1994年ドイツグランプリ
レース詳細 | |||
---|---|---|---|
日程 | 1994年シーズン第9戦 | ||
決勝開催日 | 1994年7月31日 | ||
開催地 |
ホッケンハイムリンク ドイツ ホッケンハイム | ||
コース長 | 6.823km | ||
レース距離 | 45周(307.035km) | ||
決勝日天候 | 晴れ(ドライ) | ||
ポールポジション | |||
ドライバー | |||
タイム | 1'43.582 | ||
ファステストラップ | |||
ドライバー | デビッド・クルサード | ||
タイム | 1'46.211(Lap 11) | ||
決勝順位 | |||
優勝 |
| ||
2位 | |||
3位 |
1994年ドイツグランプリ(1994 German Grand Prix)は1994年のF1世界選手権第9戦として7月31日にホッケンハイムリンクで開催された。
概要
[編集]国際自動車連盟 (FIA) の安全強化策として、マシンに「スキッドブロック」を装着することが義務化された。床下に薄い木板を貼り付けることで車高を上げさせ、ダウンフォース発生量を減らすことでコーナリング速度を落とすという狙いがあった。
前戦イギリスGPでの黒旗無視を理由に、ベネトンのミハエル・シューマッハは同レースの失格並びに2戦出場停止のペナルティを受けた。出場停止のペナルティに対しベネトンチームが抗議したため処分は保留され、シューマッハはこのレースへの出走が許可された。なお、シューマッハはベルギーGP後に2戦の出場停止処分を受けた。
予選
[編集]フェラーリのゲルハルト・ベルガーが個人としては1991年の日本GP以来となるポールポジションを獲得。2位にもチームメイトのジャン・アレジがつけ、フェラーリが1990年のポルトガルGP以来となるフロントロー独占を果たした。
3位にデイモン・ヒル、4位にはシューマッハがつけた。また、ティレルの片山右京が当時の日本人の予選最高位となる5位を獲得した。
予選結果
[編集]順位 | No | ドライバー | チーム | 1回目 | 2回目 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 28 | ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'44.616 | 1'43.582 |
2 | 27 | ジャン・アレジ | フェラーリ | 1'45.272 | 1'44.012 |
3 | 0 | デイモン・ヒル | ウィリアムズ・ルノー | 1'44.026 | 1'44.131 |
4 | 5 | ミハエル・シューマッハ | ベネトン・フォード | 1'44.875 | 1'44.268 |
5 | 3 | 片山右京 | ティレル・ヤマハ | 1'46.534 | 1'44.718 |
6 | 2 | デビッド・クルサード | ウィリアムズ・ルノー | 1'45.477 | 1'45.146 |
7 | 4 | マーク・ブランデル | ティレル・ヤマハ | 1'45.814 | 1'45.474 |
8 | 7 | ミカ・ハッキネン | マクラーレン・プジョー | 1'45.487 | 1'45.878 |
9 | 30 | ハインツ=ハラルド・フレンツェン | ザウバー・メルセデス | 1'46.488 | 1'45.893 |
10 | 15 | エディ・アーバイン | ジョーダン・ハート | 1'45.911 | 1'45.942 |
11 | 14 | ルーベンス・バリチェロ | ジョーダン・ハート | 1'45.962 | 1'45.939 |
12 | 26 | オリビエ・パニス | リジェ・ルノー | 1'47.925 | 1'46.165 |
13 | 8 | マーティン・ブランドル | マクラーレン・プジョー | 1'46.644 | 1'46.218 |
14 | 25 | エリック・ベルナール | リジェ・ルノー | 1'47.531 | 1'46.290 |
15 | 12 | ジョニー・ハーバート | ロータス・無限ホンダ | 1'48.621 | 1'46.630 |
16 | 10 | ジャンニ・モルビデリ | フットワーク・フォード | 1'47.814 | 1'46.817 |
17 | 9 | クリスチャン・フィッティパルディ | フットワーク・フォード | 1'47.150 | 1'47.102 |
18 | 29 | アンドレア・デ・チェザリス | ザウバー・メルセデス | 1'47.745 | 1'47.235 |
19 | 6 | ヨス・フェルスタッペン | ベネトン・フォード | 40'34.495' | 1'47.316 |
20 | 23 | ピエルルイジ・マルティニ | ミナルディ・フォード | 1'47.831 | 1'47.402 |
21 | 11 | アレッサンドロ・ザナルディ | ロータス・無限ホンダ | 1'47.678 | 1'47.425 |
22 | 20 | エリック・コマス | ラルース・フォード | 1'48.770 | 1'48.229 |
23 | 24 | ミケーレ・アルボレート | ミナルディ・フォード | 1'48.402 | 1'48.295 |
24 | 19 | オリビエ・ベレッタ | ラルース・フォード | 1'48.681 | 1'48.875 |
25 | 31 | デビッド・ブラバム | シムテック・フォード | 1'50.685 | 1'48.870 |
26 | 32 | ジャン=マルク・グーノン | シムテック・フォード | 1'50.361 | 1'49.204 |
予選落ち | 33 | ポール・ベルモンド | パシフィック・イルモア | 1'51.916 | 1'51.122 |
予選落ち | 34 | ベルトラン・ガショー | パシフィック・イルモア | 1'52.839 | 1'51.292 |
- 予選結果は AUTOCOURSE 1994-95[1]より。
決勝
[編集]スタート時にベルガー、アレジのフェラーリ・コンビが先行するが、隊列後方でザウバー、ロータス、ミナルディらのマシンが絡むマルチクラッシュが発生。さらに1コーナーではデビッド・クルサードと接触したミカ・ハッキネンがコントロールを失ってコースを横切り、それを避けようとしたマーク・ブランデルがスピン。あおりを受けてハインツ=ハラルド・フレンツェンとジョーダンの2台がコースを飛び出した。これにより10台ものマシンがリタイアに追い込まれる事態となるが、レースは続行となる。この1コーナーの多重接触の原因を作ったとして、ハッキネンが1戦の出場停止処分を受けた。
1コーナーを曲がった後、2位アレジのマシンにも電気系トラブルが発生し、リタイアとなった。ヒルとクルサードのウィリアムズ勢はオープニングラップ中に接触などでフロントウィングを傷つけ、ピットで交換する間に周回遅れに転落した。
片山は好スタートを決めて一瞬2位にジャンプアップ。次のクラークカーブでシューマッハには抜かれるも、ヒルのアタックを阻止して3位を走行した。しかし、7周目にスロットルのトラブルによりマシンを降りた。
15周目にベネトンのヨス・フェルスタッペンがピットストップして給油を行った際、給油口につないだ燃料ホースからガソリンが噴出。フェルスタッペン自身とマシンに降り注いだ直後に高温のエキゾーストパイプに触れて引火し、マシンは猛烈な炎に包まれた。迅速な消火活動の結果、フェルスタッペンやピットクルーが軽い火傷を負ったものの、幸いに大きな怪我はなかった。この年レース中の再給油が認められてから初めて起きた火災事故だったが、後にベネトンチームが給油速度を上げるために燃料ホースのフィルターを取り外す改造をしていたことが原因であることが判明した。
2位のシューマッハは母国初優勝に向けてトップのベルガーを猛追していたが、21周目にエンジントラブルによりガレージに戻ってリタイアした。
優勝候補が続々と脱落していく荒れた展開の中、ベルガーは安定した走りで一度もトップを譲ることもなく優勝。フェラーリに1990年スペイングランプリのアラン・プロスト以来4年(59レース)ぶりの優勝をもたらした。2位にはリジェのオリビエ・パニス、3位にチームメイトのエリック・ベルナールが入り、リジェは2台とも表彰台圏内でゴールした。4位と5位にはフットワークのクリスチャン・フィッティパルディとジャンニ・モルビデリ、6位にラルースのエリック・コマス。完走は8台というサバイバルレースとなった。
決勝結果
[編集]順位 | No | ドライバー | チーム | 周回 | タイム/リタイア | グリッド | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 28 | ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 45 | 1:22'37.272 | 1 | 10 |
2 | 26 | オリビエ・パニス | リジェ・ルノー | 45 | +54.779 | 12 | 6 |
3 | 25 | エリック・ベルナール | リジェ・ルノー | 45 | +1'05.042 | 14 | 4 |
4 | 9 | クリスチャン・フィッティパルディ | フットワーク・フォード | 45 | +1'21.609 | 17 | 3 |
5 | 10 | ジャンニ・モルビデリ | フットワーク・フォード | 45 | +1'30.544 | 16 | 2 |
6 | 20 | エリック・コマス | ラルース・フォード | 45 | +1'45.445 | 22 | 1 |
7 | 19 | オリビエ・ベレッタ | ラルース・フォード | 44 | +1 Lap | 24 | |
8 | 0 | デイモン・ヒル | ウィリアムズ・ルノー | 44 | +1 Lap | 3 | |
Ret | 32 | ジャン=マルク・グーノン | シムテック・フォード | 39 | エンジン | 26 | |
Ret | 31 | デビッド・ブラバム | シムテック・フォード | 37 | クラッチ | 25 | |
Ret | 5 | ミハエル・シューマッハ | ベネトン・フォード | 20 | エンジン | 4 | |
Ret | 8 | マーティン・ブランドル | マクラーレン・プジョー | 19 | エンジン | 13 | |
Ret | 2 | デビッド・クルサード | ウィリアムズ・ルノー | 17 | 電気系 | 6 | |
Ret | 6 | ヨス・フェルスタッペン | ベネトン・フォード | 15 | 火災 | 19 | |
Ret | 3 | 片山右京 | ティレル・ヤマハ | 6 | スロットル | 5 | |
Ret | 27 | ジャン・アレジ | フェラーリ | 0 | 電気系 | 2 | |
Ret | 4 | マーク・ブランデル | ティレル・ヤマハ | 0 | アクシデント | 7 | |
Ret | 7 | ミカ・ハッキネン | マクラーレン・プジョー | 0 | アクシデント | 8 | |
Ret | 30 | ハインツ=ハラルド・フレンツェン | ザウバー・メルセデス | 0 | アクシデント | 9 | |
Ret | 15 | エディ・アーバイン | ジョーダン・ハート | 0 | アクシデント | 10 | |
Ret | 14 | ルーベンス・バリチェロ | ジョーダン・ハート | 0 | アクシデント | 11 | |
Ret | 12 | ジョニー・ハーバート | ロータス・無限ホンダ | 0 | アクシデント | 15 | |
Ret | 29 | アンドレア・デ・チェザリス | ザウバー・メルセデス | 0 | アクシデント | 18 | |
Ret | 23 | ピエルルイジ・マルティニ | ミナルディ・フォード | 0 | アクシデント | 20 | |
Ret | 11 | アレッサンドロ・ザナルディ | ロータス・無限ホンダ | 0 | アクシデント | 21 | |
Ret | 24 | ミケーレ・アルボレート | ミナルディ・フォード | 0 | アクシデント | 23 |
脚注
[編集]- ^ Henry, Alan (ed.) (1994). AUTOCOURSE 1994-95. Hazleton Publishing. pp. pp.186-187. ISBN 1-874557-95-0
前戦 1994年イギリスグランプリ |
FIA F1世界選手権 1994年シーズン |
次戦 1994年ハンガリーグランプリ |
前回開催 1993年ドイツグランプリ |
ドイツグランプリ | 次回開催 1995年ドイツグランプリ |