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{{Otheruses|滋賀県・岐阜県境の伊吹山|栃木県の伊吹山|伊吹山 (栃木県)}}
{{Infobox 山
{{Infobox 山
|名称=伊吹山
|名称=伊吹山
|画像=[[ファイル:Ibukiyama from Kannonzaka(Maibara-Nagahama).jpg|300px|新観音坂トンネル東詰から撮影した伊吹山(2022年8月7日)]]
|画像=[[File:Mount Ibuki and N700 Series Shinkansen.jpg|300px]]
|画像キャプション = 伊吹山と、麓を通過する[[東海道新幹線]]
|画像キャプション = 滋賀県米原市・長浜市境からの眺め(2022年8月7日)
|標高=1,377.<small>31</small><ref name="kijyun">{{Cite web|url=http://sokuseikagis1.gsi.go.jp/ |title=基準点成果等閲覧サービス |publisher=[[国土地理院]] |accessdate=2011-03-21}}</ref>
|標高=1,377.<small>31</small><ref name="kijyun">{{Cite web|和書|url=https://sokuseikagis1.gsi.go.jp/top.html |title=基準点成果等閲覧サービス |publisher=[[国土地理院]] |accessdate=2011-03-21}}</ref>
|座標={{ウィキ座標2段度分秒|35|25|04|N|136|24|23|E|}}<ref name="kokudo">{{Cite web|url=http://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MOUNTAIN/mountain.html |title=日本の主な山岳標高(滋賀県の山) |publisher=国土地理院 |accessdate=2011-02-05}}</ref>
|座標={{ウィキ座標2段度分秒|35|25|04|N|136|24|23|E|region:JP_type:mountain|display=inline,title}}<ref name="kokudo">{{Cite web|和書|url=https://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/kihonjohochousa41139.html |title=日本の主な山岳標高(滋賀県の山) |publisher=国土地理院 |accessdate=2011-02-05}}</ref>
|所在地=[[滋賀県]][[米原市]]<br />[[岐阜県]][[揖斐郡]][[揖斐川町]]
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|地図={{Embedmap|136.4064|35.4178|300}}伊吹山の位置{{日本の位置情報|35|25|04|136|24|23| 関ヶ原(岐阜)|35.417778,136.406111|伊吹山}}
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[[File:Ibukiyama from Arakawa.jpg|thumb|250px|right|岐阜県大垣市から望む冬の伊吹山]]


'''伊吹山'''(いぶきやま、いぶきさん)は、[[滋賀県]]と[[岐阜県]]の[[県境]]にる[[伊吹山地]]の主峰で、[[標高]]1,377[[メートル|m]]の[[山]]である。[[日本百名山]]<ref name="fukada">{{Cite book|和書 |author=[[深田久弥]] |year=1982 |month=7 |title=日本百名 |publisher=[[朝新聞社]] |isbn=4-02-260871-4 |pages=pp.328-331}}</ref>、[[新・花の百名山]]<ref name="sinhana">{{Cite book|和書 |author=[[田中澄江]] |year=1995 |month=6 |title=新・花百名山 |publisher=[[文春文庫]] |isbn=4-16-731304-9 |pages=pp.323-325}}</ref>および[[関西百名山]]<ref>{{Cite book|和書 |author= |year=2010 |month=2 |title=関西百名山地図帳 |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=4-16-731304-9 |pages=pp.6-9}}</ref>に選定されている
'''伊吹山'''(いぶきやま、いぶきさん<ref name=sanseido>{{Cite book |和書 |editor=徳久球雄・石井光造・武内正 |title=三省堂 日本山名事典 |edition=改訂版 |year=2011 |publisher=[[三省堂]] |isbn=978-4-385-15428-2 |pages=89-90}}</ref>)は、[[滋賀県]]と[[岐阜県]]の[[県境]]を南北る[[伊吹山地]]の主峰([[最高峰]])ある、[[標高]]1,377 [[メートル|m]]の[[山]]<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁">[[#新日本山岳誌|本山岳誌 (2005)、1232-1234頁]]</ref>。伊吹山自体は滋賀県側は米原市岐阜県側は[[揖斐郡]][[揖斐川町]]と[[不破郡]][[関ケ原町]]に属し、[[一等三角点]]が置かれている山頂部は米原市域にある<ref name="kijyun" />。[[各都道府県最高峰|滋賀県の最高峰]]であり山域は[[琵琶湖国定公園]]に指定されている<ref name="kokutei">{{Cite web|和書|url=http://www.env.go.jp/park/doc/data/index.html#data3 |title=国定公園について |publisher=[[環境省]] |accessdate=2011-03-21}}</ref>。


== 概要 ==
== 概要 ==
[[ファイル:Mount Ibuki top 2011-03-06.jpg|サムネイル|右|山頂にある[[日本武尊]]の石像]]
[[一等三角点]]が置かれている頂上は滋賀県[[米原市]]に属し<ref name="kijyun" />、[[各都道府県の最高峰|滋賀県最高峰]]の山である。周辺は[[琵琶湖国定公園]]に指定されている<ref name="kokutei">{{Cite web|url=http://www.env.go.jp/park/doc/data/index.html#data3 |title=国定公園について |publisher=[[環境省]]|accessdate=2011-03-21}}</ref>。
古くから霊峰とされ、『[[古事記]]』『[[日本書紀]]』においては[[ヤマトタケル]](日本武尊)が東征の帰途に伊吹山の神を倒そうとして返り討ちにあったとする神話が残されている<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁">[[#日本山名辞典|コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁]]</ref>。[[日本百名山]]<ref name="深田 (1982)、328-331頁">[[#深田久弥|深田 (1982)、328-331頁]]</ref>、[[新・花の百名山]]<ref name="田中 (1995)、323-325頁">[[#新・花の百名山|田中 (1995)、323-325頁]]</ref>、[[一等三角点百名山]]<ref>[[#一等三角点百名山|一等三角点研究会 (1988)]]</ref>、[[関西百名山]]<ref>[[#関西百名山地図帳|関西百名山地図帳 (2010)、6-9頁]]</ref>、近畿百名山、[[ぎふ百山]]<ref>[[#ぎふ百山|岐阜県山岳連盟 (1987)]]</ref>の1つに選定されている。滋賀県、岐阜県、[[愛知県]]、[[三重県]]の多くの学校の[[校歌]]で「伊吹山」に関する語句が歌われている<ref name="hashima">{{Cite web|和書|url=http://www.city.hashima.lg.jp/contents_detail.php?co=kak&frmId=3331 |title=ふるさと歴史散歩 03「正法寺の芭蕉句碑」 |publisher=[[羽島市]] |date=2010-06-01 |accessdate=2011-04-07}}</ref><ref group="注釈">[[第八高等学校 (旧制)|第八高等学校]]の寮歌では「'''伊吹おろし'''の雪消えて、木曽の流れにささやけば、光に満てる国原の、春永劫に薫るかな」と歌われていた</ref><ref name="大坪 (1987)、175頁">[[#日本200名山|大坪 (1987)、175頁]]</ref>。


=== 山名 ===
古くから霊峰とされ、[[日本書紀]]においては[[ヤマトタケル]]が東征の帰途に伊吹山の神を倒そうとして返り討ちにあったとする神話が残されている<ref name="sanmei">{{Cite book|和書 |author= |year=1990 |month=10 |title=コンサイス日本山名辞典 |publisher=[[三省堂]] |isbn=4385154031 |pages=pp.48-49}}</ref>。[[日本書紀]]では「五十葺山」あるいは「膽吹山」などのように記され<ref name="sanmei" />、[[古事記]]では「伊服阜能山」<ref name="y1000">{{Cite book|和書 |author= |year=1992 |month=8 |title=日本の山1000 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635090256 |pages=p.529}}</ref>と記述される。[[藤原実方]]が「かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」と和歌に詠み、[[後拾遺和歌集]]および[[小倉百人一首]]に収録された<ref name="sanmei" />。この和歌を元に「伊吹山」は古来より[[歌枕]]として用いられ、「伊吹百草(もぐさ)」が育つ[[薬草]]の山として知られていた<ref name="fukada" />。
『日本書紀』では「五十葺山」<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁" />、『古事記』では「伊服阜能山」と記されている<ref name="日本の山1000 (1992)、529頁">[[#日本の山1000|日本の山1000 (1992)、529頁]]</ref><ref name="日本三百名山 (1997)、261頁">[[#日本三百名山|日本三百名山 (1997)、261頁]]</ref>。ほかにも「伊吹山」や「伊吹」の別表記として「膽吹山<ref name=sanseido />」「伊服阜山<ref name=sanseido />」「伊夫阜山<ref name=sanseido />」「伊福貴<ref name="kadogifu">{{Cite book|title=角川日本地名大辞典 21 岐阜県|date=昭和55年9月20日|year=|publisher=角川書店}}</ref>」「異吹<ref name="kadogifu"/>」「伊布貴<ref name="kadogifu"/>」「伊夫伎<ref name="kadogifu"/>」などがある。また、かつて[[修験道]]においては「大乗峰」と呼ばれていた<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" />。


「伊吹山」は一般的に「いぶきやま」と読まれ、[[国土地理院]]に登録されている山名も同様であるが、一部では「いぶきさん」とも呼ばれる<ref name="sanseido" />。滋賀県内では伊吹山に近い地域(米原市の旧[[伊吹町]]など)では「いぶきやま」、伊吹山から遠い地域になるほど「いぶきさん」と呼ぶ傾向があるとされ<ref>『湖国と文化』136号、滋賀県文化振興事業団、2011年。</ref>、[[美濃国|美濃地方]](岐阜県南部)や[[尾張国|尾張地方]](愛知県西部)でも「いぶきさん」と呼ばれることがある<ref>武内正『日本山名総覧 1万8000山の住所録』(白山書房、1999年)260頁</ref>。
[[濃尾平野]]では、冬季に北西の方角から吹く[[季節風]]を「[[伊吹おろし]]」と呼ぶほか<ref>{{Cite web |url=http://www.city.ogaki.lg.jp/0000002398.html|title=気候 |publisher=[[大垣市]] |date=2009-03-05 |accessdate=2011-04-07}}</ref>、[[校歌]]に「伊吹山」に関する語句が歌詞に使われていることが多い<ref name="hashima">{{Cite web |url=http://www.city.hashima.lg.jp/contents_detail.php?co=kak&frmId=3331 |title=ふるさと歴史散歩 03 「正法寺の芭蕉句碑」 |publisher=[[羽島市]] |date=2010-06-01 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。


== 人間とのかかわり ==
「伊吹山」の読み方について、国土地理院の登録された山名をはじめ、地図や道路標識などの振り仮名は「いぶきやま」となっており、伊吹山の山麓地域では「いぶきやま」と呼ばれる。一方、「いぶきさん」という呼び方も存在し<ref>徳久球雄・石井光造・武内正編『三省堂 日本山名事典』三省堂、2004年、89頁。</ref>、滋賀県の伊吹町では「いぶきやま」、美濃尾張方面では「いぶきさん」とする名鑑がある<ref>武内正『日本山名総覧 1万8000山の住所録』白山書房、1999年、260頁。</ref>ほか、滋賀県内の伊吹山に近い地域では「いぶきやま」、遠い地域になるほど「いぶきさん」と呼ぶ傾向があるとも言われている<ref>『湖国と文化』136号、滋賀県文化振興事業団、2011年。</ref>。{{要出典範囲|date=2013年11月|岐阜県でも滋賀県と同様の傾向がある}}。
[[ファイル:Ibukisanji on top of Mount Ibuki s3.JPG|サムネイル|右|山頂の伊吹山寺山頂本堂、その左に伊吹山之神「白猪」の像]]
古くから神が宿る山として[[山岳信仰]]の対象であった。[[室町時代]]後期には[[織田信長]]により、山上に野草園が造られたとされている<ref name="深田 (1982)、328-331頁" />。[[明治]]以降に近代[[登山]]の対象となった<ref name="草川 (2006)、11頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、11頁]]</ref>。[[大正時代]]には中山再次郎により、[[関西]]から[[スキー]]に訪れる山として注目されるようになった<ref name="草川 (2006)、11頁" />。1964年([[昭和]]39年)に[[深田久弥]]により日本百名山に選定されると、百名山ブームもあり全国的に登山対象の山として知名度も高まった<ref name="草川 (2006)、11頁" />。1965年(昭和40年)に[[伊吹山ドライブウェイ]]が開通すると、9合目まで容易に上がれるようになり山頂部は観光地化した。


=== 気候 ===
=== 伊吹神の信仰 ===
<div class="thumb tright">
[[亜寒帯湿潤気候]]で雪も非常に多く、1927年2月14日には世界最深積雪記録となる積雪量1182cmを記録しており、現在でもこの記録は破られていない。
{| class="wikitable" style="font-size:85%;background-color:#ffffff;white-space: nowrap;text-align:center"
また、旧平年値(1971-2000)における月別平均気温は[[稚内市|稚内]]とほぼ同じ値となっている<ref>[http://www.ds-j.com/nature/ibuki/Information/old-story/kishou.htm 伊吹山の気象]</ref>。
|+伊吹2神の[[神階]]
以下、データは2001年3月31日に観測を終了した伊吹山測候所の記録である。
!年!!伊夫伎神社<br>([[近江国]][[坂田郡]])!![[伊富岐神社]]<br>(美濃国不破郡)
|-
|850年||従五位下||
|-
|852年|| ||官社指定
|-
|859年||従五位下<br>→従五位上||
|-
|865年|| ||従五位下<br>→従四位下
|-
|877年||正四位下<br>→従三位||従四位下<br>→従四位上
|-
|[[延喜式神名帳|神名帳]]||小||小
|-
|[[一宮|一宮制]]|| ||美濃国二宮
|-
|}</div>
伊吹山の神は「伊吹大明神」とも呼ばれ、『古事記』では「牛のような大きな白猪」、『日本書紀』では「大蛇」とされていた<ref>[[#ヤマトタケルの足跡|竹田 (2012)、80頁]]</ref>。『古事記』には[[ヤマトタケル]](日本武尊)がこの伊吹大明神と戦って敗れる物語がある。伊吹山の神に苦しめられて敗れたヤマトタケルは病に冒されて山を下り、居醒の泉(米原市[[醒井]]の[[平成の名水百選]]の一つに選定されている「居醒の清水」<ref>{{Cite web|和書|url=https://www2.env.go.jp/water-pub/mizu-site/newmeisui/data/index.asp?info=61 |title=平成の名水百選・居醒の清水(いさめのしみず) |publisher=環境省 |accessdate=2014-06-22}}</ref>)で少し回復したものの、のちに悪化して亡くなったとする伝説が伝えられている<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、51頁]]</ref><ref>[[#ヤマトタケルの足跡|竹田 (2012)、78頁]]</ref>。山頂部にはその日本武尊の石像と<ref name="与呉 (2011)、98-101頁">[[#ヤマケイアルペンガイドNEXT|与呉 (2011)、98-101頁]]</ref>、伊吹山の神の白猪の像が設置されている。表登山道の三合目西側の「高屋」と呼ばれる場所はヤマトタケルが山の神に出会った場所とされていて、大正時代に石の[[祠]]が建立され、その中に木造の日本武尊が祀られた<ref>『伊吹山リーフレット』 伊吹山観光振興会(2014年)</ref>。

また文献によれば、古代には[[近江国]]・[[美濃国]]の両国で伊吹神が祀られたことが知られる<ref name="日本歴史地名大系">「伊吹山」『[[日本歴史地名大系]] 21 岐阜県の地名』[[平凡社]]、1989年</ref>。[[六国史|国史]]では両神に対する[[神階]]奉叙の記事が散見され、中央にも知られる神であった<ref name="日本歴史地名大系"/>。両神は、『[[延喜式]]』[[延喜式神名帳|神名帳]]においてもそれぞれ「伊夫伎神社」「伊富岐神社」として記載されて[[式内社]]に列しているほか、美濃の伊富岐神社は美濃国内において[[南宮大社]](一宮)に次ぐ二宮に位置づけられた<ref name="平凡社 伊富岐神社">「伊富岐神社」『日本歴史地名大系 21 岐阜県の地名』平凡社、1989年</ref>。現在も近江の神社は伊夫岐神社(滋賀県米原市伊吹)として、美濃の神社は[[伊富岐神社]](岐阜県不破郡垂井町岩手)として祭祀が継承されている。

創祀については美濃地方の豪族の伊福部氏との関係を指摘する説があるが<ref name="平凡社 伊富岐神社"/>、複雑な創祀の事情を想定する説もある。『日本書紀』において伊吹山の神は龍蛇体とされるが、伊夫岐神社では[[八岐大蛇]]を祭神とする説があり、[[酒吞童子]]を伊吹山の八岐大蛇の子とする物語もある。また、『[[近江国風土記]]』において伊吹山の神である多多美彦命は霜速比古命の子であるとされる。

=== 山岳宗教と伊吹山寺 ===
[[ファイル:Gyodoiwa (Mount Ibuki).JPG|サムネイル|右|150px|伊吹山8合目西にある伊吹山寺を開いた三修が修行を行った行導岩]]
[[神道]]だけでなく、[[日本の仏教]]や[[修験道]]においても、信仰の対象や修行の場とされた。[[役小角]]が伊吹山に登り、弥高寺と大平寺を建立したと伝えられている<ref name="草川 (2006)、10頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、10頁]]</ref>。[[白山]]を開山した[[泰澄]]は、この山に分け入り白山信仰を伝えた<ref name="草川 (2006)、10頁" />。[[9世紀]]に伝わった[[密教]]と結びついて修験の場として、多くの[[寺院]]が山中に建立されるようになった<ref name="shiga-ed">{{Cite web|和書|url=http://inaviss.shiga-ec.ed.jp/data/bunkazai/menufiles/PDFfiles/No.059.pdf |title=弥高寺 |publisher=滋賀県教育委員会事務局文化財保護課 |format=PDF |pages=1 |date=2004-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>。[[851年|851]]-[[854年]]([[仁寿]]年間)に[[僧]]三修により、伊吹山の南側の中腹の尾根上に山岳寺院の弥高寺が建立されたことが『[[日本三代実録]]』に記録されている<ref name="shiga-ed" />。三修(さんじゅ)により山上と山麓に山岳寺院が建立され、[[江戸時代]]まで山岳修行の山とされていた<ref name="草川 (2006)、10頁" />。弥高寺は伊吹山寺と呼ばれる[[定額寺]]の中心となる一つで、伊吹四大寺として他に大平寺、長尾寺、観音寺が建立され<ref name="shiga-ed" />、のちに伊吹護国寺となった<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" />。[[鎌倉時代]]には修験者が多く入山して一時は数百の堂房が山中に建ち隆盛したが、[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]に兵火でほとんどが焼失し、現存せずその地名が残されている<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" />。弥高寺は戦国時代に[[京極氏]]や[[浅井氏]]により[[城郭]]の一部として改造され、1512年([[永正]]9年)に兵火に遭い、その後、麓に坊舎が移された<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" /><ref name="shiga-ed" />。[[円空]]は伊吹山の太平寺に暮らし、平等石(行道岩)で修行を行い、木彫仏を残している<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、166頁]]</ref>。大平寺[[集落]]は1963年(昭和38年)のサンパチ豪雪([[昭和38年1月豪雪]])で交通が断絶するなどの被害を受けたため、集落全14戸の総意で廃村を選択し、土地を大阪セメントに売却して麓に移住、円空作の十一面観音も移住先に建てられた大平観音堂に移された<ref>[https://kitabiwako.jp/spot/spot_43655 大平観音堂] 長浜・米原・奥びわ湖を楽しむ観光情報サイト</ref>。大平寺の中之坊跡などがまだ削られずに残っているが、[[住友大阪セメント]]の社有地であるため立ち入りはできない。「弥高寺跡」は2004年([[平成]]16年)2月27日に、国の[[史跡]]に指定された<ref>[https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/192652 「京極氏遺跡」](文化遺産オンライン)</ref>。

=== 年表 ===
* 673年:[[天武天皇]]により麓に三関の一つである[[不破関]]が置かれる。
* [[平安時代]]:日本七高山([[近畿地方]]にある7つの[[霊山]])の一つに数えられる<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" />。
* 712年([[和銅]]5年):『古事記』の[[景行天皇]]記に、伊吹山にまつわる日本武尊の伝説が記される<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁" />。
* 851-854年([[仁寿]]年間):伊吹山の南側中腹の[[尾根]]上に山岳寺院の弥高寺が建立された<ref name="shiga-ed" />。
* 1558年([[永禄]]元年):この年から1570年(永禄13年)の間に、織田信長が[[南蛮人]]から入手した薬草を栽培する菜園を伊吹山に作らせる<ref name="深田 (1982)、328-331頁" />。その菜園には、ポルトガル人が自国で用いていた約3,000種のハーブが移植されたといわれている<ref name="#1"> 村上志緒『日本のハーブ事典』(東京堂出版)p.10</ref>。
* [[明治]]末年:川崎義令が千種類に及ぶ薬草を採取する。
* 1912年([[大正]]元年)10月 - 山頂の弥勒堂近くに礎石を築き、現代にも残る日本武尊の石像が供養される。
[[ファイル:Weather station on Mount Ibuki 2010-07-10.JPG|サムネイル|右|2010年まで山頂にあった伊吹山観測所]]
* 1919年(大正8年)8月1日:山頂に設置された伊吹山観測所が[[気象観測]]を開始。この観測所の建設時には、周辺で古刀や[[古銭]]が発掘された<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" />。
* 1927年(昭和2年)2月14日:[[昭和2年豪雪]]により11.82mの[[積雪量]]が観測され、世界山岳気象観測史上1位となる。
* 1929年(昭和4年)5月1日:山頂の観測所が国営の[[気象庁]]付属伊吹山[[測候所]]となる。
* 1950年(昭和25年)7月24日:山腹周辺が[[琵琶湖国定公園]]の特別保護地区に指定される<ref name="kokutei" /><ref name="shiga hozen">{{Cite web|和書|url=http://www.pref.shiga.lg.jp/d/shizenkankyo/ibukiyama/files/siryou2-1.pdf|format=PDF |title=伊吹山自然再生協議会第1回協議会資料2-1伊吹山の自然環境|publisher=滋賀県琵琶湖環境部自然環境保全課 |date=2008-05-29 |accessdate=2013-08-15}}</ref>。
* 1952年(昭和27年)6月:[[大阪セメント]]伊吹工場が[[石灰岩]]の伊吹鉱山の操業を開始。
* 1957年(昭和32年)1月11日:[[近江鉄道]]が[[伊吹山スキー場]]を開業<ref name="rejuvenation" />。
* 1965年(昭和40年)7月1日:[[伊吹山ドライブウェイ]]が全線の供用を開始し、以降は[[マイカー]]利用による[[観光客]]が増加する<ref name="日本の山1000 (1992)、529頁" />。
* 1967年(昭和42年)3月17日:岐阜県が、岐阜県側の山域を[[都道府県立自然公園#都道府県立自然公園一覧|県立伊吹自然公園]]に指定<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/koen-hodo/koen/ |title=自然公園 |publisher=岐阜県 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
* 1998年(平成10年)3月:伊吹山文化資料館が開設された<ref name="joyibuki-culture">{{Cite web|和書|url=http://joyibuki.info/culture2.php |title=伊吹山文化資料館へようこそ |publisher=公益財団法人伊吹山麓スポーツ文化振興事業団 |accessdate=2014-06-22}}</ref>。
* 2001年(平成13年)3月31日:伊吹山測候所の観測が終了(跡地は2010年に撤去されて更地化された)。
* 2003年(平成15年)7月25日:伊吹山頂草原植物[[群落]]が、国の天然記念物に指定される<ref name="bunka-db" /><ref name="tennen">{{Cite web|和書|url=http://www.city.maibara.lg.jp/index.php?oid=45&dtype=1001&pid=312 |title=百名山 伊吹山 |publisher=米原市 |accessdate=2011-04-07}}</ref><ref name="bunka">{{Cite web|和書|url=https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/index |title=国指定文化財等データベース |publisher=[[文化庁]] |accessdate=2014-06-21}}</ref><ref name="bunka-db">{{Cite web|和書|url=https://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/207193 |title=文化遺産オンライン「伊吹山頂草原植物群落」 |publisher=文化庁 |accessdate=2014-06-21}}</ref>。
* 2009年:伊吹山スキー場が、積雪量の減少と運営会社の都合を理由に営業を休止。
[[ファイル:Toll house of Mount Ibuki.JPG|サムネイル|右|伊吹山表登山道の登山口(米原市上野)に設置された入山協力金受付]]
* 2010年(平成22年)
** 7月1日:[[日本郵政公社]]が、オリジナルフレーム[[切手]]「Mt.IBUKI 2010」および「伊吹山からの花便り」を発売する<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.jp-network.japanpost.jp/notification/pressrelease/2010/document/3001_09_04_910062501.pdf |format=PDF |title=オリジナルフレーム切手「Mt.IBUKI 2010」及び「伊吹山からの花便り」の販売開始と贈呈式の開催について |publisher=郵便局株式会社 近畿支社 |date=2010-06-25 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
** 7月24日:伊吹山ゴンドラが廃業<ref name=”maibara”>{{Cite web|和書|url=https://www.city.maibara.lg.jp/soshiki/keizai_kankyo/shoko_kanko/kanko_info/spot/3500.html |title=伊吹山 |publisher =米原市 |date=2023-04-28 |accessdate=2023-06-22}}</ref>。
** 10月13日:[[皇太子徳仁親王]]が麓の上野登山口から登頂。
** 伊吹山スキー場のスキー用リフトなどが撤去され、スキー場が閉鎖される<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.mbs.jp/voice/special/201011/25_post-1376.shtml |title=閉鎖スキー場に広がる光景 |publisher=[[MBSテレビ]]『[[VOICE (ニュース番組)|VOICE]]』 |date=2010-11-25 |accessdate=2011-02-08}}{{リンク切れ|date=2011年4月}}</ref>。
* 2014年(平成26年)5月1日:入山料金制度を試験導入(1人300円)<ref group="注釈">伊吹山表登山道の登山口(米原市上野)および伊吹山ドライブウェイ終点駐車場の山頂遊歩道入り口に入山協力金受付所が設置されている。</ref><ref>「[http://www.asahi.com/articles/ASG1X3F2JG1XPTJB006.html 伊吹山、入山料5月試験導入へ 山頂の花畑保全など目的]」{{リンク切れ|date=2024年8月}}[[朝日新聞デジタル]](2014年1月28日)</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.city.maibara.lg.jp/0000005029.html |title=伊吹山入山協力金の試験徴収を開始 |publisher=米原市 |date=2014-04-01 |accessdate=2014-06-13}}</ref>。
* [[2022年]](令和4年):[[資生堂]]が伊吹山保護活動を開始<ref>{{Cite web|和書|url=https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003435 |title=資生堂、伊吹山の自然保護活動を開始 |publisher =資生堂 |date=2022-07-04 |accessdate=2023-06-22}}</ref>。同社は[[2018年]]より、伊吹山山麓に原料開発を目的とした薬草園を設立している。
* [[2023年]](令和5年)[[7月12日]]:[[令和5年7月豪雨]]により登山道(上野登山口ルート)が崩落。13日より通行止となる<ref>{{Cite web|和書|url=https://mainichi.jp/articles/20230714/k00/00m/040/204000c |title=伊吹山の登山道が崩落、通行止めに 複数箇所で土砂流出 |publisher=[[毎日新聞]] |date=2023-07-14 |accessdate=2023-07-14}}</ref>。

== 気候 ==
伊吹山は冬に[[日本海側]]からの[[季節風]]の通り道となり、[[濃尾平野]]では、冬季に北西の方角から吹く[[季節風]]を「[[伊吹おろし]]」と呼ぶ<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.city.ogaki.lg.jp/0000002398.html|title=気候 |publisher=[[大垣市]] |date=2009-03-05 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。[[亜寒帯湿潤気候]]で雪も非常に多く、1927年2月14日には世界最深積雪記録となる積雪量1182cmを記録しており、現在でもこの記録は破られていない。また、旧平年値(1971-2000)における月別平均気温は[[北海道]][[稚内市]]とほぼ同じ値となっている<ref>[http://www.ds-j.com/nature/ibuki/Information/old-story/kishou.htm 伊吹山の気象]</ref>。以下、データは2001年3月31日に観測を終了した伊吹山測候所の記録である。


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| url = http://www2m.biglobe.ne.jp/~ZenTech/world/kion/Japan/MtIbukiyama.htm| title = 伊吹山 気温 | accessdate = 2014-05-23 | publisher =
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| url = http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/rank_s.php?prec_no=60&block_no=47751&year=&month=&day=&view=| title = 伊吹山 観測史上1〜10位の値 | accessdate = 2014-05-23 | publisher = 気象庁
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ファイル:Mount Ibuki from third station 2002-04-04.jpg|[[春]] (<small>2012年4月4日</small>)<br />登山道3合目から望む伊吹山
== 歴史 ==
ファイル:West hiking course (Mount Ibuki).JPG|[[夏]] (<small>2014年7月15日</small>)<br />お花畑をめぐる西遊歩道からの山頂部
[[File:Mount Ibuki top 2011-03-06.jpg|thumb|right|山頂の[[日本武尊]]像]]
ファイル:Mount Ibuki from third station 2001-10-25.jpg|[[秋]] (<small>2001年10月25日</small>)<br />登山道3合目から望む伊吹山
[[File:Weather station on Mount Ibuki 2010-07-10.JPG|thumb|right|2010年まで山頂にあった伊吹山観測所]]
ファイル:Mount Ibuki from east hiking course (2004-01-12).jpg|[[冬]] (<small>2004年1月12日</small>)<br />東遊歩道から望む山頂部の雪景色
* [[673年]] - [[天武天皇]]により麓に三関のひとつである[[不破関]]が置かれる。
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* [[平安時代]] - 日本七高山(近畿地方の7つの[[霊山]])の一つに数えられる<ref name="sangakushi">{{Cite book|和書 |editor=[[日本山岳会]] |year=2005 |month=11 |title=新日本山岳誌 |publisher=[[ナカニシヤ出版]] |isbn=4779500001 |pages=pp.1232-1234}}</ref>。
* [[712年]]([[和銅]]5年) - 古事記の景行記に、伊吹山にまつわる日本武尊の伝説が記される<ref name="sanmei" />。
* [[1558年]]([[永禄]]元年)- この年から[[1570年]](永禄13年)の間に、[[織田信長]]が[[南蛮人]]から入手した薬草を栽培する菜園を伊吹山に作らせる<ref name="fukada" />。その菜園には、ポルトガル人が自国で用いていた約3000千種のハーブが移植されたといわれている<ref>日本のハーブ事典 東京堂出版 村上志緒P10</ref>。
* [[明治]]末年 - 川崎義令が千種類に及ぶ薬草を採取する。
* [[1912年]]([[大正]]元年)10月 - 山頂の弥勒堂近くに礎石を築き、現代にも残る日本武尊の石像が供養される。
* [[1919年]](大正8年)[[8月1日]] - 山頂に設置された伊吹山観測所が[[気象観測]]を開始する。この観測所の建設時には、周辺で古刀や[[古銭]]が発掘された<ref name="sangakushi" />。
* [[1927年]]([[昭和]]2年)[[2月14日]] - 11.82m の[[積雪量]]が観測され、世界山岳気象観測史上1位となる。
* [[1929年]](昭和4年)[[5月1日]] - 山頂の観測所が国営の[[気象庁]]付属伊吹山[[測候所]]となる。
* [[1950年]](昭和25年)[[7月24日]] - 山腹周辺が[[琵琶湖国定公園]]の特別保護地区に指定される<ref name="kokutei" /><ref name="shiga hozen">{{Cite web|url=http://www.pref.shiga.lg.jp/d/shizenkankyo/ibukiyama/files/siryou2-1.pdf|format=PDF |title=伊吹山自然再生協議会第1回協議会資料2-1伊吹山の自然環境|publisher=滋賀県琵琶湖環境部自然環境保全課 |date=2008-05-29 |accessdate=2013-08-15}}</ref>。
* [[1952年]](昭和27年)6月 - [[大阪セメント]]伊吹工場が[[石灰岩]]の伊吹鉱山の操業を開始する。
* [[1957年]](昭和32年)[[1月11日]] - [[近江鉄道]]が[[伊吹山スキー場]]を設置し開業する。
* [[1965年]](昭和40年)[[7月1日]] - [[伊吹山ドライブウェイ]]が全線の供用を開始し、以降は[[マイカー]]利用による[[観光客]]が増加する<ref name="y1000" />。
* [[1967年]](昭和42年)[[3月17日]] - 岐阜県が、岐阜県側の山域を[[都道府県立自然公園#都道府県立自然公園一覧|県立伊吹自然公園]]に指定する<ref>{{Cite web|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/koen-hodo/koen/ |title=自然公園 |publisher=岐阜県 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
* [[1975年]](昭和50年)頃の[[8月]] - [[田中澄江]]が伊吹山に登頂し、著書『[[新・花の百名山]]』で[[イブキジャコウソウ]]とこの山を紹介する<ref name="sinhana" />。
* [[2001年]](平成13年)[[3月31日]] - 伊吹山測候所の観測が終了する(跡地は2010年に撤去されて更地化された)。
* [[2003年]](平成15年) - 伊吹山頂草原植物群落が、国の天然記念物に指定される<ref name="tennen">{{Cite web|url=http://www.city.maibara.lg.jp/index.php?oid=45&dtype=1001&pid=312 |title=百名山 伊吹山 |publisher=米原市 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
* [[2009年]] - 伊吹山スキー場が、積雪量の減少と運営会社の都合を理由に営業を休止する。
* [[2010年]](平成22年)
** [[7月1日]] - [[日本郵政公社]]が、オリジナルフレーム[[切手]]「Mt.IBUKI 2010」および「伊吹山からの花便り」を発売する<ref>{{Cite web|url=http://www.jp-network.japanpost.jp/notification/pressrelease/2010/document/3001_09_04_910062501.pdf |format=PDF |title=オリジナルフレーム切手「Mt.IBUKI 2010」及び「伊吹山からの花便り」の販売開始と贈呈式の開催について |publisher=郵便局株式会社 近畿支社 |date=2010-06-25 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
** [[7月24日]] - ピステジャポン伊吹が観光登山用の伊吹山[[ゴンドラ]]の営業を再開する<ref>{{Cite web|url=http://www.ibuki-pj.com/gondola.html |title=伊吹山ゴンドラ |publisher=ビスシャボン伊吹 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
** [[10月13日]] - [[皇太子徳仁親王]]が麓の上野登山口から登頂する。
** 伊吹山スキー場のスキー用リフトなどが撤去され、スキー場が閉鎖される<ref>{{Cite web|url=http://www.mbs.jp/voice/special/201011/25_post-1376.shtml |title=閉鎖スキー場に広がる光景 |publisher=[[MBSテレビ]]・[[VOICE (ニュース番組)|VOICE]] |date=2010-11-25 |accessdate=2011-02-08}}{{リンク切れ|date=2011年4月}}</ref>。
* [[2014年]](平成26年)5月 - 入山料金制度を試験導入予定<ref>[http://www.asahi.com/articles/ASG1X3F2JG1XPTJB006.html 伊吹山、入山料5月試験導入へ 山頂の花畑保全など目的] 朝日新聞 2014-1-28</ref>。


== 地質 ==
== 地質 ==
[[File:20091228伊吹山.jpg|thumb|right|伊吹山空撮]]
[[ファイル:20091228伊吹山.jpg|サムネイル||西側の[[琵琶湖]]上空方面から望む伊吹山]]
伊吹山は約3億年前に噴火した[[海底火山]]であったとされており<ref name="saswayaka">{{Cite web|url=http://www.nhk.or.jp/sawayaka/ibuki.html |title=さわやか自然百景のバックナンバー(2003年8月31日放日放送) |publisher==[[日本放送協会|NHK]] |accessdate=2011-02-05}}</ref>[[ウミユリ]]や[[フズリナ]]の化石が発見されたことから、地層には約2億5千年前の[[古生代]]に海底に堆積した層が含まれていると考えられている<ref>{{Cite book|和書 |year=1997 |month=3 |title=[[日本三百名山]] |publisher=[[毎日新聞社]] |isbn=4620605247 |pages=p.261}}</ref>。その時期にサンゴ礁が形成されたことで石灰質の地層が堆積し、現在良質の[[石灰岩]]が採掘される山として知られ、山頂付近は平ら広い[[カルスト地形#カルスト台地|カルスト台地]]となっている。
伊吹山は約3億年前に噴火した[[海底火山]]であったとされている<ref name="saswayaka">{{Cite web|和書|url=http://www.nhk.or.jp/sawayaka/ibuki.html |title=さわやか自然百景のバックナンバー(2003年8月31日放日放送) |publisher=[[日本放送協会|NHK]] |accessdate=2011-02-05}}</ref>[[ウミユリ]]や[[フズリナ]]の[[化石]]が発見されたことから、地層には約2億5千年前の[[古生代]]に海底に堆積した層が含まれていると考えられている<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" /><ref name="日本三百名山 (1997)、261頁" />。その時期にサンゴ礁が形成されたことで石灰質の地層が堆積した。中腹より上部、[[古生代]][[ペルム紀|二畳紀]]に形成された[[石灰岩]]が広く分布している<ref name="bunka-db" />。山頂は、カレンフェルトや巨大な石灰露岩などの[[カルスト地形]]が見られる<ref name="bunka-db" /><ref name="登山案内 (1998)、182-183頁">[[#登山案内|登山案内 (1998)、182-183頁]]</ref>。[[石灰岩]]には塊状の亀裂が多く、水透しが良く表土は乾燥し易い<ref name="bunka-db" />。現在は良質の石灰岩が採掘される山して知られている。


山麓は[[湧水]]の里としても知られている<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、152頁]]</ref>。石灰岩層は山肌に降った雨などを浸透させ、伊吹山の山麓には石灰岩層から抽出された[[カルシウム]]分など[[ミネラル]]を多く含む湧水が豊富である。このうち、[[泉神社 (米原市)]]の湧水は[[名水百選]]の一つに選ばれている。[[醒井宿]]にある居醒の水が平成の名水百選に選ばれたほか、「春照の泉(臼谷の湧水)」が知られている。南西山麓にある米原市上野の伊吹山の登山口には「ケカチの水」と呼ばれる湧水がある。山頂の弥勒堂へ向かう山岳行者が身を清めた場所とされていた。
伊吹山の石灰岩は、古くは漆塗りの原材料に用いる消石灰として1961年ごろには開発されていたが<ref name=rejuvenation>{{Cite web|url=http://www.pref.shiga.lg.jp/d/shizenkankyo/ibukiyama/files/siryou2-3.pdf|title=伊吹山再生全体構想|publisher=滋賀県|accessdate=2013-11-13}}</ref>、[[近代]]は[[コンクリート]]・[[セメント]]需要の急増により大量に採掘されてきた。1949年に[[近江鉱業]]が伊吹山に弥高採鉱場を開き<ref>{{Cite web|url=http://www.omi-mining.co.jp/kaishajoho_frame.html|title=近江鉱業株式会社_会社情報|publisher=近江鉱業株式会社|accessdate=2013-11-13}}</ref>、1951年に[[住友大阪セメント]]伊吹工場が開発工事に着手する<ref>{{Cite web|url=http://shigakosan.jp/about/ibukims.html|title=伊吹鉱山概要|publisher=滋賀鉱産株式会社|accessdate=2013-11-13}}</ref>など、大規模に採掘が進められ、南西の稜線は山容が変貌するまでに大きく削り取られた<ref name=rejuvenation/>(写真参照)。1971年からは住友大阪セメント伊吹工場によって南西斜面の緑化活動が始められ、2003年に同社が滋賀鉱産株式会社に事業を引き継いだ現在も続けられている<ref>{{Cite web|url=http://shigakosan.jp/green/index.html|title=緑化の経緯|publisher=滋賀鉱産株式会社|accessdate=2013-11-13}}</ref>。


== 湧水 ==
== 生物 ==
[[高山植物]]を含めて[[植生]]豊かな山であるが、[[ニホンジカ]]による[[食害]]が深刻化しており、土砂崩れも誘発している<ref>「[https://www.tokyo-np.co.jp/article/344036 滋賀・伊吹山 相次ぐ土砂崩れ/シカ食害も一因/個体増→荒れ地→保水力低下 防御決め手なし]」『[[東京新聞]]』朝刊2024年7月31日(特報面)</ref>。
石灰岩層は山肌に降った雨などを浸透させ、伊吹山の山麓には石灰岩層から抽出された[[カルシウム]]分など[[ミネラル]]を多く含む湧水が豊富である。このうち、[[米原市]](旧伊吹町)にある[[泉神社]]の湧水は[[名水百選]]に選ばれ、醒ヶ井宿にある居醒の水が平成の名水百選に選ばれたほか、「春照の泉(臼谷の湧水)」が知られている。
=== 植物 ===
{{Commonscat|Flora of Mount Ibuki|伊吹山の植物}}
標高が低い山であるが、石灰岩層の山であることと地理的な環境条件などの要因で[[植物相]]が豊かで植物研究に貴重な山とされ<ref name="日本三百名山 (1997)、261頁" />、[[牧野富太郎]]らの多くの植物学者や採薬師により調査がなされている<ref>[[#植物一日一題|牧野 (2008)、294頁]]</ref><ref name="村瀬 (2007)、70頁">[[#伊吹山のお花畑|村瀬 (2007)、70頁]]</ref>。日本では[[高尾山]]に次いで、[[藤原岳]]と共に2番目に植物の種類が多い山であるとする調査結果がある<ref>[[#自然を読み解く山歩き|小泉 (2007)、8頁]]</ref>。山麓から山頂にかけて様々な[[野草]]の群生地があり、[[アザミ属|コイブキアザミ]] ''Cirsium confertissimum'' などの9種の[[固有種]]がある<ref name="shiga hozen" /><ref group="注釈">『伊吹山お花畑植物ガイド』にはイブキタンポポ、コバノミミナグサ、ミヤマコアザミ、ルリトラノオ、イブキアザミ、コイブキアザミ、イブキコゴメグサ、イブキレイジンソウの8種とされており、イブキヒメヤマアザミを加えると9種となる。これに加えて、イブキフウロを固有種に数えることもある。</ref>。高山の高茎草原に見られる種も自生していて、おもなものとして[[オオバギボウシ]]、[[カノコソウ]]、[[キバナノレンリソウ]]、[[クガイソウ]]、シシウド、[[シモツケ]]、シモツケソウ、[[ニッコウキスゲ]]、[[ハクサンフウロ]]、[[メタカラコウ]]、ユウスゲ、ルリトラノオなどがある<ref name="金丸 (2001)、75-78頁">[[#花の山旅|金丸 (2001)、75-78頁]]</ref>。頂上の残雪表面では雪氷[[藻類]]が確認されている<ref>[[#伊吹山頂上の残雪表面の雪氷藻類|竹内 (2011)、271-279頁]]</ref>。


[[ファイル:Wild plant garden on Mount Ibuki (Ligularia stenocephala).JPG|サムネイル|右|伊吹山頂草原植物群落(シモツケソウと[[メタカラコウ]]などが開花した夏)]]
== 植生 ==
山頂部では樹木の生育が抑えられて[[高木]]が少なく、日本では数少ない北方性の高山植物または亜高山性植物の植物が分布する山地草原が発達している<ref name="草川 (2006)、18-19頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、18-19頁]]</ref><ref group="注釈">伊吹山の多くの地域が共有地であり、かつては広く採草、柴刈り等に利用されていたことも、森林の発達を抑制し草原が維持されてきた要因であると考えられている。</ref><ref name="bunka-db" />。約300種の温帯性および亜高山性の草木の群生地となっていて、近畿地方以南では他に例がない。地層形成年代が古いことと高山的な気象条件になることから、伊吹山の固有種を産出している<ref name="村瀬 (2007)、70頁" /><ref name="草川 (2006)、18-19頁" />。日本で分布の西南限となっている種が多数ある<ref name="村瀬 (2007)、70頁" />。日本海要素の植物が多い<ref name="村瀬 (2007)、70頁" /><ref name="草川 (2006)、18-19頁" />。石灰岩地を好んで生育する植物が多い<ref name="村瀬 (2007)、70頁" /><ref name="草川 (2006)、18-19頁" />。西日本に分布する南方要素(襲速紀要素)の植物が北上してきている<ref name="村瀬 (2007)、70頁" /><ref name="草川 (2006)、18-19頁" />。多くの薬草(民間薬草が230種ほど、局方薬草19種)が分布し<ref>国の天然記念物「伊吹山頂草原植物群落」の山頂部の現地解説板による。</ref>、[[イブキカモジグサ]]、[[キバナノレンリソウ]]<ref group="注釈">キバナノレンリソウは[[ヨーロッパ]]原産の植物で、伊吹山に定着した[[帰化植物]]。日本では伊吹山にのみ生育している。</ref><ref>[[#伊吹山の花|安原 (2003)、88頁]]</ref>、[[イブキノエンドウ]]のように、ヨーロッパを原産とする雑草が生育しているが、これらは、[[織田信長]]が[[ポルトガル人]][[宣教師]]の希望を聞き入れ、伊吹山に土地を与えて[[ハーブガーデン]]を作ったときに、ヨーロッパから持ち込まれた[[ハーブ]]に紛れて入ってきたと推測されている<ref name="日本三百名山 (1997)、261頁" /><ref name="#1"/><ref>[[#花の百名山登山ガイド 下|村瀬 (1996)、78頁]]</ref>。オオバギボウシとメラカラコウ群落、オウバギボウシとショウジョウスゲ群落、サラシナショウマ群落、フジテンニンソウ群落、シモツケソウ群落、アカソ群落、岩場のイブキジャコウソウ群落、チシマザサ群落などが草本植物群落の季節ごとのお花畑となる<ref name="村瀬 (2007)、70頁" />。2003年(平成15年)7月25日に、「伊吹山頂草原植物群落」が、代表的高山植物帯、特殊岩石地植物群落、著しい植物分布の限界地であることなどにより、国の[[植物天然記念物一覧#天然記念物|天然記念物]]に指定された<ref name="tennen" /><ref name="bunka" /><ref name="bunka-db" />。周囲の木本植物群落としては、イブキシモツケ群落、[[オオイタヤメイゲツ]]と[[ミヤマカタバミ]]群落、[[ブナ]]と[[オオバクロモジ]]群落などがある<ref name="村瀬 (2007)、70頁" />。
山麓から山頂にかけて様々な[[野草]]の群生地があり、伊吹山頂草原植物群落が[[植物天然記念物一覧#天然記念物|植物天然記念物]]に指定されている<ref name="tennen" />。約1,300種類の植物が生育して、[[アザミ属|コイブキアザミ]] ''Cirsium confertissimum'' などの9種の固有種がある<ref name="shiga hozen" /><ref>『伊吹山お花畑植物ガイド』にはイブキタンポポ、コバノミミナグサ、ミヤマコアザミ、ルリトラノオ、イブキアザミ、コイブキアザミ、イブキコゴメグサ、イブキレイジンソウの8種とされており、イブキヒメヤマアザミを加えると9種となる。またイブキフウロを固有種に数えることもあるが東北の一部に分布している。さらにイブキアザミは鈴鹿山系の北部にも分布しており、近年、コバノミミナグサが山口県の一部、ミヤマコアザミが白山・北アルプスで確認されている。</ref>。景観は高山の高茎草原そのものの様相をみせる。おもなものとして[[オオバギボウシ]]、[[カノコソウ]]、[[キバナノレンリソウ]]、[[クガイソウ]]、シシウド、[[シモツケ]]、シモツケソウ、[[ニッコウキスゲ]]、[[ハクサンフウロ]]、[[メタカラコウ]]、ユウスゲ、ルリトラノオなどがある<ref name="hantabi">{{Cite book|和書 |author=金丸勝実 |year=2001 |month=6 |title=鈴鹿・伊吹山 |series=花の山旅 |publisher=山と溪谷社 |pages= |isbn=4635014134}}</ref>。山麓では約280種の薬草が生え、揖斐川町の旧[[春日村 (岐阜県)|春日村]]古谷地区では昔から薬草を生活の糧にして生きてきた<ref>{{Cite web|url=http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10002200090710140030072/?n=1&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%B1%B1&o=1&np=100&or=t |title=こんなステキなにっぽんが 薬草の山 生きる喜び 岐阜県揖斐川町(2007年10月13日放送) |publisher=[[日本放送協会|NHK]] |accessdate=2011-04-07}}</ref>。滋賀県米原市の山麓には、薬草を利用した温泉施設がある<ref>{{Cite web|url=http://network.biwako-visitors.jp/spot/spot_bath_520_city602.html |title=米原市伊吹薬草の里文化センター |publisher=米原観光協会 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。また、[[イブキカモジグサ]]、[[キバナノレンリソウ]]、[[イブキノエンドウ]]のように、ヨーロッパを原産とする雑草が生育しているが、これらは、[[織田信長]]が[[ポルトガル人]][[宣教師]]の希望を聞き入れ、伊吹山に土地を与えて[[ハーブガーデン]]を作ったときに、ヨーロッパから持ち込まれた[[ハーブ]]に紛れて入ってきたと推測されている<ref>日本のハーブ事典 東京堂出版 村上志緒P10</ref>。


上野からの登山道の3合目の草原にはユウスゲの群生地があり、[[ニホンジカ]]などによる[[食害]]対策として防護ネットが設置され、観察路などが整備されている<ref name="maibara-tv">{{Cite web|和書|url=http://www.city.maibara.lg.jp/0000004436.html |title=よりぬき伊吹山テレビ2013年8月号【書き起こしテキスト】 |publisher=米原市 |date=2013-12-02 |accessdate=2014-06-22}}</ref>。2013年(平成25年)から7月下旬に、その群生地で「ユウスゲ祭り」が開催されている<ref name="maibara-tv" />。このユウスゲの群生地付近はオカメガハラと呼ばれ、春から秋にかけて70種ほどの草花が生育している。またその北側の3合目公衆トイレ周辺では100種ほどの草花が生育している。2009年(平成21年)から西山麓の姉川左岸の米原市大久保地区周辺にはセツブンソウ、キバナノアマナなどの群生地があり、春先に「セツブンソウふれあい祭り」が開催されている<ref>[[#伊吹山花散歩|青木 (2014)、30頁]]</ref>。
{| class="wikitable"

|-
山麓は[[針葉樹]]と[[広葉樹]]地帯で、三合目から上部は[[草地]]となり、1,700[[種 (分類学)|種]]を超える多くの植物が分布している<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁" /><ref name="余呉 (2005)、244-245頁" />。
| [[File:オオバギボウシ Hosta montana.JPG|110px]]
<gallery>
| [[File:Valeriana fauriei Kanokosou in Ibukiyama 2010-7-10.jpg|120px]]
ファイル:オオバギボウシ Hosta montana.JPG|[[オオバギボウシ]]
| [[File:Lathyrus pratensis Ibukiyama.jpg|120px]]
| [[File:Spiraea japonica in Mount Ibuki 2010-07-10.jpg|135px]]
ファイル:Valeriana fauriei Kanokosou in Ibukiyama 2010-7-10.jpg|[[カノコソウ]]
| [[File:Hemerocallis citrina Baroni Ibukiyama.jpg|120px]]
ファイル:Lathyrus pratensis Ibukiyama.jpg|[[キバナノレンリソウ]]
ファイル:Spiraea japonica in Mount Ibuki 2010-07-10.jpg|[[シモツケ]]
|-
ファイル:Hemerocallis citrina Baroni Ibukiyama.jpg|[[ユウスゲ]]
! <small>[[オオバギボウシ]]</small>
</gallery>
! <small>[[カノコソウ]]</small>
;山頂部の高山植物または亜高山性植物
! <small>[[キバナノレンリソウ]]</small>
:[[イブキトラノオ]]、[[メタカラコウ]]、[[マルバダケブキ]]、[[ニッコウキスゲ]]、[[サンカヨウ]]、[[キオン]]、[[コキンバイ]]、[[ノビネチドリ]]など
! <small>[[シモツケ]]</small>
:分布の西南限となっている種:[[イブキフウロ]]、[[エゾフウロ]]<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu2-1.data/2071.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「エゾフウロ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[グンナイフウロ]]、[[ハクサンフウロ]]、[[キンバイソウ]]<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu2-1.data/2048.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「キンバイソウ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[イワシモツケ]]、[[ヒメイズイ]]、[[イブキソモソモ]]<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu2-2.data/2138.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「イブキソモソモ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>など
! <small>ユウスゲ</small>
;[[裏日本|日本海側]]要素の植物
|}
:[[イブキトリカブト]]、[[オオカニコウモリ]]、[[オオヨモギ]]、[[スミレサイシン]]、[[ザゼンソウ]]、[[ハクサンカメバヒキオカコシ]]、[[ミヤマイラクサ]]、[[エゾユズリハ]]、[[ハイイヌガヤ]]、[[タムシバ]]など
;伊吹山の固有種
:[[コイブキアザミ]]、[[イブキアザミ]]、[[ルリトラノオ]]、[[イブキコゴミグサ]]、[[イブキレイジンソウ]]、[[コバノミミナグサ]]<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu1-1.data/1039.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「コバノミミナグサ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[イブキヒメヤマザミ]]、[[イブキハタザオ]]、[[イブキタンポポ]]
;石灰岩地を好んで生育する植物
:[[イチョウシダ]]、[[クモノスシダ]]、[[ヒメフウロ]]、[[イワツクバネウツギ]]、[[イブキコゴメグサ]]、[[キバナハタザオ]]、[[クサボタン]]など
;南方要素の植物
:[[ギンバイソウ]]、[[ミカエリソウ]]、[[カキノハグサ]]など


=== 「イブキ」を冠する和名の種 ===
=== 「イブキ」を冠する和名の種 ===
イブキトラノオのように最初に伊吹山で発見されたことから、[[和名]]に「イブキ」を冠する種が多数ある<ref>[[#伊吹山のお花畑|村瀬 (2007)、12頁]]</ref>。イブキアザミ、コイブキアザミ、[[イブキコゴメグサ]]<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu1-2.data/1128.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「イブキコゴメグサ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[イブキジャコウソウ]]、[[イブキスミレ]]<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu1-1.data/1085.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「イブキスミレ」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、[[イブキトラノオ]]、[[イブキフウロ]]、[[イブキトリカブト]]<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/shizen/reddatebookshokubutu/reddatebookshokubutu1-1.data/1044.pdf |title=岐阜県レッドデータブック(植物編)改訂版「イブキトリカブト」 |publisher=岐阜県 |format=PDF |date=2014-03 |accessdate=2014-06-23}}</ref>、イブキレイジンソウといった20種以上のイブキを冠する種の植物が自生している<ref name="金丸 (2001)、75-78頁" /><ref>[[#日本の高山植物|豊田 (1998)、712頁]]</ref><ref>[[#伊吹山の植物|大川 (2009)、252頁]]</ref>。[[田中澄江]]が著書『[[新・花の百名山]]』で伊吹山を代表する花の一つとして、イブキジャコウソウを紹介した<ref name="田中 (1995)、323-325頁" />。
イブキアザミ、コイブキアザミ、[[イブキジャコウソウ]]、[[イブキトラノオ]]、[[ハクサンフウロ|イブキフウロ]]、イブキトリカブト、イブキレイジンソウといった20種以上のイブキを冠する種の植物が自生している<ref name="hantabi" /><ref>{{Cite book|和書 |author= |year=1998 |month=8 |title=日本の高山植物 |series=山渓カラー名鑑 |publisher=山と溪谷社 |pages=p.712 |isbn=4635090191}}</ref><ref>{{Cite book|和書 |author= |year=2009 |month=10 |title=伊吹山の植物 |publisher幻冬舎ルネッサンス |pages= |isbn=9784779005299}}</ref>。
<div class="NavFrame" style="border: none; text-align: left; font-size: 100%">
<div class="NavFrame" style="border: none; text-align: left; font-size: 100%">
<div class="NavHead" style="background: transparent; text-align: left; font-weight: normal">
<div class="NavHead" style="background: transparent; text-align: left; font-weight: normal">
180行目: 234行目:
!style="white-space:nowrap"|[[絶滅危惧種|絶滅危惧分類]]
!style="white-space:nowrap"|[[絶滅危惧種|絶滅危惧分類]]
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| [[イブキアザミ]]伊吹薊
| [[イブキアザミ]]伊吹薊
| ''Cirsium confertissimum var. herbicola''
| ''Cirsium confertissimum var. herbicola''
| [[アザミ属]]・''[[:w:Cirsium|Cirsium]]''
| [[アザミ属]]・''[[:w:Cirsium|Cirsium]]''
186行目: 240行目:
|NT・岐阜
|NT・岐阜
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|[[イブキカモジグサ]]伊吹髢草
|[[イブキカモジグサ]]伊吹髢草
|''Elymus caninus''
|''Elymus caninus''
|[[エゾムギ属]]・''[[:w:Elymus|Elymus]]''
|[[エゾムギ属]]・''[[:w:Elymus|Elymus]]''
|[[イネ科]]・[[:w:Poaceae|Poaceae]]
|[[イネ科]]・[[:w:Poaceae|Poaceae]]
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|[[イブキクガイソウ]]伊吹九蓋草
|[[イブキクガイソウ]]伊吹九蓋草
|''Veronicastrum sibiricum''
|''Veronicastrum sibiricum''
|[[クガイソウ属]]・''[[:w:Veronicastrum|Veronicastrum]]''
|[[クガイソウ属]]・''[[:w:Veronicastrum|Veronicastrum]]''
198行目: 252行目:
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|-
|-
|[[イブキキンポウゲ]]伊吹金鳳花
|[[イブキキンポウゲ]]伊吹金鳳花
|''Ranunculus japonicus Thunb. var. ibukiensis''
|''Ranunculus japonicus Thunb. var. ibukiensis''
|[[キンポウゲ属]]・''[[:w:Ranunculus|Ranunculus]]''
|[[キンポウゲ属]]・''[[:w:Ranunculus|Ranunculus]]''
204行目: 258行目:
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|-! style="white-space:nowrap"
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|[[イブキキンモウゴケ]]伊吹金毛苔
|[[イブキキンモウゴケ]]伊吹金毛苔
|''Ulota perbreviseta''
|''Ulota perbreviseta''
|[[キンモウゴケ属]]・''Ulota''
|[[キンモウゴケ属]]・''Ulota''
210行目: 264行目:
|
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|-
|-
|[[イブキコゴメグサ]]伊吹小米草
|[[イブキコゴメグサ]]伊吹小米草
|''Euphrasia insigna Wettst. subsp. iinumai''
|''Euphrasia insigna Wettst. subsp. iinumai''
|[[コゴメグサ属]]・''Euphrasia''
|[[コゴメグサ属]]・''Euphrasia''
216行目: 270行目:
|VU・環境省/岐阜
|VU・環境省/岐阜
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|[[イブキシダ]]伊吹羊歯
|[[イブキシダ]]伊吹羊歯
|''Thelypteris esquirolii Ching var. glabrata''
|''Thelypteris esquirolii Ching var. glabrata''
|[[ヒメシダ属]]・''Thelypteris''
|[[ヒメシダ属]]・''Thelypteris''
222行目: 276行目:
|
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|-
|[[イブキシモツケ]]伊吹下野
|[[イブキシモツケ]]伊吹下野
|''Spiraea dasyantha''
|''Spiraea dasyantha''
|[[シモツケ属]]・''[[:w:Spiraea|Spiraea]]''
|[[シモツケ属]]・''[[:w:Spiraea|Spiraea]]''
228行目: 282行目:
|
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|-! style="white-space:nowrap"
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|[[イブキジャコウソウ]]伊吹麝香草
|[[イブキジャコウソウ]]伊吹麝香草
|''Thymus serpyllum ssp. quinquecostatus''
|''Thymus serpyllum ssp. quinquecostatus''
|[[イブキジャコウソウ属]]・''[[:w:Thymus|Thymus]]''
|[[イブキジャコウソウ属]]・''[[:w:Thymus|Thymus]]''
234行目: 288行目:
|NT・岐阜
|NT・岐阜
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|[[イブキスミレ]]伊吹菫
|[[イブキスミレ]]伊吹菫
|''Viola mirabilis var. subglabra''
|''Viola mirabilis var. subglabra''
|[[スミレ属]]・''[[:w:Viola|Viola]]''
|[[スミレ属]]・''[[:w:Viola|Viola]]''
|[[スミレ科]]・[[:w:Violaceae|Violaceae]]
|[[スミレ科]]・[[:w:Violaceae|Violaceae]]
|VU・滋賀
|VU・滋賀
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|-
|[[イブキゼリモドキ]]伊吹芹擬
|[[イブキゼリモドキ]]伊吹芹擬
|''Tilingia holopetala''
|''Tilingia holopetala''
|[[シラネニンジン属]]・''Tilingia''
|[[シラネニンジン属]]・''Tilingia''
246行目: 300行目:
|
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|[[イブキセントウソウ]]伊吹仙洞草
|[[イブキセントウソウ]]伊吹仙洞草
|''Chamaele decumbens Makino f. dilatata''
|''Chamaele decumbens Makino f. dilatata''
|[[セントウソウ属]]・''[[:w:Chamaele|Chamaele]]''
|[[セントウソウ属]]・''[[:w:Chamaele|Chamaele]]''
252行目: 306行目:
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|-
|[[イブキソモソモ]]伊吹抑
|[[イブキソモソモ]]伊吹抑
|''Poa radula Franch. et Savat''
|''Poa radula Franch. et Savat''
|[[イチゴツナギ属]]・''[[:w:Poa|Poa]]''
|[[イチゴツナギ属]]・''[[:w:Poa|Poa]]''
258行目: 312行目:
|
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|-
|[[イブキタイゲキ]]伊吹大戟
|[[イブキタイゲキ]]伊吹大戟
|''Euphorbia pekinensis Rupr. var. ibukiensis''
|''Euphorbia pekinensis Rupr. var. ibukiensis''
|[[トウダイグサ属]]・''[[:w:Euphorbia|Euphorbia]]''
|[[トウダイグサ属]]・''[[:w:Euphorbia|Euphorbia]]''
264行目: 318行目:
|
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|-
|[[イブキトボシガラ]]伊吹点火茎
|[[イブキトボシガラ]]伊吹点火茎
|''Festuca parvigluma Steud. var. breviaristata''
|''Festuca parvigluma Steud. var. breviaristata''
|[[ウシノケグサ属]]・''[[:w:Festuca|Festuca]]''
|[[ウシノケグサ属]]・''[[:w:Festuca|Festuca]]''
270行目: 324行目:
|VU・環境省
|VU・環境省
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|[[イブキトラノオ]]伊吹虎の尾
|[[イブキトラノオ]]伊吹虎の尾
|''Persicaria bistorta''
|''Persicaria bistorta''
|[[イブキトラノオ属]]・''[[:w:Bistorta|Bistorta]]''
|[[イブキトラノオ属]]・''[[:w:Bistorta|Bistorta]]''
276行目: 330行目:
|
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|[[イブキトリカブト]]伊吹鳥兜
|[[イブキトリカブト]]伊吹鳥兜
|''Aconitum japonicum var. ibukiense''
|''Aconitum japonicum var. ibukiense''
|[[トリカブト属]]・''[[:w:Aconitum|Aconitum]]''
|[[トリカブト属]]・''[[:w:Aconitum|Aconitum]]''
282行目: 336行目:
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|[[イブキヌカボ]]伊吹糠穂
|[[イブキヌカボ]]伊吹糠穂
|''Milium effusum''
|''Milium effusum''
|[[イブキヌカボ属]]・''Milium''
|[[イブキヌカボ属]]・''Milium''
288行目: 342行目:
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|[[イブキノエンドウ]]伊吹野豌豆
|[[イブキノエンドウ]]伊吹野豌豆
|''Vicia sepium''
|''Vicia sepium''
|[[ソラマメ属]]・''[[:w:Vicia|Vicia]]''
|[[ソラマメ属]]・''[[:w:Vicia|Vicia]]''
294行目: 348行目:
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|[[イブキハタザオ]]伊吹旗竿
|[[イブキハタザオ]]伊吹旗竿
|''Arabis gemmifera var. alpicola''
|''Arabis gemmifera var. alpicola''
|[[ヤマハタザオ属]]・''[[:w:Arabis|Arabis]]''
|[[ヤマハタザオ属]]・''[[:w:Arabis|Arabis]]''
300行目: 354行目:
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|-
|[[イブキビャクシン]]伊吹柏槇
|[[イブキビャクシン]]伊吹柏槇
|''Juniperus chinensis''
|''Juniperus chinensis''
|[[ビャクシン属]]・''[[:w:Juniperus|Juniperus]]''
|[[ビャクシン属]]・''[[:w:Juniperus|Juniperus]]''
306行目: 360行目:
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|-
|[[イブキフウロ]]伊吹風露
|[[イブキフウロ]]伊吹風露
|''Geranium yesoense var. lobato-dentatum''
|''Geranium yesoense var. lobato-dentatum''
|[[フウロソウ属]]・''[[:w:Geranium|Geranium]]''
|[[フウロソウ属]]・''[[:w:Geranium|Geranium]]''
312行目: 366行目:
|VU・岐阜
|VU・岐阜
|-
|-
|[[イブキボウフウ]]伊吹防風
|[[イブキボウフウ]]伊吹防風
|''Seseli libanotis ssp. japonica''
|''Seseli libanotis ssp. japonica''
|[[イブキボウフウ属]]・''Libanotis''
|[[イブキボウフウ属]]・''Libanotis''
|セリ科・Apiaceae
|セリ科・Apiaceae
|NT・岐阜/滋賀
|NT・岐阜/滋賀
|-
|-
|[[イブキレイジンソウ]]伊吹伶人草
|[[イブキレイジンソウ]]伊吹伶人草
|''Aconitum chrysopilum''
|''Aconitum chrysopilum''
|トリカブト属・''Aconitum''
|トリカブト属・''Aconitum''
324行目: 378行目:
| NT・環境省、UV・岐阜/滋賀
| NT・環境省、UV・岐阜/滋賀
|-
|-
|[[カイヅカイブキ]]・貝塚伊吹
| [[イブキアザミ]](小伊吹薊)
|''Juniperus chinensis L. cv. Pyramidalis''
|ビャクシン属・''Juniperus''
|ヒノキ科・Cupressaceae
|
|-
| [[コイブキアザミ]]・小伊吹薊
| ''Cirsium confertissimum''
| ''Cirsium confertissimum''
| アザミ属・Cirsium
| アザミ属・Cirsium
336行目: 384行目:
|VU・環境省、NT・岐阜
|VU・環境省、NT・岐阜
|}
|}
</div>
</div></div>


<gallery>
{| class="wikitable"
Euphrasia insignis subsp. iinumae flower.JPG|イブキコゴメグサ
|-
Thymus quinquecostatus (flower).JPG|[[イブキジャコウソウ]]
|[[File:Spiraea dasyantha in Mount Ibuki 2011-06-26.jpg|120px]]
Spiraea dasyantha in Mount Ibuki 2011-06-26.jpg|イブキシモツケ
|[[File:Thymus quinquecostatus Ibukiyama.jpg|120px]]
|[[File:Polygonum bistorta Imukiyama.jpg|120px]]
Polygonum bistorta Imukiyama.jpg|[[イブキトラノオ]]
Vicia sepium (flower).JPG|イブキノエンドウ
|[[File:Geranium yesoense Ibukiyama.jpg|100px]]
Geranium yesoense var. hidaense (flower).JPG|イブキフウロ
|[[File:Cirsium confertissimum in Mount Ibuki 2008-11-02.jpg|120px]]
Cirsium confertissimum in Mount Ibuki 2008-11-02.jpg|コイブキアザミ
|-
</gallery>
! <small>イブキシモツケ</small>
! <small>[[イブキジャコウソウ]]</small>
! <small>[[イブキトラノオ]]</small>
! <small>イブキフウロ</small>
! <small>コイブキアザミ</small>
|}


このうち、以下の種は[[環境省]]ならびに岐阜県、滋賀県で、[[レッドリスト]]に[[絶滅危惧種|絶滅危惧]]II類(Vulnerable, [[危急種|VU]])あるいは準絶滅危惧(Near Threatened, NT)に指定されている<ref>{{Cite web|url=http://jpnrdb.com/search.php?mode=region&t=&cd=&q=25&k=06&subn=+%A5%A4%A5%D6%A5%AD |title=日本のレッドデータ検索システム(滋賀県・イブキ) |publisher=エンビジョン環境保全事務局 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
このうち、以下の種は[[環境省]]ならびに[[岐阜県庁]][[滋賀県庁]]で、[[レッドリスト]]に[[絶滅危惧種|絶滅危惧]]II類(Vulnerable, [[危急種|VU]])あるいは準絶滅危惧(Near Threatened, NT)に指定されている<ref>{{Cite web|和書|url=http://jpnrdb.com/search.php?mode=region&t=&cd=&q=25&k=06&subn=+%A5%A4%A5%D6%A5%AD |title=日本のレッドデータ検索システム(滋賀県・イブキ) |publisher=エンビジョン環境保全事務局 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
* '''絶滅危惧II類・VUの種'''
* '''絶滅危惧II類・VUの種'''
** 環境省 - イブキコゴメグサ、イブキトボシガラ、コイブキアザミ
** 環境省イブキコゴメグサ、イブキトボシガラ、コイブキアザミ
** 岐阜県 - イブキコゴメグサ、イブキフウロ、イブキレイジンソウ
** 岐阜県イブキコゴメグサ、イブキフウロ、イブキレイジンソウ
** 滋賀県 - イブキスミレ、イブキレイジンソウ
** 滋賀県イブキスミレ、イブキレイジンソウ
* '''準絶滅危惧・NTの種'''
* '''準絶滅危惧・NTの種'''
** 環境省 - イブキレイジンソウ
** 環境省イブキレイジンソウ
** 岐阜県 - イブキアザミ、イブキジャコウソウ、イブキボウフウ、コイブキアザミ
** 岐阜県イブキアザミ、イブキジャコウソウ、イブキボウフウ、コイブキアザミ
** 滋賀県 - イブキボウフウ
** 滋賀県イブキボウフウ


== 登山・観光 ==
=== 動物 ===
[[File:Ibukiyama flowers 2008-11-2etc.jpg|thumb|right|伊吹山の風景と植]]
{{Commonscat|Animals of Mount Ibuki|伊吹山の}}
石灰岩の山であることから[[カタツムリ]]が多い。[[哺乳類]]では、[[ツキノワグマ]]、[[ニホンジカ]]、[[ニホンカモシカ]]、[[イノシシ]]、[[ニホンアナグマ]]、[[ニホンノウサギ]]などが生息する<ref>{{Cite web|和書|url=http://eaglet-office.co.jp/wild-ibuki/mammals |title=伊吹山の野生「ほ乳類」 |publisher=イーグレット・オフィス |accessdate=2014-09-05}}</ref><ref name="2014_0608_ibuki">{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20140907165408/https://www.nhk.or.jp/sawayaka/contents/program/2014/06/2014_0608_ibuki.html |title=さわやか自然百景 伊吹山 春 |publisher=NHK |accessdate=2014-06-13}}</ref>。[[鳥類]]では、草原などに生息する[[カッコウ]]、[[ツツドリ]]、[[ウグイス]]、[[ホオジロ]]や、[[ヤマドリ]]、[[キジ]]、[[アオゲラ]]、[[アカゲラ]]、[[カケス]]、[[オオルリ]]、[[キビタキ]]、[[シジュウカラ]]、[[ヤマガラ]]、[[トビ]]と[[イヌワシ]]などの[[猛禽類]]などが生息する<ref>{{Cite web|和書|url=http://eaglet-office.co.jp/wild-ibuki/birds |title=伊吹山の野生「鳥類」 |publisher=イーグレット・オフィス |accessdate=2014-09-05}}</ref><ref name="2014_0608_ibuki" />。花には[[イチモンジセセリ]]<ref>[[#日本のチョウ (2012)|須田 (2012)、306頁]]</ref>、[[ウスバシロチョウ]]<ref>[[#日本のチョウ (2012)|須田 (2012)、53頁]]</ref>、[[ウラギンヒョウモン]]<ref>[[#日本のチョウ (2012)|須田 (2012)、199頁]]</ref>、[[キアゲハ]]<ref>[[#日本のチョウ (2012)|須田 (2012)、63頁]]</ref>、[[スジボソヤマキチョウ]]<ref>[[#日本のチョウ (2012)|須田 (2012)、77頁]]</ref>などの[[蝶]]を含む多くの[[昆虫]]が集まる。
伊吹山の麓は古くから交通の要所であったため交通の便が良く、[[中京圏]]や[[京阪神]]からも日帰り登山が行われている。1965年には伊吹山ドライブウェイが開通してバスや自家用車で9合目まで訪れることができるようになり、山頂を訪れる観光客が増加した。


== 産業 ==
山頂周辺には[[高山植物]]を含む野草群落が花畑として保護されており、9合目駐車場からは遊歩道が敷設されている。遊歩道は3本(うち1本は下り専用)が整備されていて、20分ないし40分程度で山頂に到達できる<ref>{{Cite web|url=http://www.ibukiyama-driveway.jp/enjoy/climbing/index.html|title=伊吹山ドライブウェイ|publisher=日本自動車道株式会社|accessdate=2013-11-14}}</ref>。
=== 鉱業 ===
伊吹山の石灰岩は、古くは漆塗りの原材料に用いる消石灰として1661年ごろには開発されていたが<ref name="rejuvenation">{{Cite web|和書|url=http://www.pref.shiga.lg.jp/d/shizenkankyo/ibukiyama/files/siryou2-3.pdf|title=伊吹山再生全体構想|publisher=滋賀県|format=PDF|accessdate=2013-11-13}}</ref>、[[近代]]は[[コンクリート]]・[[セメント]]需要の急増により大量に採掘されてきた。1949年に[[近江鉱業]]が伊吹山に弥高採鉱場を開き<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.omi-mining.co.jp/kaishajoho_frame.html|title=近江鉱業株式会社_会社情報|publisher=近江鉱業株式会社|accessdate=2013-11-13}}</ref>、1951年に[[住友大阪セメント]]伊吹工場が開発工事に着手する<ref>{{Cite web|和書|url=http://shigakosan.jp/about/ibukims.html|title=伊吹鉱山概要|publisher=滋賀鉱産株式会社|accessdate=2013-11-13}}</ref>など、大規模に採掘が進められ、南西の稜線は山容が変貌するまでに大きく削り取られた<ref name="rejuvenation"/>。1971年からは住友大阪セメント伊吹工場によって南西斜面の緑化活動が始められ、2003年に同社が滋賀鉱産株式会社に事業を引き継いだ現在も続けられている<ref>{{Cite web|和書|url=http://shigakosan.jp/green/index.html|title=緑化の経緯|publisher=滋賀鉱産株式会社|accessdate=2013-11-13}}</ref>。鉱山としては現在も近江鉱業および滋賀鉱産が稼行している。


=== 登山コース ===
=== 薬草 ===
[[ファイル:Kisokaido60 Kashiwabara.jpg|サムネイル|右|200px|[[歌川広重]]『木曽海道六十九次之内 [[柏原宿|柏原]]』。[[亀屋佐京|亀屋左京]]の店が描かれている。]]
[[File:Trail of Mount Ibuki.jpg|thumb|right|五合目から山頂へと続く上野[[登山道]]<br />六合目には避難小屋がある]]
伊吹山は薬草の宝庫として<ref name="登山案内 (1998)、182-183頁" /><ref name="余呉 (2005)、244-245頁">[[#日本百名山地図帳|余呉 (2005)、244-245頁]]</ref>、古くから利用されていた<ref name="草川 (2006)、32頁" />。[[ヨモギ]]、[[トウキ]]、[[センキュウ]]が「伊吹三大薬草」とされている<ref name="草川 (2006)、32頁" />。さらに多くの植物を配合して「伊吹百草」の名で百草茶や入浴剤などが周辺の山麓で生産されていた<ref name="草川 (2006)、32頁" />。
いくつかある[[登山道]]のうち、米原市上野にある登山口から伊吹山スキー場を通過して南斜面を直登するルートが多く利用されている。このルートの一部にもなっている[[滋賀県道268号伊吹山上野線]]は3合目まで自動車が通行できるように整備されているが、一般車両の通行は禁止されている。あるいは3合目まで[[索道|ゴンドラリフト]]を利用して、3合目からこのルートで登ることもできる。3合目付近は野草が群生していて3合目だけを観光に訪れる人もいる。3合目から5合目まではスキー場跡地を登り、夏期は[[キャンプ]]施設や休憩施設、売店小屋が営業している。このルートは全般的に谷間や森を通らないため、展望は開けるが日差しを遮るものがない。冬は積雪量が多く厳しいルートとなる場合がある<ref name="guide">{{Cite book|和書 |author= |year=2010 |month=7 |title=改訂新版 名古屋周辺の山 |publisher=山と溪谷社 |pages=pp.276-277 |isbn=9784635180177}}</ref>。


山麓では約280種の薬草が生え、揖斐川町春日川合の古屋地区では昔から薬草を生活の糧にして生きてきた<ref>{{Cite web|和書|url=http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10002200090710140030072/?n=1&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%B1%B1&o=1&np=100&or=t |title=こんなステキなにっぽんが 薬草の山 生きる喜び 岐阜県揖斐川町(2007年10月13日放送) |publisher=[[日本放送協会|NHK]] |accessdate=2011-04-07}}</ref>。薬草仲買人の小寺甚五郎により薬草の買入帳と売上帳が残され、売買された薬草の品目と取引量などが記録されている<ref>[[#小寺甚五郎の記録(第1報)|高木 (1996)、200-203頁]]</ref><ref>[[#小寺甚五郎の記録(第2報)|高木 (1997)、159-164頁]]</ref><ref>[[#小寺甚五郎の記録(第3報)|高木 (1997)、156-158頁]]</ref>。
山頂には複数の売店が営業していて、季節によっては一部の店が日中の売店営業だけでなく夜間登山の仮眠所として開いている。山頂から日の出を迎えるために夜間登山も盛んに行われ、週末の深夜などは登山者が携行する電灯が山肌に列をなして見られることがある。


[[灸|お灸]]で用いられる[[もぐさ]]として「伊吹もぐさ」が知られている<ref name="日本三百名山 (1997)、261頁" />。滋賀・岐阜県境の伊吹山は記紀にも登場するが、モグサあるいはヨモギとの関連で記述されるようになるのは[[織田信長]]の時代のこととされる<ref name="oda2" />。『南蛮寺物語』(1768年)や『本朝医談』(1822年)によれば、信長は永禄あるいは元亀年間(1570年前後)にポルトガル宣教師フランソワー・カブラルの請願により江州(近江国)の伊吹山に薬草園を開いたという<ref name="oda2">[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/35/1/35_1_66/_pdf/-char/ja 織田隆三「モグサの研究(2)伊吹山考」] 『全日本鍼灸学会雑誌』35巻1号</ref><ref name="tsuruta" />。なお、古典文学でヨモギの古名または[[もぐさ]]のことを指す「さしもぐさ」「させもぐさ」の枕詞として数多く登場する伊吹山の場所については議論がある<ref name="oda1">[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/33/4/33_4_427/_pdf/-char/ja 織田隆三「モグサの研究(1)最近の製造工程と原料のヨモギについて」]『全日本鍼灸学会雑誌』33巻4号</ref><ref name="tsuruta">[http://jsmh.umin.jp/journal/48-3/406-407.pdf 鶴田泰平「モグサの産地としての伊吹山の歴史」]『日本医史学雑誌』48巻3号(2002)</ref>。諸説あるが、多数説によると和歌に詠まれたこれらの伊吹山は[[下野国]]の[[伊吹山 (栃木県)|伊吹山]]([[栃木市]])であるとされ、[[能因]]法師は『坤元儀』で、[[契沖]]は『勝地吐懐編』で下野国の伊吹山であるとしている<ref name="oda2" /><ref name="tsuruta" />。区別のために滋賀・岐阜県境の伊吹山は近江伊吹山あるいは江州伊吹山、栃木県の伊吹山は下野伊吹山と称されたが、いずれも近隣に「しめじが原」という名の土地があり山岳仏教など何らかの宗教的介在の存在(修験者によって下野から近江に伝えられた)があるとする見方もある<ref name="oda2" /><ref name="tsuruta" />。滋賀県と岐阜県にまたがる伊吹山がヨモギの産地となるのは[[江戸時代]]からとされる<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/66/2/66_140/_pdf 松本毅、形井秀一「日本のモグサ製造の現状について- モグサ製造業者へのアンケート調査 -」]『日東医誌』66巻2号140-146頁、2015年</ref>。
=== 観光施設 ===
; 伊吹山パラグライダースクール
: 1合目に事務所を構え、[[パラグライダー]]の講習や体験飛行を行っている。[[2009年]][[10月4日]]には{{要出典範囲|[[乱気流]]が原因と考えられる|date=2013年11月}}墜落事故が2件発生し1人が死亡した<ref>[https://web.archive.org/web/20100901184145/http://jhf.hangpara.or.jp/jhsc/jiko_hodosokuho.html 事故報道速報](安全性委員会 (JHSC) ) - (公財)日本ハング・パラグライディング連盟(2009年10月5日の記事を参照、2013年11月14日閲覧) ※[[インターネット・アーカイブ]]</ref>。
; さざれ石公園
: 東山麓の揖斐川町にあり、日本の[[国歌]]「[[君が代]]」にも詠まれる[[さざれ石]]が伊吹山で採掘されると説明している<ref>{{Cite web|url=http://www.town.ibigawa.lg.jp/kankoujyouhou/nature/sazareisi.html |title=さざれ石公園 |publisher=揖斐川町 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
; [[伊吹山ドライブウェイ]]
: {{main|伊吹山ドライブウェイ}}[[岐阜県]][[関ケ原町]]から東尾根を登って9合目まで至る有料道路で、9合目には500台以上を収容できる駐車場のほか、展望設備や飲食店、売店を営業している。この道路を利用した自転車[[ヒルクライム]]競技も行われている。


元禄4年([[1691年]])の磯貝舟也『日本賀濃子(日本鹿子)』は近江の産物として「伊吹蓬艾」を記している<ref name="oda2" />。
== 交通 ==
; 公共交通機関
: 上野登山口へは、[[東海旅客鉄道|JR東海]]の[[東海道本線]][[近江長岡駅]]が最寄りの鉄道駅で、5km弱の道のりである。登山口近くには「伊吹登山口」[[バス停留所|バス停]]があり、近江長岡駅または[[西日本旅客鉄道|JR西日本]]の[[北陸本線]][[長浜駅]]から[[湖国バス]]が路線バスを運行している<ref>{{Cite web|url=http://www.ohmitetudo.co.jp/bus/index.htm |title=近江鉄道バス・湖国バス |publisher=近江鉄道グループ |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
: 伊吹山ドライブウェイの9合目駐車場へは、JR西日本の東海道本線[[大阪駅]]桜橋口またはJR東海の東海道本線[[名古屋駅]]から[[名神ハイウェイバス]]を運行しているほか、夏期にはJR東海の東海道本線[[大垣駅]]と[[関ヶ原駅]]から[[名阪近鉄バス]]が路線バスを季節運行している。
; 自動車
: 上野登山口へは、[[北陸自動車道]]の[[長浜インターチェンジ]]または[[名神高速道路]]の[[関ヶ原インターチェンジ]]から[[国道365号]]や[[滋賀県道551号山東伊吹線]]を経由して10km程度の道のりで、登山口近くでは民間駐車場が営業している。
: 伊吹山ドライブウェイ入口へは、関ヶ原インターチェンジから[[国道365号]]を経由して3km程度の道のりである。


[[貝原益軒]]の『[[大和本草]]』は近江と下野の両方のものを取り上げており、江州膽吹山と下野標茅原の艾を挙げている<ref name="oda2" />。また、[[近松門左衛門]]の[[浄瑠璃]]『狩剣本地』には伊吹モグサの功能を述べる条がある<ref name="oda2" />。
== 地理 ==
山頂からは360度にわたって遠方を見渡すことができ、[[琵琶湖]]、[[白山]]、[[御嶽山 (長野県)|御嶽山]]、[[濃尾平野]]などが展望できる。


[[江戸時代]]後期には[[近江商人]]の[[亀屋左京]]が[[艾]]を商い、[[江戸]][[吉原遊廓|吉原]]の[[遊女]]に「江州柏原、伊吹山の麓の亀屋左京の切り艾」と言う歌を教え込み、歌の流行につれ伊吹艾(いぶきもぐさ)の名が全国に広まるようになった。滋賀県米原市[[柏原宿]]には、最盛期には10軒以上の艾屋があった<ref name="草川 (2006)、32頁" />。文化2年(1805年)刊行の『[[木曽路名所図会]]』にも柏原宿の説明として「此駅は伊吹の麓にして名産伊吹艾の店多し」との記述がみられる。[[歌川広重]]の「[[木曽海道六十九次|中仙道(木曽海道)六十九次]]」の六十一次柏原宿はモグサ屋の店頭風景の画だが、この店は[[合名会社]]亀屋佐京商店として営業を続けている<ref name="草川 (2006)、32頁" /><ref name="oda2" />。
=== 周辺の主な山 ===

伊吹山は伊吹山地の最南端に位置し、北側の国見峠へ延びる稜線上の御座峰、大禿山、[[国見岳]]は、「'''伊吹北尾根'''」と呼ばれている<ref name="guide" />。
滋賀県米原市の山麓には、薬草を利用した温泉施設がある<ref>{{Cite web|和書|url=http://network.biwako-visitors.jp/spot/spot_bath_520_city602.html |title=米原市伊吹薬草の里文化センター |publisher=米原観光協会 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。
[[File:Mount_Ibuki_from_Yoro_Mountains_2010-2-21.JPG|thumb|righ|[[養老山地]]から望む伊吹山と[[池田山]]]]

[[File:Mount Haku from Mount Ibuki.jpg|thumb|right|伊吹山から望む伊吹北尾根<br />奥に[[能郷白山]]と[[白山]]]]
また、山麓には薬草に関する以下の施設がある。
* ジョイ伊吹(伊吹薬草の里文化センター):滋賀県米原市春照37
* 伊吹山文化資料館 - 滋賀県米原市春照77
* [[かすがモリモリ村]]:揖斐川町春日六合3429番地<ref>{{Cite web|和書|url=http://morimorimura.com/ |title=かすがモリモリ村リフレッシュ館 |publisher=かすがモリモリ村リフレッシュ館 |accessdate=2014-06-28}}</ref>
* [[春日森の文化博物館]]:揖斐川町春日美束1902−183<ref>{{Cite web|和書|url=http://www1.town.ibigawa.lg.jp/cms/contents_detail.php?co=cat&frmId=29&frmCd=2-4-10-0-0 |title=春日森の文化博物館施設 |publisher=揖斐川町 |date=2010-04-01 |accessdate=2014-06-28}}</ref>

知られている薬草に以下の植物がある。
:[[イブキジャコウソウ]]、[[ウツボグサ]]、[[オオヨモギ]]、[[オトギリソウ]]、[[カキドオシ]]、[[カワミドリ]]、[[ゲンノショウコ]]、[[シシウド]]、[[センブリ]]、[[ドクダミ]]、[[ミヤマトウキ]]、[[リンドウ]]など<ref name="草川 (2006)、32頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、32頁]]</ref>。

1998年(平成2年)、伊吹山麓周辺の自治体により「伊吹山薬草サミット」が設立された。薬草のヤクの[[語呂合わせ]]として毎年8月9日に、サミット会議およびオープンサミットが開催されている<ref name="伊吹山薬草サミット">{{Cite web|和書|url=http://www.chiiki-dukuri-hyakka.or.jp/1_all/jirei/2002_machidukuri/11ibuki/1101.htm |title=伊吹山薬草サミット |publisher=伊吹山薬草サミット実行委員会 |accessdate=2014-06-28}}</ref>。会場周辺において構成市町村の薬草を利用した物産販売を実施するなどの事業が行われている<ref name="伊吹山薬草サミット" />。参加自治体は、岐阜県大垣市、養老町、上石津町、関ヶ原町、揖斐川町、大野町、[[池田町 (岐阜県)|池田町]]および滋賀県米原市、[[長浜市]]で、伊吹山薬草サミット実行委員会の事務局は、大垣市経済部農務課内に置かれている<ref name="伊吹山薬草サミット" />。初回は1998年に、伊吹山の東山麓の薬草の生産地である揖斐川町春日六合の「さざれ石公園」で開催された<ref name="伊吹山薬草サミット" />。

== 登山 ==
[[ファイル:Ibukiyama flowers 2008-11-2etc.jpg|サムネイル|右|伊吹山の風景と植物]]
明治以降に近代登山の対象となった<ref name="草川 (2006)、11頁" />。伊吹山の麓は古くから交通の要衝であったため交通の便が良く、[[中京圏]]や[[京阪神]]からも日帰り登山が行われている。1965年には伊吹山ドライブウェイが開通してバスや自家用車で9合目まで訪れることができるようになり、山頂を訪れる観光客が増加した。7-8月には山頂で[[ご来光]]を迎える夜間登山者もある<ref name="与呉 (2011)、98-101頁" /><ref name="余呉 (2010)、328-329頁">[[#名古屋周辺の山|余呉 (2010)、328-329頁]]</ref><ref>[[#滋賀県の山|片岡 (2000)、8-9頁]]</ref>。登山適期は4月から11月中旬頃までで、冬は積雪量が多くラッセルが必要となり、強風で厳しいルートとなる場合がある<ref name="余呉 (2010)、328-329頁" /><ref name="与呉 (2010)、276-277頁">[[#名古屋周辺の山|与呉 (2010)、276-277頁]]</ref>。1915年(大正4年)3月に、中山再次郎が積雪期に登頂した<ref name="草川 (2006)、102頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、102頁]]</ref>。2014年には、伊吹山入山協力金徴収施設が設置された。

=== 登山ルート ===
[[ファイル:Trail of Mount Ibuki.jpg|サムネイル|右|200px|5合目から山頂へと続く上野[[登山道]]]]
[[ファイル:AS365N3 (Shiga prefecture Biwa).JPG|サムネイル|右|200px|6合目避難小屋と訓練中の滋賀県防災ヘリコプター(琵琶、[[AS365]])]]
[[ファイル:Suzuka Mountains from Mount Ibuki s4.JPG|サムネイル|右|200px|9合目から望む弥高尾根と上平寺尾根(左)、上野登山道(右)、遠景は[[鈴鹿山脈]]]]
[[ファイル:Hiking trail for Shizumagahara.JPG|サムネイル|右|200px|笹又から静馬ヶ原へ向かう登山道]]
[[ファイル:Mount Ibuki from Mount Goza.JPG|サムネイル|右|200px|御座峰から望む伊吹北尾根の登山道、右奥に伊吹山]]
; 表登山道
: 南東山麓の米原市上野から南西斜面のスキー場跡地を経由して山頂に至るルートである。年間、約30,000人の利用者がある<ref name="rejuvenation" />。登山口のすぐ近くにバス停があり<ref name="草川 (2006)、45頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、45頁]]</ref>、[[登山計画書|登山届]]記入提出場所がある。かつては伊吹山ゴンドラを利用して[[ロープウェイ]]で3合目まで上がることもできたが、2010年にて廃業されたため、現在ロープウェイの利用は不可能である<ref name=”maibara”/>。このルートの一部にもなっている[[滋賀県道268号伊吹山上野線]]は3合目まで自動車が通行できるように整備されているが、一般車両の通行は禁止されている。3合目から5合目まではスキー場跡地を登り、夏期は[[キャンプ]]施設や休憩施設、売店小屋が営業している。5合目から9合目にかけては次第に急勾配となり、[[つづら折れ]]の登山道が続く<ref name="御在所・霊仙・伊吹 (2014)、裏面の伊吹山詳細地図">[[#山と高原地図|御在所・霊仙・伊吹 (2014)、裏面の伊吹山詳細地図]]</ref>。このルートは下部の植林地の樹林帯を除き全般的に谷間や森を通らないため、展望は開けるが日差しを遮るものがない<ref name="余呉 (2010)、328-329頁" />。9合目から山頂部にかけてはロープが張られたお花畑の遊歩道が整備されている<ref>[[#花の百名山地図帳|与呉 (2007)、206-207頁]]</ref>。
; 弥高尾根(やたかおね)道
: 米原市弥高から南の尾根を登るルートで<ref name="青木 (2014)、71頁">[[#伊吹山花散歩|青木 (2014)、71頁]]</ref>、三角点「城跡」(標高838.7 m)から先は、はっきりしない道となる<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、42頁]]</ref>。標高900m付近からトラバースして上野登山道の5合目に合流する<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、43頁]]</ref>。
; 上平寺尾根(じょうへいじおね)道
: 米原市上平寺から弥高尾根の東にある尾根を上り、三角点「城跡」で弥高尾根に合流する<ref name="青木 (2014)、71頁" /><ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、39頁]]</ref>。登道上には上平寺城[[本丸]]跡の草地の広場がある<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、38頁]]</ref>。弥高尾根と上平寺尾根が合流した先は、山頂まで延びる中尾根と呼ばれる尾根があり、かつては山頂に至る道があったとされている<ref name="草川 (2006)、40頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、40頁]]</ref>。中尾根の途中から川戸谷を横切って南東尾根から笹又に至る横がけ道があったことが『[[伊吹町]]史』に記録されている<ref name="草川 (2006)、40頁" />。
; 北尾根コース(伊吹北尾根縦走路)
: 伊吹山山頂の北側で岐阜県と滋賀県の県境をなす尾根は'''伊吹北尾根'''と呼ばれている<ref name="余呉 (2010)、276-277頁">[[#名古屋周辺の山|余呉 (2010)、276-277頁]]</ref>。笹藪と雑木に覆われていて歩行困難であったが、大垣山岳協会の延べ1,000人程の会員により、1960年(昭和35年)から3年がかりで藪などが切り開いて伊吹山ドライブウェイの北尾根登山口から国見峠に至る、伊吹北尾根縦走路が開設された<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、56頁]]</ref>。大垣新道と呼ばれることもあり毎年麓の揖斐川町春日の人々による整備が行われている<ref name="吉川 (2005)、65頁">[[#岐阜の山旅|吉川 (2005)、65頁]]</ref>。御座峰の山頂にはこの縦走路開削を記念して、1999年(平成11年)10月に大垣山岳協会により記念の案内板が設置された<ref name="吉川 (2005)、65頁" />。ただし、伊吹山ドライブウェイは自動車専用道であるため、伊吹山の山頂へ歩いて行くことはできない<ref name="草川 (2006)、45頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、45頁]]</ref><ref name="御在所・霊仙・伊吹 (2014)、裏面の伊吹山詳細地図" />。
; 笹又登山道
: 岐阜県揖斐川町春日川合のさざれ石公園から静馬ヶ原で伊吹北尾根に合流するルートである<ref>[[#伊吹山花散歩|青木 (2014)、121頁]]</ref>。薬草などが栽培されている農地の周囲には鹿などによる害獣対策として防護柵が設置され、登山者用の出入り口の扉がある。上部は伊吹山ドライブウェイと並行するトラバース道となり、北尾根で「静馬ヶ原」と呼ばれるコルに至る<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、54頁]]</ref>。

=== 山小屋と施設 ===
[[ファイル:Mountain huts and shops on Mount Ibuki s1.JPG|サムネイル|右|200px|山頂の売店を兼ねた山小屋]]
[[File:Ibukiyama-3.jpg|thumb|200px|商品、生活必需品を運ぶトロッコ]]
[[File:Ibukiyama-4.jpg|thumb|200px|山小屋]]
山頂には5軒の売店が営業していて、季節によっては一部の店が日中の売店営業だけでなく夜間登山の仮眠所(収容人数350人)として開いている<ref name="余呉 (2005)、244-245頁" /><ref name="山の便利手帳 (2010)、178頁">[[#山の便利手帳|山の便利手帳 (2010)、178頁]]</ref>。営業期間外は閉鎖される<ref name="山の便利手帳 (2010)、178頁" />。山頂から日の出を迎えるために夜間登山も盛んに行われ、週末の深夜などは登山者が携行する電灯が山肌に列をなして見られることがある。上野からの登山道の3合目には自生する山野草の観察路が設置され、5合目には売店、自動販売機、休憩所があり<ref group="注釈">5合目に設置されていた古いトイレは撤去された。</ref><ref name="吉川 (2005)、63頁">[[#岐阜の山旅|吉川 (2005)、63頁]]</ref>、6合目には米原市により[[避難小屋]]が設置されている。3合目には、伊吹高原ホテルの建物があるが営業されていない。山頂部にある伊吹山寺の[[お堂]]は、冬期に緊急避難場所として一部が開放されることがある。山頂一帯は[[テント]]泊などの[[キャンプ]]が禁止されている<ref name="御在所・霊仙・伊吹 (2014)、裏面の伊吹山詳細地図" />。山頂の一等三角点の近くには伊吹山測候所があったが、2001年に観測業務を終了し、2010年に撤去された。

== 観光 ==
[[ファイル:Ibukiyama Drive Way (Joheijigoe parking s2).JPG|サムネイル|右|200px|山頂部から望む[[伊吹山ドライブウェイ]]とその上平寺越駐車場]]
[[ファイル:Kattobi ibuki 5s.jpg|サムネイル|右|200px|毎年開催されている山岳マラソンの夢高原かっとび伊吹(5合目登山道の様子)]]
[[ファイル:Limestone Conglomerate park 2011-03-06.jpg|サムネイル|右|岐阜県揖斐川町のさざれ石公園にある岐阜県の天然記念物「笹又の石灰質角礫巨岩」]]
麓から山頂直下に至る伊吹山ドライブウェイが、[[ドライブ]]の自家用車や[[観光バス]]、[[路線バス]]などにより利用されている。終点の駐車場からは、山頂部の自然庭園のお花畑をめぐる遊歩道が整備され、山頂部には売店群がある。
; 伊吹山ドライブウェイ: 岐阜県関ケ原町から東尾根を登って9合目まで至る有料道路で、9合目には500台以上を収容できる駐車場のほか、展望設備や飲食店、売店を営業している。この道路を利用した自転車[[ヒルクライム]]競技も行われている。山上で[[猛禽類]]などの[[野鳥観察]]のために利用されることもある。2013年に終点駐車場の観光施設が建て替えられて、スカイテラス伊吹山の展望台が設置された。積雪期には営業を休止し閉鎖される。{{main|伊吹山ドライブウェイ}}
; 山頂遊歩道: 山頂周辺には高山植物を含む野草群落が花畑として保護されており、夏季には色とりどりのお花畑となる<ref name="日本三百名山 (1997)、261頁" />。伊吹山ドライブウェイ終点の駐車場からは遊歩道が整備されている。遊歩道は3本が整備されていて、20分ないし40分程度で山頂に到達できる<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.ibukiyama-driveway.jp/enjoy/climbing/index.html|title=伊吹山ドライブウェイ|publisher=日本自動車道株式会社|accessdate=2013-11-14}}</ref>。年間約30万人の利用者がある<ref name="rejuvenation" />。
; 伊吹山文化資料館: 南西山麓の滋賀県米原市春照77に、1998年(平成10年)3月に、伊吹山地とその山麓の自然と文化を主なテーマとした「伊吹山文化資料館」が開設された<ref name="joyibuki-culture" />。
; 伊吹薬草の里文化センター: 南西山麓の滋賀県米原市春照37に「伊吹薬草の里文化センター」(ジョイ伊吹)の複合施設が開設されている<ref>{{Cite web|和書|url=http://joyibuki.info/culture.php |title=伊吹薬草の里文化センターへようこそ |publisher=公益財団法人伊吹山麓スポーツ文化振興事業団 |accessdate=2014-06-22}}</ref>。薬草の古い歴史をもつ旧伊吹町により、前庭に野草園が開設されている。生涯学習センター、図書室、ジョイホール、グロウブステージ、薬草湯などの施設がある。薬草湯の[[入浴施設]]には[[露天風呂]]があり、北東に伊吹山を望むことができる。
; 夢高原かっとび伊吹: 毎年8月下旬の日曜日に、山岳[[マラソン大会]]の「夢高原かっとび伊吹」が開催されている<ref>{{Cite web|和書|url=http://kattobi.chekipon.jp/ |title=夢高原かっとび伊吹 |publisher=夢高原かっとび伊吹 |accessdate=2014-06-22}}</ref>。滋賀県米原市にある伊吹薬草の里文化センターを起点として、伊吹山の頂上をゴールとする約10kmのコース。前半のスタート地点から一合目までは舗装路(約4.5 km)で、後半の一合目から山頂までは登山道(約5.5 km)、高低差(1,197 m)。約1,000人ほどが参加している。
; 伊吹山パラグライダースクール: 上野からの伊吹山登山道の1合目上部の旧伊吹山スキー場のゲレンデが、[[パラグライダー]]発着場として利用されている<ref name="rejuvenation" />。1合目に事務所を構え、パラグライダーの講習や体験飛行を行っている。2009年10月4日には{{要出典範囲|[[乱気流]]が原因と考えられる|date=2013年11月}}墜落事故が2件発生し1人が死亡した<ref>[https://web.archive.org/web/20100901184145/http://jhf.hangpara.or.jp/jhsc/jiko_hodosokuho.html 事故報道速報](安全性委員会 (JHSC)) - (公財)日本ハング・パラグライディング連盟(2009年10月5日の記事を参照、2013年11月14日閲覧) ※[[インターネットアーカイブ]]</ref>。
; さざれ石公園: 東山麓の揖斐川町にあり、日本の[[国歌]]『[[君が代]]』にも詠まれる[[さざれ石]]が伊吹山で採掘されると説明している<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.town.ibigawa.lg.jp/kankoujyouhou/nature/sazareisi.html |title=さざれ石公園 |publisher=揖斐川町 |accessdate=2011-04-07}}</ref>。1977年(昭和52年)11月18日に、西山腹の岐阜県揖斐郡揖斐川町の「笹又の石灰質[[角礫岩|角礫]]巨岩」(重さ約50 [[トン|t]])が、岐阜県の天然記念物の指定を受けた<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kyoiku-bunka-sports/bunka-geijutsu/bunkazai-zuroku/bunkazai-zuroku/tenki/ibigawachou/kyogan.html |title=笹又の石灰質角礫巨岩 |publisher=岐阜県 |accessdate=2014-06-22}}</ref>。伊吹北尾根の登山口となっている。
; 伊吹山スキー場: 伊吹山は関西地方でのスキー発祥の地として知られている<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、100頁]]</ref>。1916年(大正5年)春に中山再次郎が関西地方で初めてとなるスキー大会を伊吹山で開催し、3合目には関西地方のスキー普及尽力した中山再次郎<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.city.kyotango.kyoto.jp/museum/kodainosato/kikaku.pdf |title=郷土史の黎明~明治時代の丹後地域~ |publisher=[[京丹後市]] |format=PDF |pages=3 |accessdate=2014-06-22}}</ref>の胸像が建てられている<ref name="草川 (2006)、102頁" />。古くから[[近江鉄道]]が南斜面で[[伊吹山スキー場]]を運営していた。年間約30,000人の利用者があった<ref name="rejuvenation" />。2005年に撤退し譲渡され「ピステジャポン伊吹」として再開したものの、2008年から休業し、その後リフトは撤去されスキー場は閉鎖された。{{main|伊吹山スキー場}}

== 地理 ==
[[ファイル:Yoro Mountains and Suzuka Mountains from Mount Ibuki.JPG|サムネイル|右|伊吹山から望む[[養老山地]]と[[鈴鹿山脈]]、これらに囲まれた[[関ケ原町]]中心部などは狭小地となり、歴史的にも交通の要衝となっている。]]
伊吹山は[[本州]]のほぼ中央にあり、[[若狭湾]]と[[伊勢湾]]に挟まれた、狭まった地理に位置する<ref name="草川 (2006)、9頁">[[#伊吹山案内|草川 (2006)、9頁]]</ref>。伊吹山と南の[[養老山地]]と[[鈴鹿山脈]]に挟まれた南山麓の[[関ケ原町|関ケ原]]は、歴史的にも[[東国]]と[[西国]]との[[関所|関門]]として交通の要衝となっている<ref name="草川 (2006)、10頁" />。
=== 伊吹山地 ===
[[両白山地]](越美山地)の南端の三国岳([[福井県]]、岐阜県、滋賀県との県境)から伸びる尾根を中心とした[[伊吹山地]]の最高峰<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁" /><ref name="草川 (2006)、9頁" />。半[[独立峰]]で、伊吹山地の最南端に位置する<ref name="bunka-db" />。山頂からは360度にわたって遠方を見渡すことができ、[[琵琶湖]]、[[白山]]、[[御嶽山]]、[[濃尾平野]]などが展望できる。南東の濃尾平野からは伊吹山を望むことができ、多くの学校の校歌で歌われている。
{{main|伊吹山地}}
=== 伊吹北尾根 ===
{{Commonscat|North ridge of Mount Ibuki|伊吹北尾根}}
北側の国見峠へ延びる稜線上の御座峰、大禿山、[[国見岳]]をつなぐ尾根は、「'''伊吹北尾根'''」と呼ばれている<ref name="与呉 (2010)、276-277頁" />。
[[ファイル:North ridge of Mount Ibuki (2012-07-10).JPG|サムネイル|右|南側の静馬ヶ原方面から望む伊吹北尾根(左から国見峠、国見岳、大禿山、御座峰)]]
{| class="wikitable"
{| class="wikitable"
|-
|-
407行目: 501行目:
!備考
!備考
|-
|-
|[[ファイル:Kanakusodake from odugongensan 2010 3 22.jpg|80px]]
|[[ファイル:Mount Kunimi from Mount Ohage (2014-05-27).JPG|80px|南側の大禿山から望む国見岳(2014年5月27日)]]
| 国見岳
| 1,126
|
|{{direction2|NNE}} 5.0
|[[国見岳|国見岳(同名の山)]]
|-
|[[ファイル:Mount Ohage from Mount Goza.JPG|80px|南側の御座峰方面から望む大禿山(2014年5月27日)]]
| 大禿山
| 1,083
|
|{{direction2|NNE}} 4.3
|(おおはげやま)
|-
|[[ファイル:Mount Goza (North ridge of Mount Ibuki).JPG|80px|南側の静馬ヶ原方面から望む御座峰(2013年6月16日)]]
| 御座峰
| 1,070.<small>04</small>
| 三等<br />「板波」
|{{direction2|NNE}} 3.8
| (ござみね)
|}
=== 周辺の主な山 ===
南側の[[天野川 (滋賀県)|天野川]]と[[牧田川]]を挟んで、[[鈴鹿山脈]]と[[養老山地]]が対峙している。
[[ファイル:Mount_Ibuki_from_Yoro_Mountains_2010-2-21.JPG|サムネイル|右|[[養老山地]]から望む伊吹山と[[池田山 (岐阜県)|池田山]]]]
{| class="wikitable"
|-
!山容
!名称
!標高<br />(m)
!三角点等級<br />基準点名<ref name="kijyun" />
!伊吹山からの<br />方角と距離(km)
!備考
|-
|[[ファイル:Kanakusodake from odugongensan 2010 3 22.jpg|80px|小津権現山から望む金糞岳(2010年3月22日)]]
| [[金糞岳]]
| [[金糞岳]]
| 1,317
| 1,317
|
|
|{{direction|NNW}}北北西 16.0
|{{direction2|NNW}} 16.0
| 滋賀県の第2高峰
| 滋賀県の第2高峰
|-
|-
|[[ファイル:Odaniyama from Takatsuki 2009-2-8.jpg|80px]]
|[[ファイル:Odaniyama from Takatsuki 2009-2-8.jpg|80px|西方の麓から望む小谷山(2009年2月8日)]]
| 小谷山
| [[小谷山]]
| 494.<small>52</small>
| 494.<small>52</small>
| 三等<br />「大岳」
| 三等<br />「大岳」
|{{direction|WNW}}西北西 13.2
|{{direction2|WNW}} 13.2
| <small>新・花の百名山</small>
| <small>新・花の百名山</small>
|-
|-
|[[ファイル:Mount_Ikeda_from_east_2010-5-1.JPG|80px]]
|[[ファイル:Mount Ikeda from Mount Ibuki.jpg|80px|伊吹山から望む池田山(2012年10月12日)]]
| [[池田山 (岐阜県)|池田山]]
| [[池田山 (岐阜県)|池田山]]
| 923.<small>85</small>
| 923.<small>85</small>
| 二等<br />「池田山」
| 二等<br />「池田山」
|{{direction|ENE}}東北東 10.4
|{{direction2|ENE}} 10.4
| 池田の森
| 池田の森
|- style="background-color:#ccc"
|- style="background-color:#ccc"
|[[ファイル:Ibukiyama from third point 2008-1-6.JPG|80px]]
|[[ファイル:Ibukiyama from third point 2008-1-6.JPG|80px|登山道3合目(伊吹山ゴンドラ終点駅付近)から望む伊吹山(2008年1月6日)]]
| '''伊吹山'''
| '''伊吹山'''
| 1,377.<small>31</small>
| 1,377.<small>31</small>
| 一等<br />「伊吹山」
| 一等<br />「伊吹山」
|{{direction|O}} 0
|{{direction2|O}} 0
| [[各都道府県の最高峰|滋賀県最高峰]]<br /><small>[[日本百名山]]、[[新・花の百名山]]</small>
| [[各都道府県の最高峰|滋賀県最高峰]]<br /><small>[[日本百名山]]、[[新・花の百名山]]</small>
|-
|-
|[[ファイル:Ryozensan 2008-12-8.jpg|80px]]
|[[ファイル:Ryozensan 2008-12-8.jpg|80px|西南尾根上部から望む霊仙山(2008年12月8日)]]
|[[霊仙山]]
|[[霊仙山]]
|1,094
|1,094
|(二等 1,083.<small>45</small>)<br />「霊仙山」
|(二等 1,083.<small>45</small>)<br />「霊仙山」
|{{direction|S}}南 15.5
|{{direction2|S}} 15.5
| <small>[[花の百名山]]</small>
| <small>[[花の百名山]]</small>
|-
|-
|[[ファイル:Yorosan from the foot in mountain 2008 04 20.jpg|80px]]
|[[ファイル:Yorosan from the foot in mountain 2008 04 20.jpg|80px|東方の麓の養老町から望む養老山(2008年4月20日)]]
| [[養老山 (岐阜県)|養老山]]
| [[養老山 (岐阜県)|養老山]]
| 895.<small>31</small>
| 895.<small>31</small>
| 二等<br />「養老山」
| 二等<br />「養老山」
|{{direction|SSE}}南南東 20.2
|{{direction2|SSE}} 20.2
| [[養老山地]]
| [[養老山地]]
|-
|-
|[[ファイル:Mount Oike from Zudagahira 2011-02-19.jpg|80px]]
|[[ファイル:Mount Oike from Zudagahira 2011-02-19.jpg|80px|東方の頭蛇ヶ平から望む厳冬期の御池岳(2011年2月19日)]]
| [[御池岳]]
| [[御池岳]]
| 1,247
| 1,247
|
|
|{{direction|S}}南 26.6
|{{direction2|S}} 26.6
| [[鈴鹿山脈]]最高峰<br /><small> 花の百名山</small>
| [[鈴鹿山脈]]最高峰<br /><small> 花の百名山</small>
|-
|-
|[[ファイル:Hujiwaradake from ninose 2 2010 5 15.jpg|80px]]
|[[ファイル:Hujiwaradake from ninose 2 2010 5 15.jpg|80px|東方のいなべ市北勢町二之瀬から望む藤原岳(2010年5月15日)]]
|[[藤原岳]]
|[[藤原岳]]
|1,144
|1,144
|<small>(標高未確定)</small>
|<small>(標高未確定)</small>
|{{direction|S}}南 29.1
|{{direction2|S}} 29.1
| <small>[[日本三百名山]]、花の百名山<br />新・花の百名山</small>
| <small>[[日本三百名山]]、花の百名山<br />新・花の百名山</small>
|}
|}

=== 周辺の峠 ===
* 静馬ヶ原:山頂の北東1.6 kmの伊吹山と御座峰との[[峠|鞍部]]、標高約1,100 m、笹又からの登山道と伊吹北尾根との合流点。
* 国見峠:山頂の北5.5 kmの国見岳と虎子山との鞍部、標高約840 m、[[岐阜県道32号春日揖斐川線]]と[[滋賀県道・岐阜県道40号山東本巣線]]を結ぶ林道が通る。伊吹北尾根の登山道の登山口。


=== 源流の河川 ===
=== 源流の河川 ===
[[ファイル:Lake Biwa (from Mount Ibuki s5).jpg|サムネイル|右|伊吹山の北西面を巻き琵琶湖へと注ぐ[[姉川]]]]
伊吹山を源とする[[河川]]には、[[琵琶湖]]へ流れる淀川水系と、濃尾平野の河川へ流れる木曽川水系がある。
伊吹山を[[水源|源]]とする[[河川]]には、[[琵琶湖]]へ流れる[[淀川]][[水系]]と、濃尾平野の河川へ流れる[[木曽川]]水系がある。伊吹山と伊吹北尾根はその西側の淀川水系と東側の木曽川水系との[[分水界]]となっている<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" />。
* [[姉川]](淀川水系)
* [[姉川]](淀川水系)
* 長谷川(木曽川水系、[[粕川 (岐阜県) |粕川]]の[[支流]])
* 長谷川(木曽川水系、[[粕川 (岐阜県)|粕川]]の[[支流]])
* [[藤古川]](木曽川水系、[[牧田川]]の支流)
* [[藤古川]](木曽川水系、[[牧田川]]の支流)
* [[相川 (岐阜県)|相川]](木曽川水系、牧田川の支流)
* [[相川 (岐阜県)|相川]](木曽川水系、牧田川の支流)


== テレビ番組 ==
=== 交通・アクセス ===
; 公共交通機関
* 『日本百名山 伊吹山』 [[NHK衛星第2テレビジョン]]、1994年4月8日放送<ref>{{Cite web|url=http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10001200999404080130168/?n=14&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%B1%B1&o=1&np=20&or=t |title=NHKアーカイブス保存番組詳細 日本百名山 伊吹山(1994年4月8日放送) |publisher=NHK |accessdate=2011-04-07}}</ref>
: 上野登山口へは、[[東海旅客鉄道|JR東海]]の[[東海道本線]][[近江長岡駅]]が最寄りの鉄道駅で<ref group="注釈">伊吹山は近江長岡駅の北北東7.1 kmに位置する。</ref><ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁" />、5km弱の道のりである。登山口近くには「伊吹登山口」[[バス停留所|バス停]]があり、近江長岡駅または[[西日本旅客鉄道|JR西日本]]の[[北陸本線]][[長浜駅]]から[[湖国バス]]が路線バスを運行している<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.ohmitetudo.co.jp/bus/index.htm |title=近江鉄道バス・湖国バス |publisher=近江鉄道グループ |accessdate=2011-04-07}}</ref>。登山口の3合目まで[[タクシー]]を利用することもできる<ref name="与呉 (2011)、98-101頁" />。
* 『花の百名山 伊吹山 イブキジャコウソウ』 NHK衛星第2テレビジョン、1995年12月18日放送<ref>{{Cite web|url=http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10001200999512180130200/?n=7&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%B1%B1&o=1&np=100&or=t |title=NHKアーカイブス保存番組詳細 花の百名山 伊吹山 イブキジャコウソウ(1995年12月18日放送) |publisher=NHK |accessdate=2011-04-07}}</ref>
: 伊吹山ドライブウェイの9合目駐車場へは、期間(夏季)限定でJR西日本の東海道本線[[大阪駅]]桜橋口またはJR東海の東海道本線[[名古屋駅]]から[[名神ハイウェイバス]]を運行しているほか、JR東海の東海道本線[[大垣駅]]と[[関ケ原駅]]から[[名阪近鉄バス]]が路線バスを運行している。また、期間(夏季)限定で米原駅から9合目駐車場まで路線バス(湖国バス)が運行している場合がある。
* 『さわやか自然百景 滋賀・伊吹山』 NHK総合テレビジョン、[[さわやか自然百景]]、2003年8月31日放送<ref name="saswayaka" />
[[ファイル:Mount Ibuki from Ibukinosato.JPG|サムネイル|右|[[道の駅伊吹の里]]の2階展望デッキから望む伊吹山]]
* 『萌ゆるッ 山ガール!!』 [[関西テレビ放送|関西テレビ]]、2010年8月5日放送、[[谷澤恵里香]]出演<ref>{{Cite web|url=http://www.ktv.jp/sp/yamagirl/index.html |title=萌ゆるッ 山ガール!! |publisher=関西テレビ |accessdate=2011-04-07}}</ref>
; 自動車
: 上野登山口へは、[[北陸自動車道]]の[[長浜インターチェンジ]]または[[名神高速道路]]の[[関ヶ原インターチェンジ]]から[[国道365号]]や[[滋賀県道551号山東伊吹線]]を経由して10km程度の道のりで、登山口近くでは民家や民間の有料[[駐車場]]がある。
: 伊吹山ドライブウェイ入口へは、関ヶ原インターチェンジから[[国道365号]]を経由して3km程度の道のりである。
: 南西山麓を通る[[坂浅東部広域農道]]沿いの[[滋賀県道・岐阜県道40号山東本巣線|滋賀県道40号山東本巣線]]との交差点南西部に[[道の駅伊吹の里]]があり、2階には伊吹山展望デッキがある。

== 伊吹山の風景 ==
=== 各方面からの山容 ===
麓の[[近江盆地]]、[[濃尾平野]]、東海道本線や[[東海道新幹線]]の車窓などからもそのどっしりとした山容を望むことができる<ref name="余呉 (2010)、328-329頁" />。西斜面では石灰岩採掘のために削り取られた山肌が目立ち、景観を害している<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" /><ref name="余呉 (2005)、244-245頁" /><ref name="大坪 (1987)、175頁" />。西山麓の米原市の[[三島池]]からもその山容を望むことができ<ref name="日本の山1000 (1992)、529頁" />、名景とされている<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、2頁]]</ref>。南側にある清滝山(標高439 m)の山頂は、伊吹山を間近に望むことができる展望台となっている<ref>[[#滋賀県の山|片岡 (2000)、10-11頁]]</ref>。東の池田山からは山容を望むことができるが、南東にある南宮山の登山道からは、ほとんど山容を望むことができない<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、104頁]]</ref>。南南東の養老山地の[[笙ヶ岳]]からは山容を望むことができるが、[[養老山 (岐阜県)|養老山]]からは望むことができない。南の鈴鹿山脈の霊仙山からは、どっしりとした山容を望むことができる<ref>[[#鈴鹿を歩く|吉住 (1995)、35頁]]</ref>。
<gallery widths="150" heights="100">
Mount Ibuki from Mount Ikeda.jpg|東の[[池田山 (岐阜県)|池田山]]より、山腹に伊吹山ドライブウェイが通る<br />(2011年11月27日)
Mount Ibuki from Ibi River 1998-02-16.jpg|南東の濃尾平野[[揖斐川]]左岸より<br />(1998年2月16日)
Mount Ibuki (from Maibara Kashiwabara).JPG|南山麓の米原市柏原より<br />(2012年9月25日)
Mount Ibuki from Mount Ryozen (2013-05-17 s2).JPG|南の[[鈴鹿山脈]][[霊仙山]]より<br />(2013年5月27日)
Pond Mishima and Mount Ibuki.jpg|南西山麓の[[三島池]]より<br />(2011年2月16日)
Mount Ibuki (from Kohoku mizudori station).JPG|西の[[道の駅湖北みずどりステーション]]より<br />(2014年2月18日)
Mount Ibuki from Shizumagahara.jpg|北の伊吹北尾根より<br />(2011年3月6日)
Mount_Ibuki_from_Mount_Kiyotaki.jpg|南の清滝山より<br />(2015年1月18日)
</gallery>

=== 伊吹山からの展望 ===
{{Commonscat|Views from Mount Ibuki|伊吹山からの展望}}
山上部からは伊勢湾、南宮山、[[養老山地]]、霊仙山から南に連なる[[鈴鹿山脈]]、[[近江盆地]]、[[琵琶湖]]と対岸の[[比良山地]]などの山並み、金糞岳などの奥美濃の山々、[[能郷白山]]、[[白山]]などの両白山地、[[乗鞍岳]]などの[[飛騨山脈|北アルプス]]、[[御嶽山]]、[[木曽山脈|中央アルプス]]とその稜線越しに[[赤石山脈|南アルプス]]の山並みなどを望むことができる<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁" /><ref name="日本三百名山 (1997)、261頁" /><ref name="余呉 (2010)、328-329頁" />。
<gallery widths="150" heights="100">
Sunrise from Mount Ibuki (2013-09-21).JPG|東側の展望、[[木曽山脈|中央アルプス]][[恵那山]]からのご来光
Ogaki from Mount Ibuki.JPG|南東の展望、[[濃尾平野]](中央は[[大垣市]])
Suzuka Mountains from Mount Ibuki.jpg|南側の展望、[[鈴鹿山脈]]
Lake Biwa (from Mount Ibuki s3).JPG|西の展望、[[近江盆地]]と[[琵琶湖]]
Lake Biwa and Nagahama from Mount Ibuki s2.JPG|北西の展望、近江盆地の[[長浜市]]と琵琶湖に浮かぶ[[竹生島]]
Mount Kanakuso from Mount Ibuki winter.jpg|北側の展望、[[金糞岳]]など
Mount Haku and Odu three Mountains from Mount Ibuki.jpg|北北東側の展望、[[能郷白山]]や[[白山]]
</gallery>

== メディア ==
=== 文学 ===
* [[藤原実方]]が[[小倉百人一首]]で「かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」の[[短歌]]を詠んでいる<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、48-49頁" />。
* 1689年([[元禄]]2年)秋に[[松尾芭蕉]]により「そのままよ 月もたのまし 伊吹山」の[[俳句]]が詠まれている。
* 伊吹弥三郎の[[民話]]:伊吹山に住む力持ちの男の弥三郎の「琵琶湖の土を運んで伊吹山と[[霊仙山]]をつくった。」などの多数の怪力話が伝えられている<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.shiga.lg.jp/minwa/49/49-butai.html |title=民話でたどる滋賀の風景・伊吹弥三郎 |publisher=滋賀県 |accessdate=2014-06-22}}</ref>。伊吹山中では「弥三郎岩屋」などの弥三郎伝説に因んだ地名が残されている<ref>[[#伊吹山案内|草川 (2006)、112頁]]</ref>。

=== 関連書籍 ===
* {{Cite journal |和書 |author=|title=伊吹山薬用植物目録 |date=1937 |publisher=滋賀県経済部林務課 |url=https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN13751023}}
* {{Cite book|和書 |author=大川勝德 |date=2012-06-01 |title=伊吹山の花図鑑―350種 |publisher=[[岐阜新聞社]] |isbn=978-4877971793}}
* {{Cite book|和書 |author=福永円澄 |date=2005-06-25 |title=伊吹百草 |publisher=[[サンライズ出版]] |isbn=4883251489}}
* {{Cite book|和書 |author=村瀬忠義、草川啓三、須藤一成 |year=2007 |month=5 |title=伊吹山自然観察ガイド |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=9784635420372}}
* {{Cite web|和書 |author=監修 阿部勇治 |date=2015-03-01 |title=伊吹山を知る“やさしい”[[地学]]の本 |publisher=[[伊吹山ネイチャーネットワーク]] |url=https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026244469-00| accessdate=2019-01-16}}

=== テレビ番組 ===
伊吹山を主題とするテレビ番組が多数放送されている。
* 『日本百名山 伊吹山』[[NHK衛星第2テレビジョン]]、1994年4月8日放送<ref>{{Cite web|和書|url=http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10001200999404080130168/?n=14&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%B1%B1&o=1&np=20&or=t |title=NHKアーカイブス保存番組詳細 日本百名山 伊吹山(1994年4月8日放送) |publisher=NHK |accessdate=2011-04-07}}</ref>
* 『花の百名山 伊吹山 イブキジャコウソウ』NHK衛星第2テレビジョン、1995年12月18日放送<ref>{{Cite web|和書|url=http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10001200999512180130200/?n=7&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%B1%B1&o=1&np=100&or=t |title=NHKアーカイブス保存番組詳細 花の百名山 伊吹山 イブキジャコウソウ(1995年12月18日放送) |publisher=NHK |accessdate=2011-04-07}}</ref>
* 『[[さわやか自然百景]] 滋賀・伊吹山』NHK総合テレビジョン(2003年8月31日放送)<ref name="saswayaka" />
* 『萌ゆるッ 山ガール!!』[[関西テレビ放送|関西テレビ]](2010年8月5日放送、[[谷澤恵里香]]出演)<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.ktv.jp/sp/yamagirl/index.html |title=萌ゆるッ 山ガール!! |publisher=関西テレビ |accessdate=2011-04-07}}</ref>
* 『さわやか自然百景 伊吹山 春』NHK総合テレビジョン(2014年6月8日放送)<ref name="2014_0608_ibuki" />


== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{reflist}}
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist|25em}}


== 関連書籍 ==
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書 |author= |year=2003 |month=8 |title=伊吹山花 |publisher=ほおずき書籍 |isbn=4434033212}}
* {{Cite book|和書 |author=青木繁(監修)、橋本猛 |date=2014-04-02 |title=伊吹山花散歩 |publisher=[[サンライズ出版]] |isbn=978-4883255306 |ref=伊吹山花散歩}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2005 |month=7 |title=伊吹百草 |publisher=[[サンライズ出版]] |isbn=4883251489}}
* {{Cite book|和書 |author=あらたひでひろ(写真)、村瀬忠義(解説) |date=2007-07-19 |title=伊吹山のお花畑 |publisher=[[東方出版]] |isbn=9784862490735 |ref=伊吹山のお花畑}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2007 |month=5 |title=伊吹自然観察ガイド |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=9784635420372}}
* {{Cite book|和書 |author=一等三角点研究会 |year=1988 |month=11 |title=[[一等三角点百名]] |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=9784635330008 |ref=一等三角点百名山}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2009 |month=6 |title=伊吹山案内 |publisher=[[ナカニシヤ出版]] |isbn=9784779503580}}
* {{Cite book|和書 |author=大川勝德 |date=2009-10-20 |title=伊吹山の植物 |publisher=幻冬舎ルネッサンス |isbn=9784779005299 |ref=伊吹山の植物}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2010 |month=4 |title=改訂版 滋賀県の山 |series=新・分県登山ガイド・改訂版 |publisher=山と溪谷社 |pages=pp.50-51 |isbn=9784635023740}}
* {{Cite book|和書 |author=片岡浜子、沢原道則、山本武人、米田実 |year=2000 |month=06 |edition=改訂第2|title=滋賀県の山 |series=分県登山ガイド |publisher=山と溪谷社 |isbn=463502184X |ref=滋賀県の山}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2011 |month=2 |title=御在所・霊仙・伊吹 |series=山と高原地図2011年版 |publisher=[[昭文]] |isbn=9784398757845 |pages=}}
* {{Cite book|和書 |author=金丸勝実 |date=2001-06-10 |title=鈴鹿・伊吹 |series=花の |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635014134 |ref=花の山旅}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2011 |month=6 |title=日本百名山登山ガイド・下 |series=ヤマケイアルペンガイドNEXT |publisher=山と溪谷社 |pages= |isbn=9784635013505}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2010 |month=2 |title=関西百名山地図帳 |publisher=山と溪谷社 |isbn=9784635530576 |ref=関西百名山地図帳}}
* {{Cite book|和書 |author=岐阜県山岳連盟 |year=1987 |month=7 |title=ぎふ百山 |publisher=[[岐阜新聞社]] |isbn=4905958474 |ref=ぎふ百山}}
* {{Cite book|和書 |author=草川啓三 |date=2009-06-19 |title=伊吹山案内―登山と山麓ウオーキング |publisher=[[ナカニシヤ出版]] |isbn=9784779503580 |ref=伊吹山案内}}
* {{Cite book|和書 |year=2007 |month=03 |title=自然を読み解く山歩き |author=小泉武栄 |publisher=[[JTBパブリッシング]] |isbn=9784533066498 |ref=自然を読み解く山歩き}}
* {{Cite book|和書 |author= |date=2014-03-18 |title=御在所・霊仙・伊吹 |series=[[山と高原地図]]2014年版 |publisher=[[昭文社]] |isbn=978-4398759726 |ref=山と高原地図}}
* {{Cite book|和書 |author=須田真一、永幡嘉之、中村康弘、長谷川大、矢野勝也 |editor=日本チョウ類保全協会 |date=2012-04-30 |title=日本のチョウ |series=フィールドガイド |publisher=[[誠文堂新光社]] |isbn=978-4416712030 |ref=日本のチョウ (2012)}}
* {{Cite book|和書 |editor=徳久球雄 |date=1992-10 |title=コンサイス日本山名辞典 |publisher=[[三省堂]] |isbn=4-385-15403-1 |edition=修訂版 |ref=日本山名辞典}}
* {{Cite journal |和書 |author=高木朋美、田中俊弘 |title=春日村における薬草仲買人・小寺甚五郎の記録(第1報)「買入帳」と「売上帳」 |journal=薬史学雑誌 |volume=31 |number=2 |naid=10011395132 |date=1996-12-30 |publisher=日本薬史学会 |ref=小寺甚五郎の記録(第1報)}}
* {{Cite journal |和書 |author=高木朋美、田中俊弘 |title=春日村における薬草仲買人・小寺甚五郎の記録(第2報)「売上帳」に記載された地名の考察 |journal=薬史学雑誌 |volume=32 |number=2 |naid=10011395502 |date=1997-12-30 |publisher=日本薬史学会 |ref=小寺甚五郎の記録(第2報)}}
* {{Cite journal |和書 |author=高木朋美、田中俊弘 |title=春日村における薬草仲買人・小寺甚五郎の記録(第3報)「売上帳」に見られる薬草取引量と売上高および品目 |journal=薬史学雑誌 |volume=32 |number=2 |naid=10011395510 |date=1997-12-30 |publisher=日本薬史学会 |ref=小寺甚五郎の記録(第3報)}}
* {{Cite journal |和書 |author=竹内望、角川咲江、武藤恭子 |title=伊吹山頂上の残雪表面の雪氷藻類 |journal=日本雪氷協會雜誌 |volume=73 |number=5 |naid=10029738135 |date=2011-09-15 |publisher=[[日本雪氷学会]] |ref=伊吹山頂上の残雪表面の雪氷藻類}}
* {{Cite book|和書 |author=竹田繁良 |date=2012-03-08 |title=伝承地でたどるヤマトタケルの足跡 尾張・美濃・近江・伊勢 |publisher=[[人間社]] |isbn=978-4931388659 |ref=ヤマトタケルの足跡}}
* {{Cite book|和書 |author=田中澄江|authorlink=田中澄江 |year=1995 |month=6 |title=[[新・花の百名山]] |publisher=[[文藝春秋]] |isbn=4-16-731304-9 |ref=新・花の百名山}}
* {{Cite book|和書 |author=豊国秀夫|authorlink=豊国秀夫 |year=1988 |month=9 |title=日本の高山植物 |series=山溪カラー名鑑 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4-635-09019-1 |ref=日本の高山植物}}
* {{Cite book|和書 |author=日本山岳会|authorlink=日本山岳会 |year=2005 |month=11 |title=新日本山岳誌 |publisher=ナカニシヤ出版 |isbn=4-779-50000-1 |ref=新日本山岳誌}}
* {{Cite book|和書 |date=1997-03 |title=[[日本三百名山]] |publisher=[[毎日新聞社]] |isbn=4620605247 |ref=日本三百名山}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=1992 |month=8 |title=日本の山1000 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635090256 |ref=日本の山1000}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=2005 |month=7 |title=日本百名山地図帳 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4-635-92203-0 |ref=日本百名山地図帳}}
* {{Cite book |和書 |year=1998 |month=12 |title=日本百名山登山案内 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635530175 |ref=登山案内}}
* {{Cite book |和書 |editor=山と溪谷社|date=2011-06-24 |title=日本百名山登山ガイド・下 |series=ヤマケイアルペンガイドNEXT |publisher=山と溪谷社 |isbn= 978-4635013505 |ref=ヤマケイアルペンガイドNEXT}}
* {{Cite book|和書 |editor=山と溪谷社 |date=2007-06-20 |title=花の百名山地図帳 |publisher=山と溪谷社 |isbn=9784635922463 |ref=花の百名山地図帳}}
* {{Cite book|和書 |editor=山と溪谷社 |date=1996-03 |title=花の百名山登山ガイド 下 |edition=改訂第5版 |series=目的別AGビッグフット |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635004899 |ref=花の百名山登山ガイド 下}}
* {{Cite book|和書 |author=深田久弥|authorlink=深田久弥 |year=1982 |month=7 |title=[[日本百名山]] |publisher=[[朝日新聞社]] |isbn=4-02-260871-4 |ref=深田久弥}}
* {{Cite book|和書 |author=深田クラブ |year=1987 |title=[[日本二百名山|日本200名山]] |publisher=昭文社 |isbn=4398220011 |ref=日本200名山}}
* {{Cite book|和書 |author=牧野富太郎|authorlink=牧野富太郎 |date=2008-02-06 |title=植物一日一題 |publisher=[[筑摩書房]] |isbn=978-4480091390 |ref=植物一日一題}}
* {{Cite book|和書 |author=松井志津子 |date=1995-06-16 |title=名古屋から行く 隠れた名山64 |publisher=七賢出版 |isbn=4883042499 |ref=隠れた名山64}}
* {{Cite book|和書 |author=安原修次 |date=2003-08-20 |title=伊吹山の花 |publisher=[[ほおずき書籍]] |isbn=4434033212 |ref=伊吹山の花}}
* {{Cite book|和書 |year=2010 |month=12 |title=山と溪谷2011年1月号付録 |series=山の便利手帳2011 |publisher=山と溪谷社 |pages=|asin= B004DPEH6G |ref=山の便利手帳}}
* {{Cite book|和書 |author=与呉日出夫 |year=2010 |month=7 |title=改訂新版 名古屋周辺の山 |series=週末登山コースの百科事典 |publisher=山と溪谷社 |isbn=9784635180177 |ref=名古屋周辺の山}}
* {{Cite book|和書 |author=吉川幸一 |year=2005 |month=3 |title=こんなに楽しい岐阜の山旅100コース 美濃〈上〉 |publisher=風媒社 |isbn=4833101149 |ref=岐阜の山旅}}
* {{Cite book|和書 |author=吉住友一、田中均、笠井道男、岩田好晃、山中保一 |year=1995 |month=11 |title=鈴鹿を歩く |series=フルカラー特選ガイド |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635170845 |ref=鈴鹿を歩く}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
{{Commons|Category:Mount Ibuki}}
* [[琵琶湖国定公園]]
* [[伊吹山地]]、[[日本百名山]]、[[関西百名山]]、[[ぎふ百山]]、[[一等三角点百名山]]
* [[伊吹山地]]、[[日本百名山]]、[[関西百名山]]、[[ぎふ百山]]、[[一等三角点百名山]]
* [[各都道府県の最高峰]] ([[滋賀県]])、[[金糞岳]](滋賀県 標高第2位の山)
* [[各都道府県の最高峰]] ([[滋賀県]])、[[金糞岳]](滋賀県 標高第2位の山)
* [[新・花の百名山]]、[[薬草]]、[[植物天然記念物一覧#天然記念物|植物天然記念物]](伊吹山頂草原植物群落)
* [[新・花の百名山]][[植物天然記念物一覧#天然記念物|植物天然記念物]](伊吹山頂草原植物群落)
* [[伊吹山ドライブウェイ]]、[[日本自動車道]]
* [[伊吹山ドライブウェイ]]、[[日本自動車道]]
* [[伊吹山スキー場]]、[[奥伊吹スキー場]]
* [[伊吹山スキー場]]、[[グランスノー奥伊吹]]
* [[伊吹おろし]]
* [[伊吹パーキングエリア|伊吹PA]] - [[名神高速道路]]
* [[伊吹パーキングエリア|伊吹PA]] - [[名神高速道路]]
* [[さざれ石]] - [[姉川]] - 旧[[春日村 (岐阜県)]] - [[君が代]]
* [[道の駅伊吹の里]]
* [[石灰岩]]、[[カルスト地形#地表地形|カルスト台地]]、[[住友大阪セメント]]伊吹鉱山
* [[ヤマトタケル]](日本武尊)
* [[滋賀県の観光地]]、[[関西自然に親しむ風景100選]]
* [[滋賀県の観光地]]、[[関西自然に親しむ風景100選]]
* [[伊吹 (巡洋戦艦)]] - [[帝国海軍]]の[[鞍馬型巡洋戦艦]]の2番艦。1909年就役。
* [[伊吹 (巡洋戦艦)]][[大日本帝国海軍]]の[[鞍馬型巡洋戦艦]]の2番艦。1909年就役。
* [[伊吹 (空母)]] - 帝国海軍の空母。1942年起工、未成。
* [[伊吹 (空母)]]:大日本帝国海軍の[[航空母艦]]。1942年起工、未成。
* [[大阪窯業セメントいぶき500形電気機関車]]:[[住友大阪セメント]]が伊吹工場専用線([[東海道本線]][[近江長岡駅]]分岐)で使用していた[[直流電化|直流]]用[[電気機関車]]。同線でのセメント輸送がトラックに切り替えられる[[1999年]]まで使用され、その後[[大井川鐵道]]に譲渡された。


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{Commonscat}}
* [http://tenki.jp/mountain/famous100/point-189.html 登山天気・伊吹山] ([[日本気象協会]])
* [http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=352504&l=1362424図閲覧システム 2万5千分1図名:関ヶ原] (国土地理院
* [https://maps.gsi.go.jp/#15/35.417859/136.406319/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1理院地図(電子国土Web)・地検索「伊吹山」][[国土地理院]]
* [https://tenki.jp/mountain/famous100/6/28/189.html 山の天気・伊吹山]([[日本気象協会]])
* [http://www.ibukiyama-driveway.jp/ 伊吹山ドライブウェイ]
* [http://www.ibukiyama-driveway.jp/ 伊吹山ドライブウェイ]
* {{Cite web|和書|url=http://www.jpnrdb.com/search.php?mode=key&q=%A5%A4%A5%D6%A5%AD |title=日本のレッドデータ検索システム・イブキ |publisher=エンビジョン環境保全事務局 |accessdate=2014-06-23}}
* [https://gakuen.gifu-net.ed.jp/~contents/kou_seibutu/flora/ibuki/index.htm 伊吹山(高校地学コンテンツ)]岐阜県
* [http://www.mkb.co.jp/ 名阪近鉄バス] 山頂行きバスの時刻も掲載
* [http://www.mkb.co.jp/ 名阪近鉄バス] 山頂行きバスの時刻も掲載
* [http://heartland.geocities.jp/taizankan/ 伊吹山頂対山館]
* {{Wayback|url=http://heartland.geocities.jp/taizankan/ |title=伊吹山頂対山館 |date=20100503061221}}
* [https://www.ds-j.com/nature/ibuki/ 伊吹山ネイチャーネットワーク]山の情報が満載
* {{Kotobank}}


{{日本百名山}}
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[[Category:山岳名目録]]
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[[Category:ヤマトタケル伝説]]
[[Category:1000メートル峰]]
[[Category:県境]]

2024年9月25日 (水) 07:13時点における最新版

伊吹山
新観音坂トンネル東詰から撮影した伊吹山(2022年8月7日)
滋賀県米原市・長浜市境からの眺め(2022年8月7日)
標高 1,377.31[1] m
所在地 日本の旗 日本
滋賀県米原市
岐阜県揖斐郡揖斐川町不破郡関ケ原町
位置 北緯35度25分04秒 東経136度24分23秒 / 北緯35.41778度 東経136.40639度 / 35.41778; 136.40639座標: 北緯35度25分04秒 東経136度24分23秒 / 北緯35.41778度 東経136.40639度 / 35.41778; 136.40639[2]
山系 伊吹山地[2]
種類 堆積岩(石灰岩
伊吹山の位置(日本内)
伊吹山
伊吹山の位置
プロジェクト 山
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岐阜県大垣市から望む冬の伊吹山

伊吹山(いぶきやま、いぶきさん[3])は、滋賀県岐阜県県境を南北に走る伊吹山地の主峰(最高峰)である、標高1,377 m[4]。伊吹山自体は滋賀県側は米原市、岐阜県側は揖斐郡揖斐川町不破郡関ケ原町に属し、一等三角点が置かれている山頂部は米原市域にある[1]滋賀県の最高峰であり、山域は琵琶湖国定公園に指定されている[5]

概要

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山頂にある日本武尊の石像

古くから霊峰とされ、『古事記』『日本書紀』においてはヤマトタケル(日本武尊)が東征の帰途に伊吹山の神を倒そうとして返り討ちにあったとする神話が残されている[6]日本百名山[7]新・花の百名山[8]一等三角点百名山[9]関西百名山[10]、近畿百名山、ぎふ百山[11]の1つに選定されている。滋賀県、岐阜県、愛知県三重県の多くの学校の校歌で「伊吹山」に関する語句が歌われている[12][注釈 1][13]

山名

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『日本書紀』では「五十葺山」[6]、『古事記』では「伊服阜能山」と記されている[14][15]。ほかにも「伊吹山」や「伊吹」の別表記として「膽吹山[3]」「伊服阜山[3]」「伊夫阜山[3]」「伊福貴[16]」「異吹[16]」「伊布貴[16]」「伊夫伎[16]」などがある。また、かつて修験道においては「大乗峰」と呼ばれていた[4]

「伊吹山」は一般的に「いぶきやま」と読まれ、国土地理院に登録されている山名も同様であるが、一部では「いぶきさん」とも呼ばれる[3]。滋賀県内では伊吹山に近い地域(米原市の旧伊吹町など)では「いぶきやま」、伊吹山から遠い地域になるほど「いぶきさん」と呼ぶ傾向があるとされ[17]美濃地方(岐阜県南部)や尾張地方(愛知県西部)でも「いぶきさん」と呼ばれることがある[18]

人間とのかかわり

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山頂の伊吹山寺山頂本堂、その左に伊吹山之神「白猪」の像

古くから神が宿る山として山岳信仰の対象であった。室町時代後期には織田信長により、山上に野草園が造られたとされている[7]明治以降に近代登山の対象となった[19]大正時代には中山再次郎により、関西からスキーに訪れる山として注目されるようになった[19]。1964年(昭和39年)に深田久弥により日本百名山に選定されると、百名山ブームもあり全国的に登山対象の山として知名度も高まった[19]。1965年(昭和40年)に伊吹山ドライブウェイが開通すると、9合目まで容易に上がれるようになり山頂部は観光地化した。

伊吹神の信仰

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伊吹2神の神階
伊夫伎神社
近江国坂田郡
伊富岐神社
(美濃国不破郡)
850年 従五位下
852年 官社指定
859年 従五位下
→従五位上
865年 従五位下
→従四位下
877年 正四位下
→従三位
従四位下
→従四位上
神名帳
一宮制 美濃国二宮

伊吹山の神は「伊吹大明神」とも呼ばれ、『古事記』では「牛のような大きな白猪」、『日本書紀』では「大蛇」とされていた[20]。『古事記』にはヤマトタケル(日本武尊)がこの伊吹大明神と戦って敗れる物語がある。伊吹山の神に苦しめられて敗れたヤマトタケルは病に冒されて山を下り、居醒の泉(米原市醒井平成の名水百選の一つに選定されている「居醒の清水」[21])で少し回復したものの、のちに悪化して亡くなったとする伝説が伝えられている[22][23]。山頂部にはその日本武尊の石像と[24]、伊吹山の神の白猪の像が設置されている。表登山道の三合目西側の「高屋」と呼ばれる場所はヤマトタケルが山の神に出会った場所とされていて、大正時代に石のが建立され、その中に木造の日本武尊が祀られた[25]

また文献によれば、古代には近江国美濃国の両国で伊吹神が祀られたことが知られる[26]国史では両神に対する神階奉叙の記事が散見され、中央にも知られる神であった[26]。両神は、『延喜式神名帳においてもそれぞれ「伊夫伎神社」「伊富岐神社」として記載されて式内社に列しているほか、美濃の伊富岐神社は美濃国内において南宮大社(一宮)に次ぐ二宮に位置づけられた[27]。現在も近江の神社は伊夫岐神社(滋賀県米原市伊吹)として、美濃の神社は伊富岐神社(岐阜県不破郡垂井町岩手)として祭祀が継承されている。

創祀については美濃地方の豪族の伊福部氏との関係を指摘する説があるが[27]、複雑な創祀の事情を想定する説もある。『日本書紀』において伊吹山の神は龍蛇体とされるが、伊夫岐神社では八岐大蛇を祭神とする説があり、酒吞童子を伊吹山の八岐大蛇の子とする物語もある。また、『近江国風土記』において伊吹山の神である多多美彦命は霜速比古命の子であるとされる。

山岳宗教と伊吹山寺

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伊吹山8合目西にある伊吹山寺を開いた三修が修行を行った行導岩

神道だけでなく、日本の仏教修験道においても、信仰の対象や修行の場とされた。役小角が伊吹山に登り、弥高寺と大平寺を建立したと伝えられている[28]白山を開山した泰澄は、この山に分け入り白山信仰を伝えた[28]9世紀に伝わった密教と結びついて修験の場として、多くの寺院が山中に建立されるようになった[29]851-854年仁寿年間)に三修により、伊吹山の南側の中腹の尾根上に山岳寺院の弥高寺が建立されたことが『日本三代実録』に記録されている[29]。三修(さんじゅ)により山上と山麓に山岳寺院が建立され、江戸時代まで山岳修行の山とされていた[28]。弥高寺は伊吹山寺と呼ばれる定額寺の中心となる一つで、伊吹四大寺として他に大平寺、長尾寺、観音寺が建立され[29]、のちに伊吹護国寺となった[4]鎌倉時代には修験者が多く入山して一時は数百の堂房が山中に建ち隆盛したが、戦国時代に兵火でほとんどが焼失し、現存せずその地名が残されている[4]。弥高寺は戦国時代に京極氏浅井氏により城郭の一部として改造され、1512年(永正9年)に兵火に遭い、その後、麓に坊舎が移された[4][29]円空は伊吹山の太平寺に暮らし、平等石(行道岩)で修行を行い、木彫仏を残している[30]。大平寺集落は1963年(昭和38年)のサンパチ豪雪(昭和38年1月豪雪)で交通が断絶するなどの被害を受けたため、集落全14戸の総意で廃村を選択し、土地を大阪セメントに売却して麓に移住、円空作の十一面観音も移住先に建てられた大平観音堂に移された[31]。大平寺の中之坊跡などがまだ削られずに残っているが、住友大阪セメントの社有地であるため立ち入りはできない。「弥高寺跡」は2004年(平成16年)2月27日に、国の史跡に指定された[32]

年表

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  • 673年:天武天皇により麓に三関の一つである不破関が置かれる。
  • 平安時代:日本七高山(近畿地方にある7つの霊山)の一つに数えられる[4]
  • 712年(和銅5年):『古事記』の景行天皇記に、伊吹山にまつわる日本武尊の伝説が記される[6]
  • 851-854年(仁寿年間):伊吹山の南側中腹の尾根上に山岳寺院の弥高寺が建立された[29]
  • 1558年(永禄元年):この年から1570年(永禄13年)の間に、織田信長が南蛮人から入手した薬草を栽培する菜園を伊吹山に作らせる[7]。その菜園には、ポルトガル人が自国で用いていた約3,000種のハーブが移植されたといわれている[33]
  • 明治末年:川崎義令が千種類に及ぶ薬草を採取する。
  • 1912年(大正元年)10月 - 山頂の弥勒堂近くに礎石を築き、現代にも残る日本武尊の石像が供養される。
2010年まで山頂にあった伊吹山観測所
  • 1919年(大正8年)8月1日:山頂に設置された伊吹山観測所が気象観測を開始。この観測所の建設時には、周辺で古刀や古銭が発掘された[4]
  • 1927年(昭和2年)2月14日:昭和2年豪雪により11.82mの積雪量が観測され、世界山岳気象観測史上1位となる。
  • 1929年(昭和4年)5月1日:山頂の観測所が国営の気象庁付属伊吹山測候所となる。
  • 1950年(昭和25年)7月24日:山腹周辺が琵琶湖国定公園の特別保護地区に指定される[5][34]
  • 1952年(昭和27年)6月:大阪セメント伊吹工場が石灰岩の伊吹鉱山の操業を開始。
  • 1957年(昭和32年)1月11日:近江鉄道伊吹山スキー場を開業[35]
  • 1965年(昭和40年)7月1日:伊吹山ドライブウェイが全線の供用を開始し、以降はマイカー利用による観光客が増加する[14]
  • 1967年(昭和42年)3月17日:岐阜県が、岐阜県側の山域を県立伊吹自然公園に指定[36]
  • 1998年(平成10年)3月:伊吹山文化資料館が開設された[37]
  • 2001年(平成13年)3月31日:伊吹山測候所の観測が終了(跡地は2010年に撤去されて更地化された)。
  • 2003年(平成15年)7月25日:伊吹山頂草原植物群落が、国の天然記念物に指定される[38][39][40][38]
  • 2009年:伊吹山スキー場が、積雪量の減少と運営会社の都合を理由に営業を休止。
伊吹山表登山道の登山口(米原市上野)に設置された入山協力金受付
  • 2010年(平成22年)
    • 7月1日:日本郵政公社が、オリジナルフレーム切手「Mt.IBUKI 2010」および「伊吹山からの花便り」を発売する[41]
    • 7月24日:伊吹山ゴンドラが廃業[42]
    • 10月13日:皇太子徳仁親王が麓の上野登山口から登頂。
    • 伊吹山スキー場のスキー用リフトなどが撤去され、スキー場が閉鎖される[43]
  • 2014年(平成26年)5月1日:入山料金制度を試験導入(1人300円)[注釈 2][44][45]
  • 2022年(令和4年):資生堂が伊吹山保護活動を開始[46]。同社は2018年より、伊吹山山麓に原料開発を目的とした薬草園を設立している。
  • 2023年(令和5年)7月12日令和5年7月豪雨により登山道(上野登山口ルート)が崩落。13日より通行止となる[47]

気候

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伊吹山は冬に日本海側からの季節風の通り道となり、濃尾平野では、冬季に北西の方角から吹く季節風を「伊吹おろし」と呼ぶ[48]亜寒帯湿潤気候で雪も非常に多く、1927年2月14日には世界最深積雪記録となる積雪量1182cmを記録しており、現在でもこの記録は破られていない。また、旧平年値(1971-2000)における月別平均気温は北海道稚内市とほぼ同じ値となっている[49]。以下、データは2001年3月31日に観測を終了した伊吹山測候所の記録である。

伊吹山(標高1375.8m、平年値1971-2000年)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 9.9
(49.8)
10.8
(51.4)
14.6
(58.3)
22.1
(71.8)
23.5
(74.3)
25.4
(77.7)
27.6
(81.7)
29.2
(84.6)
28.8
(83.8)
21.4
(70.5)
18.3
(64.9)
13.8
(56.8)
29.2
(84.6)
平均最高気温 °C°F −2.8
(27)
−2.6
(27.3)
1.2
(34.2)
8.6
(47.5)
13.3
(55.9)
16.3
(61.3)
20.0
(68)
21.1
(70)
17.5
(63.5)
12.2
(54)
6.5
(43.7)
0.2
(32.4)
9.3
(48.7)
平均最低気温 °C°F −7.4
(18.7)
−7.8
(18)
−4.7
(23.5)
1.3
(34.3)
6.2
(43.2)
11.1
(52)
15.1
(59.2)
15.9
(60.6)
12.2
(54)
6.1
(43)
0.7
(33.3)
−4.6
(23.7)
3.7
(38.7)
最低気温記録 °C°F −16.3
(2.7)
−16.5
(2.3)
−15.9
(3.4)
−10.0
(14)
−5.6
(21.9)
0.3
(32.5)
6.5
(43.7)
7.6
(45.7)
3.2
(37.8)
−3.6
(25.5)
−9.9
(14.2)
−14.7
(5.5)
−16.5
(2.3)
降水量 mm (inch) - - - 134.6
(5.299)
166.2
(6.543)
279.7
(11.012)
315.2
(12.409)
217.1
(8.547)
253.7
(9.988)
142.3
(5.602)
90.4
(3.559)
- -
出典1:伊吹山気温[50]
出典2:気象庁[51]

地質

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西側の琵琶湖上空方面から望む伊吹山

伊吹山は約3億年前に噴火した海底火山であったとされている[52]ウミユリフズリナ化石が発見されたことから、地層には約2億5千年前の古生代に海底に堆積した層が含まれていると考えられている[4][15]。その時期にサンゴ礁が形成されたことで石灰質の地層が堆積した。中腹より上部は、古生代二畳紀に形成された石灰岩が広く分布している[38]。山頂部では、カレンフェルトや巨大な石灰露岩などのカルスト地形が見られる[38][53]石灰岩には塊状の亀裂が多く、水透しが良く表土は乾燥し易い[38]。現在は良質の石灰岩が採掘される山として知られている。

山麓は湧水の里としても知られている[54]。石灰岩層は山肌に降った雨などを浸透させ、伊吹山の山麓には石灰岩層から抽出されたカルシウム分などミネラルを多く含む湧水が豊富である。このうち、泉神社 (米原市)の湧水は名水百選の一つに選ばれている。醒井宿にある居醒の水が平成の名水百選に選ばれたほか、「春照の泉(臼谷の湧水)」が知られている。南西山麓にある米原市上野の伊吹山の登山口には「ケカチの水」と呼ばれる湧水がある。山頂の弥勒堂へ向かう山岳行者が身を清めた場所とされていた。

生物

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高山植物を含めて植生豊かな山であるが、ニホンジカによる食害が深刻化しており、土砂崩れも誘発している[55]

植物

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標高が低い山であるが、石灰岩層の山であることと地理的な環境条件などの要因で植物相が豊かで植物研究に貴重な山とされ[15]牧野富太郎らの多くの植物学者や採薬師により調査がなされている[56][57]。日本では高尾山に次いで、藤原岳と共に2番目に植物の種類が多い山であるとする調査結果がある[58]。山麓から山頂にかけて様々な野草の群生地があり、コイブキアザミ Cirsium confertissimum などの9種の固有種がある[34][注釈 3]。高山の高茎草原に見られる種も自生していて、おもなものとしてオオバギボウシカノコソウキバナノレンリソウクガイソウ、シシウド、シモツケ、シモツケソウ、ニッコウキスゲハクサンフウロメタカラコウ、ユウスゲ、ルリトラノオなどがある[59]。頂上の残雪表面では雪氷藻類が確認されている[60]

伊吹山頂草原植物群落(シモツケソウとメタカラコウなどが開花した夏)

山頂部では樹木の生育が抑えられて高木が少なく、日本では数少ない北方性の高山植物または亜高山性植物の植物が分布する山地草原が発達している[61][注釈 4][38]。約300種の温帯性および亜高山性の草木の群生地となっていて、近畿地方以南では他に例がない。地層形成年代が古いことと高山的な気象条件になることから、伊吹山の固有種を産出している[57][61]。日本で分布の西南限となっている種が多数ある[57]。日本海要素の植物が多い[57][61]。石灰岩地を好んで生育する植物が多い[57][61]。西日本に分布する南方要素(襲速紀要素)の植物が北上してきている[57][61]。多くの薬草(民間薬草が230種ほど、局方薬草19種)が分布し[62]イブキカモジグサキバナノレンリソウ[注釈 5][63]イブキノエンドウのように、ヨーロッパを原産とする雑草が生育しているが、これらは、織田信長ポルトガル人宣教師の希望を聞き入れ、伊吹山に土地を与えてハーブガーデンを作ったときに、ヨーロッパから持ち込まれたハーブに紛れて入ってきたと推測されている[15][33][64]。オオバギボウシとメラカラコウ群落、オウバギボウシとショウジョウスゲ群落、サラシナショウマ群落、フジテンニンソウ群落、シモツケソウ群落、アカソ群落、岩場のイブキジャコウソウ群落、チシマザサ群落などが草本植物群落の季節ごとのお花畑となる[57]。2003年(平成15年)7月25日に、「伊吹山頂草原植物群落」が、代表的高山植物帯、特殊岩石地植物群落、著しい植物分布の限界地であることなどにより、国の天然記念物に指定された[39][40][38]。周囲の木本植物群落としては、イブキシモツケ群落、オオイタヤメイゲツミヤマカタバミ群落、ブナオオバクロモジ群落などがある[57]

上野からの登山道の3合目の草原にはユウスゲの群生地があり、ニホンジカなどによる食害対策として防護ネットが設置され、観察路などが整備されている[65]。2013年(平成25年)から7月下旬に、その群生地で「ユウスゲ祭り」が開催されている[65]。このユウスゲの群生地付近はオカメガハラと呼ばれ、春から秋にかけて70種ほどの草花が生育している。またその北側の3合目公衆トイレ周辺では100種ほどの草花が生育している。2009年(平成21年)から西山麓の姉川左岸の米原市大久保地区周辺にはセツブンソウ、キバナノアマナなどの群生地があり、春先に「セツブンソウふれあい祭り」が開催されている[66]

山麓は針葉樹広葉樹地帯で、三合目から上部は草地となり、1,700を超える多くの植物が分布している[6][67]

山頂部の高山植物または亜高山性植物
イブキトラノオメタカラコウマルバダケブキニッコウキスゲサンカヨウキオンコキンバイノビネチドリなど
分布の西南限となっている種:イブキフウロエゾフウロ[68]グンナイフウロハクサンフウロキンバイソウ[69]イワシモツケヒメイズイイブキソモソモ[70]など
日本海側要素の植物
イブキトリカブトオオカニコウモリオオヨモギスミレサイシンザゼンソウハクサンカメバヒキオカコシミヤマイラクサエゾユズリハハイイヌガヤタムシバなど
伊吹山の固有種
コイブキアザミイブキアザミルリトラノオイブキコゴミグサイブキレイジンソウコバノミミナグサ[71]イブキヒメヤマザミイブキハタザオイブキタンポポ
石灰岩地を好んで生育する植物
イチョウシダクモノスシダヒメフウロイワツクバネウツギイブキコゴメグサキバナハタザオクサボタンなど
南方要素の植物
ギンバイソウミカエリソウカキノハグサなど

「イブキ」を冠する和名の種

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イブキトラノオのように最初に伊吹山で発見されたことから、和名に「イブキ」を冠する種が多数ある[72]。イブキアザミ、コイブキアザミ、イブキコゴメグサ[73]イブキジャコウソウイブキスミレ[74]イブキトラノオイブキフウロイブキトリカブト[75]、イブキレイジンソウといった20種以上のイブキを冠する種の植物が自生している[59][76][77]田中澄江が著書『新・花の百名山』で伊吹山を代表する花の一つとして、イブキジャコウソウを紹介した[8]

このうち、以下の種は環境省ならびに岐阜県庁滋賀県庁で、レッドリスト絶滅危惧II類(Vulnerable, VU)あるいは準絶滅危惧(Near Threatened, NT)に指定されている[78]

  • 絶滅危惧II類・VUの種
    • 環境省:イブキコゴメグサ、イブキトボシガラ、コイブキアザミ
    • 岐阜県:イブキコゴメグサ、イブキフウロ、イブキレイジンソウ
    • 滋賀県:イブキスミレ、イブキレイジンソウ
  • 準絶滅危惧・NTの種
    • 環境省:イブキレイジンソウ
    • 岐阜県:イブキアザミ、イブキジャコウソウ、イブキボウフウ、コイブキアザミ
    • 滋賀県:イブキボウフウ

動物

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石灰岩の山であることからカタツムリが多い。哺乳類では、ツキノワグマニホンジカニホンカモシカイノシシニホンアナグマニホンノウサギなどが生息する[79][80]鳥類では、草原などに生息するカッコウツツドリウグイスホオジロや、ヤマドリキジアオゲラアカゲラカケスオオルリキビタキシジュウカラヤマガラトビイヌワシなどの猛禽類などが生息する[81][80]。花にはイチモンジセセリ[82]ウスバシロチョウ[83]ウラギンヒョウモン[84]キアゲハ[85]スジボソヤマキチョウ[86]などのを含む多くの昆虫が集まる。

産業

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鉱業

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伊吹山の石灰岩は、古くは漆塗りの原材料に用いる消石灰として1661年ごろには開発されていたが[35]近代コンクリートセメント需要の急増により大量に採掘されてきた。1949年に近江鉱業が伊吹山に弥高採鉱場を開き[87]、1951年に住友大阪セメント伊吹工場が開発工事に着手する[88]など、大規模に採掘が進められ、南西の稜線は山容が変貌するまでに大きく削り取られた[35]。1971年からは住友大阪セメント伊吹工場によって南西斜面の緑化活動が始められ、2003年に同社が滋賀鉱産株式会社に事業を引き継いだ現在も続けられている[89]。鉱山としては現在も近江鉱業および滋賀鉱産が稼行している。

薬草

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歌川広重『木曽海道六十九次之内 柏原』。亀屋左京の店が描かれている。

伊吹山は薬草の宝庫として[53][67]、古くから利用されていた[90]ヨモギトウキセンキュウが「伊吹三大薬草」とされている[90]。さらに多くの植物を配合して「伊吹百草」の名で百草茶や入浴剤などが周辺の山麓で生産されていた[90]

山麓では約280種の薬草が生え、揖斐川町春日川合の古屋地区では昔から薬草を生活の糧にして生きてきた[91]。薬草仲買人の小寺甚五郎により薬草の買入帳と売上帳が残され、売買された薬草の品目と取引量などが記録されている[92][93][94]

お灸で用いられるもぐさとして「伊吹もぐさ」が知られている[15]。滋賀・岐阜県境の伊吹山は記紀にも登場するが、モグサあるいはヨモギとの関連で記述されるようになるのは織田信長の時代のこととされる[95]。『南蛮寺物語』(1768年)や『本朝医談』(1822年)によれば、信長は永禄あるいは元亀年間(1570年前後)にポルトガル宣教師フランソワー・カブラルの請願により江州(近江国)の伊吹山に薬草園を開いたという[95][96]。なお、古典文学でヨモギの古名またはもぐさのことを指す「さしもぐさ」「させもぐさ」の枕詞として数多く登場する伊吹山の場所については議論がある[97][96]。諸説あるが、多数説によると和歌に詠まれたこれらの伊吹山は下野国伊吹山栃木市)であるとされ、能因法師は『坤元儀』で、契沖は『勝地吐懐編』で下野国の伊吹山であるとしている[95][96]。区別のために滋賀・岐阜県境の伊吹山は近江伊吹山あるいは江州伊吹山、栃木県の伊吹山は下野伊吹山と称されたが、いずれも近隣に「しめじが原」という名の土地があり山岳仏教など何らかの宗教的介在の存在(修験者によって下野から近江に伝えられた)があるとする見方もある[95][96]。滋賀県と岐阜県にまたがる伊吹山がヨモギの産地となるのは江戸時代からとされる[98]

元禄4年(1691年)の磯貝舟也『日本賀濃子(日本鹿子)』は近江の産物として「伊吹蓬艾」を記している[95]

貝原益軒の『大和本草』は近江と下野の両方のものを取り上げており、江州膽吹山と下野標茅原の艾を挙げている[95]。また、近松門左衛門浄瑠璃『狩剣本地』には伊吹モグサの功能を述べる条がある[95]

江戸時代後期には近江商人亀屋左京を商い、江戸吉原遊女に「江州柏原、伊吹山の麓の亀屋左京の切り艾」と言う歌を教え込み、歌の流行につれ伊吹艾(いぶきもぐさ)の名が全国に広まるようになった。滋賀県米原市柏原宿には、最盛期には10軒以上の艾屋があった[90]。文化2年(1805年)刊行の『木曽路名所図会』にも柏原宿の説明として「此駅は伊吹の麓にして名産伊吹艾の店多し」との記述がみられる。歌川広重の「中仙道(木曽海道)六十九次」の六十一次柏原宿はモグサ屋の店頭風景の画だが、この店は合名会社亀屋佐京商店として営業を続けている[90][95]

滋賀県米原市の山麓には、薬草を利用した温泉施設がある[99]

また、山麓には薬草に関する以下の施設がある。

知られている薬草に以下の植物がある。

イブキジャコウソウウツボグサオオヨモギオトギリソウカキドオシカワミドリゲンノショウコシシウドセンブリドクダミミヤマトウキリンドウなど[90]

1998年(平成2年)、伊吹山麓周辺の自治体により「伊吹山薬草サミット」が設立された。薬草のヤクの語呂合わせとして毎年8月9日に、サミット会議およびオープンサミットが開催されている[102]。会場周辺において構成市町村の薬草を利用した物産販売を実施するなどの事業が行われている[102]。参加自治体は、岐阜県大垣市、養老町、上石津町、関ヶ原町、揖斐川町、大野町、池田町および滋賀県米原市、長浜市で、伊吹山薬草サミット実行委員会の事務局は、大垣市経済部農務課内に置かれている[102]。初回は1998年に、伊吹山の東山麓の薬草の生産地である揖斐川町春日六合の「さざれ石公園」で開催された[102]

登山

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伊吹山の風景と植物

明治以降に近代登山の対象となった[19]。伊吹山の麓は古くから交通の要衝であったため交通の便が良く、中京圏京阪神からも日帰り登山が行われている。1965年には伊吹山ドライブウェイが開通してバスや自家用車で9合目まで訪れることができるようになり、山頂を訪れる観光客が増加した。7-8月には山頂でご来光を迎える夜間登山者もある[24][103][104]。登山適期は4月から11月中旬頃までで、冬は積雪量が多くラッセルが必要となり、強風で厳しいルートとなる場合がある[103][105]。1915年(大正4年)3月に、中山再次郎が積雪期に登頂した[106]。2014年には、伊吹山入山協力金徴収施設が設置された。

登山ルート

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5合目から山頂へと続く上野登山道
6合目避難小屋と訓練中の滋賀県防災ヘリコプター(琵琶、AS365
9合目から望む弥高尾根と上平寺尾根(左)、上野登山道(右)、遠景は鈴鹿山脈
笹又から静馬ヶ原へ向かう登山道
御座峰から望む伊吹北尾根の登山道、右奥に伊吹山
表登山道
南東山麓の米原市上野から南西斜面のスキー場跡地を経由して山頂に至るルートである。年間、約30,000人の利用者がある[35]。登山口のすぐ近くにバス停があり[107]登山届記入提出場所がある。かつては伊吹山ゴンドラを利用してロープウェイで3合目まで上がることもできたが、2010年にて廃業されたため、現在ロープウェイの利用は不可能である[42]。このルートの一部にもなっている滋賀県道268号伊吹山上野線は3合目まで自動車が通行できるように整備されているが、一般車両の通行は禁止されている。3合目から5合目まではスキー場跡地を登り、夏期はキャンプ施設や休憩施設、売店小屋が営業している。5合目から9合目にかけては次第に急勾配となり、つづら折れの登山道が続く[108]。このルートは下部の植林地の樹林帯を除き全般的に谷間や森を通らないため、展望は開けるが日差しを遮るものがない[103]。9合目から山頂部にかけてはロープが張られたお花畑の遊歩道が整備されている[109]
弥高尾根(やたかおね)道
米原市弥高から南の尾根を登るルートで[110]、三角点「城跡」(標高838.7 m)から先は、はっきりしない道となる[111]。標高900m付近からトラバースして上野登山道の5合目に合流する[112]
上平寺尾根(じょうへいじおね)道
米原市上平寺から弥高尾根の東にある尾根を上り、三角点「城跡」で弥高尾根に合流する[110][113]。登道上には上平寺城本丸跡の草地の広場がある[114]。弥高尾根と上平寺尾根が合流した先は、山頂まで延びる中尾根と呼ばれる尾根があり、かつては山頂に至る道があったとされている[115]。中尾根の途中から川戸谷を横切って南東尾根から笹又に至る横がけ道があったことが『伊吹町史』に記録されている[115]
北尾根コース(伊吹北尾根縦走路)
伊吹山山頂の北側で岐阜県と滋賀県の県境をなす尾根は伊吹北尾根と呼ばれている[116]。笹藪と雑木に覆われていて歩行困難であったが、大垣山岳協会の延べ1,000人程の会員により、1960年(昭和35年)から3年がかりで藪などが切り開いて伊吹山ドライブウェイの北尾根登山口から国見峠に至る、伊吹北尾根縦走路が開設された[117]。大垣新道と呼ばれることもあり毎年麓の揖斐川町春日の人々による整備が行われている[118]。御座峰の山頂にはこの縦走路開削を記念して、1999年(平成11年)10月に大垣山岳協会により記念の案内板が設置された[118]。ただし、伊吹山ドライブウェイは自動車専用道であるため、伊吹山の山頂へ歩いて行くことはできない[107][108]
笹又登山道
岐阜県揖斐川町春日川合のさざれ石公園から静馬ヶ原で伊吹北尾根に合流するルートである[119]。薬草などが栽培されている農地の周囲には鹿などによる害獣対策として防護柵が設置され、登山者用の出入り口の扉がある。上部は伊吹山ドライブウェイと並行するトラバース道となり、北尾根で「静馬ヶ原」と呼ばれるコルに至る[120]

山小屋と施設

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山頂の売店を兼ねた山小屋
商品、生活必需品を運ぶトロッコ
山小屋

山頂には5軒の売店が営業していて、季節によっては一部の店が日中の売店営業だけでなく夜間登山の仮眠所(収容人数350人)として開いている[67][121]。営業期間外は閉鎖される[121]。山頂から日の出を迎えるために夜間登山も盛んに行われ、週末の深夜などは登山者が携行する電灯が山肌に列をなして見られることがある。上野からの登山道の3合目には自生する山野草の観察路が設置され、5合目には売店、自動販売機、休憩所があり[注釈 6][122]、6合目には米原市により避難小屋が設置されている。3合目には、伊吹高原ホテルの建物があるが営業されていない。山頂部にある伊吹山寺のお堂は、冬期に緊急避難場所として一部が開放されることがある。山頂一帯はテント泊などのキャンプが禁止されている[108]。山頂の一等三角点の近くには伊吹山測候所があったが、2001年に観測業務を終了し、2010年に撤去された。

観光

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山頂部から望む伊吹山ドライブウェイとその上平寺越駐車場
毎年開催されている山岳マラソンの夢高原かっとび伊吹(5合目登山道の様子)
岐阜県揖斐川町のさざれ石公園にある岐阜県の天然記念物「笹又の石灰質角礫巨岩」

麓から山頂直下に至る伊吹山ドライブウェイが、ドライブの自家用車や観光バス路線バスなどにより利用されている。終点の駐車場からは、山頂部の自然庭園のお花畑をめぐる遊歩道が整備され、山頂部には売店群がある。

伊吹山ドライブウェイ
岐阜県関ケ原町から東尾根を登って9合目まで至る有料道路で、9合目には500台以上を収容できる駐車場のほか、展望設備や飲食店、売店を営業している。この道路を利用した自転車ヒルクライム競技も行われている。山上で猛禽類などの野鳥観察のために利用されることもある。2013年に終点駐車場の観光施設が建て替えられて、スカイテラス伊吹山の展望台が設置された。積雪期には営業を休止し閉鎖される。
山頂遊歩道
山頂周辺には高山植物を含む野草群落が花畑として保護されており、夏季には色とりどりのお花畑となる[15]。伊吹山ドライブウェイ終点の駐車場からは遊歩道が整備されている。遊歩道は3本が整備されていて、20分ないし40分程度で山頂に到達できる[123]。年間約30万人の利用者がある[35]
伊吹山文化資料館
南西山麓の滋賀県米原市春照77に、1998年(平成10年)3月に、伊吹山地とその山麓の自然と文化を主なテーマとした「伊吹山文化資料館」が開設された[37]
伊吹薬草の里文化センター
南西山麓の滋賀県米原市春照37に「伊吹薬草の里文化センター」(ジョイ伊吹)の複合施設が開設されている[124]。薬草の古い歴史をもつ旧伊吹町により、前庭に野草園が開設されている。生涯学習センター、図書室、ジョイホール、グロウブステージ、薬草湯などの施設がある。薬草湯の入浴施設には露天風呂があり、北東に伊吹山を望むことができる。
夢高原かっとび伊吹
毎年8月下旬の日曜日に、山岳マラソン大会の「夢高原かっとび伊吹」が開催されている[125]。滋賀県米原市にある伊吹薬草の里文化センターを起点として、伊吹山の頂上をゴールとする約10kmのコース。前半のスタート地点から一合目までは舗装路(約4.5 km)で、後半の一合目から山頂までは登山道(約5.5 km)、高低差(1,197 m)。約1,000人ほどが参加している。
伊吹山パラグライダースクール
上野からの伊吹山登山道の1合目上部の旧伊吹山スキー場のゲレンデが、パラグライダー発着場として利用されている[35]。1合目に事務所を構え、パラグライダーの講習や体験飛行を行っている。2009年10月4日には乱気流が原因と考えられる[要出典]墜落事故が2件発生し1人が死亡した[126]
さざれ石公園
東山麓の揖斐川町にあり、日本の国歌君が代』にも詠まれるさざれ石が伊吹山で採掘されると説明している[127]。1977年(昭和52年)11月18日に、西山腹の岐阜県揖斐郡揖斐川町の「笹又の石灰質角礫巨岩」(重さ約50 t)が、岐阜県の天然記念物の指定を受けた[128]。伊吹北尾根の登山口となっている。
伊吹山スキー場
伊吹山は関西地方でのスキー発祥の地として知られている[129]。1916年(大正5年)春に中山再次郎が関西地方で初めてとなるスキー大会を伊吹山で開催し、3合目には関西地方のスキー普及尽力した中山再次郎[130]の胸像が建てられている[106]。古くから近江鉄道が南斜面で伊吹山スキー場を運営していた。年間約30,000人の利用者があった[35]。2005年に撤退し譲渡され「ピステジャポン伊吹」として再開したものの、2008年から休業し、その後リフトは撤去されスキー場は閉鎖された。

地理

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伊吹山から望む養老山地鈴鹿山脈、これらに囲まれた関ケ原町中心部などは狭小地となり、歴史的にも交通の要衝となっている。

伊吹山は本州のほぼ中央にあり、若狭湾伊勢湾に挟まれた、狭まった地理に位置する[131]。伊吹山と南の養老山地鈴鹿山脈に挟まれた南山麓の関ケ原は、歴史的にも東国西国との関門として交通の要衝となっている[28]

伊吹山地

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両白山地(越美山地)の南端の三国岳(福井県、岐阜県、滋賀県との県境)から伸びる尾根を中心とした伊吹山地の最高峰[6][131]。半独立峰で、伊吹山地の最南端に位置する[38]。山頂からは360度にわたって遠方を見渡すことができ、琵琶湖白山御嶽山濃尾平野などが展望できる。南東の濃尾平野からは伊吹山を望むことができ、多くの学校の校歌で歌われている。

伊吹北尾根

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北側の国見峠へ延びる稜線上の御座峰、大禿山、国見岳をつなぐ尾根は、「伊吹北尾根」と呼ばれている[105]

南側の静馬ヶ原方面から望む伊吹北尾根(左から国見峠、国見岳、大禿山、御座峰)
山容 名称 標高
(m)
三角点等級
基準点名[1]
伊吹山からの
方角と距離(km)
備考
南側の大禿山から望む国見岳(2014年5月27日) 国見岳 1,126 北北東 5.0 国見岳(同名の山)
南側の御座峰方面から望む大禿山(2014年5月27日) 大禿山 1,083 北北東 4.3 (おおはげやま)
南側の静馬ヶ原方面から望む御座峰(2013年6月16日) 御座峰 1,070.04  三等
「板波」
北北東 3.8 (ござみね)

周辺の主な山

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南側の天野川牧田川を挟んで、鈴鹿山脈養老山地が対峙している。

養老山地から望む伊吹山と池田山
山容 名称 標高
(m)
三角点等級
基準点名[1]
伊吹山からの
方角と距離(km)
備考
小津権現山から望む金糞岳(2010年3月22日) 金糞岳 1,317 北北西 16.0 滋賀県の第2高峰
西方の麓から望む小谷山(2009年2月8日) 小谷山 494.52  三等
「大岳」
西北西 13.2 新・花の百名山
伊吹山から望む池田山(2012年10月12日) 池田山 923.85  二等
「池田山」
東北東 10.4 池田の森
登山道3合目(伊吹山ゴンドラ終点駅付近)から望む伊吹山(2008年1月6日) 伊吹山 1,377.31  一等
「伊吹山」
0 滋賀県最高峰
日本百名山新・花の百名山
西南尾根上部から望む霊仙山(2008年12月8日) 霊仙山 1,094 (二等 1,083.45
「霊仙山」
南 15.5 花の百名山
東方の麓の養老町から望む養老山(2008年4月20日) 養老山 895.31  二等
「養老山」
南南東 20.2 養老山地
東方の頭蛇ヶ平から望む厳冬期の御池岳(2011年2月19日) 御池岳 1,247 南 26.6 鈴鹿山脈最高峰
花の百名山
東方のいなべ市北勢町二之瀬から望む藤原岳(2010年5月15日) 藤原岳 1,144 (標高未確定) 南 29.1 日本三百名山、花の百名山
新・花の百名山

周辺の峠

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源流の河川

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伊吹山の北西面を巻き琵琶湖へと注ぐ姉川

伊吹山をとする河川には、琵琶湖へ流れる淀川水系と、濃尾平野の河川へ流れる木曽川水系がある。伊吹山と伊吹北尾根はその西側の淀川水系と東側の木曽川水系との分水界となっている[4]

交通・アクセス

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公共交通機関
上野登山口へは、JR東海東海道本線近江長岡駅が最寄りの鉄道駅で[注釈 7][6]、5km弱の道のりである。登山口近くには「伊吹登山口」バス停があり、近江長岡駅またはJR西日本北陸本線長浜駅から湖国バスが路線バスを運行している[132]。登山口の3合目までタクシーを利用することもできる[24]
伊吹山ドライブウェイの9合目駐車場へは、期間(夏季)限定でJR西日本の東海道本線大阪駅桜橋口またはJR東海の東海道本線名古屋駅から名神ハイウェイバスを運行しているほか、JR東海の東海道本線大垣駅関ケ原駅から名阪近鉄バスが路線バスを運行している。また、期間(夏季)限定で米原駅から9合目駐車場まで路線バス(湖国バス)が運行している場合がある。
道の駅伊吹の里の2階展望デッキから望む伊吹山
自動車
上野登山口へは、北陸自動車道長浜インターチェンジまたは名神高速道路関ヶ原インターチェンジから国道365号滋賀県道551号山東伊吹線を経由して10km程度の道のりで、登山口近くでは民家や民間の有料駐車場がある。
伊吹山ドライブウェイ入口へは、関ヶ原インターチェンジから国道365号を経由して3km程度の道のりである。
南西山麓を通る坂浅東部広域農道沿いの滋賀県道40号山東本巣線との交差点南西部に道の駅伊吹の里があり、2階には伊吹山展望デッキがある。

伊吹山の風景

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各方面からの山容

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麓の近江盆地濃尾平野、東海道本線や東海道新幹線の車窓などからもそのどっしりとした山容を望むことができる[103]。西斜面では石灰岩採掘のために削り取られた山肌が目立ち、景観を害している[4][67][13]。西山麓の米原市の三島池からもその山容を望むことができ[14]、名景とされている[133]。南側にある清滝山(標高439 m)の山頂は、伊吹山を間近に望むことができる展望台となっている[134]。東の池田山からは山容を望むことができるが、南東にある南宮山の登山道からは、ほとんど山容を望むことができない[135]。南南東の養老山地の笙ヶ岳からは山容を望むことができるが、養老山からは望むことができない。南の鈴鹿山脈の霊仙山からは、どっしりとした山容を望むことができる[136]

伊吹山からの展望

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山上部からは伊勢湾、南宮山、養老山地、霊仙山から南に連なる鈴鹿山脈近江盆地琵琶湖と対岸の比良山地などの山並み、金糞岳などの奥美濃の山々、能郷白山白山などの両白山地、乗鞍岳などの北アルプス御嶽山中央アルプスとその稜線越しに南アルプスの山並みなどを望むことができる[4][15][103]

メディア

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文学

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  • 藤原実方小倉百人一首で「かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」の短歌を詠んでいる[6]
  • 1689年(元禄2年)秋に松尾芭蕉により「そのままよ 月もたのまし 伊吹山」の俳句が詠まれている。
  • 伊吹弥三郎の民話:伊吹山に住む力持ちの男の弥三郎の「琵琶湖の土を運んで伊吹山と霊仙山をつくった。」などの多数の怪力話が伝えられている[137]。伊吹山中では「弥三郎岩屋」などの弥三郎伝説に因んだ地名が残されている[138]

関連書籍

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  • 伊吹山薬用植物目録」、滋賀県経済部林務課、1937年。 
  • 大川勝德『伊吹山の花図鑑―350種』岐阜新聞社、2012年6月1日。ISBN 978-4877971793 
  • 福永円澄『伊吹百草』サンライズ出版、2005年6月25日。ISBN 4883251489 
  • 村瀬忠義、草川啓三、須藤一成『伊吹山自然観察ガイド』山と溪谷社、2007年5月。ISBN 9784635420372 
  • 監修 阿部勇治 (2015年3月1日). “伊吹山を知る“やさしい”地学の本”. 伊吹山ネイチャーネットワーク. 2019年1月16日閲覧。

テレビ番組

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伊吹山を主題とするテレビ番組が多数放送されている。

脚注

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注釈

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  1. ^ 第八高等学校の寮歌では「伊吹おろしの雪消えて、木曽の流れにささやけば、光に満てる国原の、春永劫に薫るかな」と歌われていた
  2. ^ 伊吹山表登山道の登山口(米原市上野)および伊吹山ドライブウェイ終点駐車場の山頂遊歩道入り口に入山協力金受付所が設置されている。
  3. ^ 『伊吹山お花畑植物ガイド』にはイブキタンポポ、コバノミミナグサ、ミヤマコアザミ、ルリトラノオ、イブキアザミ、コイブキアザミ、イブキコゴメグサ、イブキレイジンソウの8種とされており、イブキヒメヤマアザミを加えると9種となる。これに加えて、イブキフウロを固有種に数えることもある。
  4. ^ 伊吹山の多くの地域が共有地であり、かつては広く採草、柴刈り等に利用されていたことも、森林の発達を抑制し草原が維持されてきた要因であると考えられている。
  5. ^ キバナノレンリソウはヨーロッパ原産の植物で、伊吹山に定着した帰化植物。日本では伊吹山にのみ生育している。
  6. ^ 5合目に設置されていた古いトイレは撤去された。
  7. ^ 伊吹山は近江長岡駅の北北東7.1 kmに位置する。

出典

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  4. ^ a b c d e f g h i j k 新日本山岳誌 (2005)、1232-1234頁
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  8. ^ a b 田中 (1995)、323-325頁
  9. ^ 一等三角点研究会 (1988)
  10. ^ 関西百名山地図帳 (2010)、6-9頁
  11. ^ 岐阜県山岳連盟 (1987)
  12. ^ ふるさと歴史散歩 03「正法寺の芭蕉句碑」”. 羽島市 (2010年6月1日). 2011年4月7日閲覧。
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  18. ^ 武内正『日本山名総覧 1万8000山の住所録』(白山書房、1999年)260頁
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参考文献

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関連項目

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外部リンク

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