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網 (松本清張)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 長編小説
シリーズ黒の線刻画」第1話
発表形態 新聞連載
初出情報
初出日本経済新聞1975年3月9日 - 1976年3月17日
出版元 日本経済新聞社
挿絵 風間完
刊本情報
刊行 『網』上下巻
出版元 光文社
出版年月日 1984年9月10日
装画 伊藤憲治
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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』(あみ)は、松本清張の長編推理小説。戦時中に培われた軍人の信義と戦後社会との葛藤が生んだ連続殺人事件を描くミステリー長編。「黒の線刻画」第1話として『日本経済新聞』に連載され(1975年3月9日 - 1976年3月17日付、連載時の挿絵は風間完)、1984年9月に光文社文庫から刊行された。

あらすじ

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小説家の小西康夫は、かつての戦友・沼田貞一が社長をしている中北新聞に小説の連載を始めた。しかし、このことで小西は奇妙な事件に巻き込まれることになった。衆議院解散総選挙ののち、沼田の関係者が姿を消す。さらに小西のもとに続々と不思議な人物が現われ、四国八十八箇所にちなむ巡礼歌が送られてきた。小西はその巡礼歌に不吉な意味を嗅ぎ取るが、事件は小西の予想を上回る形で展開する。小西は現場を踏査し徐々に推理の輪をしぼっていくが…。

主な登場人物

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小西康夫
小説家だが、売れる作家ではない。軍隊では教育召集二等兵だった。
沼田貞一
地方紙・中北新聞社の社長。現役志願兵として軍隊に入隊、小西と同じ班に所属していた。
小西登代子
小西康夫の妻。
桑木二郎
小西康夫の従弟。地方検察庁の次席検事。選挙違反の取調べに関わる。
坂井大助
香月町の地酒「雪の峰」醸造元主人。町議会副議長。大入道のように肥えている。62歳。
坂井真二
坂井大助の次男。25歳。非行が多い。
土井謙蔵
与党新人候補者の選挙参謀となる。54歳。その過去は…。
斉藤久太郎
軍隊で小西と同じ班にいた先任上等兵
畑益夫
文化通信社の営業部長。

エピソード

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  • 著者は作中の選挙違反の記述にあたり、高橋秋一郎「選挙違反事件の捜査公判を通して見た選挙犯罪の実体について」(法務研修所発行)を参考にしたことを明かし、以下のようにアイデアを書きつけている。「候補者から多額な選挙運動費を貰うが、新聞紙面だけのPRにして、実際運動はせず、そのため自分だけが選挙違反(買収)にひっかからなかった地方新聞の社長。彼はその金で負債を返した」[1]

関連項目

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  • 軍人勅諭…沼田貞一は全て暗唱していた。原文はウィキソース(「陸海軍軍人に賜はりたる勅諭」)参照。
  • 戦闘綱要…小西康夫もおぼろげに覚えている。
  • 中丸町 (板橋区)白銀林道…いずれも本作の舞台。なお作中の「サザン・コースト・ゴルフクラブ」は実在しないが、該当する土地のゴルフ場(小田原城カントリークラブ)は存在する。
  • 湯河原温泉

脚注・出典

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  1. ^ 「創作ヒント・ノート」(『小説新潮』1980年2-3月号掲載、『作家の手帖』(1981年、文藝春秋)に収録)参照。