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フランコ・モルビデリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フランコ・モルビデリ
2019年
国籍 イタリアの旗 イタリア
生年月日 (1994-12-04) 1994年12月4日(30歳)
イタリアローマ
現在のチーム プラマック・レーシング
ゼッケン 21
レースでの経歴
ロードレース世界選手権 MotoGPクラス
活動期間2018年 -
マニファクチャラーホンダ(2018年)
ヤマハ2019年 - 2023年
ドゥカティ2024年 -)
チャンピオン0
2023年 順位13位
出走回数 勝利数 表彰台 PP FL 総ポイント
105 3 6 2 1 519
ロードレース世界選手権 Moto2クラス
活動期間2013年 - 2017年
マニファクチャラースッター(2013年)
カレックス2014年 - 2017年)
チャンピオン1(2017年)
2017年 順位1位
出走回数 勝利数 表彰台 PP FL 総ポイント
71 8 21 6 13 686

フランコ・モルビデリ[1][2]Franco Morbidelli, 1994年12月4日 - )は、イタリアラツィオ州ローマ出身のオートバイレーサー。身長176 cm、体重64 kg[1]。愛称は「フランキー[3]」。

ロードレース世界選手権 (MotoGP) の2017年Moto2クラスチャンピオン。2018年よりMotoGPクラスに参戦している。

ヴァレンティーノ・ロッシが主宰するVR46ライダーズ・アカデミー所属。

経歴

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初期の活動

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モルビデリはイタリア人の父親とブラジル人の母親の間に生まれた。そのため、レースで被るヘルメットにはイタリア国旗ブラジル国旗のデザインがあしらわれている[4]

父リビオは1980年代にイタリア選手権の軽量クラスで活躍した元ライダーで、息子が2歳になった頃には手製のミニバイクを与えていた。フランコが10歳の頃、一家は彼のレースキャリアのためローマを離れ、マルケ州ペーザロに移住する[5]。そこは元GPライダーのグラツィアーノ・ロッシが住むタヴッリアに近く、"La Cava"(採石場)というダートトラックで息子のヴァレンティーノらが走り込んでいた。フランコは13歳の頃からヴァレンティーノと一緒にトレーニングをする機会に恵まれ、公私共に深い絆を結んでいった[5]

モルビデリは2006年にMotoGPのプラマック・ダンティーンチームと育成契約を結び[6]、イタリア国内の小排気量クラスやスペインのレースシリーズで経験を積んだ。しかし、ダンティーンの撤退により支援の当てがなくなり、世界GPへの進級ルートから外れ、プロダクションレースのスーパーストック600クラスに転向した。2011年よりスーパーバイク世界選手権 (SBK) と併催されるヨーロッパ・スーパーストック600選手権 (European Superstock 600 Championshipに参戦。3年目の2013年には父リヴィオの自殺という困難に直面したが、2勝を含む5度の表彰台に立ち、このクラスのチャンピオンを獲得した[7]

ロードレース世界選手権

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Moto2クラス

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スーパーストック600での活躍が認められ、2013年の世界選手権第13戦サンマリノGPにて、グレシーニ・レーシングよりワイルドカードとしてMoto2クラスに初参戦。さらに代役として終盤2戦に出場した。

2014年、ロッシ親子がイタリア人ライダー育成のため立ち上げたVR46ライダーズ・アカデミーの所属選手のひとりとなる[8]。イタルトランス・レーシングよりMoto2クラスにフル参戦し、最高順位5位、シリーズランキング11位で初年度を終えた。

2015年、第10戦インディアナポリスGPで3位初表彰台を獲得。しかし、イギリスGP前のトレーニング中に右脚を骨折し4戦を欠場。シリーズランキング10位で終える。

2016年、イタルトランスから強豪チーム、マルクVDSへ移籍。5戦連続を含め8度の表彰台を獲得し、シリーズランキング4位に躍進する。

2017年、開幕戦カタールGPにて初ポールポジションからポール・トゥ・ウィンで初優勝を達成[9]。続くアルゼンチンGPアメリカズGPと開幕3連勝し、トーマス・ルティやチームメイトのアレックス・マルケスらとチャンピオン争いを展開。フランスGPオランダGPドイツGPオーストリアGPアラゴンGPでも勝利を重ね、18戦中8勝を含め12度の表彰台を獲得し、2位のルティに65点差をつけMoto2クラスのシリーズチャンピオンに輝いた[10]

MotoGPクラス

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2018年、ホンダサテライトチームであるマルクVDSにて、最高峰のMotoGPクラスにステップアップ。最高順位はオーストラリアGPの8位。シリーズランキング15位で終え、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。

2019年、マルクVDSのMotoGPクラス撤退を受け、ヤマハのサテライトとして発足したセパン・レーシング・チーム (SRT) へ移籍。19戦中11戦でトップ10フィニッシュし、獲得ポイントも倍増し、シリーズランキング10位に成績を上げた。しかし、チームメイトのMotoGPルーキー、ファビオ・クアルタラロが見せたセンセーショナルな活躍の陰に隠れる形となった。

2020年、クアルタラロが最新のワークススペックのYZR-M1を入手したのに対し、モルビデリは2019年型ベースの「Aスペック」と差が付けられた。しかし、ヤマハのライダーたちが最新型の不安定性に悩まされる中、モルビデリはヤマハ勢トップの成績を残すことになった[11]。第3戦チェコGPは予選2位からレース中盤までトップを快走し、2位初表彰台を獲得[12]。第6戦サンマリノGPでは地元に近いミサノ・サーキットで師匠のロッシとトップを争い、MotoGPクラス初優勝を達成した[13]。第8戦カタルーニャGPで初ポールポジション、第11戦テルエルGPで2勝目、第13戦バレンシアGPでポール・トゥ・ウィンの3勝目を挙げ、チャンピオンのジョアン・ミルスズキ)に次ぐシリーズランキング2位になった[14]

2021年、ワークスチームへ昇格したクアルタラロと入れ替わる形でロッシがSRTへ移籍し、子弟コンビを組むことになる。モルビデリはメーカー側の財政事情から最新型を供給されず、アップデートを加えた2019年型(Aスペックプラス)を使用する[15]

2022年、昨シーズン終盤と同じモンスターエナジー・ヤマハMotoGPから参戦。

2023年は5年間過ごしたヤマハを離れ、来季はプラマック・レーシングへ移籍することがサンマリノGP後に発表された[16]ホルヘ・マルティンとチームを組む。また2024年には、第11戦オーストリアGP前にロッシが運営するVR46レーシングチームへの移籍が決定し、師のチームから参戦できるという感謝のコメントを述べた[17]

その他の活動

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2019年12月、SRTの地元であるマレーシアで行われたFIM世界耐久選手権 (EWC) 第2戦セパン8時間にスポット参戦。予選上位10組で行うトップ10トライアルでポールポジションタイムを記録した[18]

2020年には四輪の世界ラリー選手権 (WRC) 最終戦ラリー・モンツァヒュンダイ・i20 R5を借りてスポット参戦[19]。総合61位で完走した[20]

成績

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ヨーロッパ・スーパーストック600選手権

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マシン チーム 出走回数 勝利数 表彰台数 PP FL ポイント ランキング
2011 ヤマハ・YZF-R6 Forwards Racing Jr Team 4 0 0 0 0 32 17位
2012 ヤマハ・YZF-R6 Bike Service Racing Team/RCGM Team 8 0 1 1 0 74 6位
2013 カワサキ・ニンジャZX-6R San Calro Team Italia 10 2 5 2 1 154 1位
Total 22 2 6 3 1 260

ロードレース世界選手権

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シーズン別

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クラス マシン チーム 出走回数 勝利数 表彰台数 PP FL ポイント ランキング
2013 Moto2 スッター フェデラル・オイル・グレシーニ Moto2 3 0 0 0 0 0 NC
2014 Moto2 カレックス イタルトランス・レーシングチーム 18 0 0 0 0 75 11位
2015 Moto2 カレックス イタルトランス・レーシングチーム 14 0 1 0 2 90 10位
2016 Moto2 カレックス エストレージャ・ガリシア 0,0 マルクVDS 18 0 8 0 3 213 4位
2017 Moto2 カレックス エストレージャ・ガリシア 0,0 マルクVDS 18 8 12 6 8 308 1位
2018 MotoGP ホンダ・RC213V エストレージャ・ガリシア 0,0 マルクVDS 16 0 0 0 0 50 15位
2019 MotoGP ヤマハ・YZR-M1 ペトロナス・ヤマハSRT 19 0 0 0 0 115 10位
2020 ペトロナス・ヤマハSRT 14 3 5 2 1 158 2位
2021 ペトロナス・ヤマハSRT 8 0 1 0 0 47 17位
モンスター・ヤマハ・モトGP 5 0 0 0 0
2022 20 0 0 0 0 42 19位
2023 20 0 0 0 0 102 13位
2024 ドゥカティ・デスモセディチ GP24 プリマ・プラマック・レーシング 19 0 0 0 0 161* 9位
合計 192 11 27 8 14 1361

* 現在進行中のシーズン

クラス別

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クラス デビュー戦 初表彰台 初勝利 出走回数 勝利数 表彰台数 PP FL ポイント タイトル
Moto2 2013 - 2017 2013年サンマリノ 2015年インディアナポリス 2017年カタール 71 8 21 6 13 686 1
MotoGP 2018 - 2018年カタール 2020年チェコ 2020年サンマリノ 121 3 6 2 1 675 0
Total 2013 - 現在 192 11 27 8 14 1361 1

レース成績

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(key)(太字はポールポジション 斜体はファステストラップ)

クラス マシン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 順位 ポイント
2013 Moto2 スッター QAT AME SPA FRA ITA CAT NED GER IND CZE GBR RSM
20
ARA MAL AUS JPN
18
VAL
17
NC 0
2014 Moto2 カレックス QAT
25
AME
17
ARG
13
SPA
20
FRA
10
ITA
10
CAT
21
NED
24
GER
6
IND
Ret
CZE
8
GBR
6
RSM
7
ARA
5
JPN
7
AUS
13
MAL
Ret
VAL
21
11位 75
2015 Moto2 カレックス QAT
5
AME
5
ARG
5
SPA
6
FRA
5
ITA
Ret
CAT
8
NED
19
GER
Ret
IND
3
CZE
10
GBR RSM ARA JPN AUS
11
MAL
15
VAL
Ret
10位 90
2016 Moto2 カレックス QAT
7
ARG
25
AME
14
SPA
4
FRA
4
ITA
8
CAT
11
NED
3
GER
Ret
AUT
2
CZE
8
GBR
2
RSM
5
ARA
3
JPN
3
AUS
2
MAL
2
VAL
3
4位 213
2017 Moto2 カレックス QAT
1
ARG
1
AME
1
SPA
Ret
FRA
1
ITA
4
CAT
5
NED
1
GER
1
CZE
8
AUT
1
GBR
3
RSM
Ret
ARA
1
JPN
8
AUS
3
MAL
3
VAL
2
1位 308
2018 MotoGP ホンダ QAT
12
ARG
14
AME
21
SPA
9
FRA
13
ITA
15
CAT
14
NED
DNS
GER
WD
CZE
13
AUT
19
GBR
C
RSM
12
ARA
11
THA
14
JPN
11
AUS
8
MAL
12
VAL
Ret
15th 50
2019 MotoGP ヤマハ QAT
11
ARG
Ret
AME
5
SPA
7
FRA
7
ITA
Ret
CAT
Ret
NED
5
GER
9
CZE
Ret
AUT
10
GBR
5
RSM
5
ARA
Ret
THA
6
JPN
6
AUS
11
MAL
6
VAL
Ret
10位 115
2020 SPA
5
ANC
Ret
CZE
2
AUT
Ret
STY
15
RSM
1
EMI
9
CAT
4
FRA
Ret
ARA
6
TER
1
EUR
11
VAL
1
POR
3
2位 158
2021 QAT
18
DOH
12
POR
4
SPA
3
FRA
16
ITA
16
CAT
9
GER
18
NED
STY
AUT
GBR
ARA
RSM
18
AME
19
EMI
14
ALG
17
VAL
11
17位 47
2022 QAT
11
INA
7
ARG
Ret
AME
16
POR
13
SPA
15
FRA
15
ITA
17
CAT
13
GER
13
NED
Ret
GBR
15
AUT
Ret
RSM
Ret
ARA
17
JPN
14
THA
13
AUS
Ret
MAL
11
VAL
10
19位 42
2023 POR
14
ARG
44
AME
8
SPA
11
FRA
10
ITA
10
GER
12
NED
9
GBR
14
AUT
11
CAT
14
RSM
15
IND
7
JPN
17
INA
14
AUS
17
THA
11
MAL
7
QAT
16
VAL
7
13位 102
2024 ドゥカティ QAT
18
POR
18
AME
Ret
SPA
Ret
FRA
7
CAT
Ret
ITA
6
NED
9
GER
5
GBR
10
AUT
8
ARA
6
RSM
Ret
EMI
5
INA
4
JPN
5
AUS
6
THA
Ret
MAL
14
BAR 9位* 161*

* 現在進行中のシーズン

脚注

[編集]
  1. ^ a b フランコ・モルビデリ”. 本田技研工業 (2018年). 2021年4月5日閲覧。
  2. ^ MotoGP世界選手権 PETRONAS Yamaha Sepang Racing Teamが2021年のチーム体制を発表』(プレスリリース)ヤマハ発動機、2021年3月2日https://global.yamaha-motor.com/jp/race/release/2021/003/2021年4月5日閲覧 
  3. ^ フランコ・モルビデリに『Aスペック』を供給”. MotoGP.com (2021年2月16日). 2021年4月5日閲覧。
  4. ^ 【新製品】AGV、2017Moto2チャンピオン モルビデリのレプリカモデル「K-3 SV」ヘルメットを発売”. webike (2018年3月20日). 2021年4月5日閲覧。
  5. ^ a b FAST TALK FRANCO MORBIDELLI”. Australian Motor Cycle News (2019年4月27日). 2021年4月5日閲覧。
  6. ^ Pramac d`Antin select future star.”. CRASH.net (2006年11月6日). 2021年4月5日閲覧。
  7. ^ How Morbidelli overcame tragedy to become Moto2 champion”. Motorsport.com (2017年11月5日). 2021年4月5日閲覧。
  8. ^ Valentino Rossi's VR46 Riders Academy Now Open For Young Italian Riders”. Roadracing World (2014年3月13日). 2021年4月5日閲覧。
  9. ^ モルビデリがクラス初勝利を挙げる。ルティが2位、中上が3位表彰台を獲得”. 本田技研工業 (2017年3月26日). 2021年4月5日閲覧。
  10. ^ オリベイラが今季2勝目。タイトルを獲得したモルビデリは3位表彰台に登壇”. 本田技研工業 (2017年10月29日). 2021年4月5日閲覧。
  11. ^ 日本の開発部隊は“自分たちの好きにやる”傾向がある? ロッシ、来季の開発不安視”. motorsport.com日本版 (2020年12月17日). 2021年4月5日閲覧。
  12. ^ モルビデリ初表彰台は「“兄貴”ロッシのおかげ」と感謝。ロッシも弟子の活躍に喜び”. motorsport.com日本版 (2020年8月11日). 2021年4月5日閲覧。
  13. ^ MotoGP第7戦:ペトロナス・ヤマハのモルビデリが初優勝。ランキングトップのクアルタラロは2回の転倒を喫する”. autosport web (2020年9月13日). 2021年4月5日閲覧。
  14. ^ 大躍進ランク2位に“大満足”! モルビデリ「ミラーに負けたけど2位が嬉しい!」”. motorsport.com日本版 (2020年11月26日). 2021年4月5日閲覧。
  15. ^ ついにベールを脱ぐ新型YZR-M1が目指したのは“旋回性” モルビデリのみが駆る“Aスペックプラス”との違いとは?”. バイクのニュース (2021年3月6日). 2021年4月5日閲覧。
  16. ^ ヤマハ離脱のフランコ・モルビデリ、2024年からプラマックへ移籍。ドゥカティマシンで復活なるか?”. motorsport.com日本版 (2023年9月19日). 2023年9月19日閲覧。
  17. ^ フランコ・モルビデリ、2025年のVR46加入が発表。師匠ロッシのチームでジャンアントニオとコンビ”. motorsport.com日本版 (2024年8月16日). 2024年8月17日閲覧。
  18. ^ 辻野ヒロシ (2019年12月13日). “MotoGPライダー、モルビデリが堂々ポール獲得! SSTクラスは日本のTONE RTが首位に。”. Yahoo! JAPAN News. https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7d5cb5a378af3691a9c98ea29ab007e64bbe476f 2021年4月5日閲覧。 
  19. ^ MotoGPライダーのフランコ・モルビデリがモンツァでWRCデビュー”. ラリープラス (2020年11月24日). 2021年4月5日閲覧。
  20. ^ WRC 2020 Rally Monza”. motorsport.com日本版 (2020--). 2021年4月5日閲覧。

外部リンク

[編集]