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H&M

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
H & M Hennes & Mauritz AB
商号
H&M
種類
AB
市場情報 Nasdaq Nordic HM B
業種 小売業
前身 Hennes
設立 1947年 (77年前) (1947)
(前身の Hennes として)
創業者 Erling Persson
本社
拠点数
5,076
(2019年11月30日現在)[1]
事業地域
世界中
主要人物
Karl-Johan Persson
(Chairman)[2]
Daniel Ervér
(CEO)[3]
製品 衣類アクセサリー類
売上高 増加US$24.8億
(2019年)[4][5]
営業利益
減少US$2.692億
(2016年)[5]
利益
増加US$1.5億
(2019年)[4]
総資産 増加US$19.3億
(2019年)[4]
純資産 増加US$6.919 億
(2016年)[5]
所有者 Stefan Persson
(28%)[6]
従業員数
126,376人
(2019年11月30日現在)[4]
子会社 Monki, Weekday,
Cheap Monday, COS,
Other Stories, ARKET
ウェブサイト 公式ウェブサイト

H&M(エイチ・アンド・エム)は、スウェーデンのアパレルメーカーエイチ・アンド・エム・ヘネス・アンド・マウリッツ(H & M Hennes & Mauritz AB, ホー・オック・エム・ヘンネス・オック・マウリッツ、日本では「ヘネス・アンド・モーリッツ」とも表記される[7][8])が展開するファッションブランド。低価格かつファッション性のある衣料品を扱う、いわゆるファストファッションの一翼を担うブランドのひとつである[9][10]。日本法人は、エイチ・アンド・エム へネス・アンド・マウリッツ・ジャパン株式会社[11][12]

歴史

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1947年にスウェーデン中部の都市ヴェステロースで創立。この時は婦人服を専門にしており、社名も「Hennes」(スウェーデン語で「彼女のもの」の意)であった。1968年ストックホルムの狩猟用品店「Mauritz Widforss」を買収した際、この店の在庫の中に紳士服のストックがあったことから、これ以降紳士服も扱うことになり、店名も「Hennes & Mauritz」となった。その後「H&M」の略称を正式なブランド名とし、現在に至る。

特徴

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商品の主力は手頃な価格の衣料品であるが、カール・ラガーフェルドステラ・マッカートニーヴィクター&ロルフマシュー・ウィリアムソンなどの有名デザイナーによるラインナップや、マドンナカイリー・ミノーグとのコラボレーションによる商品も発売したことがある。H&Mのブランドで化粧品も手がけている[13]

取り扱い商品

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婦人服ではコートワンピースカットソードレスブラウスボトムスを取り扱い、紳士服ではジャケットパーカーセーターシャツパンツを扱っている。

世界で約100名いる同社のデザイナーが、各年10回の世界旅行を行い、旅行先で受けたインスピレーションをもとに、次々とデザインをすることで、毎日のように新製品を投入する商法を成り立たせている[14]

店舗展開

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2020年時点でのH&Mの出店状況。色分けはその国における店舗数を示す。
  300店鋪以上
  200店鋪以上
  100店鋪以上
  50店鋪以上
  20店鋪以上
  10店鋪以上
  1店鋪以上
  出店予定

1964年に最初のスウェーデン国外店舗としてノルウェーに進出。2019年11月時点で、74か国に5,000以上の店舗を持ち、126,000名以上のフルタイム従業員を擁している[15]

ヨーロッパではキプロスリトアニアマルタブルガリアルーマニアラトビアを除くほぼ全てのEU加盟国、またスイス・ノルウェーの非EU国、ロシアに進出しており、ほぼ全域に店舗がある。特にドイツでは、2004年に撤退したライバルのGAPから国内の全店舗を買収したことで、H&Mにとって最大の市場となっている。

北米では2000年3月にニューヨークにオープンしたのを皮切りに、フィラデルフィアボストンシカゴワシントンD.C.サンフランシスコなどの都市に出店。2004年にはカナダにも進出した。

中東では2006年にUAEドバイクウェートにフランチャイズの形で出店を果たし、さらに同地域での新規出店を予定している。

アジアでは2007年に香港中国・上海、2009年に中国・北京、2010年に韓国・ソウル、2011年にシンガポール、2012年にタイ・バンコクマレーシア・クアラルンプール、2015年に台湾[16]に出店している。

日本

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エイチ・アンド・エム
ヘネス・アンド・マウリッツ・ジャパン株式会社
H & M Hennes & Mauritz Japan KK[17]
種類 株式会社
略称 H&M
本社所在地 日本の旗 日本
150-0042
東京都渋谷区宇田川町33-6 渋谷フラッグ6階
設立 2007年8月
業種 小売業
法人番号 5011001056835
事業内容 衣料品卸・販売
代表者 アネタ・ポクシンスカ(代表取締役社長)
資本金 9900万円
従業員数 約300名
外部リンク www.hm.com/jp/
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2008年9月に日本1号店となる銀座店が東京都中央区銀座7丁目の銀座中央通りに出店した。日本初出店ということで早くから話題となり、オープン当日には約5,000人が行列を作り、入場制限もされるほどの盛況であった[18]。H&Mの日本進出を受けて、商品の価格帯が重なるユニクロや、すでに日本進出していたザラなども店舗や品揃えの拡大を図るなどの対抗策に追われた[19]。なお、この銀座店は2018年に閉店したものの、2023年5月に銀座2丁目の並木通りに銀座並木通り店として再出店した[20]

2009年9月には横浜市西区ランドマークプラザに横浜店を出店。この店舗では、日本では初となる子供服を取り扱う[21]。2014年、京都市に日本国内最多・最大フロア面積 (3,400 m2) の京都店を出店[22]。2023年12月現在、日本国内に125店舗を展開している[23]

首都圏以外の地域で初出店となった店舗は以下の通り。

批判

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2018年1月の人種差別騒動

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2018年1月、イギリスオンラインショップの子供服コーナーで、「Coolest Monkey In The Jungle」(ジャングルで一番クールなサル)とプリントされたパーカー黒人少年のモデルが着用している画像が掲載された。これが人種差別であるとしてTwitterなどのSNS炎上し、H&Mは謝罪して写真をパーカー単体のものに差し替えた[27][28]。この問題を受け、カナダの歌手ザ・ウィークエンドは、H&Mとの契約の打ち切りを表明した[29]。また、2018年3月に同社とのコラボレーションを実施する予定だったアメリカ合衆国のラッパージー・イージーも、パートナーシップを打ち切る考えを明らかにした[30]

H&Mは謝罪文の中で問題となったパーカーを全世界での販売を中止することを発表した[30]が、南アフリカの野党経済的解放の闘士は「人種差別に対して謝罪をすれば許されるという時代は終わった」として同年1月13日に南アフリカ国内で抗議デモを実施し、支持者の一部がH&Mの店舗を襲撃する事件も発生した[31]。一方、BBCが報じたところによれば、モデルの母親は「H&Mに人種差別の意図はない」と発言したため、他の黒人たちから批判され、身の安全のために転居を余儀なくされた[32]。母親はBBCのラジオ番組「アウトサイド・ソース」のインタビューで、自らも人種差別の被害者であり人種差別が大きな問題であることは理解しているが、問題のパーカーを見て人種差別だとは思わないと話した。その上で、黒人やアフリカ系アメリカ人にとっては、自分は「裏切り者」であり、「金のために息子を売り飛ばした」と見られていると述べた[32]

2024年1月の広告騒動

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2024年1月、オーストラリア向けのキャンペーン広告として、ピンク色の背景でワンピースを着た2人の少女の写真に「Make those heads turn in H&M's Back to School fashion」(H&Mの新学期ファッションでみんなを振り向かせよう)というキャッチコピーが添えられた画像をSNS上で展開したが、「子どもを性の対象にしている」「小児性愛を想起させる」と批判を浴びた。H&Mは広告を削除し謝罪した[33][34]

脚注

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  1. ^ Full year report 2019 Q4”. H&M Group. 2 March 2020閲覧。
  2. ^ “H&M chairman Stefan Persson steps down as son takes over” (英語). アイリッシュ・タイムズ. (2020年1月30日). https://www.irishtimes.com/business/retail-and-services/h-m-chairman-stefan-persson-steps-down-as-son-takes-over-1.4156312 
  3. ^ CEO of H&M Group”. hmgroup.com. 2024年2月4日閲覧。
  4. ^ a b c d www.forbes.com
  5. ^ a b c Annual Report 2016”. Hennes & Mauritz. 27 February 2018閲覧。
  6. ^ Archived copy”. 6 November 2018時点のオリジナルよりアーカイブ。29 August 2017閲覧。
  7. ^ ユニクロを置いてけぼり H&Mとインディテックスの「ファスト・ファッション」”. Foresight. 新潮社 (2007年3月). 2024年10月13日閲覧。
  8. ^ ギャップ、ザラに続き…世界最大アパレル、ヘネス・アンド・モーリッツ(H&M)が日本に上陸!”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社 (2008年5月29日). 2024年10月13日閲覧。
  9. ^ 総括’09東京ファストファッション”. タイムアウト東京 (2009年12月24日). 2013年5月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年10月13日閲覧。
  10. ^ 「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン 新語・流行語大賞”. 自由国民社. 2024年10月13日閲覧。
  11. ^ Press contacts”. H&M Group. 2021年7月4日閲覧。
  12. ^ プライバシーポリシー”. エイチ・アンド・エム ヘネス・アンド・マウリッツ・ジャパン株式会社. 2021年7月3日閲覧。
  13. ^ H&M - H&M企業情報
  14. ^ 日本テレビ系『NEWS ZERO』2008年11月8日放送分より[信頼性要検証]
  15. ^ Full year report 2019 Q4” (PDF). 2021年8月28日閲覧。
  16. ^ H&Mが台湾初上陸 1号店オープンに1200人以上が行列』2015年2月15日 Fashionsnap.com
  17. ^ H&M Group Annual report 2020” (PDF). H&M Group. p. 80. 2021年7月4日閲覧。
  18. ^ H&M大行列、銀座1号店が開業 NIKKEI NET, 2008年9月13日
  19. ^ H&M、13日銀座に日本1号店 衣料品各社が対抗策 NIKKEI NET, 2008年9月13日
  20. ^ H&Mが銀座にカムバック 「H&M銀座並木通り店」出店の狙いは?”. FASHIONSNAP (2023年5月11日). 2024年1月7日閲覧。
  21. ^ ヨコハマ経済新聞「『H&M』が9月に横浜ランドマークプラザに出店―神奈川では初」
  22. ^ 京都に日本最大のH&M。世界遺産の元離宮二条城に巨大ショッピングバッグ出現 FASHION HEADLINE, 2014年11月14日
  23. ^ H&M、2024年春に原宿にて新店をオープン!”. H&M Japan (2023年12月12日). 2024年1月7日閲覧。
  24. ^ カジュアル衣料H&M、日本に攻勢 2012年出店倍増 asahi.com 2011年8月11日
  25. ^ “<さくら野仙台店>H&M 24日閉店、長町へ”. 河北新報. (2017年5月23日). http://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201705/20170523_12005.html 2017年5月23日閲覧。 
  26. ^ 中国地方初のH&Mが今秋、広島にオープン FASHION HEADLINE, 2013年4月12日
  27. ^ 「H&M」、人種差別の非難に謝罪 「サル」と書かれたパーカーを黒人少年に BBCニュース, 2018年1月9日
  28. ^ H&M、「人種差別」との批判受け謝罪 “猿”と書かれたパーカーに黒人少年を起用 ハフポスト, 2018年1月9日
  29. ^ 梅山富美子 (2018年1月9日). “H&M差別騒動で炎上「失望した」グラミー賞歌手怒りの契約破棄”. シネマトゥデイ. 2018年1月14日閲覧。
  30. ^ a b ALEXA TIETJEN (2018年1月11日). “黒人差別問題渦中の「H&M」 コラボアーティストの契約解消宣言相次ぐ”. WWD JAPAN. 2018年1月14日閲覧。
  31. ^ H&M ”差別広告” 南アフリカで店舗襲撃も”. NHK (2018年1月14日). 2018年1月14日閲覧。
  32. ^ a b “H&M「サル」パーカーのモデル少年、家族と「安全のため」引越し”. BBCニュース (英国放送協会). (2018年1月17日). https://www.bbc.com/japanese/42714199 2022年1月22日閲覧。 
  33. ^ H&Mのキャンペーンが「子どもを性的虐待」と物議、広告を削除し謝罪”. Fashionsnap.com (2024年1月23日). 2024年2月4日閲覧。
  34. ^ H&Mが謝罪、豪州での制服の広告に批判”. CNN.co.jp (2024年1月23日). 2024年2月4日閲覧。

外部リンク

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