ル・ポアゾン 愛の媚薬
『ル・ポアゾン 愛の媚薬』(ル・ポアゾン あいのびやく)は、宝塚歌劇団によって上演されたレビュー作品。作・演出は岡田敬二。
1990年8月9日から9月18日まで宝塚大劇場[1]、同年12月2日から26日まで東京宝塚劇場[2]で月組で初演された。このときの併演作品は『川霧の橋』[3]。
概要
[編集]ロマンチック・レビューシリーズ第5弾にあたるこのレビューは、古今東西の愛の説話をテーマにした作品で、月組トップスターであった剣幸とこだま愛がこの公演で退団した。題名の『ル・ポアゾン(Le Poison)』はフランス語で「毒」の意味である。なお、この作品はNHK宝塚歌劇特集、および雑誌『歌劇』のなかでともに1位に選ばれ、場面中の「愛の誘惑」で涼風真世が最初に登場する場面が2003年の『テンプテーション! - 誘惑 -』の最初の場面として再現された。後半の「愛の復活」の場面では、イギリスのロックバンド、クイーンの曲(We Will Rock You/We Are the Champions/Don't Stop Me Now)が使用されている。
1990年初演の形式名は「ミュージカル・レビュー」、24場。
2011年2月1日(火)-2月24日(木)、中日劇場公演にて『ル・ポアゾン 愛の媚薬Ⅱ』として、場面を一部、1991年に上演された『ナルシス・ノアール』(星組)から「月とパリス」、「アンダルシアの孤独」(場面名は「愛の葛藤」に変更されている)に差し替え星組で[4][5]、2011年10月15日(土)-11月13日(日)、花組全国ツアーにて、『ル・ポアゾン 愛の媚薬Ⅱ』が再演された[6]。併演は『愛するには短すぎる』。
2021年6月1日-6月15日、雪組全国ツアー公演にて、『ル・ポァゾン 愛の媚薬 -Again-』[7]で再演。併演は『ヴェネチアの紋章』。
2011年・花組の公演場所
[編集]- 10月15日(土)・16日(日) 市川市文化会館(千葉県)
- 10月18日(火) 府中の森芸術劇場(東京都)
- 10月20日(木) 前橋市民文化会館(群馬県)
- 10月22日(土)・23日(日) 梅田芸術劇場・メインホール(大阪府)
- 10月25日(火)・26日(水) アクトシティ浜松(静岡県)
- 10月27日(木) 幸田町民会館・さくらホール(愛知県)
- 10月29日(土) まつもと市民・芸術館(長野県)
- 10月30日(日) ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)
- 11月1日(火) コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
- 11月3日(木) グリーンホール相模大野(神奈川県)
- 11月6日(日) 大館市民文化会館(秋田県)
- 11月8日(火) 青森市文化会館
- 11月10日(木) 北上さくらホール(岩手県)
- 11月12日(土)・13日(日) ニトリ文化ホール(旧・北海道厚生年金会館)(北海道札幌市)
場面(1990年月組宝塚大劇場公演)
[編集]- 第一章[9] 愛の媚薬(プロローグ)
-
- 音楽:吉崎憲治
- 振付:羽山紀代美
- 巨大な黒豹、黒孔雀のセットで黒の舞踏会が開かれている。媚薬が入っている明るいクリスタルの瓶からポァゾンの紳士・淑女が出てくる。
- 第二章[10] 愛の戯れ(トリスタンとイゾルデ)
- 蒼い月の輝く夜。トリスタンと亜麻色の髪の乙女のイゾルデが愛のキューピットの悪戯で媚薬を飲まされ、翻弄されるが、アルルカンの助けで真の愛を取り戻す。
- 第四章[10] 愛の復活
- 友人を事故で失い、失意のドン底にいる米空軍士官のアーネストは酒に溺れ、仲間たちにも馬鹿にされる。それをみたナンシーは一生懸命彼を励ます。彼は彼女の声援で力を取り戻し、大空のエースを目指す。
- アーネスト - 剣幸
- ナンシー - こだま愛
- レディ・オフィサー - 紫とも、麻乃佳世
- 第五章[10] 愛のロマンス
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- 音楽:高橋城
- 振付:羽山紀代美
- 一人の青年が美しい音楽こそ"媚薬"だと歌い、次々と曲が歌われる。
- 踊るロマンスの男 - 剣幸
- ロマンスの歌手男 - 涼風真世
- ロマンスの歌手女 - 朝凪鈴
- ノクターンの男 - 天海祐希
- ノクターンの女 - 麻乃佳世
- 第六章[10] 終章 フィナーレ
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- 音楽:吉崎憲治
- 振付:尚すみれ
- 三組の男女が「ジュテーム」を歌う。媚薬の瓶からあふれたロケットダンサー。「明日に夢を描いて行こう」という歌に続いて、パレードとなる。
- フィナーレの歌手 - 愛川麻貴、若央りさ、久世星佳
- フィナーレの歌手女 - 紫とも、朝吹南、麻乃佳世
- トゥモローの歌手、フィナーレの男S - 剣幸
- トゥモローの女、フィナーレの女S - こだま愛
- フィナーレの男S - 涼風真世
出演
[編集]1990年初演(配役も含む)
[編集]- トリスタン、アダム、空軍士官、踊る男 - 剣幸
- イゾルデ、イブS、ナンシー、踊る女 - こだま愛
- プロローグの紳士、歌手 - 涼風真世
- アルルカン - 汝鳥伶
- 恋人 - 京三紗
- 踊る男 - 葵美哉
- 踊る男、歌手 - 愛川麻貴
- 淑女S、美女、歌手 - 朝凪鈴
- 紳士S、踊る女S、歌手 - 若央りさ
- 紳士S、踊る男、歌手 - 久世星佳
- 淑女S、イブA、美女、歌手 - 紫とも
- キューピット - 真山葉瑠・高千穂舞
- 紳士S、歌う若者、踊る男 - 天海祐希
- 歌手 - 朝吹南
- 淑女S、イブA、歌手、踊る女 - 麻乃佳世
以上出典はこちら[1]。
東京宝塚劇場公演のみ
他、宝塚歌劇団月組生徒。
2011年再演(星組)
[編集]他、宝塚歌劇団星組生徒。
2011年再演(花組)
[編集]他、宝塚歌劇団花組生徒。
2021年再演(雪組)
[編集]他、宝塚歌劇団雪組生徒。
スタッフ
[編集]- 作・演出:岡田敬二
- 制作・著作:宝塚歌劇団
1990年初演
[編集]- 作曲:吉崎憲治、高橋城、甲斐正人
- 編曲:吉崎憲治、高橋城、甲斐正人、橋本和明
- 音楽指揮:橋本和明(宝塚)井沢一郎[2](東京)
- 振付:喜多弘、羽山紀代美、尚すみれ、謝珠栄
- 装置:大橋泰弘
- 衣装:任田幾英
- 照明:今井直次
- 小道具:万波一重
- 効果:中屋民生
- 音響監督:松永浩志
- 演出助手:中村暁、中村一徳
- 舞台進行:赤坂英雄
- 制作:飯島健
以上、出典はこちら(音楽指揮の東京を除く)[1]。
東京宝塚劇場公演のみ[2]
- 製作担当:長谷山太刀夫
脚注
[編集]- ^ a b c 宝塚歌劇80年史 & 1994年, p. 341.
- ^ a b c 宝塚歌劇80年史 & 1994年, p. 342.
- ^ 宝塚歌劇80年史 & 1994年, p. 341、342.
- ^ 宝塚歌劇星組中日劇場公演プログラムより
- ^ 宝塚公式サイトの「愛するには短すぎる」/「ル・ポァゾン 愛の媚薬II」
- ^ 宝塚公式サイトの「小さな花がひらいた」/「ル・ポァゾン 愛の媚薬Ⅱ」
- ^ 宝塚公式サイトの「ヴェネチアの紋章」/「ル・ホアゾン 愛の媚薬-Again-」
- ^ 岡田敬二 ロマンチック・レビュー & 2009年, p. 157.
- ^ 岡田敬二 ロマンチック・レビュー & 2009年, pp. 156–157.
- ^ a b c d e 岡田敬二 ロマンチック・レビュー & 2009年, p. 156.
- ^ 宝塚歌劇80年史 & 1994年, pp. 342–343.
参考文献
[編集]- 岡田敬二『岡田敬二 ロマンチック・レビュー』阪急コミュニケーションズ、2009年。
- 企画・構成・執筆:橋本雅夫、編集統括:北川方英『夢を描いて華やかに -宝塚歌劇80年史-』宝塚歌劇団、1994年。
関連項目
[編集]- トリスタンとイゾルデ
- トリスタンとイゾルデ (宝塚歌劇)
- ルクレツィア・ボルジア
- 創世記
- カバレリア・ルスティカーナ
- 愛の喜びは
- クイーン (バンド)
- パガニーニの主題による狂詩曲
- 愛の夢
- ワルソー・コンチェルト
- ショパン
- 交響曲第6番 (チャイコフスキー)
- フィル・コリンズ
- Another Day in Paradise アルバムバット・シリアスリーに収録
前作 ラ・パッション! |
ロマンチック・レビューシリーズ 1990年 ル・ポアゾン 愛の媚薬 |
次作 ナルシス・ノアール |