服部慎一郎
服部慎一郎 六段 | |
---|---|
名前 | 服部慎一郎 |
生年月日 | 1999年8月2日(25歳) |
プロ入り年月日 | 2020年4月1日(20歳) |
棋士番号 | 322 |
出身地 | 富山県富山市 |
所属 | 日本将棋連盟(関西) |
師匠 | 中田章道七段 |
段位 | 六段 |
棋士DB | 服部慎一郎 |
戦績 | |
一般棋戦優勝回数 | 3回 |
2024年10月21日現在 |
服部 慎一郎(はっとり しんいちろう、1999年8月2日 - )は、日本将棋連盟所属の棋士。中田章道七段門下。棋士番号は322。 富山県富山市出身[1]。
棋歴
[編集]小学校3年生の夏、担任の先生に日本シリーズこども大会の案内をもらい、新潟で開催された大会で負けてくやしかったので強くなろうと思って本格的に将棋を始める[2]。小学校4年生まで魚津市立道下小学校に通い[3]、道下公民館(現道下コミュニティセンター)の主催する将棋サークルに通っていた縁で、同施設ではInstagramやX(旧Twitter)を利用して服部を応援する投稿を行っている[4]。
小学5年生の時、関西研修会に入会[5]。
2013年、中学校2年時に奨励会へ入会。姉の大学進学に合わせて中学校3年時に富山から大阪へ転居する[6]と、関西将棋会館棋士室の常連となり腕を磨く。
2019年、奨励会三段時代に出場した第9期加古川青流戦では決勝まで駒を進め、池永天志四段に敗れたものの準優勝の結果を残した。
三段リーグでは初参加となる2017年第62回奨励会三段リーグで14勝4敗の好成績をあげるも、順位差から次点に留まり1期抜けとはならなかった(14勝をあげながら昇段とならなかったのは2006年第39回の豊島将之・伊藤真吾(2度目)以来5人目、6例目)。しかしその後も11勝、10勝、12勝とコンスタントに成績を残し続け、2019年第66回奨励会三段リーグで再び14勝4敗を記録。今度は順位差によって同じく14勝4敗だった西山朋佳をかわして2020年4月1日付での四段昇段プロ入りを決めた[1][7]。同期昇段は谷合廣紀、同日付でのプロ入りに編入試験合格者である折田翔吾がいる。
初参加の第79期順位戦C級2組では8勝2敗と健闘。勝敗数では3位タイであったものの、順位の差から昇級次々点のリーグ5位に留まり、三段リーグに続き初参加ゆえの順位の低さが響く形となった。
第10期の中止を挟んで2年ぶりの開催となった第11期加古川青流戦では、第9期決勝敗退後に残した「また来年、四段になってこの舞台に戻ってきたい」[8]の言葉通り、四段となって再び決勝まで進出。井田明宏四段との三番勝負を2勝1敗で制し、一般棋戦で初優勝した。
第80期順位戦C級2組では開幕7連勝と順調なスタートを切りながら終盤3局で2敗を喫したことで8勝2敗のリーグ4位に終わり、昇級を逃す結果となった。
第7期叡王戦では四段予選を勝ち抜き本戦トーナメントへ出場。八代弥七段、豊島将之九段、船江恒平六段を破り、同棋戦の四段予選勝ち抜き者としては初めて挑戦者決定戦へと進出したが、出口若武五段に敗れタイトル挑戦とはならなかった。
第72期王将戦では一次予選から勝ち上がり、四段の棋士としては第66期の近藤誠也以来4人目[注釈 1]となる挑戦者決定リーグ入りを果たした[9]。リーグでは渡辺明名人・棋王、永瀬拓矢王座と当時のタイトルホルダー2人から白星を挙げたものの、2勝4敗の成績で陥落となった。
2022年9月30日、石川優太五段に勝利したことでプロ入り後通算100勝とし、五段に昇段した[10]。
第53期新人王戦では黒田尭之五段との決勝三番勝負を2勝1敗の成績で制し、前年の加古川青流戦に続き若手棋戦での優勝を果たした。
第64期王位戦では予選トーナメントで稲葉陽八段、糸谷哲郎八段、菅井竜也八段と3人のA級棋士と同ブロックとなるも、3人全員を直接対決で破り、本戦リーグ入りを決めた。
第35期竜王戦6組では昇級者決定戦を勝ち抜き5組へ、第81期順位戦C級2組では9勝1敗の成績でリーグ2位となりC級1組へ、それぞれ自身初昇級を決めた。
これらの活躍に加えて年度を通じて対局数(68局)で1位、勝利数(50勝)と連勝数(15連勝)で2位と各記録ランキングでも上位に入り、将棋大賞の最多対局賞と新人賞を受賞した。
2023年4月20日に行われた第36期竜王戦5組ランキング戦準決勝で杉本和陽五段に勝利し、4組への2期連続昇級を決めると共に規定により六段へと昇段した[11]。
第82期順位戦C級1組では10戦全勝の成績をあげ、B級2組へと昇級した。
第55期新人王戦では優勝した第53期以来2年ぶりとなる決勝三番勝負に進出。高田明浩五段を2連勝で破り、同棋戦2度目の優勝を飾った[12]。
朝日杯では名古屋での初戦で丸山忠久銀河に勝利し、2回戦で藤井聡太名人と初手合で勝利し準決勝進出。
人物・棋風
[編集]- 定跡にとらわれない力戦調の将棋を好む。
- 同様の棋風で知られる山崎隆之には奨励会時代、多くの練習将棋を指すなど目をかけられており、服部自身もプロ入りに際して対局したい棋士に山崎の名前を挙げている(2021年の朝日杯二次予選で公式戦初対局、結果は服部の勝ち)。
- 苗字にかけた「忍者」「ニンニン」の異名で呼ばれることがあり、自身もX(旧Twitter)では「忍者服部」のアカウント名を用いている。
- 趣味はランニング。
- 大阪市立中央高校時代、友人と漫才コンビ「もぐら部隊」を結成し、文化祭や路上で活動していた経験を持つ[6][13]。プロ入り後の2024年にも冨田誠也とコンビ「もぐら兄弟」(ネタ担当は池永天志)を結成し、M-1グランプリ2024予選に参加(結果は1回戦敗退)している[14][15]。
昇段履歴
[編集]- 関西研修会
- [5]) 年 月 : 関西研修会 入会(当時11歳、小学5年生
- 2011年[16] 6月 : 関西研修会 C2クラス昇級
- 2012年[17] 6月 : 関西研修会 C1クラス昇級
- 2012年[18] 8月 : 関西研修会 B2クラス昇級
- 2013年[19] 1月 : 関西研修会 B1クラス昇級
- 2013年奨励会6級入会資格)[20] 3月 : 関西研修会 Aクラス昇級(
- 関西奨励会
- 四段昇段以降
- 2020年 4月 1日 : 四段(第66回奨励会三段リーグ戦〈2019年度後期〉成績1位)[1][7]
- 2022年 9月30日 : 五段(勝数規定/公式戦100勝、通算100勝31敗)[10][21][注釈 2]
- 2023年 4月20日 : 六段(竜王戦ランキング戦連続昇級、通算123勝42敗)[11][注釈 3]
主な成績
[編集]棋戦優勝
[編集]- 優勝回数:合計 3回
非公式戦優勝
[編集]- ABEMAトーナメント:1回(第5回〈2022年〉・チーム稲葉)[注釈 4]
- ABEMA地域対抗戦:1回(2024年・チーム中部)[注釈 5]
将棋大賞
[編集]- 第50回(2022年度) 最多対局賞、新人賞
在籍クラス
[編集]開始 年度 |
順位戦 出典[24]
|
竜王戦 出典[25]
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期 | 名人 | A級 | B級 | C級 | 期 | 竜王 | 1組 | 2組 | 3組 | 4組 | 5組 | 6組 | 決勝 T |
|||||
1組 | 2組 | 1組 | 2組 | |||||||||||||||
2020 | 79 | C251 | 8-2 | 34 | 6組 | -- | 0-1/昇3-1 | |||||||||||
2021 | 80 | C206 | 8-2 | 35 | 6組 | -- | 1-1/昇7-1 | |||||||||||
35 | (6組昇決 5位決定戦 勝利 → 5組昇級) | |||||||||||||||||
2022 | 81 | C205 | 9-1 | 36 | 5組 | -- | 4-1 | |||||||||||
2023 | 82 | C125 | 10-0 | 37 | 4組 | -- | 0-1/昇6-0 | |||||||||||
2024 | 83 | B222 | 38 | 3組 | -- | |||||||||||||
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。 順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 ) 順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。 竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。 |
年度別成績
[編集]年度 | 対局数 | 勝数 | 負数 | 勝率 | (出典) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 39 | 28 | 11 | 0.7179 | [26] | 通算成績 | ||||
年度 | 対局数 | 勝数 | 負数 | 勝率 | (出典) | 対局数 | 勝数 | 負数 | 勝率 | (出典) |
2021 | 55 | 43 | 12 | 0.7818 | [27] | 94 | 71 | 23 | 0.7553 | [28] |
2022 | 68 | 50 | 18 | 0.7352 | [29] | 162 | 121 | 41 | 0.7469 | [22] |
2023 | 49 | 33 | 16 | 0.6734 | [30] | 211 | 154 | 57 | 0.7298 | [31] |
2021-2023 (小計) |
172 | 126 | 46 | |||||||
通算 | 211 | 154 | 57 | 0.7298 | [31] | |||||
2023年度まで |
著書
[編集]- AI流 中飛車破り~旧型・新型・服部スペシャル~(2022年4月27日、マイナビ出版 ISBN 978-4-8399-7994-2)
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 四段の棋士のリーグ入りは有森浩三(第34期)が初、屋敷伸之(第39期)が2人目となる。
- ^ 2022年9月30日対局分までの通算成績として記載されている「99勝31敗」[21]は、同日時点で未放映のテレビ対局(第31期銀河戦)の予選対局成績(1勝0敗、2022年8月23日対局)を含めておらず、前述の通算成績「99勝31敗」に未放映対局成績(1勝0敗)を含めた成績は「100勝31敗」。
- ^ 2023年3月31日までの通算成績は「121勝41敗」[22]。2023年4月20日までの4月の対局結果は3局(2勝1敗)[23]で、六段昇段日の2023年4月20日時点での通算成績は前述の「121勝41敗」に4月20日までの成績(2勝1敗)を含めて「123勝42敗」。
- ^ チーム稲葉(第5回)のメンバーは稲葉陽(リーダー)、出口若武、服部。
- ^ チーム中部(2024)のメンバーは杉本昌隆(監督)、藤井聡太、豊島将之、八代弥、服部。
出典
[編集]- ^ a b c d e “新四段誕生のお知らせ|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2020年3月7日). 2020年6月9日閲覧。
- ^ 「盤上の風景/40 将棋 服部慎一郎四段 得意戦法は居飛車の乱戦/兵庫」『毎日新聞』2020年4月27日。
- ^ 『魚津ロータリークラブ会報誌』2020年3月27日 。
- ^ 道下コミュニティセンター(旧道下公民館)[michishita_kominkan]「道下将棋サークルからプロ棋士が誕生しました‼️」『instagram』2020年3月23日。
- ^ a b 「25階の勝負師たち 名古屋将棋対局場から 第7局 服部慎一郎六段(中)」『中日新聞Web』2023年9月9日。2023年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ a b “【PR:ローソン×服部慎一郎四段】漫才と山登りで自分を解放。どこまでも自由に、広がる世界――服部慎一郎四段の素顔”. 日本将棋連盟 (shogi.or.jp) (2022年8月4日). 2023年5月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月22日閲覧。
- ^ a b “昇段・引退棋士のお知らせ|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2020年4月1日). 2020年6月9日閲覧。
- ^ “池永四段が初V 将棋の加古川青流戦、愛称「てんてん」:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年9月23日閲覧。
- ^ “将棋・服部慎一郎四段が初の王将戦挑戦者決定リーグ入り決めた! 四段では6期ぶり4人目 - スポニチ Sponichi Annex 芸能”. スポニチ Sponichi Annex. 2022年8月26日閲覧。
- ^ a b 「服部慎一郎四段が五段に昇段」『日本将棋連盟』2022年10月1日。
- ^ a b “服部慎一郎五段が六段に昇段”. 日本将棋連盟 (shogi.or.jp) (2023年4月21日). 2023年5月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月22日閲覧。
- ^ 「服部慎一郎六段VS高田明浩五段 第55期新人王戦決勝三番勝負第2局 服部六段の勝利」『日本将棋連盟』2024年10月21日。
- ^ ““富山の星”朝乃山、八村に続け!服部慎一郎四段 5月にもプロ棋士デビュー - スポニチ Sponichi Annex 芸能”. スポニチ Sponichi Annex. 2024年9月10日閲覧。
- ^ “将棋界でお笑いバトル? M―1挑戦2組目 関西の「もぐら兄弟」”. スポーツ報知 (2024年7月15日). 2024年8月8日閲覧。
- ^ 松浦隆司. “将棋界からM-1初挑戦 服部慎一郎六段&冨田誠也五段「もぐら兄弟」冨田「寄せ切れなかった」 - 社会 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2024年8月8日閲覧。
- ^ 「関西研修会」『関西将棋会館(日本将棋連盟)』。2011年8月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 「服部君が昇級」『富山県将棋情報』2012年7月1日。
- ^ 「関西研修会」『関西将棋会館(日本将棋連盟)』。2013年1月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 「関西研修会」『関西将棋会館(日本将棋連盟)』。2013年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 「関西研修会」『関西将棋会館(日本将棋連盟)』。2013年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ a b 「通算成績(2022年9月30日対局分まで、未放映のテレビ対局を除く)」『日本将棋連盟』。2022年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ a b 通算成績(2023年3月31日対局分まで) - 日本将棋連盟(2023年4月1日時点のアーカイブ)
- ^ 「2023年4月 月間対局結果」『日本将棋連盟』。
- ^ 「名人戦・順位戦」『日本将棋連盟』。
- ^ 「竜王戦」『日本将棋連盟』。
- ^ 2020年度棋士成績・記録 - 日本将棋連盟
- ^ 2021年度棋士成績・記録 - 日本将棋連盟
- ^ 通算成績(2022年3月31日対局分まで) - 日本将棋連盟(2022年4月1日時点のアーカイブ)
- ^ 2022年度棋士成績・記録 - 日本将棋連盟
- ^ 2023年度棋士成績・記録 - 日本将棋連盟
- ^ a b 通算成績(2024年3月31日対局分まで) - 日本将棋連盟(2024年4月1日時点のアーカイブ)
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 服部慎一郎 棋士データベース - 日本将棋連盟
- 忍者服部 (@ninjashogi0802) - X(旧Twitter)
- もぐら兄弟 (@mogurabrothers) - X(旧Twitter)
- チーム糸谷 (@abT_itodani) - X(旧Twitter)(第4回ABEMAトーナメント)
- チーム稲葉 (@abT5_inaba) - X(旧Twitter)(第5回ABEMAトーナメント)
- チーム稲葉 (@abT00_inaba) - X(旧Twitter)(第6回ABEMAトーナメント)