宇江佐真理
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宇江佐 真理 (うえざ まり) | |
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誕生 |
伊藤香 1949年10月20日 北海道・函館市 |
死没 |
2015年11月7日(66歳没) 北海道・函館市 |
職業 | 作家 |
言語 | 日本語 |
国籍 | 日本 |
最終学歴 | 函館大谷女子短期大学 |
活動期間 | 1995年 - 2015年 |
ジャンル | 時代小説 |
代表作 |
『髪結い伊三次捕物余話』 『雷桜』 |
主な受賞歴 |
オール讀物新人賞(1995年) 吉川英治文学新人賞 (1999年) 中山義秀文学賞(2001年) |
デビュー作 | 『幻の声』 |
ウィキポータル 文学 |
宇江佐 真理(うえざ まり、1949年10月20日 - 2015年11月7日)は、日本の時代小説作家。本名、伊藤 香(いとう かおる)[1]。
経歴
[編集]北海道函館市生まれ[2]。北海道函館中部高等学校在学中より創作を始める[3]。函館大谷女子短期大学(現・函館大谷短期大学)卒業[4]。OL生活を経て、主婦となる[5]。
1995年、『幻の声』でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。同賞の選考委員の一人[6]から、伊三次(『幻の声』の主人公)を主人公に据えた連作が可能である、との意見をもらい連作化された。同作品を含んだ連作短編集『幻の声 髪結い伊三次捕物余話』は第117回直木三十五賞候補にもなり注目される。なおペンネーム「宇江佐真理」は『ウエザ・リポート』というタイトルでエッセイを書くために決めたため、その名に拘りはなく、本名を隠蔽することさえできればよかった[7]。
1999年、『髪結い伊三次捕物余話』が『髪結い伊三次』として中村橋之助を主演にテレビドラマ化。
2010年、『雷桜』が岡田将生と蒼井優のダブル主演で映画化。
2014年1月刊の文春文庫版『心に吹く風』のあとがきで、乳癌であり全身に転移していることを告白した。これが反響を呼び、翌年1月、『文藝春秋』誌上に闘病記「私の乳癌リポート」を発表(文春文庫版『見上げた空の色』収録)した。11月7日、乳癌のため函館市の病院で死去[8]。66歳没。
遺作となった朝日新聞夕刊の連載小説『うめ婆行状記』(2016年1月12日開始)は、故人の遺志により2016年3月15日掲載分をもって「未完」として終了した[9]。
受賞歴
[編集]太字は受賞
- 1991年:『国直・別れ雲』で第71回オール讀物新人賞候補
- 1993年:『泣きの銀次事件帖』で第4回時代小説大賞候補
- 1995年:『幻の声』で第75回オール讀物新人賞受賞
- 1996年:『アラミスと呼ばれた女』で第7回時代小説大賞候補
- 1997年:『幻の声 髪結い伊三次捕物余話』で第117回直木三十五賞候補
- 1998年:『室の梅』で第20回吉川英治文学新人賞候補、『桜花を見た』で第119回直木三十五賞候補
- 1999年:『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞受賞、『紫紺のつばめ』で第121回直木三十五賞候補
- 2000年:『雷桜』で第123回直木三十五賞候補
- 2001年:『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞受賞
- 2002年:『あやめ横丁の人々』で第16回山本周五郎賞候補、『斬られ権佐』で第127回直木三十五賞候補
- 2003年:『神田堀八つ下がり』で第129回直木三十五賞候補
- 2015年:『為吉 北町奉行所ものがたり』で第5回本屋が選ぶ時代小説大賞候補
著書
[編集]シリーズ作品
[編集]- 髪結い伊三次捕物余話シリーズ
- 幻の声(1997年4月 文藝春秋 / 2000年4月 文春文庫)
- 紫紺のつばめ(1999年2月 文藝春秋 / 2002年1月 文春文庫)
- さらば深川(2000年7月 文藝春秋 / 2003年4月 文春文庫)
- さんだらぼっち(2002年1月 文藝春秋 / 2005年2月 文春文庫)
- 黒く塗れ(2003年9月 文藝春秋 / 2006年9月 文春文庫)
- 君を乗せる舟(2005年3月 文藝春秋 / 2008年1月 文春文庫)
- 雨を見たか(2006年11月 文藝春秋 / 2009年8月 文春文庫)
- 我、言挙げす(2008年7月 文藝春秋 / 2011年3月 文春文庫)
- 今日を刻む時計(2010年7月 文藝春秋 / 2013年1月 文春文庫)
- 心に吹く風(2011年7月 文藝春秋 / 2014年1月 文春文庫)
- 明日のことは知らず(2012年8月 文藝春秋 / 2015年1月 文春文庫)
- 名もなき日々を(2013年11月 文藝春秋 / 2016年1月 文春文庫)
- 昨日のまこと、今日のうそ(2014年9月 文藝春秋 / 2016年12月 文春文庫)
- 月は誰のもの(2014年10月 文春文庫)
- 竈河岸(2015年10月31日 文藝春秋 / 2018年10月 文春文庫)
- 泣きの銀次シリーズ
- 泣きの銀次(1997年12月 講談社 / 2000年12月 講談社文庫)
- 晩鐘 続・泣きの銀次(2007年11月 講談社 / 2010年12月 講談社文庫)
- 虚ろ舟 泣きの銀次 参之章(2010年1月 講談社 / 2013年4月 講談社文庫)
- 古手屋喜十為事覚えシリーズ
- 古手屋喜十為事覚え(2011年9月 新潮社 / 2014年2月 新潮文庫)
- 雪まろげ(2013年10月 新潮社 / 2016年4月 新潮文庫)
シリーズ外作品
[編集]- 銀の雨 堪忍旦那為後勘八郎(1998年7月 幻冬舎 / 2001年8月 幻冬舎文庫)
- 室の梅 おろく医者覚え帖(1998年8月 講談社 / 2001年9月 講談社文庫)
- 深川恋物語(1999年9月 集英社 / 2002年7月 集英社文庫)
- おちゃっぴい 江戸前浮世気質(1999年12月 徳間書店 / 2003年5月 徳間文庫 / 2011年1月 文春文庫)
- 雷桜(2000年4月 角川書店 / 2004年2月 角川文庫) - 2010年に岡田将生・蒼井優主演で映画化、八咫緑作画で漫画化
- 余寒の雪(2000年9月 実業之日本社 / 2003年9月 文春文庫)
- 春風ぞ吹く 代書屋五郎太参る(2000年12月 新潮社 / 2003年10月 新潮文庫)
- おぅねぇすてぃ 明治浪漫(2001年11月 祥伝社 / 2004年4月 祥伝社文庫 / 2010年5月 新潮文庫)
- 甘露梅 お針子おとせ吉原春秋(2001年11月 光文社 / 2004年6月 光文社文庫)
- 斬られ権佐(2002年5月 集英社 / 2005年4月 集英社文庫)
- 涙堂 琴女癸酉日記(2002年3月 講談社 / 2005年8月 講談社文庫)
- 神田堀八つ下がり 河岸の夕映え(2003年2月 徳間書店 / 2005年6月 徳間文庫 / 2011年7月 文春文庫)
- 深尾くれない(2003年4月 新潮社 / 2005年10月 新潮文庫)
- あやめ横丁の人々(2003年3月 講談社 / 2006年3月 講談社文庫)
- 玄冶店の女(2003年5月 幻冬舎 / 2007年8月 幻冬舎文庫)
- 桜花(さくら)を見た(2004年6月 文藝春秋 / 2007年6月 文春文庫)
- 卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし(2004年7月 講談社 / 2007年7月 講談社文庫)
- 憂き世店 松前藩士物語(2004年10月 朝日新聞出版 / 2007年10月 朝日文庫)
- ひょうたん(2005年11月 光文社 / 2009年3月 光文社文庫)
- たば風 蝦夷拾遺(2005年5月 実業之日本社 / 2008年5月 文春文庫)
- 無事、これ名馬(2005年9月 新潮社 / 2008年5月 新潮文庫)
- アラミスと呼ばれた女(2006年1月 潮出版社 / 2009年4月 講談社文庫)
- 三日月が円くなるまで 小十郎始末記(2006年4月 角川書店 / 2008年12月 角川文庫)
- 聞き屋与平 江戸夜咄草(2006年5月 集英社 / 2009年7月 集英社文庫)
- ひとつ灯せ 大江戸怪奇譚(2006年8月 徳間書店 / 2010年1月 文春文庫)
- 恋いちもんめ(2006年9月 幻冬舎 / 2008年6月 幻冬舎文庫)
- 十日えびす 花嵐浮世困話(2007年3月 祥伝社 / 2010年4月 祥伝社文庫)
- 夕映え(2007年10月 角川春樹事務所 / 2010年6月 ハルキ文庫)
- 深川にゃんにゃん横丁(2008年9月 新潮社 / 2011年3月 新潮文庫)
- 彼岸花(2008年11月 光文社 / 2011年8月 光文社文庫)
- おはぐろとんぼ 江戸人情堀物語(2009年1月 実業之日本社 / 2011年4月 実業之日本社文庫)
- 富子すきすき(2009年3月 講談社 / 2012年3月 講談社文庫)
- 寂しい写楽(2009年7月 小学館 / 2013年2月 小学館文庫 )
- なでしこ御用帖(2009年10月 集英社 / 2014年2月 集英社文庫)
- ほら吹き茂平 なくて七癖あって四十八癖(2010年9月 祥伝社 / 2013年7月 祥伝社文庫)
- 通りゃんせ(2010年10月 角川書店 / 2013年12月 角川文庫)
- 酒田さ行ぐさげ 日本橋人情横丁(2012年1月 実業之日本社 / 2014年8月 実業之日本社文庫)
- 夜鳴きめし屋(2012年03月 光文社 / 2014年9月 光文社文庫)
- 糸車(2013年07月 集英社 / 2016年1月 集英社文庫)
- 高砂 なくて七癖あって四十八癖(2013年8月 祥伝社)
- 日本橋本石町やさぐれ長屋(2014年2月 講談社)
- 口入れ屋おふく 昨日みた夢(2014年7月 角川書店 / 2016年10月 角川文庫)
- 為吉 北町奉行所ものがたり(2015年8月 実業之日本社 / 2017年10月 実業之日本社文庫)
- うめ婆行状記(2016年3月 朝日新聞出版 / 2017年10月 朝日文庫)
アンソロジー
[編集]- 撫子が斬る(2005年9月 光文社文庫 / 2018年12月 角川文庫「撫子が斬る 上」)
- 万事金の世(2006年4月 徳間文庫)
- しぐれ舟(2008年1月 徳間文庫)
- 世話焼き長屋(2008年2月 新潮文庫)
- 吉原花魁(2009年10月 角川文庫)
- 娘秘剣(2011年3月 徳間文庫)
エッセイ
[編集]- ウエザ・リポート(2007年12月 PHP研究所)
- 【改題】笑顔千両 ウエザ・リポート(2010年9月 文春文庫)
脚注・出典
[編集]- ^ 『文藝年鑑』2008、新潮社
- ^ 日本橋本石町やさぐれ長屋/宇江佐真理 | 小説現代
- ^ 函館市文学館
- ^ 函館大谷短期大学 | 宇江佐 真理さんの追悼コーナーを設けました
- ^ 光南台公民館だより 北公民館 公民館ホームページ - 岡山市
- ^ 当時の選考委員は、阿刀田高、白石一郎、深田祐介、村松友視の4名。
- ^ 宇江佐、p13 「カレーといか飯」
- ^ 作家の宇江佐真理さんが死去 「髪結い伊三次」シリーズ Archived 2015年11月9日, at the Wayback Machine. 西日本新聞 2015年11月7日閲覧
- ^ 板垣麻衣子(稿末部分のみ) (2016年3月15日). “うめ婆行状記:45「■連載を終えて」”. 朝日新聞 2016年3月16日閲覧。
参考文献
[編集]- 宇江佐真理『ウエザ・リポート』PHP研究所、2007年。ISBN 978-4-569-69633-1。