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1966年メキシコグランプリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
メキシコ 1966年メキシコグランプリ
レース詳細
1966年F1世界選手権全9戦の第9戦
マグダレナ・ミクスカ(1962–1970)
マグダレナ・ミクスカ(1962–1970)
日程 1966年10月23日
正式名称 V Gran Premio de Mexico
開催地 マグダレナ・ミクスカ
メキシコの旗 メキシコ メキシコシティ
コース 恒久的レース施設
コース長 5.000 km (3.107 mi)
レース距離 65周 325.000 km (201.946 mi)
決勝日天候 晴(ドライ)
ポールポジション
ドライバー クーパー-マセラティ
タイム 1:53.18
ファステストラップ
ドライバー アメリカ合衆国の旗 リッチー・ギンサー ホンダ
タイム 1:53.75 (58周目)
決勝順位
優勝 クーパー-マセラティ
2位 ブラバム-レプコ
3位 ブラバム-レプコ

1966年メキシコグランプリ (1966 Mexican Grand Prix) は、1966年のF1世界選手権第9戦(最終戦)として、1966年10月23日シウダ・デポルティーバ・マグダレナ・ミクスカで開催された。

メキシコグランプリの開催は5回目で、レースは全長5 km (3.1 mi)のコースを65周する325 km (202 mi)の距離で行われた。それは新しい3リッター規定の下での最初の走行だった[1]

本レースはイギリス出身のジョン・サーティースクーパー・T81-マセラティで優勝し、フェラーリからクーパーに移籍してからの初勝利を挙げた。ブラバム・BT20-レプコを駆る本年度王者でオーストラリア出身のオーナードライバーであるジャック・ブラバムがサーティースから8秒遅れの2位[2]、同じくブラバム・BT20を駆るブラバムのチームメイトでニュージーランド出身のデニス・ハルムが1周遅れの3位となった。

サーティースはこの勝利でチームメイトのヨッヘン・リントを上回り、ドライバーズランキング2位を確定させた。

レース概要

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ジョン・サーティースは、シーズン半ばにフェラーリからクーパーへ移籍してからの初勝利を挙げた。彼は6周目にジャック・ブラバムからリードを奪ってから首位を独走していく。フェラーリはイタリア国内の労働ストライキの影響でイギリスGPに続いて今シーズン2戦目の欠場[3]ジム・クラークはギアボックスの問題を抱えて早々にリタイア、BRM勢もレース前半でリタイアした。前年のメキシコGPで優勝したリッチー・ギンサーは、前年同様スタートでトップに立ったものの、前年のようなパンチ力はなく徐々に順位を落としていく。しかし、レースの進行とともに順位を上げていき、地元出身のペドロ・ロドリゲスがリタイアした頃には3位まで順位を戻した。ギンサーは2位のブラバムを追うが、逆にギンサーを追っていたチームメイトのデニス・ハルムを援護するブラバムの巧みなブロックでハルムに抜かれて4位に落ち、そのままフィニッシュした。ギンサーは58周目にファステストラップを記録し、ホンダにこの年唯一の入賞をもたらした[4]。チームメイトのロニー・バックナムは電気配線の短絡によりマシンが突然火を噴いてピットインを余儀なくされたが、応急処置を施しコースに復帰してから猛烈な追い上げを見せ、8位まで順位を戻した[5]。ギンサーとバックナムはこの年を最後にホンダを離れ[6]、結果的にこれが両者ともF1最後のレース[注 1]となった。ブラバムは唯一サーティースと同一周回の2位までフィニッシュした。

3リッター規定の初年度は、5種類のエンジン[注 2]と5つのコンストラクター[注 3]が勝利を挙げた。

エントリーリスト

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チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー エンジン タイヤ
イギリスの旗 チーム・ロータス 1 イギリスの旗 ジム・クラーク ロータス 43 BRM P75 3.0L H16 F
2 イギリスの旗 ピーター・アランデル 33 BRM P60 1.9L V8
11 メキシコの旗 ペドロ・ロドリゲス クライマックス FWMV 2.0L V8
イギリスの旗 オーウェン・レーシング・オーガニゼーション 3 イギリスの旗 グラハム・ヒル BRM P83 BRM P75 3.0L H16 D
4 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート
イギリスの旗 ブラバム・レーシング・オーガニゼーション 5 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム ブラバム BT20 レプコ 620 3.0L V8 G
6 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム
イギリスの旗 クーパー・カー・カンパニー 7 イギリスの旗 ジョン・サーティース クーパー T81 マセラティ 9/F1 3.0L V12 D
8 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント
9 メキシコの旗 モイセス・ソラーナ
イギリスの旗 バーナード・ホワイト・レーシング 10 イギリスの旗 イネス・アイルランド BRM P261 BRM P60 1.9L V8 F
日本の旗 ホンダ・R&D・カンパニー 12 アメリカ合衆国の旗 リッチー・ギンサー ホンダ RA273 ホンダ RA273E 3.0L V12 G
14 アメリカ合衆国の旗 ロニー・バックナム
アメリカ合衆国の旗 アングロ・アメリカン・レーサーズ 15 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー イーグル T1F クライマックス FPF 2.8L L4 G
16 アメリカ合衆国の旗 ボブ・ボンドゥラント T1G ウェスレイク 58 3.0L V12
イギリスの旗 ブルース・マクラーレン・モーターレーシング 17 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン マクラーレン M2B フォード 406 3.0L V8 F
イギリスの旗 レグ・パーネル・レーシング 18 イギリスの旗 マイク・スペンス ロータス 25 BRM P56 2.0L V8 F
イギリスの旗 R.R.C. ウォーカー・レーシングチーム 19 スイスの旗 ジョー・シフェール クーパー T81 マセラティ 9/F1 3.0L V12 D
スイスの旗 アングロ・スイッセ・レーシングチーム 22 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ クーパー T81 マセラティ 9/F1 3.0L V12 F
ソース:[7]

結果

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予選

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順位 No. ドライバー コンストラクター タイム グリッド
1 7 イギリスの旗 ジョン・サーティース クーパー-マセラティ 1:53.18 - 1
2 1 イギリスの旗 ジム・クラーク ロータス-BRM 1:53.50 +0.32 2
3 12 アメリカ合衆国の旗 リッチー・ギンサー ホンダ 1:53.56 +0.38 3
4 5 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム ブラバム-レプコ 1:53.95 +0.77 4
5 8 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント クーパー-マセラティ 1:54.19 +1.01 5
6 6 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム ブラバム-レプコ 1:54.21 +1.03 6
7 3 イギリスの旗 グラハム・ヒル BRM 1:54.61 +1.43 7
8 11 メキシコの旗 ペドロ・ロドリゲス ロータス-クライマックス 1:54.78 +1.60 8
9 15 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー イーグル-クライマックス 1:54.93 +1.75 9
10 4 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート BRM 1:55.90 +2.72 10
11 18 イギリスの旗 マイク・スペンス ロータス-BRM 1:55.98 +2.80 DNS 1
12 19 スイスの旗 ジョー・シフェール クーパー-マセラティ 1:55.99 +2.81 11
13 22 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ クーパー-マセラティ 1:56.49 +3.31 12
14 14 アメリカ合衆国の旗 ロニー・バックナム ホンダ 1:56.59 +3.41 13
15 17 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン マクラーレン-フォード 1:56.84 +3.66 14
16 9 メキシコの旗 モイセス・ソラーナ クーパー-マセラティ 1:57.44 +4.26 15
17 10 イギリスの旗 イネス・アイルランド BRM 1:57.46 +4.28 16
18 2 イギリスの旗 ピーター・アランデル ロータス-BRM 2:00.79 +7.61 17
19 16 アメリカ合衆国の旗 ボブ・ボンドゥラント イーグル-ウェスレイク 2:02.88 +9.70 18
ソース:[8]
追記
  • ^1 - スペンスは予選中のアクシデントで負傷したため、決勝への出走を見合わせた[9]

決勝

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順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 7 イギリスの旗 ジョン・サーティース クーパー-マセラティ 65 2:06:35.34 1 9
2 5 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム ブラバム-レプコ 65 +7.88 4 6
3 6 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム ブラバム-レプコ 64 +1 Lap 6 4
4 12 アメリカ合衆国の旗 リッチー・ギンサー ホンダ 64 +1 Lap 3 3
5 15 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー イーグル-クライマックス 64 +1 Lap 9 2
6 22 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ クーパー-マセラティ 63 +2 Laps 12 1
7 2 イギリスの旗 ピーター・アランデル ロータス-BRM 61 +4 Laps 17
8 14 アメリカ合衆国の旗 ロニー・バックナム ホンダ 60 +5 Laps 13
Ret 11 メキシコの旗 ペドロ・ロドリゲス ロータス-クライマックス 49 ディファレンシャル 8
Ret 17 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン マクラーレン-フォード 40 エンジン 14
Ret 19 スイスの旗 ジョー・シフェール クーパー-マセラティ 33 サスペンション 11
Ret 8 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント クーパー-マセラティ 32 サスペンション 5
Ret 10 イギリスの旗 イネス・アイルランド BRM 28 トランスミッション 16
Ret 4 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート BRM 26 オイル漏れ 10
Ret 16 アメリカ合衆国の旗 ボブ・ボンドゥラント イーグル-ウェスレイク 24 燃料システム 18
Ret 3 イギリスの旗 グラハム・ヒル BRM 18 エンジン 7
Ret 1 イギリスの旗 ジム・クラーク ロータス-BRM 9 ギアボックス 2
Ret 9 メキシコの旗 モイセス・ソラーナ クーパー-マセラティ 9 オーバーヒート 15
DNS 18 イギリスの旗 マイク・スペンス ロータス-BRM 予選でアクシデント
ソース:[10]
ファステストラップ[11]
ラップリーダー[12]

ランキング

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  • : トップ5のみ表示。ベスト5戦のみがカウントされる。ポイントは有効ポイント、括弧内は総獲得ポイント。

脚注

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注釈

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  1. ^ ギンサーは翌年イーグルへ移籍するが、移籍初戦のモナコGPで予選落ちした後に引退した。 (林信次 1995, p. 50)
  2. ^ 開催順にBRM V8、フェラーリV12、レプコV8、BRM H16、マセラティV12。
  3. ^ 開催順にBRM、フェラーリ、ブラバム、ロータス、クーパー。

出典

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  1. ^ Kettlewell, Mike. "Grand Prix Racing South of the Border", in Ward, Ian, executive editor. World of Automobiles (London: Orbis, 1974) Volume 12, p.1332.
  2. ^ Kettlewell, p.1332.
  3. ^ (林信次 1995, p. 19)
  4. ^ (中村良夫 1998, p. 200-201)
  5. ^ (中村良夫 1998, p. 201)
  6. ^ (中村良夫 1998, p. 201-202)
  7. ^ Mexico 1966 - Race entrants”. STATS F1. 2019年5月26日閲覧。
  8. ^ Mexico 1966 - Qualifications”. STATS F1. 2019年5月26日閲覧。
  9. ^ Mexico 1966 - Starting grid”. STATS F1. 2019年5月26日閲覧。
  10. ^ 1966 Mexican Grand Prix”. formula1.com. 6 October 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。26 September 2015閲覧。
  11. ^ Mexico 1966 - Best laps”. STATS F1. 2019年5月23日閲覧。
  12. ^ Mexico 1966 - Laps led”. STATS F1. 2019年5月23日閲覧。
  13. ^ a b Mexico 1966 - Championship”. STATS F1. 19 March 2019閲覧。

参照文献

[編集]
  • en:1966 Mexican Grand Prix(2019年3月19日 14:37:50(UTC))より翻訳
  • 林信次『F1全史 1966-1970 [3リッターF1の開幕/ホンダ挑戦期の終わり]』ニューズ出版、1995年。ISBN 4-938495-06-6 
  • 中村良夫『F-1グランプリ ホンダF-1と共に 1963-1968 (愛蔵版)』三樹書房、1998年。ISBN 4-89522-233-0 

外部リンク

[編集]
前戦
1966年アメリカグランプリ
FIA F1世界選手権
1966年シーズン
前回開催
1965年メキシコグランプリ
メキシコの旗 メキシコグランプリ 次回開催
1967年メキシコグランプリ