「コンピュータ将棋」の版間の差分

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電王戦FINALの第二局において[[永瀬拓矢]]が[[Selene]]に対し「2七角不成」という通常あり得ない手を指した<ref>[[打ち歩詰め]]などを避ける場合、稀に不成を選ぶ場合がある</ref>。ソフトウェアは角、飛、歩が成らない局面を省くことで探索効率を上げており、こういった手を指し、ソフトウェアに一から計算させることで持ち時間を使わせることができる。この対局の場合はSeleneに角不成を認識できないバグがあり、王手放置によって反則負けとなった{{efn|ただし、「不成」を指す前の局面は永瀬優勢で、仮に成ったとしても優勢は変わらないとする意見が大勢であった。それでも指した理由を、永瀬は「優勢になったと思ったが、万が一を考えて指した」「修正されているかもしれないと思っていた」としている。また、同年[[3月27日]]放送の『[[Session-22]]』にゲスト出演した際に、「敗勢になっていたら指したか?」という質問には「そのような場合は選ばなかっただろう」と答えている}}。この時、開発者は事前にバグを察知できていなかった。
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電王戦FINALの第五局において[[阿久津主税]]があえて自陣に隙を作ることでコンピュータの「2八角」を誘い<ref>この角は馬に成ることができるが、その後捕獲されてしまう</ref>[[AWAKE (コンピュータ将棋ソフト)|AWAKE]]に勝利した(開発者による投了)<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXLASFG11H2O_R10C15A4000000/ 棋士、ソフトの弱点突き速攻決着 電王戦勝ち越し] - [[日本経済新聞]]</ref>。この戦法は、ponanza対策として以前から知られていた戦法の一つであり、コンピュータ将棋が短期的には有利と評価されても、長手数後に不利になることを読めない(計算コストの問題からその前に探索を打ち切る)ことに基づくコンピュータ将棋共通の弱点([[水平線効果]])を突いたものである<ref>{{cite web|url=http://nikkan-spa.jp/809998|title=将棋ソフトの死角をついた“ハメ手”で100万円獲得【将棋電王戦レポート】|date-2015-03-14|accessdate=2015-04-27|publisher=日刊SPA!}} </ref>。対局前に弱点は明らかになっていたが、プログラムの修正は認められていなかった。
電王戦FINALの第五局において[[阿久津主税]]があえて自陣に隙を作ることでコンピュータの「2八角」を誘い<ref>この角は馬に成ることができるが、その後捕獲されてしまう</ref>[[AWAKE (コンピュータ将棋ソフト)|AWAKE]]に勝利した(開発者による投了)<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXLASFG11H2O_R10C15A4000000/ 棋士、ソフトの弱点突き速攻決着 電王戦勝ち越し] - [[日本経済新聞]]</ref>。この戦法は、ponanza対策として以前から知られていた戦法の一つであり、コンピュータ将棋が短期的には有利と評価されても、長手数後に不利になることを読めない(計算コストの問題からその前に探索を打ち切る)ことに基づくコンピュータ将棋共通の弱点([[水平線効果]])を突いたものである<ref>{{cite web|url=http://nikkan-spa.jp/809998|title=将棋ソフトの死角をついた“ハメ手”で100万円獲得【将棋電王戦レポート】|date=2015-03-14|accessdate=2015-04-27|publisher=日刊SPA!}} </ref>。対局前に弱点は明らかになっていたが、プログラムの修正は認められていなかった。


===評価値と勝率の関係===
===評価値と勝率の関係===

2021年6月12日 (土) 02:56時点における版

コンピュータ将棋(コンピュータしょうぎ)は、コンピュータによる将棋の対戦、また将棋を指すコンピュータおよびそのプログラムそのものである。

歴史

黎明期

コンピュータが得意とする詰将棋については指将棋に先行した。1967年には日立製作所の越智利夫を中心とするグループが同社の5020Eを使用して詰将棋を行わせることに成功。加藤一二三(当時八段)が60秒で解く問題を90秒で解くなどアマ初段の腕前とされた[1]。さらに1968年、越智らは「初の詰将棋を解くプログラム」を発表している[2]。一般的な盤面と指し手を目標としたプログラムの開発が始まったのはこれよりも遅れ、1970年代中ごろと言われている。「人工知能、知識工学の完全情報ゲームへの応用」というテーマでコンピュータによる指し将棋システムの開発をしていた、早稲田大学大学院理工学研究科の大学院生であった瀧澤武信(後に早稲田大学政治経済学術院教授、コンピュータ将棋協会会長)をメインプログラマーとするプロジェクトチームによって、1974年11月から開発が進められ、翌1975年5月に完成したものが、おそらくは世界で最初のコンピュータ将棋であり[3]、2010年に情報処理学会が日本将棋連盟に渡した挑戦状にも、この年を起点とした「35年」という開発の歴史の年数が記されている。瀧澤は初期のコンピュータ将棋として自分たちのものの他、大阪大学の奥田育秀、牧野寛、木沢誠らのもの、東京農工大学の小谷善行のもの、を挙げている。瀧澤らの開発の目的は、作家斎藤栄の「江戸時代の天野宗歩が現代の花形棋士(当時の中原誠米長邦雄)と戦ったらどうなるのかコンピュータでシミュレーションしてくれませんか」という依頼に応じることであった。その後、日本情報処理開発協会の催しでも数回実演し、序盤を過ぎると目を覆いたくなるような解説のしようがない手を連発して、解説に来た中原らを困らせた[4]

コンピュータ同士の対戦がおこなわれるようになったのは1980年前後のことである。1979年に早稲田対阪大で対戦がおこなわれ、阪大が勝った。1981年の早稲田対農工大では早稲田が勝利。当時のコンピュータの速度では、対戦が終わるまでに日が暮れるどころか年が暮れるため、竹内郁雄が「コンピュータ、人、人」という順序で2/3は人が指す「ハイブリッド対戦法」を提案した。瀧澤武信と小谷善行(と、おのおののコンピュータ)の間で、1982年から1983年にかけて(変則ルールでも結局、年が暮れてしまった)対戦が行われた[5]

1980年代に入ると初期のパーソナルコンピュータ(当時はマイコン)が普及し、アスキーマイクロオセロリーグが1980年から行われている。興味の対象は徐々に、より複雑なゲームである将棋に移行し、1980年代中盤には、コンピュータ将棋のゲームソフトが市場に出回り始めた。当時はハードウェアの性能も低く、評価関数も簡単なものであったため、人間に比べて非常に弱いプログラムであった。アマチュアの級位者レベル以下であったことは間違いなく、そのような級位はないが20級程度といわれていた。ファミリーコンピュータでも1985年に内藤九段将棋秘伝が出た。

1980年代後半には、多数のコンピュータ将棋プログラムが誕生しており、ファミコンのゲームソフトとしてもコンピュータ将棋が製品化されるようになった。これが「どのプログラムが最も強いのか」という興味を惹くこととなった。

世界コンピュータ将棋選手権

将棋ソフトのプログラミングに興味を持つ有志らが集まり、1986年に『コンピュータ将棋プログラム』の会が発足した。翌年、『コンピュータ将棋協会』に改名された(略称: CSA)。彼らが主体となり、世界コンピュータ将棋選手権が年1回開催されるようになった[6]。記念すべき第1回大会は1990年12月2日、将棋会館で行われた。参加ソフト数は6つ、優勝したのは『永世名人』であった。

2002年の第12回以降は(2017年までは)毎年5月上旬のゴールデンウィーク期間中に開催されており、毎回約40種のプログラムが参加している。

世界コンピュータ将棋選手権の大会ルール[7]に、対戦のためのプロトコルも定められており、2017年現在では対戦サーバを介してオクテットストリームで行うこととされている。なお、対戦サーバが利用できない場合など(あるいは、以前は)、シリアル(RS-232)通信や手入力の規定で対戦が行われる。持ち時間は10分だが、1手指すごとに持ち時間に10秒が加算されるフィッシャークロックルールを採用している。

1995年にアマ初段レベルに達した将棋ソフトは、2年で一段のペースで棋力が上がっていった。そして2005年、『激指』の優勝により、県代表クラスに到達した。その後、プロとの公開の場での対戦の規制などが敷かれた時期などがあったことなどにより不透明な点もあるが、201x年代のうちには、最強クラスのコンピュータ将棋とトッププロとの対等と言える対戦が現実的なものとして議論されるようになった(詳細は後述)。

第16回以降の大会では、開催期間中インターネット上で棋譜のライブ中継が行われている。

人間との対局

公開対局において、2009年までは人間対コンピュータの対局ではコンピュータが負けることが多かったものの、2010年から2012年にかけての公開対局ではコンピュータ側の勝率が9割を超えている[8]。基本的に、コンピュータ将棋は持ち時間が短い対局の方が人間に対して有利である。2011年には、1手30秒などといった早指しなら、米長邦雄によると、プロ棋士に対しても7〜8割以上の勝率をあげるまでになっている。2013年3月30日の第2回将棋電王戦において、ponanza佐藤慎一に勝利した。これは長い持ち時間(各四時間)・公開対局・相手が現役の女流を除いたプロ棋士という条件で初めてコンピュータが人間に勝利した事例となった。

コンピュータ将棋が平手でトッププロ棋士を破る日はさほど遠くないと考えられており、松原仁は2005年の時点で、2010年代から2020年までにプロ棋士がコンピュータ将棋に負けると予測し[9]、2012年発行の「人間に勝つコンピュータ将棋の作り方」[10]では、「数年以内にトッププロ棋士に勝つ(複数回対戦し勝ち越す)」と予想された。Puella α(ボンクラーズ)開発者の伊藤英紀は第2回将棋電王戦PVでは2012年現在、既にプロ棋士を超えているとコメントした[11]。トップ棋士の一人である渡辺明は、第2回将棋電王戦第3局に登場したツツカナについて触れ、「現役棋士約160人の半分 (80) 、いや3分の1以上 (50) に相当する力がある、という見方をせざるを得ない」との見解を示した[12]

やねうら王の開発者・磯崎元洋は2014年10月31日のブログで「上位のソフトは事前貸出なしの条件であればとっくに羽生さんを超えていることは誰の目にも明らかである。超えているとは言ってもソフト側から見て勝率が50パーセントは超えるだろうという程度の意味で、勝率が90パーセントとか100パーセントとかではないので試合としては成立すると思うが…」「しかし、事前貸出1年間だとか、そういう条件がつくならとんでもない茶番であり、羽生さんがゲーム攻略よろしく将棋ソフトの序盤のあら探しに終始することになる。羽生さんのような優れた頭脳を1年もそんな遊びに投入させるべきではない。それこそ社会的損失である」と述べた[13]

公立はこだて未来大学松原仁教授は2015年10月に「羽生さんとの対局が実現していないのは残念だが、数年後には人間が全く相手にならなくなるのは確実で、人間との対決を掲げたコンピューター将棋開発の時代は終わったと考えている」と述べた[14]

ドワンゴ川上量生は2017年の4月から5月にかけて行われる第2期電王戦をもって電王戦を終了する予定であると発表し、終了の理由について「人間とコンピュータが同じルールで真剣勝負をするという歴史的役割は終わった」としている[15]

特徴

詰みの周辺における強さ

ある局面において『詰み』の有無を判定する作業は、単純な情報処理能力が力を発揮する分野であり、コンピュータは人間をはるかに超える計算力により、容易に詰みを発見することが可能になっている。

コンピュータが得意とする分野であるとも言え、実際に詰将棋プログラムは、対戦プログラムより古く、1968年頃にプログラムで解こうとさせていた、という談話がある[16]

詰みに特化した詰将棋の分野では、ほぼ全ての局面においてコンピュータは早々にトップ棋士の解図力を上回った。可能な王手と玉方の応手をすべて検索するコンピュータならではの方法論により、人間を凌駕する実力を備えている。詰将棋の創作にあたって、コンピュータを使用して作品の完全性を検証することは、すでに常識となっている[17]

谷川浩司は「詰将棋は自分でも作るんですけども,完成したものをコンピュータにかけるんですよ。そうすると,たいてい1秒で解かれますから。それこそ,かなり複雑な,1年くらいかけて作った詰将棋でも,コンピュータにかけると1秒で解かれるわけです。その詰将棋がちゃんと出来てるって証明にはなるんですけども,ちょっと切ない気分にはなりますよね……(苦笑)」と述べている[18]

手数が最長の詰将棋である「ミクロコスモス」すら、解答に成功したプログラム(通常の対戦用のプログラムとは異なり、詰将棋専用の探索ルーチンから成るもの)が報告されている(ミクロコスモス (将棋)#ミクロコスモスと脊尾詰を参照)。

また、対戦用ソフトウェアではない、独自プログラムによる創作の試行も行われている[19]

中盤の強さ

第3回電王戦に出場した豊島将之はコンピュータ対策について「1000局とはいかないが3ケタは練習対局をした」「何度も逆転負けをする中で、序盤の長い将棋や中盤を省略する激しい将棋に勝ち目があると思った」と述べている[20]。第3回電王戦を観戦していた遠山雄亮は「豊島さんはコンピュータの中盤の強さを警戒していました。少しぐらい優位に立っても中盤の難解な局面が続くと簡単に逆転されると。だから、コンピュータに勝つには、序盤の長い将棋にして、中盤に入る時点で大きなリードを奪ってしまうか、逆に中盤のない展開にして一気に終盤で勝負するのがいいと思っているようです。本局は意識して中盤のない展開を狙っているように見えますね。」とコメントした[21]。また、産経新聞も電王戦FINALを総括した記事において「1秒間に数百万〜1000万手以上を読むコンピューター相手では、互角に終盤の寄せ合いに突入したらまず勝ち目はない。中盤も、棋士側が手筋や定跡通りに指していてもコンピューターは正確無比でミスはしない。過去2回の経験からプロ側は『序盤で過激に鬼手を連発し、中盤を飛ばして一気に終盤に持ち込む』作戦が有効と結論づけた」と報じた[22]

ミスの少なさ

人間同士の対局では、ミスにより、局面に差がつくケースが多々あり、特に乱戦になると、人間はミスする確率が上がるが、コンピュータは人間よりもミスをしないため、乱戦になった場合はコンピュータの方が有利になると遠山雄亮が2011年に将棋倶楽部24でのボンクラーズとの対局を分析し、コメントしている。また、感情面で動揺したり、集中力が切れたりしないのも強さであるとしている[23]。人間の注意力には限界があり、どんなに注意深い慎重な人であっても、疲労錯覚などでヒューマンエラーを起こす場合がある[24]。一方、コンピュータは人間と違い肉体的な疲労がない[注釈 1]。そのため、持ち時間の長い将棋で終盤になると、疲労しないコンピュータが相対的に有利になる。また、コンピュータは人間と違い、プログラムにバグがない限りは二歩や二手指し等の反則行為は皆無である。バグの例としては、2015年の電王戦FINAL第2局において、Seleneが角成らずの手を正しく認識できず、王手放置の反則負けをしたという事例がある[26]

入玉模様の弱さとその改善

Bonanza以降主流になった機械学習では、プロ棋士の対戦データを元に教師あり学習をしているが、プロ棋士の対局ではほとんど見られない入玉模様になると、駒の配置に関する評価値が0に近い値になる。さらに相入玉になった場合は、駒の点数を計算して勝ちを狙うという、相手玉を詰ます以外の目標が生まれるのだが、これを判断できず適切に指せない状態になることが多い。2013年の第2回将棋電王戦第4局においては、相入玉に持ち込まれたPuella αは点数計算を正しく認識できず、持将棋(引き分け)成立を許すこととなった。

しかしながら、コンピュータが生成した膨大な数の局面を教師として学習したり、学習におけるパラメータを増加させて実戦が少ない局面の評価能力を向上させた結果、コンピュータ将棋の入玉模様は短期間で大幅に向上した。2015年の第25回世界コンピュータ将棋選手権では、コンピュータ将棋の公式戦で初めてSeleneが入玉将棋においてコンピュータ自身の読みと判断により宣言法による勝利を上げて同大会の独創賞を受賞した。強豪ソフトにおける入玉将棋の強さと宣言法の実装はほぼ標準化されており、2016年の第4回電王トーナメントでは、ponanzaとやねうら王が1度ずつ入玉将棋を宣言法で勝利している。

序盤の弱さとその改善

プロ棋士が積み上げてきた定跡は完璧ではなく、研究会や対局、感想戦を経て日々進歩しているものであり、棋譜以外の情報は将棋世界などの専門誌を通じ極一部紹介される程度で多くは公開されることはない。ソフトはその限られた情報を元に序盤戦術を構築していた。また、データベースにない新手を指されると(それが正しく受ければ不利になるものであっても)対応しきれないことが多い。序盤は定跡データベースを利用しているが、「なぜそのような駒組みにするのか」を理解して指すわけではない。そのため、2011年現在、定跡データベースから外れた場合に、おかしな手をさす確率が終盤よりも高く、また、まだ攻め始めてはいけないタイミングで攻め始めてしまうことがあると遠山雄亮が分析している[23]。古作登も2012年現在、均衡状態でコンピュータの手待ちをすると、コンピュータがスキを作っておかしな攻め方を始めたり、穴熊に組み替えようとしてその途中でスキを作ったりすることがあると指摘した[27]

近年[いつ?]ではponanzaのように、序盤を既存の定跡データに頼らないソフトも出現している[28]。コンピュータ将棋の棋力の向上に伴い、プロ棋士が作り上げた定跡に頼らず、自身の局面評価と探索によって、定跡局面を抜けた段階で局面評価が良くなるような定跡を自らの力で作成することにより、コンピュータ将棋の序盤力は格段の向上を遂げた[要出典]

駒落ち戦の弱さとその改善

序盤の定跡データベースは平手戦に特化しており、プロ棋士の公式戦で指されなくなった駒落ち戦をコンピュータは苦手としている。駒落ち特有の大局観を持ち合わせていないコンピュータは二枚落ちの上手を持っても穴熊に囲って自滅してしまうことがある[29]

しかし、これも教師となる局面が少ないケースでの局面評価力を向上させることで改善が見られ、自らもアマ高段の棋力があるponanza開発者の山本一成は、2016年4月に二枚落ちでponanzaに連続して敗れたことを報告している[30]

指導対局および接待対局の課題

プロはアマチュア相手に駒落ちあるいは平手での指導対局を行うが、コンピュータが「うまく手抜きをして負けてあげる」などといったような指導対局については、研究は行われてきたものの、市販製品あるいはネットワーク上のサービスとしてそのような対局が広く行われたりはしていないという点で、2010年代中盤において発展途上であり、この分野では人間に追いついていないとも言える。松原仁らとのパネルディスカッションで羽生善治によれば、北陸先端科学技術大学院大学では、人間といい勝負をして、最後負けてくれるというソフト、いわゆる「接待将棋」の研究にチャレンジしているが、負け方があからさますぎないようにするのが難しいという[31]

羽生善治はまた別の取材で、「接待将棋を指すのって、難しいのです。接待将棋は、基本的に相手の人がどれくらいのレベルで、どれくらいの将棋を指すのかを推測できないとできない。力を加減することはできるのですけど、あからさますぎてバレバレになるのですぐわかっちゃう」「AIに仕事が奪われる、みたいな話もありますが、ぼくの答えはいつも決まっていて、『接待ゴルフのような仕事は絶対なくなりませんよ』って答えるようにしています(笑)」と意見を述べている[32]

全幅探索の強さ

コンピュータで全幅探索をしている場合、途中局面の善し悪しではなく最終的にどうなるかで全てのパターンを読むので、「一見ひどい手のため人間は検討対象に加えないが、実は良い手」を見落とさないという長所がある。人間の場合、全てのパターンを読むのではなく直観大局観を使って筋の良い手・悪い手を判別、検討対象を絞っているため、見落としをすることがある。

アンチコンピュータ戦略

「稲庭将棋」というソフトウェアは対コンピュータ将棋に特化した作戦を行う。これは、基本的には自陣の歩を動かさず、守備に駒を配置したあとはひたすら手待ちして相手の時間切れを目指す戦法である[33]。人間にとっては簡単に打開できる駒組みでも、コンピュータにとっては読む手順が難しい穴となっていることによる。稲庭将棋が出場した当時の世界コンピュータ将棋選手権は時間切れ負けで秒読みが無いため、有力な戦法となった(後に「持ち時間10分で切れたら1手10秒以内」→「持ち時間10分で1手指すごとに10秒加算」と変化し、この戦法で勝つことはできなくなっている)。2010年の第20回世界コンピュータ将棋選手権での「独創賞」は、新しい技術や工夫、面白い趣向を凝らして選手権を盛り上げたプログラムとして、丸山スペシャルをさらに進化させて実装し、コンピュータ将棋の弱点をあらわにした「稲庭将棋」が選出された[34]

第2回将棋電王戦開催記念イベント「ニコニコ本社(原宿)で誰でもGPS将棋に挑戦! 勝てたら賞金100万円!!」で、ponanza開発者の山本一成が前述の稲庭将棋の戦術を使ってGPS将棋の無理攻めを誘う作戦(山本曰く「400手以上攻めないで待ってると、無理に攻めてくるバグを見つけた」[35])を取ろうとした。あまりにも時間がかかり、順番待ちの人が対局できなくなるために、明文化はされていなかったが、勝又清和の裁定によって引き分けとなった。なお、この作戦が直接影響したかは不明だが、その後のイベントでは256手目まで指して決着がつかなければ引き分けなどのルールが明文化されている[36]

その他、通常あり得ない手を指すことにより、考察する分岐を省いて計算するコンピュータにバグのような挙動をさせることができる。基本的に同じ挙動をするコンピュータでは、相手に応じて指し手を変化させることのできる人間には不利になってしまう戦法である。

第2回将棋電王戦第5局の総括インタビューで三浦弘行は「事前の研究で、GPSの弱点には気づきませんでしたか?」と質問されて「明らかな癖などは見つかりませんでした。でも逆に、それでよかったと思っています。もし見つかっていれば、そこを衝くべきかどうか思い悩んだでしょうから。弱点を衝いて勝ったとしても、それで勝ったといえるのかというところがありますので。ただ団体戦だから、本当はやりたくなくてもそうすべきだという考え方もありますし・・・難しいところです」と答えている[37]

高見泰地は「(自分が電王戦の対局者だったらどうするかとの問いに)まず貸し出されたソフトで本番と同じ環境・時間設定にして同じ作戦を試して、どのくらいの確率で使えるのか、もちろん研究はしますね。ただ使えたとしても、やはり『ハメ手』ではあるので、今回のような一発勝負のイベント対局ではいいと思うんですが、電王戦では(プロとしての)自尊心の問題も出てくると思います。難しいですね」と答えている[38]

電王戦FINALの第二局において永瀬拓矢Seleneに対し「2七角不成」という通常あり得ない手を指した[39]。ソフトウェアは角、飛、歩が成らない局面を省くことで探索効率を上げており、こういった手を指し、ソフトウェアに一から計算させることで持ち時間を使わせることができる。この対局の場合はSeleneに角不成を認識できないバグがあり、王手放置によって反則負けとなった[注釈 2]。この時、開発者は事前にバグを察知できていなかった。

電王戦FINALの第五局において阿久津主税があえて自陣に隙を作ることでコンピュータの「2八角」を誘い[40]AWAKEに勝利した(開発者による投了)[41]。この戦法は、ponanza対策として以前から知られていた戦法の一つであり、コンピュータ将棋が短期的には有利と評価されても、長手数後に不利になることを読めない(計算コストの問題からその前に探索を打ち切る)ことに基づくコンピュータ将棋共通の弱点(水平線効果)を突いたものである[42]。対局前に弱点は明らかになっていたが、プログラムの修正は認められていなかった。

評価値と勝率の関係

コンピュータは局面の形勢を評価値(形勢値)という数字で表す。

評価値0点は全くの互角を表し、プラスの場合絶対値が大きいほど有利、マイナスの場合絶対値が大きいほど不利である。多くのソフトでは、絶対値が大体200点以内が互角、絶対値が数百点の場合有利(不利)、絶対値が大体500~1000点くらいまでの場合が優勢(劣勢)、絶対値が数千点以上の場合が勝勢(敗勢)となる。即詰みや必至などの理由で事実上勝敗が決している場合は、絶対値は「∞点」か、表現できる最大値(ソフトによって異なる。例えば「9999点」など。即詰みを「99999点」として必至を「50000点」とする、あるいは即詰みを「9999点」として必至や一手一手の寄り等の読み切りを「31111点」とする等の方法で即詰みと必至(あるいは一手一手の寄り)を区別している例もある)で表現されるほか、ソフトによっては「Mate:XX」(XXは完全に詰むまでの手数)という形式で表される。このほかソフトによっては、「-1点」が千日手が最善と判断したことを示すなどの特殊な場合もある。

Ponanzaの場合、大体300点くらいで勝率6割、800点で勝率8割くらいと仮定している[43]。 商用版のやねうら王に収録されているQhapaqの場合、評価値+500は勝率7割ちょいを意味するのに対し、評価値-500は勝率が2割を切っている[44]。 水匠の開発者の杉村達也はコンピューター同士の対戦の場合 評価値÷30+50=勝率 という公式が成り立つと言っている[45]

人間との対局の歴史

〜2004年

1968年週刊朝日の企画で人間対コンピュータの詰将棋早解き競争が行われた。審判と解説は原田泰夫八段と加藤一二三八段。コンピュータは「H君」(HITAC5020を使用)、人間は各界の著名人でアマチュア。人間側の棋力は初心者近くもいるが、多くはアマの有段者で、中には学生名人や詰将棋作家などもいた。詰将棋は一問ずつ出題され、そのつど、タイムが競われる。勝負は一人につき、二問。結果は人間側から見て、49勝53敗であった。原田・加藤両八段は、「H君」の詰将棋を解く棋力をアマチュア三段と認定した[46]

コンピュータ将棋の黎明期には、当時のコンピュータの性能もあり、コンピュータがプロ棋士のレベルに達するのは、当分先のことだと思われていた。チェスソフトのノウハウを応用して最初に将棋ソフトが作られた時代は、アマチュアの初級者にすら負けるようなひどい有様であった。しかし、1990年代に入ると、技術の急速な進歩により、ソフトの棋力が大きく上昇した。また、ハード(CPUメモリ)の進歩などもあり、「金沢将棋」などのトップレベルのプログラムは、1994年から1996年の間に、アマチュア初段に達したとされる。1997年になると、コンピュータチェス「Deep Blue」が人間のチャンピオンであるガルリ・カスパロフを破った。しかし、その頃のコンピュータ将棋は、アマチュア二段程度であった[47]

1994年、YSS開発者の山下宏は第4回コンピュータ将棋選手権の自戦記で「8年後。これを読んでいるあなた、もしあなたがプロでない限り、あなたはコンピュータに破れます。そして2010年、たとえ羽生であろうと誰であってもコンピュータに勝てないつまらない時代がやって来る」と予測している[48]

1996年に発行された『平成8年度将棋年鑑』には、「コンピュータがプロを負かす日は? 来るとしたらいつ」というプロ棋士へのアンケートが掲載された。

  • 近い将来と答えた棋士

久保利明「来世紀」、内藤国雄「10年以内にくるような気がする」、土佐浩司「10年くらいで来る」、先崎学「10年後」、桐谷広人「来る。10年後」、伊藤能「僕くらいのレベルなら近いのではないか」、神吉宏充「5年ぐらい先か。最初に私が負けてやる」、斎田晴子「10年後」

  • 来ないと答えた棋士

米長邦雄「永遠になし」、行方尚史「たぶんこないと思うけど、みなさん頑張って下さい」、加藤一二三「こないでしょう」、大内延介「当分こない」、深浦康市「こない」、中村修「トップは負けないと思う」、村山聖「こない」、阿部隆「こない日を祈っている」、畠山鎮「こない」、佐藤秀司「そういうことになったらプロは要らなくなるので、こないように祈るしかない」、勝又清和「否定」、田村康介「自分は負けない(他人は?)」中井広恵「こない」、石橋幸緒「こない」、矢内理絵子「こないと思う」

  • 「来るが、かなり遠い先である」もしくは「条件付きで来る」と答えた棋士

羽生善治「2015年」、森内俊之「2010年」、屋敷伸之「来る。ただトップには勝てない」、中原誠「だいぶ先とは思いますがくるはずです」、森下卓「いつかは来ると思う」、田中寅彦「思います。私が生きているうち」、井上慶太「10年ではこないと思う」、青野照市「プロの仲間入りはできても、トップは負かせない」、塚田泰明「希望としては、自分が現役の内に」、郷田真隆「いつかはくる。ただし人間を超えることはできないと思う」、東和男「七冠王がプログラミングする日」、桐山清澄「20年後」、南芳一「40年ぐらい先」、真部一男「プロにも色々あるが、トップを負かすとなると百年くらい先か」、二上達也「超早指し戦だったら今でもプロが負ける場合がある。要は条件次第」、剱持松二「プロ棋士がプログラムを組めるようになった時」、谷川浩司「私が引退してからの話でしょう」、千葉涼子「50年後」、淡路仁茂「私が生きている間はない」、真田圭一「100年は負けない」

  • わからないと答えた棋士

高橋道雄「?」、三浦弘行「分からない」

  • その他の回答をした棋士

平藤真吾ゲームセンターの将棋[49]に2回負けた」

  • 回答しなかった棋士

有吉道夫田丸昇佐藤康光清水市代[50][51]

羽生善治は、「2015年」という予想についてのちに「別に深く考えずに適当に書いただけなんで……(苦笑)」と真意を答えている[52]

羽生善治は「将棋がコンピュータによって完全解明されてしまったらどうするか」という質問に「そのときは桂馬が横に飛ぶとかルールを少しだけ変えればいいんです」と答えた[53]。ただし、ルールを変えてもコンピュータは進歩し続けるので、いずれは対応されてしまうという問題がある。コンピュータが人間を超えたチェスにおいて、新ルールの「アリマア」というゲームが考案されたが、2015年にコンピュータプログラム「Sharp」が7勝2敗で人間を破っている[54]

2001年7月YSS将棋倶楽部24に参戦、12勝5敗の成績でレーティング1870?を記録。

2003年6月YSSが将棋倶楽部24に参戦、39勝13敗の成績でレーティング2077を記録。

2004年5月YSSが将棋倶楽部24に参戦、41勝11敗の成績でレーティング2324を記録[55]

2005年

2005年には、コンピュータ将棋選手権でのエキシビション対局において、同大会の優勝ソフト『激指』が、プロ棋士の勝又清和角落ちで勝利した[56]。また、2005年6月の第18回アマチュア竜王戦において招待選手として出場した『激指』は、都道府県代表を相手に3連勝し決勝トーナメント進出・ベスト16入りを果たした[57]

2005年5月YSSが将棋倶楽部24に参戦、37勝15敗の成績でレーティング2463を記録[58]

2005年6月2日にBonanza ver.1.0が公開。その棋力の高さは公開直後から渡辺明が自身のブログで「プロが平手で餌食になった」「奨励会有段者クラスがコロコロ負けているらしい」とたびたび話題にし[59]、渡辺自身も「10秒将棋[60]だと10回に1、2回はやられる」と述べた[61]将棋倶楽部24でのレーティングは約2400[62]。(Pentium4 2GHz,1手 18秒)

2005年9月18日、イベントでTACOS橋本崇載平手の対局を行った。結果は橋本の勝利となったが、TACOS に敗北寸前まで追い詰められた[63]。「プロ対ソフト」をビジネスチャンスと捉えていた日本将棋連盟の理事会は、全棋士に無断でコンピュータと公開対局を行うことを禁止する通達を出した[64]。後に橋本崇載はTACOSは奨励会入会試験に合格できない程度の強さで、敗北寸前まで追い詰められる訳がない。(本気をだせばすぐ終わるので)緩めたと著書で記述している[65]

2005年10月、将棋世界の企画で激指渡辺明角落ちの持ち時間各40分、時間切れ後は1手40秒で対戦し、渡辺明が勝った。 同じ条件で激指と木村一基が対戦し、木村一基が負けた。激指が使用したコンピュータは(Pentium4 2.8GHz)

2005年10月23日、第3回国際将棋フォーラムにて、YSS森内俊之角落ちの1手30秒で対戦し、森内が勝った。

2006年〜2009年

2006年以降、コンピュータとの公開対局は、平手で行われるようになった[56]

2006年3月〜5月に、週刊将棋の連載で、第1回週刊将棋アマCOM平手戦が行われた。そこでは、アマ強豪5名と2回ずつ合計10回対戦し、コンピュータ側の7勝3敗であった。コンピュータ側は、激指KCC将棋IS将棋YSSBonanza。持ち時間は1回目が60分(秒読み60秒)、2回目が20分(秒読み30秒)。

2006年9月YSSが将棋倶楽部24に参戦、17勝11敗の成績でレーティング2508を記録[66]

2007年3月21日には、Bonanzaとタイトルホルダーである渡辺明竜王)との公開対局(平手)が行われた(Bonanza#竜王との対局参照)。

Bonanzaの使用したコンピュータはIntel Xeon X5355 2.66GHz×8cores、メモリ8GB、1秒間に400万手読む性能。ソフトは当時公開されていたver.2.1の探索手数を大幅に増やし、戦法の選択を改善するなどチューニングをほどこしたもの。 将棋倶楽部24でのレーティングは2800[67]

Bonanzaはタイトル保持者相手に健闘し、終盤の読み違いがきっかけとなって敗れはしたものの、対局者の渡辺をはじめとする複数のプロから、プロ予備軍である奨励会の初段から三段の実力に相当するとの高い評価を受けた。これ以降、6年間、男子現役プロ棋士との公開対局が行われなくなり、この次は2013年3月の第2回電王戦であった。

2007年5月YSSが将棋倶楽部24に参戦、41勝11敗の成績でレーティング2744を記録[68]

2008年5月5日に行われた第18回世界コンピュータ将棋選手権のエキシビションマッチにおいて、優勝ソフトの激指がアマ名人の清水上徹を、準優勝ソフトの棚瀬将棋が朝日アマ名人の加藤幸男をそれぞれ破るという快挙を成し遂げた。この対局に対し、敗れた清水上と加藤はそれぞれ、「コンピュータの読みが上回った」「完敗だった」とコメントした[69]。2008年11月8日に行われた清水上、加藤と激指、棚瀬将棋との持ち時間60分、その後1手60秒の再戦では、加藤が勝利して雪辱を果たしたものの、清水上はまたも敗北を喫した[70]。公式対局でプロ相手に何度も勝利を上げているトップアマの二人の敗戦はプロにとっても衝撃であり、渡辺明[71]、遠山雄亮[72]片上大輔[73]らのプロ棋士がブログにその驚きを綴った。

2010年

2010年2月6日、週刊将棋の編集者で元奨励会三段の古作登激指と持ち時間20分の公開対局を行い、コンピュータが勝利した。

2010年4月2日、情報処理学会は、会長の白鳥則郎東北大学客員教授)名義にて「35年の開発の末名人に伍する力ありと情報処理学会が認める迄に強いコンピューター将棋を完成致しました」と宣言し、日本将棋連盟に挑戦状を渡した。将棋連盟はこれに対し、会長の米長邦雄名義で「その度胸と不遜な態度に感服した」として挑戦状を受理した。最初の対戦相手として女流の清水市代(対局決定時女流王位・女流王将の二冠)を指名した[74][75]

2010年5月〜7月に、第2回週刊将棋アマCOM平手戦が週刊将棋の連載として開催された。対戦相手は東京大学将棋部5名。それぞれ2回、合計10回対戦が行われ、棚瀬将棋が1敗して、コンピュータ側の9勝1敗であった。参加したコンピュータは、激指Bonanza Feliz・YSS棚瀬将棋GPS将棋。持ち時間は1回目が30分(秒読み60秒)、2回目が10分(秒読み30秒)。

2010年7月23日に、激指 定跡道場2 優勝記念版 発売、(2010年世界コンピュータ将棋選手権で優勝した激指の思考ルーチン搭載)謳い文句に強さはネット将棋でレーティング3000点台(プロ級)と記載。

2010年8月23日に、清水市代との対局の詳細が発表され、持ち時間はチェスクロック使用による3時間(1分未満の考慮時間も計測される)、使い切ったあとは1手1分というマイナビ女子オープン五番勝負と同様の条件となった。また、コンピュータ側のハードウェアはクラスタなし(Intel Xeon W3680 3.33GHz 6コア)を中心に、GPS将棋が提供した東京大学のクラスタマシン(Intel Xeon 2.80GHz 4コア:109台・Intel Xeon 2.40GHz 4コア:60台・合計169台 676コア)を併用する形で、ソフトウェアは「激指」「GPS将棋」「Bonanza」「YSS」の4種類のソフトが電気通信大学伊藤研究室の開発するマネージャの管制の下で多数決を行う合議制がそれぞれ採用された。このシステムは、10の224乗という、将棋のありうる棋譜の総数10の226乗に近い数を示す語である「阿伽羅[注釈 3]を取って、「あから2010」と名付けられた。

合議制の重み付けは以下の通り。クラスタなしが合計7.7、クラスタありが合計1.3とクラスタなしを優先している。

  • クラスタなし - Intel Xeon W3680 3.33GHz 6コア
    • 激指 - 2.9
    • Bonanza - 1.9
    • GPS将棋 - 1.0
    • YSS - 1.9
  • クラスタあり - Intel Xeon 4コア、合計169台、676コア
    • 激指 - 0.1
    • Bonanza - 0.1
    • GPS将棋 - 1.0
    • YSS - 0.1

清水市代とあから2010の対局は2010年10月11日に東京大学工学部で指され、86手で後手のあから2010が勝利した[76]。あから2010の駒を動かすアシスタントは上村亘(当時三段)が務めた[77]

2011年〜2012年

2011年5月16日、ponanza将棋倶楽部24で92勝8敗の成績でレーティング3110を記録。最後に「謎の棋士」と呼ばれる人と2局対局を行い1勝1敗であった[78]

2011年11月8日〜翌年2012年1月12日にかけてボンクラーズが将棋倶楽部24に参戦、2406勝134敗79分の成績でレーティング3364を記録。

2013年〜2015年

2013年5月6日〜5月17日にかけてponanzaが将棋倶楽部24に参戦、92勝5敗の成績でレーティング3453を記録[79]

2013年 船江恒平ツツカナの練習対局、持ち時間4時間で10〜15局行って、船江はツツカナに対しての勝率が「五分五分ぐらい」と述べている[80]

2013年11月から翌年2014年3月まで菅井竜也習甦の練習対局、菅井は習甦に対して「95勝97敗」と述べている[81][82]

菅井竜也は「これからはコンピュータが強くなるという意見の方が多いと思うんですけど、自分は10年ぐらいしたら人間の方が強いんじゃないのかなと思いますね。あまり頷いてもらえる方はいないと思うんですけど」と述べている[83][84]

2013年11月から翌年2014年3月までの豊島将之YSSの練習対局、豊島は「初めの方は全然勝てなくて、最後の方は5割から7割ぐらい勝算があるかなあというような感じだった」と述べている[85]

2013年11月から翌年2014年3月までの森下卓ツツカナの練習対局、森下はツツカナに対しての勝率が「1割無かった」と述べている[86]

2015年1月から2015年2月までの斎藤慎太郎Aperyの練習対局、斎藤は「内容的にはほぼ不利で止めてるので、どうだろう 良くて10勝30敗とか40敗ぐらいじゃないですかね」と述べている[87]

2014年12月から翌年2015年3月までの永瀬拓矢Seleneの練習対局、永瀬は「通算勝率は1割程度だと思います。ただ、実戦でその1割を引くことは可能だと思いました」と述べている[88]

2014年12月から翌年2015年3月までの村山慈明ponanzaの練習対局、村山はponanzaに対しての勝率が「1割無かった」と述べている[89]

2015年6月、千田翔太Aperyの練習対局、持ち時間1時間で50局以上行って、千田はAperyに対しての勝率が「2割ちょうど」「現在のコンピュータ将棋に勝てなくても、挑まなくてどうするのか」と述べている[90]

2015年10月11日、情報処理学会がコンピュータ将棋の実力は2015年の時点でトッププロ棋士に追い付いている(統計的に勝ち越す可能性が高い)という分析結果を出し「コンピュータ将棋プロジェクト」の終了を宣言した[91]

この宣言に対してPuella α開発者の伊藤英紀は「3年かかって世の中がようやく俺に追いついたか。まあお前らにしては割と早かったな、と褒めてあげたい」「学会としては、内心はとっくに抜いたと思いつつ、世間にわかりやすいように羽生さんに勝ったとこで終わりにしようと思ってたけど、連盟がいつまでも逃げまわって実現しない。実質抜いてるのにこれ以上続ける動機もリソース/予算もないので、理屈つけて終わりにした、という感じなんだろうな」

ponanza開発者の山本一成は「コンピュータ将棋におけるレーティング上昇のプロットは、『われわれ開発者の努力』なんですよ!(中略)……合ってるのかもしれないけど……なんかちょっとカチンとくるんですよね(笑)。何おまえら勝手に線引いてるんだよ、自然現象じゃないんだぞ、みたいな」

Apery開発者の平岡拓也は「情報処理学会の活動よく知らなくて謎」「まあ趣味プログラムだから学術的意義とかもとから関係無かった」

とそれぞれコメントしている[92][93][94][95][96]

2015年12月7日〜13日にかけてponanzaが将棋倶楽部24に参戦、69勝0敗の成績で過去最高記録のレーティング3455を記録[97][98][99]。(Core i7-6700K,1手 18秒)

藤井聡太は「実は自分もポナンザとネットで3、4局指したんですけど、全部負けてしまいました。もちろん負けたくないと思いましたけど、将棋の長い歴史の中でコンピューターと棋士が戦った一瞬に居合わせられたことは良かったと思います」と述べた[100]

2015年、羽生善治は「今、将棋の人工知能は、陸上競技で言えば、ウサイン・ボルトくらいです。運が良ければ勝てるかもしれない。しかしあと数年もすれば、F1カーのレベルに達するでしょう。そのとき、人間はもう人工知能と互角に勝負しようとは考えなくなるはずです」と述べた[101]

2016年

2015年12月から翌年2016年3月までの山崎隆之ponanzaの練習対局、山崎は「早指しでしかやった事ないんですけど、勝った時って言うのも思考を見て、見ながらでも厳しいですね」と述べている[102]

2016年5月22日、人間側の「絶対王者」として期待する評価が高い羽生善治叡王戦に参戦表明[103]

渡辺明竜王)は「羽生さんの出場には私も驚きました[104]

ドワンゴの川上量生会長は「びっくりした。聞いたときは体が震えた」

日本将棋連盟会長の谷川浩司は「そういう時期になったということだろう。羽生さん本人がどう思ったのか、どんな関心があるのか、私にはわからないが、大きな話題になることは間違いない」と話している[105]

羽生は参戦の理由を聞かれたときに「日程の問題ですね」と答えている[106]

また、羽生は「将棋の世界をある程度知ってる人たちは、プログラムが強くなってきたことに、前ほど強いアレルギーみたいなものはなくなってきてるのかなと思います。でも、もちろん将棋が強いことは大前提で必要なんですが、対コンピュータということに関しては、向き不向きがあるので(笑)。私がいちばんそれに向いてるかどうかは別の話です。もちろん負けた時に、世間一般に与えるインパクトは大きいでしょうけどね」と述べている[107]

三浦弘行が竜王戦挑戦者決定戦3番勝負で丸山忠久に2勝1敗で勝利したが、対局中の離席が多いとして他の棋士から不正疑惑をかけられた。詳細は将棋ソフト不正使用疑惑騒動を参照。この問題を扱ったITmediaのコラムにおいて「トップクラスのソフトは『スマホ上で動かしても人間のトップに匹敵する、あるいは上回る棋力を持つに至った』とする見方もある」と報じられた[108]やねうら王の開発者である磯崎元洋も2016年現在のハイスペックスマホであればMacBook Air程度の性能があるため、電王トーナメントのPCの4分の1程度の性能であり、ponanzaならR3400付近(推定)で人類の99.99パーセントぐらいの人は勝負にもならないと述べている[109]

羽生は叡王戦準決勝で佐藤天彦に敗れたため電王戦初出場とはならず[110]、その佐藤が叡王戦を制したため、電王戦初のコンピュータとタイトルホルダー(名人)との対局が実現することとなった。コンピュータ対タイトルホルダーの公式対局は、渡辺明(竜王)対Bonanza以来十年ぶりとなる。

2016年12月26日、三浦弘行の不正疑惑について第三者調査委員会の但木敬一委員長は「個々の事実がまったくシロであるとする証明は『悪魔の証明』と言って、できないのです」「われわれは、指摘された疑惑のすべてを検討しましたが、どれもスマホの不正使用を認めるに足りる証拠力は到底なかった」と述べた[111]

報告書では「将棋ソフトの棋力の向上により今や将棋連盟は未曽有の危機に直面している」「将棋ソフトの棋力が最強の棋士と互角となり、これをりょうがする勢いとなった時代を迎え、対局者が将棋ソフトを使うのではないかという疑心暗鬼がプロ棋士の心の中に生じてきたことを見逃すことはできない」「将棋というわが国の精神文化を内部から腐食させてしまう危険を感じざるをえない」「対局したプロ棋士に疑心暗鬼を生じさせない合理的システムを構築する必要に迫られている」と提言している[112]

2017年

2017年1月17日、渡辺明はソフト不正使用疑惑について「メディアの取材に応じたことで三浦(弘行)九段、読売新聞社様、将棋ファンの皆様方にご迷惑をおかけしました。申し訳なく思います」と謝罪した[113]

日経ビジネスオンラインの記者・広岡延隆は「ネットの謎棋士60連勝、熱狂生んだ陰の主役、AI対応で明暗分かれた囲碁と将棋」と題した記事の中で、日本将棋連盟がタイトル保持者をコンピュータと公式に対局させるのをなかなか実現させなかったこと、「コンピュータが人間を凌駕した」ということを速やかに認められなかったことを、妙なプライドにこだわらず純粋に盤上の真理を探求した囲碁の棋士達と比較して、三浦弘行将棋ソフト不正使用疑惑の対応のまずさも含めて、コンピュータへの対応に失敗していると非難した[114]

2016年に史上最年少(14歳2か月)でプロ入りした藤井聡太は「ソフトの存在は脅威ですか?」という質問に対し「強くなる為のツールという感じです。研究用に私も一応活用しています」、「最強のソフトと言われるponanzaと指したら勝てると思いますか?」という質問に対し「人間と比べるとコンピューターの能力の進化は限度がないです。そういう意味では人間とコンピューターが勝負する時代ではなくなったのかなと思います」と答えている[115]

2017年12月5日、DeepMindは3日間学習させたAlphaZeroチェス将棋囲碁の世界チャンピオンプログラム(当時)であるStockfishelmoAlphaGo Zero(3日間学習)を破ったと発表した。

2018年

2018年6月25日、ponanza開発者の山本一成はコンピューターの能力の進化について「コンピュータ将棋の強さ、10年前は身長1mくらい、5年前は身長2mくらいで、名人と戦った時は身長4mくらいになっていて、今順調に身長8mくらいになろうとしている。指数関数的な成長ってそういうもの」と述べた[116]

2020年

2020年4月1日、elmoが考案した対振り飛車戦法「elmo囲い」が第47回将棋大賞にてコンピュータ将棋ソフトとしては初めて升田幸三賞に選出された。

将棋電王戦

清水市代とコンピュータソフトのあから2010が対局し、あから2010が勝利したことを受け、日本将棋連盟会長(当時)米長邦雄が「引退棋士の代表」としてコンピュータ将棋と対局。また、同時に定期的にプロ棋士とコンピュータソフトが対局する「電王戦」が開催されることが発表された。

2012年1月14日に行われた第1回将棋電王戦では、米長とボンクラーズの本対局が将棋会館で行なわれ、113手で先手のボンクラーズが勝利した[117][118]

2013年の3月から4月にかけて行われた第2回将棋電王戦はプロ棋士5名と2012年世界コンピュータ将棋選手権の上位5ソフトとの団体戦として行われ、プロ棋士側の1勝3敗1分(持将棋)に終わった[119]。第2局では正式ルールで行われた現役のプロ棋士戦で初めてコンピュータが勝利した[120]

2014年の3月から4月にかけて行われた第3回将棋電王戦は、プロ棋士5名と2013年の第1回将棋電王トーナメントの上位5ソフトとの団体戦として行われ、プロ棋士側の1勝4敗に終わった[121]

2015年の3月から4月にかけて行われた将棋電王戦FINALは、プロ棋士5名と2014年の第2回将棋電王トーナメントの上位5ソフトとの団体戦として行われ、プロ棋士側が3勝2敗と初めて勝ち越した[122]

2016年の4月から5月にかけて行われた第1期電王戦からは装いを一新。前年に新設された叡王戦を勝ち上がったプロ棋士代表と2015年の第3回将棋電王トーナメントを勝ち上がったコンピュータ代表による二番勝負として行われ、プロ棋士側の2戦全敗に終わった。

2017年の4月から5月にかけて行われる第2期電王戦をもって電王戦を終了した。終了の理由について川上量生は「人間とコンピュータが同じルールで真剣勝負をするという歴史的役割は終わった」としている[123]。2016年の第2期叡王戦を勝ち上がったプロ棋士代表と第4回将棋電王トーナメントを勝ち上がったコンピュータ代表による二番勝負として行われ、プロ棋士側の2戦全敗に終わった。

代表的なソフトウェア

オープンソース

フリーウェア

詰将棋 解答専用ソフト

市販ソフトウェア

その他

コンピュータ将棋のプログラミング技術

評価関数

将棋はお互いが1手ずつ指すゲームのため、局面の評価が必要で、局面の有利不利に序列をつけるための評価関数が必要である。序列をつけるだけでなく、通常は評価関数は局面を実数化(高速化のために整数化)する関数を使う。探索では、評価関数を利用し、数手先の変化を読み、相手が最善を尽くしてきたときに、もっとも自分が有利になる手を探す。ここでいう「有利」は、相手の玉を詰ませられる、駒得になるなど、数値化できる基準で評価する。評価関数の作り方と何手先までを探索の対象とするかでコンピュータ将棋の強さが決まってくる。駒の損得を中心に、玉形や駒の働きなどを評価対象としているものが多い。

機械学習

かつては、手作業で評価関数が作られていたが、Bonanzaの開発者保木邦仁は将棋の初心者であり自分で設定できなかったため、機械学習によって評価関数を作成した。これによりこれまでの他のソフトが見落としていた(あるいは開発者が軽視していた)指し手に高い評価を与えることが可能となった。この「評価関数のパラメータの自動生成」は「ボナンザ・メソッド」と呼ばれ、コンピュータ将棋史上最大のブレイクスルーの一つと見なされている。

2009年に開催された第19回世界コンピュータ将棋選手権では、決勝に進出した8ソフトの内、シードの激指YSSを除く6ソフトが「ボナンザ・メソッド」を採用した。この結果、激指は2勝5敗、YSSは1勝6敗と惨敗し、翌年の選手権では「ボナンザ・メソッド」を採用。以降、「ボナンザ・メソッド」不採用の決勝進出ソフトは存在しない。

機械学習には、過去のプロ棋士の対戦棋譜からの教師あり学習と自己対戦による強化学習がありえるが、2015年頃まではプロ棋士の棋譜を用いた教師あり学習が主流であった。教師あり学習の場合、プロ棋士の手を再現するというのが機械学習のテーマとなる。ミスの少なさ、読み手数の長さでプロ棋士を超えようとしている。教師あり学習の欠点として、入玉模様など過去のプロ棋士の対戦棋譜にあまり出てこないパターンが弱くなるという問題がある。

かつてはプロ棋士の対戦棋譜が学習用教材として用いられていたが、自己対戦棋譜による強化に成功したNineDayFeverの登場以降、コンピュータ同士の対戦棋譜が重視されるようになっている。 2016年以降はプロ棋士の棋譜を使わず、自ら棋譜を生成し数億~数十億局面から浅い探索での評価値を深い探索での評価値に近づけるように学習するNineDayFeverの強化学習が一般的になり、入玉の評価も大幅に改善された。

三駒の組み合わせ

王を1つ以上含む三駒の組み合わせおよび位置関係から評価関数を作る方法。Bonanzaは2009年のVer. 4から採用している。YSSは王からの相対座標で三駒の組み合わせを計算している。また、4駒での組み合わせで計算しているソフトもある。

探索

枝刈り

将棋の場合、平均着手可能手数は80通りもあるので、手先までの局面数はという膨大な数になる。これを全て計算すると限られた時間内では深く先読みすることはできなくなる。そこで、実際に計算する局面数を少なくし、深く読めるようにすることを枝刈りと呼ぶ。

枝刈りには全局面を評価した場合の結果と正確に同じ値を返す枝刈りと、少し誤差を含む結果を返すことを許容することでより多くの枝刈りを行うものの2種類がある。前者を後ろ向き枝刈り、後者を前向き枝刈りと呼ぶこともある。

全幅探索

ある局面下で指すことが可能な手をしらみつぶしに読む手法(力まかせ探索)。探索法としてはもっとも原始的でプログラミングも他と比べると単純だが、CPUに負荷がかかるため効率は悪いと考えられていた。しかしBonanzaの開発者である保木によれば、選択的な探索は選択を行う処理が複雑になるため、全幅探索よりも負荷がかかるとして全幅探索をBonanzaに採用している[126]

ミニマックス法

ミニマックス法チェス、将棋、リバーシチェッカー等の完全情報ゲームで次の手を決めるための基本アルゴリズム。数手先まで読み、その時点で評価関数により局面に点数(手番の方がプラス)をつけ、手番の方は評価値が最大の手を、手番ではない方は評価値が最小の手を選ぶとして、次の着手を選択する。局面の分岐数をN、先読みする深さをLとすると、評価が必要な局面数はN^Lとなる。

αβ探索

基本的にミニマックス法と同じだが、再帰的に局面の評価を行う関数を呼ぶときに、その時に判明している評価値の下限値(これをα値と呼ぶ)と上限値(これをβ値と呼ぶ)を引数として渡し、その範囲外を計算することは無駄なので、ミニマックス評価に於いて途中で得られた値がα値β値の範囲外の場合は評価を打ち切るアルゴリズム。ミニマックス評価で評価する局面数は N^L だが、αβ探索ではおよそ N^(L/2) となる。

実現確率探索

激指などが採用している手法。探索時に、過去の対局データから、次の一手の実現確率を求め、実現確率の高い方をより深く探索する。激指は実現確率の計算に2004年ロジスティック回帰を採用した。

クラスタリング

かつてはマシンを疎結合クラスタリングしても強くならず、あから2010の時は疎結合クラスタリング無しの重み付けを大きくしたが、2011年ボンクラーズが6台クラスタリングで優勝し、2012年は797台のGPS将棋が優勝した。ボンクラーズを開発した伊藤英紀は、もしボンクラーズが700台つかえるのであれば、レーティングが200-300程度上がるという見解を示している[127]。レーティング差が200-300だと、期待勝率は(レーティングが高い方から見て)75-85パーセント程度となる。第2回 将棋電王戦第5局を振り返り、三浦弘行は、670台のGPS将棋に対して「私の勝算は5パーセントしかなかったんです」と語った[128]。勝算が5%だとレーティング差500程度になる。

合議制

2010年以降からは、複数の思考エンジン間の合議(多数決)によって指し手を決める手法が研究されている。2009年に行なわれた第19回世界コンピュータ将棋選手権では、複数のBonanza[129]を搭載した「文殊」が3位という好成績を収めた[130]

水平線効果

水平線効果とは、読みの深さの限界により、手の選択肢の中で、のちに極端に不利となる手を選んでしまうこと。もしくは、小さな損を繰り返すことで、大きな損をする状態を先延ばしにし、本来よりももっと不利になってしまうこと。

ディープラーニング

AlphaZeroは囲碁AIで成功を収めたモンテカルロ木探索ディープラーニングにより好成績を残した。

プログラマーツール

将棋所

将棋所は、将棋を指すためにプログラムを呼び出し、盤上に着手を表示するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)である[131]。将棋所は2007年に作成された。将棋所はユニバーサル将棋インタフェース(Universal Shogi Interface, USI)を使用する。USIは、将棋プログラムがユーザインタフェースと通信するのに用いるオープンコミュニケーションプロトコルである。USIはノルウェーのコンピュータチェスプログラマーTord Romstadによって2007年に設計された。Tord RomstadはUSIをユニバーサルチェスインタフェース(UCI)に基づき設計した。UCIはコンピュータチェスプログラマーStefan Meyer-Kahlenによって2000年に設計された。将棋所は、2つのプログラム間の対局を自動的に実行できる。これによって、プログラマーはインタフェース部分を書く必要がなく、より速く開発することができる。また、プログラムの変更をテストするのにも有用である。将棋所は将棋エンジンを加えることで将棋を指すために使うことができる。将棋所で動かすことのできるエンジンとしては、Blunder、GPS将棋、Laramie、Lightning、ponanza、Spear、Ssp、TJ将棋、などがある[132]。Bonanzaもアダプター(u2b)を用いることで動かすことができる。

WinBoard/XBoard・BCM Shogi

WinBoard/XBoardおよびBCM Shogiも将棋をサポートするGUIである。WinBoardでは2007年にH.G. Mullerによって将棋がサポートされた。WinBoardはエンジンと通信するために独自のプロトコル(チェスエンジンコミュニケーションプロトコル)を使用するが、UCI2WBアダプターを介してUSIエンジンと接続できる。WinBoardプロトコルをネイティブサポートするエンジンは、Shokidoki、TJ将棋、GNU Shogi、Bonanzaである[133]。将棋所とは異なり、WinBoardはオープンソースであり、LinuxではXBoardとして利用可能である。BCM Shogi[134]は、USIプロトコルとWinBoard将棋プロトコルのためのグラフィカルユーザインタフェースである。

中将棋大将棋といった多くの将棋類は、Winboardのフォークされたバージョンを用いることでAiと対戦することができる。Shogidokiでは持ち駒ルールのある5五将棋(ミニ将棋)を指すことができる。Hachuでは5五将棋、禽将棋小将棋、中将棋、大将棋を指すことができる[135]

Floodgate

Floodgateはコンピュータのための自動対戦サーバである[136]。将棋所で動作するプログラムはFloodgateに接続することができる。GPSチームがFloodgateを作成した。Floodgateは2008年から継続的に運営されている。2008年から2010年の間、167のプレーヤーが2万8千局をFloodgate上で対戦した。人間もFloodgateで対局することができる。持ち時間は15分切れ負けである。

ShogiGUI

ShogiGUIは、Windowsで動作する将棋のGUI。 USIプロトコル対応の将棋エンジンを使うことで、棋譜の検討や解析、対局などができる。ShogiGUIの上で動かすことのできる将棋エンジンに、水匠(すいしょう)、水匠2(すいしょうつー)、技巧2、などがある。2020年5月3日、4日におこなわれた世界コンピュータ将棋オンライン大会(第30回世界コンピュータ将棋選手権が中止となり代替開催)で、水匠が優勝した[137]

その他

コンピュータチェスとの比較

初期のコンピュータ将棋はコンピュータチェスの理論をもとに開発されたものが多い[138]。チェスと比較した場合、持ち駒という特性から指し手の選択肢があるため、より計算量が増えることになる。一方でコンピュータチェスの開発は歴史が長く、計算理論に関する論文やプログラミング時のテクニックが蓄積されていることやオープンなソースコードも多いため、将棋と共通する部分が開発時の参考にされている。

1997年にはチェスの世界チャンピオン(当時)ガルリ・カスパロフIBMの開発したディープ・ブルーに1勝2敗3引き分けで敗北し、将棋界にも大きな衝撃を与えたが、持ち駒による全局面数の多さ[139]があることなどから、2000年代前半までは現役トップレベルには達していないと見なされる事が多かった。

2003年には汎用コンピュータと一般人が購入できるソフトが、ディープ・ブルーの様な専用機に匹敵する性能を持った。2009年8月には、スマートフォンに搭載された「Pocket Fritz 4」がグランドマスター級の評価が与えられた。

コンピュータチェスにおいてもアンチコンピュータ戦略が考案されており、2008年にはヒカル・ナカムラ(世界ランク46位、レイティング2670)とRybka(Ver3、レイティングは3000前後)の対局では、ナカムラが攻めずに手待ちを続けることでRybkaに自身が優勢と誤判定させ、無理な攻めを始めた際に隙を突いて勝利している。この対局は271ムーブ(将棋式では542手)の長期戦となった。

将棋では2000年代後半に入りトップアマが敗れ、2010年代にはトップ女流棋士の清水市代、元トップ棋士だった米長邦雄、さらには現役プロ棋士にそれぞれ勝利し、2014年の第3回将棋電王戦では、ハードウェアを市販のパソコン1台に限定されたソフトが現役プロ棋士5人に4勝1敗で勝ち越すなど、平手でも敗北・負け越しする例が出ている。

AlphaZeroは単一のプログラムであるが、共通点を持つ将棋とチェスだけでなく囲碁においても好成績を残した。

ソフト指し問題

将棋ソフトのレベルが上がった結果、ヒント機能や検討モード、対局機能などを使ってネット将棋を指すユーザーが少なからず出てきている。将棋ソフトの指し手を入力してネット将棋を指すことを「ソフト指し」という[140]。ネット将棋大手の将棋倶楽部24では(公認を除き)他の善良な会員の皆様に種々の迷惑がかかるとして、2008年に「24ソフト指し取締委員会」を設置。将棋ソフトの指し手との一致率を基準として「ソフト指し」を認定し、不良利用者アカウントの削除などを行っている[141]

逆に81dojoではソフト指し専用アカウントを作成し名前を指定されたもの(「COM_(任意の文字列)」)にすれば、公認が無くてもソフトの思考結果を用いて指せる。ただし、名前が「COM_」がついてない場合は81dojoでも不正行為者とみなされる[142]

同様のことはチェスでも問題になっており、国際チェス連盟の公認大会において選手のスマートフォン持ち込み禁止が通達されているが、グルジアグランドマスター(チェスの最高位)であるガイオズ・ニガリジェアラブ首長国連邦での対局中にトイレに立ってトイレットペーパーの中に隠してあったスマートフォンで分析する不正をしたことが報じられている[143]。またウラジーミル・クラムニクは2006年の統一世界チャンピオン決定戦(14ゲームマッチ)において、ゲーム中に頻繁にトイレに立つことについて対戦者のベセリン・トパロフ側からクレームを受け、第5ゲームを放棄して不戦敗を記録するなどのトラブルも発生している。

公式戦における問題

プロ棋士の場合、2018年時点でソフトによるカンニングは確認されていないが、2016年10月に日本将棋連盟は対局室にスマートフォンなど電子機器の持ち込み禁止を含めた規制策を決め発表した。6割を超える棋士から賛同が得られたという[144]

また、2016年には第29期の竜王戦で挑戦者に決まっていた三浦弘行九段にソフト使用の疑いがかけられ、日本将棋連盟が三浦に竜王戦と年内の公式戦の出場停止の処分を行った[145]。またこの事態を受けて竜王戦の挑戦者は電子機器の所持を調べるため、金属探知機で検査を受けることになった[146]。しかし結局、のちの第三者委員会による調査では三浦九段の不正は認められず、日本将棋連盟は三浦に対し謝罪した(将棋ソフト不正使用疑惑)。

脚注

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  4. ^ 共立出版 bit別冊『ゲームプログラミング』pp. 45〜46
  5. ^ 共立出版 bit別冊『ゲームプログラミング』p. 46
  6. ^ 将棋世界2007年7月号より。
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  8. ^ コンピュータ将棋対人間 対戦記録
  9. ^ コンピュータ将棋の専門家である公立はこだて未来大学松原仁はそれ(将棋のチャンピオンにコンピュータ将棋が勝つこと)を2015年と予想している(情報処理2005年7月号より)。また、コンピュータ将棋協会会長の瀧澤武信もそれを10〜20年後と予想している(将棋世界2007年7月号より)。
  10. ^ 瀧澤, 2012.
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  17. ^ コンピュータソフトを使用するのは、作品に余詰や不詰がないかを確認するためである。また作成途中の補助に使う場合もある。
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注釈

  1. ^ 第2回将棋電王戦でのツツカナのように輸送中に故障する事はあるが、人間と違いハードウェアソフトウェアは必ずしも個々に交換不可能ではないので、ハードウェアの部分をすげ替えて対処する事が可能である[25]
  2. ^ ただし、「不成」を指す前の局面は永瀬優勢で、仮に成ったとしても優勢は変わらないとする意見が大勢であった。それでも指した理由を、永瀬は「優勢になったと思ったが、万が一を考えて指した」「修正されているかもしれないと思っていた」としている。また、同年3月27日放送の『Session-22』にゲスト出演した際に、「敗勢になっていたら指したか?」という質問には「そのような場合は選ばなかっただろう」と答えている
  3. ^ この語は華厳経第45巻、阿僧祇品第三十に登場する数詞の一つで、洛叉(10万)、倶胝(1000万)、阿庾多(100兆)に始まり(倶胝以上は2乗すると次の単位になる)不可説不可説転に至る多くの巨大な数の名が示されているうちの一つである(詳細は命数法#仏典の数詞を参照)。
  4. ^ ソースコードは公開されている。営利目的での利用の禁止などの制限により、Open Source Initiativeによる「オープンソースの定義」には合致しない。

出典

参考文献

  • 瀧澤 武信 編『人間に勝つコンピュータ将棋の作り方』技術評論社、2012年。ISBN 978-4774153261 
  • 『常識外の一手』谷川浩司 新潮新書 2015年 978-4106106217

関連項目

外部リンク