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2021年最高裁判所裁判官国民審査

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2021年最高裁判所裁判官国民審査(2021ねん さいこうさいばんしょ さいばんかん こくみんしんさ)は、2021年令和3年)10月31日第49回衆議院議員総選挙と共に執行された最高裁判所裁判官国民審査

概要

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令和になって初めて行われた国民審査である。

新型コロナウイルス感染症の影響で投票所の入場規制などの対策が行われた。総務省は「投票のために外出することは「不要不急の外出」には当たらない」としていた[1]

審査対象となった裁判官11人は戦後2番目の多さであり、制度成立後最初の審査で在職中の全裁判官が対象となった第1回1949年)の14人を除けば最多である。

審査対象者

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前回の国民審査後、2021年9月3日までに最高裁判所裁判官に就任した者のうち、7月8日に定年退官した宮崎裕子を除く以下の11名である。

告示順 氏名 年齢 任命年月日 出身地 学歴 出身分野 指名内閣 担当小法廷
1 深山卓也 67 2018年1月9日 東京都 東京大学法学部 裁判官(34期) 第4次安倍内閣 第一小法廷
2 岡正晶 65 2021年9月3日 香川県 弁護士(34期) 菅義偉内閣
3 宇賀克也 66 2019年3月20日 東京都 法学者 第4次安倍内閣 (1改) 第三小法廷
4 堺徹 63 2021年9月3日 和歌山県 検察官(36期) 菅義偉内閣 第一小法廷
5 林道晴 64 2019年9月2日 東京都 裁判官(34期) 第4次安倍内閣 (1改) 第三小法廷
6 岡村和美 63 2019年10月2日 早稲田大学法学部 行政官 第4次安倍内閣 (2改) 第二小法廷
7 三浦守 65 2018年2月26日 東京大学法学部卒 検察官(34期) 第4次安倍内閣
8 草野耕一 66 2019年2月13日 千葉県 弁護士(32期) 第4次安倍内閣 (1改)
9 渡邉惠理子 62 2021年7月16日 福島県 東北大学法学部 弁護士(40期) 菅義偉内閣 第三小法廷
10 安浪亮介 64 2021年7月16日 奈良県 東京大学法学部卒 裁判官(35期) 第一小法廷
11 長嶺安政 67 2021年2月8日 東京都 東京大学教養学部 行政官 第三小法廷

最高裁判決等における裁判官の意見

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審査対象の11判事の、最高裁判決等における意見(意見が分かれたものに限定)。

判決日 裁判 深山
卓也

正晶
宇賀
克也


道晴
岡村
和美
三浦
草野
耕一
渡邉
惠理子
安浪
亮介
長嶺
安政
2018年12月19日 2017年衆院選の一票の格差(1.98倍) 合憲 合憲
2020年7月20日 リツイート事件
(著作者人格権侵害問題)
侵害 侵害
2020年10月13日 メトロコマース事件
(有期契約労働者退職金格差問題)
違法 合法
2020年11月18日 2019年参院選の一票の格差(3.00倍) 合憲 違憲 合憲 合憲 違憲
状態
2020年12月22日 袴田事件再審請求 再審
開始
審理
続行
2021年2月24日 孔子廟訴訟の憲法判断 違憲 違憲 違憲 違憲 違憲 違憲
2021年6月23日 夫婦別姓訴訟の憲法判断 合憲 違憲 合憲 合憲 一部
違憲
違憲 合憲
2021年7月6日 辺野古サンゴ訴訟
農林水産大臣是正命令問題)
違法 合法 合法

国民審査の結果

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告示順 氏名 罷免を
可とする票
罷免を
可としない票
罷免を
可とする率
1 深山卓也 4,473,315 52,707,475 7.82%
2 岡正晶 3,544,361 53,636,426 6.20%
3 宇賀克也 3,911,314 53,269,474 6.88%
4 堺徹 3,539,058 53,641,758 6.19%
5 林道晴 4,397,748 52,783,073 7.69%
6 岡村和美 4,149,807 53,031,006 7.26%
7 三浦守 3,813,025 53,367,781 6.67%
8 草野耕一 3,821,616 53,359,181 6.68%
9 渡邉惠理子 3,468,613 53,712,174 6.07%
10 安浪亮介 3,384,687 53,796,120 5.92%
11 長嶺安政 4,138,543 53,042,293 7.24%
出典:衆議院議員総選挙結果調(R3.11.5発表) (PDF) - 総務省
投票者数(投票率) 58,599,472 55.69%
棄権者数(棄権率) 46,624,631 44.31%
有権者数 105,224,103 100%
出典:総務省

その他

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  • 広島県選挙管理委員会が国民審査の投票用紙で、審査対象となる岡正晶の「晶」を「昌」と誤植していたことが判明し、約236万枚を廃棄して約1200万円かけて印刷し直す事態となった[2]
  • 青野慶久は、夫婦別姓訴訟に合憲判決を下した裁判官を罷免させる落選運動を行った[3]。その後行われた国民審査では、夫婦別姓訴訟に合憲判決を下した裁判官4人が「罷免を可」とする比率の上位を占める結果となった[4]。一方、同訴訟で反対意見を出した3人の「罷免を可」とする票もその4人に次いで多かった[5][注 1]

脚注

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出典

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注釈

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  1. ^ 国民投票の性格上、夫婦別姓訴訟での判決や罷免運動と投票結果の直接的な因果関係は不明である点に注意が必要である[6]

外部リンク

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