1947年の映画
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1947年の映画(1947ねんのえいが)では、1947年(昭和22年)の映画分野の動向についてまとめる。
1946年の映画 - 1947年の映画 - 1948年の映画
出来事
[編集]世界
[編集]→「1947年 § できごと」も参照
- 2月20日 - ソ連、初の長編立体映画『ロビンソン・クルーソー』公開[1][2]。
- 4月11日 - 米国、チャップリンの『殺人狂時代』が公開されるが[3][4]、右翼による上映反対運動[1]や(親ソビエトであると誤解されていた)チャップリンに対し国外追放を求める声が上がる[5]。チャールズ・チャップリン#『殺人狂時代』と共産主義の告発も参照。
- 9月17日 - チャップリンは、英国ロンドンで開かれる『ライムライト』プレミア試写会のため、ニューヨークを出航[6]。9月19日、アメリカ司法長官がチャップリンの帰国禁止令を発表[7]。
- 10月20日 - 米国、下院非米活動委員会は第1回公聴会を開き、共産主義者の疑いのある映画人(ハリウッド・テン)を召喚するが、彼らは憲法修正第1条を根拠に答弁拒否[8][9][10]。そのため、ハリウッド・テンは『議会侮辱罪』で服役[8][11][12]。
- 11月25日 - 米国、アメリカ映画製作者協会(MPAA)と独立映画製作者協会、共産主義者とその同調者を映画業界から追放すると宣言(ウォルドーフ声明)[13][14][注 1]。ハリウッド・ブラックリスト#概要も参照。
- 11月30日 - 米国、映画監督エルンスト・ルビッチ死去[16][17]。
- 月日不詳
- フランス、アメリカ映画の輸入増加に対し、監督、プロデューサーら映画防衛委員会結成[1]。
日本
[編集]→「1947年の日本 § できごと」も参照
- 1月
- 2月
- 3月
- 3月1日 - 映画製作者連合会が日本映画連合会(映連)に改称[20][21]。
- 3月4日 - 映画入場料金、封切館(一番館)[22]10円、二番館[23]以下5円に値上げ(ともに税込み金額)[19]。
- 3月8日 - 東宝、日映演脱退組を中心に、新東宝映画製作所創立[20][24][注 3]。東宝撮影所から478名移籍[20]。資本金の100万円は全額東宝が出資[21]。
- 3月10日 - 東宝、渋沢秀雄・大沢善夫・植村泰二・川喜多長政が、改正公職追放令の適用必至の状況となり、取締役を辞任[18]。同じく経営担当者9人が辞任[18]。田辺加多丸社長就任[24][21]。
- 3月13日 - 日本興行組合連合会(興連)結成[19][20]。
- 3月24日 - 大映、永田雅一社長就任[19][24][注 4]。
- 3月25日 - 東京・丸の内スバル座がアメリカ映画ロードショー館としてスタート[24][注 5]。木造ではあるが、定員890名の堂々とした映画館[25]。
- 4月
- 5月
- 6月
- 7月
- 8月
- 9月
- フランス映画輸出組合日本事務所設立[31]。
- 9月16日 - 東横映画第1作『こころ月の如く』(稲垣浩監督)[32]、大映に委託配給で封切[33]。
- 10月
- 11月
- 12月
日本の映画興行
[編集]- 入場料金(大人)
日本公開作品
[編集]→詳細は「1947年の日本公開映画」を参照
受賞
[編集]- 第5回ゴールデングローブ賞
- 作品賞 (ドラマ部門) - 『紳士協定』
- 監督賞 - エリア・カザン - 『紳士協定』
- 主演男優賞 - ロナルド・コールマン - 『二重生活』
- 主演女優賞 - ロザリンド・ラッセル - Mourning Becomes Electra
- 第8回ヴェネツィア国際映画祭
- 最高賞 - 『Siréna』 - カレル・シュテクリー監督、 チェコスロバキア
- 第2回毎日映画コンクール
- 日本映画大賞 - 『今ひとたびの』
生誕
[編集]- 1月9日 - 岸部一徳、 日本、男優
- 1月18日 - ビートたけし(北野武)、 日本、映画監督・コメディアン・男優
- 2月2日 - ファラ・フォーセット、 アメリカ合衆国、女優
- 2月5日 - 西郷輝彦、 日本、男優・歌手
- 2月24日 - エドワード・ジェームズ・オルモス、 アメリカ合衆国、男優
- 2月28日 - ステファニー・ビーチャム、 イギリス、女優
- 3月6日 - ロブ・ライナー、 アメリカ合衆国、男優・コメディアン・プロデューサー・映画監督
- 3月11日 - ブリジット・フォッセー、 フランス、女優
- 3月19日 - グレン・クローズ、 アメリカ合衆国、男優
- 3月24日 - 梶芽衣子、 日本、女優
- 4月9日 - 杉山佳寿子、 日本、声優
- 4月15日 - ロイス・チャイルズ、 アメリカ合衆国、女優
- 4月18日 - ジェームズ・ウッズ、 アメリカ合衆国、男優
- 4月23日 - ブレア・ブラウン、 アメリカ合衆国、女優
- 4月27日 - 柴俊夫、 日本、男優
- 5月4日 - リチャード・ジェンキンス、 アメリカ合衆国、男優
- 5月18日 - 寺尾聰、 日本、男優・歌手
- 6月1日 - ジョナサン・プライス、 イギリス、男優
- 6月6日 - ロバート・イングランド、 アメリカ合衆国、男優
- 6月20日 - キャンディ・クラーク、 アメリカ合衆国、女優
- 7月22日 - アルバート・ブルックス、 アメリカ合衆国、男優
- 7月30日 - ウィリアム・アザートン、 アメリカ合衆国、男優
- 7月30日 - アーノルド・シュワルツェネッガー、 オーストリア、男優・ボディビルダー・第38代カリフォルニア州知事
- 7月31日 - リチャード・グリフィス、 イギリス、男優
- 8月27日 - バーバラ・バック、 アメリカ合衆国、女優
- 9月11日 - 泉ピン子、 日本、女優
- 9月14日 - サム・ニール、 ニュージーランド、男優
- 9月21日 - スティーヴン・キング、 アメリカ合衆国、ホラー作家
- 10月1日 - スティーヴン・コリンズ、 アメリカ合衆国、男優
- 10月17日 - マイケル・マッキーン、 アメリカ合衆国、男優
- 10月24日 - ケヴィン・クライン、 アメリカ合衆国、男優
- 10月25日 - 大和田伸也、 日本、男優
- 10月29日 - リチャード・ドレイファス、 アメリカ合衆国、男優
- 11月4日 - 西田敏行、 日本、男優
- 11月28日 - 渡辺篤史、 日本、男優
- 11月30日 - スチュアート・ベアード、 イギリス、編集技師・映画監督・プロデューサー
- 12月1日 - 根津甚八、 日本、男優
- 12月11日 - テリー・ガー、 アメリカ合衆国、女優
- 12月16日 - ベン・クロス、 イギリス、男優
- 12月31日 - ティム・マシスン、 アメリカ合衆国、男優・映画監督・プロデューサー
死去
[編集]日付 | 名前 | 出身国 | 年齢 | 職業 | |
1月 | 26日 | グレース・ムーア | アメリカ合衆国 | 48 | 歌手・女優 |
3月 | 8日 | ヴィクター・ポテル | アメリカ合衆国 | 57 | 男優 |
5月 | 31日 | アドリエンヌ・エイムズ | アメリカ合衆国 | 39 | 女優 |
6月 | 1日 | Anna Hoffman-Uddgren | スウェーデン | 79 | 女優 |
5日 | ニルス・オラフ・クリサンダー | スウェーデン | 63 | 男優 | |
9月 | 21日 | ハリー・ケリー | アメリカ合衆国 | 69 | 男優 |
11月 | 19日 | 高勢実乗 | 日本 | 49 | 男優 |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 〔引用者註〕『Kotobank』では「11月24日」に会合を開き声明を発表とも読めるが[15]、『ハリウッド・リポーター』によれば、会合は「11月24日から25日」の2日間開かれていたので、「11月25日」声明発表を採用した。
- ^ 1951年発行の『大映十年史』では、フィルムはフイルム(ィが大きいイ)表示となっている。
- ^ 『東宝五十年史』では「日映演脱退組を中心に」ではなく「第二製作部を中心に」となっている[21]。
- ^ 『年表・映画100年史』では、「菊池寛の社長辞任」・「永田雅一社長就任」は1月となっている[20]。
- ^ 『東宝五十年史』では「有楽町スバル座」になっている[21]。
- ^ 『大映十年史』では、「映画關係は十五社適用」となっている。
- ^ 『戦後値段史年表』によれば、3月は10円、9月は20円となっている[39]。
出典
[編集]- ^ a b c d 石原良太 1986, p. 66.
- ^ “Robinzon Kruzo (1947) - Release info” (英語). IMDb. 2024年8月6日閲覧。
- ^ 吉村英夫 2017, p. 77.
- ^ “チャップリンの殺人狂時代 (1947) - Release info” (英語). IMDb. 2024年8月3日閲覧。
- ^ 吉村英夫 2017, pp. 78, 83.
- ^ 吉村英夫 2017, p. 8.
- ^ 吉村英夫 2017, p. 9.
- ^ a b 吉村英夫 2017, pp. 86–87.
- ^ 井上一馬 1998, pp. 223–227.
- ^ 筈見有弘 1991, pp. 180–181.
- ^ 井上一馬 1998, p. 227.
- ^ 筈見有弘 1991, p. 182.
- ^ “The Hollywood Brass Who Endorsed the Blacklist” (英語). ハリウッド・リポーター. (2012年11月19日) 2024年8月4日閲覧。
- ^ 筈見有弘 1991, pp. 181–182.
- ^ 「ウォルドーフ声明」『世界大百科事典(旧版)』 。コトバンクより2024年8月3日閲覧。
- ^ a b 筈見 1955b, p. 102.
- ^ “エルンスト・ルビッチ - 略歴・フィルモグラフィー”. キネノート. キネマ旬報社. 2023年9月21日閲覧。
- ^ a b c d e f 東宝 2010b, p. 203.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 大映 1951, §大映十年と社会・映画界の動き.
- ^ a b c d e f g h i j 谷川 1993, p. 110.
- ^ a b c d e f g 東宝 1982b, p. 46.
- ^ 「封切館」『デジタル大辞泉』 。コトバンクより2024年5月11日閲覧。
- ^ 「二番館」『精選版 日本国語大辞典』 。コトバンクより2024年5月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 松竹 1985, pp. 675–676.
- ^ a b c 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、57頁。ISBN 978-4873767550。
- ^ a b 斉藤 2009, p. 54.
- ^ a b c d 東宝 1982b, p. 47.
- ^ 「日本国憲法」『デジタル大辞泉』 。コトバンクより2024年5月11日閲覧。
- ^ a b 日活 2014, p. 62.
- ^ “協会について 協会概要”. 日本映画テレビ技術協会公式サイト. 日本映画テレビ技術協会. 2020年1月23日閲覧。 “一般社団法人 日本映画テレビ技術協会は、1947年に日本映画技術協会として発足”
- ^ a b c d 東宝 1982b, p. 48.
- ^ “こころ月の如く : 作品情報”. 映画.com. 2024年5月9日閲覧。
- ^ 東映 1992, p. 10.
- ^ a b c 東宝 1982b, p. 49.
- ^ “石の花(1946)”. allcinema. 2019年8月26日閲覧。 “初公開年月 1947/11/04”
- ^ a b 東宝 2010b, p. 204.
- ^ “第七のヴェール(1945)”. allcinema. 2019年8月26日閲覧。 “初公開年月 1947/12/02”
- ^ 角川春樹、藤岡和賀夫、阿久悠『ザ・ブーム』角川書店、1982年1月25日、186頁。
- ^ 週刊朝日『戦後値段史年表』朝日新聞出版〈朝日文庫〉、1995年、23頁。ISBN 4-02-261108-1。
- ^ a b c d 松竹 1985, p. 258.
- ^ “それでも私は行く”. 映画.com. 2023年5月29日閲覧。
参考文献
[編集]- 石原良太 編『映画賞・映画祭日本・外国受賞作品大全集 : 栄光と虚栄・アカデミー賞からヨコハマ映画祭』芳賀書店、1986年6月。ISBN 4-8261-0520-7。
- 井上一馬『アメリカ映画の大教科書(下)』新潮社〈新潮選書〉、1998年3月。ISBN 978-4106005367。
- 斉藤守彦『映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?』ダイヤモンド社、2009年11月27日。ISBN 978-4-478-01134-8。
- 松竹『松竹九十年史』松竹、1985年12月。全国書誌番号:87001945。
- 大映 編『大映十年史』大映、1951年。doi:10.11501/2460993。全国書誌番号:52009699。
- 東映『クロニクル東映-II 1947-1991』東映、1992年10月。全国書誌番号:93017746。
- 東宝『東宝五十年史』東宝、1982年11月。全国書誌番号:83041631。
- 渋沢社史データベース版(1982年11月刊行本が底本)
- 東宝 編『東宝75年のあゆみ ビジュアルで綴る3/4世紀 1932 - 2007』東宝、2010年4月。全国書誌番号:21785703。
- 東宝 編『東宝75年のあゆみ 1932 - 2007 資料編』(PDF)東宝、2010年4月。
- 谷川義雄『年表・映画100年史』風濤社、1993年5月。ISBN 4-89219-113-2。
- 日活『日活100年史 = Nikkatsu-celebrating 100 years of history』日活、2014年3月。全国書誌番号:22411179。
- 筈見有弘『ハリウッド・ビジネスの内幕 : 映像ソフト王国の全貌』日本経済新聞社、1991年7月。ISBN 4-532-16023-5。
- 筈見恒夫『写真映画百年史』 4巻、鱒書房、1955年10月。 NCID BA32272354。NDLJP:2466996。
- 吉村英夫『ハリウッド<赤狩り>との闘い』大月書店、2017年11月。ISBN 978-4-272-61235-2。