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1969年オランダグランプリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オランダ 1969年オランダグランプリ
レース詳細
1969年F1世界選手権全11戦の第4戦
ザントフォールト (1948-1971)
ザントフォールト (1948-1971)
日程 1969年6月21日
正式名称 XVII Grote Prijs van Nederland
開催地 ザントフォールト・サーキット
オランダの旗 オランダ ザントフォールト
コース 恒久的レース施設
コース長 4.193 km (2.605 mi)
レース距離 90周 377.370 km (234.487 mi)
決勝日天候 晴(ドライ)
ポールポジション
ドライバー ロータス-フォード
タイム 1:20.85
ファステストラップ
ドライバー イギリス ジャッキー・スチュワート マトラ-フォード
タイム 1:22.94 (5周目)
決勝順位
優勝 マトラ-フォード
2位 ロータス-フォード
3位 フェラーリ

1969年オランダグランプリ (1969 Dutch Grand Prix) は、1969年のF1世界選手権第4戦として、1969年6月21日ザントフォールト・サーキットで開催された。

レースは90周で行われ、マトラジャッキー・スチュワートが2番グリッドから優勝し、ロブ・ウォーカーロータスを駆るジョー・シフェールが2位、フェラーリクリス・エイモンが3位となった。

背景

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本レースの前に開催される予定であったベルギーGPは、安全性の問題でレース主催者とグランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)の間で論争となりキャンセルされた。このため、前戦モナコGPから5週間空くことになった[1]

深刻な財政難に陥っていたフェラーリは、6月18日フィアットとの交渉がまとまり、フィアットの傘下に入ることになった。これにより、ロードカー部門はフィアットの管轄下となったが、モータースポーツ部門の「スクーデリア・フェラーリ」は引き続きエンツォ・フェラーリの存命中まで彼の手に委ねられることになった[2]

エントリー

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プラクティスで四輪駆動ロータス・63を走らせたグラハム・ヒル

前戦モナコGPでハイウィングが禁止され、各チームともできる限りのダウンフォースを得るために様々な形状の小型ウィング、スポイラー、エアダムなどのエアロパーツをトライしていく中[3]ロータスマトラ四輪駆動F1マシンの開発に取り組み[注 1]、そのプロトタイプを持ち込んだ。グラハム・ヒルロータス・63を、ジャッキー・スチュワートマトラ・MS84を走らせた[1]

BRMジョン・サーティースに新車P139を用意したが、どちらかと言えば期待外れだった。アンティーク・オートモビルズ英語版は、前戦モナコGPで走らせた古いクーパー・T86Bに代わり、現代的なマクラーレン・M7Bに置き換えた[1]。このM7Bは従来型のM7Aとは異なり、燃料タンクがマシン側面にマウントされているのが特徴であった[4]

エントリーリスト

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チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー エンジン タイヤ
イギリスの旗 ゴールドリーフ・チーム・ロータス 1 イギリスの旗 グラハム・ヒル ロータス 49B フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
2 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント
3 アメリカ合衆国の旗 マリオ・アンドレッティ 1
イギリスの旗 マトラ・インターナショナル 4 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート マトラ MS80 フォードコスワース DFV 3.0L V8 D
5 フランスの旗 ジャン=ピエール・ベルトワーズ
イギリスの旗 ブルース・マクラーレン・モーターレーシング 6 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム マクラーレン M7A フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
7 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン M7C
イタリアの旗 スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC 8 ニュージーランドの旗 クリス・エイモン フェラーリ 312/69 フェラーリ 255C 3.0L V12 F
9 メキシコの旗 ペドロ・ロドリゲス 2
イギリスの旗 ロブ・ウォーカー/ジャック・ダーラッシャー・レーシングチーム 10 スイスの旗 ジョー・シフェール ロータス 49B フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
イギリスの旗 モーターレーシング・ディベロップメンツ・リミテッド 11 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム ブラバム BT26A フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
12 ベルギーの旗 ジャッキー・イクス
イギリスの旗 オーウェン・レーシング・オーガニゼーション 14 イギリスの旗 ジョン・サーティース BRM P138 BRM P142 3.0L V12 D
15 イギリスの旗 ジャッキー・オリバー P133
イギリスの旗 フランク・ウィリアムズ・レーシングカーズ 16 イギリスの旗 ピアス・カレッジ ブラバム BT26A フォードコスワース DFV 3.0L V8 D
スイスの旗 シルビオ・モーザー・レーシングチーム 17 スイスの旗 シルビオ・モーザー ブラバム BT24 フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
イギリスの旗 アンティーク・オートモビルズ 18 イギリスの旗 ビック・エルフォード マクラーレン M7B[4] フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
ソース:[5]
追記
  • ^1 - アンドレッティは他のレースに出場したため欠場[6]
  • ^2 - ロドリゲスはエントリーを拒否された[6]

予選

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ロータスヨッヘン・リントポールポジションを獲得し、ジャッキー・スチュワートはレースカーのマトラ・MS80で2番手、グラハム・ヒルもレースカーのロータス・49Bで3番手となり、この3人がフロントローを占めた[注 2]クリス・エイモンフェラーリ)とジャッキー・イクスブラバム)が2列目を占め、3列目はブルース・マクラーレンデニス・ハルムマクラーレン勢、ジャック・ブラバム(ブラバム)のオセアニア出身者が占めた[1]

予選結果

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順位 No. ドライバー コンストラクター タイム グリッド
1 2 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント ロータス-フォード 1:20.85 - 1
2 4 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート マトラ-フォード 1:21.14 +0.29 2
3 1 イギリスの旗 グラハム・ヒル ロータス-フォード 1:22.01 +1.16 3
4 8 ニュージーランドの旗 クリス・エイモン フェラーリ 1:22.69 +1.84 4
5 12 ベルギーの旗 ジャッキー・イクス ブラバム-フォード 1:22.85 +2.00 5
6 6 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン マクラーレン-フォード 1:22.87 +2.02 6
7 7 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム マクラーレン-フォード 1:23.07 +2.22 7
8 11 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム ブラバム-フォード 1:23.10 +2.25 8
9 16 イギリスの旗 ピアス・カレッジ ブラバム-フォード 1:23.36 +2.51 9
10 10 スイスの旗 ジョー・シフェール ロータス-フォード 1:23.94 +3.09 10
11 5 フランスの旗 ジャン=ピエール・ベルトワーズ マトラ-フォード 1:24.44 +3.59 11
12 14 イギリスの旗 ジョン・サーティース BRM 1:25.07 +4.22 12
13 15 イギリスの旗 ジャッキー・オリバー BRM 1:25.11 +4.26 13
14 17 スイスの旗 シルビオ・モーザー ブラバム-フォード 1:26.50 +5.65 14
15 18 イギリスの旗 ビック・エルフォード マクラーレン-フォード 1:28.47 +7.62 15
ソース:[7][8]

決勝

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レースを制したジャッキー・スチュワート

グラハム・ヒルがスタートでヨッヘン・リントからリードを奪い、ジャッキー・スチュワートクリス・エイモンと好スタートを切ったデニス・ハルムを従えて3位となった。3周目にリントはヒルを抜いて首位に立ち、2周以内にスチュワートもヒルを抜き、ヒルは3位に後退した。その後、リントはスチュワートを引き離していったが、17周目にドライブシャフトが壊れてリタイアに終わり、スチュワートが首位に立った。この間にジョー・シフェールロブ・ウォーカーロータス)は3位まで順位を上げ、リントがリタイアして2位に浮上した。ヒルはハンドリングに不満を抱いてピットインし、ハルム、エイモン、ジャッキー・イクスジャック・ブラバムが3位を争うことになった。この3位争いは最終ラップまで続き[1]、エイモンが大接戦を制して3位表彰台を獲得したが[9]、エイモンがフェラーリでフィニッシュしたのは結果的にこれが最後となった[10]

スチュワートは2位のシフェールに24秒差を付ける独走で[1]、早くも今季3勝目を挙げた[11]

レース結果

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順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 4 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート マトラ-フォード 90 2:06:42.08 2 9
2 10 スイスの旗 ジョー・シフェール ロータス-フォード 90 +24.52 10 6
3 8 ニュージーランドの旗 クリス・エイモン フェラーリ 90 +30.51 4 4
4 7 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム マクラーレン-フォード 90 +37.16 7 3
5 12 ベルギーの旗 ジャッキー・イクス ブラバム-フォード 90 +37.67 5 2
6 11 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム ブラバム-フォード 90 +1:10.81 8 1
7 1 イギリスの旗 グラハム・ヒル ロータス-フォード 88 +2 Laps 3
8 5 フランスの旗 ジャン=ピエール・ベルトワーズ マトラ-フォード 87 +3 Laps 11
9 14 イギリスの旗 ジョン・サーティース BRM 87 +3 Laps 12
10 18 イギリスの旗 ビック・エルフォード マクラーレン-フォード 84 +6 Laps 15
Ret 17 スイスの旗 シルビオ・モーザー ブラバム-フォード 54 イグニッション 14
Ret 6 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン マクラーレン-フォード 24 サスペンション 6
Ret 2 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント ロータス-フォード 16 ハーフシャフト 1
Ret 16 イギリスの旗 ピアス・カレッジ ブラバム-フォード 12 クラッチ 9
Ret 15 イギリスの旗 ジャッキー・オリバー BRM 9 ギアボックス 13
ソース:[12]
ファステストラップ[13]
ラップリーダー[14]
太字は最多ラップリーダー

第4戦終了時点のランキング

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  • : トップ5のみ表示。前半6戦のうちベスト5戦及び後半5戦のうちベスト4戦がカウントされる。

脚注

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注釈

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  1. ^ 両チームの他、マクラーレンとコスワースもこの年四輪駆動F1マシンを開発し、コスワース以外は実戦に出場している。
  2. ^ 本レースのスターティンググリッドは3-2-3。

出典

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  1. ^ a b c d e f Dutch GP, 1969”. grandprix.com. 2019年11月10日閲覧。
  2. ^ (アラン・ヘンリー 1989, p. 245)
  3. ^ (林信次 1995, p. 87)
  4. ^ a b (林信次 1995, p. 90)
  5. ^ Netherlands 1969 - Race entrants”. STATS F1. 2019年10月24日閲覧。
  6. ^ a b Netherlands 1969 - Result”. STATS F1. 2019年11月10日閲覧。
  7. ^ Netherlands 1969 - Qualifications”. STATS F1. 2019年11月10日閲覧。
  8. ^ Netherlands 1969 - Starting grid”. STATS F1. 2019年11月10日閲覧。
  9. ^ (林信次 1995, p. 84)
  10. ^ (アラン・ヘンリー 1989, p. 247)
  11. ^ (林信次 1995, p. 79)
  12. ^ 1969 Dutch Grand Prix”. formula1.com. 9 January 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。22 December 2015閲覧。
  13. ^ Netherlands 1969 - Best laps”. STATS F1. 2019年11月12日閲覧。
  14. ^ Netherlands 1969 - Laps led”. STATS F1. 2019年11月12日閲覧。
  15. ^ a b Netherlands 1969 - Championship”. STATS F1. 15 March 2019閲覧。

参照文献

[編集]
  • Wikipedia英語版 - en:1969 Dutch Grand Prix(2019年3月15日 9:37:50(UTC))
  • Lang, Mike (1982). Grand Prix! Vol 2. Haynes Publishing Group. pp. 94–95. ISBN 0-85429-321-3 
  • 林信次『F1全史 1966-1970 [3リッターF1の開幕/ホンダ挑戦期の終わり]』ニューズ出版、1995年。ISBN 4-938495-06-6 
  • アラン・ヘンリー『チーム・フェラーリの全て』早川麻百合+島江政弘(訳)、CBS・ソニー出版、1989年12月。ISBN 4-7897-0491-2 

外部リンク

[編集]
前戦
1969年モナコグランプリ
FIA F1世界選手権
1969年シーズン
次戦
1969年フランスグランプリ
前回開催
1968年オランダグランプリ
オランダの旗 オランダグランプリ 次回開催
1970年オランダグランプリ