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利用者:東京特許許可局/コミュニティバス/親記事

コミュニティバス(community bus,略称コミバス)とは、などの自治体が住民の移動手段を確保するために運行する路線バスである。市街地などの交通空白地帯において公共交通サービスを提供するもののほか、市街地内の主要施設や観光拠点等を循環する路線などのさまざまなタイプがあり、従来の乗合バスを補う公共交通サービスとして全国的に急速に導入され、そのサービスは、その後一部のバス事業にも採用されている。

地元のバス会社に実際の運行を委託するなどし、必要に応じ自治体側が経済的な支援を行うのが一般的である。

仕組み[編集]

定義[編集]

「コミュニティバス」は法的に明確に定義されている概念ではなく、普通の路線バス(乗合バス)と同様、道路運送法などの規定にしたがって運行されているものである。

なお、実際運行されているものから考えると以下のようなものをコミュニティバスと指すことがほとんどである。

  1. 地方自治体が計画し、運行主体および運行支援を行う。
  2. 既存交通では需要が小さく見過ごされたいた部分に対応する。
  3. 地域住民の生活や地域性に根ざしたルート、ダイヤ、システムである。
  4. 採算性を最重視せず、財政的な支援や補助が行われているもの。

運行形態[編集]

コミュニティバスは、既存のバス事業者(又はその子会社)が運行するもの、貸切バス事業者が運行するもの、地方自治体が運行するものなどがある。自治体が運行する場合にあっても、コストや運転士、車両の面などから地方自治体が国土交通省から運行許可を取得し、実際の運行は地元の貸切バス事業者に委託されている例も見られる。

また、たいていは自治体側がコースを決めている例が多く見られたが、沿線住民が路線の設定等、運行計画に当初から関与していくケースが増えている(三重県鈴鹿市のC-BUS (コミュニティバス)が挙げられる)。なお、これらの中には事例としては少ないものの、NPO法人などに事業の運営を委託するケースも見られる(四日市市の「生活バスよっかいち」、京都市醍醐地区の「醍醐コミュニティバス」などの事例がよく知られている)。

また、廃止代替バスの形態で運行されることもある。これは、需要の問題からバスではなく、乗合タクシーとして運行されることもある(宮城県石巻市稲井地区の「いない号」)。

運営の実際[編集]

通常の乗合バスですら高速バスを除き経常的な赤字の状況であり、ましてやコミュニティバスは乗合バス事業者が運行しない又は撤退した地域を運行し、しかも運賃は低廉であることから、収支均衡させることは極めて困難であり、純然たる営利事業として捉えることは適当でない。経常的収支で赤字計上は覚悟せざるを得ないものの、交通空白地帯の解消、公共交通の確保という公益的な観点から、市町村から運行費用の補助(赤字補填)が行われるのが一般的である。市町村自身が、路線、便数、停留所位置などコミュニティバスの基本的な要素を計画したうえ、運行の委託を地元貸切バス会社に委託することも多い。なお、通常の路線バス(4条バスと呼ばれる)においても、国土交通省や都道府県、地元市町村による赤字補填の仕組みがある(路線形態、延長、実行実績によって、役割分担が決まっている)。

町田市民バス(まちっこ)など一部のコミュニティバスについては、運行主体がバス会社で、自治体が補助金を出し、コミュニティバスとして運行しているケースがある。

公営バスは地方公営企業として公営企業会計が適用され、一般会計と分離され、独立採算による運営であるという点でコミュニティバスと大きく異なる。ただし、赤字基調であり、一般会計から繰出(運行補助)を行い、運行を支えている場合がある。

あゆみ[編集]

コミュニティバスのさきがけは、1980年東京都武蔵村山市の市内循環バスであるとされる。武蔵村山市内は鉄道が走っていないため、市民の足を確保するために市が車両を購入し、立川バスに運行を委託した乗合バスであった。1986年には、東京都日野市で「ミニバス」が開設された。これは日野市が行政サービスの一環として、市内のバス路線のない地域に小型バスによる路線バスを運行するというものであった。市が直接バス路線を開設することは現実的でないため、日野市内で路線バスを運行していた京王バスが路線開設と実際の運行管理を引き受けた。

その後1990年代に入ると、運賃無料という福祉を目的としたバスの設定も行われるようになるが、ミニバスを使って自治体が交通空白地帯をなくすために乗合バスを運行することも意識されていた。このような中で、1995年武蔵野市におけるムーバスが設定される。今までのバスのイメージを刷新するような積極的な施策がとられ、その結果成功を収めたため、日本各地においてコミュニティバスの設定が盛んに行われるようになった。

特徴については次項で記す。

共通的な特徴[編集]

概ね次の様な特徴を持つ事が多い。

ルート・路線[編集]

  • 既存のバス停留所鉄道駅などから遠く(300m程度)、また公共交通機関に頼らざるを得ない交通弱者の数が少なからずあるにも関わらず、狭隘路・坂道があったり、需要が小さいなどの理由により、通常のバス路線を導入する事が困難な住宅地を対象としている。
  • 住宅地と、市役所などの公共施設・医療施設・繁華街・交通結節点(鉄道駅・バスセンター)などを結ぶ。
  • 循環路線が多く見られる。また一方通行の循環路線も多い。
    • ただ、通常の折り返し式に比べて、遅延し始めると遅れを取り戻すことが難しいともいわれている。
  • 停留所間隔が一般的に短く、細かく停留所が設置されている。

車両[編集]

  • 中型以下の車両を用い、それまで大型車両の入れなかった住宅街等へも路線を延ばすことが可能。
  • 低床でバリアフリーに対応した人にやさしい車両。
    • 外国の車両を導入する場合もある(金沢市等)。
  • 斬新で親しみやすい車体デザイン

運賃など[編集]

  • 100円又は200円の低廉かつ均一料金を採用し、利用者にわかり易い
    • 地域によっては無料のところもあるが、送迎バスに近く、有償を前提としたバス事業としては別のものとして考えるべきである。

運行システム・その他[編集]

  • パターンダイヤ
    • 中規模以上の都市では高頻度運行(30分毎など)、パターンダイヤとなっていることが多い。
  • 愛称
    • 住民に親しみをもってもらうため、愛称を公募する等の取組みがみられる。

課題[編集]

コミュニティバスは、低廉な均一運賃であり、収益を上げていくのが基本的に難しい仕組みであり、交通事業としては事前に十分に検討する必要がある。陥りやすい問題としては、次の事項が挙げられる。

  • 安易な導入……他の自治体で導入しているからという安易な理由で導入される傾向がある。このため、十分な運行に対する見当が行われていないため利用率が芳しくないなどの問題が発生している。
  • サービスの妥当性の検証……住民・地域団体の求めにより路線・停留所を決めて運行開始することが多いため、運行地域、運行回数、運行時間帯など、一般に需要量に比べて過剰サービスに陥りやすい。
  • 弾力的な見直しが困難……一般に、一度始めると路線見直しや撤退が困難(特に自治体が関係することから、議会対策上も)。

なお、平成の市町村合併に関連して旧市町村の庁舎や市街地を連結する交通手段確保の観点からコミュニティバスの運行が計画された地域もある。

コミュニティバス一覧[編集]

地方別・都道府県別に50音順で並べてある。

北海道・東北[編集]

千歳市の「ビーバス」
仙台市の「ながまちくん」

北海道[編集]

青森県[編集]

岩手県[編集]

宮城県[編集]

関東・甲信越[編集]

コミュニティバスの代名詞東京都武蔵野市の「ムーバス」
東京都杉並区の「すぎ丸」
東京都荒川区の「さくら」
東京都江東区の「しおかぜ」
東京都港区の「ちぃばす」
東京都府中市の「ちゅうバス」

群馬県[編集]

栃木県[編集]

茨城県[編集]

千葉県[編集]

埼玉県[編集]

東京都[編集]

神奈川県[編集]

山梨県[編集]

  • 甲斐市コミュニティバス(甲斐市

長野県[編集]

新潟県[編集]

  • くるりん(長岡市
  • ほたるバス(長岡市越路地域・旧越路町
  • 燕市福祉巡回バス(燕市
  • 加茂市営市民バス(加茂市
  • 白根地区循環バス(新潟市白根地区・旧白根市
  • 西川地区巡回バス(新潟市西川地区・旧西川町
  • 茅野山・早通乗合バス(新潟市亀田地区)
  • 赤塚地区住民バス(新潟市赤塚地区)
  • 新発田市コミュニティバス(新発田市

東海・北陸[編集]

静岡県浜松市「く・る・る」
石川県金沢市「金沢ふらっとバス」
福井県鯖江市「みらい21」

静岡県[編集]

愛知県[編集]

岐阜県[編集]

石川県[編集]

富山県[編集]

福井県[編集]

三重県[編集]

近畿[編集]

大阪市交通局の100円バス(別名赤バス)車両
守口市市内循環「タウンくる」(京阪守口市駅前で)
八尾市「愛あいバス」(近鉄高安駅前で)
明日香循環バス(金かめ)
きぼう号
十津川村営バス
阪南市「さつき号」

滋賀県[編集]

京都府[編集]

大阪府[編集]

兵庫県[編集]

奈良県[編集]

和歌山県[編集]

中国・四国[編集]

御津コミュニティバス
旭川さくらバス

岡山県[編集]

広島県[編集]

鳥取県[編集]

島根県[編集]

山口県[編集]

高知県[編集]

香川県[編集]

愛媛県[編集]

九州・沖縄[編集]

福岡県[編集]

佐賀県[編集]

長崎県[編集]

熊本県[編集]

大分県[編集]

宮崎県[編集]

鹿児島県[編集]

沖縄県[編集]

主に使用されるバス[編集]

現行車種[編集]

絶版車種[編集]

参考文献[編集]

  • 鈴木文彦『路線バスの現在・未来part2』グランプリ出版、2001

関連項目[編集]