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関西電力

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関西電力株式会社
The Kansai Electric Power Company, Incorporated
関西電力本店
種類 株式会社
市場情報
大証1部(廃止) 9503
2013年7月12日上場廃止
名証1部 9503
2014年6月30日上場廃止
略称 関電、KEPCO
本店所在地 日本の旗 日本
530-8270
大阪府大阪市北区中之島三丁目6番16号
関電ビルディング
設立 1951年5月1日
業種 電気・ガス業
法人番号 3120001059632 ウィキデータを編集
事業内容 電気事業、電気機械器具の製造・販売、熱供給事業他
代表者 取締役会長 八木誠
取締役社長 岩根茂樹
資本金 4893億2000万円
(2014年3月31日現在)
売上高 連結 3兆3274億円
単体 2兆9582億円
営業利益 連結 △717億円
単体 △1168億円
純利益 連結 △974億円
単体 △930億円
純資産 連結 1兆2131億円
単体 8066億円
総資産 連結 7兆7775億円
単体 6兆9162億円
従業員数 連結 3万3657人、単体 2万813人
(2014年3月31日時点)
決算期 3月31日
主要株主 大阪市 8.92%
日本生命保険 3.66%
神戸市 2.91%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)2.73%
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口)2.54%
関西電力持株会 2.16%
みずほ銀行 1.85%
高知信用金庫 1.43%
三井住友銀行 1.19%
(2015年9月30日現在)
主要子会社 ケイ・オプティコム
関係する人物 福澤桃介太田垣士郎芦原義重
外部リンク http://www.kepco.co.jp/
特記事項:指標は2014年3月期、資産額は2014年3月31日時点。
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関西電力株式会社(かんさいでんりょく)は、近畿地方2府4県(京都府大阪府滋賀県兵庫県赤穂市福浦を除く)、奈良県和歌山県)および福井県三方郡美浜町以西)、三重県熊野市[1]以南)、さらには岐阜県不破郡関ケ原町の一部を営業区域とする電力会社

略称として関電(かんでん)や、KEPCOKansai Electric Power Co., Inc.=ケプコ[2]が使われる。

設立65周年の2016年5月1日より、ブランドステートメントとして「power with heart」が制定された。

概要

1951年5月1日松永安左エ門(電気事業再編成審議会委員長)のGHQへの説得による、国会決議より効力が強いGHQポツダム政令を元に、戦時における企業統廃合などによって発足した関西配電日本発送電を再編する形で設立された(このため、現在も一部の年配者には関西電力を「関配(カンパイ)」と呼ぶ人もいる)。後述のとおり、戦前まで近畿地方を拠点に全国展開していた大同電力宇治川電気日本電力東邦電力の流れを組み、資産を継承している関係上[3]近畿地方以外の発電所などの設備を多く持つ。

発電能力と比べ、実際の発電は原子力による比重が約55%となっている(他社からの買電、融通、揚水発電を除いた発電量における、設備別比重)。その一方、富山県黒部川流域などに、最大出力30万kW超の大型の水力発電所も所有する。

2001年以降、高経年で効率の低い小容量火力機の廃止を進めており[4]春日出発電所大阪発電所高砂発電所など計7箇所の発電所が全廃されたほか、複数の発電設備が長期計画停止となり、2013年現在も停止中の火力発電所が存在する。これらはほとんどが石油火力である。

沿革

社史・記念誌

関西電力では、以下の5冊を発行している。

  • 関西電力の10年(関西電力株式会社10年史編集委員会・編集) 1961年発行、286ページ。
  • 関西電力の20年(関西電力株式会社・編) 1972年11月発行、456ページ。
  • 関西電力二十五年史(二十五年史編集委員会・編集) 1978年3月発行、621ページ。
  • 関西電力五十年史(関西電力五十年史編纂事務局・編纂) 2002年3月発行、1275ページ。
  • 関西電力五十年史 統計・資料編(関西電力五十年史編纂事務局・編纂) 2002年3月発行、466ページ。

発電施設

合計 164箇所、3,691万2,900kW(2015年3月25日現在)

  • 総出力には長期計画停止中、定期点検中の号機を含む。廃止された号機、建設中の号機は含まない。

水力発電所

148箇所、約818万kW(23.5%) - 近畿地方各府県(大阪府を除く)、富山県、福井県、長野県、岐阜県に発電所を有する。

  • 主な水力発電所(10万kW以上の発電所)
発電所名 水系名 方式 総出力 所在地
読書発電所 木曽川 ダム水路式 11.71万kW 長野県木曽郡南木曽町
丸山発電所 ダム水路式 12.5万kW 岐阜県加茂郡八百津町
木曽発電所 ダム水路式 11.6万kW 長野県木曽郡木曽町
下小鳥発電所 神通川 ダム水路式 14.2万kW 岐阜県飛騨市
黒部川第三発電所 黒部川 ダム水路式 10.7万kW 富山県黒部市
黒部川第四発電所 ダム水路式 33.5万kW 富山県黒部市
音沢発電所 ダム水路式 12.4万kW 富山県黒部市
奥吉野発電所 新宮川 ダム式(揚水式 120.6万kW 奈良県吉野郡十津川村
喜撰山発電所 淀川 ダム式(揚水式) 46.6万kW 京都府宇治市
大河内発電所 市川 ダム式(揚水式) 128万kW 兵庫県神崎郡神河町
奥多々良木発電所 円山川 ダム式(揚水式) 193.2万kW 兵庫県朝来市

火力発電所

12箇所(計画中1箇所)、1,895万4,900kW(関連会社経営の発電所を除く)[5](48.5%)

発電所名 使用燃料 総出力 号機 出力 運転開始 所在地 備考
宮津エネルギー研究所 重油原油 75万kW 1号機
2号機
37.5万kW
37.5万kW
1989年8月
1989年12月
京都府宮津市 1、2号機とも長期計画停止中。
舞鶴発電所 石炭、木質バイオマス 180万kW 1号機
2号機
90万kW
90万kW
2004年8月
2010年8月
京都府舞鶴市
南港発電所 LNG 180万kW 1号機
2号機
3号機
60万kW
60万kW
60万kW
1990年11月
1991年2月
1991年10月
大阪府大阪市住之江区
堺港発電所 LNG 200万kW 1号機
2号機
3号機
4号機
5号機
40万kW
40万kW
40万kW
40万kW
40万kW
2009年4月
2009年7月
2009年10月
2010年4月
2010年9月
大阪府堺市西区 CC方式。
多奈川第二発電所 重油、原油 120万kW 1号機
2号機
60万kW
60万kW
1977年7月
1977年8月
大阪府泉南郡岬町 1、2号機とも長期計画停止中。
関西国際空港
エネルギーセンター
都市ガス灯油 4万kW 1号GT
2号GT
2万kW
2万kW
1993年11月
1993年11月
大阪府泉南郡田尻町 ガスタービン発電方式。
姫路第一発電所 LNG 150.74万kW 5号機
6号機
72.9万kW
71.3万kW
1995年4月
1996年5月
兵庫県姫路市飾磨区 1~4号機は廃止。
5、6号機はCC方式。
GT1号機
GT2号機
3.27万kW
3.27万kW
2012年8月8日
2012年8月13日
非常用。ガスタービン発電方式。
姫路第二発電所 LNG 411.9万kW 既設5号機
既設6号機
1号機
2号機
3号機
4号機
5号機
6号機
60万kW
60万kW
48.65万kW
48.65万kW
48.65万kW
48.65万kW
48.65万kW
48.65万kW
1973年10月
1973年11月
2013年8月27日
2013年11月19日
2014年3月19日
2014年7月22日
2014年9月5日
2015年3月25日
兵庫県姫路市飾磨区 (旧)1~(旧)4号機は廃止。
1~6号機はCC方式。
相生発電所 LNG、重油、原油 112.5万kW 1号機
2号機
3号機
37.5万kW
37.5万kW
37.5万kW
1982年9月
1982年11月
1983年1月
兵庫県相生市 1、3号機はLNG対応化。
赤穂発電所 重油、原油 120万kW 1号機
2号機
60万kW
60万kW
1987年9月
1987年12月
兵庫県赤穂市
海南発電所 重油、原油 210万kW 1号機
2号機
3号機
4号機
45万kW
45万kW
60万kW
60万kW
1970年5月
1970年9月
1974年4月
1973年6月
和歌山県海南市
御坊発電所 重油、原油 180万kW 1号機
2号機
3号機
60万kW
60万kW
60万kW
1984年9月
1984年11月
1985年3月
和歌山県御坊市
和歌山発電所 LNG kW 和歌山県和歌山市 1、2号系列計画中。
(CC方式、370万kW)
  • 注:姫路第二発電所は、蒸気タービン不具合対策により1~6号機の定格出力が暫定的に48.1万kW(既設5、6号機含め合計408.6万kW)となっている。

関連会社運営

発電所名 使用燃料 総出力 号機 出力 運転開始 所在地 運営会社 備考
和歌山共同発電所* 副生ガス、重油 37.9万kW 2号機
3号機
7.5万kW
15.6万kW
1965年
1970年
和歌山県和歌山市 和歌山共同火力 旧1号機は廃止。
2号機は予備機。
副生ガス 新1号機 14.8万kW 2014年10月14日 新1号機はCC方式。

* 和歌山共同発電所は出力の半分を新日鐵住金和歌山製鐵所へ供給。

原子力発電所

3箇所、976万8,000kW[6](28%)

発電所名 原子炉型式 総出力 号機 出力 運転開始 所在地 備考
美浜発電所 加圧水型軽水炉 166.6万kW 1号機
2号機
3号機
34万kW
50万kW
82.6万kW
1970年11月28日
1972年7月25日
1976年3月15日
福井県三方郡美浜町 1、2号機は廃炉決定済み。
3号機のみ定期検査中。
大飯発電所 加圧水型軽水炉 471万kW 1号機
2号機
3号機
4号機
117.5万kW
117.5万kW
118万kW
118万kW
1979年3月27日
1979年12月5日
1991年12月18日
1993年2月2日
福井県大飯郡おおい町 1~4号機全機定期検査中。
高浜発電所 加圧水型軽水炉 339.2万kW 1号機
2号機
3号機
4号機
82.6万kW
82.6万kW
87万kW
87万kW
1974年11月14日
1975年11月14日
1985年1月17日
1985年6月5日
福井県大飯郡高浜町 1~4号機全機定期検査中。

新エネルギー

1箇所、1万kW(関連会社経営の発電所を除く)

発電所名 方式 総出力 運転開始 所在地
堺太陽光発電所 太陽光発電 1万kW 第1区画:2010年10月5日
第2区画:2011年3月8日
第3区画:2011年9月7日
大阪府堺市西区

関連会社運営

発電所名 方式 総出力 運転開始 所在地 運営会社
淡路風力発電所 風力発電 1.2万kW 2012年12月20日 兵庫県淡路市 関電エネルギー開発
けいはんな太陽光発電所 太陽光発電 0.198万kW 2013年12月1日 京都府相楽郡精華町 関電エネルギーソリューション
有田太陽光発電所 太陽光発電 2.97万kW 2015年10月1日 和歌山県有田市 関電エネルギーソリューション

過去および建設中止された発電施設

火力発電所

発電所名 使用燃料 総出力 廃止時期 所在地 備考
春日出発電所 重油 31.2万kW 2001年 大阪府大阪市此花区
大阪発電所 重油、LNG 62.4万kW 2003年 大阪府大阪市住之江区
三宝発電所 重油 15.6万kW 2003年 大阪府堺市堺区 関連会社の堺共同火力が運営していた。
多奈川発電所 重油 46.2万kW 2001年 大阪府泉南郡岬町
尼崎第一発電所 石炭 31.8万kW 1974年 兵庫県尼崎市
尼崎第二発電所 石炭 30万kW 1976年 兵庫県尼崎市
尼崎第三発電所 原油 46.8万kW 2001年 兵庫県尼崎市
尼崎東発電所 石炭、重油 31.2万kW 2001年 兵庫県尼崎市
高砂発電所 重油、原油 90万kW 2006年 兵庫県高砂市

原子力発電所

発電所名 原子炉型式 総出力 廃止時期 所在地 備考
珠洲原子力発電所 計画中止 石川県珠洲市 2003年計画凍結。北陸電力および中部電力との共同運営が予定されていた。
久美浜原子力発電所 計画中止 京都府熊野郡久美浜町(現・京丹後市久美浜町) 2006年計画中止。
日高原子力発電所 計画中止 和歌山県日高郡日高町 2005年計画中止。
日置川原子力発電所 計画中止 和歌山県西牟婁郡日置川町(現・白浜町 2005年、電源開発促進重要地点の指定より除外。

電源調達入札制度について

  • 1995年(平成7年)の電気事業制度改革において電源調達入札制度が創設され、卸供給事業者(IPP・独立系発電事業者)6社と供給契約を結んでいる[7]

6箇所、191万3,800kW

卸供給事業者 契約電力 供給開始 所在地 備考
大阪瓦斯酉島エネルギーセンター 14万kW 2002年4月 大阪府大阪市此花区 現:ガスアンドパワー
中山共同発電(船町発電所 13.6万kW 1999年4月 大阪府大阪市大正区
神戸製鋼所神鋼神戸発電所 65.9万kW
65.9万kW
2002年4月
2004年4月
兵庫県神戸市灘区 現:コベルコパワー神戸
新日本製鐵広畑製鐵所 13.3万kW 1999年4月 兵庫県姫路市 現:新日鐵住金
神戸製鋼所加古川製鉄所 5.45万kW 1999年4月 兵庫県加古川市
興亜石油麻里布製油所 13.23万kW 2004年4月 山口県玖珂郡和木町 現:JXエネルギー
  • 事業者名はいずれも契約当時。

事業所

関西電力のサービスカー

2004年6月30日、近畿2府4県で一部の営業所が再編された。近畿で大幅な再編が行われたのに対して、福井県では全く再編が実施されなかったのは、原子力発電所立地地域に対する「配慮」があるものと見られる。

2015年11月30日をもって、カッコ書きの6営業所の窓口閉鎖及び、全営業所窓口においての電気料金支払い・低圧電気工事の申し込み業務が廃止となった。

歴代社長

氏名 在任期間 出身校 備考
1 太田垣士郎 1951年5月~1959年11月 京都帝国大学経済学部 黒部ダム建設を進める 関経連会長(5代)
2 芦原義重 1959年11月~1970年11月 京都帝国大学工学部 関経連会長(7代)
3 吉村清三 1970年11月~1975年5月 東京帝国大学経済学部 大阪市電気局出身
4 森岡俊男 1975年5月~1977年6月 早稲田大学 宇治川電気出身
5 小林庄一郎 1977年6月~1985年11月 東京帝国大学経済学部
6 森井清二 1985年11月~1991年11月 京都大学工学部
7 秋山喜久 1991年11月~1999年6月 東京大学経済学部 関経連会長(12代)
8 石川博志 1999年6月~2001年6月 京都大学経済学部
9 藤洋作 2001年6月~2005年6月 京都大学工学部 美浜原発3号機の蒸気噴出事故により引責辞任
10 森詳介 2005年6月~2010年6月 京都大学工学部 関経連会長(14代)
11 八木誠 2010年6月~ 京都大学工学部

発電施設に関する特記事項

関西電力は、水力発電及び原子力発電の領域において、他の電力会社と比較して特殊な点がある。

黒部川流域の電源開発

黒部ダム

第二次世界大戦前の日本電力(後の日本発送電)は、近畿地方への配電を目的として富山県黒部川水系に多くの水力発電施設を築いた。戦後、日本発送電を解体した際、配電地主義の観点からこれらは関西電力に引き継がれており、さらに、関西電力自身の手によって黒部川第四発電所が建設された。 このような事情から、配電地域外となる同県富山市に北陸支社が置かれているほか、特に黒部川第四発電所及び黒部ダムなどのいわゆる黒四関連施設の管理のため、長野県大町市に黒四管理事務所がある。

これらの発電施設の建設のため、日本電力時代までに、現JR黒部駅から黒部川沿いに鉄道や専用軌道および歩道(日電歩道)が建設され、加えて黒四関連施設建設の際には、長野県側からの工事用道路(後に大町有料道路及び関電トンネル)も建設された。これらの鉄道・軌道・道路は、本来の発電施設の維持管理目的のほか、地元鉄道会社へ移管されたり、観光目的に活用されたりしている。 現在、関西電力では、扇沢駅から黒部ダム駅までの関電トンネルトロリーバス鉄道事業者として運行している(ただし送電は中部電力が担当している)ほか、黒部峡谷鉄道欅平駅から先のいわゆる上部軌道専用鉄道として運行している。 なお、下部軌道(宇奈月 - 欅平)は子会社の黒部峡谷鉄道が運営している。

原子力と関西電力

美浜発電所

関西電力は、電力構成に占める原子力発電の割合が他社よりも高い。同社のCMなどでも、「関西の電気の約半分は原子力」と言うキャッチフレーズが流れていた。

同社の原子力発電所は、福井県若狭地方に集中立地している。内訳は美浜町美浜発電所に3基、おおい町大飯発電所高浜町高浜発電所に各4基の、計11基である。すべて加圧水型原子炉(PWR)が採用されている。いずれもギリギリの範囲で同社の供給エリアではあるが、同県の敦賀市以東は北陸電力の管轄である。

この地域は福島県太平洋岸と並んで原子力発電所が集中している地域であり、前述の3発電所に加え、敦賀市には日本原子力発電敦賀発電所日本原子力研究開発機構の有する高速増殖炉もんじゅや、新型転換炉ふげん(現在は運転停止・廃炉作業中)、株式会社原子力発電訓練センター(三菱重工業の関連会社)なども立地しており、別名「原発銀座」とも言われている。

東日本大震災の影響

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震東日本大震災)の発生により、東京電力福島第一原子力発電所放射能漏れ事故が発生したことを受けて同社は、管理下の原子力発電所の非常用ディーゼル発電機以外に、移動可能な電源装置を別途高台等に設置すると各マスコミに向けてアナウンスした[8]

オール電化住宅の促進

東京電力福島第1原発事故以後、オール電化のテレビCMは自粛していたがオール電化住宅の販売促進は継続して行っていた。[9]

不祥事・トラブル

美浜原発事故(2004年8月)

2004年8月9日美浜発電所3号機で発生した配管破損事故。 2次冷却系のタービン発電機付近の配管破損により高温高圧の水蒸気が多量に噴出、逃げ遅れた5人が熱傷で死亡。 事故を公表せずに隠蔽していたことでマスコミが必要以上に騒ぎ立てたために重大事故と誤解を受けがちだが、国際原子力事象評価尺度(INES)による判定はレベル1(安全上重要ではない事象であるレベル0から、後に「作業員には危険があった」ということで修正)で、他の原子力関連事故に比べると危険性はほとんどない事故であった。

なお、1991年2月9日に美浜発電所2号機にて蒸気発生器の伝熱管が破損し非常用炉心冷却装置(ECCS)が作動する事故が起きており、INESによる判定でレベル2とされた[10]

所得隠しの発覚

  • 同社所有の遊休地の取引に絡み、大阪国税局から、2008年3月期までの2年間で約6億円の所得隠しを指摘されていたことが、2009年4月17日の各新聞報道で発覚した。同社が所有権を持たない土地について、売却損益を架空計上したと判断された模様である。申告漏れの総額は約62億円に及ぶとされ、国税当局は重加算税を含め約21億円を追徴課税した[11][12]。なお、同社はこの件に関して、一切公式サイト上でコメントをしていない。
  • また、2011年にも、福井県美浜町などでの原子力発電所建設で生じた金属屑を、実勢価格よりも安い価格で地元業者に売却していたが、これについて、同国税局から「(課税対象となる)交際費である」とされ、2010年3月期までの5年間で約45億円の申告漏れを指摘された[13]

カラス巣作り訴訟

顧客情報の売却

2012年5月から8月にかけ、同社の子会社・かんでんCSフォーラムの女性の契約社員が、同社の顧客情報管理システムに不正アクセスして契約者情報を抜き取り、大阪府茨木市内の探偵業の男性に5000-10,000円で売却していたとして、不正競争防止法違反の容疑で愛知県警に逮捕された[14]

社宅空き室等の維持費の電力料金への転嫁

同社は2012年に電気料金値上げを申請したが、その際、電力料金に社宅の空き部屋等の維持費を電気料金算定の原価に含めるよう経済産業省に対し求めていたことが、2013年6月に判明。同省は、入居率が9割未満の物件についてはコストを減額した上で原価に計上することとしたが、同社が原価に含めようとした物件の中には、廃止され塩漬け状態となっている社宅跡も含まれており、役員報酬が電力料金に含まれていた問題も明らかとなる中、「料金値上げの前に土地を売却すべき」だとの批判の声が多く聞かれる[15][16]

社員の故意の操作による停電

2013年5月31日大阪市天王寺浪速両区で、配電ボックスが開けられて内部の配電装置が操作され、両区内の民家やビルなど計132件が最長約1時間30分に亘り停電した。その後、同社難波営業所の37歳の男性社員が、同年6月4日に自分がやったと名乗り出た上で、大阪府警浪速署に出頭。同署はこの社員を偽計業務妨害容疑で書類送検した[17]

送電線設備をめぐる談合

同社発注の送電線設備の工事について、受注業者との談合に同社社員が多数関わっていたことが明らかになった。2014年1月31日公正取引委員会は、同社に対し談合防止策を申し入れた上、談合に関わった受注業者に対し、独占禁止法違反で課徴金納付や排除措置命令などを出した[18]。また、この談合について、その後の調査で社員240人が関わっていたことが明らかとなり、同社は、当時の副社長ら執行役員4人を譴責や報酬返上などの処分とした[19]

過労死問題

同社で高浜原子力発電所の運転再開を巡り原子力規制委員会の審査対応にあたっていた40歳代の男性課長が、2016年4月中旬に出張先の東京都内のホテルで自殺。この課長は、3月や4月の残業時間だけでも約100時間に及ぶとされた。敦賀労働基準監督署は同年内に、この男性を労災認定した[20]

全需要家に対する節電協力要請

2011年3月11日の東日本大震災の発生により生じた、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、同年6月10日に同社は、原子力発電所の運転停止・定期点検後の再稼動延期に伴う電力の供給不足による停電を回避することを目的として、7月1日から9月22日の平日9時から20時までの間(お盆の期間を除く)、個人・法人の全需要家に対し、前年比15%程度の節電の協力を要請する、との報道発表を行った。そして7月1日から9月22日まで、「でんき予報」の発表(6月29日 - 9月22日)を含めた、同社からの節電への協力要請が実施された。特に個人の需要家に対しては、平日13時から16時までの節電を呼びかけていた。

その後も同社は、同年12月19日から翌2012年3月23日までの期間において、平日9時から21時までの間(年末年始を除く)全需要家に対し、前年比10%程度の節電協力要請を行った。特に個人の需要家に対しては、平日18時から21時までの節電を呼びかけていた。なお「でんき予報」は2011年11月30日より、また「週間でんき予報」は2011年12月16日より、いずれも2012年3月23日まで発表された。

関連会社

関係会社

電気設備工事会社の関電工は、その名前から関西電力の関係会社と誤解されやすいが、関東地方を地盤とする東京電力系の会社(旧社名:関東電気工事)であり、関西電力グループにおいては、きんでん(旧社名:近畿電気工事)に相当する会社である。

PR施設

提供番組・コーナー

2011年3月11日東北地方太平洋沖地震東日本大震災)・東京電力福島第一原発事故が発生するまでは、他の電力会社同様に、テレビラジオ各局の番組スポンサーとして多くのCMを放送。しかし、上記の事態を受けて、2016年3月までは表立ったスポンサー活動を控えていた。

一社提供の番組・コーナーについては、スポンサーを降板しない代わりに、提供クレジット・提供読みを割愛することで放送を継続。上記の震災・事故が発生した直後には、それまで関西2府4県で放送していたCMを、ACジャパンのCMに差し替えていた。その一方で、前述した節電電力要請の直前および期間中には、「節電のお願い」(社告形式のCM)を放送。要請を実施しなくなった2012年の夏季以降も、電力の供給不足が予想される時期を中心に、節電関連のCMを随時放送している。

2011年9月23日からは、「節電のお願い」を放送する期間を除いて、省エネルギーに関する企業イメージCMを放送。その後は、「はぴeみる電」(インターネット上の専用サイトによるポイント蓄積型・登録制の電気使用量通知・紹介サービス)や、関連会社(関電SOSなど)のCMの放送も徐々に再開した。2016年度からは、コーポレートブランドCM「登場」篇の放送開始や「はぴeみる電」関連サービスの拡充などを背景に、提供番組における提供クレジット・提供読みを復活させている。

ちなみに福井県内では、県内にある原子力発電所での安全対策を伝えるなどの趣旨で、関西2府4県とは異なる内容のCMを放送している。しかし、東日本大震災発生後は一時、関西2府4県と同様にCMの差し替えで対応していた。

テレビ

現在(すべて一社提供
過去

ラジオ

現在
  • 東日本大震災発生の当日まで、「記念日ええなぁ!」(オープニング直後に放送されていたコーナー)を提供していた。2016年6月から、「月刊うわトーク」(月に1回のペースで放送される対談企画)のスポンサーとしてコーナー提供を復活。同年10月以降は、17時台の前半に放送される日替わり企画のスポンサーに名を連ねている。
  • 2016年10月から、「子供の詩」のコーナーを単独で提供している。
過去

CM出演者

現在(2017年2月時点)

啓発・サービス紹介CM

  • 佐々木蔵之介 - コーポレートブランドCMで出演。「関電ガス」(2017年度からサービスを開始するガス供給事業)のPRも担っている。
  • 徳永えり - 2017年1月から、「関電ガス」を含むコーポレートブランドCMで佐々木と共演。

関電グループ企業(ケイ・オプティコム)の出演者は当該記事参照。

過去

企業イメージキャラクター

その他

企業CMに使用された音楽

主な出資企業

関西電力が出資する主な企業は以下の通り。ここでは放送事業者を記載する(出資比率は2011年3月31日時点[21])。

政官界との関係

天下り問題

  • 福島第一原子力発電所事故以降、経済産業省と電力会社の天下り問題が監督官庁である経産省の原子力発電所の安全基準のチェックを甘くさせる構造として批判が集まった。

歴代内閣総理大臣への献金

同社において、少なくとも1972年から18年間に亘り、歴代内閣総理大臣に対し、原発推進などの目的で多額の政治献金が行われてきた実態が、2014年に同社元副社長の内藤千百里の証言により明らかになった[22]

脚注

  1. ^ 新鹿町、磯崎町、大泊町、須野町、二木島里町、二木島町、波田須町、甫母町、遊木町を除く
  2. ^ 韓国電力公社も英語社名としてKEPCOという名称が使われている。
  3. ^ ただし、事業すべて継承しているわけではなく、東邦ガス京福電気鉄道ダイビルなど、同じ起源を持つ企業は他にも存在する。
  4. ^ 大阪発電所の廃止について 2003年12月18日
  5. ^ 関西電力 事業所一覧 火力発電について
  6. ^ 関西電力 原子力発電について
  7. ^ 参考資料:3.我が国の卸電力市場の状況 (PDF) 内閣府 規制改革会議 第3回 IT・エネルギー・運輸TF(平成19年4月25日)
  8. ^ 今回の東北地方太平洋沖地震を受けて
  9. ^ 関西電力:オール電化住宅なお促進
  10. ^ 電気事業連合会【電気の情報広場】. “美浜発電所2号機事故”. 2011年3月29日閲覧。
  11. ^ 関西電力が6億円所得隠し、土地取引巡り架空の損失計上 読売新聞 2009年4月17日
  12. ^ 関西電力、62億円申告漏れ 大阪国税局指摘 朝日新聞 2009年4月17日
  13. ^ 関電、原発内工事で45億円申告漏れ…国税指摘 読売新聞 2011年9月2日
  14. ^ 関電顧客情報を売却、子会社女性社員と探偵逮捕 読売新聞 2012年11月29日
  15. ^ 関西電力:社宅空き室維持費 電気料金に 毎日新聞 2013年6月16日
  16. ^ 関西電力:社宅コスト転嫁 幽霊物件なぜ売らぬ 草ぼうぼう、住民怒り 毎日新聞 2013年6月16日
  17. ^ わざと停電の関電社員「事故起きれば人員増」 読売新聞 2013年6月19日
  18. ^ 送電線談合:関電200人関与 業者側担当にOB29人 公取委、61社に課徴金 毎日新聞 2014年2月1日
  19. ^ 関西電力:予定価格漏えい「課長級以下240人」と発表 毎日新聞 2014年2月4日
  20. ^ 労災認定 関電課長が自殺 高浜原発の審査対応で繁忙状態 毎日新聞 2016年10月20日
  21. ^ 『日本民間放送年鑑2011』 - 日本民間放送連盟編(2011年)
  22. ^ 関電、歴代首相に年2000万円 計7人、72年から18年献金 内藤元副社長が証言 朝日新聞 2014年7月28日

関連項目

外部リンク