 5 | 13 | 5 | 9 |
8 | マーチ-フォード | 9 | Ret | Ret | 5 | Ret | Ret | Ret | 14 | 18 | 5 | 7 | 1 | Ret | 7 | 7.5 |
9 | ウィリアムズ-フォード | NC | 11 | NC | 7 | DNQ | Ret | 14 | 12 | 11 | Ret | 2 | Ret | 14 | DNS | 6 |
10 | パーネリ-フォード | Ret | 7 | 17 | Ret | Ret | 4 | 5 | 12 | 10 | Ret | Ret | Ret | 5 | ||
11 | ヒル-フォード | NC | DNQ | Ret | 6 | 7 | 7 | 10 | 5 | 15 | Ret | Ret | 3 | |||
12 | ペンスキー-フォード | 7 | Ret | 8 | Ret | Ret | 11 | 5 | 8 | Ret | 9 | 2 | ||||
13 | エンサイン-フォード | DNQ | WD | WD | 10 | 15 | DNQ | 6 | 12 | 12 | Ret | 1 | ||||
- | サーティース-フォード | DSQ | 10 | Ret | 8 | Ret | 10 | 16 | Ret | 13 | 11 | 10 | 0 | |||
- | BRM | Ret | Ret | 15 | Ret | DNQ | 9 | 13 | Ret | 17 | WD | WD | Ret | Ret | 0 | |
- | フィッティパルディ-フォード | Ret | 13 | DNS | Ret | DNQ | 12 | 17 | 11 | Ret | 19 | Ret | DNS | 11 | 10 | 0 |
- | ローラ-フォード | 10 | 12 | 7 | WD | 0 | ||||||||||
- | リンカー-フォード | 17 | 0 | |||||||||||||
- | シャドウ-マトラ | Ret | Ret | Ret | 0 | |||||||||||
- | マキ-フォード | DNS | DNQ | DNQ | DNQ | DNQ | 0 | |||||||||
順位 | コンストラクター | ARG |
BRA |
RSA |
ESP |
MON |
BEL |
SWE |
NED |
FRA |
GBR |
GER |
AUT |
ITA |
USA |
ポイント |
- 太字はカウントされたポイント
- 第4戦スペインGPは事故で、第12戦オーストリアGPは雨天で赤旗中断となり規定周回数の75%を満たさなかったため獲得ポイントは半分となる。
ノンタイトル戦結果
[編集]レース | 開催地 | 開催日 | 優勝者 | コンストラクター | レポート |
---|---|---|---|---|---|
X レース・オブ・チャンピオンズ | ブランズ・ハッチ | 3月16日 | トム・プライス | シャドウ-コスワース | 詳細 |
XXVII BRDC インターナショナル・トロフィー | シルバーストン | 4月13日 | ニキ・ラウダ | フェラーリ | 詳細 |
XV スイスグランプリ | ディジョン・プレノワ | 8月24日 | クレイ・レガツォーニ | フェラーリ | 詳細 |
南アフリカF1選手権
[編集]レース | 開催地 | 開催日 | 優勝者 | コンストラクター | レポート |
---|---|---|---|---|---|
ケープ・サウス・イースター・トロフィー | キラーニー | 2月8日 | デイヴ・チャールトン | マクラーレン-コスワース | 詳細 |
ゴールドフィールズ 100 | ゴールドフィールズ | 3月22日 | イアン・シェクター | ティレル-コスワース | 詳細 |
ネイタル・マーキュリー 100 | ロイ・ヘスケス | 3月29日 | イアン・シェクター | ティレル-コスワース | 詳細 |
ブランドコップ・ウィンター・トロフィー | ブランドコップ | 5月3日 | イアン・シェクター | ティレル-コスワース | 詳細 |
サウス・アフリカン・リパブリック・トロフィー | キャラミ | 5月31日 | イアン・シェクター | ティレル-コスワース | 詳細 |
ファルーズ・ベイ 100 | キラーニー | 7月5日 | ガイ・タンマー | ロータス-コスワース | 詳細 |
ランド・ウィンター・トロフィー | キャラミ | 7月26日 | イアン・シェクター | ティレル-コスワース | 詳細 |
ネイタル・スプリング・トロフィー | ロイ・ヘスケス | 9月1日 | デイヴ・チャールトン | マクラーレン-コスワース | 詳細 |
ランド・スプリング・トロフィー | キャラミ | 10月4日 | イアン・シェクター | ティレル-コスワース | 詳細 |
注
[編集]- ^ 前半8戦の内ベスト7戦および後半7戦の内ベスト6戦がポイントランキングに数えられた。ポイントは有効ポイント、括弧内は総獲得ポイント。