コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

地図と測量の科学館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
地図と測量の科学館
The Science Museum of Map and Survey
地図と測量の科学館(2009年10月撮影)
地図と測量の科学館の位置(茨城県内)
地図と測量の科学館
地図と測量の科学館の位置
施設情報
正式名称 地図と測量の科学館
専門分野 地図測量
来館者数 40,338人(2004年度)[1]
事業主体 国土地理院
管理運営 国土地理院
建物設計 戸田建設
延床面積 5,464m2
開館 1996年(平成8年)6月1日
所在地 305-0811
茨城県つくば市北郷1番
国土地理院構内
位置 北緯36度6分14.3秒 東経140度5分8.1秒 / 北緯36.103972度 東経140.085583度 / 36.103972; 140.085583座標: 北緯36度6分14.3秒 東経140度5分8.1秒 / 北緯36.103972度 東経140.085583度 / 36.103972; 140.085583
アクセス つくばセンターつくば駅)よりバスで約10分
外部リンク www.gsi.go.jp/MUSEUM/
プロジェクト:GLAM
テンプレートを表示

地図と測量の科学館(ちずとそくりょうのかがくかん、英語: The Science Museum of Map and Survey)は、茨城県つくば市北郷にある科学館地図測量に関する展示を行う、日本で初めて施設である[2]

ゲーム感覚で地図や測量に関して学べるように工夫された施設であり[2]、毎年6月に「測量の日」の行事として行われる「測量と地図のフェスティバル」[3]をはじめ、さまざまなイベントを開催している[2]

概要

[編集]

地図と測量、およびその関連技術に関する原理・仕組みと生活との関わりについて展示するとともに、国土地理院の保有する地図・航空写真などの情報を提供する施設である[4]地理地形に関しての知識が得られ、コンピュータの地図などに触れることができる[2]床面積5,464m2、2階建ての展示館と、屋外の「地球ひろば」から成る[5]

展示館内[5]

展示施設等
2階 常設展示室・特別展示室
1階 ホール・オリエンテーションルーム・売店・地図のギャラリー・情報サービス館

館内は自由見学であるが、ガイドを申し込むこともできる[2]測量の日キャラクターである「マッピーくん」が地図と測量の科学館のキャラクターとしても活躍している[6]

  • 開館時間:9時30分〜16時30分
  • 休館日:月曜日祝日の場合は翌日)、年末年始

展示館

[編集]

入り口のホールには日本列島空中散歩マップ(10万分の1スケール[7]、縦7m×横25m[3])があり、赤青の3Dメガネをかけると立体的に見える[8]。階段には、著名な測量技術者の肖像画が掲示されている[9]

たっちず

[編集]

タッチできる画面で地図がみることができる。高さや昔の地図を見ることができる。[10]

常設展示室

[編集]

メインの展示室。入り口のワープトンネルを通り[6]、トンネルの左側に「A.地球に向かう」、トンネルの奥(裏側)に「B.情報に向かう」、トンネルの右側に「C.暮らしに向かう」の3つのテーマに沿って展示されている[5]。全部で30のコーナーから成り、パネルコンピュータグラフィックス・測量機器・コンピュータなどを利用した展示がある[11]

A.地球に向かう
グローバルスケールの展示を行う[11]。「大地からのコール」のコーナーでは、などが流れ、「位置を示す」のコーナーでは、日本経緯度原点日本水準原点の解説と一等三角点標石や対空標識の展示がされている[3]
B.情報に向かう
パブリックスケールの展示を行う[11]。「目測の天才」のコーナーでは、距離高さ角度目測で推定し、クイズ形式でその精度を測ることができる[11]日本古地図世界各国の地形図の展示もある[11]
C.暮らしに向かう
ヒューマンスケールの展示を行う[11]。「地図工房」のコーナーではコンピュータを用いた地図製作体験、「地図をつくろう」のコーナーでは型紙を使った富士山の地図製作体験ができる[12]

特別展示室

[編集]

年に7回開催される[2]企画展の会場として利用される[12]。第1回の企画展は、「地図 楽しさと遊びの世界」と題して、日本や世界のさまざまな時代絵地図鳥瞰図が展示された[12]2012年(平成24年)5月現在の企画展は「東日本大震災から1年」である[7]

オリエンテーションルーム

[編集]

130インチ(3.302m)の大型スクリーンを持つ、会議室オーディオ・ビジュアルルームを兼ねた部屋である[13]。80人程度収容[13]。児童向けの映像上演のほか、学会の会場として使用されたこともある[13]

売店

[編集]

財団法人日本地図センターの「つくば販売カウンター」であり[14]、国土地理院が発行する最新の全地図のほか、官民の発行した地図帳、地図や測量に関する図書、地図グッズ(地球儀キルビメータなど)を販売する[13]。以前は喫茶室が併設されており、喫煙可能であった[5][15]

情報サービス館

[編集]

戦後から現在までの空中写真(1948年〈昭和23年〉まではアメリカ軍撮影、以降は国土地理院)、明治以降の旧版地形図、世界各国の地図、「基準点成果」などの閲覧謄本交付を行う[16]。ホールと情報サービス館の間を結ぶ通路は「地図のギャラリー」として、国土地理院の主題図や数値地図を出力した地図を展示する[17]

地球ひろば

[編集]
「くにかぜ」

屋外展示であり、メインは20万分の1地勢図をつなぎ合わせて作ったセラミックタイルでできた[13]球体模型である[16]。地球の丸さや日本の国土の広さを体感できる[7]。つくば市を中心として[16]、日本列島全体を包含する半径2,200kmの範囲を切り取ったもので[13]、実際の直径は21.5mである[16]。身長170cmの人が球体の上に立つと、高度約300kmの軌道上にある人工衛星から日本を見下ろしているのと同じように見える[17]2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災以降、一般公開を中止していたが、大塚オーミ陶業が修復し、平成の大合併を反映した地勢図を使った模型に生まれ変わった[18]

測量用航空機「くにかぜ」の展示も行われている[13]

歴史

[編集]

地図と測量の科学館の開館前より、地図関係の書物を多数所蔵する機関は、国立歴史民俗博物館神戸市立博物館天理大学附属天理図書館など日本各地に存在したが、「地図専門」の博物館はなく、ましてや測量に関する博物館は存在しなかった[6]。また既存の地図関係資料を所蔵する機関は、すべての人々にとって親しみやすい施設であるとは言い難い状況であった[6]。そこで、1988年(昭和63年)4月21日日本学術会議は「科学技術の最先端を行く国にふさわしい地図に関する博物館」の建設を内閣総理大臣に対して提言した[19]。提言時点での施設名の仮称は「国立地図博物館」であった[19]

これを受けて、国土地理院は有識者の意見を聞きながら、地図や測量について親しめるような施設を設置することを検討することになった[20]。そして1996年(平成8年)6月1日に「地図と測量の科学館」が開館した[4]。この年のには、日本国際地図学会の定期大会が、オリエンテーションルームで開催された[13]

2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生、地図と測量の科学館も被災したが、4月23日より再開した[21]。しかしその時点で地球ひろばの球体模型は復旧しておらず、同年12月23日に修復されたものが公開された[18]。制作費用は5355万円である[22]

交通

[編集]

駐車場あり(無料)[8]

脚注

[編集]
  1. ^ 国土地理院広報"4万人を超えました!-「地図と測量の科学館」平成16年度の入館者数-"2005年4月(2012年4月29日閲覧。)
  2. ^ a b c d e f g いばらき観光サーベイ委員会 監修(2006):215ページ
  3. ^ a b c 山本(2006):25ページ
  4. ^ a b 長岡(1997):42ページ
  5. ^ a b c d 長岡(1997):43ページ
  6. ^ a b c d 日本測量協会(1996):34ページ
  7. ^ a b c 常陽ぷらざ(2012):10ページ
  8. ^ a b アイドマ・スタジオ 編(2010):44ページ
  9. ^ OBのたわごと(2014年2月15日閲覧。)
  10. ^ 2012年6月中旬現在の地図は平成19年のデーターである。
  11. ^ a b c d e f 長岡(1997):44ページ
  12. ^ a b c 日本測量協会(1996):36ページ
  13. ^ a b c d e f g h 長岡(1997):45ページ
  14. ^ 財団法人日本地図センター"つくば販売カウンター - 日本地図センター"(2012年4月30日閲覧。)
  15. ^ OBのたわごと(2014年2月15日閲覧。)
  16. ^ a b c d 小澤(1997):17ページ
  17. ^ a b 山本(2006):27ページ
  18. ^ a b 大塚オーミ陶業"国土地理院 陶板による日本列島球体模型を公開"2012年2月7日(2012年4月30日閲覧。)
  19. ^ a b 日本測量協会(1996):35ページ
  20. ^ 日本測量協会(1996):34 - 35ページ
  21. ^ 国土地理院総務部広報広聴室"「地図と測量の科学館」再開と「東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)関連展示」のお知らせ"(2012年4月30日閲覧。)
  22. ^ 国土地理院"公共調達の適正化について(平成18年8月25日付財計第2017号)に基づく競争入札に係る情報の公表(物品役務等)"平成23年度(2012年4月30日閲覧。)
  23. ^ 「地図と測量の科学館」ご利用案内|国土地理院”. 2018年11月18日閲覧。
  24. ^ つくばサイエンスツアーバス|関東鉄道|地域のふれあいパートナー”. 2018年11月18日閲覧。

参考文献

[編集]
  • アイドマ・スタジオ 編『まっぷる茨城 水戸・水郷・つくば '11』昭文社、2010年8月15日、135pp. ISBN 978-4-398-26737-5
  • いばらき観光サーベイ委員会 監修『サーベイ茨城』昭文社、2006年7月、351pp. ISBN 4-398-13708-4
  • 小澤知子(1997)"探訪記 国土地理院―「地図と測量の科学館」―"参考書誌研究(国立国会図書館主題情報部).48:17.
  • 長岡正利(1997)"国土地理院に「地図と測量の科学館」―平成8年6月1日開館―"びぶろす(国立国会図書館協力部).48(2):42-45.
  • 日本測量協会(1996)"地図と測量の科学館が6月にオープン!"測量(日本測量協会).46(5):34-37.
  • 山本国雄(2006)"地図と測量の情報発信基地―国土地理院「地図と測量の科学館」開館10周年―"地図(日本国際地図学会).44(3):25-27.
  • 『月刊PLAZA県南版 2012年5月号』vol.91、常陽ぷらざ、平成24年5月1日、39pp.
  • パンフレット(2012.3)

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]