「熊本地震 (2016年)」の版間の差分
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2016年4月17日 (日) 17:41時点における版
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熊本地震(2016年4月16日) | |
---|---|
地震の震央の位置を示した地図 | |
本震 | |
発生日 | 2016年(平成28年)4月16日 |
発生時刻 | 01時25分26秒(JST)[1] |
持続時間 | 約20秒[1][2] |
震央 | 日本 熊本県熊本地方 |
座標 |
米国地質調査所発表 北緯32度46分55秒 東経130度43分34秒 / 北緯32.782度 東経130.726度[1] |
震源の深さ | 12 km |
規模 | 気象庁マグニチュード(Mj) 7.3、モーメントマグニチュード(Mw)7.0 |
最大震度 | 震度6強:熊本県 |
津波 | なし |
地震の種類 |
右横ずれ断層[3] 大陸プレート内地震 |
プロジェクト:地球科学 プロジェクト:災害 |
2016年(平成28年)4月14日21時26分(JST)頃に、熊本県熊本地方を震源とする、マグニチュード6.5(暫定値)、最大震度7の地震が発生した[6]。さらに、その28時間後の4月16日1時25分頃には、同じく熊本県熊本地方を震源とする、マグニチュード7.3(暫定値)、最大震度6強の地震が発生した[4]。気象庁は同日、後者(16日未明)の地震が本震で、前者(14日)の地震は前震であったと考えられるとする見解を発表している[7][8]。
本記事では、この2つの地震を中心に、九州地方で4月14日以降に相次いで発生した一連の地震について記述する。
概要
4月14日21時26分頃に熊本県熊本地方で発生した地震は、震源の深さが11kmで気象庁マグニチュード(Mj)が6.5[6]、モーメントマグニチュード(Mw)が6.2[9]と推定されている。熊本県益城町で最大震度の7を観測した[6]。
気象庁が1949年に震度7の震度階級を設定して以降[10]、日本国内における震度7の観測は、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に続いて[11]4回目であり[12]、九州地方では初の観測であった[12]。
気象庁はこの14日の地震について、この地方で一般的な[13]「横ずれ断層型」だと説明している[6]。また、この地震は、布田川・日奈久断層帯や近くの小規模活断層の活動が原因である可能性が指摘されている[14]。政府の地震調査委員会は、日奈久断層帯(81km)の高野―白旗区間(16km)が動いたという見解を発表した[15][3]。
気象庁はこの地震を「平成28年(2016年)熊本地震」(英語: The 2016 Kumamoto Earthquake)と命名し、4月15日に発表した[16]。この命名について同庁は4月17日、今後の状況を見た上で再検討する意向を表明している[17]。
4月16日1時25分頃に熊本県熊本地方で発生した地震は、震源の深さが12kmで気象庁マグニチュード(Mj)が7.3[4]、モーメントマグニチュード(Mw)が7.0[5]と推定されている。最大震度は震度6強[4]。政府の地震調査委員会は翌17日、この地震では布田川断層帯の布田川区間が動いたという見解を発表した[3]。この地震では、有明海と八代海の沿岸に津波注意報が発表されたが[18]、2時14分に解除された[19]。
当初、14日に発生したマグニチュード6.5の地震が本震で、その後に発生するものは余震であるためマグニチュードで上回ることは予想されていなかった。しかし、16日になり上記のようにマグニチュード7.3の地震が発生したため、気象庁は14日のものを前震、16日のものを本震と修正した。過去に当初の発表から訂正され、本震と余震が入れ替わったことは海溝型地震の東日本大震災においても起こっているが、地震の観測を始めた1885年以降、内陸型(活断層型)地震で、前震がマグニチュード6.5以上となるのは、かつてない異例の事態である[20]。これについて、東京大学地震研究所の纐纈一起教授は、「活発な断層帯が隣り合う特別な条件で起きている」と指摘した[20]。
(備考) 熊本県益城町の震度計(町役場に設置)からは、4月14日23時半頃から15日10時半頃までの約11時間、停電のため、計測データを気象庁に送信できなかった[22]。16日1時25分頃の地震後再び送信できない状態が続いており、町役場への立ち入りが不可能なことから気象庁は16日夜に町内の別所に臨時の地震計を設置している[23]。
前震
熊本地震(2016年4月14日) | |
---|---|
地震の震央の位置を示した地図(気象庁) | |
本震 | |
発生日 | 2016年(平成28年)4月14日 |
発生時刻 |
気象庁発表 21時26分34.4秒(JST) 米国地質調査所発表 21時26分36.4秒(JST)[24] |
震央 | 日本 熊本県熊本地方 |
座標 |
気象庁発表 北緯32度44.5分 東経130度48.5分 / 北緯32.7417度 東経130.8083度 米国地質調査所発表 北緯32度50分56秒 東経130度38分06秒 / 北緯32.849度 東経130.635度[24] |
震源の深さ | 11 km |
規模 | 気象庁マグニチュード(Mj) 6.5、モーメントマグニチュード(Mw)6.2 |
最大震度 | 震度7:熊本県上益城郡益城町宮園 |
津波 | なし |
地震の種類 |
右横ずれ断層[25] 大陸プレート内地震 |
余震 | |
最大余震 | 4月15日00時03分(JST)、Mj6.4、Mw6.0、最大震度6強[注釈 1] |
プロジェクト:地球科学 プロジェクト:災害 |
4月14日21時26分に発生した地震によって震度4以上の揺れを観測した地域は以下の通り[26]。このほか、熊本県の嘉島町では震度5弱以上と推定されている[27]。
震度 | 都道府県 | 市区町村 |
---|---|---|
7 | 熊本県 | 益城町 |
6弱 | 熊本県 | 玉名市 西原村 宇城市 熊本市東区・西区・南区 |
5強 | 熊本県 | 菊池市 宇土市 大津町 菊陽町 御船町 美里町 山都町 氷川町 合志市 熊本市中央区・北区 |
5弱 | 熊本県 | 高森町 阿蘇市 南阿蘇村 八代市 長洲町 大津町 甲佐町 和水町 上天草市 天草市 |
宮崎県 | 椎葉村 | |
4 | 山口県 | 下関市 |
福岡県 | 福岡市博多区 那珂川町 大野城市 宗像市 新宮町 古賀市 粕屋町 みやこ町 大牟田市 久留米市 柳川市 八女市 筑後市 大川市 小郡市 大木町 広川町 筑前町 朝倉市 みやま市 | |
佐賀県 | 唐津市 佐賀市 上峰町 江北町 白石町 鳥栖市 みやき町 小城市 嬉野市 吉野ヶ里町 神埼市 | |
長崎県 | 諫早市 島原市 雲仙市 南島原市 | |
熊本県 | 産山村 荒尾市 山鹿市 玉東町 南関町 人吉市 あさぎり町 多良木町 山江村 水俣市 芦北町 津奈木町 苓北町 | |
大分県 | 臼杵市 津久見市 佐伯市 豊後大野市 日田市 竹田市 九重町 | |
宮崎県 | 延岡市 西都市 川南町 高千穂町 日之影町 小林市 | |
鹿児島県 | 阿久根市 長島町 薩摩川内市 さつま町 湧水町 霧島市 伊佐市 |
気象庁は地震検知の3.7秒後の21時26分42.5秒に第1報の深さ10km、マグニチュード6.5、最大震度は6強程度という緊急地震速報の警報を九州全域などに発表した[28][29]。
観測点名 | 観測点コード | 最大加速度 Gal | 計測震度 | |
---|---|---|---|---|
1 | KiK-net益城 | KMMH16 | 1580 | 6.4 |
2 | K-NET矢部 | KMM009 | 669 | 5.3 |
3 | K-NET熊本 | KMM006 | 604 | 5.9 |
4 | K-NET砥用 | KMM011 | 491 | 5.2 |
5 | KiK-net豊野 | KMMH14 | 357 | 5.4 |
4月15日0時3分頃の地震では、気象庁が2013年3月に長周期地震動の観測情報の提供を開始して以来初めて、長周期地震動階級が最大の階級4を記録した。ただし、事後的なデータ分析によれば、2004年の新潟県中越地震や2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)でも、階級4相当の長周期地震動が生じていたとされる[32][33]。
本震
Mj6.5の前震から約28時間後である4月16日午前1時25分に、Mj 7.3[4]、Mw 7.0[5]、最大震度6強の地震が発生した[34]。
この他に震度5弱以上と考えられるが、益城町宮園・西原村小森など4月16日1時30分現在震度が不明な地域がある[36]。益城町寺迫ではこの地震によって局所的に木造住宅が地区の半分近くにあたる10棟以上が倒壊しており、1995年以前の気象庁震度階級における震度7相当(家屋倒壊率30%以上)である可能性が指摘されている[37]。なお、大韓民国釜山広域市では改正メルカリ震度階級IIIと推定されている[1][38]。
余震・関連地震活動
4月14日21時26分の地震以降、震度1以上の地震(有感地震)は熊本県熊本地方、熊本県阿蘇地方、大分県西部、大分県中部において(※)4月17日15時までに444回観測された[39]。
4月16日1時25分の熊本地方の地震(MJ7.3)以降、熊本県阿蘇地方および大分県においても地震活動が活発化した。専門家は、この地震(MJ7.3)によってこれらの地域の地震が誘発されたと指摘している[40]。
時間帯 | 最大震度 | 小計 | 累計 | 出典 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
震度1から3 | 震度4 | 震度5弱 | 震度5強 | 震度6弱 | 震度6強 | 震度7 | ||||
4月14日21時から翌日 0時 | 28 | 9 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 40 | 40 | [41] |
4月15日 0時から 3時 | 31 | 3 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 36 | 76 | [41] |
4月15日 3時から 6時 | 26 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 28 | 104 | [41] |
4月15日 6時から 9時 | 15 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 17 | 121 | [41] |
4月15日 9時から12時 | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 126 | [41] |
4月15日12時から15時 | 9 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 9 | 135 | [41] |
4月15日15時から18時 | 7 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 8 | 143 | [41] |
4月15日18時から21時 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 148 | [41] |
4月15日21時から翌日 0時 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 152 | [41] |
4月16日 0時から 3時 | 4 | 6 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 13 | 165 | [42] |
4月16日 3時から 6時 | 24 | 10 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 36 | 201 | [42] |
4月16日 6時から 9時 | 25 | 7 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 34 | 235 | [42] |
4月16日 9時から12時 | 20 | 4 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 25 | 260 | [42] |
4月16日12時から15時 | 24 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 27 | 287 | [42] |
4月16日15時から18時 | 22 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 25 | 312 | [42] |
4月16日18時から21時 | 16 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 17 | 329 | [42] |
4月16日21時から翌日 0時 | 22 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 25 | 354 | [42] |
4月17日 0時から 3時 | 10 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 13 | 367 | [39] |
4月17日 3時から 6時 | 16 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 18 | 385 | [39] |
4月17日 6時から 9時 | 18 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 18 | 403 | [39] |
4月17日 9時から12時 | 11 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 14 | 417 | [39] |
4月17日12時から15時 | 26 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 27 | 444 | [39] |
※ 熊本県阿蘇地方、大分県西部、大分県中部については、地震の数が16日2時からカウントされている [39]。
被害・影響
人的被害
熊本県内では14日の前震により住宅の下敷きや火災により、益城町と熊本市東区で計9人の死亡が確認されている[43]。熊本市によると、同市内の病院には同日23時頃現在、地震で重軽傷を負った70人以上が運ばれているという[11]。16日の本震では、33人が死亡し、前震とあわせて42人の死亡が確認された(市町村別では益城町20人、南阿蘇村8人、西原村5人、熊本市4人、嘉島町3人、御船町1人、八代市1人)[44][45]。
前震・本震・余震、合わせての死傷者は1100人を超えている[46]。負傷者は熊本県内だけでなく、佐賀県、大分県、福岡県、宮崎県でも出ている[47]。
阿蘇山への影響
一連の地震との関係性は気象庁でも今のところ分かっていないが、16日午前8時30分ごろに阿蘇山の中岳第一火口で小規模な噴火が発生し火口から噴煙が上空100mにまで上がった。 噴火自体はごく小規模であるため今のところ阿蘇山の噴火警戒レベルを引き上げる予定はない。しかしながら、九州大学清水洋教授(火山噴火予知連絡会の副会長)は阿蘇山のかなり近い場所で大規模な地震が発生したことで今後の火山活動に影響なしとは言い切れないと発言した[48][49]。
建物・施設の被害
- 熊本市立熊本市民病院では建物が傾き、倒壊の恐れがあるとして自衛隊などにより患者の移送がなされた[50]。また、御船町の希望ヶ丘病院でも倒壊の恐れが出ている他、益城病院や益城中央病院でも停電などが発生しており、患者を避難させるなどの対応を取っている[51]
- 藤崎台県営野球場は、バックスクリーンの壁の一部がはがれ落ちる被害があった[52]。
- 宇土市では、市役所の庁舎が半壊した[53]。
- 西原村の農業用ダム・大切畑ダムでは大量の漏水が確認され、800人に避難指示が出された[54]。
- 熊本競輪場では特別観覧席にある配水管が損傷し床が水浸しになったほか、窓ガラス全部がすべて破損したためバンク内にも破片が飛び散った。すべてを復旧させるには数か月の期間を要することから5月に予定されていた開催は中止となる見込み[55]。
- 八代市では、市役所の本庁舎に亀裂が入り、倒壊する恐れが出てきたため、市の機能を千丁支所と鏡支所に移転した[56]。
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熊本市立熊本市民病院は倒壊の恐れがあるため自衛隊などにより患者の移送がなされた(被災前の写真)
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市役所の庁舎が半壊した宇土市役所(被災前の写真)
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バックスクリーンの壁の一部がはがれ落ちた藤崎台県営野球場(被災前の写真)
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倒壊の恐れがある八代市役所(被災前の写真)
文化財被害
- 熊本城では、天守閣の屋根瓦が崩れた上に屋上にあったしゃちほこが落下し[57]、石垣が少なくとも6か所で崩れ、塀が100mに渡って倒壊した[58]。さらに16日の本震で、築城当初から残っていた重要文化財の東十八間櫓・北十八間櫓が倒壊し、隣の熊本大神宮の社務所を押し潰した[59][60]。
- 熊本洋学校教師館ジェーンズ邸は、14日の前震で壁が崩壊する被害があり16日の本震では建物が崩落した[61]。
- 阿蘇神社では、重要文化財の楼門と拝殿が全壊した[62]。
-
大規模な被害を受けた熊本城(被害以前の姿、2004年)
-
崩落した熊本洋学校教師館ジェーンズ邸(同)
交通機関
道路
九州自動車道では、南関ICとえびのICの間で通行止めとなり、高速バスの運休が相次いだ[63]。西日本高速道路(NEXCO西日本)によると、益城熊本空港ICから松橋ICの間でのり面崩落、路面陥没、ひび割れ等が発生しており、植木IC - 松橋ICで通行止めとなっている[64]。
16日未明の本震により阿蘇大橋(国道325号)や俵山トンネル(熊本県道28号熊本高森線)が崩壊、国道57号も寸断された[65][54]。大分自動車道も湯布院ICから日出JCTの間でのり面崩落が発生している[66]。
鉄道
地震直後には西日本旅客鉄道(JR西日本)では山陽新幹線の小倉 - 博多間、九州旅客鉄道(JR九州)では九州新幹線と在来線全線で運転を見合わせた[67]。その後、順次運転を再開し、翌4月15日夕方の時点での運転見合わせ区間は、九州新幹線全線と、鹿児島本線の宇土 - 八代間、豊肥本線の熊本 - 宮地間、肥薩線の八代 - 吉松間[68]となっている。 九州新幹線では、下りの800系6両編成の回送列車が熊本駅から熊本総合車両所へ向かう途中に脱線した[69][70]。この回送列車は地震発生時時速80kmで走行中で、運転士が強い揺れを感じて非常ブレーキをかけたが全車両が脱線した[70]。脱線現場は熊本駅から南に約1.3kmの本線上で、4月15日現在復旧の見通しは立っていない[70]。このため、九州新幹線は全線で運転を見合わせとなっており[68]、山陽新幹線から九州新幹線へ直通する「みずほ」「さくら」は博多 - 鹿児島中央間で運転を見合わせている[71]。4月16日の本震により、豊肥本線でも赤水駅を出発した回送列車が脱線したが、負傷者はなかった[72]。また赤水駅 - 立野駅間で土砂崩れも発生し、線路内に土砂が流入した[73]。熊本県内の在来線では鹿児島本線や豊肥本線、肥薩線、三角線、くま川鉄道湯前線、南阿蘇鉄道高森線、肥薩おれんじ鉄道線が運休した[74]。
航空
全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)も前震発生当時、既に14日中に熊本空港を発着する便は運航を終了していた。この時点では日航の空港施設には被害がなく[11]、各社は16日からの臨時便の増発も発表していた[75]。しかし16日の本震で空港ターミナルビルの天井が落ちるなど建物に被害を受け、熊本空港発着の全便の17日までの終日運休が決定された[65][54]。滑走路は使用できることから自衛隊が救助活動に使用している[72]。
臨時便が設定された区間は以下の通り。
- 日本航空、日本エアコミューター[78]
ライフライン
- 水道
- 15日4時半現在、宇城市で1万1000戸、熊本市で5万7000戸で断水している[79]。
- また、水道水が濁り飲料が出来ない地域もある[80]。
- 電気
- 九州電力によれば、15日13時現在、益城町や嘉島町、熊本市南区などで1万1700戸が停電している[79]。16日9時現在では、同日未明の地震により熊本県、大分県、宮崎県で合計16万9600戸が停電している[81]。停電の影響により携帯電話各社は携帯電話充電のために電源車を派遣した[82]。なお九州電力の川内原子力発電所は地震の影響はなく通常運転を行っており[67]、鹿児島県は「九電から『異常なし』との連絡が午後9時44分に入った」としている[11]。玄海原子力発電所では、地震による被害は確認されていないという[11]。
- ガス
- 西部ガスによると、熊本県エリアのガス供給を担う熊本工場の安全に問題はないとした[83]が、熊本地区供給エリアのガス供給停止戸数は、益城町や熊本市などを中心に1123戸、ガス漏れの通報は66件(15日午前11時の時点)[84][85]。
催事
イベント
- 4月15日に東京ディズニーシーで開催される予定だった「東京ディズニーシー15周年 ザ・イヤー・オブ・ウィッシュ」のオープニングセレモニーが中止された[86]。
- 4月15日 - 17日に益城町の熊本産業展示場で開催予定だった「すぱいすカントリー&クラフトフェア2016」が中止となった[87]。
- 4月15日 - 17日に開催予定だった第45回牛深ハイヤ祭りは全日程の中止が決まった[88]。
- 4月15日に予定されていた「2017 ミス・ティーン・ジャパン」の開催記者会見が中止になった[89]。
- 4月16日に熊本市民会館で予定されていたスターダスト☆レビューの熊本公演は延期することが発表された[90]。
- 4月16日・17日に中国・上海市にて、上海市の観光情報アプリ企業の主催により開催が予定されていた熊本県観光PRイベントが、今回の熊本地震を受けて中止されることが明らかになっている[91]。
- 4月17日に観光電車「西武 旅するレストラン 52席の至福」の運行を開始する西武鉄道は、初日の出発式を自粛することを決めた[92]。
- 4月17日にZepp Fukuokaで開催予定だったLinQの5周年記念公演は5月5日に延期することが発表された[93]。
スポーツ大会
- 4月15日から3日間開催される予定だったJLPGAツアー「KKT杯バンテリンレディスオープン」(熊本空港カントリークラブ)は、14日夜の地震を受け主催者側が15日の競技を中止することを決定[94]。さらに15日午前には主催者であるくまもと県民テレビ(KKT)、特別協賛社の興和、そして日本女子プロゴルフ協会が大会の開催について協議し、その後も余震が続くことが予想されること、ギャラリーバスの運行ができずボランティアや観客の輸送ができないこと、また出場予定選手の心情などを考慮し大会自体の中止を決定した[95]。
- 4月15日にくまもと森都心プラザホールで開催予定だった超花火プロレスが中止され、プロレスラーが益城町でがれき撤去に協力した[96]。
- 4月16日に熊本市流通情報会館で開催予定だったWRESTLE-1興行も開催延期[97]。
- 4月16日・17日施行の日本中央競馬会(JRA)の中山競馬・阪神競馬・福島競馬全競走におけるウインズ八代での勝馬投票券発売及び払戻業務は地震の影響により取りやめになった。なお、4月23日以降の営業については決定次第発表するとした[98]。
- 日本プロ野球の試合中止
- 4月16日 - パシフィック・リーグ公式戦:福岡ソフトバンクホークス対東北楽天ゴールデンイーグルス戦(福岡ヤフオク!ドーム)[99]。
- 4月19日・20日 - セントラル・リーグ公式戦:読売ジャイアンツ対中日ドラゴンズ戦(19日・藤崎台県営野球場[100]、20日・鹿児島県立鴨池野球場[101])。
- サッカー・Jリーグでは、4月16日・17日に九州地方で開催予定だった5試合と、ロアッソ熊本のアウェーゲームの計6試合が中止になった[102]。
- 4月16日・17日に施行予定だった久留米競輪及び小倉競輪も開催中止・打ち切りとなった[103]。
- 4月16日施行予定だった福岡競艇・大村競艇も中止。福岡は順延して開催、大村は3日間開催に変更の上打ち切り[104]。
- 4月18日・19日に大分県・オートポリスで開催予定だったSUPER GTのタイヤメーカーテストが中止となった[105]。
教育機関
地震発生の翌日の15日、熊本県内にある公私立の幼稚園や小中高校などのうち計342校が休校の措置をとり、短縮授業とする措置をとった学校は29校(文部科学省調べ)[106]。また、文部科学省の調べで、県内の公立高校8校と特別支援学校2校の計10校に天井やガラスが破損するなどの被害があったこともわかった。大学でも熊本大学[107]、熊本県立大学[108]、熊本学園大学[109]などで休講となった。
東海大学は、熊本県内に在所する熊本キャンパス・阿蘇キャンパスでの授業などについて4月17日から24日まで休講とする措置を執った[110]。16日未明の本震により、南阿蘇村の阿蘇キャンパス付近に所在する学生アパートが倒壊し、一時同大学に在籍する農学部生12名が生き埋めになり[111]、16日午前9時には全員が救助されたものの[112]、その後男女2名の死亡が確認された[72]。
4月17日開催予定の情報処理技術者試験(初回となる情報セキュリティマネジメント試験を含む)は、九州地区のみ中止の措置をとり次回試験への振り替えまたは受験料の返金で対応することになった(ただし、沖縄県の那覇試験地は通常どおり試験実施)[113]。
民間企業
地元・熊本を拠点に展開するデパートの鶴屋百貨店では、鶴屋本館・東館・ウィング館、New-S、ラン・マルシェ、地方各店(荒尾店を除く)等で地震発生翌日の15日の営業をすべて取りやめ、臨時休業日とした[114]。
イオン九州では、嘉島町のイオンモール熊本とイオンモール宇城が被災、このうち震源に近いイオンモール熊本では、外壁および天井の一部が破損・崩落などの被害が発生[115]。イオン熊本中央店とイオン菊陽店を含む4店舗は店舗施設の臨時休業を決めている。それ以外の店舗でも営業時間を変更したり安全点検を理由に一部店舗の店舗営業を停止する措置を取っている[116]イオン大牟田店においても2階売り場の営業時間を変更している。 [117]。また、マックスバリュ九州の店舗では、地震の影響で熊本県内にある13店舗の営業を停止している[118]。スーパーチェーンイズミは熊本市内の2店舗を休業とした。
益城町にある井関農機の井関熊本製造所で被害が出た他、パナソニック、本田技研工業、トヨタ自動車九州の各工場は操業を停止した[119]。窓が割れる被害が出たアイシン精機の2子会社も操業を停止し、スズケンも宇土市の子会社の操業を停止した[120]。
地獄温泉 清風荘で51名、垂玉温泉で17名が道路寸断の影響で孤立しており、宿泊客は建物外に避難し炊き出しを受けている[112][121]。
放送
震災が発生した時期が番組改編期でもあったため、震災による報道特別番組の影響で新番組の放送中止がいくつか発生した。
- 木曜ミステリー『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日) - 4月14日20時から2時間スペシャルとして放送されていたが、地震発生後に中断→一旦、関東地区で4月16日14時半からの放送予定が組まれるが、同日未明に発生した本震に関する特別番組のため再延期、放送日未定[122]
- 木曜劇場『早子先生、結婚するって本当ですか?』(フジテレビ) - 4月14日開始予定→4月21日開始予定に変更(1週遅れ)[123]
- マギ シンドバッドの冒険(MBSテレビ) - 4月15日開始予定→放送開始時期未定、時差ネット局のBS-TBSでは通常通り4月16日開始[124]
- カミワザ・ワンダ(TBSテレビ) - 4月16日開始予定→放送開始時期未定[125]
- 土曜ドラマ『お迎えデス。』(日本テレビ) - 4月16日開始予定→4月23日開始予定に変更(1週遅れ)[126]
政府、各関係機関の対応
- 政府
-
- 4月14日
-
- 21時31分に政府は首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置。
- 21時36分には安倍晋三内閣総理大臣が、被害状況の把握や災害応急対策に全力を尽くすこと、さらに国民への情報提供を指示した[127]。地震発生時安倍首相は東京の猿楽町で会食中であったが、途中で退席し21時50分過ぎには官邸に入った[128]。
- 21時40分に蒲島郁夫熊本県知事は陸上自衛隊第8師団長に対して災害派遣を要請した[129][130]。また、22時05分に総務省消防庁に緊急消防援助隊出動を要請した[131]。これにより、自衛隊350人、警察が県外から200人、消防200人が派遣された[128]。
- 22時10分、災害対策基本法に基づく非常災害対策本部設置[132]。
- 22時10分過ぎ、菅義偉官房長官は緊急の記者会見を行い、原子力施設の被害情報はないことを発表した[128]。
-
- 4月15日
- 10時40分、災害対策基本法に基づき熊本県庁内に非常災害現地対策本部設置[132]。
-
- 4月17日
-
- 安倍首相は総理大臣官邸にて米軍の支援受け入れを表明した[135]。
- 国会
-
- 4月15日から環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)承認案と関連法案の衆議院特別委員会審議再開が予定されていたが、安倍首相は委員会冒頭で地震対応の状況説明を行った上で退席し、審議は18日以降に持ち越された。自民・民進両党の国会対策委員長は当面災害対応を優先させることで合意した[136]。
- 防衛省、自衛隊
- 消防庁
- 消防庁は、4月14日21時36分に消防庁災害対策本部を設置し、22時05分に熊本県知事の要請のより九州地区の消防に対して緊急消防援助隊出動を要請した[140]。
- 警察庁
- 警察庁も4月14日21時31分に非常災害警備本部を設置し[141]、九州管内の警察から熊本県内にヘリコプターや部隊を派遣している[142]。
- 国土交通省
- 国土交通省は、4月14日21時26分に非常体制をとり22時10分非常災害対策本部を設置。自治体支援のため、17日5時時点で大津町役場に照明車など計43台の災害対策用機械を派遣し、併せてリエゾン災害対策現地情報連絡員を2県16市町村に派遣[143]。 九州地方整備局は、15日までにブルーシートや防寒用の毛布などの救援物資を益城町、西原村に届けている[144]
- 海上保安庁
- 海上保安庁も4月14日9時半前、鹿児島に災害対策本部を設置。巡視船21隻と航空機3機により、港湾や沿岸部などの被害状況調査に着手[145]。15日6時半までには巡視船41隻と航空機8機に増強。特殊救難隊と機動救難士も派遣した[146]。また、三角港に巡視船2隻を派遣し、給水作業を実施[147]。
- 気象庁
- 気象庁は、4月14日て気象庁 機動調査班(JMA-MOT)を派遣(ヘリ調査:1班2名、地上調査4班11名)[148][6]。また、15日には揺れの大きかった熊本県の16市町村について、大雨警報・注意報基準及び土砂災害警戒情報発表基準の暫定的な運用を開始した[149]。
- 通信機関
- 無線LANビジネス推進連絡会が2014年に5月に制定した[150]、大規模災害時に運用される共通Wi-Fiアカウント00000JAPANの運用を開始した。世界初の試みで[151]、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクの通信各社、熊本県などが提供している[152]。
- 各政党
- 4月14日夜、自民党・公明党・民進党は、党幹部を各々の党本部に召集し、独自に対策本部や緊急情報連絡室を設置[153]。後日共産党[154]・おおさか維新の会[155]・社民党も災害対策本部を設置している[156]。
- メディア
- テレビは、NHK・各民放テレビ局とも21時26分の地震発生から順次、放送中の番組を中断・休止し、緊急報道特別番組を熊本や福岡にある系列局からのレポートを交えて放送した[157]。NHKはインターネット(NHKの公式サイト)でテレビの報道特番を同時配信した[158]。テレビ朝日は同社が関係するAbemaTV(同年4月11日に開局)に報道特番を同時配信した[159]。
- ラジオでもNHK・民放ともに地震関連の報道特番に切り替えた[160]。このうち地元AM局RKKラジオはJNNとのサイマル放送に切り替え、地元FM局エフエム熊本(FMK)は、TOKYOFMをキー局とするJFNの報道特別番組を放送した[161]。
- 朝日新聞は、オンライン有料サービス「朝日新聞デジタル」を無料開放した[162]。
- くまモン
- 熊本県営業部長兼しあわせ部長のくまモンは、地震発生前の14日17時28分を最後にツイートが停止した。心配の声が上がったが、公式ホームページ上で「くまモン隊は被災者を最優先に行動しておりSNSの発信は控えています」と発表した[163][164]。
自治体の対応
福井県福井市 | - | 1994年以来、熊本市と友好姉妹都市の関係にあり、1997年に同市との間に災害時応援協定を締結している福井市は、非常食や飲料水、毛布等の支援物資を被災地に届けた[165]。 | |||
宮城県・岩手県 | - | 宮城県は要請があった場合、速やかに支援することを明らかにした。石巻市は、東日本大震災被災の経験から、飲料水約1200リットル、備蓄用のパン約2.4キログラムなどの支援物資と職員3人を派遣した[166]。南三陸町は、保健師4人を派遣。義援金20万円を送った[167]。岩手県は見舞金を検討している[168]。 | |||
福島県 | - | 福島県は必要な支援の情報収集などのため、職員3人を派遣。相馬市は、玉名市と山都町にそれぞれ、飲料水の500ミリリットル入りペットボトル240本を送った。大熊町は、支援物資として食料品の詰め合わせ約100セットを送った。山都町と相互応援協定を結んでいる本宮市は、14日夜に現地の情報収集、支援の準備を始めた[169]。 | |||
埼玉県 | - | 埼玉県警は16日に広域緊急援助隊の隊員78人を熊本県へ派遣。[170] | |||
長野県白馬村 | - | 白馬村は、飲料水や使い捨てカイロなど長野県北部地震を受けて用意していた備蓄品を益城町に自主的に発送[171]。 | |||
岐阜県美濃加茂市 | - | 美濃加茂市は職員2人を派遣し、支援のための情報収集を開始[172]。 | |||
新潟県 | - | 新潟県は、熊本県の要請を受けて家屋の倒壊危険度を診断する職員を派遣した他、県内では、長岡市が応援職員6名を派遣。新潟県中越地震の経験を基に開発した組立式の「避難所用更衣室&授乳室」30台を送った。見附市は飲料水の送付を打診している。小千谷市は義捐金の募集を開始する。三条市も救援物資を送った[173]。 | |||
大阪府 | - | 大阪府は14日夜の前震発生30分後に「災害等支援対策室」を設置、救援物資や人員の派遣の準備を開始した。摂津市、箕面市、寝屋川市、交野市は募金の受付を開始、吹田市は支援対策本部を設置し、100万円の見舞金支給を決定した。枚方市は募金箱を設置するとともに義捐金30万円を送った。太子町は被災地支援に向け「町災害支援対策本部」を設置し、募金箱も設けた[174]。 | |||
関西広域連合 | - | 関西広域連合は、家屋被害調査の体制づくりを支援する先遣隊を派遣。兵庫県警察は機動隊約100人を派遣。神戸市消防局も職員8人を派遣したが、市内待機となり取りやめとなった[175]。 | |||
中国・九州地方自治体 | - | 中国地方や九州地方の自治体により派遣された災害派遣精神医療チーム(DPAT)が15日、現地入りした[176]。 | |||
広島県 | - | 広島県はDPATとして派遣した4人の他、広島県警察74人を派遣。広島市消防局は職員5人を派遣した[177]。 | |||
指定都市市長会 | - | 指定都市市長会は現地支援本部の設置を決定。先遣隊として岡山市、広島市、北九州市、福岡市の職員を派遣、避難所運営や救援物資の方策を検討[178]。17日夜、さいたま市が市長会の要請を受け、備蓄庫に保管されていた支援物資を熊本県に発送した。 | |||
福岡県 | - | 飯塚市上下水道局は、日本水道協会九州地方支部の要請を受け、1トンタンクを備えた給水車1台と職員4人を派遣。筑豊地区と北九州市、遠賀、京築地区の10消防本部は後方支援部隊を結成。田川市は市営住宅に10世帯の被災者受け入れを決定[179]。 |
民間企業の対応
大手コンビニエンスストアチェーン各社では緊急の支援物資として、セブン-イレブンはおにぎりと2リットル入り飲料水のペットボトルをそれぞれ1000個ずつ、ファミリーマートは555ミリリットル入り飲料水のペットボトルとおにぎりをそれぞれ500個ずつ、ともに益城町役場に、ローソンは500ミリリットル入りのペットボトルの水、カップ麺、割り箸などを熊本市の熊本県民総合運動公園陸上競技場に配送[180]。
イオン九州の熊本県内の店舗では、店内が使えず臨時休業となっている代わりに、食料や飲料水を駐車場の臨時売り場で販売する措置を取っている[181]。
世界各国の対応
アメリカ合衆国 | - | 国務省のジョン・カービー報道官が、4月14日の記者会見で「我々は熊本の人たちと共にある」と語り、今回の地震で日本政府よりアメリカへ支援要請があった場合には「受け入れる用意がある」との意思を明らかにした[182]。 | |||
中華民国 | - | 14日の前震を受けて、馬英九総統は、安倍首相に見舞いの書簡を送った。また、次期総統である民主進歩党の蔡英文主席は「被害が最小限に抑えられ、日本の友人たちが無事であるよう願います」とのコメントを発表した[183]。台北市の柯文哲市長は哀悼の意を表明、基隆市、新北市などと共同で救助隊派遣の用意を完了。高雄市の陳菊市長は給与1か月分を寄附、支援に備えるよう指示。中華民国政府は16日までに6500万円、民主進歩党は340万円の寄附を表明[184]。 | |||
中華人民共和国 | - | 外交部の陸慷報道局長は、「死亡した人への哀悼と、遺族や負傷者へのお見舞いを示す」とする談話を公表。日本政府にも見舞いを伝達[185]。 | |||
欧州連合 | - | フェデリカ・モゲリーニ外務・安全保障政策上級代表 (外相)は、16日、「日本は天災に際しても常に復興を遂げる力を証明してきた」と指摘し、哀悼の意を示すとともに、「あらゆる支援を提供する用意」があるとする声明を発表[186]。 | |||
ロシア | - | 訪日中のセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、岸田文雄外務大臣との記者会見において「地震被害と犠牲者に心からお見舞いを申し上げる」と述べるとともに、「日本の要請があれば、こうした事態に支援に駆け付ける用意がある」と表明、緊急援助隊派遣の用意があることを明らかにした[187]。ウラジミール・プーチン大統領は、安倍首相に哀悼の意を表明する書簡を送った[188]。 | |||
タイ | - | 国王ラーマ9世は16日、「悲劇的な地震の報告に心を痛めている」と声明[189]。プラユット・チャンオチャ暫定首相は、安倍首相に見舞いの書簡の中で「要請があれば日本に支援を提供する用意がある」と伝えた[190]。 | |||
マレーシア | - | ナジブ・ラザク首相は、Twitterに「日本の皆さま、特に地震の犠牲者とご家族に哀悼と同情の意を表す」と投稿した[191]。 | |||
インド | - | ナレンドラ・モディ首相は16日、「多大な犠牲と損害に心を痛めている。私の心は犠牲者遺族と共にある」とツイッターに投稿[192]。 | |||
イギリス | - | デーヴィッド・キャメロン首相は、「熊本からのニュースを聞き悲しんでいる。私の気持ちは日本で地震の影響を受けたすべての人々と共にある」、「われわれは支援のため、できることは何でもする」とTwitterに投稿した[193]。 | |||
フランス | - | フランス外務・国際開発省は4月15日、哀悼と連帯の意を表し、在日フランス人に警戒を呼びかけた[194][195]。 | |||
ドイツ | - | ドイツ外務省は熊本大分両県を訪れないよう、また日本の警察などの指示に従うようドイツ国民に勧告した[195]。 | |||
ウクライナ | - | ウクライナ首脳はTwitterに哀悼の意を表明した[195]。 | |||
韓国 | - | 尹炳世外交部長官は地震犠牲者への哀悼の意を示すメッセージを岸田文雄外務大臣に送った[196]。また、外交部は、在留韓国人のための支援チーム派遣を決定。在福岡韓国総領事館は、熊本県や大分県内で足止めされている韓国人観光客らを福岡空港に移送するバス6台を用意[197]。 |
インターネット上の反応
短文投稿サイト「Twitter」では、商品が散乱するコンビニエンスストアの店内や、自宅の家具が倒れた様子を撮影したとする画像、本が落ちて本棚が空っぽになった様子や、隆起した道路、倒れた電柱などの画像などが相次いでアップロードされた[198]。Twitterや無料通話アプリ「LINE」などのSNS運営側、あるいは公的機関、また東日本大震災を体験した人や著名人などから被災地の人々へのアドバイスや情報提供も多数寄せられた[199]。そんな中、「動物園からライオンが逃亡した」「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」(関東大震災の際のデマを真似たものとみられる)などの悪質なデマ投稿も行われ、拡散した[200]。
SNSサイト「Facebook」では、Facebookの友人に安否を知らせられる災害用サービス「災害時情報センター」を熊本県全域と九州地方の一部で提供開始した[201][202]。
批判を浴びた言動
- 民進党の公式Twitterが東日本大震災の際に「一部の自民党の有力議員が原発対応についてデマを流して(民主党)政権の足を引っ張ったのも有名な話」などと書き込み多くの非難を浴びた[203][204]。後日枝野幸男幹事長が「党の公式見解でないものを職員が書き込んだ」と弁明し[205]、謝罪した上で投稿は削除された[204]。自民党の二階俊博総務会長はインターネットでぶつぶつ言うよりも、党として現地に行くべきだと助言した[206]。
- 社民党の増山麗奈参議院予定候補がTwitterにて「九州電力に電話で原発を止めるよう陳情した」とツイート。ネット上では「復旧で忙しい電力会社に余計な手間をかけるな」と非難された[207]。
- 共産党の池内沙織衆議院議員がTwitterにて被災者に対し「熊本のみなさん、九州のみなさん、安らかな場所にいてください。どうか皆さんご無事でいてください」、「川内原発今すぐ止めよ。正気の沙汰か」といった投稿を行った(当該の投稿は後に削除)[208]。
注釈
- ^ Mj6.5の地震からMj7.3の地震が発生するまでの最大地震。
出典
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- ^ 熊本震度7地震、被害報告相次ぐ...ツイッターでは3.11経験者からアドバイスも(全文表示) - Jタウンネット 東京都(2016年4月14日 23:45)
- ^ デマツイートにご注意を!「ライオンが逃亡」…ご丁寧にニセ写真付き 「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」など悪質(1/2) - 産経新聞(2016.4.15 12:19)
デマツイートにご注意を!「ライオンが逃亡」…ご丁寧にニセ写真付き 「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」など悪質(2/2) - 産経新聞(2016.4.15 12:19) - ^ Facebook災害時情報センター
- ^ Facebook、熊本県で発生した地震を受けてFacebookで安否情報を登録・確認できる「災害時情報センター」を提供開始 - ガジェット通信(DATE:2016.04.15 07:00)
- ^ 災害最中に民進党公式ツイッターで自民党批判!? 東日本大震災時に「自民議員がデマ流して政権引っ張った」 - 産経新聞(2016.4.15 02:03)
- ^ a b 民進党ツイッター 熊本地震直後の自民党批判を謝罪「職員が個人の見解を書き込んだ」 - 東京スポーツ(2016年04月15日 16時49分)
- ^ 民進党、「自民議員がデマ」ツイートを削除 枝野幹事長ぶら下がり詳報「個人の見解を職員が書き込んだ、産経新聞(2016.4.15 11:19)
- ^ “自民・二階総務会長が激怒「ネットでぶつぶつ言っている人は現地にお見舞いに行け」 民進党公式ツイッターに”. 産経新聞. (2016年4月15日)
- ^ “共産党・池内さおり議員、社民党・増山れな候補も原発批判で炎上。ネットでは「災害を政治利用するな」の声”. ネタトピ. (2016年4月15日)
- ^ 共産・池内沙織氏が「熊本のみなさん、九州のみなさん、安らかな場所にいてください。どうか皆さんご無事でいてください」と投稿→後に削除「原発止めよ。正気の沙汰か!」とも(MSN産経:2016/4/16閲覧)
関連項目
- 熊本地震 (1889年) - 1889年にほぼ同位置で発生した大きな地震
- 地震の年表 (日本)
- この地震以外で震度7が記録された地震
- 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災) - 1995年1月17日
- 新潟県中越地震 - 2004年10月23日
- 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災) - 2011年3月11日
- この地震以外で震度7が記録された地震
外部リンク
政府
自治体
研究機関
- 平成28年(2016年)熊本地震[2016年4月14日] 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
- 平成28年(2016年)熊本地震 防災科学技術研究所 高感度地震観測網(Hi-net)
- 平成28年(2016年)熊本地震 防災科学技術研究所 自然災害情報室
- 2016年4月14日熊本地震 東京大学地震研究所
- 2016年 熊本地震についての災害調査報告 京都大学防災研究所
- 平成28年(2016年)熊本地震 東北大学災害科学国際研究所