1970年の映画
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1970年の映画(1970ねんのえいが)では、1970年(昭和45年)の映画分野の動向についてまとめる。
1969年の映画 - 1970年の映画 - 1971年の映画
出来事
[編集]世界
[編集]→「1970年 § できごと」も参照
- 米国、女優・ジェーン・フォンダ、ベトナム反戦運動に参加[1]。
- 4月13日 - パラマウント映画とユニヴァーサル映画の海外共同配給会社CIC設立[2][注 1]。
- 5月 - フランス、ジャン=リュック・ゴダール監督らの『東風』が第23回カンヌ国際映画祭で披露[4][1]。
- 10月 - 『無常』(実相寺昭雄監督)が第23回ロカルノ国際映画祭で金豹賞を受賞[5][6]。
- 月日不詳
- 米国、MGM、EMIと共同で撮影所・配給会社を設立[1][7]。en:EMI Films#MGM-EMIも参照。
日本
[編集]→「1970年の日本 § できごと」も参照
- 1月
- 昭和44年度全国映画館数3602館(前年比212館減)、入場者数2億8398万人(前年比90.6%)で2億人台まで減少、ピーク(昭和33年)時の約4分の1[5][8]。興行収入838億500万円(前年比102.2%)[5][8]。
- 1月7日 - 喜劇俳優・榎本健一(65歳)死去[9][10]。
- 1月13日 - 東京のCATV〔東京ケーブルビジョン〕、認可[5]。
- 1月14日 - 日活、負債返済のため、本社ビル(日活国際会館)を70億円で三菱地所に売却[11][12][3]。日活ホテルは閉鎖されたが、テナントとして本社機能は残った[13]。
- 1月24日 - 『イージー・ライダー』(デニス・ホッパー監督)公開、ヒット[5]。2月21日公開『明日に向って撃て』(ジョージ・ロイ・ヒル監督)などの作品もヒット[5]。アメリカン・ニューシネマが台頭、ハリウッド大作映画は凋落傾向[5]。国内洋画配給においては、以後5年余り米メジャースタジオ系が後退、インディペンデント各社が積極策に方向転換[5]。
- 1月25日 - 特撮監督・円谷英二(68歳)死去[9][10]。
- 2月
- 3月
- 4月
- 5月
- 6月
- 7月
- 7月1日 - パラマウント映画とユニヴァーサル映画の日本における両社作品の配給会社として「シネマ・インターナショナル・コーポレーション」(CIC日本支社)設立[5]。15日、業務開始[5]。
- 8月
- 9月
- 9月30日 - 東映、東京・江東東映劇場の営業を廃止[15]。
- 10月
- 11月
- 11月30日 - 『最後の特攻隊』(佐藤純彌監督) / 『不良番長 暴走バギー団』(内藤誠監督)封切、ヒット[15]。
- 12月
- 12月30日 - 『新網走番外地 吹雪のはぐれ狼』(降旗康男監督)[24] / 『不良番長 口から出まかせ』(野田幸男監督)封切、ヒット[15]。
周年
[編集]- 創業75周年
日本の映画興行
[編集]配給会社 | 年間配給収入
(単位:百万円) |
前年対比 |
---|---|---|
松竹 | 2,431 | 109.1% |
東宝 | 3,402 | 79.2% |
大映[注 4] | 1,119 | 37.5% |
東映 | 5,884 | 96.7% |
日活[注 4] | 1,144 | 40.1% |
ダイニチ[注 5] | 2,103 | — |
- 出典: 東宝 編『東宝75年のあゆみ 1932 - 2007 資料編』(PDF)東宝、2010年4月、48頁。
各国ランキング
[編集]日本配給収入ランキング
[編集]日本映画は正確な数字が発表されていない[30]。以下、邦画配給会社別の好稼働番組を挙げる[30]。
- 松竹
- チンチン55号ぶっ飛ばせ!出発進行 - 配給収入1億5000万円
- 東宝
- 大映
- 座頭市と用心棒 - 配給収入2億8000万円
- 東映
- 新網走番外地 大森林の決斗 - 配給収入2億5500万円
- 新網走番外地 さいはての流れ者 / 渡世人列伝 - 配給収入2億円
- 昭和残侠伝 死んで貰います - 配給収入2億円
- 日活
順位 | 題名 | 製作国 | 配給 | 興行収入 |
---|---|---|---|---|
1 | 続・猿の惑星 | 20世紀フォックス | 1億6192万円 | |
2 | サウンド・オブ・ミュージック (リバイバル) | 20世紀フォックス | 1億5467万円 | |
3 | クリスマス・ツリー[31] | 東和 | 1億4014万円 | |
4 | 女王陛下の007 | ユナイテッド・アーティスツ | 1億3950万円 | |
5 | ひまわり | ブエナ・ビスタ映画 | 1億2667万円 | |
6 | ネレトバの戦い | ヘラルド | 1億1715万円 | |
7 | シシリアン | 20世紀フォックス | 1億1633万円 | |
8 | シェーン (リバイバル) | CIC | 1億0992万円 | |
9 | チップス先生さようなら | MGM | 1億0778万円 | |
10 | さらば夏の日[32] | 東和 | 1億0767万円 |
- 出典:『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、275頁。ISBN 978-4873767550。
北米興行収入ランキング
[編集]順位 | 題名 | スタジオ | 興行収入 | 出典 |
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1. | ある愛の詩 | パラマウント映画 | $106,397,186 | [33] |
2. | 大空港 | ユニバーサル映画 | $100,489,151 | [34] |
3. | M★A★S★H マッシュ | 20世紀フォックス | $67,300,000 | [35] |
4. | パットン大戦車軍団 | 20世紀フォックス | $61,749,765 | [36] |
5. | ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間 | ワーナー・ブラザース | $50,000,000 | [37] |
6. | おしゃれキャット | ウォルト・ディズニー | $43,727,252 | [38] |
7. | 小さな巨人 | ナショナル・ジェネラル・ピクチャーズ | $31,559,552 | [39] |
8. | ライアンの娘 | MGM | $30,846,306 | [40] |
9. | トラ・トラ・トラ! | 20世紀フォックス | $29,548,291 | [41] |
10. | Chariots of the Gods | コンスタンティン・フィルム サン・クラシック・ピクチャーズ |
$25,948,300 | [42] |
日本公開映画
[編集]1970年の日本公開映画を参照。
受賞
[編集]- 第43回アカデミー賞
- 作品賞 - 『パットン大戦車軍団』
- 監督賞 - フランクリン・J・シャフナー(『パットン大戦車軍団』)
- 主演男優賞 - ジョージ・C・スコット(『パットン大戦車軍団』)
- 主演女優賞 - グレンダ・ジャクソン(『恋する女たち』)
- 第28回ゴールデングローブ賞
- 作品賞 (ドラマ部門) - 『ある愛の詩』
- 主演女優賞 (ドラマ部門) - アリ・マッグロー(『ある愛の詩』)
- 主演男優賞 (ドラマ部門) - ジョージ・C・スコット(『パットン大戦車軍団』)
- 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門) - 『M★A★S★H マッシュ』
- 主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門) - キャリー・スノッドグレス(『わが愛は消え去りて』)
- 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門) - アルバート・フィニー(『クリスマス・キャロル』)
- 監督賞 - アーサー・ヒラー(『ある愛の詩』)
- 第23回カンヌ国際映画祭
- グランプリ - 『M★A★S★H マッシュ』(ロバート・アルトマン)
- 監督賞 - ジョン・ブアマン(『最後の栄光』)
- 男優賞 - マルチェロ・マストロヤンニ(『ジェラシー』)
- 女優賞 - オッタヴィア・ピッコロ(『わが青春のフロレンス』)
- 第31回ヴェネツィア国際映画祭
- 金獅子賞 - 受賞作なし
- 第20回ベルリン国際映画祭
- 金熊賞 - 受賞作なし
- 第25回毎日映画コンクール
- 日本映画大賞 - 『家族』
誕生
[編集]- 2月16日 - 中村由真、日本の歌手・女優
- 3月1日 - 中山美穂、日本の歌手・女優
- 3月28日 - 水野真紀、日本の女優
- 4月18日 - 朝岡実嶺、日本の女優
- 4月23日 - 阿部サダヲ、日本の俳優
- 4月25日 - 鶴田真由、日本の女優
- 4月29日 - ユマ・サーマン、アメリカの女優
- 5月12日 - 裕木奈江、日本の女優
- 5月17日 - 坂井真紀、日本の女優
- 5月27日 - ジョセフ・ファインズ、イギリスの俳優
- 7月12日 - イ・ビョンホン、韓国の俳優
- 7月19日 - 宮藤官九郎、日本の脚本家、映画監督
- 7月24日 - ジェニファー・ロペス、アメリカの歌手・女優
- 8月6日 - M・ナイト・シャマラン、アメリカの映画監督
- 8月11日 - 正名僕蔵、日本の俳優
- 8月12日 - 吉岡秀隆、日本の俳優
- 8月19日 - 長谷川真弓、日本の女優
- 8月23日 - リヴァー・フェニックス、アメリカの俳優(+1993年)
- 9月25日 - 清水美砂、日本の女優
- 9月27日 - 八嶋智人、日本の俳優
- 10月8日 - マット・デイモン、アメリカの俳優
- 10月14日 - 永作博美、日本の女優
- 10月26日 - 原田龍二、日本の俳優
- 11月10日 - 畠田理恵、日本の歌手・女優
- 11月16日 - LiLiCo - スウェーデン・日本の映画評論家
- 11月22日 - 奥貫薫、日本の女優
- 12月8日 - 和久井映見、日本の女優
死去
[編集]日付 | 名前 | 国籍 | 年齢 | 職業 | |
1月 | 7日 | 榎本健一 | 65 | コメディアン・俳優・歌手 | |
25日 | 円谷英二 | 68 | 映画監督 | ||
28日 | 二本柳寛 | 52 | 俳優 | ||
2月 | 14日 | ハリー・ストラドリング | 68 | 撮影監督 | |
17日 | アルフレッド・ニューマン | 69 | 作曲家 | ||
3月 | 23日 | 川田芳子 | 74 | 女優 | |
4月 | 25日 | アニタ・ルイーズ | 55 | 女優 | |
26日 | ジプシー・ローズ・リー | 59 | ダンサー・女優 | ||
28日 | エド・ベグリー | 69 | 俳優 | ||
5月 | 12日 | 小桜葉子 | 52 | 女優 | |
14日 | ビリー・バーク | 85 | 女優 | ||
20日 | 江川宇礼雄 | 68 | 俳優 | ||
7月 | 6日 | マージョリー・ランボー | 80 | 女優 | |
8月 | 1日 | フランセス・ファーマー | 56 | 女優 | |
7日 | 内田吐夢 | 72 | 映画監督 | ||
30日 | 月形龍之介 | 68 | 俳優 | ||
9月 | 23日 | ブールヴィル | 53 | コメディアン・俳優 |
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c 石原良太 1986, p. 111.
- ^ a b c d 東宝 1982b, p. 112.
- ^ a b c d e f g h i j k l 谷川 1993, p. 156.
- ^ “東風 (1970) - Release info” (英語). IMDb. 2024年1月25日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 東宝 2010b, p. 222.
- ^ “1970 | Locarno Film Festival” (英語). Locarno Film Festival. 2021年6月13日閲覧。
- ^ Barber, Sian(英語)『The British Film Industry in the 1970s: Capital, Culture and Creativity』(PDF)Palgrave Macmillan、2013年1月22日、47頁。ISBN 978-0230360952 。2024年1月27日閲覧。
- ^ a b c d “過去データ一覧”. 一般社団法人日本映画製作者連盟. 2016年8月2日閲覧。
- ^ a b c d e f 松竹 1985, p. 691.
- ^ a b 東宝 1982b, p. 111.
- ^ 日活 2014, pp. 98, 120–121.
- ^ 東宝 2010b, p. 221.
- ^ 日活 2014, p. 120.
- ^ “放送業務用制作機材の歴史”. ソニーマーケティング. 2023年2月14日閲覧。 “1970年3月 国内、海外のメーカー8社で "U規格" 規格統一合意”
- ^ a b c d e 東映 1992, p. 48.
- ^ “国立映画アーカイブの歴史”. 国立映画アーカイブ公式サイト. 国立映画アーカイブ. 2019年10月26日閲覧。 “1970年5月27日 フィルムセンターの開館式が行われる。”
- ^ “沿革・現況”. 東映ビデオ公式サイト. 東映ビデオ. 2020年4月13日閲覧。
- ^ “沿革”. 東映公式サイト. 東映. 2020年4月1日閲覧。
- ^ 日活 2014, pp. 98, 137.
- ^ 日活 2014, p. 137.
- ^ “新網走番外地 大森林の決斗”. 映画.com. 2023年3月31日閲覧。
- ^ “EXPO'70=日本万国博の公式長編記録映画、DVDに!”. CDJournal WEB (CDジャーナル) 2019年10月27日閲覧。
- ^ 東宝 1982b, p. 113.
- ^ “新網走番外地 吹雪のはぐれ狼”. 映画.com. 2023年4月1日閲覧。
- ^ 斉藤 2009, pp. 67–68.
- ^ “第4作 新・男はつらいよ”. 『男はつらいよ』公式サイト. 松竹映画. 2016年12月28日閲覧。
- ^ “第5作 男はつらいよ 望郷篇”. 『男はつらいよ』公式サイト. 松竹映画. 2016年8月7日閲覧。
- ^ “小売物価統計調査(動向編) 調査結果”. 統計局. 2016年8月3日閲覧。
- ^ “主要品目の東京都区部小売価格:昭和25年(1950年)〜平成22年(2010年)” (Excel). 統計局. 2016年8月3日閲覧。
- ^ a b c 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、274頁。ISBN 978-4873767550。
- ^ クリスマス・ツリー - allcinema
- ^ さらば夏の日 - allcinema
- ^ “Love Story, Box Office Information”. Box Office Mojo. January 9, 2012閲覧。
- ^ “Airport, Box Office Information”. Box Office Mojo. January 9, 2012閲覧。
- ^ Block, Alex Ben; Wilson, Lucy Autrey, eds (2010). George Lucas's Blockbusting: A Decade-By-Decade Survey of Timeless Movies Including Untold Secrets of Their Financial and Cultural Success. HarperCollins. ISBN 9780061778896
- M*A*S*H: p.527. $67.3 million (Initial Release Domestic Box office)
- ^ “Patton, Box Office Information”. Box Office Mojo. January 9, 2012閲覧。
- ^ “Woodstock, Worldwide Box Office Information”. Worldwide Box Office. January 9, 2012閲覧。
- ^ “The Aristocats Box Office Data”. The Numbers. November 10, 2014閲覧。
- ^ “Little Big Man, Box Office Information”. Box Office Mojo. January 9, 2012閲覧。
- ^ “Ryan's Daughter, Box Office Information”. The Numbers. January 9, 2012閲覧。
- ^ “Box Office Information for Tora! Tora! Tora!”. The Numbers. January 9, 2012閲覧。
- ^ “Chariots of the Gods, Worldwide Box Office Information”. Worldwide Box Office. January 9, 2012閲覧。
参考文献
[編集]- 石原良太 編『映画賞・映画祭日本・外国受賞作品大全集 : 栄光と虚栄・アカデミー賞からヨコハマ映画祭』芳賀書店、1986年6月。ISBN 4-8261-0520-7。
- 斉藤守彦『映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?』ダイヤモンド社、2009年11月27日。ISBN 978-4-478-01134-8。
- 松竹『松竹九十年史』松竹、1985年12月。全国書誌番号:87001945。
- 谷川義雄『年表・映画100年史』風濤社、1993年5月。ISBN 4-89219-113-2。
- 東映『クロニクル東映-II 1947-1991』東映、1992年10月。全国書誌番号:93017746。
- 東宝『東宝五十年史』東宝、1982年11月。全国書誌番号:83041631。
- 渋沢社史データベース版(1982年11月刊行本が底本)
- 東宝 編『東宝75年のあゆみ ビジュアルで綴る3/4世紀 1932 - 2007』東宝、2010年4月。
- 東宝 編『東宝75年のあゆみ 1932 - 2007 資料編』(PDF)東宝、2010年4月。
- 日活『日活100年史 = Nikkatsu-celebrating 100 years of history』日活、2014年3月。全国書誌番号:22411179。