コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

1990年の近鉄バファローズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1990年の近鉄バファローズ
成績
パシフィック・リーグ3位
67勝60敗3分 勝率.528[1]
本拠地
都市 大阪府藤井寺市
球場 藤井寺球場
球団組織
オーナー 上山善紀
経営母体 近畿日本鉄道
監督 仰木彬
« 1989
1991 »

テンプレートを表示

1990年の近鉄バファローズ(1990ねんのきんてつバファローズ)では、1990年の近鉄バファローズにおける動向をまとめる。

1990年の近鉄バファローズは、仰木彬監督の3年目のシーズンである。

概要

[編集]

前年日本一こそ逃したものの、連覇に燃える仰木監督はオフのドラフト会議で社会人No.1の野茂英雄を交渉権を獲得して入団させ、またプリンスホテル石井浩郎もドラフト3位で獲得するなど戦力を強化したチームは優勝候補の本命にあがるが、ダイエーとの開幕戦でエース阿波野秀幸が5回途中8失点の大誤算、その試合こそ打線の奮起で勝ったものの次の試合から9連敗を喫し大きく出遅れる。野茂のローテ入りという明るい話題はあったものの、阿波野や先発2番手の山崎慎太郎が打たれてKOされる試合が多く、4番候補の石井が風疹にかかるなどの誤算で4月を6勝10敗で終える最悪のスタート。5月も9勝12敗と波に乗れず、開幕ダッシュを果たした西武に大差をつけられ、5位に低迷していた。しかし、野茂の奮闘や風疹の完治した石井が6月に一軍入りするとチームはようやく反撃開始。6月を12勝9敗で勝ち越すと、7月に16勝5敗で借金を返済しオリックス日本ハムとAクラス争いを展開するが、西武の背中は遠く3位で全日程を終えた。投手陣ではルーキー野茂が1年目ながら最多勝を獲得したものの阿波野・山崎は勝ち星が低下し、さらに左腕の小野和義と先発4番手の加藤哲郎がそれぞれ肩痛に襲われて不本意な成績に終わるなどの誤算でチーム防御率が4.34と前年から低下。打撃陣では前年優勝の立役者ラルフ・ブライアントとこの年入団のジム・トレーバーを中心に打ちまくり、チーム打率リーグ1位、チーム本塁打リーグ2位をそれぞれ記録するも、ブライアントは相手球団のマークもあり本塁打が半減した。もう一人のルーキー石井は規定打席未満ながらも22本塁打を放ち、仰木監督の期待に応えた。

チーム成績

[編集]

レギュラーシーズン

[編集]
オーダー変遷
開幕:4/8 5/1 6/1 7/1 8/1 9/1
1 大石第二朗 村上隆行 大石第二朗 新井宏昌 大石第二朗 大石第二朗
2 新井宏昌 大石第二朗 加藤正樹 大石第二朗 新井宏昌 新井宏昌
3 ブライアント ブライアント 新井宏昌 ブライアント 鈴木貴久 石井浩郎
4 トレーバー トレーバー トレーバー トレーバー トレーバー トレーバー
5 鈴木貴久 金村義明 金村義明 金村義明 金村義明 鈴木貴久
6 後関昌彦 鈴木貴久 中谷忠己 中谷忠己 石井浩郎 中谷忠己
7 金村義明 中根仁 中根仁 加藤正樹 中谷忠己[注 1] 村上隆行
8 山下和彦 山下和彦 山下和彦 光山英和 山下和彦 山下和彦
9 米崎薫臣 安達俊也 米崎薫臣 安達俊也 安達俊也 米崎薫臣
阿波野秀幸 池上誠一 山崎慎太郎 野茂英雄 高柳出己 阿波野秀幸

[2]

1990年パシフィック・リーグ順位変動
順位 4月終了時 5月終了時 6月終了時 7月終了時 8月終了時 9月終了時 最終成績
1位 西武 -- 西武 -- 西武 -- 西武 -- 西武 -- 西武 -- 西武 --
2位 ロッテ 2.5 オリックス 5.0 オリックス 4.5 オリックス 9.0 オリックス 16.5 オリックス 11.5 オリックス 12.0
3位 日本ハム 2.5 日本ハム 9.0 日本ハム 7.0 近鉄 11.0 日本ハム 16.5 日本ハム 13.5 近鉄 14.5
4位 オリックス 4.5 ロッテ 11.0 近鉄 12.0 日本ハム 13.5 近鉄 18.5 近鉄 15.5 日本ハム 16.5
5位 近鉄 6.0 近鉄 13.0 ロッテ 14.0 ロッテ 22.5 ロッテ 27.0 ロッテ 23.5 ロッテ 25.0
6位 ダイエー 8.5 ダイエー 19.0 ダイエー 22.5 ダイエー 31.0 ダイエー 35.5 ダイエー 35.0 ダイエー 40.0
期間
成績
6勝10敗
勝率.375
9勝12敗
勝率.429
12勝9敗1分
勝率.571
16勝5敗
勝率.762
9勝15敗
勝率.375
7勝6敗2分
勝率.538
8勝3敗
勝率.727


1990年パシフィック・リーグ最終成績
順位 球団 勝率
1位 西武ライオンズ 81 45 4 .643 優勝
2位 オリックス・ブレーブス 69 57 4 .548 12.0
3位 近鉄バファローズ 67 60 3 .528 14.5
4位 日本ハムファイターズ 66 63 1 .512 16.5
5位 ロッテオリオンズ 57 71 2 .445 25.0
6位 福岡ダイエーホークス 41 85 4 .325 40.0

[1]

オールスターゲーム1990

[編集]
  • 選出選手及びスタッフ
ポジション 名前 選出回数
監督 仰木彬
投手 野茂英雄
阿波野秀幸 4
二塁手 大石大二郎 8
遊撃手 安達俊也
内野手 金村義明
外野手 ブライアント
鈴木貴久
  • 太字はファン投票による選出。

個人成績

[編集]

投手成績

[編集]
  • 色付きは規定投球回数(130イニング)以上の選手
  • 太字はリーグ最高
選手








































W
H
I
P
 
/野茂英雄 29 27 21 2 1 18 8 0 975 235.0 167 18 109 4 287 12 0 87 76 2.91 1.17
/阿波野秀幸 25 24 10 0 1 10 11 1 815 190.2 192 33 62 3 141 5 2 111 98 4.63 1.33
/山崎慎太郎 25 24 7 0 0 8 10 0 647 145.1 156 18 76 3 89 5 0 90 85 5.26 1.60
/佐々木修 29 17 2 1 0 8 7 1 517 119.2 133 13 39 5 31 2 0 67 58 4.36 1.44
/高柳出己 26 15 2 0 1 3 5 0 431 95.1 112 9 35 3 46 1 0 58 55 5.19 1.54
/吉井理人 45 2 0 0 0 8 9 15 330 74.1 80 4 30 4 55 5 0 29 28 3.39 1.48
/池上誠一 28 5 1 0 0 2 2 0 330 71.0 75 8 44 0 58 5 0 40 32 4.06 1.68
/小野和義 13 13 1 0 0 3 4 0 260 60.2 61 9 20 3 22 0 0 38 34 5.04 1.34
/赤堀元之 21 1 0 0 0 4 0 1 219 51.1 50 6 24 1 38 1 0 23 17 2.98 1.44
/石本貴昭 20 1 0 0 0 0 0 0 168 38.0 41 5 21 0 14 0 0 26 25 5.92 1.63
/佐藤秀明 29 0 0 0 0 0 4 1 165 36.2 44 8 11 0 17 0 0 27 19 4.66 1.50
/木下文信 29 0 0 0 0 3 0 0 149 32.0 35 6 19 3 17 3 1 26 23 6.47 1.69
/入来智 7 1 0 0 0 0 0 0 39 7.2 14 2 4 1 6 0 0 10 9 10.57 2.35
/山田真実 3 0 0 0 0 0 0 0 27 5.1 10 1 2 0 4 1 0 5 3 5.06 2.25
/加藤哲郎 1 0 0 0 0 0 0 0 13 3.0 1 0 3 0 0 0 0 1 1 3.00 1.33

打撃成績

[編集]
  • 色付きは規定打席(403打席)以上の選手
  • 太字はリーグ最高
選手











































O
P
S
 
/大石第二朗 125 541 471 93 148 25 6 20 245 69 20 4 15 4 49 0 2 51 8 .314 .378 .520 .898
/トレーバー 123 528 495 64 150 25 1 24 249 92 2 2 0 5 25 5 3 70 18 .303 .337 .503 .840
/鈴木貴久 122 480 422 65 114 21 0 22 201 71 4 1 10 3 40 1 5 59 11 .270 .338 .476 .815
/ブライアント 108 461 412 67 101 19 1 29 209 73 4 1 0 2 41 4 6 198 4 .245 .321 .507 .828
/金村義明 113 450 376 67 103 25 1 17 181 51 7 7 5 2 64 3 3 85 6 .274 .382 .481 .863
/新井宏昌 115 424 363 58 106 19 4 6 151 34 4 3 21 2 35 3 3 26 3 .292 .357 .416 .773
/石井浩郎 86 319 263 48 79 12 1 22 159 46 1 0 2 3 46 0 5 57 3 .300 .410 .605 1.015
/村上隆行 71 239 211 31 69 13 4 10 120 37 1 2 5 1 20 2 2 31 3 .327 .389 .569 .958
/山下和彦 87 228 199 27 47 11 0 4 70 22 0 1 17 1 8 1 3 49 4 .236 .275 .352 .627
/光山英和 87 227 206 25 62 6 0 12 104 33 1 1 6 2 11 0 2 47 3 .301 .339 .505 .844
/中根仁 86 213 189 29 41 12 1 3 64 23 3 3 3 2 17 0 2 47 5 .217 .286 .339 .624
/安達俊也 103 191 170 21 37 6 4 0 51 10 6 1 10 0 11 0 0 26 3 .218 .265 .300 .565
/加藤正樹 92 190 172 20 49 11 2 3 73 24 0 2 7 0 10 1 1 17 2 .285 .328 .424 .752
/米崎薫臣 70 185 169 21 41 8 0 2 55 20 3 0 4 0 11 0 1 24 1 .243 .293 .325 .618
/中谷忠己 68 123 112 8 34 4 1 3 49 20 2 0 1 3 7 0 0 23 0 .304 .336 .438 .774
/真喜志康永 35 64 57 6 10 2 0 2 18 3 0 1 3 0 4 0 0 8 1 .175 .230 .316 .545
/吉田剛 56 62 52 15 12 1 2 0 17 5 6 2 3 1 6 0 0 11 0 .231 .305 .327 .632
/古久保健二 33 51 44 4 11 2 0 2 19 6 1 1 3 2 1 0 1 13 1 .250 .271 .432 .703
/谷真一 21 27 27 3 6 1 0 0 7 1 1 0 0 0 0 0 0 10 0 .222 .222 .259 .481
/後関昌彦 14 18 14 2 1 0 0 0 1 0 0 0 1 0 3 0 0 3 2 .071 .235 .071 .307
/尾上旭 13 13 10 2 3 1 0 0 4 0 0 0 0 0 3 0 0 1 0 .300 .462 .400 .862
/中村良二 7 8 7 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 5 0 .000 .125 .000 .125
/大村慎次 3 6 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 4 0 .000 .333 .000 .333
/松久保新吾 2 5 4 0 2 0 0 0 2 0 1 0 0 0 1 0 0 1 0 .500 .600 .500 1.100
/畑山俊二 5 4 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 .000 .000 .000 .000
/佐藤純一 2 3 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 .000 .000 .000 .000
/藤立次郎 2 3 3 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 .000 .000 .000 .000

できごと

[編集]

4月

[編集]
  • 4月22日 - 大石大二郎が西武戦で通算100本塁打を達成。
  • 4月29日 - 新人・野茂英雄が1試合17奪三振のNPBタイ記録。

5月

[編集]
  • 5月16日 - 新井宏昌が日本ハム戦で通算250犠打を達成。
  • 5月22日 - 野茂英雄がダイエー戦で4試合連続2ケタ奪三振のNPBタイ記録。

6月

[編集]
  • 6月6日 - ブライアントが東京ドームの日本ハム戦で天井に下がるスピーカーに打球を当てて、認定ホームランとなる。
  • 6月21日 - ブライアントがロッテ戦で22試合連続三振のリーグタイ記録。
  • 6月26日 - 大石大二郎がロッテ戦で逆転サヨナラ満塁本塁打を放つ。
  • 6月28日 - ブライアントがロッテ戦で前田幸長からの死球で乱闘騒ぎとなり退場処分。

7月

[編集]
  • 7月13日 - 野茂英雄が新人新記録となる11度目の2ケタ奪三振。
  • 7月31日 - 石井浩郎が7月9本目の本塁打で新人の月間本塁打タイ記録。

8月

[編集]
  • 8月24日 - 野茂英雄が5試合連続のの2ケタ奪三振。

10月

[編集]
  • 10月22日 - 沢村賞に野茂英雄の受賞が決定。

選手・スタッフ

[編集]

[3]

表彰選手

[編集]
リーグ・リーダー
選手名 タイトル 成績 回数
野茂英雄 最優秀選手 初受賞
新人王
最優秀防御率 2.91 初受賞
最多勝利 18勝 初受賞
最多奪三振 287個 初受賞
最高勝率 .692 初受賞
沢村賞 初受賞
トレーバー 最多安打 150本 初受賞
ベストナイン
選手名 ポジション 回数
野茂英雄 投手 初受賞
大石第二朗 二塁手 6年ぶり3度目
ゴールデングラブ賞
選出なし

ドラフト

[編集]
順位 選手名 守備 所属 結果
1位 寺前正雄 投手 北陽高 入団
2位 水口栄二 内野手 早稲田大学 入団
3位 佐野重樹 投手 近畿大学工学部 入団
4位 柴田佳主也 投手 阿部企業 入団
5位 伊藤栄祐 投手 愛知工業大学名電高 入団
6位 宮下典明 内野手 新田高 入団

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 偵察メンバーの山崎慎太郎と交代。

出典

[編集]
  1. ^ a b 年度別成績 1990年 パシフィック・リーグ”. 日本野球機構. 2015年6月4日閲覧。
  2. ^ 『日本プロ野球記録年鑑 ベースボール・レコード・ブック1991』ベースボール・マガジン社、1990年。ISBN 4-583-02882-2 
  3. ^ オリックス・バファローズ Legend Of Bs2013 Miracle!夢が叶ったあの時”. オリックス・バファローズ. 2015年6月4日閲覧。