マーチ・761
1976年ドイツGPで761をドライブするブランビラ | |||||||||||
カテゴリー | F1 | ||||||||||
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コンストラクター | マーチ | ||||||||||
デザイナー | ロビン・ハード | ||||||||||
先代 | マーチ・751 | ||||||||||
後継 | マーチ・771 | ||||||||||
主要諸元[1][2] | |||||||||||
シャシー | アルミニウムモノコック | ||||||||||
サスペンション(前) | ダブルウィッシュボーン、アウトボードスプリング | ||||||||||
サスペンション(後) | パラレル・ロワーリンク、ツイン・ラジアスロッド、アウトボードスプリング | ||||||||||
トレッド | 1420mm/1475mm | ||||||||||
ホイールベース | 2770mm | ||||||||||
エンジン | フォード・コスワースDFV 2993cc V8 NA | ||||||||||
トランスミッション | ヒューランドFG400 5速 MT | ||||||||||
重量 | 576kg | ||||||||||
燃料 | ダッカムス | ||||||||||
タイヤ | グッドイヤー | ||||||||||
主要成績 | |||||||||||
チーム | マーチ・エンジニアリング | ||||||||||
ドライバー |
ヴィットリオ・ブランビラ ロニー・ピーターソン ハンス=ヨアヒム・スタック アレックス・リベイロ イアン・シェクター | ||||||||||
出走時期 | 1976 - 1977 | ||||||||||
コンストラクターズタイトル | 0 | ||||||||||
ドライバーズタイトル | 0 | ||||||||||
通算獲得ポイント | 19 | ||||||||||
初戦 | 1976年ブラジルGP | ||||||||||
初勝利 | 1976年イタリアGP | ||||||||||
最終戦 | 1977年日本GP | ||||||||||
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マーチ・761(March 761)は、マーチ・エンジニアリングが1976年のF1世界選手権用に開発したフォーミュラ1カーである。デザイナーはロビン・ハード。
概要
[編集]F2用のマシン、“762”を改造して製作された[3]。スポーツカーノーズの先端から伸ばされたスポイラーとエンジンの横に立て置きされたラジエターなど、751までのモデルを踏襲。市販マシンゆえのシンプルな構造[4]と、軽量化されたシャシーとロングホイールベース化によりフェラーリに劣らぬスピードを記録した[3]。第4戦スペインGPからはレギュレーションの変更に伴いインダクションボックスが小型化された。
シーズン終了後に1号車をベースにして製作された6輪車“2-4-0”が発表されたが、数度のテストが行われたのみで、実戦に投入されることはなかった[3]。
1977年は改修型の761Bが登場した。
戦績
[編集]1976年
[編集]1976年は前年のレギュラードライバー、ヴィットリオ・ブランビラとハンス=ヨアヒム・スタックのほか、ブラジルGPよりロニー・ピーターソンが加入。シーズン途中にアルトゥーロ・メルツァリオが加わるなど常時3〜4台のエントリーで、ブランビラ車にベータ、ピーターソン車にシティバンクなど各ドライバーごとに異なるスポンサーがついていた[5]。
ピーターソンがオーストリアGPでポールポジションを獲得、イタリアGPで優勝。スタックが8ポイントを獲得し、マーチはコンストラクターズランキング7位に入った。
1977年
[編集]1977年はワークスチームとメルツァリオ設立のチーム・メルツァリオが761Bを使用。前年型の761はウィリアムズなどのプライベートチームが購入して出走した。このうち、ウィリアムズのマシンはイタリアGPでスポーツカーノーズに替えてウイングノーズを装着する[6]など独自の改造を施していた。
ワークスチームはエースドライバーにイアン・シェクター、セカンドドライバーにアレックス・リベイロという布陣[3][7]で、シェクター車のスポンサーはロスマンズがついた。シェクターはオランダGPから新型の771に乗り換え、リベイロは最終戦日本GPまで761Bを使用した。
ハードがF2での活動を優先したためほとんど開発が行われず成績が低速[3]、ウィリアムズのパトリック・ネーヴェがイタリアGPで7位に入ったのが最高位で、獲得ポイントが0という結果に終わった。マーチはこの年限りでF1活動を一旦停止する。
ギャラリー
[編集]-
1976年ドイツGPでのスタック
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上記画像とは別のカラーリングの761をドライブするピーターソン
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メルツァリオがドライブした“OVORO”カラーの761
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F&Sプロパティカラー
F1における全成績
[編集]ワークス
[編集](key) (太字はポールポジション、斜体はファステストラップ)
年 | シャシー | タイヤ | No. | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | ポイント | 順位 |
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1976 | 761 | G | BRA |
RSA |
USW |
ESP |
BEL |
MON |
SWE |
FRA |
GBR |
GER |
AUT |
NED |
ITA |
CAN |
USA |
JPN |
19 | 7位 | |||
9 | ブランビラ | Ret | 8 | Ret | Ret | Ret | Ret | 10 | Ret | Ret | Ret | Ret | 6 | 7 | 14 | Ret | Ret | ||||||
10 | ロンバルディ | 14 | |||||||||||||||||||||
10 | ピーターソン | Ret | 10 | Ret | Ret | Ret | 7 | 19 | Ret | Ret | 6 | Ret | 1 | 9 | Ret | Ret | |||||||
34 | スタック | 4 | 12 | Ret | Ret | Ret | 4 | Ret | 7 | Ret | Ret | Ret | Ret | Ret | Ret | 5 | Ret | ||||||
35 | メルツァリオ | DNQ | Ret | Ret | DNQ | 14 | 9 | Ret | |||||||||||||||
1977 | 761B | G | ARG |
BRA |
RSA |
USW |
ESP |
MON |
BEL |
SWE |
FRA |
GBR |
GER |
AUT |
NED |
ITA |
USA |
CAN |
JPN |
0 | NC | ||
9 | リベイロ | Ret | Ret | Ret | Ret | DNQ | DNQ | DNQ | DNQ | DNQ | DNQ | 9 | DNQ | 11 | DNQ | 15 | 8 | 12 | |||||
10 | シェクター | Ret | Ret | 11 | DNQ | Ret | Ret | NC | Ret | Ret | Ret | ||||||||||||
10 | スタック | Ret | |||||||||||||||||||||
10 | ヘントン | 10 |
ノンワークス
[編集](key)
年 | チーム | シャーシ | タイヤ | No. | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
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1977 | ARG |
BRA |
RSA |
USW |
ESP |
MON |
BEL |
SWE |
FRA |
GBR |
GER |
AUT |
NED |
ITA |
USA |
CAN |
JPN | |||||
ウィリアムズ | 761 | G | 27 | ネーヴェ | 12 | 10 | 15 | DNQ | 10 | DNQ | 9 | DNQ | 7 | 18 | ||||||||
チェスターフィールド・レーシング | 30 | ランガー | 14 | Ret | 10 | |||||||||||||||||
RAMレーシング/F&Sプロパティ | 32 | コザロウィツキー | DNQ | DNPQ | ||||||||||||||||||
32 | ブリークモレン | DNQ | ||||||||||||||||||||
33 | ハイエ | Ret | DNQ | DNQ | 15 | DNQ | DNQ | |||||||||||||||
33 | サトクリフ | DNPQ | ||||||||||||||||||||
ブリティッシュ・フォーミュラ1・レーシングチーム | 38 | ヘントン | DNQ | DNQ | DNQ | |||||||||||||||||
38 | ドライバー | DNQ | ||||||||||||||||||||
チーム・メルツァリオ | 761B | 37 | メルツァリオ | Ret | DNQ | 14 | Ret | Ret | DNQ | DNQ |
脚注
[編集]- ^ AUTO SPORT Archives 『日本の名レース100選 001 '76 F1イン・ジャパン』 三栄書房、2006年、38 - 39頁。
- ^ 『Formula 1 JAPAN Grand Prix 1976&1977』 山海堂、1999年、19頁。
- ^ a b c d e 『Formula 1 JAPAN Grand Prix 1976&1977』42頁。
- ^ 『F1 MODELING 1976年富士F1グランプリ』 東邦出版、2008年、24頁。
- ^ 林信次 『F1全史 1976 - 1980』 ニューズ出版、1993年、27頁。
- ^ 大串信 「意匠万華鏡 〜愛すべき試行錯誤〜」 第18回 『GRAND PRIX SPECIAL』(ソニーマガジンズ)2012年6月号、91頁。
- ^ 『AUTO SPORT YEAR '77/'78』 三栄書房、1978年、66頁。