杉本和行
杉本 和行(すぎもと かずゆき、1950年(昭和25年)9月13日 - )は、日本の財務官僚、弁護士。内閣総理大臣事務担当秘書官、財務省大臣官房総括審議官、大臣官房長、主計局長、財務事務次官、みずほ総合研究所理事長を経て、2013年3月から2020年9月まで公正取引委員会委員長を務めた。
人物
[編集]兵庫県姫路市出身[1]。東大紛争が激しさを増し、入試が取り止めになったため、京都大学に入学する。しかし、入学式の時からバリケードができており、1年間授業が開講されなかったため、再受験し、東京大学文科一類に入学し直す[2]。東京大学法学部第1類(私法コース)卒業[3]。東大在学中に司法試験と国家公務員上級甲種試験に合格。進路で多少の迷いがあったものの、「官界、とりわけ大蔵省(当時)は国内関係から国際関係まで幅広い分野の仕事ができる」と感じ[2]、1974年4月 大蔵省(現・財務省)に入省する。大臣官房文書課配属[4]。森喜朗内閣総理大臣事務担当秘書官、主計局次長(末席)、主計局次長(次席)、主計局次長(筆頭)、大臣官房総括審議官、大臣官房長を経て、2007年7月10日に主計局長、2008年7月4日より財務事務次官となる。2009年7月14日に退官し、その後は東京大学公共政策大学院教授、弁護士、みずほ総合研究所理事長、伊藤忠商事株式会社社外取締役などに着任。企業の役員のほか、研究や法律の分野を中心に活動。2013年3月5日に公正取引委員会委員長となり、2020年9月12日まで約7年半務めた。
ケンブリッジ大学に留学時、隣のカレッジに留学中の北尾吉孝(現SBIホールディングス社長、当時野村證券)と議論を戦わした。津田廣喜前次官に「心臓に毛の生えたずうずうしさ」と評された。
略歴
[編集]学歴
[編集]- 1969年3月 - 兵庫県立姫路西高等学校卒業。
- 1969年4月 - 東大紛争の激化に伴う東大の入試中止の煽りを受け、京都大学に入学するも翌年、東京大学文科一類に入学し直す。
- 1974年3月 - 東京大学法学部第1類(私法コース)卒業[3]。
職歴
[編集]- 1974年4月 - 大蔵省(現・財務省)に入省。大臣官房文書課配属[4]。
- 1976年4月 - 留学(ケンブリッジ大学)
- 1978年7月 - 主計局調査課統計分析係長[7]
- 1979年7月 - 主計局調査課調査第三係長[8]
- 1980年7月10日 - 米子税務署長
- 1981年5月 - 国際金融局国際機構課課長補佐(国際機関・経済統合)[9]
- 1983年6月23日 - 主計局総務課課長補佐(企画)[10][11]
- 1984年6月 - 主計局主計官補佐(農林水産第三係主査)
- 1986年6月 - 主計局主計官補佐(農林水産第一係主査)
- 1988年5月 - 欧州共同体日本政府代表部一等書記官
- 1991年6月18日 - 大臣官房企画官兼銀行局中小金融課
- 1992年7月7日 - 総務庁行政管理局管理官(定員総括、特殊法人総括、外務担当)[12]
- 1994年7月8日 - 主計局主計官(農林水産担当)
- 1996年7月12日 - 主計局主計官(主計局総務課)
- 1997年7月15日 - 主計局法規課長
- 1998年7月1日 - 大臣官房調査企画課長
- 2000年4月1日 - 大臣官房総合政策課長
- 2000年4月5日 - 内閣総理大臣事務担当秘書官(森喜朗総理大臣)
- 2001年4月26日 - 主計局次長(末席)(社会保障、文教などを担当)[13][14]
- 2002年8月8日 - 主計局次長(次席)
- 2003年7月11日 - 主計局次長(筆頭)(社会保障、防衛などを担当)[15][16][17][18]
- 2005年7月13日 - 大臣官房総括審議官
- 2006年7月28日 - 財務省大臣官房長
- 2007年7月10日 - 主計局長
- 2008年7月4日 - 財務事務次官
- 2009年7月14日 - 退官、財務省顧問
- 2010年1月 - 東京大学公共政策大学院教授(〜2011年3月)
- 2010年5月 - みずほ総合研究所顧問(〜2011年3月)
- 2011年3月 - 弁護士登録
- 2011年4月 - みずほ総合研究所理事長(〜2013年3月[19])
- 2011年4月 - TMI総合法律事務所客員弁護士
- 2011年6月 - 伊藤忠商事株式会社社外取締役(〜2013年3月[20])
- 2013年3月5日 - 公正取引委員会委員長[21]
- 2018年3月5日 - 公正取引委員会委員長再任[22]
- 2020年9月12日 - 公正取引委員会委員長退任
- 2020年9月20日 - 格付投資情報センター顧問[23]
- 2020年10月 - TMI総合法律事務所顧問弁護士[24]
同期入省者
[編集]氏名 | 出身大学 | 配属先 | 職歴 |
---|---|---|---|
石井道遠 | 東大法卒 | 大臣官房調査企画課 | 東日本銀行頭取 国税庁長官、財務総合政策研究所長、主税局長、国税庁次長、大臣官房総括審議官 |
内村広志 | 東大経済卒 | 主計局総務課 | 国土交通省政策統括官、関東財務局長、理財局次長(理財担当) |
浦上道彦 | 慶應大経済卒 | 理財局国庫課 | 関東信越国税不服審判所長、外務省在ドイツ大使館公使 |
梶山直己 | 東大法卒 | 銀行局銀行課 | 立命館大学経済学部教授 中国財務局長、関東信越国税不服審判所長 |
神原寧 | 東大法卒 | 大臣官房秘書課 | 税務大学校長、金沢国税局長、国税庁長官官房会計課長 |
杉本和行 | 東大法卒 | 大臣官房文書課 | 弁護士、公正取引委員会委員長、みずほ総合研究所理事長 財務事務次官、主計局長、大臣官房長、大臣官房総括審議官 |
田中正昭 | 一橋大経済卒 | 主計局総務課 | 日本酒類販売会長、同社社長 東京国税局長、独立行政法人都市再生機構理事、総務省大臣官房審議官(地域振興担当) |
丹呉泰健 | 東大法卒 | 大臣官房文書課 | JT会長 財務事務次官、主計局長、大臣官房長、理財局長 |
富田辰郎 | 東大経済卒 | 大臣官房文書課 | 国税不服審判所次長、神戸税関長、環境庁企画調整局企画調整課長 |
三國谷勝範 | 東大法卒 | 銀行局特別金融課 | 預金保険機構理事長 金融庁長官、金融庁監督局長、金融庁総務企画局長、金融庁総務企画局総括審議官 |
宮澤洋一 | 東大法卒 | 参議院議員、経済産業大臣、衆議院議員、内閣府副大臣(経済財政等) | |
矢野和之 | 一橋大経済卒 | 証券局証券市場課 | ヴェリタス会長、中国財務局長 |
脚注
[編集]- ^ 「杉本和行・公正取引委員会委員長」独白! わが摘発方針
- ^ a b 『プレジデント,第46巻、第18~27号』2008年発行、172頁
- ^ a b 『東大人名録,第1部』1986年発行、51頁
- ^ a b 人事異動 伊藤忠商事
- ^ 令和3年春の叙勲受章者名簿(瑞宝大綬章受章者) - 内閣府
- ^ 『官報』号外第99号、令和3年4月30日
- ^ 『職員録 第1部』大蔵省印刷局、1979年発行、487頁
- ^ 『職員録 第1部』大蔵省印刷局、1980年発行、485頁
- ^ 『大蔵要覧 昭和58年度版』1982年12月発行、58頁
- ^ 『週刊金融財政事情 第34巻 第25〜36号』金融財政事情研究会、1983年発行
- ^ 『大蔵要覧』大蔵要覧出版社、1984年発行、42頁
- ^ 『月刊官界,第19巻、第1~4号』行政問題研究所、1993年発行、100頁
- ^ 『フォーサイト 第12巻、7〜12号』2001年7〜12月発行、65頁
- ^ 『財務省人事(4月26日付)』朝日新聞、2001年4月28日朝刊、3総合
- ^ 第161回国会 参議院 外交防衛委員会 第4号(172)
- ^ 第161回国会 参議院 外交防衛委員会 第6号(10)
- ^ 第161回国会 参議院 外交防衛委員会 第6号(12)
- ^ 第162回国会 参議院 厚生労働委員会 第21号(26)
- ^ [1] みずほ総合研究所
- ^ [2] 時事通信
- ^ “公取委員長に杉本氏が就任 5カ月ぶり空席解消”. 日本経済新聞. (2013年3月5日) 2013年3月6日閲覧。
- ^ “公取委、杉本委員長再任 「新たな時代の競争政策を」”. 日本経済新聞. (2013年3月6日) 2013年3月16日閲覧。
- ^ 特別職国家公務員の再就職状況の公表について(令和2年4月1日~令和3年3月31日令 和 3 年 9 月 24 日 内閣官房
- ^ 顧問弁護士 杉本和行 Kazuyuki Sugimoto 使用言語 日本語 / 英語TMI総合法律事務所