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マーク・プレストン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マーク・プレストン

Mark Preston
2015年
生誕 (1968-11-07) 1968年11月7日(56歳)
オーストラリアの旗 オーストラリアジーロング
国籍 オーストラリアの旗 オーストラリア
教育 モナシュ大学
業績
専門分野 エンジニア
テクニカルディレクター
チーム代表
勤務先 ローラ・カーズ
ストリートドローン 創業者
雇用者 アロウズ(1996-2002)
マクラーレン(2002-2004)
スーパーアグリ(2006-2008)
チーム・アグリ(2014-2016)
テチーター(2016-2022)
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マーク・プレストン(Mark Preston, 1968年11月7日 - )は、オーストラリア実業家モータースポーツ自動車技術者である。

現在、ローラ・カーズフォーミュラEプロジェクトの責任者で、ストリートドローンの創業者。以前はテチーター・フォーミュラEチームのチーム代表を務めた。

F1では、アロウズ(1996-2002)、マクラーレン(2002-2004)、スーパーアグリF1チーム(2006-2008)に所属した。

経歴

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オーストラリアジーロングで生まれ、メルボルンで育ち、1992年にモナシュ大学機械工学の学位を取得した。

在学中にモータースポーツでのキャリアをスタートさせた。レーシングカーメーカーの、ボーランド・レーシング・デベロップメントでパートタイムの設計エンジニアとして働いた。

初期のキャリア

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大学卒業後の1992年、セミトレーラータンクローリーの設計・製造・販売を専門とするタイマンインダストリーズで働いた[1]

1998年モデルのSpectrum07
1995年モデルの05の2世代後のFF1600車

1993年に、ホールデンのプロジェクトマネージャーに任命され、ホールデンとトム・ウォーキンショーとの合弁会社であるホールデンスペシャルビークル(HSV)英語版で、ローカルおよびグローバル市場向けのカスタム車両を設計した。

1994年、ボーランド・レーシング[2]でスペクトラムレーシングカー[3]の開発に取り組む。スペクトラム05は、1996年のオーストラリア・フォーミュラ・フォード・チャンピオンシップ英語版で、ジェイソン・バルグワナ英語版のドライブでレースで2位を獲得した。その後、スペクトラムはフォーミュラ・フォードのオーストラリア選手権で優勝を収めた。

F1でのキャリア

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アロウズ

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F1で働くという夢の為、ホールデンスペシャルビークルでのトム・ウォーキンショーとのつながりで、プレストンは1996年にオーストラリアからイギリスに移り2002年7月まで、TWRアロウズで6年間チームに在籍した。

投入 設計 型式 Tech Director Eng Director チーフデザイナー 空力 Head
1996 1995 フットワーク・FA17 アラン・ジェンキンス Dave Amey
1997 1996 アロウズ・A18 フランク・ダーニー Paul Bowen Simon Jennings
1998 1997 アロウズ・A19 ジョン・バーナード マイク・コフラン
1999 1998 アロウズ・A20 マイク・コフラン
(バーナードの代理)
エグバル・ハミディ
2000 1999 アロウズ・A21
2001 2000 アロウズ・A22 ロバート・テイラー ニコロ・ペトルッチ
ジョン・デイビス[4]
2002 2001 アロウズ・A23 セルジオ・リンランド
アロウズ・A19
  • 応力解析エンジニア(Stress Analyst)
  • シニア・ビークル・パフォーマンス・アナリスト(Vehicle Performance Analyst)
  • リサーチ・アンド・ディベロップメント(R&D)責任者の役割を果たした。

プレストンは、コンピューター支援分析(computer aided analysis)、ビークルダイナミクス(vehicle dynamics)、そして、ラボラトリーおよびテストチームにおけるリサーチ・アンド・ディベロップメント(R&D)を担当した。

マクラーレン

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    MP4-17D     MP4-18 MP4-19 MP4-19B MP4-20
投入時期 2003年 2002.08-
2003前半
2004年前半 2004年後半 2005年
設計時期 2002年 2003年後半 2004年前半 2004年後半
ニール・オートレイ Neil Oatley Executive Engineer
エイドリアン・ニューウェイ Adrian Newey Technical Director
マイク・コフラン Mike Coughlan Chief Designer (2002-2008)
マーク・プレストン Mark Preston Principal Designer, Head of Vehicle Technology (2002.08-2004.06)
アンディ・ル・フレミング Andy Le Fleming サスペンション設計 (Design Engineer) (2002.10-2008.02)[5]
マーク・ウィリアムズ Mark Williams Chief Engineer, Vehicle Performance Head of Vehicle Engineering
パディ・ロウ Paddy Lowe Chief Engineer, Systems Development Engineering Director
パット・フライ Pat Fry Chief Engineer, Race Development Chief Engineer, Mechanical Design
ティム・ゴス Tim Goss Chief Engineer, Powertrain Principal Engineer
ニコラス・トンバジス Nikolas Tombazis (2004.04-2005.04) Chief Engineer, Aerodynamics
ピーター・プロドロモウ Peter Prodromou Head of Aerodynamics
マリオ・イリエン Mario Illien Chief Engine Designer (Ilmor-Mercedes)
マクラーレン・MP4-19(2004年)

2002年にアロウズが撤退した後、プレストンはデザイナーのマイク・コフランを追う形で、マクラーレンにプリンシパルデザイナー(Principal Designer)として加わり[6]、後にビークル・テクノロジー(Vehicle Technology)の責任者に昇進し、テクニカルディレクターのエイドリアン・ニューウェイとチーフデザイナーのマイク・コフランとともに、マクラーレン・MP4-18MP4-19の開発に関わった。2004年6月にチームを離脱する。

スーパーアグリF1

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マクラーレンで2年間過ごした後、プレストンはチームを去り独自のF1チームを目的として、プレストン・レーシングを設立した[7]

2005年11月、元アロウズF1の従業員と元F1ドライバーの鈴木亜久里と協力して、プレストンはスーパーアグリF1チームを立ち上げた[8]。亜久里を通じて、2006年から2008年にかけてチームにエンジンを供給する、ホンダのサポートを確保することができた[9]。プレストンはスーパーアグリのチーフテクニカルオフィサーに任命され、F1チームを開始するわずか100日間で、バーレーンでの初戦に向けスタッフ100人の採用、55トンの機器と2台のトラックを調達し、チームを作る上で中心的な役割を果たした。2006年1月26日に国際自動車連盟(FIA)によってチームのエントリーが承認された後、 2006年バーレーングランプリSA05がデビューした[10]

プレストンは、2008年にスーパーアグリがF1から撤退するまで、さらに2シーズンテクニカルディレクターとしてチームに在籍した[11]

フォーミュラEでのキャリア

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2014年、プレストンは鈴木亜久里と共同でチーム・アグリフォーミュラEチームを設立した[12]。チームは後に、アムリン・アグリと変更し、FIAが認可した世界初の電気自動車のシリーズである、FIAフォーミュラE世界選手権に参加した10チームのうちの1つとなった。2015-16年、チーム・アグリとして名称が変更され、プレストンはチーム代表を継続した[13]。彼はチームの戦略と開発を担当した。

チーム・アグリは2015-16年シーズン後チームを売却したが、プレストンは2016年8月に売却先の、テチーター・フォーミュラEチームのチーム代表になった[14]。テチーターは、2017-2018年のフォーミュラEで唯一のカスタマーチームだった。チームはドライバーのジャン=エリック・ベルニュと共に、2017/2018ドライバーズタイトルを獲得した。テチーターは2018-19年シーズン5で、DSオートモビルズと提携してDS・テチーターとなり、ニューヨークシティePrixでドライバー、チームタイトルを獲得した[15]。ベルニュは、フォーミュラEでは史上初となるチャンピオンを2回獲得したドライバー及びタイトルを2連覇したドライバーとなった。

その後ローラ・カーズに移籍し、同社のモータースポーツディレクターに就任。2024年3月にローラとヤマハ発動機が提携してフォーミュラEへの参入を発表した際にも、ローラ側の責任者として記者会見に臨んだ[16]

その他

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2008年から2014年の間、プレストンは、軽量炭素繊維複合部品の設計、開発、製造を専門とする「Formtech Composites Ltd」のマネージングディレクターを務めた[17]

2015年5月、「MobOx Foundation CIC」の創設者兼ディレクターになった。これはオックスフォードにあるテクノロジーの研究を行う研究所[18]

2017年4月、起業家のマイク・ポッツと、自動運転車技術の開発を目的としたオープンプラットフォームである「ストリートドローン」を立ち上げた。

資格と研究

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モータースポーツでの仕事の間に、資格、学位を取得し、いくつかのテクノロジービジネスに携わってきた。

2006年にオックスフォード大学MBAを取得し、在学中は工学部の潮流エネルギー研究グループに参加し、潮流から電力を生成する水中装置である横水平軸水車の開発と商品化に関与した。

脚注

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  1. ^ Tieman Tankers - Tanker Range” (英語). Tieman. 2022年7月20日閲覧。
  2. ^ Borlandracing. “Borland Racing” (英語). Borland Racing. 2022年7月20日閲覧。
  3. ^ Spectrum Formula Ford”. www.mbrgearbox.com. 2022年7月20日閲覧。
  4. ^ New Arrows runs”. grandprix.com. 2022年11月8日閲覧。
  5. ^ アンディ・ル・フレミング Senior Design Engineer - Concept at Scuderia Toro Rosso”. linkedin.com. 2022年8月15日閲覧。
  6. ^ Preston joins McLaren”. Autosport (17 September 2002). 4 March 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月15日閲覧。
  7. ^ Preston Racing move in at Silverstone”. Crash.net (23 June 2005). 2022年7月15日閲覧。
  8. ^ Preston postpones plans, joins Aguri”. Crash.net (4 Novenver 2005). 2022年7月15日閲覧。
  9. ^ Super Aguri boosted by Honda help”. Autosport (30 January 2006). 2022年7月15日閲覧。
  10. ^ FIA confirm Super Aguri”. Eurosport (26 January 2006). 2022年7月15日閲覧。
  11. ^ Preston is new technical director of Super Aguri”. F1 Technical (22 September 2006). 2022年7月15日閲覧。
  12. ^ Super Aguri joins FIA Formula E Championship as sixth team”. FIA Formula E (1 November 2013). 23 January 2018時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月15日閲覧。
  13. ^ Team Aguri launch colour scheme via motorsport.com”. Speed Major (12 August 2015). 2022年7月15日閲覧。
  14. ^ WTCC champion Lopez to replace Vergne”. Racer (7 July 2016). 2022年7月15日閲覧。
  15. ^ Harris, Geoffrey (26 July 2019). “Aussie bright spark an electric world leader”. CarSales. https://www.carsales.com.au/editorial/details/motorsport-aussie-bright-spark-an-electric-world-leader-119702/ 2022年7月15日閲覧。 
  16. ^ ヤマハと共にフォーミュラEを目指すローラ……率いるのは元スーパーアグリF1のプレストン「チームを運営するつもりはない」 - motorsport.com 2024年3月29日
  17. ^ Formtech partners BAE in bid to introduce composites to MoD”. The Engineer (29 September 2011). 2022年7月15日閲覧。
  18. ^ Autonomous racing cars: coming soon to a track near you?”. Current E (2 October 2015). 2022年7月15日閲覧。

外部リンク

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